市民と法152号2025年4月

市民と法152号2025年4月、(一社)民事法研究会

https://www.minjiho.com/search/g107194.html?srsltid=AfmBOoqr_PTsMpjja9unz9hW32dIde_aS8swm_6RVKd4G5nnbNHgxWp8

大論公論 「原点」――あるべき司法書士として働く――

 全国青年司法書士協議会会長 加藤 圭

 今、司法書士が社会にとって必要とされているのか、境界線に立っている。

【論説/解説】

・現代相続における司法書士の役割についての研究―時代に合致した司法書士による手続支援モデルの構築と提案―

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所業務開発研究部会主任研究員・司法書士 石田光曠、研究員・司法書士 平野次郎、研究員・司法書士 村上 毅、研究員・司法書士 小坂和義、研究員・司法書士 宮澤智史

 英米法採用国・・・管理清算主義。

 大陸法採用国・・・当然承継主義(実務では管理者による事実上の管理清算型相続手続き)。

 報酬基準の法定。日本版相続証明情報の提案。遺産分割協議への専門職の関与の仕方。生前対策としてエンディングノート普及の必要性。日本版代表者登記制度の導入提案。ファシリテータとは、舵取り役・仕切り役。

・AI技術・弁護士法・司法書士法から照射される士業の制度的正当(統)性の根拠と課題―自己決定権とパターナリズムの相克・情報の非対称性の観点からの省察―

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所司法・司法書士制度研究部会主任研究員・司法書士 木曽雄高

 弁護士法、司法書士法は国家が父権的に市場に介入することを趣旨として法律であり、情報の非対称性を解消という機能を有している限り、正当性を見出すことが出来る。

 Aiが法的権利義務帰属主体になり得るかについて・・・経済的な補償は可能かもしれませんが、身体の拘束が不可能なので難しいと感じます。

・会社秘書役制度に関する調査と法定手続の不遵守是正の提言

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所商業登記制度研究部会主任研究員・司法書士 神沼博充、研究員・司法書士 坂本佳弥子、研究員・司法書士 岩本直也、研究員・司法書士 齊藤詩織、研究員・司法書士 岩﨑 諭

 イギリスの会社秘書役は、会社法改正により、取締役の補助者から、会社の業務管理に係る総責任者的な位置づけに機能・責任が拡大。

https://www.gov.uk/limited-company-formation/appoint-directors-and-company-secretaries

 オーストラリア、香港、シンガポール、マレーシアにおける会社秘書役の紹介。

 日本に会社秘書役を置く場合のイメージとしては、会計参与の法的手続版。

・大深度地下使用法の現状と課題

 島根県立大学名誉教授 平松弘光

大深度地下の公共的使用に関する特別措置法

https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000087

【特集】国土安全保障と土地法

Ⅰ 企画趣旨

  大阪公立大学教授 久末弥生

国土交通省 WISENET(ワイズネット)2050

https://www.mlit.go.jp/road/wisenet_policies

Ⅱ 縮小社会に適応する地域空間管理法制と法的課題―老朽危険空き家対策を素材として―

  上智大学教授 北村喜宣

 民法の公法化、土地基本法の改正、空家等対策の推進に関する特別措置法の制定。指導、勧告、命令を受けた者が死亡した場合の効力。長屋。市区町村長の申立てによる成年後見制度の利用に代わる、民事訴訟法35条の特別代理人制度の利用検討。

Ⅲ 遊水地地役権の展開と課題

  拓殖大学教授 奥田進一

特定都市河川浸水被害対策法

https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000077

 明渡執行の考え方と諸問題

 元大阪地方裁判所執行官 櫻井俊之

土地の特定

原則・・・土地上に境界標識が存在する場合は検尺を基に見取図を作成。境界標識等が存在せず土地の境界が執行場所を特定した図面を添付。

例外・・・法務局に目的土地と同一の地積測量図が存在する場合は図面等添付不要。基点からの距離が示されていない地積測量図は検尺して見取図の作成。

未登記建物

家屋番号・・・未登記と記載。

相続・今昔ものがたり(46)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続の欠格(その3)

