登記研究928号(令和7年6月号)、テイハン
https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html
【論説・解説】
◆民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(所有権の登記の登記事項の追加関係)(2)
東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介
第3 施行通達の解説
○第2部 所有権の登記の登記事項の追加に関する事務の取扱い
○第2 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときの登記の申請関係
国内連絡先となる者がないときは、申請情報に、国内連絡先となる者がない旨を記載し、添付情報欄に、国内連絡先を証する情報(省略)と記載。国内連絡先となる者がないときの暫定的な扱いであり、制度の定着状況によっては見直しが想定されている。
不動産関連業者のほか、登記の申請の代理人となった司法書士等を想定されているそうですが、私は現状、国内連絡先として登記される責任は負えないです。所有者といつ連絡が途切れるか、分からないからです。所有者に推定相続人がいて、その方の承諾があるならその方、そうでなければ国内連絡先はなし、が基本方針になるかなと思います。
○第3 所有権の登記の登記事項の追加に伴うその他の登記に係る記録方法等
○第4 所有権の登記の登記事項の追加に伴う登記事項の証明等の方法
所有者証明書及び登記事項要約書には国内連絡先事項は記載されない。
○第5 関係法令の改正等
◆ポイント解説 基礎から考える商業登記実務(第9回)
東京法務局民事行政部第一法人登記部門首席登記官 山 森 航 太
ポイント:合同会社の業務執行社員の加入及び代表社員の就任による変更の登記について(その3)
5 持分の相続承継による業務執行社員の加入等及び代表社員の就任の登記
定款の定めにより、相続人が社員となる場合の社員となる時期。
登記研究135号P40、昭和34年1月14日民事甲第2723号民事局長回答「遺産分割と相続人の一部入社登記の可否について」
登記研究767号P125、2012年1月30日【商業・法人登記のアクセスポイント】(1)・・・特定財産承継遺言による社員の持分承継の実務上の取扱い根拠として挙げられていますが、会話方式の文章が先例・通達と同じ意味を持っているのか、分かりませんでした。
社員の持分の相続による承継を認める場合、業務執行権を付与するか、どのように付与するか。社員は当会社の業務を執行する、と定款に定めている場合。
社員が1名の場合に、定款で業務執行社員を定めているとき。
定款で、業務執行社員は総社員の同意による、と定めている場合の登記原因は加入、業務執行権付与、どちらによる登記を申請するか。
6 おわりに
◆商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第133回)
一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎
254 学校法人の登記において、寄附行為の全文の添付に代えて必要事項を記載した書面を添付することについて
添付書類の根拠条文に定款・寄付行為と記載されている場合に、当然に定款・寄付行為全文を指すのか。
各種法人等登記規則(商業登記規則等の準用)第五条
商業登記規則(添付書面)
第六十一条 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
2項以下略。
令和7年3月19日民商第44号通知「私立学校法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html
◆逐条解説不動産登記規則(57)
元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史
第107条 合筆の登記における権利部の記録方法
https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018
(合筆の登記における権利部の記録方法)
第百七条 登記官は、前条第一項の場合において、合筆前の甲土地及び乙土地が所有権の登記がある土地であるときは、乙土地の登記記録の甲区に次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 合併による所有権の登記をする旨
二 所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該所有権の登記名義人ごとの持分
