加工令和7年4月21日施行不動産登記規則

○法務省令第一号不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十五条及び不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第二十七条の規定に基づき、不動産登記規則等の一部を改正する省令を次のように定める。

令和七年一月十日

不動産登記規則等の一部を改正する省令(不動産登記規則の一部改正)

法務大臣 鈴木 馨祐

  • 不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)の一部を次のように改正する。

次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分をこれに対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分のように改め、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定を加える。

(申出立件事件簿等)

第二十七条の二 申出立件事件簿には、検索用情報の申出(第百五十八条の三十九第二項に規定する検索用情報同時申出又は第百五十八条の四十第二項に規定する検索用情報単独申出をいう。第三項において同じ。)第二項に規定する検索用情報単独申出をいう。第三項において同じ。)、代替措置等申出(第二百二条の四第一項に規定する代替措置等申出をいう。第三項及び第四項において同じ。)又は代替措置申出の撤回(第二百二条の十五第一項の規定による撤回をいう。第三項及び第四項において同じ。)の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとする。

2[略]

3申出立件関係書類つづり込み帳には、検索用情報の申出に関する書類、代替措置等申出に関する書類及び代替措置申出の撤回に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとする。

4[略]

第二款の五 検索用情報

(検索用情報管理ファイル)

第百五十八条の三十八 法務大臣は、所有権の登記名義人についての次に掲げる事項を記録する検索用情報管理ファイルを備えるものとする。

一氏名

二氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

三住所

四出生の年月日

五電子メールアドレス

六所有権の登記名義人として記録されている登記記録を特定するために必要な事項

2検索用情報管理ファイルは、所有権の登記名義人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとする。

3検索用情報管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とする。

(検索用情報の申出)

第百五十八条の三十九 所有権の保存若しくは移転の登記、合体による登記等(法第四十九条第一項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限る。)又は所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限る。)を申請する場合において、これらの登記の申請人が所有権の登記名義人となる者であって、かつ、国内に住所を有する自然人であるときは、これらの登記の申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての次に掲げる事項(以下この条及び次条において「検索用情報」という。)を申請情報の内容として申し出るものとする。

一氏名

二氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

三住所

四出生の年月日

五電子メールアドレス

2前項の規定による申出(以下この条において「検索用情報同時申出」という。)をする場合には、当該所有権の登記名義人となる者の前項第二号及び第四号に掲げる事項を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。

3電子申請の申請人が検索用情報同時申出をする場合において、その者が第四十三条第一項第一号に掲げる電子証明書(登記官が第一項第二号及び第四号に掲げる事項を確認することができるものに限る。)を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、前項の市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。

4登記官は、第一項の規定により検索用情報に係る情報が提供されたときは、申出立件事件簿に立件の年月日及び立件番号を記録するものとする。

5登記官は、検索用情報同時申出があった場合において、当該検索用情報同時申出に係る申請に基づく登記をしたときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとする。第百五十八条の四十所有権の登記名義人(国内に住所を有する自然人である者に限る。)は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人についての検索用情報を検索用情報管理ファイルに記録するよう申し出ることができる。

2前項の規定による申出(以下この条において「検索用情報単独申出」という。)は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一所有権の登記名義人の検索用情報

二代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名

三申出の目的

四申出に係る不動産の不動産所在事項

3検索用情報単独申出は、申出に係る不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してしなければならない。ただし、異なる登記所の管轄区域にある二以上の不動産について検索用情報単独申出をするときは、当該検索用情報単独申出は、当該不動産のうちいずれかの不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してすることができる。

4 第二項第四号の規定にかかわらず、不動産番号(申出を受ける登記所以外の登記所の管轄区域内にある不動産について申出をする場合にあっては、不動産番号及び当該申出を受ける登記所以外の登記所の表示)を同項各号に掲げる事項に係る情報(以下この条において「検索用情報申出情報」という。)の内容としたときは、同項第四号に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とすることを要しない。