 家督相続人の不選定の場合に新民法附則25条2項が被相続人の死亡時にさかのぼって新民法が適用されるとき、その新民法の規律がどこまで適用されるのか。

登記研究35号P30、昭和25年10月7日民事甲第2682号民事局長回答、家督相続人不選定と旧民法中の数次相続。

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務(11)反社条項と FATF 勧告(1)

 司法書士 渋谷陽一郎

 日司連ガイドラインの作成経緯が公開されていないこと。日本司法書士会連合会「民信託支援業務の執務ガイドライン」と「司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ロンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン」の関係。

令和6年4月17日財務省「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」

民事信託の相談会その74

お気軽にどうぞ。

2025年4月25日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障害を持つ子の親なき後への備え

1組様 5,500円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

登記研究925号令和7年3月号

登記研究925号令和7年3月号、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

【論説・解説】■商業・法人登記制度をめぐる動向と展望(1)

福岡法務局長 土 手 敏 行

はじめに 福岡管区の登記の状況

 未成年者登記は全国で1件、後見人登記は全国で0件。

1 オンライン(QRコード)申請のすすめ

 法務局にとっては、オンライン申請・QRコード申請の場合、記入処理が早くなる。

 書面申請の場合の登記完了予定日の案内は、那覇地方法務局が先に実施した。

 役員全員解任の登記申請があった場合の法務局の対応として、早期に処理するわけにはいかない。

2 商業登記電子証明書は商業・法人登記の最成長株

 商業登記電子証明書の有効性確認件数は、2023(令和5)年で約2億2,500万件。発行件数は約35万7,000件。手数料については印鑑証明書と同程度の費用になるよう計画。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係)(2)

東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

 既に中間の相続に係る事項が所有権の登記に付記されているときは、その事項を相続人申出事項の内容とすることを要しない(不動産登記規則158条の19第1項3号括弧書き)。

 中間相続人の最後の住所として中間相続人の最後の本籍を相続人申出等情報の内容としたときは、本籍を中間相続人の最後の住所とみなして差し支えないものとされている。

 必ずしも現在戸籍でなくて良い。

 戸籍謄本等に記載されている被相続人と所有権の登記名義人との同一性を証する情報については、所有権登記の登記名義人の登記記録上の住所が当該戸籍謄本等に記載された本籍と異なる場合で被相続人の住民票の写し又は戸籍の附票を提出することができないときは、「所有権の登記名義人と戸籍謄本等に記載された被相続人とは同一である」旨の申出人の上申書をもって同一性を認めて差し支えない。

 申出人の住所が外国である場合の取扱い。

■「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」の解説

法務省民事局商事課法規係長 大 村 健 祐

はじめに

 商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務省民事局長通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html

第1 本通達の趣旨

第2 登記事項証明書等の記載事項に関する特例に係る改正

第3 電気通信回線を使用して提供することに適しない情報に係る改正

 代表取締役等住所非表示措置の申出を併せてすることができる登記の申請における就任の登記には代表権付与の登記も含まれる。

 本店所在場所における実在性を証する書面の記載例、受任した登記申請についての打合せのために本店所在場所に往訪した際に、本店所在場所において当該株式会社が実在する旨を確認した、など。

 本人確認証明書として、通達に挙げられている住民票の写しや住民票事項証明書等以外であっても、商業登記規則61条7項に規定する本人確認証明書であれば、添付書類として認められると考えられる。

 閉鎖された登記記録について復活すべき事由があると認められるときの例として、第三者から株式会社を所有権の登記名義人とする不動産の登記事項証明書等を添付した上で、株式会社の清算が未了である旨の情報提供があった場合など。

ポイント解説■基礎から考える商業登記実務(第7回)

横浜地方法務局法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

ポイント:合同会社の業務執行社員の加入及び代表社員の就任による変更の登記について(その1)

1 はじめに

2 社員の加入の類型

3 新たな出資による業務執行社員の加入及び代表社員の就任の登記

 合同会社では、社員の氏名又は名称は登記事項ではないため、総社員の同意書のみでは、社員の全員が同意しているかどうか明らかとならない場合もあり得るが、商業登記実務上は、社員全員の氏名又は名称を証するために定款を添付することは要しないとして取り扱われている(民事月報61巻号外「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」(解説編))。

 総社員の同意により新たに加入する社員に係る定款の変更をする場合の当該同意すべき社員には、いまだ合同会社に加入していない新たに社員に加入しようとする者は、原則として含まれない。