三 甲土地又は乙土地に第百五十六条の四に規定する法人識別事項又は第百五十六条の六第一項に規定する国内連絡先事項(以下「法人識別事項等」という。)の登記があるときは、当該法人識別事項等
四 合筆の登記に係る申請の受付の年月日及び受付番号
五 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のものがあるときは、当該信託の登記
2 登記官は、前項の場合において、乙土地の登記記録に承役地についてする地役権の登記があるときは、当該地役権の登記に当該地役権設定の範囲及び地役権図面番号を記録しなければならない。
3 登記官は、第一項の場合において、甲土地の登記記録に承役地についてする地役権の登記があるときは、乙土地の登記記録の乙区に甲土地の登記記録から当該地役権の登記を移記し、当該移記された地役権の登記に当該地役権設定の範囲及び地役権図面番号を記録しなければならない。
4 登記官は、前項の規定により地役権の登記を移記すべき場合において、乙土地に登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一の承役地にする地役権の登記があるときは、同項の規定にかかわらず、乙土地の登記記録に甲土地の地番及び甲土地につき同一事項の登記がある旨を記録しなければならない。
5 第百三条第二項から第四項までの規定は、前三項の場合について準用する。
6 登記官は、第一項の場合において、甲土地及び乙土地の登記記録に登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一の担保権の登記があるときは、乙土地の登記記録に当該登記が合筆後の土地の全部に関する旨を付記登記によって記録しなければならない。
合併前の土地の所有権の登記を移記する手続を廃止し、登記官の職権により合併後の土地について単一の所有権の登記。法律から省令に。同一の信託の登記がある場合に合筆の登記がされたときは、信託目録は新たに作成。
合筆後に存続する土地が、承役地の場合の登記申請情報と添付情報。合筆によって登記識別情報は発行されないので、合併による所有権登記が行われた土地の所有権移転登記を行う場合は、原則として合筆前の土地の登記識別情報、登記済証全てが必要。
◆旧民法の相続と相続適格者の認定(2)
横浜地方法務局戸籍課 大 野 正 雄
◎整理箱 旧民法の「隠居」・「入夫婚姻」による相続
1 概 要
入夫婚姻と婿養子縁組の違い。戸主である入夫が離婚した場合は家督相続の開始。
2 要 件
普通隠居と特別隠居の共通する4つの要件。
3 効果等
戸主権の喪失と家督相続の開始。
4 戸籍の記載
戸籍法施行規則(大正3年司法省令第7号)附録第4号戸籍記載例。
◆民事信託の登記の諸問題(45)
渋 谷 陽一郎
第335 受益権の相続性が排除される旨の公示
信託財産と受益権の違い。
第336 相続性を排除する旨の信託行為の可否
第337 「相続によって承継しない」旨の信託行為の定めの可否
第338 相続を登記原因とする信託の登記申請はあり得るのか
第339 信託財産は相続財産となるのか
第340 信託財産を遺産分割協議の対象とすることはできるのか
第341 残余財産の帰属権利者が、相続を原因として信託財産を取得することはあり得るのか
信託法89条5項ただし書。
第342 遺言による帰属権利者の指定は可能なのか
信託法89条2項。遺言によって第二次受益者を定め、信託行為に、第二次残余財産の帰属権利者は、信託終了時の受益者とする、信託の終了事由に、受託者と受益者の合意を定める。委託者兼受益者死亡時に、受託者と第二次受益者で信託を終了すれば、遺言による帰属権利者の指定と同じ効果が得られると考えられます。
【資 料】◆会社法施行下で使える登記先例――実務の便覧――(20)
登記研究195号P65、昭和39年1月14日民事甲第18号民事局長回答 「宗教法人の変更登記について」
合併した場合。
登記研究243号P72、昭和42年12月8日民事四発第975号民事局四課長電報回答「商業登記規則第八十二条第二項の準用について」
代表役員の選任は、包括団体の代表者が任命する旨の規則の定めがある宗教法人の場合。
登記研究364号P54、昭和53年2月21日法務省民四第1099号民事局長回答「宗教法人の代表役員の地位保有等仮処分判決に基づく登記について」
登記申請人の資格。
登記研究379号P83、昭和53年12月26日法務省民四第6775号民事局長回答「宗教法人の代表役員の解任による変更登記申請の受否について」
解任決議に瑕疵がある場合。
登記研究461号P63、1986年6月30日、小林 健二:法務省民事局第四課【第一部 論説・解説】「宗教法人の役員変更登記をめぐる諸問題について」
