登記研究926号令和7年4月号

登記研究926号(令和7年4月号)

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

【論説・解説】

■商業・法人登記制度をめぐる動向と展望(2)

名古屋法務局長(前福岡法務局長) 土 手 敏 行

3 商業・法人登記に関する各種申出制度

  •  氏名・住所の表記、登記事項証明書の記載は様々

旧氏併記、DV被害者等住所非表示、代表取締役等住所非表示の各制度と比較。DV被害者等住所非表示は、代表取締役等住所非表示と異なり株式会社以外でも利用可。

  •  司法書士制度を活用─商業登記で初めて「資格者代理人」と明記─

 商業登記規則31条3における本店が実在することを確認したことを証する情報。犯罪による収益の移転防止に関する法律上の法人の実質的支配者を特定したことを証する情報。

 令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務省民事局長通達

 ~第三者から当該株式会社を所有権の登記名義人とする不動産の登記事項証明書等を添付した上で当該株式会社の清算が未了である旨の情報提供が登記官に対してあった場合~

  •  代表取締役等住所非表示までの経緯

 依頼者への説明時には、法務省ホームページの写しを渡すなど。

  •  実質的支配者リスト制度

 外国人の利用が多い印象。

4 起業・投資促進

  •  早期完了の取組

 通常処理ではなく優先処理。

 平成18年1月20日付け法務省民商136号法務省民事局商事課長通知「司法書士が作成代理人として記名押印又は署名している定款が添付された登記申請の取扱いについて」

  •  その他の起業・投資促進の取組

 目的は総務省の産業分類が1つの目安になり、英訳がついている。設立時に日本に口座を持っていない場合。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係)(3・完)

東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介

第3 施行通達の解説(承前)

 ○第4 相続人申告登記の抹消

 例えば、所有権の登記名義人Xの相続人としてAが相続人申告名義人として付記されている場合、当該付記を抹消することなく、Bのみを所有者とする相続による所有権移転登記は可能。

 相続放棄をしたことを証する情報として、相続放棄申述受理証明書を想定。

 ○第5 経過措置

 ○第6 その他

ポイント解説■基礎から考える商業登記実務(第8回)

東京法務局民事行政部第一法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

ポイント:合同会社の業務執行社員の加入及び代表社員の就任による変更の登記について(その2)

4 持分の譲渡による業務執行社員の加入及び代表社員の就任の登記

 持分は社員たる地位。

 登記研究698号平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」P179

 社員が法人である場合

 業務執行社員の持分譲渡にかかる承諾の意思表示・・・法人の代表者

 業務執行社員でない社員の持分譲渡にかかる承諾の意思表示・・・法事の職務執行者(法人の代表者という見解あり。)

 総社員の同意により持分の譲渡によって加入する社員に係る定款の変更をする場合の社員・・・持分の譲受人、譲渡人を除く。定款で業務執行社員を定めている場合の定款変更に同意する社員には、持分の譲受人は含まれる。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第131回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問 神 﨑 満治郎

医療法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205#Mp-Ch_6-Se_7

 第五十六条の七 清算人の職務は、次のとおりとする。

一 現務の結了

二 債権の取立て及び債務の弁済

三 残余財産の引渡し

2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

第五十六条の八 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、判明している債権者を除斥することができない。

3 清算人は、判明している債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4 第一項の公告は、官報に掲載してする。

・清算事務報告書

■逐条解説不動産登記規則(55)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

不動産登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018

(合筆の登記の制限の特例)

第百五条 法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。

一 承役地についてする地役権の登記

二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの

三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの

四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの

 不動産登記法41条6項により委任された規定。共同担保権であっても、受付番号が異なる場合は不可。

■公益認定法令の改正について─公益法人の機関に関連する改正点を中心に─

内閣府公益認定等委員会事務局政策企画調査官、司法書士 永 渕 圭 一

第1 はじめに

第2 外部理事及び外部監事の導入

 理事が法人内部の委員会において委員を務め、助言や審議を行う行為は、当該理事が単独で法人の事業に係る意思決定を行う行為ではないことから、業務を執行したとはみなされない。

 令和6年改正法施行の際に現存する公益法人において、外部理事の選任義務については、当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日から適用。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律

https://www.koeki-info.go.jp/commissions/8juzxi8nhf.html

附則第5条第2項 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十五号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。

第3 理事と監事の間の特別利害関係の排除

第4 会計監査人の設置義務の拡大

 適用除外基準の引き下げ。

第5 定款の変更について

 外部理事・監事の選任規定。会計監査人の設置の定め。

■民事信託の登記の諸問題(43)

渋 谷 陽一郎

信託法182条1項2号(残余財産の帰属権利者)の定めが登記されていない場合。

登記研究224号P48、昭和41年5月16日民事甲第1179号民事局長回答「信託の登記ある不動産についての抵当権設定登記申請の受理について」の適用範囲。

 信託法31条2項(利益相反行為の制限に対する例外)と比較。1号による信託行為の記載。2号による受益者の承認の記載。

 受託者が残余財産を与えることと、信託法8条(受託者の利益享受の禁止)の関係。

 受益権が相続されない場合、その旨を登記する必要性。

検索用情報の申出

法務省 検索用情報の申出について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00678.html

法務省 検索用情報の申出に関するQ&A(令和7年4月7日現在)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00700.html

目 次

1 登記申請と同時にする検索用情報の申出(同時申出)について

2 令和7年4月21日時点で既に所有権の登記名義人である者がする検索用情報の申出(単独申出)について

3 メールアドレスについて

Q&A(令和7年4月7日現在)

1 登記申請と同時にする検索用情報の申出(同時申出)について

(Q1)以前に検索用情報の申出をしましたが、その後に別の不動産の所有権を取得しました。この所有権の移転の登記の申請をする場合でも、同時申出をする必要があるのでしょうか。

(A1) そのとおりです。

(Q2)以前に検索用情報の申出をしましたが、その後、申出をした不動産の他の共有者の持分(所有権)を取得しました。この持分(所有権)の移転の登記の申請をする場合でも、同時申出をする必要があるのでしょうか。

(A2) そのとおりです。

(Q3)同時申出をすべきとされている登記申請において、同時申出をしなかった場合には、登記申請は却下されるのでしょうか。

(A3) 登記申請は却下されませんが、検索用情報の申出は、所有者不明土地等の主要な発生原因である住所等変更登記の未了への対応に必要不可欠の手続ですので、申出をするよう登記所から連絡をさせていただきます。

(Q4)住所変更登記の申請書に検索用情報を併せて記載する方法により申出をすることはできますか。

(A4) 申出をすることはできません。

 住所変更登記をする不動産について検索用情報の申出をしていない場合には、別途手続(単独申出)をしていただく必要があります。この手続は、「かんたん登記申請」のページから、「検索用情報の申出」の手続を選択いただき、画面上の案内に従い、必要事項を入力いただくことなどにより、Webブラウザ上でかんたんに申出ができます。

 なお、申請書に検索用情報を併せて記載することで申出をすることのできる登記は、以下のとおりです。

 ・所有権の保存の登記

 ・所有権の移転の登記

 ・合体による登記等(不動産登記法第49条第1項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限ります。)

 ・所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限ります。)

(Q5)所有権の移転の登記と無関係の不動産を申請書に記載する方法によって、その不動産について申出をすることはできますか。

(A5) できません。

 その不動産につき検索用情報の申出をしていない場合には、別途手続(単独申出)をしていただく必要があります。この手続は、「かんたん登記申請」のページから、「検索用情報の申出」の手続を選択いただき、画面上の案内に従い、必要事項を入力いただくことなどにより、Webブラウザ上でかんたんに申出ができます。

2 令和7年4月21日時点で既に所有権の登記名義人である者がする検索用情報の申出(単独申出)について

(Q1)登記簿上の住所が古いままになっている場合に単独申出をする場合、登記簿上の住所と現在の住所のどちらを申出書に記載すればよいでしょうか。

(A1) 現在の住所(住民票上の住所)を記載してください。

 なお、この場合、令和8年4月1日以降、登記所から登記簿上の住所を現在の住所に変更する登記をしてよいかを確認するメールが送信されますので、変更登記をしてよい旨の回答をしていただければ、順次、登記所において登記簿上の住所を現在の住所に変更します。    

(Q2)戸籍の附票の写し等の提出の要否についての詳細を教えてください。

(A2) 登記簿に記録されている氏名・住所に変更があり、その変更の経緯を住基ネットで確認することができない場合には、変更の経緯を確認することのできる書類(戸籍の附票の写し、戸籍の証明書、本籍の記載のある住民票の写し等)の提出が必要になります。

 この書類の提出の要否は、各住所等によって異なりますが、その変更日が平成22年10月5日以降であれば、原則として、書類の提出は不要となります(平成22年10月5日以降であっても、登記簿に記録されている住所・氏名とのつながりが確認できない場合には、追加で書類の提出をお願いする場合があります。)。

 また、その変更が同一市町村での転居や氏名変更であれば、変更日が平成22年10月5日より前のものであっても、平成14年8月5日(住基ネット稼働日)より後であれば、書類の提出が不要となる場合があります。

 具体例は以下のとおりです。

<ケース(1)>

平成22年9月30日:A市を転出、B市に転入

平成22年10月10日:B市を転出、C市に転入

平成27年10月10日:C市を転出、D市に転入

⇒通常、登記簿上の住所がA市の場合にはA市→B市の住所変更を証する書類の提出が必要であるが、登記簿上の住所がB市、C市、D市の場合には不要

<ケース(2)>

平成15年10月10日:A市X町からA市Y町に転居

平成22年10月10日:A市を転出、B市に転入

平成27年10月10日:B市を転出、C市に転入

⇒通常、登記簿上の住所がA市X町、A市Y町、B市、C市のいずれであっても書類の提出は不要

<ケース(3)>

平成10年10月10日:氏名を甲某から乙某に変更

平成15年10月10日:氏名を乙某から丙某に変更

平成22年10月10日:A市を転出、B市に転入

平成27年10月10日:B市を転出、C市に転入

⇒通常、登記簿上の氏名が「甲某」の場合は甲某→乙某の氏名変更を証する書類の提出が必要であるが、登記簿上の氏名が「乙某」「丙某」の場合には書類の提出は不要

3 メールアドレスについて

(Q1)メールアドレスを持っていない場合は検索用情報の申出をすることはできないのですか。

(A1) メールアドレスを持っていない方については、オンラインで申出をする場合には「その他事項欄」に「登記名義人につきメールアドレスなし」のように入力していただき、書面で申出をする場合にはメールアドレス欄に「なし」と記載いただければ、申出をすることができます(その場合、令和8年4月以降に登記官が職権で住所等変更登記を行うことの可否を確認する際には、登記名義人の住所に書面を送付することを想定しています。)。

(Q2)親族等のメールアドレスを申出書に記載してもよいですか。

(A2) 申し出ることのできるメールアドレスは本人のみが現に利用するものに限られますので、親族等のメールアドレスを申出書に記載することはできません。

 なお、メールアドレスを持っていない場合には、メールアドレスの申出は不要です(この場合の申出書への記載方法はQ1参照)。

(Q3)検索用情報の申出をした際のメールアドレスを利用しなくなったので、職権で変更登記をしてよいか確認される際に送信するメールの宛先を別のメールアドレスに変更してほしいのですが、どうすればよいですか。

(A3) 「かんたん登記申請」のページから、「不動産の登記名義人として検索用情報を提供した方はこちら」を選択いただき、次の事項を入力することで、変更することができます(再度メールアドレスを変更する場合も同様です。)。

(1)変更前のメールアドレス

(2)変更後のメールアドレス

(3)認証キー(※)

※検索用情報の申出手続が完了した際に送付されるメール(件名:【法務局】申出手続完了のお知らせ)に記載された10桁の番号です。

 なお、認証キーを失念した場合には、最寄りの登記所において、次の事項を記載した申出書を提出するとともに、運転免許証、個人番号カード等の登記名義人本人であることを確認できる身分証明書を提示することにより、メールアドレスを変更することができます。

