高橋弘「成年後見制度の課題と民事信託の連携の可能性」

月報司法書士[1]の記事です。

第1はじめに

第2成年後見制度の概要(任意後見と法定後見)

第3成年後見制度の現状(必要とする人の5分の1から6分の1の人しか制度にアクセスできていない状況、成年後見制度支援信託等の投入)

第4基本計画の概要(成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づく基本計画など)

第5成年後見制度の課題

1制度全般の課題

障害者権利条約に沿う制度へ。

家庭裁判所の監督体制の限界。

2基本計画達成のための課題

本人の意思決定支援過程の基準の変換

地域連携ネットワーク

移行型任意後見契約の乱用防止

第6民事信託の概要

1信託とは

2民事信託とは

第7 我が国の民事信託の現状

公的監督制度を持たない

イギリスでは公的監督の必要性の議論が始まっている

第8 成年後見制度と民事信託連携の可能性

1 シンガポールのSNTC

非営利特別支援信託会社が受託者、法務省の局がバックアップ。成年後見制度との連携を併用。

2制度の連携に向けて

シンガポールのように、国の機関による直接のバックアップが受けられる民事信託の運用を実現することが理想的である。

理想を実現するまでの過渡期においては、民事信託会社が信託業務を兼営する金融機関の協力(バックアップ)を得て受託者となる民事信託と、成年後見制度を融合させた仕組みを利用。

第9 おわりに

成年後見制度と司法書士(と(公社)リーガルサポート)との関係、歴史。

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第3成年後見制度の現状(必要とする人の5分の1から6分の1の人しか制度にアクセスできていない状況、成年後見制度支援信託等の投入)について。

私の肌感では、本来利用した方が良い人が利用できない、してないことが多いというのはあると思います。また、利用せざるを得ない状況になってから、少し後悔しつつ決められた事だから仕方なく従う、というような人が一定数いると感じます。

第7 我が国の民事信託の現状

公的監督制度を持たない。イギリスでは公的監督の必要性の議論が始まっている、について。

信託開始当初から、常時公的監督をして欲しい、というニーズは一定程度あるのかもしれないと思います。

https://www.gov.uk/trusts-taxes/types-of-trust

第8 成年後見制度と民事信託連携の可能性

1 シンガポールのSNTC

非営利特別支援信託会社が受託者、法務省の局がバックアップ。成年後見制度との連携を併用。

2制度の連携に向けて

シンガポールのように、国の機関による直接のバックアップが受けられる民事信託の運用を実現することが理想的である。

理想を実現するまでの過渡期においては、民事信託会社が信託業務を兼営する金融機関の協力(バックアップ)を得て受託者となる民事信託と、成年後見制度を融合させた仕組みを利用、について。

シンガポールの信託制度が日本にとって理想的とは思えませんでした。2の制度の連携に出てくる民事信託会社は、(一社)民事信託士協会が中心となって設立予定の信託会社を想起させてしまいます。そうでなかったらすみません。

選択肢としてあっても良いとは思いますが、記事の中ではっきり記載してもらった方がすっきりします。


[1] 日本司法書士会連合会2020.7 №581 P23~

遠藤英嗣「家族民事信託の現状と展望」

月報司法書士[1]に、遠藤英嗣弁護士が寄稿されていました。

第1 家族民事信託の現状

1 一時の勢いはなくなりつつある家族民事信託の利用

2 民事信託は認知症対策とともに資産承継機能への転換期に入る

  • 後見的な財産管理機能の役割(認知症対策)
  • 資産承継機能の役割とその重要性(遺産分割協議不要、後継ぎ遺贈型受益者連続)

3信託組成者によるいわゆる「やっつけ仕事」が多く、紛議性の高い信託契約書等が数多く世に出回っていること

  • 奔放野放図な家族信託の組成(受託者(残余財産の帰属権利者など)の思いを過度に反映させるもの)
  • 意味が変わりつつある「信託の登記をすれば、あとは安心」(信託契約書に、受益権の内容が記載されていない)

4 より慎重になりつつある金融機関

  • 民事信託利用の趨勢は金融機関の信託口座の開設にかかっている
  • 信託口座を開設する金融機関の責任は重い

5 隠れて作られている「信託もどき口座」

  • 公正証書で作成しない信託契約書
  • 「信託口座もどき口座」の開設でごまかす(屋号口座の危険性)

6 取組みに積極的な司法書士、慎重な弁護士、税理士

  • いわゆる「立ち位置」が難しい家族信託支援業務(利益相反など)
  • 信託口座開設に関わる多くの司法書士

7 家族信託の専門家を名乗る者に大きな衝撃を与えた平成30年9月の東京地裁判決

8 家族信託の課題を解決する当面の方策

  • 信託実務能力を有する専門家に家族信託支援業務を依頼することの大事さ(ネットワークを持っている専門家)
  • 信託関係人に特異な信託を理解してもらうこと
  • 公証人に頼るのは難しい

9 民事信託支援業務における専門職の責任

  • 専門職が株式会社の名で民事信託支援業務を始める(株式会社を設立して会社名で受任)
  • 信託契約書の事前リーガルチェックの依頼(多くなっている)

第2 家族民事信託の展望

1 家族民事信託の新たな大きな役割

民法899条の2(登記が第三者対抗要件となる)の存在により、家族民事信託は今後広がっていく。

2 専門職による信託専門分業化(出来ることを出来ないことを依頼者に伝える)

3 「危うい信託」の自然淘汰

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というような内容でした。第1 家族民事信託の現状については、たしかにそのような傾向があるかもしれないと思わされました。原因が東京地判平成30年9月の判決なのかは私には分かりません。また、この判決は最高裁ではないからまだ100%決まったわけではない、という方もいらっしゃいます。これは確かに100%ではないですね。私は訴訟になるのが嫌で、最高裁まで争う気力もないので、そこまでは出来ないです。

奔放野放図な家族信託の組成(受託者(残余財産の帰属権利者など)の思いを過度に反映させるもの)、意味が変わりつつある「信託の登記をすれば、あとは安心」(信託契約書に、受益権の内容が記載されていない)、については、受益権の内容が記載されていない、の部分は一定の量であると思いますが、相続人による遺産の囲い込み、というのは私の周りではあまりないので実感がわきませんでした。

隠れて作られている「信託もどき口座」、について屋号口座は県外では聞きます。信託契約書で特定しておけば大丈夫、民事信託専用の口座でなければいけない、など半々な感じを受けています。沖縄県内の地銀は、全て信託専用口座を作成してくれるので、この面では恵まれていると思います。

取組みに積極的な司法書士、慎重な弁護士、税理士、というのはどうなのでしょう。県内と、私が知る限りの県外では消極的、慎重な士業を見つけるのが難しい

というのが体感です。

特に不動産会社と提携のある士業と一部の金融機関が過度に積極的という印象を現時点で持っています。

専門職が株式会社の名で民事信託支援業務を始める(株式会社を設立して会社名で受任)、は初めて聞きましたが、ここまで露骨ではなくても近いようなことは確かにあります。一般社団法人を設立して受任する、法人の中には入っていないけれど、その法人の家族信託に関してはセミナー、コンサルティング、実務を行い実質的に法人の業務を全て行っている(または名前をちらつかせる)。違法なのかはグレーだと考えますが、責任は関わった分取ることになるのだと思います。

第2 家族民事信託の展望、については遠藤弁護士の展望の通りになってくれたら良いなぁと思います。

他に個人的に思うことは、地方の公証人には理解のある方がいて、公証人会連合会で決められているからといって断るのではなく、理詰めで話せば分かってくれる方がいます。ただ、今は少し待っていて、と言われています。

また一部の金融機関に関して、不可解な理由で信託口口座の開設を認めないといわれることがあります。それが公正証書作成の前日だったりするので、このようなことが無くなって欲しいと思います。


[1] 日本司法書士会連合会2020.7№581、P16~

新井誠「成年後見制度と民事信託のハイブリッド活用法」

月報司法書士[1]の記事に、新井誠中央大学教授の記事が掲載されていました。

障害者権利条約[2]が考えていく基本となっています。12条を転載します。

第十二条 法律の前にひとしく認められる権利

1締約国は、障害者が全ての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。

2締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。

3締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機会を提供するための適当な措置をとる。

4締約国は、法的能力の行使に関連する全ての措置において、濫用を防止するための適当かつ効果的な保障を国際人権法に従って定めることを確保する。当該保障は、法的能力の行使に関連する措置が、障害者の権利、意思及び選好を尊重すること、利益相反を生じさせず、及び不当な影響を及ぼさないこと、障害者の状況に応じ、かつ、適合すること、可能な限り短い期間に適用されること並びに権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査の対象となることを確保するものとする。当該保障は、当該措置が障害者の権利及び利益に及ぼす影響の程度に応じたものとする。

5締約国は、この条の規定に従うことを条件として、障害者が財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用を利用する均等な機会を有することについての平等の権利を確保するための全ての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。

次に、条約に影響を与えたといわれる欧州評議会勧告[3]について言及し、次の2つが重要としています。

・本人を代行して意思決定をするのではなく、本人が自ら意思決定出来るように支援すること。

・次に、後見人の支援を受けてもなおできない場合に限り、本人に代行した意思決定が許されること。

意思決定の代理が先ではなく、支援が先という考えだと思います。その上で、現在の日本の民法上の成年後見制度について、補助に一元化することを提案しています。本人にとって一番制約の少ない補助から開始して、本人の状態に合わせて補助人に同意権や代理権を付与したり外したりすることで、障害者権利条約に沿った制度となるという考えです。

私も同意します。新井教授が以前から指摘していたことです。実務で機能させるためには、次の改善がされる必要があると考えます。

・補助人が家庭裁判所に同意権、代理権を付けたり外したりする手続きが今より簡単になること。

・家庭裁判所の担当職員が増えるか、事務効率を良くすること。

現在、親族が成年後見人になっている場合でも年に一度の報告書作成に戸惑っている方をみていると、補助はより複雑に感じるので親族の負担が減らないと主体的に利用してみよう、とはならないと感じます。また、家庭裁判所は今の事務量でも容量を超えているように感じます。人を増やすかコンピュータで効率化するかしないと負担が大きくなります。

 士業を利用するか、というところでは出来るだけ利用しない方向で進めるのがベストだと感じます。親族としても本人としても、あまりお金をかけたくない、という方が多いような印象を受けます。士業を利用するとしても書類作成のみ、またはピンポイントでの相談のみに絞るのが利用者にとっても士業にとっても良いと感じます。士業が監督人などになったとしても、出来ることは限られています。また報酬が毎年発生することに抵抗がある方もいらっしゃいます。

次に民事信託の活用可能性について、アメリカの撤回可能な生前信託と統一財産管理信託法を参考にしながら、記述されています。特徴は次の通りです。

・裁判所を通さずに、譲渡証書のサンプルを利用して財産を受託者に移転することで、統一財産管理信託法に服する信託が成立すること。

・成年後見制度との親和性が高い(受益者の能力喪失時にも受託者の信託事務処理の監督的規定が置かれているなど)。

具体的活用方法

・夫婦二人が金銭信託契約を信託銀行を受託者として設定する。

・信託設定と同時に、夫婦二人が同じ公的機関を任意後見人として、任意後見契約を締結する。

・信託銀行と公的機関はお互い連携できる状態にしておく。

・任意後見人に指図権を行使させる。

・特約付定期払い金銭信託

新井教授が想定する民事信託と任意後見のハイブリッド活用法は、機能すると考えます。公的機関は何を想定しているのか、図に載っていない任意後見監督人は就任するのか、信託銀行(会社)が近くにない都道府県はどうするのか、というところは措いておきます。私には公的機関が思い浮かびません。

