自筆証書遺言書保管制度についてのQ&A

自筆証書遺言書保管制度についてのQ&A

Q&A about self-signed will testamentary keeping system

法務省HP (2020年7月2日閲覧)

Ministry of Justice HP

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00048.html

法務局(遺言書保管所)で遺言書の書き方を教えてくれますか。

遺言書の作成に関するご相談には一切応じられません。遺言書の様式については,注意事項をご覧いただき,あらかじめご自身で作成の上,来庁いただくようお願いします。

Can you tell me how to write a will at the Legal Affairs Bureau (will will storage)?

We cannot respond to any inquiries regarding the writing of wills.

Regarding the style of wills, please read the precautions and prepare it yourself before visiting the office.

遺言書の様式について,用紙に模様があるのですが,申請可能ですか。

その模様が文字の判読に支障が無いものであれば,申請可能です。

Regarding the form of the will, there is a pattern on the paper. Is it possible to apply?

If the pattern does not interfere with the reading of the characters, you can apply.

遺言書を何色か色分けして書いてもよいですか。

保管されている遺言書について,相続人等がその内容を確認する手段として遺言書情報証明書の交付の請求や遺言書の閲覧があります。閲覧については原本とモニターによる方法があり,色分けを確認することができますが,遺言書情報証明書は白黒で出力されるため色分けを確認することができません。したがって、本制度を利用する場合、遺言書を色分けして作成することはお勧めしません。

Is it possible to write the will will in different colors?

Regarding the stored wills, heirs, etc. have a request for issuance of a wills information certificate and inspection of the wills as a means to confirm the contents. You can check the color coding by browsing the original and the monitor, but you cannot check the color coding because the wills information certificate is output in black and white. Therefore, when using this system, it is not recommended to create wills in different colors.

保管制度が開始する前に作成した遺言書でも 作成した遺言書が所定の様式(注意事項参照)に合うものであれば、預かつてもらえますか。

法務省ホームページ(htt p://www.moj.go.jp/MINJI/5minji03_00051.html)に掲載している様式をダウンロードして入力することで作成いただくことができます。なお、法務局(遺言書保管所)の窓口でも入手可能です。

If the testament that I created before the storage system started is compatible with the prescribed form (see notes), can you keep it?

You can create it by downloading and entering the form posted on the Ministry of Justice website (htt p://www.moj.go.jp/MINJI/5minji03_00051.html). It can also be obtained at the window of the Legal Affairs Bureau (will will storage).

保管の申請をしたいのですが,遺言者本人が病気のため法務局(遺言書保管所)へ出頭できない場合はどうすればよいですか。

本人出頭義務を課しているととから、その場合には.本制度をご利用いただけません。なお介助のために付添人に同伴していただくことは差し支えありません。

I would like to apply for storage, but what should I do if the testamentary person cannot report to the Legal Affairs Bureau (will-will storage) due to illness?

In that case, because you are obliged to appear. This system is not available. In addition, it is safe to have your attendant accompany you for assistance.

保管の申請時には,遺言書を封筒に入れたまま法務局(遺言書保管所)へ持参すればよいですか。

申請時には遺言書原本のみをお出しいただくことになります。封筒は不要です。

When applying for storage, should I bring the will to the Legal Affairs Bureau (will will storage) while keeping it in an envelope?

Only the original will will be submitted at the time of application. No envelope required.

本人確認について,顔写真付きの身分証明書を所持していない場合はどうすればよいですか。

本人出頭義務を課していることから、なりすましを防止する必要があるため、顔写真付きの身分証明書の提示が必須となります。例えば,マイナンバーカードであれば、誰でも取得できますのでご検討願います。

保管の申請の手数料について、保管年数に応じて手数料も増えるのですか。

保管申請の手数料は、その後の保管年数に関係なく申請時に定額(遺言書1通につき、3,900円)を納めていただきます。

Does the storage application fee increase according to the number of years of storage?

The storage application fee will be a fixed amount (3,900 yen per will) when applying, regardless of the number of years of storage thereafter.

手数料納付のための収入印紙はどこで購入すればよいですか。

各告法務局(遺言書保管所)庁舎内の収入印紙の販売窓口又はお近くの郵便局等で販売しています。詳しくは、申請・請求予定先の法務局(遺言書保管所)にお問い合わせください。

Where can I purchase a revenue stamp for paying fees?

Each Notification Legal Affairs Bureau (Will will storage) Sold at the sales counter for revenue stamps in the government building or the post office near you. For details, please contact the Legal Affairs Bureau (will will storage) where you plan to apply/claim.

遺言書を法務局(遺言書保管所)に預けたことを家族に伝えておいた方がよいですか。

法務局(遺言書保管所)に預けたことをご家族(相続人となり得る方)に伝えておいていただくと,相続開始後,ご家族が,スムーズに遺言書情報証明書の請求手続等を行うことができます。保管証を利用すると確実です。

Should I inform my family that I have deposited the will to the Legal Affairs Bureau (will will storage)?

If you tell your family (who can be an heir) that you have deposited it at the Legal Affairs Bureau (will storage), your family will smoothly perform a request procedure for a will information certificate after the inheritance starts. can do. It is sure to use the storage certificate.