(1)申出人の氏名、住所及び出生の年月日(外国人の方については、ローマ字氏名も記載してください。)

(2)申出の目的(メールアドレスの変更)

(3)変更前及び変更後のメールアドレス

(4)申出人の電話番号その他の連絡先

(5)申出の年月日

(6)登記所の表示

検索用情報の申出に関する質疑事項集令和7年3月12日現在

第1 検索用情報同時申出・単独申出共通

1 登録免許税

問1 検索用情報の申出については、登録免許税が課されないとの理解でよいか。(施行通達第2部第2、第3関係)・・・御理解のとおり。

2 申出をする氏名・住所等

問2 申出をする氏名、住所等については、住民票に記載又は記録されたものを意味するとされ、また、これらは新法第76条の6の事務の処理に当たり、住基ネット情報を検索するためのものであるため検索用情報管理ファイルに正確に記録する必要があるとされていることから、住民票の表記のとおり検索用情報管理ファイルに記録する必要があるとの理解でよいか。(施行通達第2部第1の2、第2の1(2)、第3の2(1)イ関係)・・・御理解のとおり。

問3 住民票に本国漢字氏名と通称名の記載がある者が、通称名を氏名として登記する(登記されている)ケースについては、通称名及び通称名に係る氏名の振り仮名を申し出ることになる(本国漢字氏名や本国漢字氏名に係るローマ字氏名の申出は不要)との理解でよいか。(施行通達第2部第2の1(2)、第3の2(1)イ関係)・・・御理解のとおり。

3 電子メールアドレス

問4 書面により提供された電子メールアドレスに判読困難な文字があった場合、どのように対応すればよいか。(施行通達第2部第2の1(3)、第3の2(1)イ関係)・・・窓口や電話等により申出人に確認することが相当であり、メールアドレスの振り仮名を求めることを要しない。

問5 電子メールアドレスを有しているが事情により親族等の電子メールアドレスを申し出たいといった相談があった場合には、どのように対応すればよいか。(施行通達第2部第2の1(3)、第3の2(1)イ関係)・・・申し出ることのできる電子メールアドレスは本人のみが現に利用するものに限られる旨を説明する必要がある。

もっとも、電子メールをほとんど利用しておらず、職権による住所等変更登記をすることについての了解を得るための電子メールに気付かない可能性があるといった事情がある者については、電子メールアドレスを有しない者と同視できると考えられることから、電子メールアドレスを有しない旨を申請情報(申出情報)の内容とするよう案内して差し支えない。

問6 電子メールアドレスも電子メールアドレスを有しない旨も申請情報(申出情報)の内容とされていない場合、どのように対応すればよいか。(施行通達第2部第2の1(3)、第3の2(1)イ関係)・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から重要な情報であり、規則第158条の39第1項においても「申し出るものとする。」(単独申出にあっては「明らかにしてしなければならない」)と規定されていることを踏まえ、次のような取扱いをすることが相当である。

①申請人(申出①申請人(申出人)又は代理人に対して電子メールアドレスを申し出るよう促す。

②上記①の促しに応じない場合又は電子メールアドレスを有しない旨の回答があった場合は、申請書(申出書)の余白にその旨を記載した上で、登記を実行し、電子メールアドレス以外の検索用情報を検索用情報管理ファイルに記録する。もっとも、申請情報(申出情報)の内容等から電子メールアドレスの提供を拒否する意思が明らかである場合(「メールアドレスを提供したくない」旨が申請情報の内容とされている場合等)や法定代理人によって登記申請(申出)がされた場合には、上記①の促しをすることなく、登記の実行及び検索用情報管理ファイルへの記録をして差し支えない。

問7 複数人(共有者)が検索用情報同時申出をした場合で、それぞれが同じ電子メールアドレスを申し出た場合、施行通達第2部第2の1(3)の「所有権の登記名義人となる者のみが現に利用するもの」でないことが明らかであることから、申請人又は代理人に修正を求めることが相当であると考えるがどうか。(施行通達第2部第2の1(3)関係)・・・御理解のとおり。

4 申出手続完了通知書

問8 申出手続完了通知書は、申出人の便宜のために交付するに過ぎないものであることから、地紋紙を用いず、登記官の押印を要しないものと考えるがどうか。(施行通達第2部第2の6(1)、第3の18関係)・・・御理解のとおり。

第2 検索用情報同時申出

1 申出をすべき場合

問9 過去に検索用情報の申出をした者が、当該申出に係る不動産とは別の不動産の所有権を取得したことに伴い所有権の移転の登記の申請をする場合等においても、改めて検索用情報同時申出をする必要があるとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の1(1)関係)・・・御理解のとおり。

問10 過去に検索用情報の申出をした者が、当該申出に係る不動産と同じ不動産の他の共有者の持分を取得したことに伴い所有権の移転の登記の申請をする場合においても、改めて検索用情報同時申出をする必要があるとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の1(1)関係)・・・御理解のとおり。

問11 検索用情報同時申出をすべきケースであるにもかかわらず、申出がなかった場合(電子メールアドレスを除く検索用情報が申請情報の内容とされていなかった場合)はどうすればよいか。(施行通達第2部第2の1(1)関係)

○促しの際に説明すべき制度趣旨の例

所有者不明土地が社会問題となっているため、令和8年4月1日から、氏名・住所の変更日から2年以内に変更登記をすることが義務付けられるとともに、この義務の負担軽減のため、所有者が変更登記の申請をしなくても、登記官が住基ネット情報を検索し、これに基づいて職権で登記を行う仕組みが開始されます。

ただし、登記官が所有者の住基ネット情報を検索するためには、所有者から氏名・住所のほか、生年月日等の「検索用情報」をあらかじめ申し出ていただく必要があります。

そこで、上記の職権で登記を行う仕組みの開始に先立ち、令和7年4月21日から、所有権の移転等の登記の申請の際には、所有者の検索用情報を併せて申し出る(申請書に記載する)ことが必要になりました。

なお、仮にこの申出をしない所有者の氏名・住所に変更があったときは、御自身において、その変更の登記を申請する必要があります。

検索用情報の申出は、所有者不明土地等の主要な発生原因である住所等変更登記の未了への対応に必要不可欠の手続であり、規則第158条の39第1項においても「申し出るものとする。」と規定されていることを踏まえ、次のような取扱いをすることが相当である。

  • 申請人又は代理人に対して申出をするよう促す。

②上記①の促しに応じない場合には、申請書の余白にその旨を記載した上で、登記を実行する。もっとも、申請情報の内容等から申出を拒否する意思が明らかである場合(「検索用情報の申出はしない」旨が申請情報の内容とされている場合等)には、上記①の促しをすることなく、登記の実行をして差し支えない。

なお、オンライン申請の場合、検索用情報同時申出の対象の登記の申請様式に㋐氏名の振り仮名又はローマ字氏名、㋑出生の年月日並びに㋒電子メールアドレスの入力欄及び「検索用情報の申出の対象外である」のチェック欄を設け、当該欄にチェックを入れない限り、㋐又は㋑を入力せずに申請しようとするとエラーとなる仕様とし、申出漏れを防止することとしている。おって、上記①の促しは、電話のほか、オンライン申請の補正通知機能等により、左記のように制度趣旨等の説明と併せて行うことが望ましい。

問12 検索用情報同時申出と同時にされる登記申請が委任による代理人によってされる場合、当該代理人の権限を証する情報については、委任状において登記申請に係る委任がされていれば足り、申出に係る独立した委任がされている必要はないとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の1(1)関係)・・・御理解のとおり。もっとも、当該委任に基づいて申請情報の内容とする電子メールアドレス等の検索用情報については、申請人から代理人に確実に伝達されていることが前提となる。

2 出生の年月日等を証する情報

問13 出生の年月日の記載がないものは、出生の年月日等を証する情報として認められないとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の3(1)関係)・・・御理解のとおり。なお、戸籍の附票については、令和4年1月11日に出生の年月日が記載事項として追加されたが(令和元年法律第16号による改正後の住民基本台帳法第17条第5号)、これ以前の戸籍の附票が住所証明情報として提供された場合には、別途出生の年月日が記載された住民票の写し等を提供する必要がある。

問14 申請情報の内容とされた検索用情報と出生の年月日等を証する情報の内容に表記ゆれ等がある場合、準則第36条第4項の例により、補正の対象とすることなく、出生の年月日等を証する情報の内容のとおり記録すればよいとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の3(1)関係)・・・御理解のとおり。

問15 出生の年月日等を証する情報に氏名の振り仮名の記載がない場合、特段の疑義がない限り、申請情報の内容である氏名の振り仮名のとおり検索用情報管理ファイルに記録して差し支えないとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の3(1)関係)・・・御理解のとおり。なお、仮に住民票に記載された氏名の振り仮名と申請情報の内容に一部不一致があった場合には、施行通達第2部第4の1(4)のとおり、定期的に行う住基ネットへの照会結果に基づき更正することを想定している。

問16 出生の年月日等を証する情報については、基本的に登記申請の添付情報として提供される住所を証する情報と兼ねられることになることから、添付情報の表示(規則第34条第1項第6号)として「出生の年月日等を証する情報」などと申請書に記載する必要はないと考えるがどうか。(施行通達第2部第2の3(1)関係)・・・御理解のとおり。

問17 検索用情報同時申出と同時にされる登記申請について、住所を証する情報の提供に代えて住民票コードが提供された場合(規則第36条第4項)、出生の年月日等を証する情報として住民票の写し等を提供する必要もないとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の3(1)関係)・・・御理解のとおり。

問18 検索用情報同時申出について、却下の定めがないのはなぜか。(施行通達第2部第2の3(1)関係)・・・申出情報の内容に不備があったとしても、基本的に、登記申請に係る住所証明情報と兼ねることのできる出生の年月日等を証する情報により正しい検索用情報が明らかであることから、申出のみ却下することが想定されず、また、申出に対する応答に行政処分性はないと考えられるためである。なお、登記申請に係る住所証明情報として出生の年月日の記載がないもの(令和4年1月11日以前の戸籍の附票の写し)が提供された場合には、登記申請に補正することができる不備があった場合と同様に補正を求めることが相当である。また、この場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申出人がこれを補正しないときは、申請書の余白にその旨を記載した上で、申出がされなかった場合と同様に登記を実行することとなる。

3 検索用情報同時申出に関するその他の取扱い

問19 検索用情報同時申出における立件は、どのようにして行うのか。(施行通達第2部第2の4(1)関係)・・・登記申請の調査と並行して検索用情報が提供されているかどうか(検索用情報の申出がされているかどうか)を確認の上、登記申請の調査完了と併せて検索用情報同時申出の立件を行うことを想定している。このため、検索用情報同時申出の立件は、登記申請の受付と異なる日に行っても差し支えない。

問20 登記申請が取り下げられた場合には、検索用情報同時申出も取り下げられたものとみなされるとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の5(2)関係)・・・御理解のとおり。

問21 電子メールアドレス等、登記記録に記録されない検索用情報については登記申請に係る登記完了証に記載されないとの理解でよいか。(施行通達第2部第2の6関係)・・・御理解のとおり。

第3 検索用情報単独申出

1 申出ができる場合

問22 検索用情報単独申出をすることができるのは、現在の所有権の登記名義人のみであり、その他の者(仮登記の登記名義人、所有権以外の登記名義人、表題部所有者、担保権の登記における債務者、信託の登記における委託者、受託者等)については対象とならないとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の1関係)・・・御理解のとおり。

問23 他人の依頼を受けて、業として検索用情報単独申出に関する手続を代理することができる者は、弁護士又は司法書士に限られるとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の1関係)・・・御理解のとおり。

問24 国内に住所があるときに検索用情報の申出をした後、国外に転居し、更に国内の別住所に転居をした者は、検索用情報単独申出をする必要はあるか。(施行通達第2部第3の1関係)・・・そのような場合でも、職権による住所等変更登記の対象とすることを想定しているため、検索用情報単独申出をする必要はない。

