加工司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00607.html

司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン

令和6年4月1日 法務省・日本司法書士会連合会

目   次 第1 本ガイドラインの目的等 …………………………………………… 2

1 本ガイドラインの目的 …………………………………………….. 2

2 本ガイドラインの基本的な考え方 …………………………………….. 3

  •  リスクベース・アプローチの位置付け ……………………………….. 3
  •  監督指導等の指針 ………………………………………………. 4

第2 司法書士に求められる取組み ………………………………………… 4

1 司法書士が取り組むべきリスクベース・アプローチ ………………………. 4

  •  リスクベース・アプローチの意義 …………………………………… 4
  •  リスクの特定及び評価 …………………………………………… 5
  •  リスク低減措置 ………………………………………………… 6
  •  リスク低減措置を講じてもリスクが許容される程度に低減されない場合の対応 … 8

 2 犯収法上の義務との関係 …………………………………………… 9

第3 監督指導等の対応 ………………………………………………… 9

1 基本的な考え方 ………………………………………………….. 9

2 司法書士会による監督指導等 ……………………………………….. 10

3 法務大臣等による監督 ……………………………………………. 10

第4 ガイドラインの実現に向けた取組み等 ………………………………… 11

 1 日司連による手引の策定 ………………………………………….. 11

2 司法書士会によるアウトリーチ等 ……………………………………. 11

 3 その他留意事項 …………………………………………………. 11 

第1 本ガイドラインの目的等

1 本ガイドラインの目的

 経済・金融サービスのグローバル化、暗号資産の普及といった技術革新により、資金の流れが多様化し、国境を越える取引が容易になっている中で、マネー・ローンダリングやテロ資金供与(以下「マネロン・テロ資金供与」という。)の手口も複雑化・高度化している。 こうした資金の流れを放置すると、不正な資金が将来の犯罪活動や犯罪組織の維持・強化に利用され、組織的な犯罪及びテロリズムを助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えるおそれがあり、我が国や国際社会にとっての大きな脅威につながる。

 このため、国際社会においては、不正な資金の移転が、国境を越え、脆弱な規制や不十分な対策の隙をついて行われるという認識のもと、金融活動作業部会(Financial Action Task Force(以下「FATF」という。))の多国間枠組みを通じて、マネー・ローンダリング、テロ資金供与、大量破壊兵器の拡散活動への資金供与への対策の国際基準(以下「FATF基準」という。)の策定・履行を協調して行い、世界全体での対策の実効性向上を図っている。我が国でも、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)等を制定するなどして、FATF基準の履行を図っている。

 犯収法は、令和4年12月に改正され(国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(令和4年法律第97号))、司法書士を含む一定の資格者に義務付けられる取引時確認事項が、犯収法第4条で規定する全ての事項に及ぶこととなった。司法書士及び司法書士法人(以下、両者を併せて「司法書士」という。)については、日本司法書士会連合会(以下「日司連」という。)が特定取引において果たすべき確認事項を示すチェックシートのモデルを作成し、これに基づいて司法書士が取引時確認の義務を果たすこととなる。また、司法書士は、犯収法第8条に規定される疑わしい取引の届出義務が課されないこととなったが、当該義務に代わる自主的な制度として、各司法書士会(以下、日司連と併せて「日司連等」という。)の会則において「特別事件報告」の制度が設けられた。

 しかし、社会情勢等が刻々と変化することに伴うマネロン・テロ資金供与のリスクの変化等に機動的に対応し、個々の依頼についてマネロン・テロ資金供与を目的とするものか否かを的確に判断するためには、これまで行われてきた、法令等の整備によるいわゆる「ルールベース・アプローチ」に基づく対策のみでは不十分であり、司法書士が直面するリスクに応じた柔軟な対応を取ることが不可欠である。

 そこで、本ガイドラインは、司法書士を対象とする「リスクベース・アプローチ」の枠組みを示し、これを遵守させることを目的とするものである(リスクベース・アプローチは、FATFによるマネロン・テロ資金供与対策に関する勧告における基本原則とされており、司法書士を含む特定非金融業者及び職業専門家(DNFBPs)に対しても遵守が求められている。)。リスクベース・アプローチは、自らの業務について直面しているマネロン・テロ資金供与のリスクを適時かつ適切に特定及び評価し、リスクに見合ったリスク低減措置(資産及び収入の状況の確認を含む。)を講ずることをいい、司法書士が業務を行う上での姿勢を示すものである。

 また、司法書士の業務におけるマネロン・テロ資金供与への対策を実効的なものとするために、法務省、日司連等が行うべき取組みや司法書士に対するモニタリングのあり方について明らかにする必要がある。法務省、日司連等が本ガイドラインを踏まえたマネロン・テロ資金供与対策への対応状況等についてモニタリングを行い、適切な是正措置を行うことで司法書士が果たすべき執務の一層の適正化を図るものである。

2 本ガイドラインの基本的な考え方

  •  リスクベース・アプローチの位置付け

 犯収法は、国民生活の安全と平穏を確保し、経済活動の健全な発展に寄与する上でマネロン・テロ資金供与の防止が極めて重要であること(犯収法第1条参照)に鑑みて、その防止のために特定事業者による措置等を規定している。このような法の趣旨及び目的並びに司法書士の職責(司法書士法(昭和25年法律第197号)第2条)に照らすと、司法書士は、自らの業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であると認めた場合には、その依頼を受けてはならないことになる。そのため、自らの業務に関する依頼を受けようとするときは、その依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるか否かについて慎重かつ的確に検討しなければならない。また、その検討の結果、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いを払拭できない場合についても、その依頼を受けてはならない。

 リスクベース・アプローチは、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるか否かを検討するための合理的な方法であり、司法書士は、自らの行う業務がマネロン・テロ資金供与に利用されないことが極めて重要な社会的責務であることに鑑みて、全ての依頼について、マネロン・テロ資金供与に関するリスク(以下単に「リスク」という。)の観点から、犯収法等の趣旨を踏まえ、リスクベース・アプローチに基づく対応を行わなければならない(リスクベース・アプローチに基づく検討を行うまでもなく依頼の目的がマネロン・テロ資金供与を目的とすることが明らかである場合には、当然、その依頼を直ちに拒否しなければならない。)。

  •  監督指導等の指針

 マネロン・テロ資金供与対策の実効性を確保するためには、司法書士会及び法務省が、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策の取組状況についてモニタリングを行う必要がある。また、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策が明らかに不十分であるなどの場合には、監督指導による是正が必要となる(以下、モニタリング及び監督指導を合わせて「監督指導等」という。)。 このような監督指導等の具体的な内容は、司法書士がマネロン・テロ資金供与に関わるリスク(以下「監督上のリスク」という。)に応じて決められるべきである(第3を参照)。

第2 司法書士に求められる取組み

1 司法書士が取り組むべきリスクベース・アプローチ

  •  リスクベース・アプローチの意義

 リスクベース・アプローチとは、司法書士が、業務に関して依頼を受けようとする際及び依頼を受けた後に、自らが直面しているリスクを適時かつ適切に特定及び評価し、当該依頼を行うことが許容される程度にまで当該リスクを実効的に低減するため、当該リスクに見合った対策を講ずることをいう。

 リスクベース・アプローチの枠組みは、司法書士の業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与にあるか否かを検討するための基本原則であることから、本来的には、その適用対象は犯収法上の特定取引(犯収法第4条第1項)に限定されるものではなく、司法書士の業務(司法書士法第3条若しくは第29条に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務)のうち、依頼者のためにする行為又は手続に係る依頼全般に適用されるべきものである。

  •  リスクの特定及び評価

ア リスクの特定及び評価

  リスクの特定は、司法書士が、自らが依頼を受け、又は依頼を受けようとする行為や依頼者の属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証し、マネロン・テロ資金供与に係るリスクを特定するものであり、リスクベース・アプローチの出発点というべきものである。

 リスクの特定について、司法書士は、司法書士の業務について依頼を受けようとする場合には、依頼者の属性、依頼者との業務上の関係、依頼内容及び依頼に関係する事実(例えば、不動産登記の代理申請の依頼においては、当該申請の登記原因に係る事実)等の事情を包括的かつ具体的に検討した上で、これらを総合的に考慮してリスクを特定しなければならない。

 また、依頼を受けたであっても、同様にこれらの事情について新たなリスクが判明した場合には、これを踏まえてリスクの特定を検討する必要がある。そして、司法書士は、特定されたリスクについて、自らへの影響度等を踏まえて総合的な評価を行い、その依頼について高リスクであるか否かの判断を行わなければならない。

 このようなリスクの特定及び評価は、リスク低減措置の具体的な内容を基礎付けるものであり、リスクベース・アプローチの土台となるものである。

 イ 高リスクの依頼

 高リスクとは、その依頼を受けようとする場合に、特定したリスクの評価の結果、司法書士会の会則(以下「会則」という。)で定められた依頼者等の本人であることの確認並びに依頼の内容及び意思の確認(以下「依頼者等の本人確認等」という。)の義務や犯収法で規定された取引時確認等の義務を履行するだけでは許容されない程度のリスクが残ることをいう。

 ここで、「許容されない程度のリスク」とは、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いを払拭できないことを意味している。この場合には、後記⑶アのとおり、追加的なリスク低減措置が講じられなければならない。