原則的な民事信託として、受託者に親族ではなく、信託銀行を置いているのは、新井教授なりの考えがあるのだと感じました。


[1] №581 2020.7日本司法書士会連合会P4~

[2] https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html

[3] 1999 Recommendations for the protection of incapacitated adults

東京オフィス解約の記事

あるメールマガジンの記事です。
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家族信託専門コンサルタント司法書士

このメルマガは、家族信託の実務家向けです。一般の人はちょっと難しいかも。

「このメルマガいらないな」、と思ったら、以下から。面倒な操作は不要で、2,3回クリックするだけで解除できます。先週の月曜日はバズ・ダラ会でした。

前回は、監督人協会のメンバーから、近況や、最近の面白い事例のお話しをしてもらいました。僕の報告は、最近、ちょっと後ろ向きの決断をしたこと。実は、東京のオフィス兼アパートを解約しました。いや〜、これには悩みました。「これから行くぞ〜!」って決断は、気持ちも高ぶるし、アドレナリンもでますが、(笑)「退却〜!」って決断は、後ろ向きだし、テンションも下がりますね。

■■ 東京に出た経緯

昨年(2019年)から、東京の仕事がすごく増えて、年が明けたら東京で本格的にやっていこうと思っていたんですよ。東京には、月に4,5回往復。毎月10泊位していたと思います。昨年の話しね。当時は、外国人旅行者がすごかったですからね。年間3000万人が訪日です。慢性的なホテル不足で、宿泊代も高騰。

1万円では泊まれませんでした。しかも予約がなかなか取れない。カプセルホテルですら、7000円くらいしていましたよ。泊まったことないけど。さらに追い打ちをかけるように、オリンピックが近づいてくる。去年(2019年)のことですよ。「2020年になったらオリンピックもあるし、ホテルなんて絶対取れなくなる。だったら、アパート借よう」となったんですね。で、1月に契約しました。今から考えると最悪な時期でしたね。(笑)2月中は、机や家具をそろえて、準備していました。3月くらいから、ようやく住めるようになったら、コロナ・・・

3月後半は、感染者が増え始めていた時期。今でも覚えています。3月24日の夜、東京の中華屋さんで夕ご飯を食べながらテレビを見ていました。そうしたら小池知事が「オリンピックを延期します」「とうとう来た。こりゃヤバい。東京ロックダウンもあり得る。電車も止まるかも」僕は、次の日の始発の新幹線で新潟に戻りました。そのときの決断は早かった(笑)そして・・・新潟に戻ったら、2ヶ月東京に行けなくなりました。

■■ 2ヶ月で状況が大きく変化

そうしたら、その2ヶ月で状況が大きく変化したんですね。打ち合わせのオンライン化が進みましたね。対面しないでオンラインで、打ち合わせや相談も普通に行われるようになりました。「Zoomで打ち合わせ」ちょっと前までは、「Zoomってなんですか?」という反応だったのが、今では、普通に「了解です」って感じです。お客様もZoomで打ち合わせOKな感じですよね。このように、オンライン化があっという間に進みました。

■■ ホテルもガラガラに

3000万人来ていた外国人がほとんど来なくなりましたからね。今まで、なかなか取れなかったホテルがガラガラになりました。価格も半分くらいにはなったでしょうか。

■■ 東京に拠点がある必要性は?

見事になくなったんですね。そもそも、打ち合わせはオンライン。どうしても会わなければいけないときだけ、行けばいい。宿泊するにしても、ホテルはすぐ取れるし、安い。しかも、僕は各地域に協力者がいますので、地元で、具体的な動きが必要なときは、その協力者にお願いすればいい。ですから、東京の拠点は当面は必要なくなったんですね。ということで、撤退することに決めました。いや〜、悩みましたよ。拠点を持って、1,2年もたっていれば、もう少し容易に決断ができたかもしれませんが、出したばかりでしたからね。悩みました。でも決めたらスッキリしました。

■■ 今回学んだこと

撤退の難しさですね。サンクコスト(※)の、精神的負担感。

※サンクコスト

事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと。By Wikipedia

でも、いい経験になったと思います。あのままずるずる行っていたら、もっと損失を広げることになったでしょうから。それにしても、ベッドが無駄だった。まだ、数えるほどしか、寝ていないのに。マットレスも新品同様です。運び賃を考えたら、廃棄するしかありません。取りに来ていただければ、無料で差し上げますので、興味がある人はこのメールに連絡を(笑)

■■ お詫び

話変わります。先週のバズ・ダラ会ですが、機材の関係で録画ができませんでした。移動中だったので、スマホからの参加。上手く録画ができなかったんですね。申し訳ありませんでした。前回のバズ・ダラ会では、某みどりの信託銀行の信託口座に関する、最新動向の話しもされましたよ。あれは、衝撃的でした。簡単に言うと、いい加減な専門家が多いから、信託口座の開設は、慎重にするというもの。せっかく口座を開いても、信託されたお金が入金されないなどの事例が多数報告されているようです。これは、我々専門家も襟を正していかなければなりません。信託は作ったら終わりでなく作ったら始まりです。専門家の永いサポートが必要です。監督人協会を立ち上げたのも、その理由。専門家を含め、信託全体を永くサポートしていきたいというのが想いです。本格稼働がまだできておらず、申し訳ないです。早く本格稼働を始めて、信託をしっかりサポートしていきたいと考えています。

■■ バズ・ダラ会に質問も募集中です

質問はこのメールに返信すれば届きます。監督人協会のメンバーが鋭く回答しますよ!

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1月契約で6月か7月解約。私だったらどうするんだろう。恐らく金銭的にマイナスになったという話ではないと思います。家賃支援給付金などもあるので、2か月オフィスを使わなかった家賃分はそれほどマイナスになっていないと考えられます。東京に行って会って、日帰りでは出来ない仕事をする必要がある大事な人が何名いるか、を基準にすると思います。記事では、ほとんど居なかったということだと思います。

自己委託型と自己信託について

金融法研究第36号に「高齢者の金融取引と自己決定権」[1]という記事がありました。

  • 高齢者の金融取引の支援の必要性

a 国連障害者権利条約[2]

b 1人暮らしの高齢者の増加

  • 高齢者の判断能力の漸減

高齢者の金融取引能力

  • 民法の能力制度

a 行為能力

  • 定型的・類型的判断 民法に基づく判断
  • 能力漸減への対応の困難さ

ア 高齢者単独での日常的な預金取引

イ 高齢者が投資取引を望んだ場合

b 意思能力

  • 個別具体的判断
  • 意思能力無効の拡大解釈による対応の問題
  • 事業者の勧誘規制等

a 適合性の原則[3][4]

  • 取引資格要件としての適合性の原則
  • 適用範囲の狭さという問題

b その他

  • 消費者契約法
  • 高齢顧客向け勧誘ガイドライン[5]
  • まとめ

金融取引に関する一元的な指標の必要性―管理と運用に連続的な指標

「金融取引能力」の制定

3 金融取引の支援と自己決定

  • 事前のアレンジメントの重要性

a 個別具体的な支援の困難さ

  • 様々な考慮要素
  • 様々な取引類型

b 事前アレンジメントの類型

  • 第三者委託型アレンジメント

財産管理委任契約、任意後見契約、信託契約、あるいはこれらを組み合わせた方法。任意後見監督人の就任、指図権者の活用・留保、信託監督人の活用。

(b)自己委託型アレンジメント(試論)

第三者の代わりに、将来の自分を、金融取引の委託先として指定する。

  • アレンジメントにおける監督の在り方

a 第三者委託型の場合

b 自己委託型の場合―信託型を参考にした見守りアレンジメント?

2つの方法

  • 高齢者の金融取引能力が低下した後も、本人が一貫した取引目的を設定できる限りは、本人の意思により取引目的を自由に変更可能であるとするアレンジメント。
  • アレンジメント時点で取引目的が固定され、金融取引能力低下後はその目的に沿った金融取引しか許されない。

2を中心的に考える。本人の金融取引能力をチェックする監督機関を設置する必要がある。監督機関の例として、裁判所などの中立的な第三者機関が望ましい。

要点

高齢者が単独で金融取引を行う場合の問題の中には、過去の自分の自己決定と、現在の自分、将来の自分が、あたかも別人格であるかのように考えた上で、過去の自分があらかじめ設定した財産管理目的に従って、将来の自分の利益を考慮しながら、現在の自分が財産管理を行うという関係は、信託類似の関係であると考えることができるのであり、その限りで信託法は参考に値する、と考えているわけです。

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自己委託型というものが、どのような形なのか私の理解が誤っているかもしれません。

自分で自分に委託する、ということは、自己信託が宣言であるのに対して自分と自分が委託契約を締結する、ということだと思うのですが、難しいのではないかと思います。投資商品を販売する金融機関等は、この契約書で取引を進めるのでしょうか。

また監督機関の設置は必要だと感じます。ただし、裁判所に任せるのは無理だと感じます。また中立の第三者機関で判断するにしても、利用者としては納得できないこともあるのではないかな、と感じます。

信託業法に基づいて事業を営む法人に対しては、あっせん委員会[6]という機関が存在しますが、(一社)信託協会の中にある機関なので、私なら相談しません。

消費者相談センターか金融庁に資料を送付かメールすると思います。

私の考えは、ガイドラインはあるとして、ケースバイケースで対応することです。

金融機関にはカメラも設置されているので、音声も撮れるようになると思います。利用者は時計や携帯電話などにセンサーを付けて、データを貯めているかもしれません。

結果、超高齢化の社会においても紛争の数は大きくは変化しないと思います。


[1] 学習院大学教授 山下純司 金融法学会2020、P69~

[2] https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/adhoc8/convention131015.html

[3] https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kinyushohin/03.html

[4] 金融商品取引法第40条第1号

[5] https://www.jsda.or.jp/about/gaiyou/gyouhou/13/1311/koureisyakisoku.pdf

[6] https://www.shintaku-kyokai.or.jp/consultation/issue.html

【株券を発行する旨の定めの廃止】臨時株主総会議事録(試訳)

Minutes of Extraordinary General Meeting of Shareholders

1.日  時:【総会開催日】【総会開催時刻】

1. Date: [General Assembly Date] [General Assembly Time]

2.場  所:【本店所在場所】当会社本店会議

2. Venue: [Location of main store] Meeting room of our main store

3.出 席 者:発行済株式の総数          【発行済株式数】株

       この議決権を有する総株主数     【株主総数】名

       この議決権の総数          【総株主の議決権数】個

       本日出席株主数(委任状出席を含む) 【出席株主数】名

       この議決権の個数          【出席株主の議決権数】個

3. Attendees: Total number of issued shares

[Number of issued shares] shares

Total number of shareholders with this voting right

[Total number of shareholders]

Total number of voting rights

[Number of voting rights of all shareholders]

Number of shareholders present today (including attendance of proxy)

[Number of attending shareholders]

The number of voting rights

[Number of voting rights of attending shareholders]

4.議  長:代表取締役 【代表取締役A・氏名】

4. Chairman: Representative Director [Representative Director A/Name]

5.出席役員:取締役【代表取締役A・氏名】、【取締役B・氏名】、【取締役C・氏名】

       監査役 【監査役P・氏名】

5. Attending officers: Directors [Representative Director A/Name], [Director B/Name], [Director C/Name]

Auditor [Auditor P/Name]

6.会議の目的事項並びに議事の経過の要領及び結果:

   議長は、開会を宣し、上記のとおり定足数に足る株主の出席があったので、本総会は適法に成立した旨を述べ、議案の審議に入った。

第1号議案 定款一部変更の件

  議長は、当会社の下記事項の廃止又は変更等を含め、別紙のとおり定款を一部変更したい旨を述べ、その理由を詳細に説明した。

  議長がその賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもってこれに賛成した。

  よって、議長は、別紙のとおり定款を一部変更することに可決された旨を宣した。

   (1)株券を発行する旨の定めの廃止

当会社は株券廃止会社であり、会社法第218条第1項の公告、通知手続は適法に完了済みです。  

6. The purpose of the meeting, the outline of the proceedings and the results:

The Chair declared the opening of the meeting and, as mentioned above, the quorum of shareholders attended, and stated that this General Meeting was legally concluded, and began to discuss the bill.