2 検索用情報申出情報

問25 次のように、所有権の登記がされた日の検索用情報と申出日の検索用情報が異なる場合があり得るが、検索用情報申出情報の内容とすべき検索用情報はいずれか。(施行通達第2部第3の2(1)関係)

  • 所有権の登記日

氏名 法務太郎

氏名振り仮名 ほうむたろう

住所 A市B町

出生の年月日 平成5年5月5日

②検索用情報の申出日

氏名 民事太郎

氏名振り仮名 みんじたろう

住所 X市Y町

出生の年月日 平成5年5月5日

・・・②の検索用情報(申出日の検索用情報)を検索用情報申出情報の内容とする必要がある。

問26 検索用情報単独申出の申出先とすることのできる登記所の具体例を説明してほしい。(施行通達第2部第3の2(2)関係)・・・甲がA登記所の管轄物件a及びB登記所の管轄物件、bの所有権の登記名義人である場合、甲は、A登記所又はB登記所に対し、a及びbについてまとめて申し出ることができる。他方、aのみについてB登記所に申し出ることや、bのみについてA登記所申し出ることはできない。また、乙がC登記所の管轄物件、c及びD登記所の管轄物件dの所有権の登記名義人である場合、乙は、D登記所に対し、D登記所の管轄物件dについての検索用情報同時申出と同時に、cについて検索用情報単独申出をすることはできない。

問27 検索用情報単独申出を受ける登記所の管轄区域内にある不動産について、検索用情報申出情報として不動産番号に続けて管轄登記所名が記録されている場合であっても、補正を求める必要はないと考えるがどうか。(施行通達第2部第3の2(3)関係)・・・御理解のとおり。

3 検索用情報申出情報の作成及び提供

問28 検索用情報同時申出の対象とならない登記の申請と検索用情報単独申出とを1件の申出書(又は申請書)で行うことは認められず、それぞれ別の申請書と申出書の作成及び提出を要するとの理解でよいか。

また、検索用情報同時申出の対象となる登記の申請情報の内容に当該登記申請の対象でない不動産を含めることにより当該不動産について併せて申出をすることも認められず、当該不動産については登記の申請書とは別の申出書を作成して、検索用情報単独申出をする必要があるとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の4関係)・・・いずれも御理解のとおり。

4 検索用情報申出情報

問29 「申出人となるべき者が申出をしていることを明らかにする市町村長その他の公務員が職務上作成した情報」の提供は、身分証明書の写し(身分証明書に記載された情報を記録した電磁的記録を含む。)により行うものされているところ、電子申出においては身分証明書に記載された情報を記録した電磁的記録(身分証明書をスキャンしてPDF化したもの)を送信する方法又は身分証明書のコピーを別送する方法により、書面申出においては身分証明書のコピーを提出する方法により行う必要があるとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の5(2)関係)・・・御理解のとおり。

問30 身分証明書に記載された氏名又は住所が登記簿上の氏名若しくは住所又は検索用情報申出情報の内容である氏名若しくは住所と合致しないものであったとしても、所有権の登記名義人の検索用情報を証する情報として提供される戸籍の附票の写し等や住基ネット情報から、氏名又は住所のつながりが確認できるものであれば認められるとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の5(2)関係)・・・御理解のとおり。

問31 国民健康保険、健康保険、船員保険及び後期高齢者の被保険者証、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の組合員証並びに私立学校教職員共済制度の加入者証についても、令和6年12月2日付け法務省民二第1676号民事局長通達を踏まえると、番号法等の改正前の規定により効力を有する間(当該期間の末日が施行日から起算して1年を経過する日の翌日以後であるときは、施行日から起算して1年間とする。)は、「申出人となるべき者が申出をしていることを明らかにする市町村長その他の公務員が職務上作成した情報」として認められるとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の5(2)関係)・・・御理解のとおり。

問32 具体的にどのようなケースで検索用情報を証する情報として戸籍の附票の写し等の提供が必要になるのか。(施行通達第2部第3の5(6)、(7)関係)

○戸籍の附票の写し等の要否に係る具体例

<ケース①>

平成22年9月30日:A市を転出、B市に転入

平成22年10月10日:B市を転出、C市に転入

平成27年10月10日:C市を転出、D市に転入

⇒ 通常、登記簿上の住所がA市の場合にはA市→B市の住所変更を証する書類の提出が必要であるが、登記簿上の住所がB市、C市、D市の場合には不要

<ケース②>

平成15年10月10日:A市X町からA市Y町に転居

平成22年10月10日:A市を転出、B市に転入

平成27年10月10日:B市を転出、C市に転入

⇒ 通常、登記簿上の住所がA市X町、A市Y町、B市、C市のいずれであっても書類の提出は不要

<ケース③>

平成10年10月10日:氏名を甲某から乙某に変更

平成15年10月10日:氏名を乙某から丙某に変更

平成22年10月10日:A市を転出、B市に転入

平成27年10月10日:B市を転出、C市に転入

⇒ 通常、登記簿上の氏名が「甲某」の場合は甲某→乙某の氏名変更を証する書類の提出が必要であるが、登記簿上の氏名が「乙某」「丙某」の場合には書類の提出は不要。・・・検索用情報申出情報の内容である所有権の登記名義人の氏名又は住所が登記簿上の氏名又は住所と合致しない場合であって、住基ネットによってそのつながりを確認することができない場合には、そのつながりを確認することのできる書類(戸籍の附票の写し、戸除籍謄抄本、本籍の記載のある住民票の写し等)の提出が必要になる。

住基ネット情報の保存期間は、平成27年10月5日から消除後「5年」から「150年」に延長されたことから、変更の日が平成22年10月5日以降であれば、通常、当該書類の提出は不要であるが、住所地の市町村の住基ネット接続日等によって異なり得る。また、保存期間の起算点は消除日であることから、その変更が消除を伴わないもの(同一市町村での転居、氏名変更)であれば、平成22年10月5日より前のものであっても、その変更が平成14年8月5日(住基ネット稼働日)より後であれば、当該書類の提出が不要となる場合がある。具体例については左記のとおりであるが、上記のとおり例外もあり得る。

問33 住基ネットで確認できない住所の変更が、地番の変更を伴わない行政区画の変更によるものである場合、登記申請と同様、当該変更を証する情報の提供は不要との理解でよいか。(施行通達第2部第3の5(6)、(7)関係)・・・御理解のとおり。

問34 住基ネットで確認できない住所の変更を証する戸籍の附票等が廃棄されている場合には、住所変更登記の申請と同様に、提供された検索用情報により特定される者(申出人)が所有権の登記名義人と同一人であることを確認することができる他の書面(登記済証等)によることも認められ得ると考えるがどうか。(施行通達第2部第3の5(6)、(7)関係)・・・御理解のとおり。

5 電子申出

問35 検索用情報単独申出において、電子申出は電子署名及び電子証明書の提供が、書面申出は押印が不要とされているが、司法書士が代理人として申出をする場合には、司法書士法施行規則第28条第1項又は第2項に基づき、電子申出においては司法書士の電子署名及び電子証明書が、書面申出においては職印の押印が必要となるとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の6(2)、9(1)関係)・・・御理解のとおり。

6 書面申出

問36 検索用情報申出書又は検索用情報申出添付書面が普通郵便で送付されたり、これらを入れた封筒の表面に検索用情報申出書又は検索用情報申出添付書面が在中する旨の明記がなかったりしても、登記の申請の場合と同様、そのことをもって却下したり補正を求めたりする必要はないとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の10関係)・・・御理解のとおり。

7 立件等

問37 提出された申出書類に不備がある場合でも、準則第31条第3項の例により、施行通達第2部第3の13(1)の手続を省略して申出人又はその代理人にこれを返戻する取扱いはしないとの理解でよいか。また、申出を却下するものとされている場合であっても、準則第31条第4項の例により、登記官が相当と認めるときは、事前にその旨を申出人又は代理人に告げ、その申出の取下げの機会を設けることができるとの理解でよいか。(施行通達第2部第3の13関係)・・・いずれも御理解のとおり。

8 検索用情報単独申出の取下げ

問38 書面申出については、申出書への押印は不要とされているため、取下げに当たっては、運転免許証等の本人確認書面の提示を求めるなどして、取下書を提出した者が申出人本人であることを確認する必要があると考えるがどうか。また、取下書の提出は、郵送の方法によることもできるものと考えるが、この場合には本人確認書面の写しの添付を求めるのが相当と考えるがどうか。(施行通達第2部第3の16関係)・・・いずれも御理解のとおり。

第4 検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等

1 申出に基づく電子メールアドレスの変更・削除・新規登録

問39 施行通達第2部第4の1(1)イの「公務員が作成した証明書であって、当該所有権の登記名義人と申出人が同一の者であることを確認することができるもの」には、どのようなものが該当するのか。(施行通達第2部第4の1(1)イ、(2)イ関係)・・・附属書類の請求に際して附属書類が自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類である旨を証する書面(令和5年法務省民二第537号民事局長通達3(1)参照)と同様、次のものが該当する。

①運転免許証、個人番号カード、旅券等(当該申出人の氏名及び出生の年月日の記載があるものに限る。)、在留カード、特別永住者証明書又は運転経歴証明書のうちいずれか一つ以上。

②国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合若しくは私立学校教職員共済制度の資格確認書(書面によって作成されたものに限る。)、介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、基礎年金番号通知書、児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳又は戦傷病者手帳であって、当該申出人の氏名、住所及び出生の年月日の記載があるもののうちいずれか二以上。

③前記②に掲げる書類のうちいずれか一以上及び官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに準ずるものであって、当該申出人の氏名、住所及び出生の年月日の記載があるもののうちいずれか一以上。

おって、前記①から③までの書類に記載された氏名又は住所が検索用情報管理ファイルに記録されている氏名若しくは住所又は申出書に記載された氏名若しくは住所と合致しない場合には、氏名又は住所のつながりを確認できる戸籍の附票の写し等の提出が必要となる。

問40 電子メールアドレスの変更、削除又は新規登録の申出において、申出書への押印は基本的に不要との理解でよいか。また、申出書に実印を押印し、その印鑑証明書を添付することにより、郵送により申出をすることもできるとの理解でよいか。(施行通達第2部第4の1(1)イ、(2)イ関係)・・・いずれも御理解のとおり。

問41 電子メールアドレスの変更、削除又は新規登録の申出について、代理人による申出は認められるのか。(施行通達第2部第4の1(1)、(2)関係)・・・手続の性質上、基本的には所有権の登記名義人本人によることを想定している。

もっとも、代理人の氏名等をも申出書に記載した上で、代理権限を証する書面(申出人の押印及び印鑑証明書付き)を添付して代理人から申出があった場合には、申出書の内容に応じて検索用情報管理ファイルに記録されているメールアドレスの変更、削除又は新規登録をして差し支えない。

問42 施行通達第2部第4の1(1)カの電子メールが届かない旨の申出については、電話等の適宜の方法によりすることができるとの理解でよいか。また、この場合には、申出事件の特定及び本人確認のために必要な情報(申出年月日、提供した検索用情報の内容等)及び正しい電子メールアドレスを聞き取った上で、検索用情報管理ファイルに正しい電子メールアドレスを記録することが相当であると考えるがどうか。(施行通達第2部第4の1(1)カ関係)・・・いずれも御理解のとおり。なお、この場合には、登記の申請情報に軽微な誤りがあった場合と同様、同時申出における申請書及び保存用同時申出書又は単独申出における申出書に正しいメールアドレスを記載することが相当である。

問43 当初の電子メールの送信後二月を経過してから電子メールが届かない旨の連絡があった場合には、申出書による電子メールアドレスの変更の申出をするよう案内する必要があるとの理解でよいか。(施行通達第2部第4の1(1)カ関係)・・・御理解のとおり。