5 検索用情報単独申出においては、第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とするものとする。

一 申出人又は代理人の電話番号その他の連絡先

二 第八項に規定する検索用情報申出添付情報の表示

三 申出の年月日

四 検索用情報申出情報を提供する登記所の表示

6 検索用情報単独申出は、次に掲げる方法のいずれかにより、検索用情報申出情報を登記所に提供してしなければならない。

一 電子情報処理組織を使用する方法

二 検索用情報申出情報を記載した書面(第十四項及び第十六項において「検索用情報申出書」という。)を提出する方法

7 検索用情報申出情報は、所有権の登記名義人ごとに作成して提供しなければならない。

8 検索用情報単独申出をする場合には、次に掲げる情報(第十一項及び第十四項において「検索用情報申出添付情報」という。)をその検索用情報申出情報と併せて登記所に提供しなければならない。

一 申出人となるべき者が申出をしていることを明らかにする市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(当該情報を記載した書面の写しを含む。)

二 代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する情報

三 第二項第一号に掲げる事項(電子メールアドレスを除く。)を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(所有権の登記名義人に係るものであることを登記官が確認することができる当該事項を検索用情報申出情報の内容としたときを除く。)

9 第三十七条の二の規定は、検索用情報単独申出をする場合について準用する。

10第百五十八条の八第一項及び第百五十八条の九の規定は、第六項第一号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする場合について準用する。この場合において、同条第二項中「受付」とあるのは「立件」と、同条第三項各号列記以外の部分中「別記第四号の二」とあるのは「別記第四号の三」と、同項第一号中「受付番号」とあるのは「立件番号」と読み替えるものとする。

11令第十二条第二項及び第十四条の規定は、前項の場合において送信する検索用情報申出添付情報(第八項第三号に掲げる情報に限る。)について準用する。

12第四十二条の規定は前項において準用する令第十二条第二項の電子署名について、第四十三条第二項の規定は前項において準用する令第十四条の法務省令で定める電子証明書について、それぞれ準用する。

13第六項第一号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする申出人が検索用情報申出情報又は委任による代理人の権限を証する情報に第四十二条の電子署名を行い、当該申出人の第四十三条第一項第一号に掲げる電子証明書を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、第八項第一号及び第三号に掲げる情報の提供に代えることができる。ただし、同項第三号に掲げる情報については、登記官が所有権の登記名義人の検索用情報(電子メールアドレスを除く。)を確認することができるものを提供したときに限る。

14第百五十八条の十の規定は第六項第二号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする場合について、第百五十八条の十一の規定は検索用情報単独申出をしようとする者が検索用情報申出書又は検索用情報申出添付情報を記載した書面(以下この項において「検索用情報申出添付書面」という。)を送付する場合について、第五十五条の規定は検索用情報申出添付書面を提出した申出人について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項中「登記完了後、申請書類つづり込み帳」とあるのは、「検索用情報管理ファイルへの記録完了後、申出立件関係書類つづり込み帳」と読み替えるものとする。

15前条第四項の規定は、検索用情報申出情報が提供された場合について準用する。

16登記官は、第六項第二号に掲げる方法により検索用情報申出情報が提供されたときは、前項において準用する前条第四項の規定により申出立件事件簿に記録をする際、検索用情報申出書に立件の年月日及び立件番号を記載しなければならない。

17登記官は、検索用情報単独申出があったときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとする。

(検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等)

第百五十八条の四十一 登記官は、検索用情報管理ファイルに記録された第百五十八条の三十八第一項各号に掲げる事項に変更又は錯誤若しくは遺漏があると認めるときは、職権で、検索用情報管理ファイルに変更後又は更正後の当該事項を記録するものとする。

2検索用情報管理ファイルに第百五十八条の三十八第一項第五号に掲げる事項が記録されている所有権の登記名義人は、法務大臣の定めるところにより検索用情報管理ファイルに記録された当該事項の変更又は削除をすることができる。

(施行期日)

1 この省令は、令和七年四月二十一日から施行する。

(経過措置)

2 この省令による改正後の不動産登記規則(以下「新規則」という。)中検索用情報の申出(新規則第二十七の二第一項に規定する検索用情報の申出をいう。)に関する規定は、不動産登記規則附則第三条第一項の規定による改製を終えていない登記簿(電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿を含む。)に係る申出については、適用しない。

不動産登記規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集結果について

法務省民事局民事第二課

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&id=300080314&Mode=1

カテゴリー      民事

案件番号         300080314

定めようとする命令などの題名 不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和7年法務省令第1号)