Proposal No. 1 Partial amendment of articles of incorporation

The Chairman stated that he would like to partially change the Articles of Incorporation as shown in the attached sheet, including the abolition or change of the following matters of the Company, and explained the reason in detail.

When the chair asked the pros and cons to the council, they unanimously agreed with it.

Therefore, the chairman declared that he was approved to partially change the articles of incorporation as shown in the attached sheet.

Record

First bill

Abolition of the provision to issue stock certificates

This company is a stock certificate abolition company, and the public notice and notification procedures of Article 218, Paragraph 1 of the Companies Act have been legally completed.

7.閉  会:議長は【総会閉会時刻】閉会を宣言した。

 以上、本議事録を作成し、議事録作成者が次に記名押印する。

   【総会開催日】

     【商号】臨時株主総会

              議事録作成者 【代表取締役A・氏名】 (印)

7. Closing: The chairman declared [closing time of the general meeting].

As above, this minutes is created, and the minutes creator then stamps the name.

[General meeting date]

[Business name] Extraordinary general meeting of shareholders

Minute creator [Representative Director A/Name] (mark)

委託者の地位について

あるメールマガジンの記事です。HPで公開するとメールマガジンを解除されるので、固有名詞を出すのは控えます。

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コロナで人との対面が、とても慎重になってきましたよね。

コンビニなどのお店では、保護シールドが普通になってきました。

半年前は考えられなかった光景ですよね。

そんな中でも止まらないのが、「認知症」の進行。

信託や任意後見につながる案件の相談が増えてきていませんか?

最近、僕のところには、はじめて案件を受けたということで、契約書のチェックや共同受任の依頼が増えてきています。

(今回のメルマガは、契約書の解説なので、契約書を作成する人向けです。)

■■ 信託契約書に入れて欲しい条項

いつもチェックするときお願いすることがあります。

特に不動産を信託する場合ですが、次の条項を入れて欲しい。

************

(委託者の地位の相続)

第○条  本件信託の委託者の地位は相続により承継せず、委託者の死亡によりその地位は受益者へ移転する。(当初委託者の権利は消滅する。)

************

括弧内は家族関係によってはあってもなくてもOK。

■■ なぜこの規定が必要か?

「終了時」に

・登録免許税

・不動産取得税

が高くなる可能性があるからです。

■ 登録免許税

当初委託者の相続人が帰属権利者になる場合です。

本来4/1000ですむものが20/1000になる可能性があります。

(登録免許税法7条)

■ 不動産取得税

こちらも、当初委託者の相続人が帰属権利者になる場合です。

終了時、かからないはずの不動産取得税が課税される可能性があります。

(地方税法73条の7 1項4号ロ)

つまり、1000万の評価の不動産なら、信託の終了時に

登録免許税

4万円 ⇒ 20万円

不動産取得税

非課税 ⇒ 30万円

合計で

4万円 ⇒ 50万円

になってしまいます。まずいですねぇ。

1億の評価の不動産なら

40万円 ⇒ 500万円

たった一行、あるかないかでこの違いですから、これはまずい。

契約書作成者には司法過誤の責任も生じかねません。

■ 根拠

上記二つの法律とも

「信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である」

という部分がキーになっています。

(条文はぜひ読んでみて。)

委託者の地位は、何もしないと相続人に法定相続されることが、その理由です。

(信託法147条の反対解釈)

つまり、契約書で設定した信託は、委託者の地位は相続により承継されます。

と言うことは、「委託者の地位」は、何もなければ、遺産分割の対象になります。

通常、分割協議では、委託者の地位などマニアックのこと(笑)は協議されないでしょう。

そうでなくとも、「残りの財産は○○が相続する」と言うところにかかり、

その際、委託者の地位を相続した人と、(元本の)受益者がちがう人だと、上記の条文の要件に該当しないことになります。

そもそも「委託者の地位」は「財産」なのか?(「残りの財産は・・・」という表現でOKかという問題)

それから「元本の受益者」が何かという問題はありますが、とりあえずここでは、「受益者」と読み変えてください。

ちなみに、信託法には「元本の受益者」についての定義なし。

ま、こんな感じで、いろいろ面倒なことになりそうなんですよ。

■■ 法務局によっては登録免許税が上がるところも

実際、この規定が信託契約書にない場合、

信託終了時の登録免許税が、帰属権利者が当初委託者の相続人にもかかわらず

4/1000にならずに20/1000になる法務局がでています。

九州はその傾向があるようです。

************

(委託者の地位の相続)

第○条  本件信託の委託者の地位は相続により承継せず、委託者の死亡によりその地位は受益者へ移転する。(当初委託者の権利は消滅する。)

************

ですから、この規定、

・不動産を信託する

・帰属権利者が当初委託者の相続人

であれば、必ず入れるようにしてくださいね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

司法錯誤などの誤字は措いておきます。私の委託者の地位の条項は書き方が違いますが、六法や民事信託・家族信託に関する書籍には例文が書いてあるので、初めて受任する方でも大丈夫だと感じます。この記事の中での九州には、沖縄県は入っていないことを付言します。

地方税法第七十三条の七 1項4号

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000226#3015

商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進に関する研究会~有識者による議論の取りまとめ~(仮訳)

20200721 法務省HP閲覧

令和2年7月

商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進に関する研究会参加有識者

(座長)早 稲 田 大 学 大 学 院 法 務 研 究 科 教 授 岩 原 紳 作

一 般 社 団 法 人 全 国 銀 行 協 会

コ ン プ ラ イ ア ン ス 部 長 阿 部 耕 一

弁 護 士 ( 第 二 東 京 弁 護 士 会 ) 片 山 達

東 京 大 学 大 学 院 法 学 政 治 学 研 究 科 教 授 加 藤 貴 仁

一 橋 大 学 法 学 研 究 科 教 授 角 田 美 穂子

司 法 書 士 ( 京 都 司 法 書 士 会 ) 内 藤 卓

 

第1 背景となる国内外の情勢

1 法人の実質的支配者を把握することは,国際的要請であり,マネー・ローンダリング/テロ資金供与防止の観点から,各国において取組が進められている。そのような取組が十分に行われていない国においては,その国の企業,特に金融機関が海外取引を行うに当たって取引の相手方である金融機関からリスクが高いとの評価を受け取引コストが増大する事態を招き得る。そのため,その取組状況については,各国の金融機関も高い関心を有している。

2 法人の実質的支配者の把握を含め,マネー・ローンダリング/テロ資金供与対策に関する国際的な取組の推進について,大きな役割を担っているのが FATF(金融活動作業部会)である。FATF は,1989 年に G7 アルシュ・サミット経済宣言を受け設立が合意された政府間枠組みであり,マネー・ローンダリング/テロ資金等の脅威撲滅のため,国際基準の策定,加盟国に対して効果的な遵守や体制の構築の促し等を行っている。

FATF は,加盟国が遵守すべき包括的かつ一貫性のある枠組みを示す「勧告」を行っており,各国によるその遵守状況については,法令,執行手段,権限ある当局の権限及び手続といった技術的観点から評価されることとなる。さらに,FATF は,各国のマネー・ローンダリング/テロ資金等対策の有効性に関する指標である「直接的効果」(Immediate Outcome, IO) も作成しており,各国はこの観点からも評価されることとなる。

法人の実質的支配者の把握に関する主な勧告及び直接的効果としては,勧告 10,勧告 24,直接的効果5が挙げられ,その内容は次のとおりである。

① 勧告 10

この勧告は,金融機関が,一定の場合に,顧客管理措置をとることを求めるものであり,顧客管理として次の事項を含む措置を求めるものである。

「受益者の身元を確認し,金融機関が当該受益者が誰であるかについて確認できるように,受益者の身元を照合するための合理的な措置をとる。この中には,金融機関が法人及び法的取極めについて当該顧客の所有権及び管理構造を把握することも含まれるべきである。」

なお,この義務は,勧告 22 により,一定の条件の下で,指定非金融業者及び職業専門家にも適用されることとなっている。

② 勧告 24

この勧告は,法人の透明性及び真の受益者に関して,次の事項を含む措置を求めるものである。「各国は,資金洗浄又はテロ資金供与のための法人の悪用を防止するための措置を講じるべきである。各国は,権限ある当局が,適時に,法人の受益所有及び支配について,十分で,正確なかつ時宜を得た情報を入手することができ,又はそのような情報にアクセスできることを確保すべきである。」

また,FATF は,技術的観点のみならず,有効性の観点からも評価を行うこととしており,実質的支配者の把握の関係では次の指標を設定している。

③ 直接的効果5(IO5)

直接的効果5は次のとおり定められている。「資金洗浄及びテロ資金供与を目的とした法人及び法的取極めの濫用が予防されており,また,実質的支配者に関する情報が権限ある当局に支障なく入手可能となっている。」

3 FATF は,各国による勧告 24 を遵守するための取組を促進するため,2019年 10 月,推奨すべき取組の紹介等を内容とする「法人の実質的支配者に関するベストプラクティス(Best Practices on Beneficial Ownership forLegal Persons)」(以下「FATF ベストプラクティス」という。)を公表した。

FATF ベストプラクティスでは,複数の情報源(登録機関を情報源とする手法(the Registry Approach),会社を情報源とする手法(the CompanyApproach),既存の情報源を活用する手法(the Existing InformationApproach))を組み合わせることが,法人が犯罪目的で悪用されることを防止し,法人の実質的支配に関する透明性を十分に確保するための方策を実施するために効果的であるとして,推奨されている。

登録機関を情報源とする手法(the Registry Approach)とは,法人の登録機関において,法人の実質的支配者に関する最新の情報を取得し保持するものである。

会社を情報源とする手法(the Company Approach)とは,会社に,株主又は構成員のリストを保持し,更新することにより,当該会社の実質的支配者に関する最新の情報を取得し保持することを求めるものである。

既存の情報源を活用する手法(the Existing Information Approach)とは,法人の実質的支配者を特定するために当該法人の実質的支配に関して収集された既存の情報を活用するものである。

4 我が国においては,法人の実質的支配者を把握するためには,公証人が定款認証を行う際に嘱託人に対し設立される株式会社等の実質的支配者となるべき者の申告を求める取組を行っており,この取組は FATF ベストプラクティスに取り上げられるなど国際的にも評価を受けている。また,犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成 19 年法律第 22 号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)の下で,金融機関を始めとする特定事業者(犯罪収益移転防止法第2条第2項に規定する特定事業者をいう。以下同じ。)が顧客の実質的支配者を確認する取組を行っている。

その上で,法人の設立後の継続的な実質的支配者の把握については更なる取組を行う必要があり,この点に関しては,権限ある当局が更新された法人の実質的支配者情報にアクセスできるようにすることは,国際的要請であり(勧告 24 参照),また,一般社団法人全国銀行協会が加盟行に対して行ったアンケートにおいても,法人の設立後の継続的な実質的支配者の把握,実質的支配者情報の登記事項への追加,金融機関による登録されている実質的支配者情報への直接のアクセス等を実現するための取組を行うことを求める意見が多かった。

