登記研究926号(令和7年4月号)
https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html
【論説・解説】
■商業・法人登記制度をめぐる動向と展望(2)
名古屋法務局長(前福岡法務局長) 土 手 敏 行
3 商業・法人登記に関する各種申出制度
- 氏名・住所の表記、登記事項証明書の記載は様々
旧氏併記、DV被害者等住所非表示、代表取締役等住所非表示の各制度と比較。DV被害者等住所非表示は、代表取締役等住所非表示と異なり株式会社以外でも利用可。
- 司法書士制度を活用─商業登記で初めて「資格者代理人」と明記─
商業登記規則31条3における本店が実在することを確認したことを証する情報。犯罪による収益の移転防止に関する法律上の法人の実質的支配者を特定したことを証する情報。
令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務省民事局長通達
~第三者から当該株式会社を所有権の登記名義人とする不動産の登記事項証明書等を添付した上で当該株式会社の清算が未了である旨の情報提供が登記官に対してあった場合~
- 代表取締役等住所非表示までの経緯
依頼者への説明時には、法務省ホームページの写しを渡すなど。
- 実質的支配者リスト制度
外国人の利用が多い印象。
4 起業・投資促進
- 早期完了の取組
通常処理ではなく優先処理。
平成18年1月20日付け法務省民商136号法務省民事局商事課長通知「司法書士が作成代理人として記名押印又は署名している定款が添付された登記申請の取扱いについて」
- その他の起業・投資促進の取組
目的は総務省の産業分類が1つの目安になり、英訳がついている。設立時に日本に口座を持っていない場合。
■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係)(3・完)
東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介
第3 施行通達の解説(承前)
○第4 相続人申告登記の抹消
例えば、所有権の登記名義人Xの相続人としてAが相続人申告名義人として付記されている場合、当該付記を抹消することなく、Bのみを所有者とする相続による所有権移転登記は可能。
相続放棄をしたことを証する情報として、相続放棄申述受理証明書を想定。
○第5 経過措置
○第6 その他
ポイント解説■基礎から考える商業登記実務(第8回)
東京法務局民事行政部第一法人登記部門首席登記官 山 森 航 太
ポイント:合同会社の業務執行社員の加入及び代表社員の就任による変更の登記について(その2)
4 持分の譲渡による業務執行社員の加入及び代表社員の就任の登記
持分は社員たる地位。
登記研究698号平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」P179
社員が法人である場合
業務執行社員の持分譲渡にかかる承諾の意思表示・・・法人の代表者
業務執行社員でない社員の持分譲渡にかかる承諾の意思表示・・・法事の職務執行者(法人の代表者という見解あり。)
総社員の同意により持分の譲渡によって加入する社員に係る定款の変更をする場合の社員・・・持分の譲受人、譲渡人を除く。定款で業務執行社員を定めている場合の定款変更に同意する社員には、持分の譲受人は含まれる。
■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第131回)
一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問 神 﨑 満治郎
医療法
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205#Mp-Ch_6-Se_7
第五十六条の七 清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
第五十六条の八 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。
2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、判明している債権者を除斥することができない。
3 清算人は、判明している債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の公告は、官報に掲載してする。
・清算事務報告書
■逐条解説不動産登記規則(55)
元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史
不動産登記規則
https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018
(合筆の登記の制限の特例)
第百五条 法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。
一 承役地についてする地役権の登記
二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの
三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの
四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの
不動産登記法41条6項により委任された規定。共同担保権であっても、受付番号が異なる場合は不可。
■公益認定法令の改正について─公益法人の機関に関連する改正点を中心に─
内閣府公益認定等委員会事務局政策企画調査官、司法書士 永 渕 圭 一
第1 はじめに
第2 外部理事及び外部監事の導入
理事が法人内部の委員会において委員を務め、助言や審議を行う行為は、当該理事が単独で法人の事業に係る意思決定を行う行為ではないことから、業務を執行したとはみなされない。
令和6年改正法施行の際に現存する公益法人において、外部理事の選任義務については、当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日から適用。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律
https://www.koeki-info.go.jp/commissions/8juzxi8nhf.html
附則第5条第2項 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十五号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。
第3 理事と監事の間の特別利害関係の排除
第4 会計監査人の設置義務の拡大
適用除外基準の引き下げ。
第5 定款の変更について
外部理事・監事の選任規定。会計監査人の設置の定め。
■民事信託の登記の諸問題(43)
渋 谷 陽一郎
信託法182条1項2号(残余財産の帰属権利者)の定めが登記されていない場合。
登記研究224号P48、昭和41年5月16日民事甲第1179号民事局長回答「信託の登記ある不動産についての抵当権設定登記申請の受理について」の適用範囲。
信託法31条2項(利益相反行為の制限に対する例外)と比較。1号による信託行為の記載。2号による受益者の承認の記載。
受託者が残余財産を与えることと、信託法8条(受託者の利益享受の禁止)の関係。
受益権が相続されない場合、その旨を登記する必要性。