2 所有権の登記名義人として記録されている登記記録を特定するために必要な事項に変更があった場合

問44 既に検索用情報管理ファイルに記録されている者が新たに別の不動産の所有権を取得した場合、当該不動産についての検索用情報管理ファイルへの記録は検索用情報同時申出に基づいて行うこととなり、施行通達第2部第4の1(3)は適用されないとの理解でよいか。(施行通達第2部第4の1(3)関係)・・・御理解のとおり。

問45 検索用情報管理ファイルに記録されていない者が所有権の登記の抹消により再び所有権の登記名義人となる登記の申請は検索用情報同時申出の対象ではないため、この場合に登記の抹消により再び所有権の登記名義人となった者は、当該登記の完了後に検索用情報単独申出をしない限り検索用情報管理ファイルに記録されないとの理解でよいか。(施行通達第2部第4の1(3)イ関係)・・・御理解のとおり。

第5 その他

問46 検索用情報の申出制度の施行に伴い、登記簿の附属書類の閲覧事務にどのような影響があるか。・・・

1.検索用情報同時申出について

本申出は、登記の申請情報に検索用情報を含めて行うことになるため、当該登記の申請書の閲覧請求に影響が生ずることになる。

(1)申請人以外の者がする附属書類の閲覧請求(法第121条第3項)について本請求は「正当な理由があると認められる部分」に限って閲覧が認められるものであるが、申請情報の内容である検索用情報のうち、出生の年月日及び電子メールアドレスについては、一般に「正当な理由がある」とは認められないため、申請書の他の部分の閲覧について正当な理由があると認められる者に当該申請書を閲覧させるときは、出生の年月日及び電子メールアドレスを閲覧できないようにする措置(マスキング用テープの貼付等)を講ずることが相当である。

(2) 自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類の閲覧請求(法第121条第4項)本請求には「正当な理由」の要件はないことから、閲覧に際して前記(1)のような措置を講ずる必要はない。

2.検索用情報単独申出について

本申出は、登記の申請から独立した申出であり、検索用情報申出書及び検索用情報申出添付書面は登記簿の附属書類に該当しないため、法に基づく閲覧請求を行うことはできない。

不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和7年3月3日付け法務省民二第373号通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00678.html

法務省民二第373号

令和7年3月3日

法務局長殿

地方法務局長殿

法務省民事局長

( 公印省略)

不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)

不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和7年法務省令第1号。以下「改正省令」という。)による改正後の不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「規則」という。)の規定に基づく不動産登記事務の取扱い(令和7年4月21日施行)については、下記の点に留意するよう、貴管下登記官に周知方お取り計らい願います。

なお、本通達中、「法」とあるのは不動産登記法(平成16年法律第123号)を、「令」とあるのは不動産登記令(平成16年政令第379号)を、「準則」とあるのは不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号当職通達)をいいます。

第1部 改正省令の趣旨

民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号。以下「改正法」とう。)による改正後の法(令和8年4月1日に施行されるもの。以下「新法」という。)において、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所(以下「住所等」という。)について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、住所等についての変更の登記(以下「住所等変更登記」という。)を申請しなければならず、当該申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処するとされた(新法第76条の5、第164条第2項)。また、新法第76条の5の規定は、その施行日(令和8年4月1日)前に所有権の登記名義人の住所等について変更があった場合についても適用することとされ、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日又は当該施行日のいずれか遅い日から2年以内に、住所等変更登記を申請しなければならないとされた(改正法附則第5条第7項)。

加えて、これらの申請義務を履行するための簡便な方策として、登記官は、所有権の登記名義人の住所等について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、住所等変更登記をすることができるが、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限るとの仕組みが新設された(新法第76条の6)。

この仕組みは、所有権の登記名義人が自然人である場合において、登記官は、あらかじめ所有権の登記名義人から住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第30条の7第4項に規定する機構保存本人確認情報(以下「住基ネット情報」という。)を検索するための情報の申出を受けた上で、定期的に、当該情報を用いて同法第30条の9の規定による住基ネット情報の提供を求め、その結果、所有権の登記名義人の氏名又は住所について変更があったと認めたときは、所有権の登記名義人の了解を得た上で、職権により変更登記をするものである。

改正省令は、新法第76条の6の規定の施行に先立ち、令和7年4月21日から職権による住所等変更登記の前提として必要な申出を可能とすること等により、同条の趣旨の早期実現を図るものである。

第2部 改正省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱い

第1 検索用情報管理ファイル

1 法務大臣は、所有権の登記名義人(自然人である者に限る。以下同じ。)についての次に掲げる事項を記録する検索用情報管理ファイルを備えるものとされた(規則第158条の38第1項)。

(1) 氏名

(2) 氏名の振り仮名(外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの(以下「ローマ字氏名」という。))

(3) 住所

(4) 出生の年月日

(5) 電子メールアドレス

(6) 所有権の登記名義人として記録されている登記記録を特定するために必要な事項

また、検索用情報管理ファイルは、所有権の登記名義人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとされ、検索用情報管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とされた(規則第158条の38第2項、第3項)。

2 前記1(1)から(4)までに掲げる事項は、登記官が、新法第76条の6の事務の処理に当たり、所有権の登記名義人の住基ネット情報を検索するためのものである。

前記1(5)に掲げる事項は、登記官が、当該住基ネット情報により、所有権の登記名義人の氏名又は住所について変更があったと認めた場合に、所有権の登記名義人に対し、職権により住所等変更登記をすることの了解を得るための連絡を行う際に使用するためのものである。

前記1(6)に掲げる事項は、登記官が、所有権の登記名義人の氏名又は住所についての変更の有無を確認するに当たり、当該所有権の登記名義人の登記簿上の氏名又は住所を確認する際や、その確認結果に基づき、職権による住所等変更登記をする際に使用するためのものである。

当該事項には、所有権の登記名義人として記録されている登記記録に係る不動産の不動産所在事項等が該当する。

したがって、これらの事項は検索用情報管理ファイルに正確に記録する必要がある。

3 検索用情報管理ファイルに各所有権の登記名義人についての前記1(1)から(6)までに掲げる事項が新たに記録されるのは、次の場合である。

(1) 登記の申請人が後記第2の申出(検索用情報同時申出)をした場合(規則第158条の39)

(2) 所有権の登記名義人が後記第3の申出(検索用情報単独申出)をした場合(規則第158条の40)

第2 検索用情報同時申出

1 申出をすべき場合

(1) 所有権の保存若しくは移転の登記、合体による登記等(法第49条第1項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限る。)又は所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限る。)を申請する場合において、所有権の登記名義人となる者(これらの登記の申請人である場合に限る。)が国内に住所を有するときは、これらの登記の申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての次に掲げる事項(以下「検索用情報」という。)を申請情報の内容として申し出るものとされた(規則第158条の39第1項)。

ア 氏名

イ 氏名の振り仮名(外国人にあっては、ローマ字氏名)

ウ 住所

エ 出生の年月日

オ 電子メールアドレス

(2) 前記(1)アからエまでに掲げる事項は、いずれも住民票に記載又は記録されたものを意味する。

もっとも、外国人については、住民票に前記(1)アの事項(片仮名で表記された氏名)の記載又は記録がない場合があり得るが、当該事項は登記事項でもあることから、この場合でも申し出る必要がある。

なお、外国人であって、ローマ字氏名が住民票に記載又は記録されていない者については、日本の国籍を有する者とみなして前記(1)イを適用するものとする。

(3) 前記(1)オに掲げる事項は、所有権の登記名義人となる者のみが現に利用するものを意味する。

なお、所有権の登記名義人となる者がこれを有しない場合において、「電子メールアドレスなし」の振り合いによりその旨を申請情報の内容としたときは、当該事項の申出をしないこととして差し支えない。

おって、複数の電子メールアドレスを申し出ることは認められない。

(4) 申請人でない者が所有権の登記名義人となる前記(1)の登記の申請(代位による前記(1)の登記の申請等)については、申請人でない所有権の登記名義人となる者についての検索用情報を申請情報の内容として前記(1)による申出(以下「検索用情報同時申出」という。)をすることはできない。

なお、申請人でない所有権の登記名義人となる者は、当該登記の完了後、後記第3の申出(検索用情報単独申出)をすることができる。

2 検索用情報を申請情報の内容とする方法

前記1(1)により検索用情報を申請情報の内容とする場合には、令第3条第1号に掲げる事項(申請人の氏名及び住所)に続けて当該申請人である所有権の登記名義人となる者の他の検索用情報を記録するものとする。

ただし、外国人のローマ字氏名については、申請人の氏名に括弧を付して記録するものとし、これを規則第158条の31第1項の規定による申出(登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出)としても取り扱うものとする。

3 出生の年月日等を証する情報

検索用情報同時申出をする場合には、当該所有権の登記名義人となる者の前記1(1)イ及びエに掲げる事項を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報( 以下「出生の年月日等を証する情報」という。)をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならないとされた(規則第158条の39第2項)。

(1) 出生の年月日等を証する情報の内容

出生の年月日等を証する情報は、基本的に、検索用情報同時申出に係る登記申請の添付情報として提供される所有権の登記名義人となる者の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(令別表13の項添付情報欄リ、同28の項添付情報欄ニ、同29の項添付情報欄ハ、同30の項添付情報欄ハ)と兼ねることができ、これに氏名の振り仮名の記載又は記録がない場合でも、便宜、これを出生の年月日等を証する情報に該当するものとして取り扱って差し支えない。

(2) 提供方法

出生の年月日等を証する情報の提供方法は、検索用情報同時申出に係る登記申請の添付情報の提供方法の例によるものとする。

なお、令附則第5条第1項の例により出生の年月日等を証する情報を記載した書面を提出する場合には、当該書面に記載された情報を記録した電磁的記録を提供することを要しない。

(3) 提供の省略

電子申請の申請人が検索用情報同時申出をする場合において、その者が規則第43条第1項第1号に掲げる電子証明書(登記官が前記1(1)イ及びエに掲げる事項を確認することができるものに限る。)を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、出生の年月日等を証する情報の提供に代えることができるとされた(規則第158条の39第3項)。

なお、提供された規則第43条第1項第1号に掲げる電子証明書に氏名の振り仮名の記録がない場合の取扱いは、前記(1)と同様とする。

(4) 出生の年月日等を証する情報を記載した書面の原本の還付

出生の年月日等を証する情報を記載した書面の原本の還付については、規則第55条の例によるものとする。

4 立件等

(1) 登記官は、前記1(1)により検索用情報に係る情報が提供されたときは、申出立件事件簿に立件の年月日及び立件番号を記録するものとされた(規則第158条の39第4項)。

なお、立件番号は、代替措置等申出(規則第202条の4第1項)に係る立件番号と共通の発番体系により1年ごとに更新される番号を付すものとする。

(2) 登記官は、前記(1)の記録後、検索用情報同時申出に係る登記申請の調査、記入、校合等と並行して、検索用情報同時申出の調査、仮登録、本登録等をするものとし、それぞれの対応する事務の取扱者が異なる場合には、適宜の方法によりその旨を明らかにするものとする。

(3) 登記官は、前記(1)の記録後、後記5(1)の検索用情報管理ファイルへの記録を行うまでの間に、別記第1号様式により、立件の年月日、立件番号、検索用情報同時申出に係る申請の受付の年月日及び受付番号、不動産の不動産所在事項、検索用情報等を記載した書面(以下「保存用同時申出書」)を作成し、検索用情報管理ファイルへの記録完了まで登記の申請書等と共に管理するものとする。

なお、保存用同時申出書は、検索用情報管理ファイルへの記録後、後記第5の2のとおり申出立件関係書類つづり込み帳につづり込むものとする。また、保存用同時申出書の写しを登記の申請書等とともに申請書類つづり込み帳につづり込むなどの方法により、登記の申請と検索用情報同時申出の関連を明らかにするものとする。

5 検索用情報管理ファイルへの記録

(1) 登記官は、検索用情報同時申出があった場合において、当該検索用情報同時申出に係る申請に基づく登記をしたときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとされた(規則第158条の39第5項)。

