月刊登記情報2024年12月号757号

月刊登記情報2024年12月号757号(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

CONTENTS 法窓一言 

事業価値把握のための担保権の議論動向

島田法律事務所 弁護士 本多知則

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00226.html

法制審議会担保法制部会第41回会議(令和5年11月22日開催)部会資料38 担保法制の見直しに関する要綱案のとりまとめに向けた検討⑼

 ある事業によって発生する債権に集合債権譲渡担保権が設定されていると共にその事業を営むのに必要な財産についても別途担保権が設定されている場合において、その事業を継続して営むことによって得られる利益が見込まれるときには、少なくとも、その利益を勘案した上で、当該事業を営むのに必要な財産の評価を行い、それに基づく別除権協定を締結することは必ずしも再生債務者の義務には反しないように思われる。・・・固定化にかかわらず、継続事業価値による評価を肯定するものと解される。

民法等の一部を改正する法律(家族法制の見直し)の概要

法務省民事局参事官 北村治樹

法務省民事局付 太田健介

法務省民事局付 今村謙介

現行民法

(親権者)

第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。

2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

改正民法

(親権)

第八百十八条 親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。

2 父母の婚姻中はその双方を親権者とする。

3 子が養子であるときは、次に掲げる者を親権者とする。

一 養親(当該子を養子とする縁組が二以上あるときは、直近の縁組により養親となった者に限る。)

二 子の父母であって、前号に掲げる養親の配偶者であるもの

(一般の先取特権)

第三百六条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。

一 共益の費用

二 雇用関係

三 子の監護の費用

四 葬式の費用

五 日用品の供給

・・・合意を証明する情報が必要。

(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)

第七百六十六条の三 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。

一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日

二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日

三 子が成年に達した日

2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。

3 家庭裁判所は、第七百六十六条第二項又は第三項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第一項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

・・・原則として、債務者の収入に関わらず一定額。

「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて」の解説

法務省民事局付 森下宏輝

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

法務省民事局民事第二課補佐官 太田裕介

法務省HP

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00589.html

住所変更登記は、虚無人名義の登記を防止するという制度の趣旨から外れるので、通達の対象外。

 外国の政府等や公証人の作成する書面は、不動産登記令17条1項に該当しない。

不動産登記令(代表者の資格を証する情報を記載した書面の期間制限等)

第十七条第七条第一項第一号ロ又は第二号に掲げる情報を記載した書面であって、市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成したものは、作成後三月以内のものでなければならない。

2前項の規定は、官庁又は公署が登記の嘱託をする場合には、適用しない。

境界紛争調停手続における留意事項

摂南大学法学部特任教授 田中 敦

 公正と公正らしさ。中身の公正と、外面の公正らしさが求められる。調停委員として、名前を言うか言わないかは、当事者をみて考えていきたい。修正写真、望遠写真に気を付ける。専門用語の翻訳。折り合えるように、抽象的にいう。

BOOK REVIEW 金森真吾 著 『供託法・供託規則コンメンタール』

【評者】早稲田大学教授 山野目章夫

供託規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50000010002/#Mp-Ch_4

(供託金利息)第三十三条供託金利息は、一年について〇・〇〇一二パーセントとする。

2供託金利息は、供託金受入れの月及び払渡しの月については付さない。供託金の全額が一万円未満であるとき、又は供託金に一万円未満の端数があるときは、その全額又はその端数金額に対しても同様とする。

狭あい道路の解消に向けた取組み

国土交通省住宅局市街地建築課課長補佐 中世古英昭

 国土交通省 狭あい道路対策に関するガイドラインについて(令和6年3月)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000082.html

更新日:2019年3月18日 那覇市狭あい道路整備事業の改正について「事前協議制度の導入」

https://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/life/kentiku/todokede/kyouai.html

士業法人に関する出資持分の承継問題と運営における注意点

税理士 柿沼慶一

2023年6月14日東京都税理士会調査研究部「税理士法人出資の評価について」

https://www.tokyozeirishikai.or.jp/news/tax_accountant/detail/1885.html

 税理士法人は税理士法に基づき、社員を税理士に限定した特別法人であり、会社法上の合名会社に準ずる。社員を税理士に限定しているので、社員死亡時に出資持分の相続は認められていない。払戻請求権に転化し、配当所得課税、源泉所得税課税。相続人が税理士でも同じ。税理士法48条の21は、会社法608条を準用していない。