 合同会社の社員が法人である場合における、業務執行社員を定める同意の意思表示は、法人の代表者が行う。法人の職務執行者が行うことはできない。

 合同会社の社員が法人である場合における業務執行社員による代表社員の互選の意思表示は、当該法人の職務執行者が行う。代表社員の互選の主体を業務執行社員ではなく社員と解する立場からは、互選の意思表示は法人の代表者が行う(民事月報61巻号外「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」(解説編P503)。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第130回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

251 事業協同組合の解散手続について

中小企業等協同組合法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000181

(清算人)

第六十八条 組合が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。

2 第九条の九第一項第三号の事業を行う協同組合連合会が第百六条の二第四項又は第五項の規定による第二十七条の二第一項の認可の取消しにより解散したときは、前項の規定及び第六十九条において準用する会社法第四百七十八条第二項の規定にかかわらず、行政庁が清算人を選任する。

(解散後の共済金額の支払)

第六十八条の二 共済事業を行う組合は、総会の決議、第百六条の二第四項又は第五項の規定による第二十七条の二第一項の認可の取消し又は第百六条第二項の規定による解散命令により解散したときは、共済金額を支払うべき事由が解散の日から九十日以内に生じた共済契約については、共済金額を支払わなければならない。

2 前項の組合は、第六十二条第一項第四号に掲げる事由により解散したときは、その解散の日から共済契約の期間の末日までの期間に対する共済掛金を払い戻さなければならない。

3 第一項の組合は、同項に掲げる事由により解散したときは、同項の期間が経過した日から共済契約の期間の末日までの期間に対する共済掛金を払い戻さなければならない。

(会社法等の準用)

第六十九条 組合の解散及び清算については、会社法第四百七十五条(第一号及び第三号を除く。)、第四百七十六条、第四百七十八条第二項及び第四項、第四百七十九条第一項及び第二項(各号列記以外の部分に限る。)、第四百八十一条、第四百八十三条第四項及び第五項、第四百八十四条、第四百八十五条、第四百八十九条第四項及び第五項、第四百九十二条第一項から第三項まで、第四百九十九条から第五百三条まで、第五百七条(株式会社の清算)、第八百六十八条第一項、第八百六十九条、第八百七十条第一項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)、第八百七十一条、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)、第八百七十四条(第一号及び第四号に係る部分に限る。)、第八百七十五条並びに第八百七十六条(非訟)の規定を、組合の清算人については、第三十五条の三、第三十五条の四、第三十六条の二、第三十六条の三第一項及び第二項、第三十六条の五から第三十八条の四まで(第三十六条の七第四項を除く。)、第四十条(第一項、第十一項及び第十三項を除く。)、第四十七条第二項から第四項まで、第四十八条並びに第五十三条の二並びに同法第三百五十七条第一項、同法第三百六十条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項並びに同法第三百六十一条第一項(第三号から第五号までを除く。)及び第四項、第三百八十一条第二項、第三百八十二条、第三百八十三条第一項本文、第二項及び第三項、第三百八十四条、第三百八十五条、第三百八十六条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)並びに第五百八条の規定を、組合の清算人の責任を追及する訴えについては、同法第七編第二章第二節(第八百四十七条第二項、第八百四十七条の二、第八百四十七条の三、第八百四十九条第二項、第三項第二号及び第三号並びに第六項から第十一項まで、第八百四十九条の二第二号及び第三号、第八百五十一条並びに第八百五十三条第一項第二号及び第三号を除き、監査権限限定組合にあつては、監査役に係る部分を除く。)(株式会社における責任追及等の訴え)の規定を、監査権限限定組合の清算人については、同法第三百五十三条、第三百六十条第一項及び第三百六十四条の規定を準用する。この場合において、第四十条第二項中「財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案」とあるのは「財産目録、貸借対照表」と、「事業報告書」とあるのは「事務報告書」と、同条第三項、第五項から第十項まで並びに第十二項第一号及び第三号中「事業報告書」とあるのは「事務報告書」と、同法第三百八十二条中「取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」とあるのは「清算人会」と、同法第三百八十四条、第四百九十二条第一項、第五百七条第一項並びに第八百四十七条第一項及び第四項中「法務省令」とあるのは「主務省令」と、同法第四百七十九条第二項各号列記以外の部分中「次に掲げる株主」とあるのは「総組合員の五分の一以上の同意を得た組合員」と、同法第四百九十九条第一項中「官報に公告し」とあるのは「公告し」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(種類)