5 法人の実質的支配者の把握に関する国際的動向をみると,欧州では,2015年の EU 指令(2015/849)により,加盟国には,①加盟国内で設立された会社等の法人に,自己の実質的支配者について,正確,最新かつ十分な情報を取得し保持することを義務付けること及び②実質的支配者情報へのアクセスを容易にするために,これらの法人の実質的支配者に関する情報を集める一元的な登録機関を設立することなどが求められている。

さらに,2018 年の EU 指令(2018/843)により,加盟国には,実質的支配者情報へのアクセス権者を拡大することや,実質的支配者の確認義務者に自己の情報と登録情報との齟齬を発見した場合の登録機関への報告義務を課すことなどが求められている。

イギリス(EU 加盟当時),ドイツ,フランス等の EU 加盟国等では,これらの EU 指令に沿った取組が行われており,既に FATF の第4次相互審査(審査結果は 2018 年 12 月公表)を受けているイギリスは,勧告 24 及び IO5について,高い評価を受けている。イギリスは,2007 年の第3次相互審査においては,現在の勧告 24 に相当する当時の勧告 33 に関して PC の評価を受けていた(当時 IO の指標はなかった。)が,2018 年の第4次相互審査では,勧告 24 に関して LC の評価を,直接的効果5に関して Substantial の評価を受けている(※)。なお,日本は,2008 年の第3次相互審査において,当時の勧告 33 について NC の評価を受けている。

※ 勧告の評価は,上から,C(Compliant), LC(Largely Compliant), PC(PartiallyCompliant), NC(Non-Compliant)の4段階。

勧告 24 に関しては,C の評価を受けた国は未だ存在せず,実際に与えられた評価の中では LC が最も高い評価となっている。

直接的効果の評価は,上から,High, Substantial, Moderate, Low の4段階。

これに対し,アメリカでは,連邦,州いずれのレベルにおいても実質的支配者情報の登録制度は存在しないようである。

欧州各国及びアメリカの制度の概要は次のとおりである。

※「BO」は,実質的支配者の略。

「R24」は,勧告 24 の略。

「IO5」は,直接的効果5の略。

6 以上の情勢に照らし,設立後の法人の実質的支配者の継続的な把握に関する取組を行うため,商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進について検討を行うことは有益であると考えられたことから,法務省民事局長によって本研究会が立ち上げられ,財務省及び金融庁からもオブザーバー参加を得て会合が行われた。

第2 議論の前提及び検討課題

1 議論の前提

(1) 顧客の実質的支配者の確認に関する犯罪収益移転防止法の枠組み

特定事業者は,顧客等との間で特定取引等を行うに際して,当該顧客等が法人(国,地方公共団体,上場会社等を除く。)である場合には,当該顧客等の代表者等から申告を受ける方法によりその事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定めるもの(以下「実質的支配者」という。)の本人特定事項(氏名,住居及び生年月日)の確認を行わなければならないこととされている(犯罪収益移転防止法第4条第1項第1号,第4号,第5項,犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成 20 年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第1号。以下「犯罪収益移転防止法施行規則」という。)第 11 条第1項)。

そして,当該取引がなりすましの疑いのある取引,偽りの疑いのある取引,特定国等(イラン,北朝鮮)居住者等との取引,外国の重要な公的地位を有する者(PEPs)との取引といったハイリスク取引である場合には,特定事業者は,申告された実質的支配者と顧客との関係を株主名簿,有価証券報告書等の書類によって確認しなければならないこととされている(犯罪収益移転防止法第4条第2項,犯罪収益移転防止法施行規則第 14条第3項)。

実質的支配者の意義については,次のとおりである(犯罪収益移転防止法施行規則第 11 条)。なお,国,地方公共団体,上場会社等及びその子会社は,実質的支配者該当性の判断においては,自然人とみなされる(同条第4項)。

ア 顧客が株式会社等の犯罪収益移転防止法施行規則第 11 条第2項第1号に規定する資本多数決法人(以下「資本多数決法人」という。)の場合

次の①から④までのうちいずれかの者が実質的支配者となる。

① 当該法人の議決権の総数の2分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人(以下「実質的支配者類型①」という。)

② ①の者がいない場合において,当該法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人(以下「実質的支配者類型②」という。)

③ ①及び②の者がいない場合において,出資,融資,取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人がある場合には,当該自然人(以下「実質的支配者類型③」という。)

④ ①から③までの者がいない場合には,当該法人を代表し,その業務を執行する自然人(以下「実質的支配者類型④」という。)

イ 顧客が資本多数決法人以外の法人の場合

次の①又は②の者が実質的支配者となる。

① 次の(A)又は(B)の者が実質的支配者となる

(A) (a)又は(b)の者が実質的支配者となる。

(a) 当該法人の事業から生ずる収益又は当該事業に係る財産の総額の2分の1を超える収益の配当又は財産の分配を受ける権利を有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人

(b) (a)の者がいない場合において,当該法人の事業から生ずる収益又は当該事業に係る財産の総額の4分の1を超える収益の配当又は財産の分配を受ける権利を有していると認められる自然人がある場合には,当該自然人

(B) 出資,融資,取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人がある場合には,当該自然人

② ①の者がいない場合には,当該法人を代表し,その業務を執行する自然人

(2) 金融庁マネロンガイドラインの枠組み

金融庁が平成 31 年4月に作成した「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下「金融庁マネロンガイドライン」という。)においては,金融機関による顧客管理における実質的支配者の確認に関して,「顧客及びその実質的支配者の本人特定事項を含む本人確認事項,取引目的等の調査に当たっては,信頼に足る証跡を求めてこれを行うこと」とされている。

そして,この「信頼に足る証跡」に関して,何を,いかなる方法で確認・勘案すべきかについては,最低水準を画一的に全ての顧客に当てはめるのではなく,リスクが高い場合についてはより深く,証跡を求めて確認を行うなど,リスクに応じた対応を図るべきであると考えられている(金融庁マネロンガイドラインに関するパブリックコメントの結果である「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」15 頁参照(※))。

※ https://www.fsa.go.jp/news/30/20180206/gaiyou.pdf

(3) 銀行による顧客の実質的支配者の確認の実務

銀行による顧客の実質的支配者の確認は,次のとおり,犯罪収益移転防止法の枠組みに沿って行われている。

ア 犯罪収益移転防止法第4条第2項のハイリスク取引の場合

ハイリスク取引の都度,実質的支配者の本人特定事項については申告にもとづいて,実質的支配者と顧客との関係については,株主名簿や有価証券報告書等の法令に定められた書類によって確認されている。

イ 通常の特定取引の場合

実質的支配者の本人特定事項及び実質的支配者と顧客との関係について,顧客の申告に基づき確認されている。

なお,通常の特定取引の場合であっても,各銀行は,その運用の中で,取引開始時や継続的顧客管理の中で,実質的支配者と顧客との関係や,実質的支配者の本人特定事項について,リスクに応じて信頼に足る証跡となる資料を確認することがある。

(4) 公証人の行う定款認証における実質的支配者となるべき者の申告

株式会社等の法人を設立する際に,公証人が行う定款認証において,起業者(嘱託人)は,公証人に対し,当該株式会社等の実質的支配者となるべき者及びその者の暴力団員等への該当性を申告するものとされている(公証人法施行規則(昭和 24 年法務府令第9号)第 13 条第4項)。

公証人は,申告された実質的支配者について,定款その他の資料によってその実質的支配者の該当性を判断するとともに,当該実質的支配者が暴力団員等に該当していないかを確認し,また,申告された実質的支配者の実在性等を本人確認の書面により確認している。

また,公証人は,定款認証後に,嘱託人の求めに応じて,嘱託人から受けた申告の内容及びその内容を審査した結果嘱託拒否事由が認められないと判断して定款を認証した旨を証明する「申告受理及び認証証明書」を発行している。

(5) 商業登記所

商業登記の事務については,当事者の営業所の所在地を管轄する(登記事務委任されている場合を含む。)法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所が登記所としてつかさどっており(商業登記法(昭和 38 年法律第 125 号)第1条の3),この登記所がいわゆる商業登記所である。商業登記所は,令和2年6月1日時点で,全国に 84 箇所存在する。

設立後の法人の基礎的な情報は,商業登記所に登記されており,当該業務を担う登記官は,商業・法人登記の分野において高度な専門性を有している。

2 検討課題

本件研究会の課題は,商業登記所における法人の実質的支配者情報の把握促進策として,法人の申出により,商業登記所が,当該法人が作成した実質的支配者リスト(実質的支配者について,その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面をいう。)について,所定の添付書面によりその内容を確認して写しを作成し,写しであることの認証を付す制度(以下「本制度」という。)を創設することについて,その必要性及び制度の内容について検討を行うものである。

検討課題に関する論点は次のとおりである。

(1) 本制度を創設する必要性

ア 国際的には,EU 加盟国等の制度のように,法人,実質的支配者,実質的支配者情報の確認義務者などに一定の義務を課し,実質的支配者情報を登録機関に集め,その正確性を確保するものもある中で,法人が任意に利用することを前提とした本制度は,利用を見込むことができるか。

イ 本制度は,どのような場面で利用されることが想定されるか。

(2) 本制度の対象

ア 本制度を利用することができる法人について,資本多数決法人である株式会社及び特例有限会社のみを対象とすることについてどのように考えるか。

イ 本制度の対象とする実質的支配者の類型について,商業登記所の業務に馴染む種類の書面による審査が可能である実質的支配者類型①及び実質的支配者類型②のみを対象とし,また,株主が外国会社である場合を制度の対象としないことについてどのように考えるか。

(3) 実質的支配者リストの写しを発行する事務のフロー

本制度について,次の事務フローとすることについてどのように考えるか。

① 本制度を利用しようとする法人(以下「申出法人」という。)が実質的支配者リストを作成し,所定の添付書面とともに商業登記所の登記官に提出し,実質的支配者リストの保管及び写しの交付の申出をする。

② 申出を受けた登記官は,添付書面及び商業登記所の保有する情報等に基づき実質的支配者リストの内容を調査し,それらの内容が合致していることを確認したときは,実質的支配者リストをスキャンして保管するとともに,申出法人について,実質的支配者リストが保管されている旨を登記簿に付記し,その上で,当該法人に対し,実質的支配者リストの写しに登記官が写しであることの認証を付したものを交付する。

(4) 申出された実質的支配者情報の正確性を確認する方法

ア 申出された実質的支配者について,実質的支配者の該当性を確認するために,どのような添付書面の提出を求めるべきか。

- 現在の銀行の顧客の実質的支配者確認の実務を参考に,株主名簿の写し,確定申告書(法人税)別表二の明細書の写し,公証人の発行する申告受理及び認証証明書等の提出を求める考え方(案①)や,

これまでの銀行実務とは異なる確認方法によることとし,第三者が証明を付した株主名簿の写し等の提出を求める考え方(案②)があり得るが,いずれの考え方に拠るべきか。

- 実質的支配者が法人の議決権を間接に保有する場合において,上位会社及び実質的支配者の協力が得られない場合の取扱いをどのようにすべきか。

 

