家族信託の相談会その65

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2024年月26日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え

登記研究912号(令和6年2月号)

登記研究912号(令和6年2月号)テイハン

【論説・解説】

■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(6)

法務省民事局民事第二課補佐官 三 枝 稔 宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之

法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官) 手 塚 久美子

法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清 水 玖 美

第2 本要領の概要

 10 第10節 承認申請の審査

  ⑶ 第3 調査事項(承前)

 申請土地が急傾斜地崩壊危険区域等に含まれていたとしても、それをもって直ちに不承認要件に該当するものではない。

 竹。松くい虫。

  ⑷ 第4 承認、却下又は不承認の判断

  ⑸ 第5 標準処理期間

 現状、全国一律8時間。

■「法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令の施行に伴う遺言書保管事務の取扱いについて(令和5年5月12日付け法務省民商第100号法務省民事局長通達)」の解説

法務省大臣官房司法法制部司法法制課法制審議会係長(前法務省民事局商事課遺言書保管第一係長) 新 谷 英 斗

法務省民事局商事課遺言書保管第一係長 菅 野 裕 紀

第1 はじめに

令和2年7月10日施行

法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令(令和5年法務省令第27号)、令和5年5月12日施行。

第2 添付書類の有効期間の廃止

 3か月以上前の書類でも、移動がない場合などもあり、支障がない場合が多いと考えられます。また遺言者や受遺者などに移動があったとしても、ある時において一致していれば有効とした方が、受遺者などが多数の場合や外国に受遺者がいる場合であっても書類の取り直しなどが起こりにくく、合理的だと思います。

第3 法人でない社団又は財団による手続の明確化

第4 遺言書情報証明書の交付等の請求書の記載省略要件の改正

第5 遺言書保管所の管轄の拡大

  遺言書情報システムでは、管轄区域に基づいて遺言書保管申請制度利用の可否判断を行っている。

法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000010012_20240226_506M60000010003

第四条 法務局、地方法務局又は支局の戸籍及び公証の事務に関する管轄区域は、別表第一の支局欄(同欄中括弧のつけてあるものは、本庁を示すものとする。)及び管轄区域欄によって示されるとおりとし、法務局、地方法務局、支局又は出張所の登記の事務(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(平成十年法律第百四号)第五条第一項(同法第十四条第一項において準用する場合を含む。)及び後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)第二条第一項の事務を除く。)に関する管轄区域は、同表の出張所欄(同欄中括弧のつけてあるものは、本庁又は支局を示すものとする。)及び管轄区域欄によって示されるとおりとし、法務局、地方法務局、支局又は出張所の法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)に定める遺言書の保管に関する事務に関する管轄区域は、別表第二の官署欄及び管轄区域欄によって示されるとおりとする。

■Q&A不動産表示登記(88)

(一社)テミス総合支援センター理事 都城市代表監査委員 新 井 克 美

第三章 建物(非区分建物)

 第二節 各種の登記の申請

  Q257  いずれも未登記の建物が合体した場合はどのような登記を申請するのか。

合体後の建物について、表題登記の申請(不動産登記法47条)。

建物図面、各階平面図・・・合体後の建物。

所有権証明情報・・・合体前の各建物に関するもの及び増築工事による場合はその工事に関するもの。

■民事信託の登記の諸問題(29)

渋 谷 陽一郎

 父が委託者兼受益者であり、長男が受託者となっている民事信託で、受託者である長男が経営する会社の債務を担保するため、信託不動産に抵当権を設定するケース。父は長男が経営する会社の元経営者。

 信託の目的の範囲内である場合で、信託法31条1項4号の行為を同法31条2号で許容できるときを想定します。抵当権設定登記の申請時、登記原因証明情報上、受託者、そして委託者兼受託者と、債務者との利害関係人性に関する事実(事情)を記す必要があるか。・・・記載しなかった場合に却下事由になることはないと考えます(不動産登記法25条、昭和41年5月16日 民事甲第1179号民事局長回答「信託の登記ある不動産についての抵当権設定登記申請の受理について」)。