保管証を紛失した場合には,再発行可能ですか。

保管証の再発行はできませんので、大切に保管してください。なお、保管証があるとその他の手続がスムーズですが、保管証がない場合でも手続は可能です。

Is it possible to reissue the storage certificate if it is lost?

Please keep it in a safe place as a storage certificate cannot be reissued. Note that other procedures will be smoother if you have a storage certificate, but you can still do it if you do not have a storage certificate.

保管の申請の撤回を行った場合に、その遺言は無効に怠るのですか。

遺言書の保管の申請の撤回は、法務局(遺言書保管所)に遺言書を預けるととをやめることであり、その遺言の効力とは関係がありません。

If I withdraw my request for storage, will I fail to nullify the will?

The withdrawal of the application for storage of wills means that it will stop depositing wills at the Legal Affairs Bureau (will will storage), and is not related to the effect of the will.

遺言書の閲覧をしたいのですが,遺言書が保管されている法務局(遺言書保管所)が遠方の場合もその法務局(遺言書保管所)へ行かなければなりませんか。

遺言書の閲覧方法として.遺言書原本を閲覧する方法のほか,モ二ターで遺言書を閲覧する方法があります。モニターの方法による場合には,全国どこの法務局(遺言書保管所)においても閲覧が可能となります。

I would like to browse the wills, but if the legal bureau where the wills are stored (will will storage) is far away, do I have to go to that legal bureau (will will storage)?

As a method of viewing wills. In addition to viewing the original wills, you can also view the wills using a monitor. If you use the monitoring method, you can view the information at any legal affairs office (will will storage) anywhere in the country.

遺言書情報証明書等の交付に遺言書情報証明書を取得したいのですが,自分で法務局(遺言書保管所)へ行かなければなりませんか。

保管の申請の場合(Q6 )と異なり、遺言書情報証明書等の交付については、ご自身で法務局(遺言書保管所)の窓口に出向いて請求するほか、郵送による請求や、法定代理人による手続も可能です。なお、保管の申請書や請求書等の書類については司法書士等にその作成を依頼することができます。

I would like to browse the wills, but if the legal bureau where the wills are stored (will will storage) is far away, do I have to go to that legal bureau (will will storage)?

As a method of viewing wills. In addition to viewing the original wills, you can also view the wills using a monitor. If you use the monitoring method, you can view the information at any legal affairs office (will will storage) anywhere in the country.

遺言書情報証明書はどのような手続に使用できますか。

今まで遺言書の原本を必要としていた相続登記手続等や銀行での各種手続について,遺言書情報証明書を使用していただくことを想定しています。

What kind of procedure can I use the wills information certificate?

We assume that you will use a will will information certificate for inheritance registration procedures and various procedures at banks that required the original wills until now.

家族(相続人)は法務局(遺言書保管所)に保管されている遺言書を返却してもらうことができますか。

法務局(遺言書保管所)に保管されている遺言書については、家族(相続人)であっても返却を受けるととはできません。内容を確認するには、遺言書情報証明書の交付の請求又は遺言書の閲覧をしてください。

Is it possible for the family (inheritor) to return the wills stored in the Legal Affairs Bureau (will will storage)?

Regarding the wills stored in the Legal Affairs Bureau (will will storage), even family members (inheritors) cannot be returned. To confirm the contents, please request the issuance of a will information certificate or browse the will.

予約せすに直接法務局(遺言書保管所)に行つた場合には申請を受け付けてもらえますか。

各種申請・請求に当たっては原則として予約が必要です。予約せずに来庁された場合、長時間お待ちいただいたり、その日に手続ができない場合があります。

If I go directly to the Legal Affairs Bureau (will will storage) to make a reservation, can you accept the application?

As a general rule, reservations are required for various applications and requests. If you come to the agency without making a reservation, you may have to wait a long time, or you may not be able to complete the procedure on that day.

自筆証書遺言を作成したら必す法務局(遺言保管所)に預けなければならないのですか。

本制度は,自筆証書遺言に係る遺言書について、法務局(遺言書保管所)に保管をするという選択肢を増やすものであり、従来どおり自宅等で保管していただくことも可能です。

Do I have to deposit the self-signed certificate will at the required legal bureau (will test depository) when I create it?

This system will increase the option to keep wills related to autograph deeds wills at the Legal Affairs Bureau (will will storage), and you can also keep them at home etc. as before.

自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選べばよいですか。

自筆証書遺言と公正証書遺言の主な特徴については、パンフレットに記載していますので参考にしてください。なお、どちらを選ぶべきかは、ご本人の判断ですので、法務局(遺言保管所)ではお答えできません。

Should I choose between a self-signed will and a notarized will?

Please refer to the pamphlet for the main features of the testamentary will and the notarized will. Please note that it is up to you to decide which one to choose, and the Legal Affairs Bureau (will-will storage) cannot answer.