- 申出された実質的支配者の本人確認の書面の提出を求めるべきか。

イ 虚偽の申出がされた場合の制裁としては,どのようなものが考えられるか。

(5) 実質的支配者リストの記載事項

実質的支配者リストには,いかなる事項を記載すべきか。

(6) 本制度を利用する法人の理解を促進する方法

本制度が法人の実質的支配者把握のための効果的な制度として機能するためには,本制度を利用する法人の間に本制度に関する理解が広まり,十分に利用されることが必要であるところ,そのような理解を促進する方法としてどのようなものが考えられるか。

(7) 想定される実質的支配者リストの写しの需要の大きさ

本制度は,どのような法人が,どのような場面,頻度で利用することが想定されるか。

(8) 商業登記所で管理する実質的支配者情報へのアクセス

実質的支配者リストは,個人情報を含むものであり,申出法人のみが交付を請求することができる制度とすることはいかがか。

(9) 根拠法令

本制度については,法務省令に規定を設けることとしてはいかがか。

(10) その他将来の課題

本制度は,まずは,来年度中を目途に実施することができる事項について,迅速に導入することが考えられるが,その後の将来の課題としては更にどのようなものが考えられるか。

第3 議論の取りまとめ

1 本制度開始時の本制度の在り方

(1) 本制度を創設する必要性

ア 登録機関を情報源とする手法を整備する必要性

法人の実質的支配者の把握については,前述のとおり,国内外から要請されている。我が国においては,特定事業者が個別に顧客の実質的支配者の確認を行っている。また,公証人が定款認証を行う際に,設立される株式会社等の実質的支配者となるべき者及びその暴力団員等への該当性について確認を行っており,この取組については,FATF ベストプラクティスに取り上げられるなど国際的にも評価を得ている。

他方で,前記第1の5掲記の EU 加盟国等の取組等の先進的な他国の取組と比較すると,法人設立後の一元的かつ継続的な実質的支配者の把握が課題として残されていることがうかがわれ,そのような課題への取組を行うことについては,銀行業界からも要請されている。

本制度は,上記課題について,商業登記所による取組を行うものであり,前記第1の3掲記の三つの手法のうち登録機関を情報源とする手法(the Registry Approach)に該当し,法人の実質的支配者情報の把握に関する確度と精度を高める取組として,我が国における他の手法による取組と相まって,国際的にも,前向きな施策として受け止められ得るものである。

本制度は,法人が自己の実質的支配者を証明するために適宜利用することができるほか,銀行が顧客の実質的支配者を確認する際に,顧客の申告内容の正確性を確認するための資料として,必要に応じて,提出を求めるという形で利用することも可能となる。そこで,国内の銀行業界からも,顧客の実質的支配者を確認する際の「信頼に足る証跡」として実質的支配者リストの写しを利用することができるようになることにより,実質的支配者の確認の信頼性が高まることが期待されている。

イ 商業登記所を登録機関とする必要性

商業登記所は,法人の基礎的な情報を登記する業務(商業・法人登記)を担う機関であり,当該業務を担う登記官は,商業・法人登記の分野において高度な専門性を有しているため,商業登記所は,設立後の法人の実質的支配者情報の継続的な把握を行う機関として適していると考えられる。

商業登記所の登記官が実質的支配者リストの写しを発行する際に確認する添付書面について,現在各銀行がそれぞれ行っている実質的支配者の確認において各顧客ごとに個別に提出を求めている書面を参考に定めることとした場合にも,専門性を有する商業登記所の登記官が実質的支配者情報を確認するハブとなって統一的な添付書面をもって判断を行うことにより,個々の金融機関が窓口でその都度確認を行っている現状に比べ,運用の統一性及び一定レベルの判断水準が担保されることにより信頼性が向上するとともに金融機関及び顧客の負担が軽減し,社会全体のコストが低減するとともに,取引がより迅速に行われる効果が期待される。

ウ 小括

本制度は,法人が任意に利用することを前提とする制度であり,EU 加盟国等の制度のように関係当事者に義務を課すものではないが,後述のとおり,我が国における実質的支配者把握の仕組み全体の中で適切に位置付けられることにより,法人の実質的支配者の確認の信頼性を高めるものであり,本制度を導入することの意義は大きいと考えられる。

(2) 本制度の対象

ア 制度の対象となる法人の種類及び実質的支配者の類型

本制度は,商業登記所による新たな取組であり,また,一般的に商業登記所は,その業務に馴染む種類の書面による審査により行うことができる業務を担う機関であると考えられてきたことに照らし,まずは,資本多数決法人である株式会社及び特例有限会社のうち,その実質的支配者が実質的支配者類型①及び実質的支配者類型②であるものを対象とし,また,株主が外国会社である場合を対象としないこととして開始するという進め方は,適切であると考えられる。

他方で,合同会社等の資本多数決法人以外の法人,株式会社及び特例有限会社のうち実質的支配者が実質的支配者類型③又は実質的支配者類型④のもの,株主が外国会社であるものについても,実質的支配者の一元的かつ継続的な把握が課題であることは同様である。

そこで,本制度の対象外となった法人や実質的支配者の類型については,将来の課題として,本制度導入後の運用状況も踏まえて,その在り方について検討を行うことが相当である。

その際には,登記所の業務は,一般的に,その業務に馴染む種類の書面による審査により行うものとされているところ,資本多数決法人以外の法人の実質的支配者の確認については,貸借対照表や損益計算書等の収益の配当や財産の分配の状況を明らかにする資料を確認する必要があり,また,最初の段階の審査で,出資,融資,取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有する自然人の有無を確認する必要があることなどから,より実体的な審査が必要になるものの,書面による審査は可能であることなども考慮して,登記所の業務に適するか否か,また,仮に適さない場合にはどのような機関が担うべきであるかなどを含め検討を行う必要がある。

イ 本制度の対象となる取引の類型

本制度は,犯罪収益移転防止法第4条第2項のハイリスク取引,通常の特定取引のいずれの類型の取引についても利用することが可能である。

(3) 実質的支配者リストの写しを発行する事務フロー

実質的支配者リストの写しの発行の事務フローに関し,第2の2(3)掲記のとおり,申出法人が作成した書面について登記官がその正確性を添付書面により確認するものとすることは,一般的な商業登記の事務フローとも整合するものである。

また,登記官が申出のあった実質的支配者リストをスキャンして保管することについても,商業登記所において,実質的支配者情報を保管するものであり,実質的支配者を継続的に把握する観点から効果的な取組であると考えられる。

さらに,登記官が,申出法人について,実質的支配者リストが保管されている旨を登記簿に付記することについても,後述のとおり,本制度の利用を促進する効果があると考えられる。

(4) 申出された実質的支配者情報の正確性を確認する方法

申出の際に申出法人から提出される実質的支配者リストの正確性を登記官が確認する方法については,現在の銀行の顧客の実質的支配者確認の実務を参考に,株主名簿の写し,確定申告書(法人税)別表二の明細書の写し,公証人の発行する申告受理及び認証証明書等の提出を求める考え方(案①)を採用すべきである。

その上で,実質的支配者が法人の議決権を間接に保有する場合における実質的支配者と法人の関係や,実質的支配者の本人特定事項に関する確認の在り方については,実務上のニーズにも照らしながら,引き続き検討を行うべきである。

申出法人が虚偽の資料を用いるなどして申出を行った場合には,個別の事案に応じて,関係法令に基づき制裁が科され得る。例えば,申出法人が株主名簿に虚偽の記載をした場合には,会社法(平成 17 年法律第 86 号)第 976 条第7号の規定により 100 万円以下の過料に処せられることになる。

(5) 実質的支配者リストの記載事項

実質的支配者リストは,犯罪収益移転防止法の枠組みの下で金融機関等の特定事業者が顧客の実質的支配者について確認し,確認記録として一定期間保存しなければならない事項を網羅している必要があり,次の事項を記載することが相当である(別添実質的支配者リストサンプル参照)。

- 申出法人の商号,本店所在地,会社法人等番号

- 実質的支配者情報を確認した時点

- 作成者

- 実質的支配者の該当事由

- 実質的支配者の本人特定事項として,氏名(及びふりがな),住居,国籍等,生年月日,性別

- 実質的支配者が有する申出法人の議決権割合及び間接保有の有無

- 実質的支配者が申出法人の議決権を間接保有する場合には,支配関係図

- 実質的支配者該当性に関する添付書面の種類

- 実質的支配者の本人確認の書面の種類

(6) 本制度を利用する法人の理解を促進する方法

本制度については,法人が自己の実質的支配者を証明するために利用することができるほか,銀行が顧客の実質的支配者を確認する際に,顧客の申告内容の正確性を確認するための資料として,顧客に実質的支配者リストの写しの提出を求めるという形で利用されることが想定されているところ,そのような運用を行うためには,銀行の顧客による本制度の理解を深めることが重要である。

この点に関しては,まず,前記第3の1(3)掲記のとおり,本制度を利用した法人については,実質的支配者リストが保管されている旨が登記簿に付記され,登記事項証明書にもその旨を記載することを想定しているため,申出法人は,金融機関以外の当事者と取引を行う際に,取引の相手方から,求めがあれば実質的支配者リストの写しを提出することのできる透明性の高い会社であると認識される。そのため,その信頼性が向上するという事実上の利点を当該法人が享受し得るものであり,このことにより,一定程度本制度の意義についての理解が広まると考えられる。

さらに,銀行の顧客の理解を促進するためには,本制度が,我が国における実質的支配者情報把握の仕組み全体の中で適切に位置付けられることが重要である。そこで,今後,金融庁マネロンガイドラインを含め,我が国の仕組み全体の中で,本制度が適切に位置付けられるよう,銀行業界,金融庁と連携して更に検討を進めていくことが必要である。

また,本制度の意義について理解を広めるために,関係機関が連携して周知を行うことも必要であると考えられる。周知に当たっては,公的機関を装ったフェイクメール等によって利用者に被害が生ずるというような事態の発生を防止することにも留意すべきである。

(7) 実質的支配者リストの写しの利用が想定される場面

令和元年 12 月末時点の株式会社及び特例有限会社の数は約 345 万 5000社であるところ,本制度は,主に,これらの法人が,特定事業者と取引を行う際に利用することが想定される。

いかなる場合に実質的支配者リストの写しの提出が求められるかについては,特定事業者の運用に委ねられることとなるが,顧客との取引開始時や,継続的顧客管理を行う中で,公的機関による客観的かつ統一的な判断が必要となる場合等に求められることになると考えられる。

 

(8) 商業登記所で管理する実質的支配者情報へのアクセス

実質的支配者情報は,個人情報を含むプライバシー性の高い情報であることから,本制度の導入に当たっては,申出法人のみが交付を請求することができる制度とすることが考えられる。

その上で,将来的には,商業登記所の管理する実質的支配者情報へのアクセス権者の拡大について,本制度の運用状況もみながら,更なる制度改正を行うことを含め,検討を行うことが相当である。

(9) 根拠法令・施行時期

本制度については,まずは,法務省令により,令和3年度中を目途に,速やかに制度導入を実施することが相当である。

その上で,将来的には,本制度開始後の運用状況もみながら,より根本的な制度改正を行うことの要否についても検討を行うことが相当である。

2 本制度導入後の課題

本制度導入後の運用状況を踏まえつつ,次の事項について更に検討を行うことが相当である。

・ 資本多数決法人以外の法人に関する実質的支配者の把握の在り方

・ 株式会社及び特例有限会社の実質的支配者類型③及び実質的支配者類型④の実質的支配者の把握の在り方

・ 株主が外国法人である場合の実質的支配者の把握の在り方

・ 実質的支配者,実質的支配者が法人の議決権を間接に有している場合における上位会社,実質的支配者の確認義務者等から,実質的支配者情報の提供を受けることができる仕組みの在り方