(2) 前記(1)の登記の申請を却下したときは、当該検索用情報同時申出も併せて却下されたことになる。この場合において、当該登記の申請を却下する決定書に当該検索用情報同時申出を却下する旨を記載する必要はなく、当該検索用情報同時申出の却下に係る決定書を別に作成することも要しない。

6 申出手続が完了した旨の連絡

(1) 登記官は、検索用情報管理ファイルへの記録を完了したときは、当該記録に係る所有権の登記名義人の電子メールアドレスに宛てて、次に掲げる事項を記録した電子メールを送信するものとする。

ア 申出手続が完了した旨

イ 立件の年月日及び立件番号

ウ 不動産番号

エ 後記第4の2の法務大臣の定めに規定する認証キー

オ 申出を受けた登記所の表示

ただし、電子メールアドレスの申出がなかった所有権の登記名義人については、別記第2号様式により前記アからウまで及びオに掲げる事項を記載した書面(以下「申出手続完了通知書」という。)を交付するものとする。

この申出手続完了通知書の交付は、検索用情報同時申出に係る登記申請に係る登記完了証の交付又は登記識別情報の通知を所有権の登記名義人又は申請代理人に対して書面で行う場合には、これらと併せて行うものとし、いずれも電子情報処理組織を使用して行う場合には、所有権の登記名義人から送付の方法による交付の求めがあったときを除き、登記所において申出手続完了通知書を交付するものとする。

なお、申出手続完了通知書の送付の方法による交付に関する取扱いについては、規則第182条第2項及び同条第3項において準用する規則第55条第7項から第9項までの例によるものとする。

(2) 登記官は、前記(1)ただし書にかかわらず、当該所有権の登記名義人が、検索用情報管理ファイルへの記録完了の時から三月を経過しても、申出手続完了通知書を受領しないときは、当該所有権の登記名義人に対し、申出手続完了通知書を交付することを要しないものとする。

なお、この場合には、当該申出手続完了通知書は適宜廃棄して差し支えない。送付の方法により申出手続完了通知書を交付する場合において、当該申出手続完了通知書が返戻されたときも、同様とする。

第3 検索用情報単独申出

1 申出ができる場合

国内に住所を有する所有権の登記名義人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人についての検索用情報を検索用情報管理ファイルに記録するよう申し出ることができるとされた(規則第158条の40第1項)。

2 検索用情報申出情報

(1) 検索用情報単独申出において明らかにすべき事項

ア 前記1による申出(以下「検索用情報単独申出」という。)は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならないとされた(規則第158条の40第2項)。

(ア) 所有権の登記名義人の検索用情報

(イ) 代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名

(ウ) 申出の目的

(エ) 申出に係る不動産の不動産所在事項

イ 前記第2の1(2)又は(3)の取扱いは、前記ア(ア)についても同様である。

ウ 前記ア(ウ)の申出の目的については、「検索用情報の申出(順位番号後記のとおり)」の振り合いにより明らかにした上で、前記ア(エ)の「不動産の不動産所在事項」に続けて所有権の登記名義人として記録されている各登記記録の順位番号を明らかにするものとする。

(2) 検索用情報単独申出の申出先登記所

検索用情報単独申出は、申出に係る不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してしなければならないとされた。ただし、異なる登記所の管轄区域にある二以上の不動産について検索用情報単独申出をするときは、当該検索用情報単独申出は、当該不動産のうちいずれかの不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してすることができるとされた(規則第158条の40第3項)。

(3) 不動産番号の取扱い

前記(1)ア(エ)にかかわらず、不動産番号(申出を受ける登記所以外の登記所の管轄区域内にある不動産について申出をする場合にあっては、不動産番号及び当該申出を受ける登記所以外の登記所の表示)を検索用情報申出情報(前記(1)アに掲げる事項に係る情報をいう。以下同じ。)の内容としたときは、前記(1)ア(エ)に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とすることを要しないとされた(規則第158条の40第4項)。

この申出を受ける登記所以外の登記所の管轄区域内にある不動産について申出をする場合には、「○○法務局管轄」の振り合いにより、検索用情報申出情報の内容である不動産番号に続けて記録するものとする。

(4) 検索用情報申出情報の内容とする事項

検索用情報単独申出においては、前記(1)ア(ア)から(エ)までに掲げる事項のほか、次に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とするものとされた(規則第158条の40第5項)。

ア 申出人又は代理人の電話番号その他の連絡先

イ 検索用情報申出添付情報(後記5(1)に掲げる情報をいう。以下同じ。)の表示

ウ 申出の年月日

エ 検索用情報申出情報を提供する登記所の表示

3 検索用情報単独申出の方法

検索用情報単独申出は、次に掲げる方法のいずれかにより、検索用情報申出情報を登記所に提供してしなければならないとされた(規則第158条の40第6項)。

(1) 電子情報処理組織を使用する方法(以下この方法による申出を「電子申出」という。)

(2) 検索用情報申出書(検索用情報申出情報を記載した書面をいう。以下同じ。)を提出する方法(以下この方法による申出を「書面申出」という。)

4 検索用情報申出情報の作成及び提供

検索用情報申出情報は、所有権の登記名義人ごとに作成して提供しなければならないとされた(規則第158条の40第7項)。

5 検索用情報申出添付情報

(1) 検索用情報単独申出をする場合には、次に掲げる情報をその検索用情報申出情報と併せて登記所に提供しなければならないとされた(規則第158条の40第8項)。

ア 申出人となるべき者が申出をしていることを明らかにする市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(当該情報を記載した書面の写しを含む。)

イ 代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する情報

ウ 前記2(1)ア(ア)に掲げる事項(所有権の登記名義人の検索用情報)(電子メールアドレスを除く。)を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)。ただし、所有権の登記名義人に係るものであることを登記官が確認することができる当該事項を検索用情報申出情報の内容としたときを除く。

(2) 前記(1)アの書面には、①運転免許証(道路交通法(昭和35年法律第105号)第92条第1項に規定する運転免許証をいう。以下同じ。)、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第2条第7項に規定する個人番号カードをいう。以下同じ。)、旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第2条第5号に規定する旅券及び同条第6 号に規定する乗員手帳をい

う。ただし、当該申出人の氏名及び出生の年月日の記載があるものに限る。)、在留カード(同法第19条の3に規定する在留カードをいう。)、特別永住者証明書(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成3年法律第71号)第7条に規定する特別永住者証明書をいう。)若しくは運転経歴証明書(道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)による改正後の道路交通法第105条の2第1項に規定する運転経歴証明書をいう。)又は②国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合若しくは私立学校教職員共済制度の資格確認書(書面によって作成されたものに限る。)、介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、基礎年金番号通知書(国民年金法施行規則(昭和35年厚生省令第12号)第1条第1項に規定する基礎年金番号通知書をいう。)、児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳又は戦傷病者手帳であって、当該申出人の氏名、住所及び出生の年月日の記載があるものが該当する。

なお、前記①又は②の書類(以下「身分証明書」という。)の性質上、その原本を登記所で保管することは相当ではないことから、前記(1)アの情報の提供については、身分証明書の写し(身分証明書に記載された情報を記録した電磁的記録を含む。以下この(2)において同じ。)の提供により行うものとする。

また、個人番号カードの写しを提供する場合にあってはその裏面を除くものを、国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合若しくは私立学校教職員共済制度の資格確認書又は健康保険日雇特例被保険者手帳の写しを提供する場合にあっては保険者番号及び被保険者等記号・番号(国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第111条の2第1項に規定する被保険者記号・番号等、健康保険法(大正11年法律第70号)第194条の2第1項に規定する被保険者等記号・番号等、船員保険法(昭和14年法律第73号)第143条の2第1項に規定する被保険者等記号・番号等、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第161条の2第1項に規定する被保険者番号等、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)第112条の2第1項に規定する組合員等記号・番号等、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)第144条の24の2第1項に規定する組合員等記号・番号等又は私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)第45条第1項に規定する加入者等記号・番号等をいう。)が記載された部分を除くものを、基礎年金番号通知書の写しを提供する場合にあっては基礎年金番号(国民年金法(昭和34年法律第141号)第14条に規定する基礎年金番号をいう。)が記載された部分を除くものを提供するものとする。

なお、身分証明書の写しについては、電子申出をする場合における電子署名や書面申出をする場合における記名押印、署名は不要である。

(3) 後記6(2)のとおり、電子申出において送信する前記(1)イの情報には、作成者の電子署名を要しない。

また、書面申出における同情報を記載した書面には、作成者の押印又は署名を要しない。

(4) 委任による代理人によって検索用情報単独申出を行う場合には、前記(1)イの情報には、検索用情報単独申出についての具体的な委任事項がその内容とされていることを要する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・検索用情報の申出に係る一切の件

・検索用情報の申出の補正・取下げ、添付情報の原本還付に係る一切の件

・申出手続完了通知書の受領

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(5) 法人である代理人によって検索用情報単独申出をする場合において、当該代理人の会社法人等番号を提供したときは、当該会社法人番号の提供をもって、当該代理人の代表者の資格を証する情報の提供に代えることができるとされた(規則第158条の40第9項において準用する規則第37条の2)。

なお、代理人の会社法人等番号を提供する場合には、検索用情報申出情報の内容である「代理人の名称」に続けて記録して差し支えない。

(6) 前記(1)ウ本文の情報には、①検索用情報申出情報の内容である所有権の登記名義人の検索用情報(電子メールアドレスを除く。後記(7)において同じ。)が記載された住民票の写し等に加え、②検索用情報申出情報の内容である所有権の登記名義人の氏名又は住所が登記簿上の氏名又は住所と異なる場合にあっては、当該所有権の登記名義人の氏名又は住所について変更があったことを証する戸籍の附票の写し等が該当する。

(7) 前記(1)ウただし書の「所有権の登記名義人に係るものであることを登記官が確認することができる当該事項」には、検索用情報申出情報の内容である所有権の登記名義人の氏名及び住所が登記簿上の氏名及び住所と同一である場合にあっては、検索用情報申出情報の内容である検索用情報と合致する住基ネット情報を登記官が確認することができるものが該当する。すなわち、検索用情報申出情報の内容である検索用情報を用いて住民基本台帳法第30条の9の規定による住基ネット情報の提供を求めることにより、当該検索用情報と合致する住基ネット情報を登記官が確認することができるときは、前記(6)の情報の提供を要しない。

検索用情報申出情報の内容である所有権の登記名義人の氏名又は住所が登記簿上の氏名又は住所と異なる場合にあっては、①検索用情報申出情報の内容である検索用情報と合致する住基ネット情報及び②当該所有権の登記名義人の氏名又は住所について変更があったことを確認することができる住基ネット情報を登記官が確認することができるものが該当する。すなわち、検索用情報申出情報の内容である検索用情報を用いて住民基本台帳法第30条の9の規定による住基ネット情報の提供を求めることにより、①及び②の住基ネット情報を登記官が確認することができるときは、前記(6)の情報の提供を要しない。

6 電子申出の方法

(1) 電子申出における検索用情報申出情報及び検索用情報申出添付情報は、法務大臣の定めるところにより送信しなければならないとされた。ただし、検索用情報申出添付情報の送信に代えて、登記所に検索用情報申出添付書面(検索用情報申出添付情報を記載した書面をいう。以下同じ。)を提出することを妨げないとされた(規則第158条の40第10項において準用する規則第158条の8第1項)。

(2) 前記(1)本文により送信する検索用情報申出添付情報(前記5(1)ウ本文の情報に限る。)は、作成者による規則第42条の電子署名が行われているものでなければならないとされた(規則第158条の40第11項において準用する令第12条第2項及び規則第158条の40第12項において準用する規則第42条)。

なお、前記(1)本文により送信する検索用情報申出情報については、電子署名を要しない。

(3) 前記(2)の電子署名が行われている検索用情報申出添付情報を送信するときは、規則第43条第2項の電子証明書を併せて送信しなければならないとされた(規則第158条の40第11項において準用する令第14条及び規則第158条の40第12項において準用する規則第43条第2項)。