 信託の目的が、父の生活・介護・医療の支援である場合、受託者を経営者とする会社の債務を担保するための抵当権設定行為は、信託の目的の範囲内の受託者の行為となるのであろうか。について・・・本来は、会社の元経営者であった委託者兼受益者の意思を信託の目的に反映させる方が望ましいと思われます。ただし、信託の目的は信託行為全体を総合的に考慮して判断されるものであり、信託目録の信託の目的欄に記載がないことを理由に、信託目録の体系上の整合性がない、と判断される可能性は低いのではないかと考えます。

 会社は信託の受益者ではないにも関わらず、かような信託財産の管理方法(受託者が代表取締役である会社の債務を担保するための信託不動産に対する抵当権設定およびその登記申請)を設定し得るのだろうか。について・・・設定し得ると考えます(信託法26条)。信託行為時の株主(社員)が誰なのか、は専門家が確認しておくべき事項だと思います。

 登記手続上、形式判断を可能とするためには、受託者の権限は、昭和41年登記先例の事案(信託原簿)のような包括的なものでは足らず、具体的な権限として、その許容性が明確化されている必要がないだろうか。について

・・・同意です。

 本来、当該第三者(会社)を受益者であるとすべきであるかもしれない。について・・・信託法2条7項の、その他の信託財産に係る給付、の中に担保設定が含まれるのであれば、受益者に該当すると考えます。

会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(5)

平成20年10月2日法務省民商第2654号民事局商事課長通知「金融商品取引業者の登録に必要な資本金の額を満たしていないものの、金融商品取引業を行う旨を目的に掲げる株式会社の設立の登記の取扱いについて」

平成11年1月27日 法務省民四第137号民事局第四課長通知「債権管理回収業に関する特別措置法の施行に伴う登記事務の取扱いについて」

【法 令】

商業登記規則等の一部を改正する省令(令和5年6月12日法務省令第31号)

【訓令・通達・回答】

▽商業・法人登記関係

〔6219〕商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和5年6月12日付け法務省民商第113号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 有限責任事業組合を無限責任組合員とする投資事業有限責任組合契約の効力発生の登記の申請は、投資事業有限責任組合契約書に当該有限責任事業組合を当該無限責任組合員として記載している場合に限り、受理。

〔6220〕商業登記等事務取扱手続準則の一部改正について(令和5年6月12日付け法務省民商第114号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

〔6221〕商業・法人登記における印鑑関係事務取扱要領の一部改正について(令和5年6月12日付け法務省民商第115号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

▽電子認証関係

〔6222〕「商業登記法等の一部を改正する法律等の施行に伴う電子認証事務の取扱いについて(平成12年9月29日付け法務省民四第2274号民事局長通達)」の一部改正について(令和5年6月12日付け法務省民商第116号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第6章民事信託の支援者(専門職) 

  • 渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。
  • 第6章 民事信託の支援者(専門職) 

P223、士業者の業務拡大のための民事信託組成の受注競争もあり、士業者だけによる民事信託の規律の維持は難しいかもしれない。―中略―地域金融機関こそ民事信託センターとなる可能性がある。との記載があります。地域金融機関にも受注競争はあり、どちら中心センターを担うのに相応しいか、という問題ではなく、依頼者が選択肢を持てることが大切だと考えます。

P225、書面作成だけで事足りる遺言書の作成等とは異なる。について・・・遺言は執行があるので、書面作成だけで事足りるとはいい難いのかなと思いました。

P230、(司法書士が代理申請の付随業務として、不動産事業者の作成した信託契約書を修正する場合もあるかもしれない)、について・・・不動産事業者が作成した信託契約書をみたことがなかったので、そういう場合にも対処できるようにしたいと思いました。併せて不動産事業者が信託の権利義務関係の図(スキーム等といわれるもの)ではなくて、信託契約書(信託財産に属する財産は金銭と不動産になるかと思います。)を作成できる根拠は、宅地建物取引業法になるのか分かりませんでした。

