サリーは家族信託の紹介ページに文章が載っています。
―「信託法入門」道垣内弘人より
受益権には、いろいろな内容のものがありえます。「月々10万円を給付する。」と確定的に決まっていることもありますし、「期間中、一年ごとに信託財産増加額を金銭で給付する」とか、「期間中は一切の給付をせず、終了時に信託財産現物のままで給付する」とか、バリエーションがあります。
「受託者が、受益者の必要性を判断して、給付する」ということも考えられます。1章の冒頭にあげた例では、「サリーが18歳になったときに、元本と収益とをサリーに与えるが、その間も、必要な教育費はサリーに与えるとともに、サリーが13歳になったら、毎年1000ポンドはサリーに与える」となっていました。ここでの「必要な教育費」の額の判断権限が、受託者に与えられているわけです。
さらに、複数の受益者の受益内容を変えることもできます。公平義務に関連して、優先受益権と劣後受益権という区別がありうることを説明しましたが、収益を、まず優先受益権者に定めに従って交付し、余りがあれば劣後受益権者に給付する、というわけです。また、Aには、信託財産である不動産に居住できるという利益を給付し、Bには、他の財産からの収益を現金で給付する、ということも可能です。―