ウ リスクの特定及び評価の具体的方法

 司法書士は、リスクの特定及び評価に当たっては、自らの有する情報のほか、後述するリスクベース・アプローチに関する解説や国家公安委員会作成の「犯罪収益移転危険度調査書」(以下「危険度調査書」という。https://www.npsc.go.jp/policy/)などを参照したり、法務省等の関係省庁から提供される情報や日司連等から提供される情報等を踏まえたりするなどして、高リスクであるか否かの判断を適切に行うように努めなければならない。

 また、特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事する場合には、依頼を受けた後においてもリスクの特定及び評価が必要とされる場合がある。

  •  リスク低減措置

ア リスク低減措置としての顧客管理

 前記⑵で特定及び評価されたリスクを許容される程度に実効的に低減するための措置を講ずることは、マネロン・テロ資金供与対策の実効性を決定付けるものである。リスク低減措置のうち、特に個々の依頼者に着目し、自らが特定及び評価したリスクを前提として、個々の依頼者の情報や当該依頼者の依頼内容等を調査し、調査の結果をリスク評価の結果と照らして、講ずべきリスク低減措置を判断及び実施する一連の流れを、本ガイドラインにおいては「顧客管理」という。リスク低減措置の中核的な事項である。

 依頼者との個別的な契約締結を前提とする司法書士の業務において、リスク低減措置は、通常、個々の依頼者を単位として講じられることとなる。そこで、司法書士は、特定及び評価されたリスクについて、個々の依頼者に着目したリスク低減措置を講ずることが基本となる。 顧客管理は、依頼を受けようとする際の顧客管理(以下「依頼時の顧客管理」という。)と依頼を受けた後の顧客管理(以下「依頼後の顧客管理」という。)に分けることができる。

 一般的にいえば、単発的な不動産登記手続の代理申請業務の多くは、依頼時の顧客管理のあり方が中心的な問題となり、財産管理業務など依頼者との間で継続的な関係が予定される場合には、依頼時の顧客管理に加えて依頼後の顧客管理のあり方も問題となることが多い。

イ 依頼時の顧客管理の内容

  依頼時の顧客管理は、依頼者等の本人確認等を典型例とする。講ずべき措置の内容は、特定及び評価されたリスクの内容及び当該リスクが高リスクであるか否かに応じて決められるべきである。本ガイドラインにおいては、高リスクと判断した場合に講ずべき顧客管理を「厳格な顧客管理」といい、高リスクではないと判断した場合に講ずべき顧客管理を「通常の顧客管理」という。 (ア)厳格な顧客管理(高リスクの場合)

  高リスクと判断した場合には、依頼者等の本人確認等を行うだけではリスクを許容される程度に低減することはできないため、追加的なリスク低減措置を講ずることが求められる。追加的なリスク低減措置の具体的な内容は、犯収法第4条第2項に規定する取引(以下「ハイリスク取引」という。)における追加的な確認方法及び後述するリスクベース・アプローチに関する解説や危険度調査書に記載された取組内容等を参照しつつ、司法書士が直面する具体的なリスクの内容に応じて決められるべきである。なお、高リスクと判断した場合には、その判断根拠や講じたリスク低減措置の内容について記録化しておくべきである。

  • 通常の顧客管理

  高リスクではないと判断した場合には、司法書士の職責上求められる依頼者等の本人確認等の義務や犯収法で規定された取引時確認の義務を履行することで、リスクを許容される程度に低減することができる(後述する「簡素な顧客管理」は、「通常の顧客管理」の一態様として整理される。)。

ウ 依頼後の顧客管理

 依頼者との契約に基づく財産管理業務に従事したり、同一の依頼者から継続的に登記申請手続の代理業務に従事したりする場合など、特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事するときには、依頼時の顧客管理によって低減されたリスクを依頼後も適切に管理しなければならない。これに加えて、業務に従事する過程で新たなリスクが判明した場合には、リスクの評価を行い、その内容に応じたリスク低減措置を講じなければならない。このように、依頼後の顧客管理は、継続的なリスク管理と新たなリスク等への対応に分けることができる。

  • 継続的なリスク管理

 継続的なリスク管理は、依頼時の顧客管理において取得した情報を更新していくことが想定されている。その更新の頻度については、高リスクであるか否かに応じて決められるべきであるが、依頼時の顧客管理を実行することにより許容される程度にリスクが低減されていることから、依頼後に新たなリスク等が生じたり、依頼時に行った適切な顧客管理をもってしても判明しなかった事情が事後的に判明したりしたといった場合を除いて、適切な顧客管理の実効性が妨げられない範囲で、取引の円滑な遂行等を考慮した顧客管理が許容される(以下、このような顧客管理を「簡素な顧客管理」という。)。

  • 新たなリスク等への対応

 特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事する過程で新たなリスク等が判明したり、依頼時に行った適切な顧客管理をもってしても判明しなかった事情が事後的に判明したりしたといった場合には、依頼を受ける際と同様のリスク評価を行わなければならず、これによってその依頼が高リスクと判断された場合には、速やかに依頼時の顧客管理において取得した情報を更新するとともに、厳格な顧客管理として追加的なリスク低減措置を講じなければならない。その内容は、前記イ(ア)に記載したことが基本的には該当する。

  •  リスク低減措置を講じてもリスクが許容される程度に低減されない場合の対応

 リスクベース・アプローチに基づくリスク評価の結果、その依頼が高リスクと判断され、リスク低減措置を講じてもそのリスクが許容される程度まで減ぜられなかったときには、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いが払拭できない場合に該当するとして、司法書士は、その依頼を拒まなければならず、受任後であれば、辞任しなければならない。

 依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いが払拭できない場合であるかに関する判断過程は合理的なものである必要があり、前記⑴から⑶までのリスクベース・アプローチの手順に則ったものである必要がある。また、リスクが許容される程度を超えているかについては、リスク低減措置を講じた後に残るリスクの程度が、高リスクと同程度のものといえるかによって判断されることとなる。

 上記の枠組みは、依頼後に新たなリスク等が生じた場合についても同様に当てはまる。

 2 犯収法上の義務との関係

  前記1のリスクベース・アプローチは、司法書士の業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるかどうかを合理的に検討する枠組みであり、これをもって司法書士が犯収法上の義務の履行を免れるものではないことに注意する必要がある。

  例えば、司法書士は、リスクベース・アプローチの枠組みに基づき依頼を高リスクではないと判断した場合であっても、犯収法上の取引時確認等を要する取引類型については、これを実施しなければならないのは当然である。

第3 監督指導等の対応

 1 基本的な考え方

  マネロン・テロ資金供与対策の実効性を確保するためには、司法書士に対する適切な監督指導等が行われる必要がある。監督指導等は、大きく分けて、司法書士会による監督指導等と法務大臣又は法務局及び地方法務局の長による監督(以下「法務大臣等による監督」という。)に区別することができる。司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策には、犯収法上の取引時確認等や会則上の依頼者等の本人確認等のように、法令又は会則に基づいて司法書士による遵守が義務付けられている対策(以下「法令等に基づく対策」という。)と、リスクベース・アプローチのように、法令又は会則に基づいて義務付けられているものではないが、ガイドライン等によって取組みが求められている対策(以下「ガイドライン等に基づく対策」といい、法令等に基づく対策と合わせて「司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策」という。)が存在する。

 司法書士会による監督指導等は、法令等に基づく対策とガイドライン等に基づく対策の双方について行われるのに対し、法務大臣等による監督は、特に法令等に基づく対策の不遵守等を対象として行われることが想定されている。 司法書士会による監督指導等や法務大臣等による監督の方法は、いずれも監督上のリスクの内容及び性質、当該リスクの程度等に応じて決められるべきである。

2 司法書士会による監督指導等

  司法書士会は、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策が十分であるかについてモニタリングを行う。司法書士会によるモニタリングは、司法書士から提出された特定事件報告書に基づいて行うこととなる(特定事件報告書は、司法書士会によるモニタリング等の基礎となるものであるから、その記載事項は、その時点での社会的情勢等に反映した適切なものとされなければならない。そのため、必要に応じて、記載内容は改定されることとなる。)。

 司法書士会は、特定事件報告書の記載内容を通じて司法書士のマネロン・テロ資金供与対策について確認を行う。特定事件報告書に記載された内容に照らすと司法書士が行うべきマネロン・テロ資金供与対策として不十分な措置がとられていると認めた場合には、当該司法書士から事情聴取をした上で、当該司法書士に対して適切な助言及び指導を行うこととなる。 特定事件報告書の性質やこれに基づいた司法書士会による助言及び指導の実効性を確保する必要性があることを踏まえると、司法書士が特定事件報告書の提出に全く応じない場合、特定事件報告書の内容に基づく司法書士会による助言や指導に従わず、執務の内容等に改善がみられない場合、特定事件報告書に虚偽の記載をした場合には、監督上のリスクが高いものとして、司法書士会による注意勧告等の的確な対応をとることが要請される。 日司連は、司法書士会に対し、司法書士会による監督指導等の対応指針を示し、助言及び指導を行うこととする。