P233、民事信託の会計ソフトや管理ソフトも開発されつつある、について・・・

ファミトラ

https://www.famitra.jp/

980円(税込 1,078円)/月

P214、そこで、民事信託組成支援における最大の問題点の1つは、民事信託組成を支援する士業者の多くは、信託法の理論は知り得ても(これは書籍等で勉強可能である)、信託実務の実際の内容は知り得ないということだ。について・・・知り得ない、というか体験し得ない、というところではないかと思います。法律が禁止している事項について、最大の問題点の一つ、として指摘できるのか、分かりませんでした。信託会社や受託者経験者に訊く、など手探りでも最善を目指してやっていくことでは足りないのか、分かりませんでした。

P237、信託監督人は、信託監督人自体が、適切に監督され、何らかの形で支援される立場である必要がある(信託監督人が受託者と結託して不正を働き、あるいは、監督を懈怠さればどうなるか)。について・・・信託監督人は、何らかの形で支援される立場である必要がある、という箇所が、誰から、どのような支援を受ける立場なのか、根拠は何か、分かりませんでした。

P240、多数の士業による開かれたネットワークが必要である、に同感です。ただし、実務上逆の方向に行っているので、これを修正するのは困難だと感じます。士業報酬の低廉化の流れに同感です。金融機関の民事信託報酬が一種の基準として働くと考えます。

P246、司法書士を監督する司法書士会の監督・監視体制を早急に整備・充実させる必要がる。について・・・反対です。日本司法書士会連合会も司法書士行為規範に民事信託に関する条項を入れたあと、日本弁護士連合会のようなガイドライン作成の動きはありません。指針は個々の司法書士事務所(司法書士法人)ごとで作成するしかないと思います。問題が起きた場合は、懲戒委員会などにゆだねることが現状取り得る実務だと思います。

 研修に関しては少し力を入れる必要があるとは思います。参考にするとすれば、(公益)成年後見センター・リーガルサポートの研修体制かなと思います。

 東京地判平成28年7月25日判タ1435号215頁について。

 Q222民事信託の任意団体、について。民事信託について公的団体は存在しない、という事実はもっと知られていいと思います。その結果、どの団体に属していようと、民事信託に関して責任を取るのは、個々の民事信託支援者ということになります。

 運営主体者役員などを確認することで、それら任意団体の公益性の有無を見抜きたい、の記載について。任意団体なので、広義の公益性は多少どの団体にもあるのでしょうが、公益籍の軽重を見抜いたとして、直接責任を負うのは、利用者に直接接する専門家なので、委任契約書や見積書の説明を聞きながら判断することが妥当だと考えます。

P301、不動産の賃貸や売買などの場合と同様、宅建士の人々による信託不動産重要事項説明書のようなものが、リーズナブルな費用で取得できるようになるのが、信託不動産の流通にとって望ましいかもしれない。の記載について同感です。

沖縄県司法書士会信託登記研修

沖縄県司法書士会信託登記研修

令和6年2月22日

「民事信託に関する登記」

第3期民事信託士 川田光子司法書士

第1 信託目録

第2 信託の終了に伴う登記

第3 信託期間中の登記

第4 おわりに

不動産登記法97条の構造(信託の登記の登記事項)

第九十七条 信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所

 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め

 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

 信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨

 信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨

 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条に規定する公益信託であるときは、その旨

 信託の目的

 信託財産の管理方法

 信託の終了の事由

十一 その他の信託の条項

 前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。

 登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

2項について、平成19年9月28日法務省民二第2048号通達

 1項8号から11号までは抽出、という用語について、どのような方法なのか気になりました。条項の中で必要な部分を抜き出すのか、条項全てを抜きだすのか、どちらかになると思います。要約するのは、要約する人の主観による割合が大きくなり、登記官も判断することが出来ないため、難しいのではないかと思います。

不動産登記法97条1項11号

 信託の設定(年月日信託契約を締結した旨)の条項が必要か・・・任意条項です。後続登記に必要となることがあるのか、公示する必要があるのか・・・信託行為の年月日、委託者、受託者は、他の条項により公示されるので、分かりませんでした。

 信託行為に、全ての信託財産を記載する必要があるのか・・・各不動産につき、信託目録が作成されるので、不要かなと思いました。共同担保目録のような機能を果たすのかもしれませんが、一つの不動産が信託財産に属する財産ではなくなった場合、他の不動産全てについて変更登記の申請が必要なため、あえて記録する必要は、あまりないのではないかと思いました。

 残余財産の帰属権利者(信託法183条)として、〇年〇月〇日○○地方法務局種族公証人○○作成同年○○号、と記載することができるか?

