合同会社の定款

 合同会社を設立したい方が、パソコン上で項目を入力していくだけで定款作成、資格者代理人の電子署名、必要書類の集め方、設立登記の申請方法、登記完了後の各種届出が可能なサービスが出ています。

このサービスを利用して合同会社を設立された方の定款を、みせていただく機会がありました。

 第1条が会社の名前で登記事項です。同じ本店所在地でなければ、既にある会社の名前であっても原則として許されます。ただし、商業登記法8条や不正競争防止法違反は避ける必要があります(例えば、合同会社グーグルなど。)。

 第2条の事業目的も登記事項となります。4~5個で納める法人、25~30個定める法人まで様々です。どれが良い、ということはありませんが、他の人(例えば取引先)が数百円を出せば観ることが出来ることを頭に入れて、読みやすくどんな会社なのか分かるような記載を心掛けたいと感じます(例えば、○○事業、○○事業、○○事業及びこれに関する機器の輸出入、コンサルティング、などの長い文は分けてみる。将来行う可能性があるから、という理由で貸金業を入れて、金融機関から削除依頼された事例があります。)。また、許認可が必要な事業(建設業関係、宿泊業関係など)では、予め定款の事業目的に入れる必要がある文言が決まっている場合があるので、許認可を扱う官公庁に事前確認が必要となります。最近は官庁HPにも掲載されている場合も多くなっています。目的を1つだけ追加する、1つだけ削除する、といった場合も印紙代が3万円かかります。一部上場企業でも中小企業でも同じです。私は金額が違っても良いのではないかなと思います。3万円が25~30の事業目的を持っている法人を生み出している側面があるからです。

 第3条の本店所在地は、最小行政区画まで記載します。登記事項であり、登記記録には〇丁目〇番〇号、などと全て記録されます。例えば同じ市内での本店移転などで定款変更の決議を行わないで会社内部の意思決定処理を迅速に行うためです(変更登記申請は行います。)。

参考:大13.12.17民事1194号回答、登記関係先例集上1034号

 第4条の公告方法は、広告とは違います。公告とは、ある事項を広く一般の人に知らせること。その目的、方法、効力等は一定ではなく、それぞれの法律に定めるところによります。広告との違いは、通常営利目的ではなく法令で義務付けられていることです。広告についてはその範囲や表現が法令によって義務付けられている場合がありますが(景品表示法や屋外広告物法など)、公告は、どの媒体によってどのような内容を公表するのかが予め法令によって決められています。なお、合同会社では株式会社と違って年一回の決算公告が義務付けられいません。

参考:「法律用語辞典第4版」有斐閣

 第5条では、定款の変更方法を定めています。参考にしている定款では、社員全員の同意としていて、人数が少ない場合は適切だと考えます。2項については退社の原因になるのではないか、3項については他に法令の定めがあれば、それ従って読み替えるという意味だと思いますが、良く分かりませんでした。

 第6条は、各社員の氏名住所、出資金額、責任(合同会社は全員有限責任)を定めています。合同会社の社員と株式会社の株主との違いは何でしょうか。社員は出資額に関係なく1個の議決権を持ちます。株主は原則として、持っている株式の数だけ議決権を持ちます。株主は原則として株式の所有者に留まりますが、社員は原則として業務執行も行う前提で所有と経営が分離していません。

参考:松井信憲「商業登記ハンドブック」商事法務、立花宏「商業登記実務から見た合同会社の運営と理論」

 第7条は、持分の譲渡制限に関する定めです。参考とする定款では、代表社員の承諾と定めて、迅速な方法を採っています(会社法585条1項、4項)。他に追加するとしたら、社員間での持分の譲渡があった場合は、当該譲渡に関する社員についての定款規定の変更があったものとみなす。なお、持分の譲渡を行った各社員は、譲渡契約後2週間以内に会社に通知する。などでしょうか。

参考:会社法585条2項、3項

 第8条、第9条では業務執行社員と代表社員を定めています。社員は、原則として業務執行社員となりますが(会社法590条1項)、ならない、株主的な地位でいたい、という場合は業務執行社員とならないことも出来ます。参考としている定款では、代表社員の定め方は業務執行社員の互選となっています。互選とは、構成員の過半数の同意を得る、という意味です。他に全社員の同意などの定め方があります(会社法599条)。

 第10条は、利益相反取引に関する定めです。取引に関わる社員以外の全員の同意が原則ですが、定款で代表社員の承諾と変更しています(会社法595条)。

 

 第11条で、業務執行社員の報酬などは、社員全員の同意で決めると定めています。

 第12条、13条、14条では、社員の加入、退社について定められています(会社法604条~613条)。新しく合同会社に入りたい人は、社員全員の同意を得る必要がある。3か月前に会社に伝えて辞めることができる。緊急な事情がある場合はすぐにやめることが出来る。社員は、他の社員全員が同意したときは、辞めなければならない。社員が亡くなった場合、その相続人が持分を引き継ぎます。相続人が同意して持分を引き継いだ時に社員となります。なお、社員の加入について、資本金の増加・持分譲渡、社員の退社について、持分譲渡、出資の払い戻しが行われます。

 第15条で事業年度、第16条で損益分配について定めています(会社法622条1項)。

 第17条では、合同会社が解散する場合について定めています(会社法641条)。

他に入れるとすれば、定款の備置き、競業取引に関する制限、計算書類の作成、出資の払戻しの制限、利益配当に関して決定する事項、などでしょうか。

 