7月の相談会と講座のご案内

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え
後援(株)ラジオ沖縄 

日時:令和2年7月31日(金)14時~17時  
場所: 司法書士宮城事務所(西原町)
要予約 電話・HP・メール
問い合わせ先:司法書士宮城事務所(098)945-9268、HP,メール【shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp】
料金:1組5000円

7月30日は講座です。

押印についてのQ&A

法務省HP 20200630閲覧

http://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf

                         令和2年6月 19 日

                            内 閣 府

                            法 務 省

                            経 済 産 業 省

問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。

・ 私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。

・ 特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。

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契約自由の原則のうち、契約方式の自由(伊藤眞『民法2債権各論 第3版』P18)。

特段の定め・・・定期借地権(借地借家法22条)は公正証書による書面等でしなければならない、など。

ここからは、契約書、文書、書面を「契約締結のための情報とそれに付随する情報」と読み替えて考えてみます。

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問2.押印に関する民事訴訟法のルールは、どのようなものか。

・ 民事裁判において、私文書が作成者の認識等を示したものとして証拠(書証)になるためには、その文書の作成者とされている人(作成名義人)が真実の作成者であると相手方が認めるか、そのことが立証されることが必要であり、これが認められる文書は、「真正に成立した」ものとして取り扱われる。

民事裁判上、真正に成立した文書は、その中に作成名義人の認識等が示されているという意味での証拠力(これを「形式的証拠力」という。)が認められる。

・ 民訴法第 228 条第4項には、「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という規定がある。

この規定により、契約書等の私文書の中に、本人の押印(本人の意思に基づく押印と解釈されている。)があれば、その私文書は、本人が作成したものであることが推定される。

・ この民訴法第 228 条第4項の規定の内容を簡単に言い換えれば、裁判所は、ある人が自分の押印をした文書は、特に疑わしい事情がない限り、真正に成立したものとして、証拠に使ってよいという意味である。そのため、文書の真正が裁判上争いとなった場合でも、本人による押印があれば、証明の負担が軽減されることになる。

・ もっとも、この規定は、文書の真正な成立を推定するに過ぎない。その文書が事実の証明にどこまで役立つのか(=作成名義人によってその文書に示された内容が信用できるものであるか)といった中身の問題(これを「実質的証拠力」という。)は、別の問題であり、民訴法第 228 条第4項は、実質的証拠力については何も規定していない。

・ なお、文書に押印があるかないかにかかわらず、民事訴訟において、故意又は重過失により真実に反して文書の成立を争ったときは、過料に処せられる(民訴法第 230 条第1項)。

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・文書が成立したこと(形式的な不備がない。)

・文書が当事者の意思、事実を反映していること。

を別に考える。

・文書が当事者の意思、事実を反映していることに関しては、押印の有無は関係がない。

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問3.本人による押印がなければ、民訴法第228条第4項が適用されないため、文書が真正に成立したことを証明できないことになるのか。

・ 本人による押印の効果として、文書の真正な成立が推定される(問2参照)。

・ そもそも、文書の真正な成立は、相手方がこれを争わない場合には、基本的に問題とならない。また、相手方がこれを争い、押印による民訴法第 228 条第4項の推定が及ばない場合でも、文書の成立の真正は、本人による押印の有無のみで判断されるものではなく、文書の成立経緯を裏付ける資料など、証拠全般に照らし、裁判所の自由心証により判断される。他の方法によっても文書の真正な成立を立証することは可能であり(問6参照)、本人による押印がなければ立証できないものではない。

・ 本人による押印がされたと認められることによって文書の成立の真正が推定され、そのことにより証明の負担は軽減されるものの、相手方による反証が可能なものであって、その効果は限定的である(問4、5参照)。

・ このように、形式的証拠力を確保するという面からは、本人による押印があったとしても万全というわけではない。そのため、テレワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略したり、「重要な文書だからハンコが必要」と考える場合であっても押印以外の手段で代替したりすることが有意義であると考えられる。

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・テレワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略したり、「重要な文書だからハンコが必要」と考える場合であっても押印以外の手段で代替したりすることが有意義であると考えられる。

文書の成立について争う可能性がなければ、本人によるハンコを省略することも有意義。

重要な文書であっても、ハンコ以外の方法で代替することも可能。法に基づく電子署名以外で、例えば何が思い浮かぶでしょうか。

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問4.文書の成立の真正が裁判上争われた場合において、文書に押印がありさえすれば、民訴法第 228 条第4項が適用され、証明の負担は軽減されることになるのか。

・ 押印のある文書について、相手方がその成立の真正を争った場合は、通常、その押印が本人の意思に基づいて行われたという事実を証明することになる。

・ そして、成立の真正に争いのある文書について、印影と作成名義人の印章が一致することが立証されれば、その印影は作成名義人の意思に基づき押印されたことが推定され、更に、民訴法第228条第4項によりその印影に係る私文書は作成名義人の意思に基づき作成されたことが推定されるとする判例(最判昭 39・5・12民集 18 巻4号 597 頁)がある。これを「二段の推定」と呼ぶ。

・ この二段の推定により証明の負担が軽減される程度は、次に述べるとおり、限定的である。

① 推定である以上、印章の盗用や冒用などにより他人がその印章を利用した可能性があるなどの反証が相手方からなされた場合には、その推定は破られ得る。

② 印影と作成名義人の印章が一致することの立証は、実印である場合には印鑑証明書を得ることにより一定程度容易であるが、いわゆる認印の場合には事実上困難が生じ得ると考えられる(問5参照)。