 死亡以外の退社、社員の入社時の課税関係。

国税庁 「持分会社の退社時の出資の評価」

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/13/03.htm

 各士業法人の制度比較。

NEWS 戸籍に氏名の振り仮名を記載する取組が始まります!~皆様のお手元に通知が届いたら~

法務省民事局民事第一課

 施行日は2025(令和7)年5月26日。振り仮名通知は、戸籍単位で送付される予定。通知の振り仮名と実際の振り仮名が違う場合、2026(令和8)年5月25日までに市町村に届け出ることが重要。

商業登記規則逐条解説 第24回

土手敏行

(登記申請の方法)

第百二条前条第一項第一号の規定により登記の申請をするには、申請人又はその代表者若しくは代理人(以下この章において「申請人等」という。)は、法務大臣の定めるところに従い、法令の規定により申請書に記載すべき事項に係る情報に第三十三条の四に定める措置を講じたもの(以下「申請書情報」という。)を送信しなければならない。

2申請人等は、法令の規定により登記の申請書に添付すべき書面(法第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。)があるときは、法務大臣の定めるところに従い、当該書面に代わるべき情報にその作成者(認証を要するものについては、作成者及び認証者。第五項において同じ。)が前項に規定する措置を講じたもの(以下「添付書面情報」という。)を送信しなければならない。ただし、添付書面情報の送信に代えて、登記所に当該書面を提出し、又は送付することを妨げない。

3申請人等(委任による代理人を除く。)が登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該申請人等が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一第三十三条の八第二項(他の省令において準用する場合を含む。)に規定する電子証明書

二電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律第三条第一項の規定により作成された署名用電子証明書

三電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第八条に規定する認定認証事業者が作成した電子証明書(電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第四条第一号に規定する電子証明書をいう。)その他の電子証明書であつて、氏名、住所、出生の年月日その他の事項により当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

四官庁が嘱託する場合にあつては、官庁が作成した電子証明書であつて、登記官が当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

4委任による代理人によつて登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該代理人が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一前項各号に掲げる電子証明書

二当該措置を講じた者を確認することができる電子証明書であつて、前号に掲げるものに準ずるものとして法務大臣の定めるもの

5申請人等が添付書面情報を送信するときは、次の各号に掲げる情報の区分に応じ、それぞれ当該情報の作成者が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて当該各号に定めるものを併せて送信しなければならない。

一委任による代理人の権限を証する情報 第三項各号に掲げる電子証明書

二前号に規定する情報以外の情報 前項各号に掲げる電子証明書又は指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令第三条第一項に規定する指定公証人電子証明書

 3項1号は、商業登記電子証明書。3項2号はマイナンバーカードによる電子証明書。3項3号はセコムパスポートfor G-IDなど。3条4項は政府認証基盤発行の官職証明書、地方公共団体組織認証基盤発行の職責証明書。

 令和3年3月1日施行、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)以後は、オンラインによる登記の申請と同時に印鑑届書が提出されることは、原則ではなく例外という位置づけになるから、登記官は印鑑届書の到達を待つことなく登記を処理する。

 4項は登記申請の代理人が利用可能な電子証明書の定め。4項2号の電子証明書には、生年月日の情報がなくてもよい。旧氏が併記されている電子証明書の取扱い。

 5項2号はリモート署名。クラウドサインなど。登記所は、電子署名の有効性と、電子署名の情報に書面に代えて作成した情報の名義人がその作成に関与している情報が記録されていることを確認する。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑹―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 会社設立登記を司法書士が代理申請した事例。 

 判例解説 

1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合における保全の必要性の有無(最三小決令5・10・6)

 保全の必要が認められる場合・・・分筆の登記を申請することができない場合や、それが著しく困難な場合。

登記研究59号P26、昭和27年9月19日民事甲第308号民事局長回答 「登記及び台帳事務の取扱について」・・・一筆の土地の一部分について処分禁止の仮処分命令を得た債権者は、その仮処分命令正本を代位原因を証明する書面として、債務者に代位して分筆の登記を申請することができる。

 昭和27年回答の後、分筆の登記の申請に必要な情報として地積測量図が定められた。不動産登記規則78条など。地積測量図を作成することが可能であれば、土地の全部について処分禁止の仮処分命令は認められない。地積測量図を作成することが難しいときは、そのことを陳述、疎明して申立てをしてみる。

実務の現場から

司法書士業務とエンジェル投資家コミュニティの運営

司法書士法人丸山洋一郎事務所 丸山洋一郎

 沖縄県で1年半動いてみましたが、無理でした。

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