「家族信託ファクトブック2020」第2章 家族信託が必要とされる背景

「家族信託ファクトブック2020」(2020年11月、一般社団法人家族信託普及協会)からです。

少子高齢化の現在、確かに現役世代の支えるべき高齢者の数は増大していますが、その分、未成年者の数は大きく減少しているために、トータルでの社会コストとしてみると、実は1965 年の時点と現代、そして近い将来を考えても、就業者1 人が支えるべき非就業者の人数には、大きな変化は見られないのです。

 

 何か違う感覚を持つのは私だけでしょうか。国民年金保険料、国民健康保険料の額が、最初に払い始めた20歳の時より、5,000円/月位高くなっていると思うのですが。高齢者の医療費と年金を合わせた額と、未成年者の医療費と教育費などを合わせた額の比較で決まるのかなと感じました。

ただ、「就業者が非就業者を支える」という視点に環境適応の緒を見出そうという動きが起こっていることも確かです。加えて新たに現役世代の負担感を減じるような施策が打たれ、たとえば「高齢者の保有する金銭的、人的リソースがうまく社会で活用され、循環させられる制度」がありさえすれば、未来は変えていけるかも知れません。

 「高齢者の保有する金銭的リソースが上手く社会で活用され、循環させられる制度」の選択肢の1つとして家族信託がある、ということだと思います。このような書かれ方の場合、金銭的リソースを保有しない高齢者には、家族信託を利用する選択肢は(ほとんど)ない、ということも出来ます。

世帯主の年代別に、平均してどの程度の資産を保有しているかをみたものが以下のグラフです。

現役世代、たとえば40 歳代が平均で2,909 万円(金融資産588 万円、不動産等実物資産2,321 万円)程度であるのに対し、60 歳代は4,649 万円(金融資産1,509 万円、不動産等実物資産3,140 万円)と、とくに金融資産では3 倍近く差が開いていることがわかります。

この25 年間で60 歳代以上の資産はほぼ倍増、個人資産全体の約6~7 割を占めるに至り、個人金融資産約1,700 兆円中1,000 兆円あまりが高齢者層の保有、個人宅地資産も、約900 兆円中520 兆円が同じく高齢者層の保有となっています。

 私の個人的な感触は、簡単に高齢者が自身の所有する財産を次世代に引き継ぐとは思えません。何かしらの安心が必要だと感じます。私が所有していても子供に管理してもらうか、といったら自分で出来る間は自分で管理したいと思います。おそらく、自身に大きな疾患が見つかった場合(ステージ3の癌など。)は、今のうちに動いておこう、となるかもしれません。その次に、身近な親戚、友人知人の病気や死、相続で争った(財産の所有に拘って争った)ことを経験した・聞いた場合には、ちょっと考えないといけないのかな、と思うかもしれません。

認知症発症により“塩漬け”とされる高齢者の金融資産額は年々上昇しており、2030 年度時点で215兆円に達するとの試算が、2018 年8 月に、第一生命経済研究所より発表されています。

 塩漬け、というのは全く使われないという意味ではなく、原則として高齢者自身のためにしか使えなくなる、というような意味合いだと思います。

・企業の後継者不在は3 社に2 社という結果が出ており、この傾向は企業規模が小さいほど顕著です。また、経営者の年齢別では、とくに緊急性の高い60 歳代でも59.6%がなお「後継者不在」と回答しています(東京商工リサーチ発表)。

これは非常に憂慮すべき問題であり、2020 年1 月から10 月までの「後継者難」倒産は301 件(同期比47.5%増)に達しました。今年はこれに加え、コロナ禍の影響による休廃業・解散件数も大幅に増加しています。同じく2020 年8 月に発表された東京商工リサーチの第7 回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査によれば中小企業の廃業検討率は8.5%に上り、かつ「コロナの影響が継続している」と回答した企業のうち4.3%がその具体例として国内取引先企業の廃業を挙げています。最終的には30 万社を超える中小企業が廃業する恐れがあると言われています。

こうした点から、今後は少子高齢化による生産人口の減少とともに企業そのものの急激な減少による地域経済の落ち込みが心配されます。

 事業承継が進まない、というのは私が司法書士になったときからずっと聞いているような気がします。ただ、経営者の中には様々な理由で廃業する人がいることも分かり、法人設立に比べて悪い印象を持たれているんじゃないかな、と感じるようになってきました。私は、自分の仕事の範囲で起業、廃業の意思は尊重していきたいと思います。その間に法人の箱だけ誰か使うかな、法人の中身(機器)だけ事業を新しくやる人が使うかな、後継者に早めにバトンタッチしたいな、といった場合に必要な人に繋げられるようにはしたいと思います。

民事信託・家族信託の共同受任など

・共同受任:受任した際の報酬額の30%~70% 

お客様との打合せに最低1回は参加します。(交通費は別途必要)

参考となる信託契約書、信託目録を提供します。(信託契約書等は作成していただきます)

Zoom等を用いて、契約書の内容や信託目録を一条ずつ読み合わせをします。

依頼者との業務委任契約書に当法人も押印しますので、何かあったときは当法人も責任を持って対応します。

契約書のチェック:1契約書につき10万円~

ご自分で作成された契約書を、こちらもチェックします。

Zoom等を用いて、契約書の内容や信託目録を一条ずつ読み合わせをします。

依頼者との業務委任契約書には、当法人は押印しません。

・業務サポート

家族信託設計コンサルティング・・・共同受任(各々の司法書士が依頼者に請求)