3 法務大臣等による監督

 司法書士会は、その会に所属する司法書士に対する指導権限があることから、まずもって司法書士会による監督指導等によって改善が図られることとなる。 しかし、司法書士会による監督指導が功を奏しない事案、法令等の違反の程度が重大である事案、司法書士会による自治的な取組みに委ねることが相当でない事案など、監督上のリスクが特に高いと認められる場合には、法務大臣等による監督が検討されなければならない。

 法務大臣等による監督は、犯収法上の監督権限(犯収法第15条以下)及び懲戒権限(司法書士法第47条及び第48条)の行使を通じて行われる。

 法務局及び地方法務局の長は、犯収法上の監督権限として、報告等を求める権限(同法第15条)、立入検査等の権限(同法第16条第1項)、指導等の権限(同法第17条)及び是正命令の権限(同法第18条)を有している(犯収法第15条以下、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(平成20年政令第20号)第35条。

 なお、罰則規定につき犯収法第25条、第26条及び第31条)。また、法務大臣は、司法書士法上、司法書士に対する懲戒権限を有しており、「司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準等)」において、犯収法違反を伴う本人確認等義務違反が違反行為として明記されている(別表番号8及び15)。

  法務大臣等による監督は、対象となる事案の性質及び内容、法令等の違反の程度、それぞれの権限の性質や趣旨を踏まえて、どの措置をとるかが決定されるべきである。また、具体的な法務大臣等による監督の内容は、司法書士による法令等の違反の内容やその程度等から評価される監督上のリスクに応じて決定されるべきである。

第4 ガイドラインの実現に向けた取組み等

1 日司連による手引の策定

 司法書士がリスクの特定及び評価を適切に行い、実効的なリスク低減措置を可能とするためには、広くマネロン・テロ資金供与に関する最新の情報を収集し、分析することが有益である。そこで、日司連は、司法書士会と連携して参考事例を集積及び分析し、リスクベース・アプローチに基づく対応を行う上で参考となる事項をまとめた手引を策定し、司法書士に提供するものとする。

 リスクベース・アプローチに関する解説の内容は、社会情勢等が日々大きく変化することに伴うマネロン・テロ資金供与のリスクの変化等に機動的に対応するために、定期的に更新されることが想定される。

2 司法書士会によるアウトリーチ等

 司法書士会は、日司連及び法務省とも連携しつつ、リスクベース・アプローチその他のマネロン・テロ資金供与への対策に関する情報を、引き続き研修その他の機会を通じて司法書士に提供するものとする。また、日司連は、関係機関からの情報提供を受けたり、関係機関との間で意見交換等をしたりすることで、適時情報を把握して、司法書士会を通じて会員に情報提供をするものとする。

3 その他留意事項

 日本では、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)や国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法(平成26年法律第124号)に基づいてタリバーン関係者やテロリスト等に対し、資金その他資産の使用・資金の流れを防止するための資産凍結措置を実施している。司法書士においても、個々の依頼者に着目するほか、下記の対応をとることが求められる。

・取引の内容(送金先、取引関係者(その実質的支配者を含む)等)について最新の制裁リストと照合するなど、的確な運用を図ること

・制裁対象者が新たに指定された際には、遅滞なく、特定受任行為の代理等の依頼者に係る情報と照合するなど、国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じた必要な措置を講ずること

月刊登記情報2024年5月号(750号)

「月刊登記情報2024年5月号(750号)」、きんざい

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T/

 法窓一言 配偶者居住権の敷地をめぐる問題点

香川大学法学部准教授 辻上佳輝

 使用収益の方法(制限、裁量)。配偶者居住権の時効取得の可否。

企業価値担保権はどのように議論されてきたか

弁護士 冨川 諒、弁護士 小宮 俊

令和6年3月15日 衆議院 事業性融資の推進等に関する法律案

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309057.htm

令和5年2月10日金融審議会「事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ」報告

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20230210.html

 財団抵当制度の財団は、物的設備と物権的権利に制限。動産・債権譲渡担保制度は、担保価値が個別資産(動産・債権)の評価額が上限。

資産価値評価のコスト。担保権の信託(セキュリティトラスト)は執行、倒産手続きに関する論点が固まっていない、信託会社の管理報酬コスト。

 企業担保価値権は、株式による投資(エクイティ)と併せて、選択肢を増やすことを予定。再生局面で運転資金の融資を行うためには、借主の事業に対する正確な理解が必要なため、導入。運転資金の融資がしやすくなる、との想定は始まってみないと分からないと思いました。ガイドラインが整備されるのではないかと思います。

担保権の実行を通して企業再生を行うことを想定。経営の規律付けを、経営者の個人保証に依存することなく実現することを想定。融資額は、企業が保有する有形資産の価値を下回る可能性がある。

 無担保融資では、金融機関が借主支援に取り組まなくても、取り組んだ金融機関と比べて得られるリターンが同じ、という問題点があると指摘されていて、その視点はありませんでした。株式担保との比較として、倒産手続きの場面において抵当権とみなされ、別除権者として回収可能。株主が分散している場合、事業譲渡等の場面では同じく影響を受けるのではないかと思います。

 特徴として、企業価値担保信託契約を締結し、契約に基づいた融資、担保権設定が行われること。商業登記簿へ登記されることが効力要件。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑸

法務省民事局民事第二課補佐官 三枝稔宗、法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之、法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

 補正対象が承認申請書類の内容である場合で、作成代行者が司法書士、行政書士等の場合、承認申請者の意思を確認したうえで、作成代行者による補正を認める。承認申請の取下げによって審査手数料の還付・再使用は認められていない。負担金の納付期限の起算日は、初日不算入。共有者が申請した場合は、そのうちの1人に対して通知。

商業登記規則逐条解説 第17回

土手敏行

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339M50000010023

(本店移転の登記)第六十五条

昭和41年8月11日民事甲第1759号民事局長回答「株式会社の本店移転の登記の際の企業担保権の登記等の取扱いについて」登記研究227号P70

大西勇:法務省民事局商事課係長(商業法人登記第一係担当)、樋比呂:法務省民事局商事課法規係員 【論説・解説】「管轄外への本店移転の登記申請があった場合における登記すべき事項の取扱いについて(平成29年7月6日付け法務省民商第110号商事課長回答)」の解説、登記研究838号P25

(株主総会の決議の不存在等の登記)第六十六条

昭和57年12月15日法務省民四第7583号民事局第四課長回答「取締役就任登記の抹消に伴う前任の取締役の回復について」登記研究 423号P114

目で見る筆界の調査・認定事例

第6回 過去の筆界確認情報により筆界点を認定した事案

法務省民事局民事第二課地図企画官 楠野智之(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 ブロック塀とL字側溝、石杭。隣地所有権登記名義人が休眠会社の場合。

法律業務が楽になる心理学の基礎第8回 改めてヒューマンエラーを考える

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 人間を、システムの中の一つのシステムとして捉える。

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) 安全フォローアップ会議報告書

https://www.westjr.co.jp/safety/fukuchiyama/followup/

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑻

司法書士 末光祐一

 既に取引時確認を行っている顧客などであることを確認。→取引時確認とほぼ変わらないのではないかと思いました。

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000f5a001

(顧客等について既に取引時確認を行っていることを確認する方法)

第十六条 令第十三条第二項に規定する主務省令で定める方法は、次の各号に掲げることのいずれかにより顧客等(国等である場合にあっては、その代表者等又は当該国等(人格のない社団又は財団を除く。)。以下この条において同じ。)が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認するとともに、当該確認を行った取引に係る第二十四条第一号から第三号までに掲げる事項を記録し、当該記録を当該取引の行われた日から七年間保存する方法とする。

一 預貯金通帳その他の顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す書類その他の物の提示又は送付を受けること。

二 顧客等しか知り得ない事項その他の顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す事項の申告を受けること。

2 前項の規定にかかわらず、特定事業者は、顧客等又は代表者等と面識がある場合その他の顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることが明らかな場合は、当該顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認したものとすることができる。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント第61話 協働しよう①~中小企業診断士

司法書士法人鈴木事務所 司法書士 鈴木龍介

 株式による資金調達時など。

登記研究914号(令和6年4月号)

登記研究914号(令和6年4月号)テイハン

https://www.teihan.co.jp/book/b10081494.html

【論説・解説】

■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(8・完)

法務省民事局民事第二課補佐官 三 枝 稔 宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之

法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官) 手 塚 久美子

法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清 水 玖 美

第2 本要領の概要

 14 第14節 負担金

 15 第15節 国庫帰属による所有権移転

登記原因日付は、負担金が納付された日。

 16 第16節 承認の取消し

  職権ではなく、申請による。

 17 第17節 損害賠償責任

 18 第18節 審査請求

 承認、負担金の額の通知も行政処分にあたり、審査請求の対象となる。審査請求先は法務大臣。

 19 第19節 行政文書開示請求及び保有個人情報開示請求

 20 第20節 帳 簿

 附 則

相続土地国庫帰属制度事務取扱処理要領の施行日は、2023(令和5)年4月27日。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第120回)

一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

241 医療法人の理事長の登記をめぐる諸問題について

 組合等登記令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000029

設立の登記)