根拠法令条項   不動産登記法(平成16年法律第123号)第15条、不動産登記令(平成16年政令第379号)第27条等

行政手続法に基づく手続か      行政手続法に基づく手続

案の公示日      2024年11月2日

受付締切日時   2024年12月2日0時0分

結果の公示日   2025年1月10日

命令等の公布日          2025年1月10日

提出意見数      16

提出意見を踏まえた案の修正の有無    無

項番/意見の概要/御意見に対する考え方

1 検索用情報の申出関係(同時申出・単独申出共通)

1  省令案による改正後の不動産登記規則(以下「新不登規則」という。)第158条の39第1項及び第158条40第1項の申出の具体的な方法やその取扱いについては、できるだけ早く周知すべきである。

 <理由>  検索用情報の提供の制度は、検索用情報の具体的な提供の申出の在り方次第によっては、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による改正後の不動産登記法(以下「新不登法」という。)第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資すると考えられるが、手続についての具体的な方法やその在り方については、十分な周知期間が必要であると考える。現時点において、制度の妥当性の評価を行うためには、それらが明らかになることが必要であり、国民に対して十分な周知期間が必要であると考える。

・・・周知等を行うに当たっての参考とさせていただきます。

1 新不登規則第158条の39第1項第1号(氏名)、第3号(住所)及び第4号(出生の年月日)のみによる検索用情報同時申出及び新不登規則第158条の40第1項第1号(氏名)、第3号(住所)及び第4号(出生の年月日)のみによる検索用情報単独申出も許容すべきである。

 2 検索用情報のうち氏名の振り仮名又は氏名の表音をローマ字で表示したもの(以下「ローマ字氏名」という。)を欠く申出があった場合であっても、その余の検索用情報をもって所有権の登記名義人の特定ができるときは、新不登法第76条の6のただし書所定の申出の前提として行われる登記所からの意思確認については、転送可能な郵便その他の手段で実施する等して、なるべく所有権の登記名義人に不利益を課さない運用を目指すべきである。

 <1の理由>新不登規則第158条の39第1項各号の情報の中には、電子メールアドレスなど必ずしも随時・自動的に更新されない情報が含まれ得る。そのため、所有権の登記の申請時点において当該各号の情報が全て正確に提供されたとしても、登記所が後日行う所有権の登記名義人の検索及び特定においては、一定の限界が存在する。

 同項に基づき所有権の登記名義人が申し出るべき検索用情報としては、同項所定の登記の申請時点における同項第1号、第3号及び第4号の情報をもってすれば、所有権の登記名義人の特定として、一定程度十分であると考えるべきである。このように考えれば、例えば、有効かつ永続的な電子メールアドレスなどを利用できない所有権の登記名義人についても穏当な運用となり得るし、新不登規則第158条の41第2項による抹消の申請が可能であることや、通称名を用いる外国人が所有権の登記名義人となった場合の運用とも整合しやすくなる。

<2の理由>新不登規則第158条の39第1項第2号及び第5号の検索用情報は、いずれも所有権の登記名義人を特定するための補助的な情報であって、不動産登記法所定の登記事項ではない。そのため、所有権の登記の申請時にこれらの検索用情報の提供がされなかったとしても、当該登記の申請の却下事由には該当せず、取下げや補正の対象にはならない。そのように考えると、同項第2号及び第5号の検索用情報については、その申出の情報が十分ではない場合に、新不登法第76条の6に基づく職権登記から外れる可能性が若干上がるにとどまるものであるようにも思われる。このような観点から、所有権の登記名義人に対して大きな負担を課す立法事実は、現状、存在しないと考えられる。また、新不登法第76条の6に基づく職権登記は、所有権の登記名義人が自然人であるときは当該登記名義人の申出によって行われるところ、上記1の第1段落の理由からすれば、いずれにせよ、当該登記名義人に対し、当該申出の時点において、当該登記名義人の特定に足る情報を別途提供させる運用が必要となる上、当該運用を徹底すれば、当該職権登記の過誤も起こり得ない。

・・・職権による住所等変更登記等のための住基ネットを始めとする他の公的機関との円滑な連携に当たり、外字の問題を生じない氏名の振り仮名又はローマ字氏名は必要な情報であると考えます。また、電子メールアドレスについても、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えます。

 以上を踏まえ、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、左記1の御意見については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名又はローマ字氏名が記載されていない場合や電子メールアドレスの申出が困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

 また、左記2の御意見については、令和8年4月1日までに定める職権による住所等変更登記に係る通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