バックアップ・・・受任司法書士に対して、各案件ごとに完全なる≪スポット報酬≫とするか、受任専門職との顧問契約に基づき≪月額顧問料+各案件に関する付加報酬≫

リーガルチェック・・・受任した専門職との顧問契約に基づく月額顧問料が基本

・費用(報酬)基準を出していない事務所・・・ホームページがあり、民事信託、家族信託を専門としているけれど費用(報酬基準)がないところに関しては、何か考えがあってのことなのかなと感じます。

 例えば、既に紹介をしてくれる方が複数いるので、費用を掲載する必要がない。民事信託は複雑・高度なので見積書は依頼者毎にしか出せない。財産の内容や希望によって変わってきますので、 相談後に見積書を作成。など。以前まで報酬表を載せていたのに、今回久し振りに覗いてみると掲載されていないという司法書士法人もありました。

・費用(報酬)シミュレーションがホームページに付いている事務所があって、利用者にとっては便利な感じがしました。

 司法書士が「リーガルチェック」という言葉を利用する場合、当然に司法書士法と判例の範囲内と考えて良いのか、それとも何か注釈を付けないといけないのか、ホームページに載せる場合には考える必要があるんじゃないかなと感じます。

・最近印象的だったのは、司法書士その他の士業に教えることで対価を得ている民事信託・家族信託の団体が、令和2年度の司法書士合格者に対してSNSで積極的にコミュニケーションを取っていることです。

「家族信託ファクトブック2020」を読んで

「家族信託ファクトブック2020」(2020年11月、一般社団法人家族信託普及協会)からです。

・家族信託と他の制度との違い  生前の財産管理を担う役割

委任契約で身上監護が出来ないとの記載がありますが、可能ではないかなと思いました。

成年後見制度の中に任意後見と法定後見が含まれていますが、分けても良いのかなと感じます。

・不動産を信託財産とした場合の登記簿の記載

 私なら登記記録と表示します。信託条項の信託財産の管理方法に、「受託者は、信託不動産について所有権移転または所有権保存の登記及び信託の登記手続きを行うこととする。」と記載がありますが、私は登記申請情報に記載していません。委託者と受託者から、登記申請に関する委任契約(差し入れ方式)を締結するからです。

 ・家族信託に必要なコスト

「信託財産の数」及び不動産であれば「固定資産評価額」連動の費用設定が一般的、との記載があります。費用設定ではなくて報酬計算方法で、確かにそのような計算方法が多いような感触があります。

組成に関わる費用例

総資産 5,000 万円のケース(基本財産:自宅+現金少々)

I:信託組成コンサルティングフィー 32 万円(内訳:コーディネート費用 10 万円、専門家契約書作成等費用 22 万円)。

・概ね固定資産評価額の 0.5~1%程度が組成までのコスト

・組成後の信託登記手続きは概ね固定資産評価額の 0.5~0.9%程度(登録免許税含む)

 0.5%と1%では、結構な差が出てくると思います(5000万円だと25万円~50万円)。皆さんどのような基準を持っているのかなと思いました。手続きの数や難易度で決めるのか最初から決めているのでしょうか。

所有権移転(保存)及び信託登記申請手続きに関しては、報酬が固定資産評価額の0.1%から0.5%―(不動産の数×1,000円)で計算されているのだと思います。固定資産税評額5,000万円、土地と建物で不動産2つの場合、48,000円から248,000になります。かなり幅がありますが、信託目録の記録事項について時間がどの位かかるのかで決めているのかなと想像しました。

「【応用編】見落としがちな家族信託契約書作成の4つの盲点とは?」を読んで

―略―

そのうえで、家族信託の契約書を作成していくことになりますが、作成時見落としがちなのが「信託の終わらせ方」です。この記事では「終わらせ方」を基準にして、契約書の作成を見ていきたいと思います。

 

今回の記事のポイントは下記の通りです。

 

信託契約書は「最終的に信託財産を、①誰に②どのように帰属させたいか(=終わらせ方)」が重要。

信託契約書を作成する段階で、信託財産をだれに帰属させるかを今判断できない場合は「協議型」がオススメ!ただ、リスクがあることを知っておこう!

信託契約書数を、当事者ごと・財産ごとにするか等いくつにするか要検討

「終わらせ方」を考える際は、事前にいくつかのチェック項目を考慮して設計することが必要。

下記の方に特におススメの記事です

・ご自身で契約書を作成したい

・「ご自身の要望を実現する契約書が作れているか判断できるようになりたい」

 

目次 [非表示]

 

「終わらせ方」から考える家族信託契約書4つの型

事例 高齢アパートオーナーの資産管理

認知症対策・財産管理対策を速やかに行いたい方は「協議型」を活用!

資産管理方針、承継先が複数ある場合は「契約複数型」だと効果的!