・ 商業登記所の管理する実質的支配者情報へのアクセス権者の範囲

・ 商業登記所に保管される実質的支配者リストの保管の在り方

・ 実質的支配者変更の適時の把握の在り方

・ オンラインによる実質的支配者リストの保管及び写しの交付の手続の実施

・ 申出法人の申出内容に関する正確性の確認における,AI の導入等 IT 技術の活用

第4 おわりに

法人の実質的支配者を把握することは,国際的要請であり,各国は,知恵を絞り,リスクの評価,ビジネスの効率性,プライバシーの要請など,それぞれが置かれている異なる状況に適しており,かつ,より効果的な制度の実現に向けて取り組んでいる。また,我が国においてそのような取組を行うことは,金融機関が円滑に海外取引を行うための環境整備にも資するなど,我が国の企業による国際的な経済活動を支える制度的インフラを整備することにも資するものである。

本制度は,法人の実質的支配者を把握するための複数の手法のうち,我が国ではこれまで十分に活用されてこなかった,登録機関を情報源とする手法(theRegistry Approach)により,設立後の法人の実質的支配者の継続的把握という残された課題について取組を行うものであり,その意義は大きい。

今後,まずは,本制度を円滑かつ速やかに導入することが重要であり,その上で,本制度の運用状況や国際的動向もみながら,更なる取組に向けた検討を行っていくことが期待される。

 

Information on the effective ruler of a corporation in a commercial registryStudy Group on Grasping Promotion-Summary of discussions by experts-July 2nd Reiwa

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Information on the effective ruler of a corporation in a commercial registryExperts participating in study group on grasp promotion(Chair) Professor Waseda University College of Law Legal StudiesrockGen HaraProductGeneral corporate judicial person National Banking AssociationGeneral Manager of ComplianceAPartoneAttorney (The Second Tokyo etropolitan Attorneys Association)PieceMountainReachProfessor, Graduate School of Law and Politics, University of TokyoAdditionTakashi FujiJinHitotsubashi University Faculty of Education Research CourseMihoko KakudaJudicial scrivener (Kyoto Judicial Scrivener Association)WithinWisteriaTable.

3

1Domestic and international situation as the first background1 It is an international request to know the effective ruler of a corporation, and moneyEfforts are being made in each country from the viewpoint of preventing the financing of tendering/terrorism.ing.

In a country where such efforts are not adequately implemented,

Finances that companies, especially financial institutions, are counterparties of overseas transactionsInstitutions may be evaluated as high risk and transaction costs may increase.

It, Therefore, the financial institutions of each country are highly interested in the status of their efforts.doing.2 Money laundering/terrorist financing, including the understanding of the effective ruler of the corporation plays a major role in promoting international efforts regarding measures the FATF (Financial Activities Working Group).

The FATF announced in 1989 that the G7 Arsh SaIt is an intergovernmental framework that has been agreed to be established after receiving the Mitt Economic Declaration.Establish international standards and make member countries also promotes effective compliance and system construction.

The FATF provides a “comprehensive and coherent framework for Member States to observe.

The status of compliance by each country is subject to laws, enforcement measures,It will be evaluated from a technical perspective such as the powers and procedures of the competent authorities.

In addition, the FATF is responsible for dealing with money laundering/terrorism financing in each country.”Direct effect” (Immediate Outcome, IO), which is an index of effectiveness, was also created.

Each country is evaluated from this perspective.The main recommendations and direct effects regarding the grasp of the effective ruler of a corporation are: Recommendation 10, Recommendation 24, and Direct Effect 5 are listed, and the contents are as follows.

① Recommendation 10This Recommendation states that financial institutions may, in certain cases, take customer control measures.What is required and what is required of customer management including the following items: Is.“The beneficiary’s identity is confirmed and the financial institution determines who the beneficiary is.Rational steps to verify the identity of the beneficiary,

so that to take. This includes financial institutions that are legally and legally should also include understanding the ownership and management structure of the. “It should be noted that, according to Recommendation 22,

This obligation is subject to designated non-financial conditions under certain conditions.It will also apply to traders and professionals.

② Recommendation 24This Recommendation contains the following with regard to corporate transparency and true beneficiaries: It is a request for measures.”Countries prevent abuse of corporations for money laundering or terrorist financing2Measures should be taken to Each country has legal authority sufficient, accurate and timely information about the beneficial ownership and control of a person to obtain or access such information should be secured.

“The FATF also evaluates not only from the technical point of view but also from the perspective of effectiveness.

4The following indicators are set in relation to the grasp of the effective ruler.

③ Direct effect 5 (IO5)

Direct effect 5 is defined as follows.”Abuse of legal entities and legal arrangements for money laundering and terrorist financing information on the substantive ruler that is being prevented is also available to competent authorities. It is available without any problems.

“3 The FATF is committed to promoting efforts by countries to comply with Recommendation 24 in 2019.

In October 2010, “Introduction of recommended measures, etc.

Best Practices on Beneficial Ownership for legal Persons)” (hereinafter referred to as “FATF Best Practices”)It was the FATF best practices include multiple sources (registrativeMethod (the Registry Approach), a method using the company as the information source (the CompanyApproach), a method of utilizing existing information sources (the Existing InformationApproach)) can be used by a corporation for criminal purposes.

Measures to prevent and ensure sufficient transparency regarding the substantive control of corporations recommended as effective for implementation.

The Registry Approach is a method of registering a corporation. Acquire and maintain the latest information regarding the effective ruler of the corporation at the recording agency is something. The Company Approach is a method of making a company a shareholder.

Or by maintaining and updating the list of members, It seeks to obtain and maintain up-to-date information about distributors.

With the method of utilizing existing information sources (the Existing Information Approach)In relation to the substantive control of a corporation in order to identify the substantive ruler of the corporation.

It utilizes the existing information collected.4 In Japan, in order to know the actual ruler of a corporation, a notary public with a substantial ruler of a stock company, etc.

established for a trustee when the articles of incorporation are certified effort are being made to request the declarations of those who should be, and this is the FATF best plan.

Has received international acclaim, including being taken up by Curtis. Also crimeAct on Prevention of Revenue Transfer by Law (Law No. 22 of 2007.

 

3Profit Transfer Prevention Law”. ), a specific business operator such as a financial institution (criminalRefers to a specified business operator stipulated in Article 2, Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Profit of Offense. same as below. )Is working to identify the actual ruler of the customer.

In addition, regarding the continuous grasp of the effective ruler after the establishment of the corporation, And the competent authorities have been updated in this regard.

Providing access to information about the effective substance of a corporation is an international requirement. (See Recommendation 24), and the General Bankers Association of JapanIn the questionnaire conducted by the grasping, adding substantial ruler information to the entry, registered by a financial institution take action to realize direct access to the information on the actual rulerThere were many opinions that asked for things.5.

Looking at international trends regarding the grasp of the effective ruler of a corporation, In accordance with the EU Directive (2015/849) of 2015, member countries are accurate, up-to-date, and sufficient information about the effective ruler of the corporation to obtain and retain information on the effective rulers of these legal entities is collected to facilitate the process.

It is required to establish a unified registration agency.

In addition, according to the 2018 EU Directive (2018/843), Member States expand the number of people who have access to information, and if you find any discrepancies between your information and your registration information, you will be required to report to the registration agency.

Is required. In the EU (when the EU joined), Germany, France, etc. Is being implemented in line with the EU Directive of the UK has received the inspection results (December 2018), and is recommended by Recommendation 24 and IO5.

It is highly evaluated. The United Kingdom is in the third round of mutual examination in 2007In this case, the PC is evaluated for Recommendation 33 at that time, which is equivalent to Recommendation 24 at present.

I had received it (there was no IO indicator at that time), but at the 4th mutual examination in 2018Evaluates LC for Recommendation 24 and Substantial for direct effect 5.

Has been evaluated (*). In addition, Japan wasTherefore, NC is evaluated for Recommendation 33 at that time.*The recommendations are evaluated from the top, C (Compliant), LC (Largely Compliant), PC (PartiallyCompliant), NC (Non-Compliant) 4 stages.

With regard to Recommendation 24, no country has received a C rating yet among the evaluations, LC has the highest evaluation.

The evaluation of the direct effect is from the top, High, Substantial, Moderate, and Low. On the other hand, in the United States, it is practical at both the federal and state levels.

 

further seems to be no registration system for ruler information. The outline of the system in each European country and the United States is as follows.

*”BO” is an abbreviation for the actual ruler.

“R24” is an abbreviation for Recommendation 24.

“IO5” is an abbreviation for direct effect 5.6 In light of the above situation, regarding the continuous grasp of the effective ruler of the corporation after its establishment order to make efforts to improve since it was considered to be beneficial to consider his study group was launched by the chairman and was also observed by the Ministry of Finance and the Financial Services Agency.A meeting was held with participation.

Assumption and subject of discussion assumptions of 1 discussion(1) Framework of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds for Confirmation of Substantial Ruler of CustomerWhen a specified business operator conduct specified transactions with a customer, etc.

Is a corporation (excluding countries, local governments, listed companies, etc.)Substantially managing the business by the method of receiving a report from a representative such as a customer what is specified by an ordinance of the competent ministry as having a relationship that allows control(Hereinafter referred to as “substantial ruler.”) Personal identification items (name, residence and year of birth)It is said that it is necessary to confirm the date and time (prevention of transfer of criminal proceeds).To prevent the transfer of profits by crime, Article 4,

Paragraph 1, Item 1, Item 1, Item 4, Item 5Law Enforcement Regulations (2008 Cabinet Office, Ministry of Internal Affairs, Ministry of Justice, Ministry of Finance, Welfare)Ministry of Labor, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries, Ministry of Economy, Trade and Industry, Ministry of Land, Infrastructure, and Transport Ordinance No. 1. Below “criminal proceeds

 

FiveTransfer Prevention Law Enforcement Rules”. ) Article 11, paragraph 1).

Then, the transaction concerned may be a transaction suspected of impersonation or a transaction suspected of being false.

By trade, transactions with residents of specific countries (Iran, North Korea), important foreign public and it is a high-risk transaction such as a transaction with a person with a position (PEPs), The Specified Business Operator shall use the shareholder list, It is supposed to be confirmed by documents such as securities reports(Article 4 Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds, Regulation No. 14 of the Enforcement Act on Prevention of Transfer of Criminal Profit)Article 3).

The significance of the effective ruler is as follows (prevention of transfer of criminal proceeds)Law Enforcement Regulations Article 11). In addition, the country, local public bodies, listed companies, etc. and their child associations company is considered to be a natural person in the determination of whether it is a substantial ruler (ArticleItem 4).

A. If the customer is a corporation, etc.In the case of a majority voting corporation (hereinafter referred to as a “majority voting corporation”)CombinedAny one of the following ① to ④ becomes the effective ruler.

① Direct or interim voting rights exceeding one-half of the total voting rights of the corporation.If there is a natural person who is recognized as having the contact person, Below, it is called “substantial ruler type ①”. )

(2) If there is no person (1), a quarter of the total voting rights of the corporation natural person who is recognized as having one or more voting rights directly or indirectly there is, the natural person concerned (hereinafter referred to as “substantial ruler type ②”)

③ If there is no person of ① and ②, investment, loan, transaction, and others recognized as having a dominant influence on the business activities of the corporation.If there is a natural person who is assigned (hereinafter, “substantial ruler type ③”)Say. )

④ If there is no person from ① to ③, represent the relevant corporation andNatural person who executes duties (hereinafter referred to as “substantial ruler type ④”)When the customer is a corporation other than the majority voting corporationThe following (1) or (2) will be the effective ruler.