3  新不登規則第158条の38第1項第5号の電子メールアドレスについては、高齢者など電子メールアドレスを持たない者もいること、嘱託登記や代位申請の際に申出できないことがあることから、無くても申出が可能となるよう、通達等で明らかにしていただきたい。

・・・検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。なお、申請人以外の所有権の登記名義人となる者に係る検索用情報は、検索用情報同時申出における申出事項ではないため、所有権の登記名義人となる者が申請人とならない登記の嘱託や代位登記の申請においては、検索用情報を申し出る必要はありません。

4 法定相続人の一人から法定相続分による相続登記を行う場合、申請人以外の登記名義人となる者の電子メールアドレスは分からないが、その場合はどうするのか。

・・・申請人以外の所有権の登記名義人となる者に係る検索用情報は、検索用情報同時申出における申出事項ではないため、御指摘の登記の申請をする際に、申請人以外の所有権の登記名義人となる者の電子メールアドレスを把握する必要はありません。

5  申出制度そのものは賛成であるが、申出事項に電子メールアドレスを含めることについては反対である。高齢者を中心に電子メールアドレスを有しない人が多く、手続に大きな負担がかかることが予想される。また、仮に登記手続のために電子メールアドレスを作成したとしても、その後使用されず事実上放置されるおそれがある。そもそも電子メールアドレスを申し出る必要性もないと考える。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

6 電子メールアドレスを申出事項とすることについて、以下の点につき実務運用上支障が生ずるおそれがあるので、再考されたい。

1 現在、登記申請時に電話番号(固定電話、携帯電話を含む。)を提供していない現状において、所有権の登記名義人となる者が電子メールアドレスを提供することについて抵抗を感じるものと想定される。

2 特に若年層においては、近年、電子メールアドレスを有さず、SNSやそのダイレクトメール(DM)機能を使用する者が多く、所有権の登記名義人となる者が新たに電子メールアドレスを取得しなければならないという負担が生じる。

3 仮に、電子メールアドレスの申出が可能であったとしても、所有権の登記名義人が電子メールアドレスを申し出た後、当該メールアドレスを変更した場合の措置についての定めがない。

4 所有権の登記名義人が申し出た電子メールアドレスについて特定人からのみの受信に限定している場合において、今後、職権による住所変更登記をする際に登記官から送信される通知が不達となることが想定される。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

7  職権による自然人についての住所等変更登記の手続において、登記名義人に意思確認をする方法として、検索用情報管理ファイルに電子メールアドレスを記録すること及び検索用情報として電子メールアドレスを提供させることについて反対する。登記名義人に意思確認する方法は、例えば、住基ネットから取得した氏名・住所の変更情報を基に郵送で行うなど、電子メール以外の方法で行うべきである。

 <理由>

 1 本改正案では、検索用情報として電子メールアドレスを記録することが定められているだけで、その提供が必須なのか任意なのかは不明確であるものの、必ず提供しなければならないとした場合には、自然人による所有権移転登記等の申請の新たな要件の追加となり、記録するための電子メールアドレスを保有していない自然人は登記申請人になることができないこととなる。年齢階層別のインターネット利用率は、70歳以降年齢階層が上がるにつれて利用率が低下する傾向にあるとされており、今後、高齢化社会が進展するなか、高齢の相続人が増えるにもかかわらず、所有者不明土地問題解消のための施策の一つとして、電子メールアドレスの提供を申請要件とすることで相続登記の申請人の負担を増やすことは適当ではない。

2 本改正案では、申請情報の内容として電子メールアドレスを申し出るものとしているのみで、電子メールアドレスを適切に提供するための工夫が見られない。このような工夫がないと、提供された電子メールアドレス宛てに送信した電子メールが登記申請人に適切に届いているか確認することができず、また、登記申請人が誤った電子メールアドレスを申請情報として提供するおそれもあるほか、登記申請人が提供した手書きの電子メールアドレスについて、登記官が綴り等を誤って検索用情報管理ファイルに記録するおそれもある。

3 個人の多くは、自らが電子申請等を利用して申請、請求、問合せ等をした場合を除き、法務省や法務局といった国の機関からの電子メールを受信することは通常ない。しかし、今後、法務省、法務局等が所有権の登記名義人への意思確認のために電子メールを用いることが広く周知された場合、法務省や法務局を装った電子メールを送信するフィッシング詐欺やなりすまし詐欺が横行することが危惧される。