信託契約書で「終わらせ方」を考える際は・・・

まとめ

「終わらせ方」から考える家族信託契約書4つの型

家族信託は、「終わらせ方」が非常に重要です。

どうしても家族信託の目的である「認知症対策」や「財産管理対策」に意識がいってしまいます。しかし、家族信託で可能になる財産管理権限がいつまで続くのか、どのように終わらせるのが適切かを考えることは、何年後かわからない未来を考えた設計をするわけですから、ご家族間の考え、調整が必要不可欠なのです。

また、その終わらせるタイミングの多くは、委託者兼受益者の死亡時になります。それは、死亡時に信託財産をだれが受け取るのか、という相続の分野にもなってきますね。

そうなると「親が認知症になってしまうと、財産管理ができなくなってしまうから困るからやってみよう」で家族信託に手をつけた人にとっては、信託を行うのが難しく感じるでしょう。

「終わらせ方」=「信託財産の相続の仕方」を考えるために、以下4つの型を参考にしていただきたいと思います。

(1)基本型

(2)遺言代用型

(3)協議型

(4)契約複数型

※これらのパターンは、1つの型のみ使用する場合もありますし、組み合わせて使用する場合もあります。今回の記事では「協議型」「契約複数型」をご紹介していきます。

―事例略―

認知症対策・財産管理対策を速やかに行いたい方は「協議型」を活用!

「協議型」とは、その名の通り信託終了時に相続人間で話し合って決めるという方法です。

この型の特徴として、今はだれがどの財産を相続するかは決められないが、認知症対策・財産管理対策速やかに行いたい方が活用する傾向があります。認知症対策として活用する成年後見制度の代用として、財産管理機能のみを家族信託で用いることができるのがメリットです。

その場合、委託者兼受益者の法定相続人、特定の複数人などを帰属権利者とします。

―略―

信託終了事由 父郎さんの死亡

帰属権利者  法定相続人(協議で帰属先及び帰属割合を定める )

協議がまとまらない場合のリスクも想定しておこう!

当然、資産承継先を具体的に定めていないので、帰属権利者間の協議がまとまらない可能性は大いにあります。その場合、いつまでも信託を終了し、財産の引き渡し手続き等をすることができず、相続税申告期限に間に合わないなど、相続財産が確定しないリスクがあるので、注意と対策が必要です。

そのため、協議型を用いる場合には、ご家族の関係性が重要です。ご家族の関係が良好であれば、協議型を活用しても問題ないと思いますが、不仲の場合で協議型を活用する場合は、いつまでたって協議がまとまらず信託財産を取得する者を定められない、相続税の納税期限(被相続人が死亡したことを知った日から10か月以内)までに協議がまとまらず、小規模宅地の特例など、相続税上の軽減特例を活用することができない、といった問題が発生する可能性もあります。

そのため、必ず協議をまとめるために、協議に期限を信託契約書上に設ける等の対策を考えておくとよいでしょう。

 「(協議で帰属先及び帰属割合を定める )」というやり方を私は使ったことがないです。何故かというと、残余財産の帰属権利者(受益者)は決めておいて、信託の終了事由が発生したときに残余財産(信託行為で定められたり、第三者から求められる債務引き受けなどのマイナスの財産を含みます。)が欲しくなければその権利を放棄すれば良いと考えているからです。放棄した場合、次順位の残余財産の帰属権利者(受益者)が指定されていれば、その人、いなければ信託法182条2項、3項によって処理されるので問題がないのかなと考えています。

 帰属割合、というのがどのようなものなのか、私には分かりませんでした。受益権割合というのがどのようなものかについても未だに分かりません。残余財産が全て金銭(債権)であれば計算できると思いますが、それ以外の非公開会社の株式や不動産などがある場合、計算方法で意見が食い違ってしまうと分ける前の段階で止まってしまわないかな、などと考えてしまいます。

 協議に期限を設けるというのは、思い付きませんでした。例えば、9か月以内に協議がまとまらない場合は、残余財産は法定相続分で帰属させる、というようなことなのかなと想像します。期限を経過した場合で、残余財産の帰属権利者(受益者)の協力がないとき、この信託行為の定めで相続税の申告が出来るか、不動産登記が出来るかというと出来ないと思います。とすると、信託行為に定める事例は、そんなに多くはないのかなと感じました。

資産管理方針、承継先が複数ある場合は「契約複数型」だと効果的!

信託財産の目的に応じて信託契約を複数にする方法が「契約複数型」です。これは、資産の管理方針、または承継先などを考慮したうえで複数の契約書にわけていきます。

―略―

契約を承継先ごとにつくると、「父郎さんと一郎さん」「父郎さんと花子さん」がそれぞれ話し合って、それぞれの要望がしっかりと反映された信託契約をつくることができます。

このように、「契約複数型」は、それぞれが受託者兼帰属権利者として承継予定の財産を管理できるので、契約内容が複雑にならないのが大きなメリットです。

「信託複数型」をすると、損益通算ができない!

契約が複数になるとそれぞれの信託財産の「損益通算ができない」というデメリットがあります。

―略―

また、Bアパートの損失は通常であれば翌年以降への繰越しが認められますが、信託財産の場合は、損失を翌年へ繰越すこともできません。この損失の繰り越すことができないという論点は、信託複数型のみならず、1つの信託契約で複数の収益物件を信託した場合にも適用され、複数物件の利益と損失を通算し発生した赤字部分も同様に翌年に損失を繰り越しすることができません。

損益通算の禁止については、アパートなど収益が発生する物件を信託する際には重要な論点になるので、信託に強い専門家に相談しながら進めていってください。

     信託契約が複数だと損益通算が出来ないというのは、税理士さんの見解も同じようなので、実務でも固まっている運用なのだと思います。私だけかもしれませんが、何で出来ないのだろうと思ってしまいます。理由は、追加信託だと損益通算が出来ること、信託契約が複数の場合でも第2次受益者以降の条項以外の信託行為の定めが同じ場合、1つの信託契約と同じと理解しても良いのではないかなと考えるからです。おそらく理由の後者は当事者が分かりやすいように、というところから来ている場合もあるので、それで税務上の不利益を受けるのはなんだかなぁ、と考えたりします。