第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。

2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一 目的及び業務

二 名称

三 事務所の所在場所

四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由

六 別表の登記事項の欄に掲げる事項

別表(第一条、第二条、第六条、第七条の二、第八条、第十四条、第十七条、第二十条、第二十一条の三関係)

医療法人

医療法(昭和二十三年法律第二百五号)

資産の総額

医療法第四十六条の三の六において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四十七条の二に規定する電子提供措置をとる旨の定めがあるときは、その定め

医療法

第四十六条の六 医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。

・・・理事長の前提資格となる理事の任期が、理事長の任期。

■商業登記の変遷(60)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

会社は商号を刻印した届出印を登記所に届け出。

→印鑑紙によって登記所に提出。

→改印する場合、印鑑保証人方式の導入。

→登記申請書等に押印された印鑑と、届出印の相違が却下事由として明文化。

→印鑑保証人方式の廃止と、印鑑届出・改印時に、個人の印鑑証明書を添付すること。

→届出印の大きさについて規定。

→印鑑紙の廃止。

→印鑑の提出の任意化。

法務省 法務資料展示室「歴史の壺」第12回

https://www.moj.go.jp/housei/tosho-tenji/housei06_00010.html

最初、商法を作るときにドイツの法学者ヘルマン・ロエスレルという人の商法草案を基にしたようです。では、ドイツでは会社について印鑑を届ける制度があるのか。

・JETRO 外国企業の会社設立手続き・必要書類 ドイツ

https://www.jetro.go.jp/world/europe/de/invest_09.html

JETROのページを見る限りでは、印鑑届のような制度を見つけることは出来ませんでした。

■民事信託の登記の諸問題(31)

渋 谷 陽一郎

受託者が帰属権利者に指定されていることで生じ得る利益相反リスク

信託法(利益相反行為の制限)第三十一条

(略)

2 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。

一 信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき。

二 受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。

三 相続その他の包括承継により信託財産に属する財産に係る権利が固有財産に帰属したとき。

(略)

・信託法183条3項の想定は、最終的に残余財産の帰属権利者が決まらないような、やむを得ない事由がある場合を想定したものか。

・信託行為で受託者を残余財産の帰属権利者として指定している場合、信託目録に、受託者【氏名】と、受託者の肩書を入れる方が良いのか。このようなとき、信託法31条2項1号定めも信託行為に定めて、信託目録に登記申請するのが信託法上、不動産登記法上、あるべき姿か。・・・特定の人を残余財産の帰属権利者として指定したことがないので分かりませんが、受託者の肩書を入れるかに関わらず、受託者の住所氏名を特定するなら、受託者の肩書を入れるかどうかに関わらず信託法31条2項1号定めがあった方がしっくりきます。受託者は信託条項として登記されているので、肩書を入れているかいないかは、問題にならないのではないかと思いました。

・みなし受益者としての受益者変更登記申請(原因、年月日信託の清算開始による受益者変更、みなし受益者の肩書を入れる。)の可否。・・・原因とみなし受益者の肩書を入れることについて、考えたことがありませんでした。

・信託法31条2項2号の受益者の承諾の限界について。信託行為、信託目録と矛盾する登記申請は不可能だと考えられる。例えば、信託不動産の処分が禁止されているのに、受益者の承諾書(信託法27条の取消権を放棄する文言入り。)を提出して所有権移転及び信託登記の抹消登記の申請をすること・・・同意です。

■改正民法と不動産登記実務(12)

 民法473条(弁済)、474条(第三者の弁済)、476条(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等)、477条(預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済)、弁済日は、被仕向け金融機関が受取人の預貯金口座に入金記録をした日。

 482条(代物弁済)、所有権移転の日付は、原則として代物弁済契約の締結日、債務消滅の日付は、弁済者が給付した日。

 486条(受取証書の交付請求等)、同時履行の関係にあることを明文化。

【資 料】会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(7)

・公告の記載誤りがあった場合

昭和38年9月12日民事甲第2596号民事局長回答「会社の本店所在地の大字名を遺漏して公告された組織変更に関する登記申請の受否について」登記研究191号 ・・・訂正公告なし、上申書添付で登記申請受理。

昭和44年5月12日民事甲1036号民事局長回答「商法第百条第一項の規定による公告をしたことを証する書面の適否について」登記研究 259号・・・吸収合併に関する債権者保護手続きの公告(会社法793条、789条、790条)につき、商号間違い。異議申出期日前に訂正公告のうえ、公告情報を添付して登記申請受理。

昭和44年8月15日民事四発第733号民事局第四課長電報回答「株式譲渡制限のための株券提供公告について」登記研究262号 ・・商号間違いの場合、訂正公告後1カ月(会社法219条)を経過して登記申請があった場合、受理。

2009年10月30日【質疑応答】〔七九〇〇〕「吸収合併消滅会社又は吸収合併存続会社がする官報公告において表示すべき会社の所在場所について」登記研究740号・・・合併契約締結後、本店移転をした場合は、官報公告は新本店を表示。本店移転登記は消滅会社においても必要か、必要な場合、いつの時点で必要か、は分かりませんでした。

2023年7月30日【質疑応答】〔8007〕「組織再編に係る債権者保護手続の公告を、定款上の公告方法の変更に係る登記申請前に、変更後の公告方法により行った場合の登記の受否について」登記研究905号・・・不受理。

・資本金の額

平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」登記研究698号・・・商業登記規則61条11項に該当する書面は、代表者の作成に係る証明書等。商業登記規則61条11項の事実を証する書面は、代表者の作成に係る証明書等。

・会社法施行規則の一部を改正する省令(令和5年12月27日法務省令第50号)

・電子公告規則の一部を改正する省令(令和5年12月27日法務省令第51号)

・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和5年12月27日法務省令第52号)

・・・磁気ディスクから電磁的記録媒体への変更。

【訓令・通達・回答】

▽供託関係

〔6225〕供託規則の一部を改正する省令等の施行に伴う供託事務の取扱いについて(令和5年9月11日付け法務省民商第173号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)・・・契印からページ数の記載へ変更。供託物払渡請求書等に押印不要となる場合を規定。委任による代理人の権限を証する書面へ押印する者を供託者に限定。

【質疑応答】▽不動産登記関係

〔8009〕共同相続における租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の可否について・・・2023年3月30日【質疑応答】〔8006〕「共同相続における租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の可否について」登記研究 901号の変更。土地を死亡した相続人と共同相続登記申請する場合について、死亡した相続人については租税特別措置法84条の2の3第1項適用、存命の相続人について、租税特別措置法84条の2の3第2項(不動産の価格が100万円以下の場合の免税)は不適用。

加工、一般社団法人スタートアップデータ標準化協会登記データWG登記データWG「投資契約・株主間契約・買収分配合意書・定款別紙の雛形」

一般社団法人スタートアップデータ標準化協会登記データWG

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000109715.html

・株主間契約

 以下の当事者は、発行会社の株主としての権利行使、発行会社の事業運営、発行会社の株式等の譲渡等に関して、●年●月●日(以下「本契約締結日」という。)付で合意し、以下のとおり株主間契約(以下「本契約」という。)を締結する。なお、本契約に定める用語は、別紙1の意味を有する。

表1:【当事者の一覧】

・・・例

定義名称・氏名保有株式数指名権事前承諾等情報提供
発行会社株式会社●    
株主     
経営株主  取締役2名  
投資家株主  取締役1名事前承諾必要
普通株主     

表2:【事前承諾事項・事前協議/通知事項】

  1. 事前承諾事項:発行会社は、以下の各号の取引又は行為を行うに際して、表1において事前承諾の対象となっている株主から、事前の書面による承諾を得なければならない。本契約において企図された行為を契約条件に従い実施する場合を除く。

・・・本契約において企図された行為を契約条件に従い実施する場合を除く。について、ただし、のまえがきなし。事前承諾は書面に限られる。表1の指名権について、別紙の定義はないので。表1に記載されている役員、人数を指名する権利をいうと思われます(第1条記載。)。

経営株主は、取締役2名を指名することができる権利を持つ。株主という名前なので、発行会社の株式を1株以上持っている株主を指すと思われます。

(1)      定款変更

(2)      剰余金の配当

(3)      発行会社の株式等の発行等

(4)      発行会社が発行した株式等の取得

(5)      合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付その他の組織再編行為、又は事業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受の承認

(6)      解散又は倒産手続等の申立て

(7)      前各号を行うこと又は行うことをにつき検討することを内容とする契約の締結

(8)      [●]

・・・(3)株式等の発行等、について別紙に定義。ある会社による当該会社の株式等の発行、処分又は付与。ある会社、がどのような意味なのか分かりませんでした。当該会社(発行会社)(4)について、会社法155条~。(7)の、を、はおそらく誤字。

2.       事前協議・通知事項:発行会社は、以下の各号の取引又は行為を行うに際して、表1において事前協議又は事前通知の対象となっている株主に対して、事前に協議又は通知を実施しなければならない。

[●]

第1章 発行会社の運営

第1条 (取締役)

 発行会社の取締役の員数は、合計[●]名以内とし、各株主は、表1に従い取締役又はオブザーバーの派遣に関する権利を有する。株主が本項に基づき指名した取締役については、当該株主のみが解任に関する決定を行うことができる。発行会社を含む他の当事者は、本項に従い取締役の選任・解任に必要な会社法に基づく手続を履践する。オブザーバーは、取締役会に参加し、議長の許可を得て、必要に応じ発言することができる。

