登記研究915号(令和6年5月号)2024/05、テイハン
https://www.teihan.co.jp/book/b10084677.html
【論説・解説】
■「遺言書保管事務取扱手続準則の一部改正について(令和5年8月31日付け法務省民商第168号法務省民事局長通達)」の解説
法務省訟務局訟務企画課予算係長(前法務省民事局商事課遺言書保管第一係長兼第二係長) 菅 野 裕 紀
1 はじめに
https://www.moj.go.jp/MINJI/12.html
指定者通知を行う人の、範囲と人数を改正。
2 本通達の発出の背景
⑴ 指定者通知の対象者となる者の範囲の拡大について
想定ニーズ・・・士業者、信託銀行、葬儀会社など。
⑵ 指定者通知の対象となる人数の拡大について
3 事務処理上の留意点
遺言書情報証明書の交付請求を出来る者かは、遺言の内容によります(遺言書事実証明書の交付請求をしてみてください。)、という注意書き。
■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第121回)一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問 神 﨑 満治郎
242 登記手続において、組合等登記令の適用を受ける法人の種類及びその登記手続の概要について
1 登記手続において、組合等登記令の適用を受ける法人
組合等登記令別表
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000029
2 登記手続の概要
(設立の登記)第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所の所在場所
四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
六 別表の登記事項の欄に掲げる事項
(変更の登記)第三条、(他の登記所の管轄区域内への主たる事務所の移転の登記)第四条、(代理人の登記)第六条、(解散の登記)第七条、(継続の登記)第七条の二、(合併等の登記)第八条、(分割の登記)第八条の二、(移行等の登記)第九条、(清算結了の登記)第十条、二週間以内。
添付書面、商業登記法の準用、各登記の特則など。
■Q&A不動産表示登記(91)
(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美
第三章 建物(非区分建物)
第二節 各種の登記の申請
Q260 建物を取り壊した場合はどのような登記を申請するのか。
不動産登記法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123
(建物の滅失の登記の申請)第五十七条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
滅失の判断・・・建物の同一性。建物の効用、売買の実例など。
不動産登記準則
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00465.html
(建物の再築)第83条 既存の建物全部を取り壊し、その材料を用いて建物を建築した場合(再築)は、既存の建物が滅失し、新たな建物が建築されたものとして取り扱うものとする。
(建物の移転)第85条 建物を解体移転した場合は、既存の建物が滅失し、新たな建物が建築されたものとして取り扱うものとする。
2 建物をえい行移転した場合は、建物の所在の変更として取り扱うものとする。
(附属建物がある主たる建物の滅失による表題部の変更の登記の記録方法)第102条 附属建物がある主たる建物の滅失による表題部の登記事項に関する変更の登記をする場合には、表題部の主たる建物の表示欄の原因及びその日付欄に滅失の登記原因及びその日付を記録し、当該表示欄に主たる建物となるべき附属建物に関する種類、構造及び床面積を記録し、当該原因及びその日付欄に「令和何年何月何日主たる建物に変更」のように記録するものとする。この場合には、当該附属建物の表示欄の原因及びその日付欄に「令和何年何月何日主たる建物に変更」のように記録して、当該附属建物についての従前の登記事項を抹消するものとする。
登記研究255号昭和43年12月23日民事三発第1075号民事局第三課長回答「建物の滅失登記申請における申請人について」
取り壊しの場合は工事証明書など。
■商業登記の変遷(61)司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)
印鑑証明。直接証明方式→間接証明方式類似→コンピュータ方式→印鑑カード方式(間接証明方式)へ。
■民事信託の登記の諸問題(32)渋 谷 陽一郎
第228 信託法の条文の読み方
信託法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000108
(受託者の権限の範囲)
第二十六条 受託者は、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する。ただし、信託行為によりその権限に制限を加えることを妨げない。
第229 信託法26条の構造
接続詞の読み方。
第230 信託法26条の解釈における見解の対立
このように解した場合でも、この「管理又は処分」は、後段の「信託の目的の達成のために必要な行為」である必要があるのだろうか。・・・一定の目的の従う必要がある(信託法2条1項)。
第231 信託法26条における本文とただし書の関係
信託の目的の達成のために必要な行為の中に、管理又は処分は含まれていると考えます。例示、具体化することによって、結果的に、受託者の権限を信託の目的に加えて更に制限することになる場合も出てくると考えられます。
第232 信託契約書の信託条項──目的と権限の関係
目的が上位規範、権限が目的を第三者にも分かるように具体化したものだと考えます。
第233 信託条項間の整合性とは何か
信託の目的と、受託者の権限(信託目録では信託財産の管理方法)が矛盾しないこと。・・・受託者、第三者が混乱する。
【資 料】会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(8)
登記研究804号平成27年2月6日法務省民商第13号法務省民事局長通達 「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」