損益通算と繰越控除は違う制度ではないでしょうか。記事を読んでいると、私は繰越控除も損益通算に含まれるのかなと読めました。

国税庁HP 損益通算

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

 

取締役1人の特例有限会社が、株主総会で新たな人を代表取締役たる取締役に選任

・取締役1人の特例有限会社が、株主総会で新たな人を代表取締役たる取締役に選任。

・現任の取締役は代表権を有しない取締役とする。

・定款には「当会社に取締役が2人以上いるときは、取締役の互選によって代表取締役を定めるものとする」とあるる。

臨時株主総会議事録

Minutes of Extraordinary General Meeting of Shareholders.

1.日  時:【総会開催日】【総会開催時刻】

1.Date and Time: [Date of General Meeting] [Time of General Meeting].

2.場  所:【本店所在場所】当会社本店会議室

2.Place: [Location of the head office] Conference room at the head office of the Company.

3.出 席 者:発行済株式の総数          

3.Attendees: Total number of shares issued. 

【発行済株式数】株

Number of shares issued: shares.

この議決権を有する総株主数 

Total number of shareholders holding these voting rights.

【株主総数】名

Total number of shareholders.

この議決権の総数

Total number of voting rights.

【総株主の議決権数】個

Number of voting rights held by all shareholders.

本日出席株主数(委任状出席を含む)

Number of shareholders attending the meeting today (including those attending by proxy).

【出席株主数】名

Total number of shareholders present.

この議決権の個数

Number of voting rights.

【出席株主の議決権数】個

Number of voting rights of shareholders present at the meeting.

4.議  長:取締役 【現在の取締役・氏名】

4.Number of voting rights of shareholders present at the meeting.

5.出席役員:取締役 【現在の取締役・氏名】

5.Attending officers: Directors [Current directors and names].

取締役候補者 【新・代表取締役・氏名】

Candidate for Director [New Representative Director, Name].

6.会議の目的事項並びに議事の経過の要領及び結果:

6,Purpose of the meeting and outline of the proceedings and results.

 議長は上記のとおり定足数に足る株主の出席があったので、本総会は適法に成立した旨を述べ、議案の審議に入った。

The Chairperson of the meeting stated that this General Meeting of Shareholders was legally convened since there were enough shareholders present to constitute a quorum as stated above, and then proceeded to deliberate on the agenda.

第1号議案 定款一部変更の件

Proposition No. 1: Partial amendment to the Articles of Incorporation.

 議長は、当会社の定款第○条「当会社に取締役が2人以上いるときは、取締役の互選によって代表取締役を定めるものとする」を「当会社の代表取締役は、株主総会によって定める」に変更したい旨を述べ、その理由を詳細に説明した。  議長がその賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもってこれに賛成した。よって、議長は、定款は議長提案どおり変更された旨を宣した。

The Chair stated that he wished to change Article XX of the Company’s Articles of Incorporation, “If the Company has two or more Directors, a Representative Director shall be determined by mutual election of the Directors,” to “The Representative Director of the Company shall be determined by a General Meeting of Shareholders,” and explained the reasons in detail.The Chair asked the floor for their approval or disapproval, and the vote was unanimous in favor of the change.

Therefore, the Chair declared that the Articles of Incorporation had been amended as proposed by the Chair.

Translated with www.DeepL.com/Translator (free version).

第2号議案 代表取締役たる取締役選任の件

Proposal No. 2: Election of Directors as Representative Directors.

 議長は、前号議案の可決を受けて、当会社の代表取締役たる取締役として下記の者を選任し、従前の代表取締役たる取締役【取締役A・氏名】は、以後、代表権を有しないことにしたい旨を述べ、その選任をはかったところ、満場一致をもってこれに賛成し、次のとおり選任した。

The Chairman stated that, in response to the approval of the previous proposition, he would like to elect the following person as a Director to represent the Company, and that the former Representative Director [Director A, name] shall no longer have the right of representation.

The vote was unanimously in favor of the proposal and the following election was made.

【新・代表取締役・住所】

New Representative Director, Address.

代表取締役たる取締役 【新・代表取締役・氏名】

Director who is a representative director [New representative director, name].

  なお、被選任者は、席上直ちにその就任を承諾した。

The appointee immediately accepted the appointment at the meeting.

7.閉  会:議長は【総会閉会時刻】閉会を宣言した。

7. Closing: The Chair declared the meeting closed at the closing time of the General Meeting.

 以上、本議事録を作成し、議事録作成者及び就任承諾を明らかにするため新代表取締役が次に記名押印する。

The minutes of the meeting are hereby prepared, and the name and seal of the person who prepared the minutes and the new Representative Director are hereby affixed to the minutes to indicate his acceptance of office.

【総会開催日】

[Date of General Meeting]

【商号】臨時株主総会

[Name of the company] Extraordinary General Meeting of Shareholders.

議事録作成者 【取締役A・氏名】     (会社届出印)

Preparer of the minutes [Name of director] (Company registered seal)

新代表取締役 【新・代表取締役B・氏名】 (個人実印)

New representative director [Name of new representative director] (Personal seal).