・・・経営株主が指名して、株主総会で選任された取締役は、経営株主以外、解任に関する決定を行うことが出来ない。会社法108条1項9号の株式ではなく、指名や決定を行う権利がある株式。

 オブザーバーの定義が記載されています。

第2条 (取締役会等の開催)

 発行会社は、毎月1回以上定例取締役会(取締役会を設置していない場合は取締役が参加する経営会議)を開催し、業務執行の状況の報告を行う。

・・・会社法363条2項類似。

第3条 (重要な取引又は行為に関する制約)

発行会社は、表2に記載の取引又は行為(これらを行うための機関決定を含む。)を、表1に定められた条件に反して行ってはならない。

第4条 (財務情報等の提供)

1.        発行会社は、以下の各号の情報を、投資家株主の求めに応じて提供する。

(1)      単年度予算(各月の売上、費用、キャッシュフローの状況を含む。):当該事業年度の開始30日前まで

(2)      単年度の事業計画:当該事業年度の開始30日前まで

(3)      年次計算書類(貸借対照表、損益計算書及びキャッシュフロー計算書を含む。以下同じ。):当該事業年度の終了後速やかに(但し、遅くとも同事業年度終了後90日が経過するまで)

(4)      四半期ごとの計算書類(別途全当事者間で不要とした期間については作成・提出を要しない。):当該四半期の終了後速やかに(但し、遅くとも同四半期終了後45日が経過するまで)

・・・投資家の求めがない場合、情報提供しなくても良いのか分かりませんが、投資家が不要と意思表示しない限り、提供する意味だと思いました。

  • 投資家株主は、実務上合理的な範囲において、自己の費用で自ら又は会計士その他の代理人を通じて、発行会社の本社及びその他の事業所を訪問し、発行会社の会計帳簿、書類その他合理的に要求する記録及び施設を、閲覧、謄写又は検査することを要求することができる。発行会社は、実務上可能な限り、かかる閲覧等に必要な協力を行う。

・・・会社法433条より、株主に有利な条項。

3.        前項に規定するほか、発行会社は、発行会社に係る以下の事項が発生、認識、決定又は合理的に予見される場合には、実務上可能な限り速やかに当該事項の概要を投資家株主に書面その他の方法により通知するものとする。ただし事業に重大な悪影響を与えるおそれがないことが客観的に明らかである場合にはその限りでない。

(1)      役員又は主要な従業員の退解任、死亡、重大な病気又は業務上の不祥事があった場合

(2)      重要な資産に関してその価値の著しい減少等が生じた場合

(3)      訴訟、行政手続又は税務調査が開始された場合

(4)      仮差押、差押若しくは競売の申請、倒産手続若しくは担保権実行の申立、又は手形若しくは小切手の不渡があった場合

(5)      第三者から買収、資本提携その他の組織再編取引の提案又は打診を受けた場合

第5条 (発行会社の経営)

経営株主は、発行会社の役員又は従業員としての地位にある間は、発行会社の役員又は従業員としての職務の遂行に専念するものとし、投資家株主の過半数の事前の承諾なく、以下の行為を行ってはならない。

(1)      発行会社の取締役を辞任すること、及び、定款上の取締役の任期満了時に発行会社の取締役として再任されることを拒否すること。

(2)      他の会社その他の営利団体の常勤役員、従業員を兼務又は兼職すること

(3)      発行会社の株主、取締役、監査役又は従業員としての地位にある間及び発行会社の株主、取締役、監査役又は従業員のいずれでもなくなった日から1年間が経過するまでは、自らのために、発行会社の事業と競合する事業を直接又は間接に行ってはならず、発行会社の事業と競合する事業を支援(株式等を保有し、役員又は従業員となることを含む。)してはならない。

・・・会社法309条の加重規定。

第6条 (インセンティブプラン)

 発行会社は、自らの裁量により、発行会社又はその子会社の役員又は従業員若しくは外部アドバイザーに対するインセンティブプランとして、合理的な内容及び条件のもとで発行される普通株式を目的とする新株予約権(ストックオプション)を発行することができる。

第7条 (法令等の遵守及び反社会的勢力との接触禁止等)

 発行会社及び経営株主は、適用ある法令等を遵守し、反社会的勢力と一切関係を持たないものとする。

第8条 (優先引受権)

1.        発行会社は、株式等の発行等を行おうとする場合には、当該株式等の発行等が行われる日の60日前までに、投資家株主に対して、(ⅰ)当該発行等に係る株式等の種類及び数、(ⅱ)当該株式等に係る払込金額又は処分金額、(ⅲ)その割当人その他の処分の相手方の氏名・名称と住所、並びに(ⅳ)その他株式等の発行等に関する主要な条件を記載した書面(以下「発行条件説明書」という。)を送付する。

2.       前項の場合、投資家株主は、発行条件説明書を受領した日から30日以内に、条件説明書記載の株式等のうち自らが引受け等を希望する株式等の数(但し、株式保有割合に応じた数を上限とする。)を書面により発行会社に通知することにより、当該通知記載の数の株式等を発行条件説明書記載の条件により優先的に引受け等する権利(以下「優先引受権」という。)を行使することができる。なお、投資家株主が発行条件説明書を受領した日から30日以内に優先引受権を行使しなかった場合には、投資家株主は、優先引受権を行使しなかった株式等の発行等については優先引受権を失う。

3.        投資家株主が、前項に規定する期間内に優先引受権を行使しなかった場合、発行会社は、当該期間の経過後30日以内に限り、関連する発行条件説明書記載の株式等のうち投資家株主が優先引受権を行使しなかった部分について、発行条件説明書に記載の条件よりも実質的に当該割当人等に有利でない条件(なお、払込金額又は処分金額は、当該発行条件説明書に記載の払込金額又は処分金額と同額以上であることを要する。)で株式等の発行等を行うことができる。

・・・・発行会社の投資家株主に対する事前通知義務が定められています。投資家株主に到達した日の管理が必要。書面に限る。発行条件説明書の定義がされています。優先引受権の定義がされています。発行会社からの事前通知を、投資家が4月1日に受け取った場合、4月30日までに投資家株主が優先引受権を行使しないとき、発行会社は5月1日から5月30日までの間、発行条件説明書の内容と異なる株式等の発行等を行うことができる。

第2章 発行会社の株式等の譲渡等

第9条 (譲渡禁止等)

1.        経営株主、普通株主及び投資家株主は、本章の手続によることなくして、自らが保有する発行会社の株式等につき第三者(発行会社の他の株主を含む。)に対する譲渡、承継、担保提供その他の処分を行ってはならない。

2.        各当事者は、本章の定めに従った株式等の譲渡につき、その承認のために法令等又は発行会社の定款その他の社内規則上必要とされる一切の手続を実施する。

第10条         (先買権)

  1. 経営株主、普通株主及び投資家株主(当該株主を以下「譲渡希望株主」という。)が自らが保有する発行会社の株式等の全部又は一部(以下「譲渡対象株式等」という。)を第三者(発行会社の他の株主を含むものとし、以下「譲渡相手方」という。)に譲渡することを希望する場合、譲渡希望株主は、①譲渡希望株主が経営株主又は普通株主である場合には投資家株主及び発行会社、②譲渡希望株主が投資家株主である場合には経営株主及び発行会社に対して、(ⅰ)譲渡対象株式等の数、(ⅱ)1株当たりの譲渡予定価格(以下「譲渡予定価格」という。)、(ⅲ)譲渡相手方の氏名・名称と住所及び(ⅳ)その他譲渡に関する主要な条件を記載した書面(以下「譲渡条件説明書」という。)を送付する。

・・・株主割当て、株主への譲渡を最初に考える。

2.       前項の場合、①譲渡希望株主が経営株主又は普通株主である場合には投資家株主、②譲渡希望株主が投資家株主である場合には経営株主及び発行会社は、譲渡条件説明書を受領した日から30日以内に、譲渡条件説明書記載の株式等のうち自ら買受けを希望する株式等の数を書面により当該譲渡希望株主及び発行会社(発行会社が先買権を行使する場合を除く。)に通知することにより、譲渡対象株式等の全部又は一部を譲渡条件説明書記載の条件と同等の条件にて譲渡予定価格で自ら買い受ける権利(以下「先買権」という。)を行使することができる。

3.        発行会社、経営株主又は投資家株主が先買権を行使した場合(先買権を行使した発行会社、経営株主又は投資家株主を以下「先買権行使株主等」という。)、当該行使を受けた譲渡希望株主は、前項に規定する期間の経過後速やかに、当該先買権行使株主等が買受けを希望した数の譲渡対象株式等を譲渡条件説明書記載の条件と同等の条件にて譲渡予定価格で当該先買権行使株主等に対し譲渡しなければならない。なお、複数の先買権行使株主等が先買権を行使し、各先買権行使株主等が買受けを希望した数の合計が譲渡対象株式等の数を超過する場合、各先買権行使株主等の株式保有割合に応じて案分した数(但し、発行会社及び経営株主が先買権行使株主等である場合には、譲渡対象株式等の数から経営株主が買い受けを希望する株式等の数を控除した数を、発行会社の買い受ける株式等の数とする。)が当該先買権行使株主等に対して譲渡される株式等の数の上限となる(1株未満の端数が生じた場合の取扱いについては、譲渡希望株主及び先買権行使株主等の間で協議の上、決定する。)。譲渡希望株主は、前項に規定する期間の経過後速やかに、先買権を行使した先買権行使株主等及び各先買権行使株主等に対して譲渡する株式等の数につき投資家株主及び発行会社に通知(かかる通知を以下「先買権行使結果通知」という。)を行う。