・ なお、次に述べる点は、文書の成立の真正が証明された後の話であり、形式的証拠力の話ではないが、契約書を始めとする法律行為が記載された文書については、文書の成立の真正が認められれば、その文書に記載された法律行為の存在や内容(例えば契約の成立や内容)は認められやすい。他方、請求書、納品書、検収書等の法律行為が記載されていない文書については、文書の成立の真正が認められても、その文書が示す事実の基礎となる法律行為の存在や内容(例えば、請求書記載の請求額の基礎となった売買契約の成立や内容)については、その文書から直接に認められるわけではない。このように、仮に文書に押印があることにより文書の成立の真正についての証明の負担が軽減されたとしても、そのことの裁判上の意義は、文書の性質や立証命題との関係によっても異なり得ることに留意する必要がある。

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押印は文書の成立(形式的証拠力)を認める1つの資料。実質的証拠力は、文書の性質や何を証明したいかによる。

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問5.認印や企業の角印についても、実印と同様、「二段の推定」により、文書の成立の真正について証明の負担が軽減されるのか。

・ 「二段の推定」は、印鑑登録されている実印のみではなく認印にも適用され得る(最判昭和 50・6・12 裁判集民 115 号 95 頁)。

・ 文書への押印を相手方から得る時に、その印影に係る印鑑証明書を得ていれば、その印鑑証明書をもって、印影と作成名義人の印章の一致を証明することは容易であるといえる。

・ また、押印されたものが実印であれば、押印時に印鑑証明書を得ていなくても、その他の手段により事後的に印鑑証明書を入手すれば、その印鑑証明書をもって、印影と作成名義人の印章の一致を証明することができる。ただし、印鑑証明書は通常相手方のみが取得できるため、紛争に至ってからの入手は容易ではないと考えられる。

・ 他方、押印されたものが実印でない(いわゆる認印である)場合には、印影と作成名義人の印章の一致を相手方が争ったときに、その一致を証明する手段が確保されていないと、成立の真正について「二段の推定」が及ぶことは難しいと思われる。そのため、そのような押印が果たして本当に必要なのかを考えてみることが有意義であると考えられる。

・ なお、3Dプリンター等の技術の進歩で、印章の模倣がより容易であるとの指摘もある。

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実印でない場合・・・二段の推定が及ぶことは難しい。

実印である場合・・・3Dプリンター等の技術の進歩に注意する。

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問6.文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。

・ 次のような様々な立証手段を確保しておき、それを利用することが考えられる。

① 継続的な取引関係がある場合

取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる。)

② 新規に取引関係に入る場合

契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存

本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存

文書や契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存

③ 電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)

・ 上記①、②については、文書の成立の真正が争われた場合であっても、例えば下記の方法により、その立証が更に容易になり得ると考えられる。また、こういった方法は技術進歩により更に多様化していくことが想定される。

(a) メールにより契約を締結することを事前に合意した場合の当該合意の保存

(b) PDF にパスワードを設定

(c) (b)の PDF をメールで送付する際、パスワードを携帯電話等の別経路で伝達

(d) 複数者宛のメール送信(担当者に加え、法務担当部長や取締役等の決裁権者を宛先に含める等)

(e) PDF を含む送信メール及びその送受信記録の長期保存

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押印に代わる方法の例示。

・請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、相手のメールアドレス・本文、日時などの送受信記録を保存しておけば、文書が成立したと認められる重要な一事情になり得る。

・電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)

主に後者。クラウド型電子署名について新たに記録。

信託契約書に記載されている金銭と、口座に入金した金額が違う場合

 

 

あるメールマガジンの記事です。下線は私です。

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2000万円の金銭信託、3000万円口座に入金したらどうなる?

今回はこのような内容をメインで議論しました。その逆もあり得ますよね。

3000万円の金銭信託で、2000万円しか口座に入れなかったらどうなるか。

つまり、信託の設定より少ない場合と、設定より多い場合ですね。

いずれにしても、書籍にはまず書いていない内容でしょうね。実務をしているからこそ出てくる問題。

少ない場合 (3000万円の金銭信託で、2000万円しか口座に入れなかった)

協会のメンバーからは、そもそも、聞き取りが上手くいっていなかったという厳しい指摘も。

残りの1000万円を管理していいないのだから、受託者の責任が問われますよね。

親から子の信託で、信託契約3000万円、口座に入金2000万円、残りの1000万円を填補する責任が問われます。

誰が問うか?受益者です。?