宗教法人法18条2項 代表社員の選任には、選任機関の指名のほかに教主の認証を要する旨の規則を有する宗教法人の代表役員変更登記申請書には、教主の認証を証する書面の添付を要する。
登記研究471号P137、1987年4月30日質疑応答〔六八五七〕「宗教法人における代表役員代務者の変更登記の要否」
代表役員の任期について規則に定めがある場合、代務者の任期もその定めによる。
登記研究482号P181、1988年3月30日【質疑応答】〔六九三四〕「宗教法人における代表役員変更登記の添付書面について」
登記研究496号P118、1989年5月30日【質疑応答】〔七〇二六〕「宗教法人における代表役員変更登記申請の際の添付書類」
宗教法人の包括団体である宗教法人の規則の添付を必要とする。
登記研究632号P171、平成12年3月1日法務省民四第544号民事局長通達「中小企業団体の組織に関する法律の一部改正に伴う登記事務の取扱いについて」
事業協同組合等から株式会社への組織変更が可能となったことに伴う登記の取扱いについて。
登記研究715号P177、平成19年3月28日法務省民商第782号民事局商事課長通知「中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて」
事業協同組合等の事業範囲の拡大、理事の任期の変更等の改正に関して。
登記研究69号P37、昭和28年6月12日民事甲第1003号民事局長電信回答「登記事務取扱について」
協同組合の地区の表示。
登記研究101号P36、昭和31年3月27日民事甲第635号民事局長回答「信用協同組合の出資一口の金額の増加に関する総会の決議について」
決議要件。
登記研究139号P46、昭和34年3月26日民事甲第631号通達「事業協同組合の出資一口の金額の変更登記について」
出資金額一時払込みの事業協同組合が払込済出資総額を変更することなく、出資一口の金額の減少と出資の総口数の増加の変更の登記は、出資一口の金額の分割と捉えることが出来るので、受理。
登記研究208号P46、昭和40年2月19日民事四発第61号民事局第四課長電報回答「出資口数等の変更を証する書面について」
組合の出資口数等の変更を証する書面として漢字の証明書を添付する場合、更にその資格を証する書面は要しない。
登記研究351号P96、1977年2月20日質疑応答【五三三三】「事業協同組合の解散決議をした総会の議事録の署名方法」
署名・記名する場合の資格の記載。
登記研究416号P132、1982年8月30日質疑応答【六一一六】「事業協同組合における事業変更の日付けについて」
行政庁の認可書到達日。
登記研究416号P132、1982年8月30日質疑応答【六一一七】「代表理事の予選について」
事業協同組合において、理事に変動がない場合、総会で理事の予選をした後、理事会において代表理事の予選可能。
登記研究549号P186、1993年10月30日【質疑応答】〔七四〇一〕「事業協同組合の代表理事変更登記申請書の添付書類について」
任期途中で代表理事が死亡した場合。
登記研究541号P128、平成4年10月15日法務省民四第6060号民事局長通達「農業協同組合法の一部改正に伴う登記事務の取扱いについて」
組合の事業の拡大、代表者の改正と登記。
登記研究609号P181、平成10年3月24日法務省民四第575号民事局第四課長通知「水産業協同組合法の一部を改正する法律等の施行に伴う登記事務の取扱いについて」
出資の総額の最低限度が設けられたことと登記。
登記研究189号P69、昭和38年7月15日民事甲第2020号民事局長回答「出資一口の金額の変更登記の能否について」
農業協同組合の臨時総会において、出資口数に端数が生じない限り、出資一口の金額を増額するとともに、出資の口数を併合することが出来る。端数を生じる場合には、端数となるべき出資口数を有する組合員に出資の追加又は組合の脱退等を強制することになり、組合員の有限責任の原則、組合加入脱退の事由の原則等に反することになる。
【法 令】◆登記手数料令等の一部を改正する政令(令和7年2月19日政令第33号)
【訓令・通達・回答】
▽不動産登記関係
〔6259〕租税特別措置法第83条の4の規定に基づく登録免許税の軽減に係る証明書の様式について(令和6年4月30日付け法務省民二第736号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)
〔6260〕租税特別措置法第82条の規定に基づく登録免許税の税率の軽減措置に係る証明書の様式について(令和6年5月9日付け法務省民二第742号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)