4.        前各項に従って譲渡が行われなかった譲渡対象株式等(以下「残存譲渡対象株式等」という。)が存在する場合、譲渡希望株主は、第1項に規定する期間(前項の適用がある場合には前項に規定する期間)の経過後30日以内に限り、譲渡相手方に対し、かかる譲渡対象株式等を譲渡条件説明書記載の条件よりも譲渡相手方に有利でない条件(なお、譲渡価格は当該譲渡条件説明書記載の譲渡予定価格と同額以上であることを要する。)で譲渡することができる。

第11条         (売却強制権)

 本章の定めにかかわらず、発行会社の取締役会及び過半数の投資家株主が、以下の各号の取引(以下「支配権移転取引」という。)を承認した場合、全ての経営株主及び投資家株主は、発行会社又は過半数投資家株主の書面による要求に従い(かかる書面による要求を「売却強制権行使通知」という。)、当該支配権移転取引における各種類の株式等への対価の種類・価額が各種類ごとに同一であることを条件に、当該支配権移転取引に参加し、また、必要に応じてかかる取引に関する株主総会議案に賛成すべく議決権を行使し、その他当該支配権移転取引を実行するために必要な行為を行い、発行会社は、かかる取引につき適用される法令等並びに定款及び社内規則上必要とされる一切の手続を適法かつ有効に履践する。本条に基づく売却強制権行使通知は、関連する支配権移転取引の実行日の30日前までに経営株主、普通株主及び投資家株主に送付されなければならない。

(1)      発行会社の株式等の発行又は譲渡による買収(当該買収直前時点の発行会社の株主が当該買収直後の時点で合計で発行会社の総議決権の過半数を保有する場合を除き、また、資金調達目的で又は資金調達の一環としてなされるものを除く。)

(2)      発行会社が消滅会社となる合併(当該合併の効力発生日直前時点の発行会社の株主がかかる効力発生日直後の時点で合計で当該合併の存続会社又はその親会社の総議決権の過半数を保有する場合を除く。)

(3)      発行会社が完全子会社となる株式交換又は株式移転(当該株式交換又は株式移転の効力発生日直前時点の発行会社の株主がかかる効力発生日直後の時点で合計で当該株式交換又は株式移転の完全親会社又はその親会社の総議決権の過半数を保有する場合を除く。)

(4)      発行会社が株式交付子会社となる株式交付(当該株式交付の効力発生日直前時点の発行会社の株主がかかる効力発生日直後の時点で合計で株式交付親会社の総議決権の過半数を保有する場合を除く。)

(5)      発行会社の事業若しくは資産の全部又は実質的な全部の譲渡又は会社分割による他の会社への承継(発行会社の完全子会社に対して行われるものを除く。)

第12条         (支配権移転取引の際のみなし清算)

1.        経営株主、普通株主及び投資家株主は、支配権移転取引(但し、次項に規定するものを除く。)が行われた場合、当該取引における対価を取得することとなる経営株主、普通株主及び投資家株主(個別に又は総称して以下「みなし清算株主」という。)の間で、当該取引における対価の合計額(対価が金銭以外の財産である場合には、①経営株主及び普通株主であるみなし清算株主全体の株式保有割合のうち、合計で過半数を保有する単独又は複数の者と②投資家株主であるみなし清算株主全体の株式保有割合のうち、合計で過半数を保有する単独又は複数の投資家株主の合意により当該財産の公正価額として定める額)を残余財産の額とみなし、また、みなし清算株主を発行会社の全株主とみなして、発行会社の定款の残余財産の分配に関する定めを適用した場合にかかる定款の定めに基づきそれぞれのみなし清算株主が支払いを受けるべき残余財産分配額に従って、当該取引における対価を分配する。

2.        発行会社が分割会社となる会社分割(但し、当該会社分割に際して会社法に規定される剰余金の配当が行われるものに限る。)、又は第11条第5号に規定する取引が行われた場合、当事者は、全ての経営株主・普通株主・投資家株主間で前項の規定に準じた経済的配分がなされるように、合理的な対応を行う。

第13条         (株式公開)

 発行会社は、[●年●月末日]までに、国際的に認知された金融商品取引所(外国における取引所を含む。以下同じ。)に普通株式の上場又はこれと同程度の投資回収を投資家株主にもたらす他の方法により、投資家株主が保有株式を売却する機会を提供すべく合理的に最大限の努力をする。

第3章 表明及び保証

第14条         (表明及び保証)

1.        各経営株主は、各々個別に、各普通株主及び投資家株主に対し、本契約締結日において(但し、特段の記載がある場合は当該時点において)、別紙3.1に記載された事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する。

2.        投資家株主は、経営株主及び各普通株主に対し、本契約締結日において(但し、特段の記載がある場合は当該時点において)、別紙3.2に記載された事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する。

第4章 補償等

第15条         (補償等)

 各当事者は、本契約に基づく自らの義務の不履行又は表明及び保証が真実又は正確でなかったことに起因又は関連して、他の当事者が、請求、損失、損害、責任、義務、費用及び支出(合理的な弁護士及び会計士の費用を含む。以下「損害等」という。)を被った場合、当該他の当事者に対し、かかる損害等を賠償又は補償する。

第5章 本契約の終了

第16条         (本契約の終了)

1.        本契約は以下の各号のいずれかに該当する場合にのみ終了する。

(1)      全当事者が本契約を終了することに書面により合意した場合

(2)      シリーズA投資契約が同契約に基づく株式発行の実行前に終了した場合

(3)      発行会社以外の当事者のいずれもが発行会社の株式を保有しなくなった場合

(4)      株式公開がなされた場合。なお、発行会社が金融商品取引所に株式の上場申請を行った場合には、当該申請日以降、本契約に定める当事者の権利及び義務は失効するものとし、当該上場申請の不受理、取下げ、却下又は上場承認取消等により発行会社の株式公開がなされなかった場合(当該上場申請に基づく株式公開が不可能であると合理的に判断される場合を含む。本条において以下同じ。)には、申請日に遡って、当事者の権利及び義務は再び有効になる。

2.        本契約締結日以降、経営株主、普通株主又は投資家株主のいずれかが発行会社の株主ではなくなった場合、その者に関しては本契約は解除される(但し、経営株主に関しては、発行会社の株主ではなくなると同時に第1条に従って取締役を辞任する場合を除き、発行会社の株主としての地位に基づく部分に限る。)。

3.        本契約の終了又は前項に基づく解除は将来に向かってのみその効力を生じ、本契約に別段の定めがある場合を除き、本契約の終了又は解除前に本契約に基づき発生した権利及び義務はかかる本契約の終了又は解除による影響を受けない。

4.        本契約が終了又は解除された場合においても、前章、前項及び本項、第6章の規定は期限の定めなく(但し、第19条の規定は本契約が終了した日から起算して1年間)、引き続きその効力を有するものとする。

第6章 一般条項

第17条         (本契約の効力発生)

1.        本契約は、投資家株主及び発行会社の間で本契約締結日付で締結されるシリーズA投資契約書(以下「シリーズA投資契約」という。)に基づきいずれかの投資家株主が最初に発行会社の発行するA種優先株式を取得したことを条件として、かかる取得の日付で(但し、本章は、本契約締結日付で)、その時点で発行会社の株式を保有する投資家株主、経営株主、普通株主及び発行会社との間で効力を生じる。その後シリーズA投資契約に基づき他の本契約締結日時点での投資家株主が発行会社の発行するA種優先株式を取得した場合には、その時点で本契約は当該投資家株主との間でも効力を生じる。

2.        本契約締結日以後にシリーズA投資契約に基づき投資家(シリーズA投資契約に定める意味を有する。)としてシリーズA投資契約の当事者に追加され、かつ、本契約に調印した者(個別に又は総称して以下「追加投資家」という。)は、かかる調印を行った日(以下「追加加入日」という。)付で新たに「投資家株主」として本契約の当事者に追加されるものとする。発行会社は、本契約の他の当事者を代理して、追加投資家が本条に従い本契約の当事者に加わることを承認することができる。

3.        追加投資家との関係では、本契約は、シリーズA投資契約に基づき当該追加投資家が発行会社の発行するA種優先株式を取得したことを条件としてかかる取得の日付で(但し、本章は追加加入日付で)効力を生じるものとし、当該日以降、追加投資家を含めた各当事者が相互に全ての他の当事者に対し本契約に基づく自らの権利及び義務を保持する。また、当該追加投資家に関しては、文脈上別異に解すべき場合を除き、本契約における「本契約締結日」を「追加加入日」と読み替えるものとし、その他適切な読み替えを行う。