つまり、受益者である親が、受託者である子に対して「残りの1000万円ちゃんと口座に入金して管理しなさい」って言える(信託法40条1項)

でも、その親が1000万円入れてくれないのだから、しょうがないです。

関与した、専門家としては、信託の変更をすべき場面と言えるでしょう。

でも、協会メンバーからはこんなシーンもあったそうです。

3000万円の信託、1000万円を口座に入れた。

残り2000万円を入れようと思っていたら、コロナ騒動。銀行に行くにいけない状態。その間に、委託者がすっかり認知症で判断能力がなくなったそう。そうすると、残りの2000万円は信託の口座に動かせないですよね。ですから、認知症対策で信託を組む場合は、迅速さが求められるでしょう。

今回のコロナはしょうがないとしても、転んでけがしたとか、病気になって、急遽入院することになったとかも、あり得ます。

何があるかわかりませんから、素早く財産の移動まで行う必要がありますよね。

■ 多い場合 (2000万円の金銭信託で、3000万円入金した)追加信託をしましょう!と言うことですね。(笑)

では、追加信託の書類を作っていなかったらどうなるか?つまり、贈与税の問題です。

これについては、受益者が誰かがポイントになりそうです。委託者兼受益者の自益信託の場合は、自分のお金を余計に信託の口座に入金して、そして自分が受益者。

となると、税務的には、贈与税の問題はなさそうと、協会のメンバーからの意見でした。確かに、自益信託ですから贈与税の問題はなさそうですね。(相続税法9条の2 第1項)

でも、税務的には問題がなくても民事的には問題です。親から子の信託で、他の子からクレームがでるかもしれません。

ですからの後々のトラブルを防ぐためにも、早めに追加信託の手続きをしておくべきでしょうね。

 

いずれにしても、信託の設定金額と、信託の口座への入金金額が、大きく異なる場合、問題が生じる可能性があります。(特に民事上)

ですから、その場合は、信託の変更や追加信託をするなりして、迅速に対処した方が良さそうですね。

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少ない場合 (3000万円の金銭信託で、2000万円しか口座に入れなかった)

私に関しては、今のところ金融機関が事前に契約書をチェックして、信託口通帳作成時に入金確認をするので、金額がずれる、ということはないのですが、今後何かの事情でこのようなことはあり得るかもしれません。

少ない場合も多い場合も、最初に考えるのは分別管理が可能か否か、ではないかなと考えます。

これは信託口通帳は必ずしも作成する必要はない、と記載している専門家の方々がいつも言っていることです。信託契約書で口座が特定されていたら、受託者名義の通帳で良い、というような主張です。

 

分別管理が不可能であれば、その後信託法40条、103条、149条、163条などの順番で考えていくのが筋として良いのかなと感じます。

この点については、税務と民事法に異なる点はないのではないかと考えます。

またコロナも関係がないと考えます。

 

 

 

 

第201回国会(常会)において成立した法律

 

衆議院HP 2020年6月19日閲覧 加工

http://www.shugiin.go.jp/internet/index.nsf/html/index.htm

 

家畜伝染病予防法の一部を改正する法律 交付の日に施行

養豚農業振興法の一部を改正する法律 公布の日から施行

地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律 効力を令和七年三月三十一日まで延長

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律 令和二年五月一日から施行

令和二年度特別定額給付金等に係る差押禁止等に関する法律 公布の日から施行

公職選挙法の一部を改正する法律 公布の日から起算して六月を経過した日から施行

防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行

令和二年度ひとり親世帯臨時特別給付金等に係る差押禁止等に関する法律 公布の日から施行

外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律 令和2年5月29日公布

地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律 令和 2年 2月 5日公布

平成三十年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律 令和 2年 2月 5日公布

所得税法等の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

防衛省設置法の一部を改正する法律 令和 2年 4月24日公布

国家戦略特別区域法の一部を改正する法律 令和 2年 6月 3日公布

地方税法等の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

地方交付税法等の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

関税定率法等の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

労働基準法の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

雇用保険法等の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

土地基本法等の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律

 令和 2年 5月20日公布

道路法等の一部を改正する法律 令和 2年 5月27日公布

電波法の一部を改正する法律 令和 2年 4月24日公布

裁判所職員定員法の一部を改正する法律 令和 2年 4月24日公布

在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律 令和 2年 3月31日公布

文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律

 令和 2年 4月17日公布

持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律 令和 2年 6月 3日公布

都市再生特別措置法等の一部を改正する法律 令和 2年 6月10日公布

特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律 令和 2年 6月 3日公布

特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律 令和 2年 6月 3日公布

株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律 令和 2年 5月22日公布

家畜伝染病予防法の一部を改正する法律 令和 2年 4月 3日公布

強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日

聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律 令和 2年 6月12日

電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律 令和 2年 5月22日

無人航空機等の飛行による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律 公布日未定

マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律 公布日未定

地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律 令和 2年 5月27日公布

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律 令和 2年 6月10日公布

復興庁設置法等の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日公布

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律 令和 2年 6月 5日公布

家畜改良増殖法の一部を改正する法律 令和 2年 4月24日

家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律 令和 2年 4月24日

道路交通法の一部を改正する法律  令和 2年 6月10日

割賦販売法の一部を改正する法律 公布日未定

金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日

公益通報者保護法の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日

地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 公布日未定

森林組合法の一部を改正する法律 令和 2年 6月 3日

新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律 令和 2年 3月13日

科学技術基本法等の一部を改正する法律 公布日未定

個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日

著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律 令和 2年 6月12日

中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律 公布日未定

大気汚染防止法の一部を改正する法律 令和 2年 6月 5日

新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律 令和 2年 4月30日

地方税法等の一部を改正する法律 令和 2年 4月30日

株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律 公布日未定

金融機能の強化のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律 公布日未定

新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律 令和 2年 6月12日

遠藤英嗣先生「民事信託の基礎と実務」講義メモ

6月17日、(一社)民事信託推進センターの実務入門講座が、zoomを利用してオンライン生中継で行われました。運営の皆さまありがとうございます。

ついに物理的な距離がなくなって、個人的には嬉しいことです。

内容メモ

・相続は(換金可能性が高い)財産がないほど苛烈に揉める。

そのようなことは一概にはいえないと思います。もともと財産が少ない人の割合の方が多いと思います。遺産分割調停などに持ち込まれる事件の割合と相関があるのか、調べてみないと断言出来ないと感じました。

