登記研究932号(令和7年10月号)、テイハン
https://www.teihan.co.jp/search/g109808.html
【論説・解説】■不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(旧氏併記関係)(3・完)
東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介
第3 施行通達の解説
○第2部 旧氏併記に関する事務の取扱い
○第4 旧氏併記の終了申出
不動産登記規則158条の36。申出の目的は、氏名変更ではなく表示変更。旧氏は、所有権の登記の登記事項ではない(不動産登記法59条)。申出があった場合の処理は、職権、付記登記。登記原因は、申出。
○第5 相続人申告登記への準用
所有者の所在の把握を容易にするという、相続人申告登記の意義に照らして、旧氏併記の申出を準用(不動産登記規則158条の37)。
○第6 経過措置
○第7 旧氏が記録された登記原因証明情報等の取扱い
不動産売買契約書の当事者の氏名が旧氏表記の場合などの取扱い。
○第8 その他
分筆の登記による登記の転写の取扱い。
■不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(ローマ字氏名併記関係)(1)
東京地方裁判所判事(前法務省民事局付)森下 宏輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬 貴之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太田 裕介
第1 はじめに
法務省 不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(ローマ字氏名併記関係)(令和6年3月22日付け法務省民二第552号通達)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00589.html
第2 制度の背景
片仮名表記による本人確認の困難。
第3 施行通達の解説
○第2部 ローマ字氏名併記に関する事務の取扱い
○第1 通則
ローマ字氏名の位置付けは、登記事項ではなく登記名義人の氏名の識別性を向上させるための補足事項。仮登記の登記名義人は不可。記号不可。ローマ数字はローマ字を組み合わせて表示可能。
総務省 外国人住民に係る住民基本台帳制度
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/zairyu/index.html
○第2 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出
登記申請に伴うローマ字氏名を証する情報と、登記申請を伴わない申出に係るローマ字氏名を証する情報の内容の差異。旅券の写しを添付する場合は、原本の相違ない旨の記載と、外国人の署名又は記名押印。住民基本台帳に記録されていない外国人が旅券を所持していない場合の上申書記載例。
登記研究916号P139、令和5年12月15日法務省民二第1596号法務省民事局長通達「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて」
不動産登記令附則5条1項の規定により書面を提出する場合。ローマ字氏名併記の申出は登記申請ではなく、登記原因証明情報とはならない。
登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に対する登記官の応答に、行政処分性はない。・・・却下に関する手続は、規則ではなく施行通達に定める。
○第3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出
所有権の登記をした際の登記済証は、申出人と所有権の登記名義人が同一であることを証する情報に含まれると考えられる。
■ポイント解説 基礎から考える商業登記実務(第13回)
東京法務局民事行政部第一法人登記部門首席登記官 山 森 航 太
ポイント:株式会社における清算結了の登記について
1 はじめに
2 清算株式会社における清算事務
(1) 財産目録等の作成等(会社法第492条)
(2) 債権者に対する公告等(会社法第499条)
(3) 債務の弁済等(会社法第500条、502条)
(4) 残余財産の分配の決定(会社法第504条)
3 清算事務の終了と清算の結了
(1) 清算事務の終了に伴う決算報告の作成及び株主総会における承認(会社法第507条)
会社法施行規則150条。会社法309条1項。
(2) 清算結了の登記(会社法第929条第1号)
清算結了の登記は、清算結了の創設的な効力を持つものではなく、会社法507条により、既に効力が生じた清算結了を公示するため。
商業登記規則80条。
(3) 清算の結了と清算株式会社の消滅
清算株式会社は、清算の結了によって法人格が消滅する。清算結了の登記によってではない。
4 清算結了の登記の手続
会社法第929条第1号。申請は代表清算人によって行う。
(1) 添付書面
会社法507条3項。商業登記法75条。商業登記規則61条3項。
登記研究125号P39、昭和33年3月18日民事甲第572号通達「株式会社の清算結了登記について(商通第三十一号)」
(2) 登記すべき事項
商業登記法17条2項4号。登記研究702号P141、平成18年4月26日法務省民商第1110号民事局商事課長依命通知「会社法の施行に伴う商業登記記録例について(その三)」
5 清算結了の登記に関する留意点等
(1) 清算結了(株主総会における決算報告の承認)をすることができる最短期間
官報は原則として平日の午前8時30分に発行されるものであり、官報掲載日である初日不算入(民法140条)。
(2) 決算報告の承認に係る株主総会の議事録に付属する決算報告書
登記研究773号P190、2012年7月30日【質疑応答】〔7940〕「清算結了の登記の申請書に添付すべき決算報告の承認があったことを証する書面について」
登記研究247号P71、昭和43年5月2日民事甲第1265号民事局長回答「清算結了登記の受否について」
登記情報557号P40、2008年4月1日吉野太人:法務省民事局付検事「会社法施行後における商業登記実務の諸問題(7)」
登記情報429号P120、1997年8月1日発行、登記官の目「債務超過の収支決算書を添付した清算結了登記の受否について」
登記研究325号P74、1974年12月20日質疑・応答五一二九「清算結了登記の添付書類について」
(3) 所在不明の株主が存在し残余財産の分配をすることができない場合
登記研究353号P115、1977年4月20日質疑応答【五三五五】「同一申請」
(4) 決算報告の承認に係る株主総会を開催することができない場合
(5) 清算株式会社に残余財産がある場合の清算結了の登記の抹消
登記研究779号P115、平成24年4月3日法務省民商第898号法務省民事局商事課長通知「登記の抹消の申請書に添付すべき書面について」
登記研究493号P137、1989年2月28日〔七〇〇二〕「農事組合法人の清算結了登記の抹消登記と添付書面について」
6 おわりに
■逐条解説不動産登記規則(61)
元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史
第111条 建物
不動産登記規則
https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018#Mp-Ch_3-Se_2-Ss_2
(建物)第百十一条 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。
建物の認定基準。
不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)最終改正:令和6年12月2日(建物認定の基準)第77条。
登記研究170号P69、昭和36年9月12日民事甲第2208号民事局長回答「きのこ型の建造物を家屋として取り扱うことの可否について」
登記研究171号P48、昭和36年11月16日民事甲第2868号民事局長回答「ビニール・ハウスを家屋と認定することについて」
最高裁判所第一小法廷判決昭和37年3月29日民集第16巻3号P643、「石油タンクが旧地方税法第八八条にいう不動産に該当しないとされた事例」。
https://www.courts.go.jp/hanrei/56225/detail2/index.html
登記研究671号P189、平成14年10月18日法務省民二第2474号 民事局民事第二課長依命通知「スケルトン・インフィル分譲住宅等に係る登記上の取扱いについて」
【法 令】
譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(抄)(令和7年6月6日法律第57号)
【訓令・通達・回答】
▽不動産登記等関係
〔6267〕不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和7年3月3日付け法務省民二第373号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