4 登記申請時に電子メールアドレスを提供させることとするのであれば、電子メールアドレスを適切に管理するため、登記名義人が、いつでも簡易に、記録された電子メールアドレスを確認することができて、最新の情報に変更することができるような仕組みを構築するべきである。

5 電子メールアドレスを夫婦や親子などの家族間で共有し、又は家族の一部が管理しているようなケースも想定されるが、検索用情報管理ファイルに当該電子メールアドレスが記録された後、所有権の登記名義人にDV被害等による保護の必要性が生じ、住所を変更した場合において、本改正案では、共有し、又は管理する相手方に意思確認メールの内容が知られてしまうような事態も想定される。

6 仕事上で電子メールアドレスを利用することは日常的にあるものの、SNS等のさらなる普及により、電子メールを日常的な連絡用のツールとして利用することは減少するおそれがある。特に、10代、20代のITサービス利用者は、パソコンでなくスマートフォンを用いてインターネットを利用し、連絡用ツールとしてはSNS等を利用しているケースが多く、この傾向は今後続くと考える。今後、5年、10年の時間の経過に伴い、IT技術の進展、各種ITサービスの多様性の広がりとその普及が見込まれるなか、所有者不明土地問題という解決までに長期間が必要とされる問題に対して、電子メールが将来的に継続的に利用されていくことを前提とする施策を用いることについて疑問を抱かざるを得ない。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、今後の運用や検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

8  新不登規則第158条の39及び第158条の40に基づく検索用情報の申出制度について、抜本的な見直しを求める。

 <理由>  職権による住所等変更登記に係る登記名義人の意思確認の手段として、検索用情報管理ファイルに記録された電子メールアドレスが用いられることとされているが、このように意思確認を実施することに対して、以下のとおり懸念がある。

 ・登記名義人が氏名住所を変更することは検索用情報の申出をしてから数十年が経過していることも考えられ、変更した時点で登記名義人が当該電子メールアドレスを連絡手段として用いているとは限らない。

・当該電子メールアドレスを連絡手段として用いていたとしても、趣旨を理解した上で迷惑メール等と区別してメールを開封し、返信することは市民にとってハードルが高い。

・職権登記を了解する旨の返信があったとしても、登記名義人以外の者によるなりすましである可能性を排除することはできず、正確な本人確認のみならず、正確な意思確認がなされるとは言い難い。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、今後の運用に当たっての参考とさせていただきます。

9 新不登規則第158条の39第2項において、氏名の振り仮名に関する公的証明書を必要としており、この証明書としては住民票又は戸籍謄本が考えられる。戸籍謄本については令和7年5月26日以降に振り仮名が付される予定であり、また、住民票についても同様に令和7年5月26日以降は住民基本台帳法第7条第1号の2により氏名の振り仮名が記載事項として法定されることになっているが、現行法は記載事項とされていないため、現状、市町村によっては住民票に振り仮名が付されていない市町村も存在する。そのような中、4月21日から5月25日までの間、上記のような公的証明書がない場合も考えられるが、その際の対応(申請人からの申述書で対応するのか)をどのように考えているのか。

・・・御指摘については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

10  外国人住民に係る住民基本台帳事務の取扱いについて(総務省自治行政局外国人住民基本台帳室平成24年10月29日事務連絡問5)には、「出生届に付記されているローマ字表記の氏名を記載する。ただし、ローマ字表記の氏名の付記がない場合、出生届に記載されたカタカナ又は漢字による表記の氏名を記載する。」とあることから、日本の国籍を有しない者にあっても、必ずしもローマ字氏名を有するものではない。また、日本の国籍を有しない者にあっても、住民登録の際に、日本の国籍を有する者と同様に氏名及び通称名の振り仮名も登録することが可能である。よって、「日本の国籍を有しない者にあっては」は「振り仮名を有しない者にあっては」に改めるべきである。

・・・所有権の登記名義人となる者が日本の国籍を有しない者である場合の登記の申請においては、当該所有権の登記名義人の識別性を向上させる観点から、そのローマ字氏名を申し出ることとされている(不動産登記規則第158条の31第1項)ことなどを踏まえ、御意見の申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、日本の国籍を有しない所有権の登記名義人となる者の住民票の写しにローマ字氏名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