・遺言は効力を失った。

相続法改正を踏まえてのことだと思いますが、効力は失ってないし登記を先にすれば良いことだと思います。また法定相続分の登記が先にされたとしても、第三者に対抗することが出来ないだけで、当事者同士で和解、強制執行などの解決方法はあるのではないかと考えます。

・家族信託の3つの成立要件のうちの1つ、受託者と受益者の信認関係が確立されていること。受益者代理人が設置されていること。

遠藤弁護士は、提携している金融機関で家族信託をチェックする立場からこのことを成立要件の1つとしていました。信認関係についての具体的基準は示されません。受益者代理人を選任することが出来る、と信託契約書に入っていて、内容がよっぽど受託者中心でない限り、金融機関のチェックは通るのかなと感じました。個人的には、受益者代理人は必須ではないし、置く場合は慎重になる必要があると考えます。東京に事務所がなくて良かったと感じました。

・誰のものでもない財産

私の考えでは、民法上は受託者の財産です。税法上は受益者の財産です。

・物がないと信託は成立しない

譲渡制限のついていない、法律上制約がない債権はどうなるのかなと感じます。

・信託の目的と信託の設定目的がある

信託の目的は信託法上の目的で、信託の設定目的は信託を設定するにいたった目的のようでした。ここは理解できませんでした。

・信託の変更と信託行為の変更がある

ここも理解出来ませんでした。

・受託者と受益者の合意による信託の終了はだめ

遠藤弁護士は、提携している金融機関で家族信託をチェックする立場からこのことを指摘していました。理由は終了基準が曖昧だから、受益者が認知症になっていた場合は受益者の意思に反することになるから、ということでした。

「その他信託法による終了事由により本信託は終了する。」などを追加することで解決できるのではないかと感じました。

・自筆遺言証書保管制度は使えない

理由は、利用者が書類を揃えることが大変なこと、相続人が適切に処理することは難しい、ということでした。

個人的に問題ないと感じました。

1行で書いていますが、文脈は捉えているつもりです。間違っていたら指摘していただきたいと思います。

唯一残念だったのは、みんながオンラインで同じ時間にみているのに、チャットが運営の方しか見えないようになっていたことです。これでは同じ時間に観る意味があまりありません。講師に質問は出来ないとしても、受講者同士でやり取り出来る環境は必要だと感じました。私は1人でチャット欄に書き込んでいました。

取締役会議事録と電子署名

商業登記規則第102条第5項第2号(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する法務大臣が定める電子証明書について

法務省HP 2020年6月17日閲覧

第3 電子証明書の取得

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html#05

  • 添付書面情報作成者が印鑑提出者でない場合
  • 添付書面に市町村の印鑑証明書が必要とされているもの・添付書面に認証者の認証が必要とされている場合の,認証者に関するもの

上の2つの条件を満たす場合、下の企業が提供するクラウド型電子契約サービスを利用することが出来ます。

・「Cybertrust iTrust Signature Certification Authority」

(サイバートラスト株式会社)

(弁護士ドットコム株式会社が被認証者になっているものに限る。)

https://www.cloudsign.jp/media/20200615-syougyoutouki/

・「GlobalSign CA 2 for AATL」

(GMOグローバルサイン株式会社)

(添付書面情報作成者本人又はGMOクラウド株式会社が被認証者になっているものに限る。)

私は未だ利用したことがなく、商業登記でクラウド型電子認証の施された取締役会議事録が持ち込まれたこともありません。

サイトを読む限りですが、順序を想定します。

例:取締役会議事録の場合

  • 取締役会を開催して議事録を作成する。
  • 作成された議事録をPDF化して、1人の取締役が、各取締役のメールアドレスを記載し、サービス提供者に送る。
  • サービス提供者は、各取締役のメールアドレスにPDF化された取締役会議事録を閲覧することが出来るURLを送信する。
  • 各取締役は、内容を確認後に押印(ワードの文字入り図形のようなもの)する。
  • 全ての取締役の押印が完了したら、サービス提供者が電子署名及び認証業務に関する法律による電子署名(オプションとしてタイムスタンプもある)を行う。
  • サービス提供者は、自社のクラウド(データセンター・サーバー)に取締役会議事録を保存し、各取締役が確認、保存出来る状態にする。

司法書士に持ち込まれた場合

  • 企業から、取締役会議事録とサービス提供者の電子証明書が、メールか印刷された形で提出される。
  • 確認後、他に必要な情報があれば作成・収集し、押印か電子署名を求める。委任状には、企業が電子署名及び認証業務に関する法律による電子署名による電子署名を行う。
  • 申請用総合ソフトを使用して登記申請する。