登記研究804号2015年2月、南野 雅司:法務省民事局商事課法規係長 「商業登記規則等の一部を改正する省令の解説」
株式の譲渡制限に関する定めの廃止・変更、株式の併合、合併。
登記研究 698号平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」・・・発行可能株式総数、発行可能種類株式総数の変更には、定款変更の株主総会決議が必要。
登記研究423号昭和57年11月13日法務省民四第6854号「民事局第四課長回答「株式の併合による会社が発行する株式の総数の変更について」
株式の併合の割合に比例して、株主総会決議がなくても発行可能株式総数を減少する取扱い・・・廃止。
登記研究698号平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」
株式の消却と発行可能株式総数、発行可能種類株式総数。
登記研究143号昭和34年8月29日民事甲第1923号民事局長電報回答 「株式会社の新株発行について」
発行可能株式総数の増加決議を条件とする新株の超過発行を行う取締役会の決議。
登記研究218号昭和40年11月13日民事甲第3214号民事局長電報回答 「新株発行を条件とする授権資本の枠増加の変更登記の受否について」
新株発行の前後と発行可能株式総数、発行可能種類株式総数の変更決議・登記申請の可否。
登記研究273号昭和45年6月29日民事四発第468号民事局第四課長電報回答「枠外発行を条件とする授権資本の枠拡大の決議について」
株主総会の条件付き決議の限界。条件決議自体が決議時点で定款、法令に違反しないこと。
登記研究423号昭和57年11月12日法務省民四第6853号民事局第四課長回答「授権資本の枠を超える新株発行による変更登記の受否について」
新株発行の無効の訴え(会社法828条1項2号)は株主を守るためなので、株主全員が同意する株主総会決議がある場合は無効が治癒される。
登記研究731号平成20年9月30日法務省民商第2665号民事局商事課長通知「吸収合併に際しての発行可能株式総数を超えた株式の発行及び当該枠外発行の数を前提とする発行可能株式総数の増加に係る条件付定款変更の可否について」
登記研究344号昭和51年3月18日法務省民四第2157号民事局第四課長回答「株式の譲渡制限に関する規定の設定による変更の登記の受否について」
株式の譲渡制限に関する規定の設定決議を行う株主総会に参加していない新株主は、株式買い取り請求も不可能であって、不利。
登記研究231号昭和41年12月23日民事四発第772号民事局第四課長電報回答「株式の譲渡制限に関する規定の登記事務取扱いについて」
全株主から株券の提供がされている場合でも、法令に定める株券提供公告期間が満了していることが必要。公告期間中に株式の譲渡があった場合の譲受人保護。
登記研究707号2007年1月【質疑応答】〔七八四五〕株式会社の定時株主総会における株券を発行する旨の定款の定めの廃止決議と株式譲渡制限の定款の定めの設定決議について
登記研究 708号2007年2月【質疑応答】〔七八四七〕株式会社が解散した場合における株式譲渡制限規定の変更の登記の要否について
当会社、株主総会、清算人会等へ変更。取締役会という機関がなくなるから(会社法477条)。
登記研究206号71頁昭和39年12月26日民事甲第4024号民事局長回答「後配株式を普通株式に変更するための手続について」
普通株式も種類株式の一種だから。
登記研究725号平成20年3月21日法務省民商第990号民事局商事課長通知「端株発行会社が普通株式を分割する際に取得条項付種類株式の内容を変更する場合における会社法第一一一条第一項の当該種類株式の株主全員の同意及び同法第三二二条第一項の当該種類の株式を有する株主を構成員とする種類株主総会の決議の要否について」
取得条項付種類株主が、その地位を知らないうちに奪われる可能性があるかないか。取得対価として受ける財産の種類等に変更があるか否か。
【法 令】不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年3月1日法務省令第7号)
相続人申告登記、ローマ字氏名の併記、旧氏の併記など。
【訓令・通達・回答】
▽不動産登記関係
〔6227〕信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記の可否について【解説付】(令和6年1月10日付け法務省民二第17号法務局民事行政部長(東京を除く。)、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長通知)
登記義務者は原則受益者の法定相続人。信託の変更の登記は、受託者による単独申請(不動産登記法103条2項、98条2項、信託目録に定めがない場合、受託者作成の、利益相反行為を許容する定めのある報告的登記原因証明情報の提供。)。登記権利者を受託者、登記義務者を受益者の同一人として、信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記申請。
▽商業・法人登記関係
〔6228〕商業・法人登記における印鑑関係事務取扱要領の一部改正について(令和5年11月10日付け法務省民商第202号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
印鑑記録の更生申し出の追加。
▽遺言書保管関係
〔6229〕遺言書保管事務取扱手続準則の一部改正について(令和5年8月31日付け法務省民商第168号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
【質疑応答】
▽商業・法人登記関係
〔8010〕一般財団法人設立において、金銭による財産の拠出を設立者又は遺言執行者から委任を受けた設立時理事名義の口座に行った場合について
口座名義人の範囲について。理事長でない設立時理事名義でも良い。
〔8011〕公証人による定款の認証前に財産の拠出を履行した場合の財産の拠出の履行があったことを証する書面について
登記研究902号令和4年6月13日法務省民商第286号法務省民事局商事課長通知「株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面の払込みの時期について」について、一般財団法人にも適用できる部分は適用。