11  氏名は外字の取扱いが一定ではなく、司法書士がどう申請したかに左右されている。住所はマンション名の有無やスペースの扱いがまちまちで、これまた一定の表記ではない。確実に同一人を検索できるようにするためには、マイナンバー又は住民票コードを検索用情報に含めるべきである。将来的には偽造のおそれがある紙の住民票添付を廃止し、申請時点で申請情報と住基ネットの住所氏名を自動照合するようなシステムが望ましい。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱(令和3年2月10日法制審議会第189回会議決定)に沿ったものとしており、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

12  検索用情報の申出事項のうち、メールアドレスについて限界を感じ、マイナンバーを加えることを希望する。資金移動から登記の受付に至るまでのいわゆる登記空白期間内に正確なメールアドレスを申出する時間的余裕はない。

 メールアドレスを持ち合わせていない国民や事後的にメールアドレスを変更することができることを考えると申出事項としてメールアドレスではなく、マイナンバーを申出事項として、中長期的な視点で登記情報と固定資産の課税情報を一元的に管理できる仕組みを考えるべきだと思うためである。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱に沿ったものとしており、また、電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

13  マイナンバーとの紐付け必須とすべきではないか。脱税やグレーな取引も炙り出せる。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱に沿ったものとしており、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

14  新不登規則では、検索用情報の申出において提供された電子メールアドレスが登記申請人又は申出人の電子メールアドレスであるかどうかの資料の提出を求めていないが、その真正を担保するための方策、具体的には、例えば代理権限証明情報に押印する印鑑を印鑑証明書の印鑑とし、その印鑑証明書を添付する方策などを考えているか。

・・・所有権の登記名義人となる者が登記の申請人である場合に限って当該申請人が検索用情報同時申出をすることとし、所有権の登記名義人に限って検索用情報単独申出をすることができるとすることなどにより、提供された電子メールアドレスの真正を担保することとしています。

15  電子メールアドレスを複数申し出ることは可能か。

・・・御指摘については、検索用情報の申出における申出事項の詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

16  所有権の登記名義人が未成年者等の制限行為能力者である場合に提供すべき電子メールアドレスは法定代理人等のものでよいのか。

・・・検索用情報の申出において申し出る電子メールアドレスは、所有権の登記名義人のものとなります。なお、御指摘については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

17  新不登規則第158条の39第5項の「登記記録を特定するために必要な事項」とは具体的に何を想定しているのか。通達等で明らかにする予定があるのか。

・・・御指摘については、検索用情報管理ファイルへの記録方法の詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

2 検索用情報同時申出関係

18  検索用情報同時申出において、電子メールアドレスの申出がないことは、却下事由となり得るのか。なり得るとすれば不動産登記法第25条の何号に該当するのか。

却下事由となる場合、電子メールアドレスを持っていない自然人は実質上登記を受けることができない事になるが、これは対抗力付与のために必要な登記制度の考えからすると必要以上の制限と思われるが、これは不当ではないか。

・・・検索用情報同時申出において、電子メールアドレスの申出がないことは、不動産登記法第25条に規定する登記の申請の却下事由には該当しません。

19  新不登規則第158条の39第1項により、施行日以降、所有権の移転の登記の申請等を行う者は、同時に検索用情報を申出することが義務となるのか。

・・・本省令の施行日以降、新不登規則第158条の39第1項に規定する登記を申請する場合において、所有権の登記名義人となる者(当該登記の申請人である場合に限る。)が国内に住所を有する自然人であるときは、当該登記の申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての検索用情報を申請情報の内容として申し出ることを要することとなります。

20  所有権の登記名義人の住所・氏名の変更又は更正の登記の申請の際も、同時に申し出るようにすべきである。施行前の所有権の登記は申出済であるか未申出であるか判別できず、もし申出済であっても、最新の電子メールアドレスを確認する必要はあるためである。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については・・・検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

21  新不登規則158条の39第1項において、登記されている所有権の登記名義人が海外に住所を有する自然人の場合において、その者が日本国内に住所を変更した場合においても、検索用情報の申出をすべきものと定めるべきと考えるがいかがか。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については・・・検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