というような形になると思います。

「信託管理人・信託監督人・受益者代理人制度の隙間問題への実務的対応」について

田中和明「信託管理人・信託監督人・受益者代理人制度の隙間問題への実務的対応」[1]について、考えてみたいと思います。

信託管理人、信託監督人、受益者代理人の制度について、制度創設の理由から、信託法の解釈から出来ること、出来ないことが簡潔に分かりやすく解説されていると感じました。

・隙間問題はどこか。

下線は私です。

p9 ―民事信託の実務においては、後継ぎ遺贈型の受益者連続信託のように、信託期間が長期にわたり、かつ、現存の受益者と将来に受益者となるべき者とが存在するような信託においては、これらすべての受益者となるべき者の公平を勘案しながら、数十年の長期間にわたり、受益者への金銭交付の時期・金額・方法等を定める権限を有する者や受益者指定権・変更権を行使する者が求められている。

 このような場合、信託管理人、信託監督人、受益者代理人、さらには、信託行為の定めにより授権した第三者が、この役割を担うことが想定される。

 しかし、私見はさておき、前述したとおり、学説の通説的見解では、信託管理人、信託監督人のいずれも、この役割を担うことはできないものと解されている。-

・すべての受益者となるべき者の公平を勘案しながら、数十年の長期間にわたり、受益者への金銭交付の時期・金額・方法等を定める権限を有する者や受益者指定権・変更権を行使する者が求められているのか。

それを行うのが受託者の仕事なのかなと感じます。

著者は、これらの権限を持つ者を信託監督人が兼任することを提唱されています。信託監督人に適正な人(法人を含めます。)を充てることが可能であれば、機能すると考えます。想像ではありますが、信託監督人には専門職の士業などが想定されているのではないかと思いました。

一般市民は受託者の仕事でも簡単ではないのに、受益者を指定・変更したり将来の受益者との公平を勘案することは、少し難しく感じます。私が信託監督人なら、現段階では無理です。

私がやるとすれば、任意後見契約の同意権目録に記載して、任意後見監督人に行ってもらいます。信託監督人を就ける必要がある民事信託・家族信託の状況によって使い分けを行えるようになると、幅も広がるのかなと感じます。


[1]  『市民と法123号P3~』2020年(株)民事法研究会

株券を発行する旨の定款の定めの廃止

株券を発行している株式会社が、株券を発行しない株式会社に変更する場合、定款に定められた方法による公告と、株主などに対する通知が必要です[1]

例 官報の場合(縦書き)

定款変更につき通知公告

 当社は、○○年○○月○○日付で株券を発行する旨の定款の定めを廃止することに致しましたので公告します。

 ○○年○○月○○日

 本店の場所

株式会社○○ 代表取締役 ○○

インターネット版官報のご利用にあたって

https://kanpou.npb.go.jp/guidance.html

プラス 株主名簿上の株主に対する通知(同じ内容)。

・株券提供公告(会社法219条[2])は必要か

「株主が、会社に株券を返す公告も必要じゃないか。」と質問されました。

株主が、会社に株券の提供をお願いする公告は必要ありません。会社法219の要件に当てはまらないからです。


[1]

(株券を発行する旨の定款の定めの廃止)(Abolition of Provisions of Articles of Incorporation That Share Certificates Be Issued)

第二百十八条 株券発行会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、当該定款の変更の効力が生ずる日の二週間前までに、次に掲げる事項を公告し、かつ、株主及び登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。

Article 218 (1) If a Share Certificate-Issuing Company intends to effect an amendment to the articles of incorporation to abolish provisions of the articles of incorporation to the effect that it issues share certificates for its shares (or, for a Company with Class Shares, shares of all classes), it must give public notice of the following matters, and give separate notice thereof to each shareholder and each Registered Pledgee of Shares no later than two weeks prior to the day on which such amendment to the articles of incorporation takes effect:

一 その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する旨

(i) a statement to the effect that the Stock Company abolishes the provisions of the articles of incorporation to the effect that it issues share certificates for its shares (or, for a Company with Class Shares, shares of all classes);

二 定款の変更がその効力を生ずる日

(ii) the day on which the amendment to the articles of incorporation will take effect; and

三 前号の日において当該株式会社の株券は無効となる旨

(iii) a statement to the effect that the share certificates of such Stock Company become invalid on the day provided for in the preceding item.

2 株券発行会社の株式に係る株券は、前項第二号の日に無効となる。

(2) Share certificates representing the shares of a Share Certificate-Issuing Company become invalid on the day provided for in item (ii) of the preceding paragraph.

3 第一項の規定にかかわらず、株式の全部について株券を発行していない株券発行会社がその株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとする場合には、同項第二号の日の二週間前までに、株主及び登録株式質権者に対し、同項第一号及び第二号に掲げる事項を通知すれば足りる。

(3) Notwithstanding the provisions of paragraph (1), in cases where a Share Certificate-Issuing Company that does not issue share certificates for any of its shares intends to effect an amendment to the articles of incorporation to abolish provisions of the articles of incorporation to the effect that it issues share certificates for its shares (or, for a Company with Class Shares, shares of all classes), it is sufficient to notify the shareholders and Registered Pledgees of Shares of the matters listed in item (i) and item (ii) of that paragraph no later than two weeks prior to the day provided for in item (ii) of that paragraph.