7 電子申出において検索用情報申出添付書面を提出する場合についての特例等

(1) 前記6(1)のただし書(いわゆる別送方式)により検索用情報申出

添付書面を提出するときは、検索用情報申出添付書面を登記所に提出する旨及び検索用情報申出添付情報につき書面を提出する方法によるか否かの別をも検索用情報申出情報の内容とするものとされた(規則第158条の40第10項において準用する規則第158条の9第1項)。

(2) 前記(1)の場合には、当該検索用情報申出添付書面は、検索用情報単独申出の立件の日から二日以内に提出するものとされた(規則第158条の40第10項において読み替えて準用する規則第158条の9第2項)。

(3) 前記(1)の場合には、申出人は、当該検索用情報申出添付書面を提出するに際し、規則別記第4号の3様式による用紙に次に掲げる事項を記載したものを添付しなければならないとされた(規則第158条の40第10項において読み替えて準用する規則第158条の9第3項)。

ア 立件番号その他の当該検索用情報申出添付書面を検索用情報申出

添付情報とする申出の特定に必要な事項

イ 前記6(1)ただし書(いわゆる別送方式)により提出する検索用情報申出添付書面の表示

8 電子証明書の提供による提供の省略

電子申出をする申出人が検索用情報申出情報又は委任による代理人の権限を証する情報に規則第42条の電子署名を行い、当該申出人の規則第43条第1項第1号に掲げる電子証明書を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、前記5(1)ア及びウに掲げる情報(申出人となるべき者が申出をしていることを明らかにする情報及び所有権の登記名義人の検索用情報を証する情報)の提供に代えることができるとされた。ただし、同ウに掲げる情報(所有権の登記名義人の検索用情報を証する情報)については、登記官が所有権の登記名義人の検索用情報(電子メールアドレスを除く。)を確認することができるものを提供したときに限るとされた(規則第158条の40第13項)。

9 書面申出の方法

(1) 書面申出をするときは、検索用情報申出書に検索用情報申出添付書面を添付して提出しなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第158条の10第1項)。

なお、検索用情報申出書に押印することを要しない。

(2) 検索用情報申出書に記載する文字は、字画を明確にしなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第158条の10第2項において準用する規則第45条第1項)。

(3) 検索用情報申出書につき文字の訂正、加入又は削除をしたときは、その旨及びその字数を欄外に記載し、又は訂正、加入若しくは削除をした文字に括弧その他の記号を付して、その範囲を明らかにしなければならないとされた。この場合において、訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第158条の10第3項)。

(4) 申出人又はその代理人は、検索用情報申出書が2枚以上であるときは、各用紙に当該用紙が何枚目であるかを記載することその他の必要な措置を講じなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第158条の10第4項)。

10 検索用情報申出書等の送付方法

(1) 検索用情報単独申出をしようとする者が検索用情報申出書又は検索用情報申出添付書面を送付するときは、書留郵便又は信書便事業者による信書便の役務であって当該信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによるものとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第158条の11第1項)。

(2) 前記(1)の場合には、検索用情報申出書又は検索用情報申出添付書面を入れた封筒の表面に検索用情報申出書又は検索用情報申出添付書面が在中する旨を明記するものとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第158条の11第2項)。

11 受領証の交付の請求

(1) 書面申出をした申出人は、検索用情報管理ファイルへの記録が完了するまでの間、検索用情報申出書及びその検索用情報申出添付書面の受領証の交付を請求することができるものとする。

(2) 前記(1)により受領証の交付を請求する申出人は、検索用情報申出書の内容と同一の内容を記載した書面を提出しなければならないものとする。

(3) 登記官は、前記(1)による請求があった場合には、前記(2)により提出された書面に検索用情報単独申出の立件の年月日及び立件番号並びに職氏名を記載し、職印を押印して受領証を作成した上、当該受領証を交付するものとする。

12 検索用情報申出添付書面の原本の還付請求

(1) 検索用情報申出添付書面を提出した申出人は、検索用情報申出添付書面の原本の還付を請求することができるとされた。ただし、当該申出のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第1項)。

(2) 前記(1)本文により原本の還付を請求する申出人は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出しなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第2項)。

(3) 登記官は、前記(1)本文による請求があった場合には、調査完了後、当該請求に係る書面の原本を還付しなければならないとされた。

この場合には、前記(2)の謄本と当該請求に係る書面の原本を照合し、これらの内容が同一であることを確認した上、前記(2)の謄本に原本還付の旨を記載し、これに登記官印を押印しなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第3項)。

なお、当該原本還付の旨の記載は、準則第30条の例によるものとする。

(4) 前記(3)により登記官印を押印した前記(2)の謄本は、検索用情報管理ファイルへの記録完了後、申出立件関係書類つづり込み帳につづり込むものとされた(規則第158条の40第14項において読み替えて準用する規則第55条第4項)。

(5) 前記(3)にかかわらず、登記官は、偽造された書面その他の不正な検索用情報単独申出のために用いられた疑いがある書面については、これを還付することができないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第5項)。

(6) 前記(3)による原本の還付は、申出人の申出により、原本を送付する方法によることができるとされた。この場合においては、申出人は、送付先の住所をも申し出なければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第6項)。

(7) 前記(6)の場合における書面の送付は、前記(6)の住所に宛てて、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによってするものとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第7項)。

(8) 前記(7)の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを提出する方法により納付しなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第8項)。

(9) 前記(8)の指定は、告示してしなければならないとされた(規則第158条の40第14項において準用する規則第55条第9項)。

13 立件等

(1) 登記官は、前記3(検索用情報単独申出の方法)により検索用情報申出情報が提供されたときは、申出立件事件簿に立件の年月日及び立件番号を記録するものとされた(規則第158条の40第15項において準用する規則第158条の39第4項)。

なお、立件番号は、代替措置等申出の立件番号と共通の発番体系により1年ごとに更新される番号を付すものとする。

(2) 登記官は、書面申出により検索用情報申出情報が提供されたときは、前記(1)により申出立件事件簿に記録をする際、検索用情報申出書に立件の年月日及び立件番号を記載しなければならないとされた(規則第158条の40第16項)。

具体的には、検索用情報申出書の1枚目の表面の余白に別記第3号様式及び別記第4号様式による印判を押印して該当欄に立件の年月日及び立件番号を記載し、又は別記第5号様式若しくは別記第6号様式による検索用情報単独申出の立件の年月日及び立件番号を記載した書面を貼り付ける方法により記載するものとする。

(3) 前記(2)により押印した印判又は貼り付けた書面には、立件、調査、仮登録、本登録等をした都度、該当欄に取扱者が押印するものとする。

(4) 電子申出にあっては、申出ごとに印刷した検索用情報単独申出の立件の年月日及び立件番号を表示した書面(以下「電子申出管理用紙」という。)に前記(3)に準じた処理をするものとする。

(5) 登記官は、検索用情報単独申出があったときは、遅滞なく、申出に関する全ての事項を調査するものとする。

14 検索用情報単独申出の却下等

(1) 登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、検索用情報単独申出を却下しなければならないものとする。ただし、当該検索用情報単独申出の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申出人がこれを補正したときは、この限りでないものとする。

ア 申出に係る不動産の所在地が当該申出を受けた登記所の管轄に属しないとき(二以上の不動産についての申出にあっては、当該不動産の所在地がいずれも申出を受けた登記所の管轄に属しないとき。)。

イ 申出の権限を有しない者の申出によるとき。

ウ 検索用情報申出情報又はその提供の方法が規則により定められた方式に適合しないとき。

エ 検索用情報申出情報の内容である不動産が登記記録と合致しないとき。

オ 検索用情報申出情報の内容が検索用情報申出添付情報の内容と合致しないとき。

カ 検索用情報申出添付情報が提供されないとき。

(2) 登記官は、前記(1)ただし書の期間を定めたときは、当該期間内は、当該補正すべき事項に係る不備を理由に当該検索用情報単独申出を却下することはできないものとする。

(3) 登記官は、検索用情報単独申出を却下するときは、別記第7号様式に基づき、決定書を作成して、これを申出人に交付するものとする。

ただし、代理人によって検索用情報単独申出がされた場合は、当該代理人に交付すれば足りるものとする。

(4) 前記(3)の交付は、当該決定書を送付する方法によりすることができるものとする。

(5) 登記官は、検索用情報申出添付書面が提出された場合において、検索用情報単独申出を却下したときは、検索用情報申出添付書面を還付するものとする。ただし、偽造された書面その他の不正な検索用情報単独申出のために用いられた疑いがある書面については、この限りでないものとする。

(6) 前記(1)から(5)までのほか、検索用情報単独申出の却下に関する取扱いについては、準則第28条の例によるものとする。

15 検索用情報単独申出の補正期限の連絡等

検索用情報単独申出の補正期限の連絡等に関する取扱いについては、準則第36条の例によるものとする。

16 検索用情報単独申出の取下げ

(1) 検索用情報単独申出の取下げは、次のア及びイに掲げる検索用情報単独申出の区分に応じ、当該ア及びイに定める方法によってしなければならないものとする。

ア 電子申出 規則第158条の17第1項において準用する規則第39条第1項第1号の例により電子情報処理組織を使用して検索用情報単独申出を取り下げる旨の情報を登記所に提供する方法

イ 書面申出 検索用情報単独申出を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法

(2) 検索用情報単独申出の取下げは、検索用情報管理ファイルへの記録完了後は、することができないものとする。

(3) 登記官は、検索用情報申出書又は検索用情報申出添付書面が提出された場合において、検索用情報単独申出の取下げがされたときは、検索用情報申出書又は検索用情報申出添付書面を還付するものとする。

ただし、偽造された書面その他の不正な検索用情報単独申出のために用いられた疑いがある書面については、この限りでないものとする。

(4) 前記(1)から(3)までのほか、検索用情報単独申出の取下げに関する取扱いについては、準則第29条の例によるものとする。

17 検索用情報管理ファイルへの記録

登記官は、検索用情報単独申出があったときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとされた(規則第158条の40第17項)。

なお、申出に係る事項が検索用情報管理ファイルに既に記録されている場合でも、当該申出に基づき、検索用情報管理ファイルに記録されている事項を更新して差し支えない。

18 申出手続が完了した旨の連絡

前記第2の6の取扱いは、前記17による検索用情報管理ファイルへの記録を完了した場合についても同様とする。

第4 検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等

1 登記官の職権による記録事項の変更又は更正

登記官は、検索用情報管理ファイルに記録された前記第1の1に掲げる事項に変更又は錯誤若しくは遺漏があると認めるときは、職権で、検索用情報管理ファイルに変更後又は更正後の当該事項を記録するものとされた(規則第158条の41第1項)。

同項に基づく具体的な事務としては、次のようなものがある。

(1) 申出に基づく電子メールアドレスの変更又は削除

ア 検索用情報管理ファイルに電子メールアドレスが記録されている所有権の登記名義人は、前記第2の6(1)又は第3の18により送信された認証キーを失念したことなどにより後記2の方法により当該電子メールアドレスの変更又は削除をすることができないときは、登記官に対し、当該電子メールアドレスの変更又は削除をするよう申し出ることができるものとする。

イ 前記アによる申出は、次に掲げる事項を記載した書面を登記所に提出するとともに、運転免許証、個人番号カードその他の公務員が作成した証明書であって、当該所有権の登記名義人と申出人が同一の者であることを確認することができるものを登記官に提示又は提出してしなければならないものとする。

(ア) 申出人の氏名、住所及び出生の年月日

(イ) 申出人が外国人であるときは、ローマ字氏名

(ウ) 申出の目的

(エ) 電子メールアドレスの変更を申し出るときは、変更前及び変更後の電子メールアドレス

(オ) 電子メールアドレスの削除を申し出るときは、削除を求める電子メールアドレス及び電子メールアドレスを有しない旨

(カ) 申出人の電話番号その他の連絡先

(キ) 申出の年月日

(ク) 登記所の表示

なお、前記(ウ)の申出の目的は「電子メールアドレスの変更」又は「電子メールアドレスの削除」の振り合いによるものとする。

おって、登記官が当該証明書の提示を受けた場合の取扱いは、準則第33条第5項の例によるものとする。

ウ 前記アによる申出は、所有権の登記名義人として記録されている登記記録に係る不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対してもすることができるものとする。