22  所有者不明土地建物の発生予防のためにも、既登記の所有権について検索用情報の申出が積極的に行われることが望ましいと考えるが、新不登規則第158条の39第1項にはない抵当権抹消登記等の登記申請であっても、申請情報内に申出情報と添付情報に住民票の写しを加えることで、申出書を別途提出せずともよいよう、簡便な方法でも可能となるようにできないのか。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

 検索用情報を新不登規則第158条の39第1項に規定する登記以外の登記の申請情報の内容として申し出ることはできず、別途検索用情報単独申出をしていただく必要がありますが、検索用情報単独申出については、新不登規則第158条の40第8項第1号の添付情報については写しでも差し支えないこととし、同項第3号の添付情報については同項ただし書の場合には提供を不要としているほか、手続をWebブラウザ上で行うことを可能とするなど、簡易に行うことができるようにする予定です。

23  代位での登記申請を認めている土地区画整理登記令等の他の法令において、検索用情報の代位申出が可能となるよう改正はできないのか。

・・・登記名義人となる者の電子メールアドレスを把握することは必ずしも容易でないと考えられるため、代位者の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象につき、原案を維持させていただきます。

24  検索用情報同時申出における検索用情報の記載は、オンライン申請の場合にはその他の事項欄に必要な事項を記載するという理解でよろしいか。

・・・オンライン申請における検索用情報の入力方法等については、追って登記・供託オンライン申請システムのホームページ等において示す予定です。

25  検索用情報同時申出において同時に行う登記申請を資格者代理人が行う場合に登記申請の代理権限証明情報に検索用情報同時申出に関する件の特別の授権が必要か、それとも登記申請に関する一切の件の委任があれば特別な授権は不要か。

・・・御指摘については、検索用情報同時申出に係る申請において、代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

3 検索用情報単独申出関係

26  新不登規則第158条の40第3項ただし書につき、基本的に賛成するが、申出人や登記所において混乱が生じないよう、運用を整備すべきである。 <理由>  本条3項ただし書の取扱いは、新不登法第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資する。しかし、異なる登記所の管轄区域にある2以上の不動産について検索用情報単独申出を許容すると、その在り方いかんによっては、申請用総合ソフト等において無用なエラー表示がされたり、登記所から申出人に対しての申出の内容に係る問合せが増加する等、申出に係るトラブルの発生が懸念される。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の40第8項第2号に規定する代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

27  検索用情報の申出手続は新不登法第76条の5及び第76条の6による登記に関するものであるから、登記申請と同時に行われない検索用情報単独申出手続の代理も権利の登記に関する代理であるため権利の登記の申請の例によるという理解でよいか。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の40第8項第2号に規定する代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

4 検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等関係

28  新不登規則第158条の41に係る運用の具体的な在り方を、早期に明確にした上で、できるだけ早く周知すべきである。

<理由>同条に係る検索用情報の変更、更正及び抹消の運用の各制度は、その具体的な在り方次第によっては、新不登法第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資すると考えられるが、その内容・在り方が判然としないため、現時点において、制度の妥当性の評価を行うためには、それらが明らかになることが必要であり、国民に対して十分な周知期間が必要であると考える。

・・・周知等を行うに当たっての参考とさせていただきます。

29  新不登規則第158条の41第2項に基づいて行われる所有権の登記名義人による電子メールアドレスの変更又は削除の具体的な手続については、できるだけ簡便な方法によることを要望する。

<理由>個人の電子メールアドレスは、法人等の組織のものに比べて変更されやすいため、変更又は削除の手続を簡便にして登記名義人の負担の軽減を図ることは、有効なアドレス情報を保つことが期待でき、職権による変更登記の円滑に資すると考える。

・・・運用に当たっての参考とさせていただきます。

30  電子メールアドレスに変更がある場合に新不登規則第158条の41第1項の職権の発動を促すことは、所有権の登記名義人において行うことができるのか。また、所有権の登記名義人の申出による電子メールアドレスの変更は同条第2項に基づき行い、同条第1項の職権による変更に関する申出をすることはできないという理解でよいか。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の41に関する取扱いの詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

5 施行期日関係

31  本省令の施行日は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正戸籍法」という。)の施行日(令和7年5月26日)と同一にすべきである。

<理由>  本省令の施行の時期は、戸籍の振り仮名改正法の施行の時期と同一でない場合には、検索用情報の申出後に改めて検索用情報の変更・更正等が必要になる場合があり、そのことにより所有者たる国民や登記所の負担が増してしまうことが考えられる。

