民事信託・家族信託に関する質問―時々作成―

・建築費の負債があっても小規模な「一般社団法人」(=受託者)設立が可能?

 負債(金融機関からの借り入れ)、法人の規模に関わらず、信託の効力発生要件、法人の成立要件を満たしている場合は可能です。

・第一次受益者(委託者本人)第二次受益者(妻70%、長男・次男・三男各10%)の遺言代用信託を設定することも有りか?

 税務上問題がないか、税理士の確認を取ってからになりますが、設定自体は可能です。

・委託者は所有権を失うことになる。固定資産税は?

 固定資産税は、固定資産の所有者である受託者の住所に納付書が届きます。信託財産に課された固定資産税は、信託財産に属するお金から払うことになります。

参考

地方税法(固定資産税の納税義務者等)

第三百四十三条1項

 固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。以下固定資産税について同様とする。)に課する。

・一般社団法人が解散した場合の、保留利益は社員や設立者に帰属しないので相続税の対象外になるとは?

 相続税の関係については、最終的に税理士の判断を仰ぎます。一般社団法人が解散した後の残余財産の帰属先については、非営利型でない限り、解散後に清算法人の社員総会で定めることが出来ます。

参考  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(定款の記載又は記録事項)

第十一条 一般社団法人の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

一 ~七(略)

2 社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない。

第二百三十九条 残余財産の帰属は、定款で定めるところによる。

2 前項の規定により残余財産の帰属が定まらないときは、その帰属は、清算法人の社員総会又は評議員会の決議によって定める。

3 前二項の規定により帰属が定まらない残余財産は、国庫に帰属する。

・推定相続人全員が一般社団法人の理事になると、経費の発生が抑えられる。

 最終的には税理士の判断を仰ぎます。経費の発生は法人の活動次第で、理事の数とはあまり関係がないと思います。

・多額の借金(建築費)を含む複数不動産を信託財産とすることができる?

 1つの信託行為を設定するのか、不動産ごとに信託行為を設定するのかなど色々な方法がありますが、借入先が可能だと判断した場合は、複数不動産を信託財産に属する財産とすることができます。

・返済を計画的に行うための内容は誰が決め何かに記載する必要がある?

 不動産に担保権が設定されている場合、信託契約書の信託財産責任負担債務目録に記載する必要があります。今まで計画的に行ってきた返済を、信託口通帳で行うだけなので、あまり気にする必要はないのかなと思います。計画的に返済が出来ていない場合、金融機関も信託の設定に前向きな判断を行いにくいのではないかと思います。

参考 信託法(信託財産責任負担債務の範囲)

第二十一条 次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。

一 略

二 信託財産に属する財産について信託前の原因によって生じた権利

三 信託前に生じた委託者に対する債権であって、当該債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする旨の信託行為の定めがあるもの

・子の1人が大阪にいるが、一般社団法人の理事は、どのような会議にも参加する?

 理事会を設置する場合、参加することが望ましいです。物理的に集まる必要はないので、可能だと思います。

参考  一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(業務の執行)

第七十六条 理事は、定款に別段の定めがある場合を除き、一般社団法人(理事会設置一般社団法人を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。

(忠実義務)

第八十三条 理事は、法令及び定款並びに社員総会の決議を遵守し、一般社団法人のため忠実にその職務を行わなければならない。

理事会については、第90条から第98条まで。

・理事や社員の意思が合わない際の意思決定権は誰がするか。定款で定めることが出来るか。

 定款でどのような事柄を理事の決定(理事会の決議)、社員総会の決議に分けているのかによると思います。定足数などを別に定めない限り、原則として過半数で決めると考えて良いと思います。

・遺留分に抵触するような信託受益権の設定は、信託財産からの清算が必要になる可能性があるとはどういうことか。当人が遺留分を請求しなければ清算しなくても良い?

 遺留分がある場合は、金銭債務として、信託財産を含む被相続人の財産の中から支払う必要があります。当人が遺留分を1年または10年請求しなかった場合は、遺留分を請求する権利が失われます。

民法(遺留分侵害額請求権の期間の制限)

第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

・信託期間は30年の制限があるとのこと?

 2021年1月1日に信託設定。2051年1月1月を経過。その後に子どもか孫かひ孫かが受益権を取得した場合は、その人が亡くなったら(または受益権が消滅したら)、信託は終了する、という意味です。

・信託財産の帰属者に名義変更がおこなわれた場合には、移転登録免許税、不動産所得税が課税されるとは?

 信託が終了した後の移転の登録免許税については、移転について原則2%、信託の登記の抹消が不動産1個につき1,000円となります。不動産取得税は、沖縄県では原則として3%です。

参考

登録免許税法7条、別表第一1(二)、(十)、(十五)。租税特別措置法第七十二条。

沖縄県「不動産取得税」

https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/somu/zeimu/kazei/5880.html