4 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

(4) A public notice may be substituted for the notice under the provisions of the preceding paragraph.

5 第一項に規定する場合には、株式の質権者(登録株式質権者を除く。)は、同項第二号の日の前日までに、株券発行会社に対し、第百四十八条各号に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。

(5) In the cases provided for in paragraph (1), pledgees of shares (excluding Registered Pledgees of Shares) may, no later than the day immediately preceding the day provided for in item (ii) of that paragraph, demand that the Share Certificate-Issuing Company state or record the matters listed in each item of Article 148 in the shareholder register.

[2]

(株券の提出に関する公告等)(Public Notice in Relation to Submission of Share Certificate)第二百十九条 株券発行会社は、次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日(第四号の二に掲げる行為をする場合にあっては、第百七十九条の二第一項第五号に規定する取得日。以下この条において「株券提出日」という。)までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を株券提出日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。

Article 219 (1) In cases where a Share Certificate-Issuing Company carries out an act listed in the following items, it must, more than one month prior to the day when such act takes effect (in cases of performing the act listed in item (iv)-2, the Acquisition Day prescribed in Article 179-2, paragraph (1), item (v); hereinafter the day is referred to as the “Share Certificate Submission Day”), give public notice to the effect that share certificates representing the shares provided for in each of such items be submitted to such Share Certificate-Issuing Company before the Share Certificate Submission Day, and a separate notice to such effect to each shareholder and each Registered Pledgee of Shares thereof; provided, however, that this does not apply in cases where the Share Certificate-Issuing Company does not issue share certificates for any of its shares:

一 第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式)

(i) amendments to the articles of incorporation to create provisions of the articles of incorporation with respect to the matters listed in Article 107, paragraph (1), item (i): All shares (or, for a Company with Class Shares, the class shares that have provisions with respect to such matters);

二 株式の併合 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式)

(ii) consolidation of shares: All shares (or, for a Company with Class Shares, the class shares under Article 180, paragraph (2), item (iii));

三 第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得 当該全部取得条項付種類株式

(iii) acquisitions of Shares Subject to Class-Wide Call provided for in Article 171, paragraph (1): Such Shares Subject to Class-Wide Call;

四 取得条項付株式の取得 当該取得条項付株式(iv) acquisitions of Shares Subject to Call: Such Shares Subject to Call;

四の二 第百七十九条の三第一項の承認 売渡株式

(iv)-2 approval set forth in Article 179-3, paragraph (1): Shares Subject to the Cash-Out;五 組織変更 全部の株式

(v) Entity Conversion: All shares;

六 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の株式(vi) Merger (but only if the Stock Company disappears in the merger): All shares;

七 株式交換 全部の株式

(vii) Share Exchanges: All shares;

八 株式移転 全部の株式(viii) Share Transfers: All shares.

2 株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合において、株券提出日までに当該株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該各号に定める者は、当該株券の提出があるまでの間、当該行為(第二号に掲げる行為をする場合にあっては、株式売渡請求に係る売渡株式の取得)によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。

(2) In cases where a Share Certificate-Issuing Company performs the acts listed in the following items, if a person fails to submit the share certificates to the Share Certificate-Issuing Company by the Share Certificate Submission Day the person specified in each of those items may refuse to deliver Monies, etc. to the shareholders of the shares pertaining to the share certificates by that act (in cases of performing acts listed in item (ii), acquisition of Shares Subject to Cash-Out pertaining to Demand for Cash-Out) until the share certificates are submitted:

一 前項第一号から第四号までに掲げる行為 当該株券発行会社

(i) acts listed in the items (i) through (iv) of the preceding paragraph: the Share Certificate-Issuing Company;

二 第百七十九条の三第一項の承認 特別支配株主

(ii) approval set forth in Article 179-3, paragraph (1): Special Controlling Shareholders;三 組織変更 第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社

(iii) Entity Conversion: Membership Company after Entity Conversion prescribed in Article 744, paragraph (1), item (i);

四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社

(iv) merger (but only if the Stock Company disappears in the merger): the Company Surviving the Absorption-type Merger as prescribed in Article 749, paragraph (1) or the Company Incorporated in the Consolidation-type Merger as prescribed in Article 753, paragraph (1);

五 株式交換 第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社

(v) Share Exchange: The Wholly Owning Parent Company Resulting from the Share Exchange as prescribed in Article 767; and

六 株式移転 第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社

(vi) share transfer: The Wholly Owning Parent Company Incorporated in a Share Transfer as prescribed in Article 773, paragraph (1), item (i).

3 第一項各号に定める株式に係る株券は、株券提出日に無効となる。

(3) Share certificates representing the shares provided for in each item of paragraph (1) become invalid on the Share Certificate Submission Day.

4 第一項第四号の二の規定による公告及び通知の費用は、特別支配株主の負担とする。(4) The cost of public notice and notice pursuant to the provisions of paragraph (1), item (iv)-2 is paid by the Special Controlling Shareholder.