・・・検索用情報の申出をした際の氏名の振り仮名について、その後に変更が生じたとしても、国民に申出等を求めることなく、新不登規則第158条の41第1項に基づく登記官の職権による変更を行うことを想定しています。  また、本省令は、職権による住所等変更登記の運用を速やかに開始するためのものであり、住所変更登記の未了を原因とする所有者不明土地等の解消の観点から、できるだけ速やかに施行することが望ましいと考えます。以上を踏まえ、本省令の施行期日につき、原案を維持させていただきます。

32  本省令を令和7年4月21日から施行することは時期尚早であり、令和8年5月26日以降から施行するべきである。

<理由>  改正戸籍法により、本籍地の市町村長は、改正戸籍法施行日(令和7年5月26日)後遅滞なく、戸籍に記載されている者に対し、氏名の振り仮名に関する情報を通知し、改正戸籍法施行日から1年を経過した日(令和8年5月26日)に通知に記載された振り仮名が戸籍に記載されることとなる。ただし、改正戸籍法施行日から1年以内に限り、戸籍に記載されている者は、氏名の振り仮名の届出をすることが可能である。

 したがって、振り仮名が戸籍に記載される時期については、早ければ令和7年5月26日から、遅くとも令和8年5月26日には戸籍内の各人の氏名に振り仮名が記載されることとなる。

 本省令を令和7年4月21日から施行した場合、施行日時点では、検索用情報の申出の添付情報として、検索用情報申出情報と併せて振り仮名が記載された戸籍全部事項証明書又は戸籍個人事項証明書を提供することはできない。遅くとも令和8年5月26日には戸籍内の各人の氏名に記載される振り仮名が確定することから、本省令は同日以降に施行することが適切であると考える。

・・・職権による住所等変更登記の制度(新不登法第76条の6)は令和8年4月1日に施行されるところ、本省令は遅くとも同日までに施行する必要がある上、本省令は、職権による住所等変更登記の運用を速やかに開始するためのものであり、住所変更登記の未了を原因とする所有者不明土地等の解消の観点から、できるだけ速やかに施行することが望ましいことから、本省令の施行期日につき、原案を維持させていただきます。

 なお、所有権の登記名義人の氏名の振り仮名を証する情報として、一般的には住民票の写しが提供されることを想定しているところ、御意見については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

6 令和8年4月以降の運用関係

33  職権登記をするか否かの意思確認メールを送る対象者は、登記期間である住所変更後2年を経過した登記名義人に限るという理解でよいか。(飽くまでも自発的な申請が優先であることから)

・・・本省令案の概要の別添「職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合)」のとおり、住基ネットに照会した結果、所有権の登記名義人の氏名・住所の変更情報を取得した場合には、当該変更の日から2年経過しているか否かにかかわらず、当該所有権の登記名義人に意思確認メールを送る想定です。

34  職権登記を行ったとしても、登記懈怠による過料は科され、その額は登録免許税を超えるという理解でよいか。(そうでないと期限内に申請した「正直者が馬鹿を見る」結果となってしまう)

・・・本省令案の概要の別添「職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合)」のとおり、職権による住所等変更登記により、住所等変更登記の義務は履行済みとなるため、当該義務に関して過料の対象となることはありません。なお、上記のとおりであることから、検索用情報の申出をした上で、法務局からの意思確認に対して了解する旨の回答をすることが、自然人における住所等変更登記の義務の履行手段として一般的になるものと考えています。

7 その他

35  本改正案に賛同する。

・・・本省令案への賛同意見として承ります。

36  検索用情報の申出の有無や登録されている検索用情報の内容の確認方法等はどのように行うのか。登記記録では判別できないため、本人又は代理人が電話やオンラインで管轄登記所へ照会ができるようにしていただきたい。

・・・御指摘については、運用に当たっての参考とさせていただきます。

37 農業用動産の場合には所有権保存登記や所有権移転登記の手続はない(農業用動産抵当登記令第12条及び別表第10)ため、準用の文言を農業用動産の所有者の登記手続に即して変更した方がよいのではないか。

・・・不動産登記規則の準用規定を定める農業用動産抵当登記規則第40条本文を改正しなくても、今回新設する新不登規則第3章第3節第2款の5の規定は準用されないことになるため、原案を維持させていただきます。

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