第三条 中小企業等協同組合(以下「組合」という。)は、次に掲げるものとする。

一 事業協同組合

一の二 事業協同小組合

二 信用協同組合

三 協同組合連合会

四 企業組合

(組合等の設立の登記)

第八十四条 組合の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、第二十九条の規定による出資の払込みがあつた日から二週間以内にしなければならない。

2 前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。

一 事業

二 名称

三 地区

四 事務所の所在場所

五 出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額

六 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由

七 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

八 公告方法

九 第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの

ロ 第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

3項、4項略

■逐条解説不動産登記規則(54)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

第104条 分筆に伴う権利の消滅の登記

不動産登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018/#Mp-Ch_3-Se_2-Ss_2

 (分筆に伴う権利の消滅の登記)

第百四条 法第四十条の規定による権利が消滅した旨の登記は、分筆の登記の申請情報と併せて次に掲げる情報が提供された場合にするものとする。

一 当該権利の登記名義人(当該権利が抵当権である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を消滅させることを承諾したことを証する当該登記名義人が作成した情報又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報

二 前号の権利を目的とする第三者の権利に関する登記があるときは、当該第三者が承諾したことを証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報

三 第一号の権利が抵当証券の発行されている抵当権であるときは、当該抵当証券

2 甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、法第四十条の規定により乙土地について権利が消滅した旨の登記をするときは、分筆後の甲土地の登記記録の当該権利に関する登記についてする付記登記によって乙土地について当該権利が消滅した旨を記録しなければならない。この場合には、第百二条第一項の規定にかかわらず、当該消滅した権利に係る権利に関する登記を乙土地の登記記録に転写することを要しない。

3 甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、法第四十条の規定により分筆後の甲土地について権利が消滅した旨の登記をするときは、分筆後の甲土地の登記記録の当該権利に関する登記についてする付記登記によって分筆後の甲土地について当該権利が消滅した旨を記録し、当該権利に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。

4 第二項の規定は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、乙土地に地役権が存しないこととなるとき(法第四十条の場合を除く。)について準用する。

5 第三項の規定は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、分筆後の甲土地に地役権が存しないこととなるとき(法第四十条の場合を除く。)について準用する。

6 登記官は、要役地についてする地役権の登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該地役権を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを証する地役権者が作成した情報が提供されたとき(当該土地を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、当該土地について当該地役権が消滅した旨を登記しなければならない。この場合においては、第一項第二号、第二項及び第三項の規定を準用する。

登記研究430号P173、1983年10月30日質疑応答【六三三一】要役地地役権の抹消方法について

■民事信託の登記の諸問題(42)

渋 谷 陽一郎

第296 会社との比較で考える信託

第297 信託の終了前後と受益者の登記

第298 実質的支配者という側面からの受益者の重要性

第299 残余財産の帰属に関する信託法182条

第300 残余財産受益者とは何か

第301 残余財産の帰属権利者とみなし受益者

第302 残余財産受益者は信託期間中からの登記事項なのか

第303 信託法90条1項2号と2項の適用問題

第304 受益者として権利を有しない状態とは何か

第305 権利を剝奪された委託者の場合との比較

第306 残余財産受益者の表示

 P108、信託設定当時、信託行為の定めを以て信託法182条1項1号の「残余財産受益者」を定めた場合、その者も、信託設定の当初より受益者として登記する必要があるのだろうか。・・・信託法182条1項1号の残余財産受益者と信託法2条6項の受益者を同様に扱う規定がないことから、登記する必要があるとはいえないと考えます。

【資 料】会社法施行下で使える登記先例――実務の便覧――(18)

登記研究715号P168、平成18年4月5日法務省民商第873号民事局商事課長通知「従業員又は代理人の宣誓供述書に領事等が認証したものが添付された外国会社の登記の申請の受理について」

