平成28年3月29日 最高裁判所第三小法廷 判決
1、差押権者の意思により充当を判断できるか。
できないと考えます。
2、債権者は信託登記のされていない建物を差押えすることは出来なかったのか。
できます。
3、固有財産(建物)と信託財産(土地)とを一括しての賃貸は、分別管理ではなく、運用である。
→そうであると解釈しても、賃料の入金額のうち、最低でも受益者への給付額は差押えが出来ない状態に保つ必要があると考えます。
4、分別管理義務は、信託財産を他の財産と区別して管理する義務であって、同一の契約に基づいて処分するなど、合同して運用することまでは禁止するものではないのか。
→禁止されていないのでしても良いのですが、最低でも受益者への給付額は差押えが出来ない状態に保つ必要があると考えます。
5、1つの債権のうち一部が信託財産に属することは、問題ない。
→1つの債権にすることは、問題ありませんが預金債権で受託者名義だと差押えは行われるので、最低でも受益者への給付額は差押えが出来ない状態に保つ必要があると考えます。そのためには、金庫で保管する、信託口口座を作成することになると考えます。
6、1つの債権のうち、どの部分がそれぞれ信託財産と固有財産に帰属するか明らかになれば、第3者への対抗力を失わない。
→第3者への対抗力は失われないと考えますが、差押えされるかどうかとは別だと考えます。
7、信託財産に属する旨を主張できる状態とは
→受託者の債権者からの差押えの効力が、信託財産に及ばない状態に置くことだと考えます。
8、「委託者氏名 受託者氏名 信託口」ではなく、「受益者氏名 受託者氏名 信託口」ではないのか。
→最初は委託者が財産を出しており、受益者が受け取るのは受託者の信託事務処理の義務上当然のことだからだと考えます。
9、何のための「信託口口座」か。
→受益者のため。受託者の債権者からの差押えが及ばないようにするため。義務の加重との解釈もありますが、予防と考えると費用、時間が抑えられるのではないかと考えます。
10、信託口の預金通帳を作成すると同時に計算の方法による分別管理にもなるか。
→使途ごとに、その都度の入出金で書き込みがあれば「計算の方法による」にも当てはまると考えます。
11、信託口口座を開設しても、受託者の義務違反となる場合。
→受託者の債権者からの差押えと取り立てに異議なく応じた場合。
受託者個人の死亡により、口座が凍結されたが新受託者は金融機関に信託財産であることを意思表示しなかった場合。