4.        前二項に基づき本契約の当事者が追加された場合、当該追加投資家に関する情報が表1の「投資家株主」の欄に追加され、また、発行会社は、当該追加時点での発行会社以外の全当事者に対して、当該追加後の表1及び当該追加投資家による本契約の調印頁の写しを交付する。

第18条         (当事者の追加)

1.        発行会社は、本契約締結日後、発行会社の株式等の発行若しくは処分又は株式等の譲受け等により新たに発行会社の株式を取得する者(以下「追加当事者」という。)が生じた場合には、かかる者を本契約の当事者として加えるよう最大限努力し、他の当事者はこれに協力する。

2.        発行会社は、追加当事者をして、本契約に調印させるものとし、追加当事者は、かかる調印を行った日(以下「参加日」という。)付で新たにその取得する株式に応じて「投資家株主」又は「普通株主」として本契約の当事者に追加される。発行会社は、本契約の他の当事者を代理して、追加当事者が本条に従い本契約の当事者に加わることを承認することができる。

3.       追加当事者との関係では、本契約は、当該追加当事者が発行会社の株式を取得したことを条件としてかかる取得の日付で(但し、本章は参加日付で)効力を生じるものとし、当該日以降、追加当事者を含めた各当事者が相互に全ての他の当事者に対し本契約に基づく自らの権利及び義務を保持する。また、当該追加当事者に関しては、文脈上別異に解すべき場合を除き、本契約における「本契約締結日」を「参加日」と読み替え、その他適切な読み替えを行う。

4.       前三項にかかわらず、本契約締結日後、発行会社が優先株式以外の種類株式を発行又は処分することにより新たに発行会社の株式を取得する者が生じる場合には、本契約の当事者は、本契約の当事者及び当該取得者との間で、本契約と同様の目的を有する契約を新たに締結するために、必要な協力を行う。

第19条         (秘密保持)

1.        各当事者は、本契約の内容並びに本契約の締結及び履行に関して他の当事者から取得した一切の情報(以下「秘密情報」という。)をいかなる者に対しても開示し、又は漏洩してはならず、また、本契約締結及びその実行以外の目的のために使用してはならない。但し、本契約において企図されている行為を検討又は実行するために必要な限度で、本契約と同等の法律上又は契約上の守秘義務を負う各当事者及びその子会社の役員又は従業員、ファンドの出資者、弁護士、公認会計士、税理士、ファイナンシャルアドバイザーその他の専門家アドバイザーに対して秘密情報を開示する場合を除く。

2.        前項の規定は、以下の情報については適用されない。

(1)      開示された時点で既に公知となっていたもの

(2)      開示された後で、自らの責めに帰すべき事由によらずに公知となったもの

(3)      正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負わずに適法に開示されたもの

(4)      開示された時点で、既に適法に保有していたもの

(5)      開示された情報を使用することなく独自に開発したもの

3.        第1項にかかわらず、司法・行政機関等により要求された場合又は法的手続、届出その他類似の手続で要求された場合には、可能な限り速やかにその旨を開示した当事者に通知することを条件として、その限度において秘密情報を開示することができる。

第20条         (譲渡等の禁止)

1.        当事者は、他の全当事者の書面による事前の承諾を得ない限り、本契約上の地位又は本契約に基づく権利義務を、直接又は間接を問わず、第三者に譲渡等をしてはならない。2.        前項の規定にかかわらず、当事者は、本契約に従って自己の保有する発行会社の株式等を当事者以外の第三者に譲渡する場合(但し、支配権移転取引による場合を除く。)には、当該譲受人に本契約上の地位も併せて譲渡し、当該第三者を本契約の当事者とさせる。他の当事者は、かかる本契約上の地位の譲渡について予め承諾し、必要な協力を行う。

第21条         (費  用)

 本契約の準備、締結又は履行に関連して各自が支出する一切の費用については各当事者それぞれが負担する。

第22条         (準拠法及び合意管轄)

 本契約は、日本法に準拠し、日本法に従って解釈される。当事者は、本契約の履行又は解釈に関し紛争が生じた場合には、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

第23条         (完全合意)

 本契約は、本契約に含まれる事項に関する当事者間の完全な合意を構成するものであり、書面によるか口頭によるかを問わず、かかる事項に関して当事者間又は当事者のうち一部の者の間で本契約締結前になされた全ての合意及び了解は全て失効する。

第24条         (誠実協議)

 当事者は、本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に関し何らかの疑義が生じた場合には、誠意をもって協議を行う。

(以下本頁余白)

 本契約の成立を証するため、本書の電磁的記録を作成し、各当事者それぞれ電子署名の上当該電磁的記録を保有する。

●年●月●日

発行会社

[住所]

株式会社●

[役職] [氏名]

 本契約の成立を証するため、本書の電磁的記録を作成し、各当事者それぞれ電子署名の上当該電磁的記録を保有する。

●年●月●日

経営株主

[住所]

[氏名]

 本契約の成立を証するため、本書の電磁的記録を作成し、各当事者それぞれ電子署名の上当該電磁的記録を保有する。

●年●月●日

普通株主

[住所]

[氏名]

 本契約の成立を証するため、本書の電磁的記録を作成し、各当事者それぞれ電子署名の上当該電磁的記録を保有する。

●年●月●日

投資家株主

[住所]

[名称]

[役職] [氏名]

別紙1

定  義

1.       「開示当事者」とは、第19条第1項に規定する意味を有する。

2.       「株式公開」とは、第13条第2項に規定する意味を有する。

3.       「株式等」とは、株式、新株予約権、新株予約権付社債その他株式の交付の請求若しくは取得が可能な証券又はこれらに類する権利をいう。

4.       「株式等の発行等」とは、ある会社による当該会社の株式等の発行、処分又は付与をいう。

5.       「関係者」とは、ある会社等につき、株式等の保有、融資等の与信、契約等、人的関係その他の原因を問わず、直接又は間接に、当該会社等によって実質的に支配され、当該会社等を実質的に支配し、又は当該会社等と実質的に共通の支配下にある者をいう。

6.       「株式保有割合」とは、発行会社のある時点における発行済みの取得請求権付株式、取得条項付株式、新株予約権、新株予約権付社債、その他その保有者若しくは当該会社の請求に基づき又は一定の事由の発生を条件として当該会社の普通株式に転換し又は当該会社の普通株式を取得し得る地位を伴う権利又は証券の全て(発行会社が保有するものを除く。)について、当該時点において発行会社の普通株式に転換され又はかかる権利又は証券に代えて当該会社の普通株式が取得されたものと仮定した状態を基準として算出されるある者の発行会社の普通株式の保有割合をいう。

7.       「関連当事者」とは、平成18年10月17日付企業会計基準委員会公表に係る企業会計基準第11号「関連当事者の開示に関する会計基準」第5項第(3)号に規定する意味を有する。

8.       「経営株主」とは、前文に規定する意味を有する。

9.       「契約等」とは、口頭、書面その他の媒体を問わず、法的拘束力を有する全ての合意をいう。

10.     「先買権」とは、第10条第1項に規定する意味を有する。

11.     「先買権行使株主等」とは、第10条第2項に規定する意味を有する。

12.     「先買権行使結果通知」とは、第10条第2項に規定する意味を有する。

13.     「参加日」とは、第18条第3項に規定する意味を有する。

14.     「残存譲渡対象株式等」とは、第10条第4項に規定する意味を有する。

15.     「支配権移転取引」とは、第11条に規定する意味を有する。

16.     「司法・行政機関等」とは、国内外の裁判所、仲裁人、仲裁機関、監督官庁その他の司法・行政機関、金融商品取引所及び自主規制機関(日本の公正取引委員会又は諸外国の独占禁止法・競争法関係当局を含む。)をいう。

17.     「受領当事者」とは、第19条第1項に規定する意味を有する。

18.     「譲渡相手方」とは、第10条に規定する意味を有する。

19.     「譲渡希望株主」とは、第10条に規定する意味を有する。

20.     「譲渡条件説明書」とは、第10条に規定する意味を有する。

21.     「譲渡対象株式等」とは、第10条に規定する意味を有する。

22.     「譲渡予定価格」とは、第10条に規定する意味を有する。

23.     「譲渡予定通知」とは、第10条に規定する意味を有する。

24.     「シリーズA投資契約」とは、第17条第1項に規定する意味を有する。

25.     「専門家等」とは、第19条第1項に規定する意味を有する。

26.     「損害等」とは、第15条に規定する意味を有する。

27.     「追加当事者」とは、第19条第2項に規定する意味を有する。

28.     「投資家株主」とは、表1に規定する意味を有する。

29.     「当事者」とは、前文に規定する意味を有する。

30.     「特別利害関係者等」とは、企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号。その後の改正を含む。)第1条第31号に規定する意味を有する。

31.     「発行会社」とは、前文に規定する意味を有する。

32.     「反社会的行為」とは、以下のいずれかに該当する行為をいう。

(1)      暴力的な要求行為

(2)      法的な責任を超えた不当な要求行為

(3)      取引に関して脅迫的な言動をし、また暴力を用いる行為

(4)      風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて、第三者の信用を毀損し、又は第三者の業務を妨害する行為

(5)      その他前各号に準ずる行為

33.     「反社会的勢力」とは、以下のいずれかに該当する者をいう。

(1)      暴力団員等

(a)      暴力団(その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。以下同じ。)