エ 登記官は、前記アによる申出があったときは、職権で、検索用情報管理ファイルに記録された当該所有権の登記名義人の電子メールアドレスの変更又は削除をすることができるものとする。

オ 前記エの変更をした登記官は、後記2の法務大臣の定めに規定する認証キーを記載した書面を申出人に交付するものとする。

カ 検索用情報の申出(検索用情報同時申出又は検索用情報単独申出をいう。以下同じ。)を受けた登記所の登記官は、前記第2の6(1)又は第3の18の電子メールの送信後二月を経過するまでの間に、申出人である所有権の登記名義人から当該電子メールが届かない旨の申出があった場合等において、その原因が登記官の過誤又は提供された申請情報若しくは検索用情報申出情報の内容である電子メールアドレスの誤りであると認めるときは、検索用情報管理ファイルに更正後の電子メールアドレスを記録した上で、当該電子メールアドレスに宛てて再度当該電子メールを送信するものとする。

(2) 申出に基づく電子メールアドレスの記録

ア 検索用情報管理ファイルに電子メールアドレスを除く検索用情報が記録されている所有権の登記名義人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人の電子メールアドレスを検索用情報管理ファイルに記録するよう申し出ることができるものとする。

イ 前記(1)イからオまでの取扱いは、前記アによる申出についても同様とし、この場合に提出する書面に記載する申出の目的は、「電子メールアドレスの新規登録」の振り合いによるものとする。

(3) 所有権の登記名義人として記録されている登記記録を特定するために必要な事項に変更があった場合

ア 登記官は、合筆の登記や合併の登記等に際し検索用情報管理ファイルに記録されている所有権の登記名義人の氏名及び住所を職権により記録した場合及び分筆の登記等により検索用情報管理ファイルに記録されている所有権の登記名義人の氏名及び住所を移記・転写した場合には、検索用情報管理ファイルに記録されている所有権の登記名義人の氏名及び住所が新たに記録される登記記録に係る不動産の不動産所在事項等を前記第1の1(6)の事項として検索用情報管理ファイルに記録するものとする。

イ 登記官は、検索用情報管理ファイルに記録されている所有権の登記名義人が所有権の移転の登記等により前記第1の1(6)の事項に係る不動産の所有権の登記名義人でなくなったときは、その旨を当該事項として検索用情報管理ファイルに記録するものとする。

また、当該不動産の所有権の登記名義人であった者がその後の所有権の登記の抹消により再び当該不動産の所有権の登記名義人となったときは、その旨を前記第1の1(6)の事項として検索用情報管理ファイルに記録するものとする。

(4) その他

新法第76条の6の施行後は、前記第1部の住基ネット情報に基づき、登記官が検索用情報管理ファイルに変更後又は更正後の検索用情報(電子メールアドレスを除く。以下この(4)において同じ。)を記録することを想定している。

このため、所有権の登記名義人においては、検索用情報管理ファイルに記録されている検索用情報に変更があったとしても、その旨を登記官に申し出ることを要しない。

2 所有権の登記名義人による電子メールアドレスの変更又は削除

検索用情報管理ファイルに前記第1の1(5)に掲げる事項(電子メールアドレス)が記録されている所有権の登記名義人は、法務大臣の定めるところにより検索用情報管理ファイルに記録された当該事項の変更又は削除をすることができるとされた(規則第158条の41第2項)。

また、法務省のホームページで公開された当該法務大臣の定めにより、当該変更又は削除は、次に掲げる事項を登記・供託オンライン申請システムに送信して行う必要があるなどとされた。

(1) 検索用情報の申出において所有権の登記名義人が提供した電子メールアドレスに宛てて登記官が送信した認証キー(10桁の番号、記号その他の符号であって、登記官が検索用情報の申出に基づいて検索用情報管理ファイルへの記録をする際に付したものをいう。以下同じ。)又は検索用情報の申出において所有権の登記名義人が電子メールアドレスを提供していない場合において、その後に当該所有権の登記名義人が提供した電子メールアドレスを検索用情報管理ファイルに記録したときに登記官が当該所有権の登記名義人に交付した書面に記載された認証キー

(2) 現に検索用情報管理ファイルに記録されている電子メールアドレス

なお、当該変更又は削除は、当該所有権の登記名義人が直接行うものであることから、これに関する登記官の事務は生じない。

第5 帳簿の取扱い

1 申出立件事件簿

申出立件事件簿には、従前の事項に加え、検索用情報の申出の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとされた(規則第27条の2第1項)。

2 申出立件関係書類つづり込み帳

申出立件関係書類つづり込み帳には、従前の書類に加え、検索用情報の申出に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとされた(規則第27条の2第3項)。

なお、当該書類には、検索用情報同時申出に係る出生の年月日等を証する情報を記載した書面及び保存用同時申出書、検索用情報単独申出に係る検索用情報申出書、検索用情報申出添付書面及び取下書、検索用情報の申出に係る事件を処理するために登記官が作成した書類並びに前記第4の1(1)ア又は(2)アによる申出に関する書面が該当する。

ただし、登記申請の添付書面と兼ねられた検索用情報同時申出に係る出生の年月日等を証する情報を記載した書面については、申出立件関係書類つづり込み帳につづり込むことを要しない。登記申請に係る事件を処理するために登記官が作成した書類であって検索用情報同時申出に係る事件の処理に用いたものについても同様とする。

なお、電子申出に係る電子申出管理用紙その他の書面については、権利に関する登記の電子申請に係る電子申請管理用紙その他の書面の例により申出立件関係書類つづり込み帳につづり込むものとする。

第6 経過措置

規則中検索用情報の申出に関する規定は、規則附則第3条第1項の規定による改製を終えていない登記簿(電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿を含む。)に係る申出については、適用しないとされた(改正省令附則第2項)。

第7 その他

前記第1から第6までのほか、検索用情報の申出に関する事務の取扱いについては、その性質上適当でないものを除き、権利に関する登記の申請に関する事務の取扱いの例によるものとする。

別記第1号(第2部第2の4関係)

保存用同時申出書

立件年月日 :

立件(申出)番号:

本件の受付年月日:

本件の受付番号 :

物件情報

検索用情報

別記第2号(第2部第2の6、第3の18関係)

申出手続完了のお知らせ

申出された検索用情報についての登録手続が完了しましたので、お知らせします。

不動産番号:

立件番号 :

立件年月日:

法務局 出張所

以上

別記第3号(第2部第3の13関係)

第号

立件

(申出)

令和年月

別記第4号(第2部第3の13関係)

受付調査仮登録

本登録情報更新通知

別記第5号(第2部第3の13関係)

受付調査仮登録本登録情報更新通知

別記第6号(第2部第3の13関係)

受付調査仮登録本登録情報更新通知

郵送

年 月 日立件(申出)

第 号ー ー

窓口

年 月 日立件(申出)

第 号ー ー

符号

符号

別記第7号(第2部第3の14関係)

日記第 号

決 定

住所

申出人

令和何年何月何日立件第何号検索用情報単独申出事件に係る検索用情報単独申出は、(申出に係る不動産の所在地が当該申出を受けた登記所の管轄に属しない(二以上の不動産についての申出にあっては、当該不動産の所在地がいずれも申出を受けた登記所の管轄に属しない)/申出の権限を有しない者の申出によるものである/検索用情報申出情報又はその提供の方法が不動産登記規則により定められた方式に適合しない/検索用情報申出情報の内容である不動産が登記記録と合致しない/検索用情報申出情報の内容が検索用情報申出添付情報の内容と合致しない/検索用情報申出添付情報が提供されない)ため、これを却下する。

令和 年 月 日

法務局 出張所

登記官 職印

信託フォーラム 2025年4月号

信託フォーラム 2025年4月号 特集1 子どもの養育と信託/特集2 FATFに見る日本の信託の現状と課題 vol.23、日本加除出版

https://www.kajo.co.jp/c/magazine/007?srsltid=AfmBOoqFlVSkkKFufrBe79NO0pewtAxqydVIjlCnXDjymn9irpdjNzKA

巻頭言 人生の集大成を未来へつなぐ~遺贈寄付と信託の可能性~

(一般社団法人全国レガシーギフト協会代表理事(共同代表)・弁護士●樽本 哲)

一般社団法人全国レガシーギフト協会

https://izoukifu.jp

信託契約を締結し、遺贈寄付を行う方法もある。

対 談 公益活動のこれからと公益信託の役割

( 公益財団法人公益法人協会理事長●雨宮孝子× 中央大学研究開発機構教授●新井 誠)

2024年3月末の公益信託件数は、384件。

今井記念海外協力基金

https://www.imai-kikin.com

 信託宣言による公益信託を認めなかったことについて、アメリカではコミュニティ財団の設立はほとんどが信託宣言。

 事業型よりも、地方自治体がお金を出すまちづくり公益信託が望ましい。

特集1 子どもの養育と信託

養育費不払い問題と令和6年民法等改正(早稲田大学名誉教授●棚村政行)

 法務省「養育費不払い解消に向けた検討会議」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00101.html

民法306条1項3号、308条の2、766条の3、879条。民事執行法167条の17,197条。

養育費債権信託の可能性と課題(東北大学大学院法学研究科准教授●今津綾子)

 民法766条1項。

今津綾子「養育費の支払確保における信託の活用可能性」トラスト未来フォーラム、2023年

https://trust-mf.or.jp/books.html

 養育を受ける側の親が委託者、第三者を受託者とする信託の検討。信託財産たる財産は養育費を請求する権利。第三者を受託者とする場合、訴訟信託の禁止(信託法10条)に抵触しないのかは、信託行為前の状況、信託行為を個別具体的・総合的に判断。

合衆国における養育費信託─ 子のための信託(早稲田大学教授●三枝健治)

 裁判所の決定により養育信託が設定されることもある。養育費を支払う側に、資力の変動がある(プロスポーツ選手、離婚時に不動産を売却処分など)場合など。中立的な受託者として、信託会社、銀行、法律事務所、会計事務所など。

養育費の一括払いを確保するための信託の利用に関する一考察(弁護士●今里恵子)

 英国や米国では、信託を利用して養育費の一括払いをすることは一般的な選択肢の一つ。

 贈与税の対象とならない基準。教育資金贈与信託との比較。自益信託の検討。

未成年後見業務における信託利用の可能性(公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート常任理事●久保隆明)

 未成年後見業務終了後の選択肢。受託者を親族とする信託契約。信託監督人に司法書士。受益者が死亡した場合の残余財産は教育支援を行う団体へ寄附。

特集2 FATFに見る日本の信託の現状と課題

FATF第4次対日相互審査報告書における法的取極の透明性(勧告25)に関する指摘について(有限責任 あずさ監査法人●尾崎 寛・白田侑希)

金融庁 金融活動作業部会(FATF)

https://www.fsa.go.jp/inter/fatf/fatf_menu.html

FATFの勧告

https://www.fatf-gafi.org/en/publications/Fatfrecommendations/Fatf-recommendations.html

金融庁 「FATF(金融活動作業部会)による第4次対日相互審査報告書の公表について」令和3年8月30日、令和5年1月4日更新

https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20210830/20210830.html

 士業者が同一当事者から継続的に受任する場合を除いて、信託の設定のみでは、継続的な取引関係とはいえない。

金融庁「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」の一部改訂(案)の公表について、令和5年12月15日

https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20231215-3/20231215.html

商事信託における「実質的支配者」と悪用防止策(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 弁護士●有吉尚哉・五十嵐チカ)

 金融庁、令和7年1月22日、金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」報告書

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20250122.html

P18、Ⅲ-4 特定信託受益権(3号電子決済手段)におけるトラベルルールの適用

民事信託におけるマネロン等対策の展望(弁護士●吉森大輔)