・・・登記はされる。理由は却下事由に該当しないから、という消極的理由。

 当初受託者および後任受託者の指定方法について、記載する必要があるか。・・・不動産登記法97条1項1号で受託者は記載事項とされているので、当初受託者の記載は不要ではないかと思いました。後任受託者の指定方法については、後続登記申請に係わるため、必要だと思いました。

 受託者は、信託不動産に関し、受益者又は委託者を債務者とする抵当権等の担保を設定する登記手続、担保権を変更・抹消する登記手続等を行うことができる、という条項について。・・・登記手続は登記官が行う事務であり(不動産登記法9条)、受託者が可能なのは、登記の申請に限られるものと考えらえられます。

 受託者は、信託契約前に設定された根抵当権(債務者は、現在の受益者又は委託者ではない)の登記を抹消する申請をすることができるか。について・・・事前に入手できる条項であり、根抵当権の登記事項が特定されていれば、可能であると考えられます。その他信託の目的を達成するために必要であると受託者が判断する一切の行為を行うこと、と定めていた場合、信託の目的から総合判断することになると思われ、受益者の不利益にもならないことから抹消登記が可能と判断される可能性もありますが、上記のとおり事前に入手できる情報は、信託行為で特定することが望ましいと思われます。

 契約期間中に受益者に相続が発生した場合における本信託の受益者は、所定の様式による届け出書を受託者に提出することにより、指定することができる、という条項について・・・受益者が亡くなっているので、本信託の受益者はその時点でいないのではないかと思われます。そのように考えると、所定の様式による届け出書を受託者に提出するのは誰か?何を指定するのか分かりませんでした。

登録免許税7条2項の構成

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342AC0000000035

(信託財産の登記等の課税の特例)

第七条 1項略

2 信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であって、

かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、

当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあっては、

当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、

当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあっては、合併)による財産権の移転の登記又は登録と

みなして、この法律の規定を適用する。

参考

・平成29年6月22日付 東京国税局審理課長回答「信託契約の終了に伴い受益者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について」

・平成30年12月18日付名古屋国税局審理課長回答「信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について」

 

 みなし受益者(信託法183条6項)は、登録免許税法7条2項の受益者といえるのか。について・・・原則として受益者(信託法2条1項6号)ではありません。信託法183条6項により、信託の清算中に限り、受益者とみなされ、信託の清算中に限り、登録免許税法7条2項の適用を受けると考えられます。登録免許税法7条2項の、信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合は、清算は終了していると思われるので、受益者に当たらなくなると考えらえます。

(帰属権利者)

第百八十三条 1項から5項略

6 帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなす。

信託終了後の登記の目的、申請人、登録免許税法7条2項の適用について。

・令和6年1月10日民二第16号民事局民事第二課長回答信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記の可否について(通知)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その他の検討事項

・民事信託を利用して、委託者兼受益者の兄弟に軍用地料などを暦年贈与することができるのか、について・・・定期金給付契約に該当しない条項を定める必要があると考えられます。

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm

・民事信託を活用して受託者以外の者が金融機関で住宅ローンを組む際に、委託者兼受益者所有の土地に担保設定することができるのか?・・・信託行為に明確に記載され、信託目録に記録されている場合、可能だと考えます。なお、私なら担保設定の際に、受益者の承諾情報の提供があることを要件とします。

・ 民事信託を活用して受託者または受託以外の者が住宅を購入、建築する際に、現金の贈与を適法に行うことができるか?について・・・信託の目的が何なのか分かりませんが、必要な条項は次のようなものが考えられます。

 受益者として、受託者、受託者以外の者を入れること。

 贈与時の信託財産の残額に対して、いくらまで贈与できるのか、具体的な計算式があること。

・節税のためにアパート建築のための信託内借入のために、民事信託を活用することについて・・・分かりませんでした。

 受託者が信託財産である土地に受託者所有の賃貸不動産を建築したいと考え、信託内容を変更して利益相反行為を予め許容する定めを信託契約書に追加して変更登記を行い、その後、信託した土地を担保にして賃貸不動産の建築資金借入を行えるか、について・・・信託内容は誰が変更したかによる面もあると考えます。私なら担保設定時に受益者の承諾書があることを要件とします。