登記研究737号P183、2009年7月30日【質疑応答】〔七八九五〕外国会社の日本における代表者に関する登記について

登記研究532号P121、平成3年12月24日法務省民四第6201号民事局第四課長通知「配当可能利益の資本組入れによる変更の登記の更正について」

 裁判所からの嘱託による抹消の登記による。

登記研究719号P156平成19年12月3日法務省民商第2584号民事局商事課長通知「募集株式の発行による変更登記によって資本金の額を誤って少なく登記した場合の抹消及び変更の登記について」

登記研究719号P158平成19年12月3日法務省民商第2586号民事局商事課長通知「募集株式の発行による変更登記によって資本金の額を誤って多く登記した場合の更正の登記について」

 債権者保護手続きの有無。

登記研究719号P159平成19年12月14日法務省民商第2722号民事局商事課長通知「管轄外からの本店移転の登記後旧本店所在地においても登記がされていた登記の更正又は抹消の申請があった場合等の取扱いについて」

 更正の登記申請における添付情報。

登記研究779号P115平成24年4月3日法務省民商第898号法務省民事局商事課長通知「登記の抹消の申請書に添付すべき書面について」

 無効の原因があることを証する書面の作成者と、登記申請書の作成者が異なる場合。

 登記研究498号P31昭和29年12月28日民事甲第2764号民事局長通達「本店移転の決議無効確認判決による登記の嘱託の取扱について」

登記研究498号P21、1989年7月30日発行、柳田 幸三:法務省民事局第四課長、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第四課係長、藤部 富美男:法務省民事局第四課係長【第一部 論説・解説】 株式会社に関する先例をめぐって(24)

登記研究273号P67昭和45年7月17日民事甲第3017号民事局長回答「清算人職務代行者選任登記の受否について」

登記研究300号P62昭和47年7月26日民事甲第3036号民事局長回答「取締役および監査役の選任決議無効の判決確定による嘱託登記の受否について」

 表見取締役。

登記研究719号P159平成19年12月14日法務省民商第2722号民事局商事課長通知「管轄外からの本店移転の登記後旧本店所在地においても登記がされていた登記の更正又は抹消の申請があった場合等の取扱いについて」

登記研究838号P127、平成29年6月13日法務省民商第98号民事局商事課長通知「職務執行停止の仮処分命令又は職務代行者選任の仮処分命令の申立てが取り下げられたことによる職務執行停止又は職務代行者選任の登記の抹消が嘱託された場合の受否について」

登記研究677号P146平成16年3月31日法務省民商第952号民事局長通達「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行等に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

 電子証明書の有効時点。

登記研究746号P143、2010年4月30日【質疑応答】〔七九〇九〕「合同会社の設立の登記のオンライン申請において添付書面情報とされる電子定款に係る電子証明書の有効性について」

【法 令】不動産登記規則及び法務局における遺言書の保管等に関する省令の一部を改正する省令(令和7年2月14日法務省令第2号)

・本人確認書類

【訓令・通達・回答】

▽商業・法人登記関係

〔6256〕新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて【解説付】(令和6年9月2日付け法務省民商第130号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局長商事課長通知)

内閣府第2回デジタル・AIワーキング・グループ議題1.超高齢社会に対応した親族間での信託の活用による柔軟な資産管理の推進

内閣府第2回デジタル・AIワーキング・グループ

令和7年3月13日(木)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_06ai/250313/ai02_agenda.html

議題1.超高齢社会に対応した親族間での信託の活用による柔軟な資産管理の推進

民事信託の実状と課題

2025年3月13日(木)

広島弁護士会、高齢者・障害者等の権利に関する委員会委員、弁護士菊永将浩

民事信託の契約に200件以上関与

・・・法務省、国税庁、厚生労働省などではなく、内閣府の規制改革推進会議で議論されていることの文脈。法務、税務、金融面などで、国(内閣府?)に対してガイドライン、Q&Aやフローチャートの作成を要望されていますが、可能であるならば賛成です。

・令和5年における公正証書の作成件数は約4,500件だが、これとは別に私文書での契約もあることから、全体の総数は、その2~3倍(1~1.5万件)ほどあると考えられる。

・・・私文書での民事信託に係る契約等が、公正証書の2~3倍あると想像する根拠が分かりませんでした。

⇒)民事信託の利用が望ましい方(例えば、元気なうちに自分の財産管理を信頼できる子に任せたいと考えが決まっている高齢者など)が利用できていないので、関係者等に制度を認識・理解していただく必要がある。