① The following (A) or (B) will be the effective ruler(A) The person in (a) or (b) becomes the effective ruler.

(a) Revenue from the business of the corporation or total amount of property related to the business the right to receive a dividend of more than one half of theIf there is a natural person that is recognized as having the natural person,

(b) Revenue from the business of the corporation in the absence of person (a)6Or, the dividend of profit exceeding one-quarter of the total amount of property related to the business or a natural person who is recognized as having the right to receive the distribution of property there is, the natural person(B) Support the business activities of the corporation through investment, financing, transactions, and other relationships.

 

If there is a natural person recognized as having a co-ordinated influence, Natural person② If there is no person of ①, execute the business on behalf of the corporation.The natural person(2) Financial Services Agency Maneron Guideline Framework“Money laundering and terrorism,” created by the Financial Services Agency in April 2019.Guidelines for financing measures” (hereinafter referred to as “Financial Services Agency Manneron Guideline”. ), substantive control over customer management by financial institutions.

Regarding the confirmation of the person concerned, “a book that includes matters that identify the customer and his/her substantial rulerWhen investigating matters such as person confirmation items and transaction purposes, seek a reliable trail.

To do this.”And what is the method of confirming and confirming this “trustworthy trail”?As for whether to take this into consideration, apply the lowest standard uniformly to all customers.

Instead, go deeper when the risk is high and ask for a trail is thought that measures such as taking measures should be taken according to the risks (financial as a result of public comment on Agency Manerolon Guidelines, FSA’s approach to the outline and comments of the statement” on page 15 (*).* Https://www.fsa.go.jp/news/30/20180206/gaiyou.pdf

(3) Practice of confirmation of the actual control of the customer by the bank confirmation of the effective ruler of the customer by the bank is as follows.It is carried out according to the legal framework.In the case of high-risk transactions under Article 4, Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Criminal ProfitFor each high-risk transaction based on the declaration, regarding the relationship between the effective ruler and the customer,

Confirmed by legally required documents such as books and securities reports there is.In the case of normal specific transactions to identify the substance of the substance and the relationship between the substance and the customer this has been confirmed based on the customer’s declaration.In addition, even in the case of ordinary specific transactions, each bank at the beginning of transactions and in continuous customer management, the relationship between the actual ruler and the customer and the actual reliable evidence of the qualitative ruler’s identity, depending on the risk 7 May check the material that becomes.

(4) Declaration of a person who should be a substantial ruler in the certification of articles of incorporation by a notary public when establishing a corporation such as a stock company,

The contractor (subcontractor) becomes a substantial ruler of the stock company, etc.

with respect to the notary public.It is supposed to declare the appropriateness of the person to be a person who should be a person and the person who acts like a gangster.(Notarization Law Enforcement Regulations (Law Office Ordinance No. 9 of 1948) Article 13 Paragraph 4).

The notary shall based on the Articles of Incorporation and other materials, report the declared effective ruler.

And determine the appropriateness of the actual ruler, Confirm whether you are not a gangster, etc., and also report the actual ruler identity of the person is confirmed by a document confirming the identity.

In addition, the notary public shall, after certification of the articles of incorporation, accept the request from the contractor at the request of the contractor.

As a result of examining the contents of the filing declaration and its contents, the reason for refusal of the contract is not recognized.”Declaration acceptance and certification certificate” certifying that the articles of incorporation have been certifiedIssuing.

(5) Commercial registry office regarding the business of commercial registration, the location of the business office of the party is under the jurisdiction (registrationIncluding cases in which administrative work is delegated. ) Legal Affairs Bureau or District Legal Affairs Bureau or this these branch offices or their branch offices are in charge of registration (commercial registration Law (Law No. 125 of 1958), Article 1-3), this registration office is a business registry office. As of June 1, 2012, there are 84 commercial registration offices nationwide.

Exists here. The basic information of the corporation after establishment is registered in the commercial registry office, The Registrar in charge has a high level of expertise in the field of commercial/corporate registration.

There is.2 Examination subject task of this study group is to collect information on the effective ruler of a corporation in a commercial registry.

As a grip promotion measure, the commercial registration office created it by the request of the corporation.

Substantial Ruler List (Regarding the substantive ruler, refers to a document containing information regarding availability. ) According to the prescribed attachment system that confirms the contents, creates a copy, and certifies that it is a copy (below is called “this system” below. ) Of the need and systemThe, the contents will be examined.The issues on the issues to be examined are as follows.

(1) The necessity of establishing this system. Internationally, like the systems of EU member states, corporations, substantive rulers, We impose certain obligations on those who are required to confirm qualitative ruler information, and8In in some cases, the information is collected by the registration agency and the accuracy is ensured.

Is it possible to anticipate the use of this system on the premise of intentional use?In what situations is this system expected to be used?

(2) The target of this systemOh, about corporations that can use this system, we are capital majority corporationHow to target only limited stock companies and special limited liability companies?

Do you think(A) Regarding the types of substantive rulers covered by this system, the business of the commercial registry officeSubstantial ruler type that allows for a written examination that is familiar to the businessAnd substantive ruler type ② only, and the shareholders are foreign companiesWhat do you think about the case not being subject to the system?

(3) Workflow for issuing a copy of the Substantive Ruler ListHow do you think about this system as the next work flow?Ruka?

(1) The entity that intends to use this system (hereinafter referred to as the “application entity”) is actually an official ruler list and register it at the commercial registry with the attached documents.

Submit to the public office to request the storage and copy of the Substantive Ruler List.

(2) The Registrar who received the request is the attached document and information held by the Commercial Registry Office, etc.

The contents of the Substantive Ruler List based onIf it is confirmed that theIn addition to controllingIs added to the register, and on that basis, a substantial ruler is given to the corporation.

Deliver a copy of the list with a certificate of registration by the registrarIt(4) Method of confirming the accuracy of the requested Substantive Ruler InformationA. Confirming the applicability of a substantial controller regarding the proposed substantial controllerWhat kind of attachment should be requested in order to do so?-Refer to the current practice of confirming the effective control of the bank’s customers, and register the shareholder list.

A copy of the statement of final tax return (corporate tax) Appendix 2Approach (plan 1) for requesting acceptance of declaration and submission of certification certificate, It is assumed that the confirmation method is different from the conventional bank practice, and the third party there is a way of thinking (draft ②) of requesting the submission of a copy of a certified shareholder register.

Which idea should be used?– In cases where the effective ruler indirectly holds the voting rights of the corporation, What should be done when the cooperation of the subsidiary company and the actual ruler cannot be obtained? Should it be?

9-Should we ask for a written confirmation of the identity of the claimed Substantive Ruler?(A) What are the possible sanctions for making false statements?Is it done?

(5) Items to be included in the Substantive Ruler ListWhat should be included in the substance list?

(6) How to promote understanding of corporations using this systemThis system functions as an effective system for grasping the effective ruler of a corporation.To do this, understanding about this system will spread among corporations that use this system, Promote such understanding where it needs to be fully utilized what kind of method can be considered?

(7) The expected size of demand for a copy of the expected list of effective rulership corporation can be used by any corporation in any occasion and at any frequency.Is it supposed?

(8) Access to information on effective rulers managed by the commercial registry officeThe effective ruler list contains personal information and is only exchanged by the requesting corporation.How about having a system that allows you to request an attachment?

(9) Ground lawRegarding this system, how about making provisions in the Ordinance of the Ministry of Justice?

(10) Other future issuesThis system will first focus on the items that can be implemented by the end of next year.Therefore, it is possible to introduce it quickly, but as a future issue after that, it will be furtherWhat can you think of?

Summary of the third discussion1 Ideal way of this system at the start of this system(1) Necessity of establishing this systemThe need to develop a method that uses the registration agency like the information sources mentioned above, it is necessary to know the effective ruler of a corporation from Japan and overseas. Being contracted.

In Japan, a specific business operatorChecking the ruler. In addition, when the notary public certifies the articles of incorporation, To a person who should become a substantial ruler of a stock company and its gang members the FATF Ves.

It has been internationally acclaimed, such as being featured in industry practices.

On the other hand, in the case of other advanced compared with the efforts, It seems that grasping is left as an issue,

 

TenThe banking industry is also demanding that these measures be taken.

This system deals with the above issues by the commercial registry office.

Among the three methods described in the first 3 above, the method of using the registration agency as the information source.

Corresponding to the law (the Registry Approach)As an approach to improve the accuracy and precision of gripping, other methods in JapanIn combination with the efforts byIs possible.

This system can be used by corporations to prove their effective control.In addition, the bank can assist in identifying the customer’s effective control.If necessary, as a material for confirming the accuracy of the customer’s declaration content, It can also be used in the form of requiring submission.

Therefore, The banking industry is also using “a credible testimony” when identifying the actual ruler of a customer.So that a copy of the Substantive Ruler List can be used as a “trace” Is expected to increase the reliability of confirmation of the actual ruler. Has been.

The necessity of using the commercial registry as a registration agencyA commercial registry office is a business that registers basic information about a corporation (commercial/corporate registration)The Registrar who is responsible forSince it has a high degree of specialization, the commercial registry office is a corporation after its establishment.

Considered to be suitable as an institution that continuously grasps information on the actual ruleravailable.

When the Registrar of Commercial Registries issues a copy of the Substantive Ruler List, Regarding the attached document to be approved, the substantive support that each bank is currently carrying out.

Refer to the document that each customer is required to submit when confirming the distributorEven if it is decided to stipulateBecome a hub to confirm the information of the effective ruler with a uniform attachmentBy making a judgment, each financial institution confirms at the counter each time.

Compared to the current situation, operational uniformity and a certain level of judgment are guaranteed.

Will improve reliability and reduce the burden on financial institutions and customers.Reduce the cost of society as a whole, and the transactions can be carried out more quickly.The expected effect is expected.C SummaryThis system is based on the premise that corporations can use it voluntarily.

It does not impose obligations on related parties like the system of allies, but will be described later.

As shown in the figure, it is appropriate in the overall system for grasping the actual ruler in Japan. By placing it in the

 

11It is expected that the introduction of this system will be of great significance.

It(2) Target of this systemA. Types of legal entities subject to the system and types of effective rulership system is a new initiative by the commercial registry office, the registry office may conduct a written examination of a type that is familiar to its work.

In light of what has been considered to be the institution responsible for the work that can be done, first of all, Of the stock companies and special limited companies that are majority voting companies, Consider that the ruler is a substantive ruler type ① and a substantive ruler type ②.

Like an elephant, and also when the shareholders are foreign companies process of starting is considered appropriate.

On the other hand, corporations other than capital majority corporations such as joint-venture companies, corporations and special casesSubstantial ruler of the limited company is a substantive ruler type ③ or substantive rulerSubstantial ruler for type ④ and foreign shareholdersIt is also the case that the centralized and continuous grasp of the issue is an issue.

Therefore, regarding the types of corporations and substantive rulers who are not covered by this system, However, as a future issue, considering the operational status after the introduction of this system,It is considerable to examine the way of life.

At that time, the work of the registry office is generally a type of book familiar to the work.Since it is supposed to be carried out by face-to-face examination, For confirmation of the effective ruler of the outside corporation, see the balance sheet or income statement.

It is necessary to check the materials that clarify the status of dividend distribution and property distribution.

Necessary, and in the first stage of the examination, investment, financing, transactions and other relationshipsWhether there is a natural person who has a dominant influence on the business activities of the corporation throughTherefore, a more substantive examination is required.

