『月刊登記情報』2023年9月号(742号)一般社団法人金融財政事情研究会より

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成本迅京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学教授「意思決定支援の実践について」

 共生社会の実現を推進するための認知症基本法について、1条(目的)、17条(認知症の人の意思決定の支援及び権利利益の保護)を挙げて活用場面の示唆。

道垣内弘人専修大学法科大学院教授「福祉型信託の課題と展望」

 勘違い(受託者の注意義務が信託法独自の規定、遺留分の制約を受けない、司法書士による受託者就任)などの指摘。信託について、良い点はなくてもかまわないという考え方がありうる、という考え方に新しい視点だと感じます。

 信託の機能ないし特徴(倒産隔離効など)についての解説。

 信託の問題点と司法書士の役割について。受託者に財産が帰属されることによる濫用の可能性が挙げられるが、財産が帰属していなくとも、例えば同居親族によるものや後見制度を利用しても発生するものであり、信託の設計の場面で注意することが必要との指摘。

 家庭裁判所の後見監督に似たようなことを、各司法書士が行う、あるいは、司法書士会がセンターを作って行うことの可能性。私は現時点では難しいと思っています。各司法書士個人については死亡リスクと濫用リスクが挙げられます。成年後見制度において行われている(公社)成年後見センター・リーガルサポートにより行われている後見人の各種チェックについて、チェック業務の負担が大きいと感じています。家庭裁判所、公益認定の眼を気にしながら業務を行っているから機能している部分があると感じます。これを信託で自主的に行うとなると、難しいのではないかと思います。

 司法書士は誰の受任者か、については、本特集で谷口毅日本司法書士会連合会財産管理業務等対策部、春口剛寛司法書士・民事信託士が民事信託支援業務を司法書士が行うことが出来る、司法書士法上の根拠に触れていないように(司法書士行為規範、司法書士法1条に触れていますが、行為規範に根拠はなく、司法書士法1条は条文が挙げられているのみです。)、司法書士にとって重要な箇所だと考えられます。外部専門家だからこそ、指摘出来る事柄だと思います。

 「自らに直接に依頼してきた者の希望。利益を実現すべきだとは限らないわけであり、アレンジメントの専門家として正義を実現することが大切であると考える。」の部分に同意です。この部分を明確に、法改正が現在難しいならガイドラインを作成するなど、司法書士会単位でも、難しいなら個人の司法書士事務所単位であっても作成することが必要だと感じました。

 伊庭潔日弁連信託センターセンター長「日弁連『民事信託業務に関するガイドライン』が目指すもの」について、日本弁護士連合会が作成したガイドラインインに関する解説と、今後の民事信託制度についての提言です。何よりも良いと思うのは、ガイドラインが作成後、1週間も経ずに、インターネット上に公開され、インターネットに繋がる誰もが閲覧できる状態にしたことだと思います。これによって、民事信託を利用する市民が護られる面もあると思いますが、弁護士会員が不意打ちのような懲戒請求をされるリスクを減らす効果もあると考えらえます。

 

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