・・・相続登記、遺言制度、後見制度と併せて、選択肢の一つとして広報していくことになるのではないかと思います。

民事信託の担い手である専門家が不足している

・・・専門家の間で見解が異なる、という表現がしっくりくるように感じます。

民事信託の正確な情報が分かりにくい

・・・正確、正しい、という表現を使うことが難しい制度なのかなと思います。

信託口口座の開設、開設後の取扱い(ペイオフ時の支払先、受託者変更時の対応、差押え発生時の取扱い、契約終了時の口座終了方法)など金融庁も巻き込んで進めていく方向なのかなと感じます。

信託契約等の公正証書作成時に、オンラインでの作成を利用しやすい設計にすることは、必要だと感じます。利用者の最寄りの士業事務所を活用することも可能だと思います。

>(参考)民事信託のその他の課題

1信託財産の規制

・農地を信託の対象とすることができない。

2業法の規制

・民事信託において、士業などの専門家というだけでは受託者になることができない。

3税務上の取扱い

・民事信託の税務について、公的見解がないことから実務での活用が慎重になっている。

例1)信託終了時の相続税の債務控除(相続税法9条の2)

→相続税法9条の2第6項が信託の終了時に適用がないことから、信託をした場合に相続税の債務控除が受けられないのではないか。

例2)受託者のみが債務者となる借入における相続税の債務控除の可否

→委託者が債務を負わない形をとった場合において相続税の債務控除が受けられるかどうか。

例3)遺言の内容とは異なる遺産分割をした場合においては二重課税の問題が生じないような税務の取扱いになっているが、信託の場合にも同様に考えられるか。

・民事信託の活用が難しくなる形での税務についての公式見解が示されている分野がある。

例1)空き家の譲渡所得の特別控除が信託の場合には適用されない(令和4年12月20日東京国税局照会・回答)

4登記上の取扱い

・信託登記、とりわけ信託目録の記載方法などについての指針がなく、登記実務にばらつきがみられる。

5金融実務の取扱い

・民事信託に対応する金融サービス(信託内融資など)を提供している金融機関が少ない。

議題2.「相続手続の効率化」に関するフォローアップ

>戸(除)籍電子証明書を提供するための戸(除)籍電子証明書提供用識別符号の発行について、オンライン申請やオンライン発行の実現に向けた工程表を作成

➢ 以下の手続について、令和7年3月24日から戸籍電子証明書提供用識別符

号のシステム連携を開始する予定

① 旅券発給申請手続

② 在外公館における身分関係事項等に関する証明手続

③ マイナ免許証の本籍情報変更手続

※マイナ免許証のみを有する者のみ

月報司法書士2025年1月岡山大学学術研究院法務学域教授岩藤美智子「遺言信託の対象財産と信託終了時の残余財産の帰属主体」

月報司法書士2025年1月岡山大学学術研究院法務学域教授岩藤美智子「遺言信託の対象財産と信託終了時の残余財産の帰属主体」

東京地判令和3年2月2日、東京高裁令和3年(ネ)第1269号、LEX/DB25588155

平成26年5月16日、A公正証書作成。

預貯金および現金の4分の2は、二男Yに相続させる。

預貯金および現金の4分の1は、信託1。

預貯金および現金の4分の1は、信託2。

平成28年8月15日、D死亡。

平成28年11月6日、A死亡。

平成29年10月1日、C死亡し、信託1、信託2が終了。Cの法定相続人はX1、X2。

信託2について、X1・X2が受託者Yに対して不当利得返還請求。

裁判所の判断

・信託2における残余財産の帰属権利者は、信託法182条1項2号によりX1、X2に帰属。遺言による黙示の指定があると認められる。

・信託財産は預貯金のみであり、相続税申告書作成上計上した現金は入らない。一部が不当利得、不法行為が成立する可能性があったとしても、遺言により不当利得返還請求権、不法行為による損害賠償請求権は一般承継人であるYが取得し、信託財産に属しない。

検討

・遺言の解釈による残余財産の帰属権利者の指定の判断。

・民法999条(遺贈の物上代位性)をYが払い戻した現金に類推適用できるか。

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