登記される事項

「役員に関する事項」

「資格」取締役

「住所」【新・取締役・住所】

「氏名」【新・取締役・氏名】

「原因年月日」【就任日付】就任

「役員に関する事項」

「資格」代表取締役

「氏名」【新・代表取締役・氏名】

「原因年月日」【就任日付】就任

Matters to be registered.

“Officer Matters.

“Qualifications” Director.

“Address” [New director’s address].

“Name” [New Director, Name.

Date of Cause” [Date of Assumption] Assumption.

“Matters Relating to Officers.

Representative Director.

Name of new representative director.

Name: Representative Director “Date of cause” [Date of appointment].

遺言者が亡くなったことをどうやって知るか

あるメールマガジンの記事です。

■■ 「キケンを察知」は、法律も同じ

遺言や信託、任意後見は、事前対策。

「このまま行くと、キケンかもしれないからこのような対策をしておきましょう!」と提案しますよね。

自動車保険や、火災保険も同じですよね。

事前対策をしておけば、認知症になったとき、相続のとき、すごいパワーを発揮しますよね。

認知症対策は、もしかしたら不要になるかもしれませんが、相続は100%起こります。事前対策としては必要度が高いと言えると思います。

遺言を作成する場合、専門家が遺言執行者になることもありますよね。

■■ 遺言執行者になるケース

相続人が遺言執行をしづらいときですよね。具体的には、銀行の解約して、お金を渡すことでしょう。相続登記はオンラインでできますので、近くの司法書士に頼めばできます。

分解するとこの2つ。

1.現地での作業が難しい

2.お金を渡すことが難しい

つまり

1.のケースは

・相続人がみんな遠隔地にいる

・近くにいても相続人の体が弱い(認知症)

2.のケースは

・相続人間で仲違いをしている

・前妻(前夫)との間に子がいる

などがあります。

このようなケースは、遺言執行者になることを提案してみてくださいね。きっと喜ばれます。

■■ 遺言執行の実務の進め方

そして、遺言執行の実務ですよね。

書籍を見れば、執行の段取りや、様々な書式が出てきます。

1,2冊あれば十分でしょう。

研修会も多数開催されているので、みなさんも1度や2度はそのような研修会を受けたことがあると思います。

■■ 実務で見落とされがちな問題点

さて、ここまで見れば、遺言執行、そんなに困難はないと思います。相続人間でトラブルがあるときの連絡くらいでしょうか。

でも、1点、見落とされがちなことがあります。このメルマガの読者なら、もうわかりますよね。

「どうやって、亡くなったことを知るか」

もう一度いいますよ。

「どうやって、遺言者が亡くなったことを知るか」

です。

遺言のことを知っている相続人とつながっていればもちろん問題ないでしょう。

ただ

・遺言者が遺言のことを家族に話していない

・唯一の相続人が認知症や知的障がい、小さい子供

・遺言者の相続人や施設と連絡を取り合っていない

つまり、遺言者が亡くなっても誰も連絡してくれなそうなとき。どうやって遺言者が亡くなったことを知るのでしょうか?実務では超重要なのに、ほとんどあっさり流される。(苦笑)だって、本を書いた人や研修会の講師も、おそらくこの部分を「仕組」で解決できていないからです。

実際難しいんです。

■■ ある、外資系の保険会社の人のケースです

家族は、母と子の二人だけ。

子には障がいがある。

母は子のために生命保険に加入。

その時、その担当者は母から言われたそうです。

「私が亡くなったことを、御社はどうやって知るのですか?」

ワオ!

まさにそのとおり!

その会社では、1年に一回は、契約者に電話等で連絡して、存命かどうかを確認することになっているそうです。

組織的に対応でき、資金が潤沢な保険会社ですら、このやり方なんですよね。

つまり、マメに連絡するしかない。

■■ 遺言執行者の責任は重い

民法 第899条の2

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、

次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、

登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

つまり、遺言は、先に登記されると負けます。(第三者に対しては)

実際この条文が適用になることは実務では少ないでしょうが、執行者の責任としては、亡くなったら速やかに遺言執行をしないとまずいですよね。

遺言執行者になるとマメに連絡は、絶対必要です。遺言執行者になる = マメに連絡

■■ でもどうやって?

遺言執行も1,2件くらいだと把握はできます。しかし、5年、10年事務所をやって、遺言執行の案件が10件もあると大変です。遺言の作成も数十件していると、どの人の遺言が執行者になるか訳分からなくなります。

しかも普段忙しくて、本来業務でないことは、おろそかになりがち。

気がついたら、93歳の人の遺言を、8年間放置(現在101歳!)

なんてことも

あ、これ私のことね。(汗)

先日のメルマガでも書きました。気になる人はバックナンバー見れるので探してみてください。(20年11月14日のメルマガ)

そのために作ったのが、「人を大事にするシステム」遺言執行の案件を検索すると、該当する案件が一覧で表示され、遺言のコピーや、連絡すべき人がすぐ確認できます。

その間10秒くらい。

このシステムのおかげで、101歳の方の関係者に、時々連絡を取るのがとても楽になりました。(今もお元気です!)

今はモニターの方に大事システムを使っていただいて、さらにシステムをいいものにしています。春くらいになったらモニターを再募集しますので、気になれば応募してくださいね。

 

■■ ただし、条件が!