However, in consideration of the fact that a written examination is possible, Whether it is suitable for work, and if it is not, what kind of organizationIt is necessary to consider including whether it should be carried.B. Types of transactions covered by this system this system are for high-risk transactions under Article 4, Paragraph 2 of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds, usually can be used for any type of specific transaction ofIt(3) Business flow for issuing a copy of the effective ruler list regarding the business flow for issuing a copy of the Substantive Ruler List, see 2(2)(2)As described above, the registrar must correct the accuracy of the document prepared by the applicant corporation.

It should be confirmed in the attached document that it is a general business registration office work flow.

 

12-It is also consistent with.In addition, the registrar scans and saves the list of effective rulers requestedAs for what to do, information on the effective ruler is stored at the commercial registry office.

And effective measures from the perspective of continuously grasping the actual ruler.It is believed that there is.

In addition, the registrar shall maintain a list of effective rulers for the proposed corporation.

Regarding the fact that the information is added to the register, as described below, It is thought to have the effect of promoting use.

(4) Method of confirming the accuracy of the requested Substantive Ruler InformationThe accuracy of the actual list of rulers submitted by the requesting corporation at the time of application is registered.

For information on how the clerk can confirm, see Determining Substantive Control of Current Bank Customers.

Copy of shareholder register, statement of final tax return (corporate tax), Schedule 2A copy of the document, acceptance of the declaration issued by the notary, and submission of a certification certificate method (plan 1) should be adopted.

In addition, if the effective ruler indirectly holds the voting rights of the corporation, The relationship between the effective ruler and the corporation, Regarding the way of confirmation, we will continue to check it in light of practical needs.

The debate should be done. If the applying corporation makes an application using false materials, etc.

Depending on the case, sanctions may be imposed in accordance with relevant laws and regulations. For example, the requesting corporationIs false in the shareholder registry, the Companies Act (Law No. 86 of 2005)According to the provisions of Article 976 No.7, fines of 1 million yen or less will be imposed.

It(5) Items to be included in the Substantive Ruler ListThe list of effective rulers is a financial institution under the framework of the Act on Prevention of Transfer of Criminal Proceeds.

As a confirmation record, the specific business operator, etc., confirms the actual control of the customer.

It is necessary to cover the items that must be stored for a certain period of time.

It is appropriate to describe the matters (see the attached sample of substantial rulerSee).-Trade name of the requesting corporation, head office location, corporate corporation number, etc.-At the time of confirming the effective ruler information- Author-The reason for the effective ruler-Name (and furigana), residence, etc.Nationality, date of birth, gender-Proportion of voting rights of the proposed corporation owned by the effective ruler and whether or not there is indirect holding13-If the effective ruler indirectly holds the voting rights of the proposed corporation, engagement-Types of attached documents regarding eligibility as a substantial ruler-Type of the ment confirming the identity of the substantive ruler(6) How to promote understanding of corporations using this system this system is used by corporations to prove their own effective control.

In addition to the ability of the bank to identify the effective control of the customer, As a material for confirming the accuracy of the declaration content of the is expected to be used in the form of requesting a copy of the list.

However, in order to carry out such operations, the customer of the bank must manage the system.

It is important to deepen the solution.

Regarding this point, first of all, as described in the above 3(1)Regarding the corporations used, it is registered that the list of effective rulers is stored.

It is added to the book, and it is assumed that it will be stated in the entry certificate.

Therefore, the applying corporation, when conducting transactions with parties other than financial institutions, By hand, a copy of the Substantive Ruler List will be submitted if requested.

Recognized as a highly transparent company. Therefore, its reliability is improvedThe corporation can enjoy the de facto advantage of doing so.

By doing so, it is believed that understanding of the significance of this system will be spread to some extent.

Furthermore, in order to promote the understanding of bank customers, this system will be adopted in Japan.

Be properly positioned within the overall system for grasping the actual ruler information.

And are important. Therefore, in the future, including the FSA Mannion Guidelines, In order for this system to be properly positioned in the overall national structure, It is necessary to further study in cooperation with the Financial Services Agency.

Also, in order to spread the understanding of the significance of this system, related organizations will work together.

It is considered necessary to publicize the information. To inform, public institutionsIt is said that fake emails posing as users will cause damage to users.

Care should also be taken to prevent the occurrence of a situation.

(7) When it is assumed that a copy of the effective ruler list will be usedAs of the end of December 2019, the number of joint-stock companies and special limited companies was approximately 3,455,000.

As a company, this system is mainly based on the fact that these corporations deal with specified businesses. It is expected to be used when doing.

When is it required to provide a copy of the Substantive Ruler List?

Depending on the operation of the specific business, the transaction with the customer beginsAt times, and during ongoing customer management, objective and unified judgments by public institutions are made.It is considered that it will be required in cases such as where disconnection is required.

 

14(8) Access to information on effective rulers managed by the commercial registry officeSubstantial ruler information is information with high privacy including personal information.

Therefore, when introducing this system, only the requesting corporation requests the grant.It is conceivable to have a system that allowsIn addition, in the future, it will be necessary to access information on the actual ruler controlled by the commercial registry office.

With regard to the expansion of access rights, further system reforms will be carried out while checking the operation status of this system.

It is considered to conduct a study, including to perform positively.

(9) Basis law and enforcement time regarding this system, first of all, by the Ordinance of the Ministry of Justice, aiming for the middle of the third year of Reiwa,It is reasonable to introduce the system promptly.

On top of that, in the future, while seeing the operational status after the start of this system,It is also appropriate to consider whether or not it is necessary to revise the system.

2 Issues after introducing this system based on the operational status after the introduction of this system, the following items will be further examined.

It is considerable.

・How to grasp the actual ruler regarding corporations other than capital majority corporations・Substantial ruler type ③ and practical ruler types of stock companies and special limited liability companies to grasp the actual ruler of type ④・How to grasp the actual ruler when the shareholders are foreign corporations・In the case where the effective ruler has the voting right of the corporation indirectly information on the actual ruler is sent from the higher-ranking company in theHow to be able to receive the provision-Scope of persons who have access to the information on the actual rulers managed by the commercial registry・How to store the list of effective rulers stored in the commercial registry・How to grasp the change of the effective ruler in a timely manner・Online procedures for storing and issuing a copy of the Substantive Ruler ListImplementation・IT technology, such as the introduction of AI, in the confirmation of the accuracy of the contents of the requesting corporation.

Use of surgeryFourth conclusionIt is an international requirement to know the substantive ruler of a corporation, and each country has to limit its wisdom.

Risk assessment, business efficiency, privacy requirements, etc.To achieve a more effective system that is suitable for different situations.Are working together. In addition, it is imperative for financial institutions to make such efforts in Japan.It contributes to the improvement of the environment for smooth overseas transactions, and15It also contributes to the development of institutional infrastructure that supports interdisciplinary economic activities.

This system is one of the multiple methods for grasping the effective ruler of a corporation in Japan.A method that uses a registration agency as an information source, which has not been fully utilized until now (theRegistry Approach) to continuously grasp the actual ruler of the corporation after establishmentThe remaining issues will be addressed and their significance will be great.

In the future, first of all, it is important to introduce this system smoothly and promptly.

Then, while looking at the operating status of this system and international trends, we will study for further efforts.Expected to continue.

(一社)民事信託推進センター実務入門講座第2回「民事信託登記」

zoomのチャット欄に書き込んだコメントの備忘録です。

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お疲れ様です。

チャット欄は、パネリストだけではなく、参加者同士でやり取り
出来るように設定することは可能でしょうか。

ピーって聴こえますね。

いえ、私だけかと思いました。


【信託条項の信託の目的について】
信託法2条1項で、一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう、と書かれているので、管理又は処分できることは原則なので登記不要、管理、運用、又は処分について制限がある場合に登記が必要だと思うのですが、どう思いますか。


【信託条項に不動産を記載するかについて】
不動産が複数ある場合に検討するかもしれません、


【受託者の瑕疵担保責任について】
・売買を予定している場合は検討するかもしれません。

【受託者の信託事務について】
・資料に記載の条項は、全て記録申請します。

【第3者委託について】
・管理会社がいれば検討します。

【信託の変更について】
その他信託法が定める事由を入れます。

【受益権の譲渡、質権設定について】
受益権は相続により承継されない、というのはどういう意味なんでしょうか。

【信託の終了について】
その他信託法が定める事由を入れます。

【次順位の受益者を信託条項に記録するように登記申請するかについて】
ケースで分けます

信託財産に関する条項 (信託不動産の売却代金から諸費用を控除した金銭を信託財産とする)などについて

連載 信託契約書に潜む注意すべき条項徹底解説という記事[1]がありました。

引用です。

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信託法16条1号には、信託財産が他の財産に形を変えても、その新しい財産が信託財産を形成するという、いわゆる「信託財産の物上代位性」が規定されていますので、(寺本昌広『逐条解説 新しい信託法』74頁)、信託不動産を売却した際の売却代金は当然に信託金銭になります。まれに、「信託不動産の売却代金から諸費用を控除した金銭を信託財産とする」という条項を見かけることがありますが、諸費用を控除する前の売却代金そのものが信託財産となりますので、このような条項は置くべきではありません。

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「信託不動産の売却代金から諸費用を控除した金銭を信託財産とする」。この条項は、私が作成する信託契約書では入れていんじゃないかなと思い確認してみたのですが、入れていませんでした。理由は分かりません。

ただ、信託法16条1項本文は、信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する、と規定されています。

また、引用されている書籍の(注1)には、例えば、信託財産に属する財産を売却することによって受託者が取得する売買代金債権、信託財産に属する金銭で受託者が購入した財産などがその典型である、と記載されています。

条文と注1を読んでみると、信託行為で信託財産にする財産の範囲は決めることが出来る(16条1項1号は、強行規定ではなく、一般的・包括規定[2])ので、「置くべきではない」と記載するまでのことではないと考えられます。また、売買代金債権と売買代金は、債権と(一般的には)動産なので、性質が違います。売買代金を売買代金債権と捉えて、債権のうちに、「諸費用を控除した金銭を信託財産とする」条項を入れることは、決済の流れを考えてもそれほど間違っていないと思います。

もう1つ同じ記事から引用します。

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なお、現金については、委託者が元気でいる限りは、適宜受託者に金銭を追加して託すこと(いわゆる「金銭の追加信託」)が容易に可能ですので、信託開始時に託す金額の精査はあまりせず、暫定的な金額から管理を始める方も少なくありません(小生の依頼人の中には、信託契約開始時の現金はあえて「0円」という方もいます)。

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信託契約開始時という言葉がどのような意味を持つのか分かりませんが、ここでは、信託契約書の信託財産の条項で、現金を0円とすることが出来るのか、考えてみたいと思います。

金銭0円と金銭なしには、違いがあるのかです。金銭なし、と記載すると、後から現金を信託財産に属する財産にするには、金銭について追加信託用の情報を作成する必要があります。

この件について、明確な答えを持つことは出来ませんでした。信託業法施行令12条の5第1項1号[3]などが参考になるのか分かりませんが、対価を0円と記載しても契約の効力が発生して、サービススタート(手数料は徴収)できるのか、などと考えています。

0円をなしと解釈する方もいるかもしれません。


[1] 「第3回 信託財産に関する条項」一般社団法人家族信託普及協会 代表理事・司法書士 宮田浩『家族信託実務ガイド』2020.8第18号P70~

[2] 道垣内弘人『条解信託法』P86 2017 弘文堂

[3] 特定信託契約(法第二十四条の二に規定する特定信託契約をいう。以下同じ。)に関して顧客が支払うべき手数料、報酬その他の対価に関する事項であって内閣府令で定めるもの