 今後求められる対応

・依頼者の本人確認。

・受託者に情報が集まる仕組み作りと、受託者に継続的関与が可能になるような体制作り。

・最終的に利益が流れている者は誰なのか、のチェック。

外国信託とFATFへの対応─ 我が国の現状と最新のFATFガイダンスを踏まえた今後の展望(アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 弁護士●山田智希)

外国信託・・・準拠法が日本の信託法によらない信託。

家族信託への招待 第23回家族信託の陥穽(その2)―受益者による具体的な給付請求はできないとする東京高裁令和6年2月8日判決―(弁護士●遠藤英嗣)

2017年(平成29年)6月15日 信託契約締結。受託者は委託者の子、受益者は委託者と受託者の姉。後継受益者・残余財産の帰属権利者は委託者の孫(受託者の子)。信託期間は委託者と受託者の姉が亡くなるまで。

2017年(平成29年)10月26日 委託者死亡。

受託者の姉の受益権の争い。裁判所の判断は、信託行為の条項通り受託者の広範な裁量を認める。

・当初受益者である受託者の姉の受益権を、委託者兼受益者の死亡に関わらない内容にすること。

P120、筆者が奨励する解決策は、信託法58条4項に基づく不誠実な受託者の解任請求である。について・・・最善なのか、信託行為の受託者の任務終了事由の定めを含めて、個別具体的に判断が必要だと考えます。

信託と税金 no.23(税理士●菅野真美)

 当初受益者、第二次受益者死亡時における小規模宅地の特例適用の有無。租税特別措置法施行令40条の2第27項、相続税法9条の2第4項、第6項。委託者変更登記の要否。登記研究833号P171、2017年7月30日発行 【カウンター相談】(250)「信託目録の委託者の変更の登記について」。

民事信託と登記 第14回(渋谷陽一郎)

 令和6年1月10日民二第17号法務省民事局民事二課長通知。利益相反行であると判定する時の基準点。信託法31条2項1号の定めを信託目録に記録。

ここからはじめる! 民事信託実務入門 第8回(弁護士●金森健一)

 信託行為における清算受託者の指定。委託者兼受益者に成年後見人が就任した場合の成年後見人の権限と制約。

■信託のひろば

公益信託成年後見助成基金と未成年後見人の報酬助成について( 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート常任理事●野村真美)

 信託目的に、未成年後見制度の利用に関する費用の助成、を追加する検討。

韓国における不動産登記法改正の動向─ 信託財産に属する不動産の取引に関する「注意事項の附記登記」を中心として(司法書士●長谷川清)

信託登記事務処理に関する例規一部改正予規案行政予告

https://www.scourt.go.kr/portal/legislation/LegislationView.work?seqnum=231&gubun=2&searchOption=&searchWord=

・・・不動産登記法97条1項11号のその他の信託の条項に類似。

■論説 韓国における信託法制の動向と実務の動き( 全南大学校法学専門大学院教授●安成飽)

 不動産登記における信託原簿に記録することにより、第三者対抗要件が認められると最高裁判所が認めた条項

・信託終了時に、信託財産に付随する債務は受益者が弁済しなければならないとする条項。

・信託契約の終了または解除後に、商業施設供給契約から発生する債務を受益者が負担するという条項。

・信託不動産の賃貸により発生した賃借人に対する賃貸保証金返還義務が、信託終了時に委託者に帰属するという条項。

・商業施設である信託不動産に関する管理費を、委託者が負担するという条項。

 遺言代用信託の制度有り。

信託法8条の適用可能性と意義─ 民事信託との関係において(弁護士●今福 聡)

 信託法

https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108

(受託者の利益享受の禁止)

第八条 受託者は、受益者として信託の利益を享受する場合を除き、何人の名義をもってするかを問わず、信託の利益を享受することができない。

 総則に規定されている意義、適用対象。

中原太郎「人の死亡を契機とする財産承継を実現する信託と財産管理―特に公平義務・利益相反等について」令和6年9月、(公社)トラスト未来フォーラム

P54、注98 民事信託・家族信託においても、前掲東京地判平成30 年9月12 日を素材として、信託法8条(受託者の利益享受の禁止)による信託の無効について論じる学説が見られる(当該事案において、受益者への経済的利益の分配を減じる目的で、受託者による信託財産の無償使用が認められていることを問題視する。佐久間・前掲注(38)134-135頁、福井・前掲注(16)139-140 頁、山下・前掲注(9)91-92 頁)。信託実務家からも、「受託者主導型の民事信託は、信託組成の際、委託者兼受益者である高齢者の意思能力や信託意思の欠缺や信託内容の不理解が生じている可能性があ」るものであって、「専らその者〔受託者〕の利益を図る目的で作ることが多いと思われ」、「このような事例が増えないことが強く望まれ」るとの指摘がされている(八谷・前掲注(14)21 頁)。

 東京地判平成30年9月12日金法2104号78頁と信託法8条。

・受託者が信託不動産を無償利用することを希望したか。

・遺留分減殺請求を回避した結果として受託者が得た利益は、信託法8条の利益といえるのか。

信託法8条の適用が問題となり得る典型事例の検討

・受託者が信託の利益を享受しているか。

・受託者に利益享受させる目的が存在したといえるか。

 東京地判平成30年10月23日金法2122号85頁と信託法8条。

・裁判例における信託契約の終了事由は、細かく事実認定していかない限り、受託者が利益享受する目的があると考えることは難しい。

沖縄弁護士会信託PTとの意見交換。

■ガバナンスの潮流 コーポレートガバナンスの潮流と展望(弁護士●太田 洋)

 今後、会社法改正などを通して監督可能な取締役会による経営陣への規律付けの実効性を高めることが重要になってくる。

■信託事例紹介

海外居住の外国人が受託者となる民事信託について(司法書士・行政書士・民事信託士●山北悠介)

委託者 台湾国籍、日本在住

受託者 台湾国籍、台湾在住の委託者の姉

受益者 当初受益者は委託者。第二次受益者は受託者、第三次受益者は受託者の子。

不倒産登記 国内連絡先、登記名義人のローマ字氏名。

信託管理口座・・・信託財産の事務処理に係る費用は、委託者が支払う。その求償権について受託者の委託者に対する前払請求権と相殺することで、受託者が直接金銭を管理する必要がないようにした。

・・・受託者が、相殺の意思表示を定期的に行う(民法506条)?

相続の準拠法・・・台湾法

法の適用に関する通則法

https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000078/#Mp-Ch_3-Se_6

(相続)第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。

台湾渉外民事法律適用法

第五十八條

  繼承,依被繼承人死亡時之本國法。但依中華民國法律中華民國國民應

  為繼承人者,得就其在中華民國之遺產繼承之。

遺言の準拠法・・・台湾の民法。

法の適用に関する通則法

(遺言)第三十七条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。

2 遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。

台湾渉外民事法律適用法

第六十條

  遺囑之成立及效力,依成立時遺囑人之本國法。

  遺囑之撤回,依撤回時遺囑人之本國法。

 国税庁タックスアンサー No.4432 受贈者が外国に居住しているとき

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4432.htm

信託の準拠法・・・日本の信託法。信託契約書にも記載。

法の適用に関する通則法

(当事者による準拠法の選択がない場合)第八条 前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。

2項、3項略。

市民と法152号2025年4月

市民と法152号2025年4月、(一社)民事法研究会

https://www.minjiho.com/search/g107194.html?srsltid=AfmBOoqr_PTsMpjja9unz9hW32dIde_aS8swm_6RVKd4G5nnbNHgxWp8

大論公論 「原点」――あるべき司法書士として働く――

 全国青年司法書士協議会会長 加藤 圭

 今、司法書士が社会にとって必要とされているのか、境界線に立っている。

【論説/解説】

・現代相続における司法書士の役割についての研究―時代に合致した司法書士による手続支援モデルの構築と提案―

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所業務開発研究部会主任研究員・司法書士 石田光曠、研究員・司法書士 平野次郎、研究員・司法書士 村上 毅、研究員・司法書士 小坂和義、研究員・司法書士 宮澤智史

 英米法採用国・・・管理清算主義。

 大陸法採用国・・・当然承継主義(実務では管理者による事実上の管理清算型相続手続き)。

 報酬基準の法定。日本版相続証明情報の提案。遺産分割協議への専門職の関与の仕方。生前対策としてエンディングノート普及の必要性。日本版代表者登記制度の導入提案。ファシリテータとは、舵取り役・仕切り役。

・AI技術・弁護士法・司法書士法から照射される士業の制度的正当(統)性の根拠と課題―自己決定権とパターナリズムの相克・情報の非対称性の観点からの省察―

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所司法・司法書士制度研究部会主任研究員・司法書士 木曽雄高

 弁護士法、司法書士法は国家が父権的に市場に介入することを趣旨として法律であり、情報の非対称性を解消という機能を有している限り、正当性を見出すことが出来る。

 Aiが法的権利義務帰属主体になり得るかについて・・・経済的な補償は可能かもしれませんが、身体の拘束が不可能なので難しいと感じます。

・会社秘書役制度に関する調査と法定手続の不遵守是正の提言

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所商業登記制度研究部会主任研究員・司法書士 神沼博充、研究員・司法書士 坂本佳弥子、研究員・司法書士 岩本直也、研究員・司法書士 齊藤詩織、研究員・司法書士 岩﨑 諭

 イギリスの会社秘書役は、会社法改正により、取締役の補助者から、会社の業務管理に係る総責任者的な位置づけに機能・責任が拡大。

https://www.gov.uk/limited-company-formation/appoint-directors-and-company-secretaries

 オーストラリア、香港、シンガポール、マレーシアにおける会社秘書役の紹介。

 日本に会社秘書役を置く場合のイメージとしては、会計参与の法的手続版。

・大深度地下使用法の現状と課題

 島根県立大学名誉教授 平松弘光

大深度地下の公共的使用に関する特別措置法

https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000087

【特集】国土安全保障と土地法

Ⅰ 企画趣旨

  大阪公立大学教授 久末弥生

国土交通省 WISENET(ワイズネット)2050

https://www.mlit.go.jp/road/wisenet_policies

Ⅱ 縮小社会に適応する地域空間管理法制と法的課題―老朽危険空き家対策を素材として―

  上智大学教授 北村喜宣

 民法の公法化、土地基本法の改正、空家等対策の推進に関する特別措置法の制定。指導、勧告、命令を受けた者が死亡した場合の効力。長屋。市区町村長の申立てによる成年後見制度の利用に代わる、民事訴訟法35条の特別代理人制度の利用検討。

Ⅲ 遊水地地役権の展開と課題

  拓殖大学教授 奥田進一

特定都市河川浸水被害対策法

https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000077

 明渡執行の考え方と諸問題

 元大阪地方裁判所執行官 櫻井俊之

土地の特定

原則・・・土地上に境界標識が存在する場合は検尺を基に見取図を作成。境界標識等が存在せず土地の境界が執行場所を特定した図面を添付。

例外・・・法務局に目的土地と同一の地積測量図が存在する場合は図面等添付不要。基点からの距離が示されていない地積測量図は検尺して見取図の作成。

未登記建物

家屋番号・・・未登記と記載。

相続・今昔ものがたり(46)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続の欠格(その3)

 家督相続人の不選定の場合に新民法附則25条2項が被相続人の死亡時にさかのぼって新民法が適用されるとき、その新民法の規律がどこまで適用されるのか。

登記研究35号P30、昭和25年10月7日民事甲第2682号民事局長回答、家督相続人不選定と旧民法中の数次相続。

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務(11)反社条項と FATF 勧告(1)

 司法書士 渋谷陽一郎

 日司連ガイドラインの作成経緯が公開されていないこと。日本司法書士会連合会「民信託支援業務の執務ガイドライン」と「司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ロンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン」の関係。

令和6年4月17日財務省「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」

民事信託の相談会その74

お気軽にどうぞ。

2025年4月25日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障害を持つ子の親なき後への備え

1組様 5,500円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

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