システムに入力が大変なので、大変でも入力する意思のある人でも、これって、

お客さんとの打合せのメモや、お客さんの氏名や住所などは何らかの形で、今までも残していたでしょうから、実は作業はあまり増えないんですよね。

 

遺言を含め、財産管理系の業務は、専門家の仕事の仕方を変えるかもしれませんね。やったら終わり、ダメ。

お客さんとマメに連絡することを継続することが、求められるようになってきました。

専門家から連絡を取るという意味では役員変更の時期に法人に連絡するのと同じではないかな、と思いました。私なら火事や脳梗塞などが怖いので見守りサービスなどを外注します。

日本郵便(株)みまもり訪問サービス

セコム(株)親の見守りプラン

泉康生「信託で円滑な事業承継を実現するために司法書士ができること」他

家族信託実務ガイド[1]の記事からです。

(1)有価証券管理等信託設定契約書の作成

 私はこのような題名の契約書を観る度に感じるのが、「有価証券管理等」という言葉をいれる必要があるのかなということです。この記事では株式会社の株式(評価額は記事では不明)と金銭5000万円が信託財産に属する財産として設定されています。金銭に関して、少ないとはいえない額です。管理等の中に入っていると思いますが、遺言のような承継機能を持った設計になっています。信託契約書に財産の種類や信託事務の態様などを記載してしまうと、違法でなく実務で認められていれば自由に信託設定が出来る財産の幅を狭め、信託設定時に多様な組み合わせが可能な信託事務の幅を狭めてしまわないかなと感じます。

依頼者Mの希望

―中略―

自分が元気なうちは、A社に対する決定権は自分が持っておきたいし、今後も、会社経営が順調な間は、毎年配当金を受け取りたい。

―中略―

議決権行使指図人:M

 任意後見契約の締結は見送ったと記載されていたので、Mの議決権行使の指図権がどのような条件で消滅するのか気になりました。

植野直孝「育てた事業を次世代に遺す実子以外の親族への事業承継」

 上の記事に関して印象に残ったのは、2019年12月に相談を受けて、抹消されていなかった抵当権の抹消登記を済ませ、2020年3月に公証役場で信託契約書を作成したスピード感でした。現在、私は公証役場の予約も半年待ちです。予約前に手遅れになってしまった件もあります。地域性があるのかなと思うと同時に、金融機関などの協力があれば信託契約書を公正証書化しなくても信託口口座を作成できるように実務を組み立てる必要もあるのかなと思いました。その後に受託者と受益者代理人か次順位の受益者でその時の信託契約を確認するため公正証書を作成する、というようなやり方もあるかもしれません。

オリックス銀行(株)吉田紀美子×家族信託実務ガイド編集部

 上の記事では、信託口口座の開設を、非対面(郵送とネット)で可能にしたという箇所です。今後、場所を問わなくなってくるのかなと感じます。

斎藤竜「顧客目線で考える専門家サービスを商品化する方法とは?」

取引先開拓で意識しておくべきは、エンドユーザーと取引先の悩みは違うということです。ここを間違えていると取引先の課題を解決できないばかりか、お客さんを紹介してほしいという、仕事だけを求める下請け的なポジションとなってしまいます。

 私には良く分かりませんでした。取引先には業務支援の顧問型商品、エンドユーザーには課題解決の提案、というような内容のようです。問題解決という範囲では同じなのかなと思いました。事業と家計の違いをいっているのかもしれません。

[1] 2021.2第20号日本法令

澤野芳夫「信託契約公正証書作成の留意点」

浅草公証役場公証人 澤野芳夫

 

家族信託実務ガイド[1]の記事からです。

公正証書作成件数推移の概況

以下、日本公証人連合会が正規に公表しているもの以外は概数で表示しています。

―略―

民事信託件数

平成30年1月~6月計 1000件

平成31(令和元)年1月~6月計 1200件

令和2年1月~6月計 1400件

日本公証人連合会が全国の民事信託件数の概数を把握していることに驚きました。

私が平成31年に那覇公証センターに照会したときには、そのような調査はしていないという回答だったからです。数字をみると、現実的な数字かなと感じます。遺言公正証書の作成件数と比較すると約2%~3%ですが、決して少なくないという印象を私は持ちました。業界内で大きく取り上げてられている割に少ないというズレも何となく納得です。

信託契約公正証書作成の留意点

―略―

金銭の追加信託についても、例えば「信託口座への入金をもって信託財産の追加とみなす」という文言は、①委託者の意思能力がなくなった場合にも追加信託として認められるかという問題点や、②前記の学説のように追加信託も契約とみると、委託者、受託者の関与がない追加信託を認めて良いかという問題点があるので避けたほうがよいと思われます。

私が考え得る方法

方法1、信託法26条の範囲で、受託者から受益者に信託事務に必要な費用として金銭を信託財産に属する財産として追加してもらう構成にする。

 

方法2、信託法146条を利用して、委託者の地位を追加信託の権限に限定して受益者に移転する。受益者の意思能力がなくなった場合に備えて受益者代理人を選任しておく(または選任できる規定を定めておく。)。不動産の場合、信託法上は有効ですが、不動産登記法の構成上、登記が出来ません。