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第5章

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。

  • 第5章 民事信託・家族信託の定義、分類、歴史

 P170、沖縄の家制度の長子相続における家族信託の活用などの事例もあり、について・・・沖縄の家制度、というものが門中を指すのかムートゥ家を含むのか分かりませんが、賛否有り、出生率の低下と共に、現在、制度とまで認識されているのか、分かりませんでした。また著者がP163などで、家族信託は財産管理の制度、と記載しているように、(長子)相続のために活用できる制度なのか、同じくP163などで記載されている、受託者の財産管理に対する自覚、が必要な信託制度を、無条件に長子を受託者にすることに活用できるのか、分かりませんでした。

 P175からP176、信託契約書上、追加信託条項が存在しないと、委託者は追加信託を行うことができないという意見もある。しかし、かような信託条項が存在しない場合でも、委託者と受託者の合意で追加信託が可能とならないのだろうか(委託者の判断能力がある限り、新たな信託の設定と併合あるいは信託の変更等を行って追加信託できないのであろうか)。について・・・信託法上、追加信託条項の定めが必要とする条文はなく、信託財産(信託法2条3項)は、当初信託財産のみとしていないので、可能と考えます。

 Q192からP193、確かにアパート建築とアパート経営を稼働させるための民事信託自体はあり得るわけだが、それが、結果として相続税対策となったとしても、あくまでも信託は、第一義的に当該アパートの管理・処分による受益者の生活支援等が目的となろう。について・・・受託者による借入条項、担保設定許容の条項がある場合に、結果として相続税対策となった、という表現は受け入れられるのか、分かりませんでした。

 P194、信託の終了事由が生じた場合、ただちに受益権は消滅するのか否か、という疑問の声が民事信託の実務家から聞かれることがある。について・・・信託の清算が結了するまでは、受益権は消滅しないと考えます(信託法176条)。

 P213、2014年には、日司連が新井誠教授の紹介によって、金融法務で知られる大垣尚司教授の参加を得て、日司連ホールにて、シンポジウム「民事信託の利用促進~成年後見制度との併用~」を開催する(2014年3月1日)。講師の大垣教授から、民事信託の信頼性とは、それをバックアップし、サポートする専門家に対する信頼性であると指摘され、支援業務のコンセプトを再確認する契機であった。について

 ・・・シンポジウムには私も参加しました。大垣尚司教授からは、信託業法2条により士業が受託者になることは現行法上、不可能であること、士業が関与するとすれば信託監督人・受益者代理人就任、契約書の標準化は可能であること、会社法と信託法との比較、民事信託を高齢化社会の文脈でとらえた場合、実務上適法で社会から必要とされる具体的類型(親亡き後のための信託、成年後見を補完する遺言代用信託、事業承継信託、死後事務のための信託、新しい家族の在り方を支援する信託等)が示されました。

 杉谷範子司法書士等による一般社団法人を受託者とした民事信託の実務報告について、後継ぎ遺贈型受益者連続信託(信託法91条)を利用しなくてもよかった(同じ機能を果たせた)のではないか、など議論も交わされています。なお、当時公証人であった遠藤英嗣弁護士は、遺言信託を民事信託の基本としていました。

 Q180、2014年から2015年にかけて、センターに集結していた司法書士の一部が分裂する。について。・・・zoomでの同時配信を希望しても無視されていた地方の司法書士としては、当時、何も事情を知らないまま研修講師や研究報告を行っていた司法書士の一部が(一社)民事信託推進センターからいなくなりました、東京のごく限られた中で決まったことだと思います。

 私が知っている限り、どちらが悪い、正しいということはなく、どっちもどっち、だと感じました。むしろその後、事情を知った後に、お互い「とある士業」などの名称を用いて批判合戦をしていたのは、法律事務に携わる者として、私は無意味だと思いました。実名で批評出来ないのではあれば、建設的な議論は出来ないからです。

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