『月刊登記情報』2024年1月号(746号)

『月刊登記情報』2024年1月号(746号)、(一社)金融財政事情研究会からです。

 新年随想 

法務省民事局長 竹内 努

 マイナンバーカード情報の提供により、戸籍謄本等の提出を不要とする手続きが始まる。

日本司法書士会連合会会長 小澤吉徳

今後、相続登記の申請件数は200万件を超えるのではないかという予想。

日本土地家屋調査士会連合会会長 岡田潤一郎

 狭あい道路解に向けた活動と発信強化。

特 集

士業者がおさえたい近時の制度改正・重要判例先例

近時の制度改正と士業実務

司法書士法人F& Partners  司法書士 北詰健太郎

 司法書士法1条の使命規定。民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)、法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律73号)について。民法909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)。民法1012条、1014条、1015条(遺言執行者の権限について)。民法1046条(遺留分の権利行使の効果の金銭債権化)。

 民法の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)について。

 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)について。

 民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)について。

 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第53号)について。・・・この法律は施行前に理解する必要があると感じます。

近時の重要判例と士業実務

司法書士 早川将和

財産開示の申立てに対する執行公告(最一小決令4・10・6民集76巻6号1320頁)。財産開示手続の利用件数の増加件数について、初めて知りました。

 マンション建替円滑化法による補償金についての供託(最一小判令4・10・6民集76巻6号1291号)。マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条と、民事執行法156条による混合供託義務を負うこと。

 破産管財人による債務承認の効力(最三小決令5・2・1民集77巻2号183頁)。破産管財人が、別除権者に対して被担保債権が存在する認識を表示した場合の被担保債権の消滅時効中断の効力発生の可否について(破産法44条、民法152条)。

 遺言執行者の権限/複数の包括遺贈の一部が効果を失った場合の権利の帰趨(最二小判令5・5・19金法2218号66頁)。

 民法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)施行以前に開始した相続について。遺言執行者が遺言者の生前に行われた無効な登記に関して、抹消登記請求訴訟の原告となることが出来るか。遺言執行者が包括遺贈に反した登記に対し、抹消登記請求訴訟の原告となることが出来るか。

 包括遺贈の放棄があった場合の遺産は、他の包括受遺者に帰属するのか、相続人に帰属するのか。

 1筆の土地の一部についての仮処分において土地全部の仮処分ができる場合(最三小決令5・10・6LLI/DB判例秘書L07810077)。

 分筆登記申請をすることが出来ない、著しく困難であることを疎明する必要がある。民事保全法23条。

 会社法206条の2第4項の決議を欠く新株発行の効力(東京地判令3・3・18判タ1503号233頁)。

 会社法206条の2第4項但し書の解釈について。

監査法人の脱退時持分の算定方法(東京地判令3・6・24金判1624号34頁)。

 定款で定めることの可否、算定方法など。会社法611条、621条、622条、624条。

 取締役会における持ち回り決議の有効性(東京高判令4・7・21金判1669号24頁)。

 会社法370条の規定は、株式の譲渡による取得を承認する場合にも活用可能か、について。

価格決定における譲渡制限株式の評価(最三小決令5・5・24LLI/DB判例秘書L07810042)

 会社法144条。自らの意思で株式譲渡を行おうとした株主が、その譲渡を会社から承認されなかった場合において、会社は株式の非流動性を理由として株価を値下げして買い取り請求を行うことが出来るか。

株主総会に先立って送付した委任状の取扱い(最一小決令5・10・26LLI/DB判例秘書L07810092)

 会社法758条2項1号イの反対した株主に該当するかの判断。委任状の意思表示の相手方に、受任者と共に会社が含まれるか。

近時の重要先例と士業実務

司法書士 田口真一郎

供託規則第26条3項6号に規定する証明書の様式について(令和4年8月24日民商第406号回答)

 各財産管理人に対して、裁判所書記官が作成する印鑑証明書の様式について。

商業登記規則及び電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則の一部の改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和4年8月25日民商第411号通達)

