登記研究933号令和7年11月号

登記研究933号(令和7年11月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g109808.html

【論説・解説】■不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(ローマ字氏名併記関係)(2・完)

東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介

第3 施行通達の解説

○第2部 ローマ字氏名併記に関する事務の取扱い

 ○第3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

 別送方式による場合の留意点。申請情報の内容とすること。

 書面申出の場合、申出書に申出人の押印不要。申出書に文字の訂正、削除がある場合であっても訂正印不要。ページ数の記載があれば、契印不要。申出に押印不要のため、取下げには、本人確認書面の提示・添付が必要と考えられる。

 ○第4 相続人申告登記への準用

 ○第5 経過措置

  ○第6 ローマ字氏名が記載された登記原因証明情報等の取扱い

 所有権の登記名義人の氏名にローマ字氏名が併記されている場合、登記原因証明情報における氏名がローマ字で登記官が併記されているローマ字と一致することを確認できるとき。

 ○第7 その他

分筆の登記による登記の転写の場合の取扱いなど。

■住所等変更登記の義務化の施行に向けたマスタープランの公表について

法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介、法務省大臣官房会計課文書係長(前法務省民事局民事第二課企画係長) 佐 野 史 織、法務省民事局総務課企画第一係員(前法務省民事局民事第二課法規係員) 大 山 結 子

第1 はじめに

令和7年3月28日法務省 住所等変更登記の義務化の施行に向けたマスタープラン

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00695.html

第2 マスタープラン

 1 目的

 施行1年前に予定している運用の取扱い等を明らかにする。

 2 内容

 (1) 新しいルールのポイント

 過料の対象、令和8年4月1日施行、2年間の猶予期間。登記官の職権による所有権の登記名義人の住所等変更登記。

  (2) 住所等変更登記の義務化に向けて進める環境整備

 検索用情報の申出、登記官が住民基本台帳ネットワークシステムに照会するのは2年に1回以上を想定。2年に1回以上と想定された理由としては、住所等変更登記の履行期限、住民基本台帳ネットワークシステムへの照会手数料。

会社法人等番号が登記されている法人は、商業・法人登記システムから、速やかに登記官に通知され、職権で登記。

 (3) 住所等変更登記の義務化の運用方針の決定

 催告を受けた後に、検索用情報の申出又は会社法人番号の申出がされた場合は、過料通知は行われない。

 (4) 住所等変更登記の義務化に向けた周知・広報

第3 おわりに

■ポイント解説 基礎から考える商業登記実務(第14回)

東京法務局民事行政部第一法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

ポイント:代表取締役等に係る住所非表示措置について

1 はじめに

2 DV被害者等に係る住所非表示措置

 対象となる法人は、株式会社に限られない。後見人の登記における後見人及び被後見人(商業登記法40条1項1号、2号)も対象。

 商業登記規則31条の2第1項の、その他これらに準ずる者の範囲。登記研究906号P68、令和4年8月25日法務省民商第411号法務省民事局長通達「商業登記規則及び電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

 登記の申請と同時する場合であっても、住所非表示措置の申出は別件。登記の申請と同時にする場合に限り、オンラインによる申出が可能。

 申出書に住所非表示を開始する期間の記載がないときは、履歴事項全部証明書に表示される範囲で現住所に係る住所非表示措置を行う。

 申出書、登記簿の附属書類の閲覧の制限の申出をする場合、申出書にその旨の記載が必要。

 DV等支援措置決定通知書(市区町村)、ストーカー規制法に基づく警告等実施書面(警察)、DV被害者相談証明書(配偶者暴力相談支援センター)などが添付書面。

 登記の申請と同時にDV被害者等に係る住所非表示措置の申出を行う場合、登記の申請情報に、被害者等の氏名及び住所が記載されている証明書は、登記申請書に添付のものを援用する、と記載して援用可能。

 住所に代わる表示として、一般社団法人の場合は一般社団法人等登記規則第3条において準用する商業登記規則第31条の2の規定による措置。

 住所非表示措置の終了申出が、代理人によることが出来ない理由は、加害者側が被害者の代理人になりすまして申出をし、住所非表示措置が終了してしまうことを防止するため(商業登記規則第31条の2第7項)。

3 代表取締役等住所非表示措置

 対象となる法人は、株式会社のみ。外国の住所も対象。本店がその所在場所において実在することを確認した結果を記載した書面として、配達証明郵便に準ずるものとして法務大臣がさだめるものは、現時点で定められていない。本店の所在場所の部屋番号の記載等も含めて一致している必要がある。

 代表取締役等住所非表示措置の申出と同日に実質的支配者情報一覧の保管の申請をした場合、実質的支配者の本人特定事項を証する書面を添付することを要しないと考えられる。

 既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている株式会社が解散し、当該措置が講じられている代表取締役が代表清算人となっている場合には、資格が異なることになるため、当該措置を継続することはできず、代表清算人についても当該措置を講ずる場合は、別途、代表清算人について代表取締役等住所非表示措置の申出が必要と考えられる。

4 おわりに

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第135回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

256 法人登記の問題点等について

 主務官庁がある法人の設立・解散等の根拠法律を制定するための準備をするのは主務官庁。

法人の設立根拠法に登記の手続法令も併せて規定されている法人。

 法律に規定し、登記手続に関しては法施行令に規定している法人、組合等登記令に規定している法人、個別の登記令に規定している法人。

■家族の変遷(過去・現代・未来)(4)

広島大学・法科大学院 客員教授 小 川 富 之

第5 明治初期から法典論争に至る議論と「家」制度

 皇室典範と明治民法制定時の論点。

【法 令】会社計算規則の一部を改正する省令(令和7年2月28日法務省令第5号)

商業登記規則等の一部を改正する省令(令和7年9月30日法務省令第48号)

 電子署名の規格。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和7年9月30日国土交通省令第99号)

 公告方法のインターネットの利用が、ウェブサイトと明確に。

【訓令・通達・回答】▽不動産登記関係

〔6268〕表題部所有者が「甲某外何名」である土地について所在等不明共有者の持分の取得の裁判又は所在等不明共有者の持分の譲渡の裁判があった場合の所有権の保存の登記の可否について【解説付】(令和7年3月21日付け法務省民二第447号法務局民事行政部長、地方法務局長(横浜を除く。)宛て法務省民事局民事第二課長通知)

 持分の取得の裁判があった場合の登記の目的は、氏名不詳持分全部移転。持分の譲渡の裁判があった場合の登記の目的は、氏名不詳の所有権保存登記を経たうえで、共有者全員持分全部移転。

▽商業・法人登記関係

〔6269〕商業登記規則の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和7年3月24日付け法務省民商第47号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 本店を他の登記所の管轄区域内に移転する登記の申請における印鑑の提出。

▽登録免許税関係

〔6270〕租税特別措置法第80条の3の規定に基づく登録免許税の軽減に係る証明書の様式について(令和7年2月18日付け法務省民商第21号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長、商事課長依命通知)

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