(2)委託者の意思確認の重要性

―略―

この関係で、信託契約の中に終了事由として「受益者は、受託者の合意により、本件信託を終了することができる」との条項(以下、「本件条項」という)があった場合、それが上記別段の定めにあたるとして、委託者兼受益者が信託を終了するには、受託者との合意を要すると解される余地があるので注意を要します。(東京地裁平成30年10月23日判決金融法務事情2122号85頁参照)。本件条項は上記別段の定めにあたり、委託者兼受益者が信託を終了させるには、受託者との合意が必要となると解さざるを得ないと思いますが、そうすると、遺言では、遺言者の最終意思を尊重するということで撤回が自由とされている(民法1022条)のに、資産の承継という目的を有する点で遺言と同様の目的をも有する信託においては、委託者兼受益者が自由に撤回(終了)できなくなるのが妥当といえるのかという問題が生じます。

・上記別段の定めにあたるとして、委託者兼受益者が信託を終了するには、受託者との合意を要すると解される余地があるので注意を要します。(東京地裁平成30年10月23日判決金融法務事情2122号85頁参照)。について

「受益者は、受託者の合意により、本件信託を終了することができる」との条項を入れたとしても、「その他信託法で定める場合」と信託行為に定めている場合は信託法164条1項の委託者は単独で信託を終了することが出来ます。

 

・遺言では、遺言者の最終意思を尊重するということで撤回が自由とされている(民法1022条)のに、資産の承継という目的を有する点で遺言と同様の目的をも有する信託においては、委託者兼受益者が自由に撤回(終了)できなくなるのが妥当といえるのかという問題が生じます。について

委託者兼受益者が自由に撤回(終了)できる信託を設定すると、受託者に就任する人が少なくなると思われるので、避けたほうがよいのかなと感じます。本当に委託者や受益者と受託者の関係が悪くなった場合には、信託法163条1項1号か同法165条により信託を終了せざるを得ないのかなという印象を持ちました。

信託契約の条項において、「本信託は、委託者が事理を弁別し判断能力が不十分になったときに効力を発生する」(判断に客観性を持たせるために医師2名以上の診断書を必要とすることなどが考えられます)などとすることにより、―中略―停止条件付信託契約はこのような不都合を生じるおそれがありますので、注意をする必要があります。

信託契約ではなく自己信託にして、受託者が後継受託者を誰からみても正常な状態で指名しない限り信託が終了するような仕組みにすれば良いのではないかなと感じました。

(4)「受託者は、信託不動産の瑕疵及び瑕疵により生じた損害につき責任を負わない」という条項について

著者も民法上の責任を負うなど注意喚起していますが同意します。またこのような条項を入れることにより、受託者にとってより不都合な解釈がされるのでないかと思います(例えば、信託設定時から損害が生じることを知っていたのではないか、など)。

 

[1] 2021.2第20号P2~日本法令

宮田浩志「利益相反取引の容認条項」

 

家族信託実務ガイド[1]の記事からです。

 

利益相反行為のと事例

(1)略

(2)略

利益相反行為

(3)第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が第三者の代理人となって行うもの

具体的な事例

信託財産たるマンションを受託者が代表を務める会社に売却するケース

法的効果

有効!

⇒取引当事者である第三者が知っていた場合、または知らなかったことについき重大な過失があった場合は、取消可能

具体的事例の場合、知らないということは同一人物なのであり得ないと思います。有効、取消可能の両方のケースでも信託法40条が適用されることにも触れた方が良いのかなと感じました。

 (4)信託財産に属する財産につき固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を被担保債権とする担保権を設定することその他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者またはその利害関係人と受益者との利益が相反することになるもの

具体的事例

受託者個人が借りている銀行のアパートローンの担保として、信託財産を担保提供するケース

法的効果

有効!

⇒取引当事者である第三者が知っていた場合、または知らなかったことについき重大な過失があった場合は、取消可能

 

銀行など金融機関が担保設定する場合に、信託財産であることを知らないということはほぼないのではないかと感じました。信託法40条の適用は(3)と同じです。

 

利益相反取引はその都度受益者の同意を得るのが原則

―略―

一つ目は、「受益者代理人」を置き、受益者に代わって受益者代理人がその都度承諾をするという方策です。

―略―

受益者代理人にも一定の同意要件を置く必要があるのかなと思いました。

利益相反行為はその都度受益者の同意を得るのが原則

―略―

利益相反取引については具体的に記載する

信託契約書の条項において、単に「受託者は利益相反行為(自己取引)をすることができる」旨だけを置くケースを見かけることが少なくありません。

地域性かもしれません。私は「受託者は利益相反行為(自己取引)をすることができる」という直球の条項をみたことがありません。怖くないのかな、委託者(兼)受益者に説明したときに理解を得られるのかなと思ってしまいます。

利益相反取引については、具体的に記載する

記載されている規定は省略します。信託行為で予め定める想定がされていますが、大枠だけ決めておいて(または決めずに)、取引の都度決めても良いのかなと感じます。

受益者に利益相反行為をしたことを報告するのが大原則

―略―ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによると定められているため、信託契約書に「信託法31条3項による受託者から受益者への通知は、要しないものとする」との条項を設ければ、受益者への通知を省略することが可能となります。

ここでいう報告、通知は、受託者から受益者への利益相反行為後の事後の報告、通知です。信託法31条3項但し書きを規定する場合(私はしませんが)に一本補助線を引く必要があると考えます。例えば、通知の対象となる利益相反行為が信託財産の大部分を占めるものではないこと、受託者の負担軽減になること、信託財産に損害がないこと、などになるのかなと思います。ただし、受託者の負担軽減になること、という要件は利益相反行為が頻繁にある信託であるということを意味するので、そのような信託類型は限定されて要件にはなり得ないのかもしれません。

[1] 2021.2第20号日本法令P63~