 商業登記記録における住所、氏名の表示、非表示に関する申出時の申請書記載事項など。商業登記規則31条の2、81条の2。

賃借権の設定の登記において他の不動産と合わせて定められた敷金を登記することの可否について(令和4年12月12日民二大1298号通知)

 複数の不動産賃貸借契約において一括して敷金が定められた場合に、一括して定められた敷金の額を登記申請することが可能。不動産登記法81条。

・・・債権者が申請書の閲覧でも賃貸借契約書の入手が困難な場合、民事執行や民事保全の局面で、予納金に変化があるのか気になりました。

独立行政法人住宅金融支援機構が申請する抵当権の全部移転の登記に添付する委任状について(令和5年2月13日付民二第274号依命通知)

 原因日付より前に作成され、電子署名が付された委任状が有効であることを確認。関連・・・一部移転について、令和4年6月17日民二第639号依命通知。

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う供託事務の取扱いについて(令和5年3月27日民商第67号通達)

 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)に伴う供託事務の取扱いについて。非訟事件手続法87条5項など。

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(民法改正関係)(令和5年3月28日民二第533号通達)

 民法251条に該当する場合の登記申請人、所在等不明共有者の持分取得の裁判(民法262条の2)がされた場合の、登記申請時における登記識別情報の提供の要否など。

 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)(令和5年3月28日民二第538号通達)

 不動産登記法63条3項、69条の2、70条、不動産登記測152条の2、183条4に伴う登記原因、登記の目的など。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑴

法務省民事局民事第二課補佐官  三枝稔宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

 法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官

(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子

 法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

 法務局への相談の方法、相談する人の資格、法務局の相談に対応する権限の範囲などの解説。承認申請書を提出することが出来る人の範囲、添付書面などの解説。

NEWS

起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しの動き

編集部

 一定の要件を満たした場合の、公証人による面前確認の廃止、定款認証手数料の値下げ、将来的な定款認証制度の廃止の検討が始まっていること。

商業登記規則逐条解説 第13回

法務省民事局商事課長 土手敏行

 登記用紙から登記記録へ、登記官の識別番号。商業登記法4条、商業登記規則1条←商業登記規則116条←商業登記規則39条

 嘱託登記について。申請の例外という立ち位置から法律による原則へ。添付情報について、申請との違い。商業登記法14条←商業登記法116条←商業登記法40条。

 変更の登記について。実体上の法律関係が消滅したときに申請する登記を含む。商法10条、会社法909条、915条。商業登記法1条の2、29条←商業登記法41条。

 行政区画等の変更。商業登記法1条の2、4条←商業登記規則116条←商業登記規則42条。

 登記記録の閉鎖について。閉鎖されている登記記録については、閉鎖以降、一切の登記がされていないことを意味する。商業登記法4条、商業登記規則1条←商業登記規則116条←商業登記規則43条。

 登記事項の閉鎖について。商業登記規則114条←商業登記規則44条。保存期間は、閉鎖した日から20年間(商業登記規則34条)。

目で見る筆界の調査・認定事例

第4回 土地区画整理による測量成果が存在する土地について筆界を認定した事例(立会拒否)

京都地方法務局次長 田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 土地区画整理後、分筆がされた土地についての筆界特定。

法律業務が楽になる心理学の基礎

第4回 上手なコーピング―問題焦点型対処と情動焦点型対処

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 うっかりミスの種類と、確認不足の重なりの程度が気になりました。

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑷

司法書士 末光祐一

 犯罪収益移転防止法施行規則11条(実質的支配者の確認方法等)について。会社法308条1項括弧書き、会社法施行規則67条と、資本多数決法人の議決権の考え方について。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント

第57話 中小企業だって組織再編~④株式交付

司法書士法人鈴木事務所

司法書士 鈴木龍介

会社法816条の2~。子会社化するための組織再編。令和5年度の税制改正について。

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