(b)      暴力団員(暴力団の構成員をいう。以下同じ。)

(c)      暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者

(d)      暴力団準構成員(暴力団員以外の暴力団と関係を有する者であって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等を行うおそれがある者、又は暴力団若しくは暴力団員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持若しくは運営に協力し、若しくは関与する者をいう。以下同じ。)

(e)      暴力団関係企業(暴力団員が実質的にその経営に関与している企業、暴力団準構成員若しくは元暴力団員が経営する企業で暴力団に資金提供を行うなど暴力団の維持若しくは運営に積極的に協力し若しくは関与する企業又は業務の遂行等において積極的に暴力団を利用し暴力団の維持若しくは運営に協力している企業をいう。)

(f)       総会屋等(総会屋、会社ゴロ等企業等を対象に不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。)

(g)      社会運動等標ぼうゴロ(社会運動若しくは政治活動を仮装し、又は標ぼうして、不正な利益を求めて暴力的不法行為等を行うおそれがあり、市民生活の安全に脅威を与える者をいう。)

(h)      特殊知能暴力集団等(本号(a)乃至(g)に掲げる者以外の、暴力団との関係を背景に、その威力を用い、又は暴力団と資金的なつながりを有し、構造的な不正の中核となっている集団又は個人をいう。)

(i)       その他本号(a)乃至(h)に準ずる者

(2)      その他の関係者

(a)      前号(a)乃至(i)に該当する者(以下「暴力団員等」という。)が経営を支配していると認められる関係を有する者

(b)      暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有する者

(c)      自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有する者

(d)      暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有する者

(e)      役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有する者

34.     「秘密情報」とは、第19条第1項に規定する意味を有する。

35.     「普通株主」とは、表1に規定する意味を有する。

36.     「法令等」とは、法律、政令、省令若しくは府令、通達、規則、命令、条例、行政指導、金融商品取引所の規則及びその他の法規範をいう。

37.     「本契約」とは、前文に規定する意味を有する。

38.     「本契約締結日」とは、前文に規定する意味を有する。

39.     「みなし清算株主」とは、第12条第1項に規定する意味を有する。

40.     「優先引受権」とは、第8条第3項に規定する意味を有する。

41.     「優先引受通知」とは、第8条第2項に規定する意味を有する。

別紙3.1

経営株主の表明及び保証

(1)      (授  権)

 経営株主は、本契約の締結及び履行のために必要な権限及び能力を有している。経営株主は成年者であり、民法(明治29年法律第89号。その後の改正を含む。)上の後見、保佐又は補助が開始されておらず、その開始の審判の申立てもなされておらず、これらのおそれもない。

(2)      (本契約の有効性及び執行可能性)

 本契約は、経営株主により、適法かつ有効に締結されており、経営株主以外の当事者により締結された時点で、経営株主の適法、有効かつ法的拘束力のある義務を構成し、法令等によりその履行が制限される場合を除き、各条項に従い経営株主に対して強制執行が可能である。

(3)      (違反の不存在)

 経営株主による本契約の締結及び履行は、適用ある法令等、許認可等、司法・行政機関等の判断等及び経営株主が当事者となっている他の契約に違反又は抵触しない。

(4)      (反社会的勢力)

 経営株主は、反社会的勢力との間で、経済的関係、取引関係、雇用関係、委任関係を問わず一切の関係がなく、かつ商行為、利益の供与又は授受その他一切の取引(一時的か継続的かを問わない。)を行っていない。また、経営株主及び発行会社は、直接又は間接に、一切の反社会的行為に関与していない。

以 上

別紙3.2

投資家株主の表明及び保証

(1)      (設立及び存続等)

 法人である投資家株主は、日本法に基づき適法かつ有効に設立又は組成され、かつ有効に存続する株式会社又は投資事業有限責任組合(投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成10年法律第90号。その後の改正を含む。以下同じ。)第2条第2項に規定される意味を有する。)であり、現在行っている事業に必要な権限及び権能を有している。

(2)      (授  権)

 株式会社又は投資事業有限責任組合である投資家株主は、本契約の締結及び履行のために必要な権限及び能力を有している。また、投資家株主は、本契約の締結及び履行について、適用ある法令等及び社内規則(投資事業有限責任組合である普通株主については、当該投資家株主に係る組合契約を含む。以下同じ。)上必要となる社内手続を全て履行している。

(3)      (本契約の有効性及び執行可能性)

 本契約は、投資家株主により適法かつ有効に締結されており、投資家株主以外の当事者により締結された時点で、投資家株主の適法、有効かつ法的拘束力のある義務を構成し、法令等によりその履行が制限される場合を除き、各条項に従い投資家株主に対して強制執行が可能である。

(4)      (違反の不存在)

 投資家株主による本契約の締結及び履行は、投資家株主の社内規則、適用ある法令等、許認可等、司法・行政機関等の判断等及び投資家株主が当事者となっている他の契約に違反又は抵触しない。

(5)      (反社会的勢力)

 投資家株主は、反社会的勢力との間で、経済的関係、取引関係、雇用関係、委任関係を問わず一切の関係がなく、かつ商行為、利益の供与又は授受その他一切の取引(一時的か継続的かを問わない。)を行っていない。また、投資家株主は、直接又は間接に、一切の反社会的行為に関与していない。

以 上

月刊記情報749号

月刊 登記情報2024年4月号(749号)

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T/

相続登記の申請義務化と不動産登記制度の未来

法務省民事局民事第二課長 大谷 太

 会社法人番号等が法人識別事項として登記事項化されたのは、令和8年の住所等変更登記の申請義務化と同時に開始するリアルタイムで法人の住所等変更登記を実現するための検索キーを準備する趣旨。

法務省・定款認証見直し検討会の取りまとめの概要

編集部

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00052.html

モデル定款

今後、法務省を中心として、その位置づけを明確にする。

利用した場合のメリットを提示する。

 面前確認手続・・・現在の目標は、ウェブ会議システムの積極的な利用促進。実施ルールの明確化。手続省略などその他については、法令改正が必要。

 その他

実質的支配者申告制度・・・起業家の負担軽減の方向で、今後の検討課題。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑷

法務省民事局民事第二課補佐官 三枝稔宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官

(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子

法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

(2)イ(e) P30、通知書の回答期限は、作成の日から2週間とする。返信期限までに返信がない場合は、再度通知書を送付するものとし、回答期限は再度の作成の日から2週間とする。ただし、通知を受ける者が外国に住所を有する場合には、これらの回答期限は4週間とする。なお、再度の通知に対して正当な理由がなく回答がなかった場合には、異議のないものとして取り扱い、実地調査を行うこととして差し支えない。

 現状の標準処理期間。全国一律で8カ月。

商業登記規則逐条解説 第16回

土手敏行

(添付書面)

第六十一条 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。

2 登記すべき事項につき次の各号に掲げる者全員の同意を要する場合には、申請書に、当該各号に定める事項を証する書面を添付しなければならない。

一 株主 株主全員の氏名又は名称及び住所並びに各株主が有する株式の数(種類株式発行会社にあつては、株式の種類及び種類ごとの数を含む。次項において同じ。)及び議決権の数

二 種類株主 当該種類株主全員の氏名又は名称及び住所並びに当該種類株主のそれぞれが有する当該種類の株式の数及び当該種類の株式に係る議決権の数

3 登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の総株主)の議決権(当該決議(会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であつて、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の数)及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面を添付しなければならない。

一 十名

二 その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が三分の二に達するまでの人数

4 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと。以下この項において同じ。)を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても、同様とする。

5 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。

6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑

二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑

三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

7 設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。

9 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。

10 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額(会社法第四百六十一条第二項に規定する分配可能額をいう。)又は欠損の額が存在することを要するときは、申請書にその事実を証する書面を添付しなければならない。

11 資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記(会社法第四百四十八条第三項に規定する場合に限る。)の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。

 2項、3項は、株主の同意・決議を要する場合の添付書面の通則的な定め。

株主等の本人確認資料を添付しない理由は、会社の負担軽減。

 3項1項で上位10名としている理由。株主が多数いる上場会社の負担軽減。

平成28年6月23日付け法務省民商第98号法務省民事局長通達。

 4項

昭和47年法務省令第81号

虚無人の代表者の登記防止。

平野文則「改正商業登記規則等の解説」登記研究303号

平成18年3月31日付け法務省民商第782号法務省民局長通達

再任・・・昭和48年1月29日付け法務省民四第821号法務省民局長通達

日本以外の国における本国官憲 平成29年2月10日付け法務省民商第15号法務省民事局長通達

領事 平成28年6月28年6月28日付け法務省民商第100号法務省民事局長通達

やむを得ない事情、上申書の内容 日本以外の国における本国官憲 平成29年2月10日付け法務省民商第16号法務省民事局長通達

平成27年法務省令第5号

商業登記規則101条1項1号のオンライン申請による場合の適用除外。

6項 株主総会、取締役会議事録の偽造、会社の乗っ取り防止。昭和42年法務省令第43号

7項 会社の代表機関以外の者の真実性担保。住所に焦点。

平成27年2月20日付け法務省民商第18号法務省民事局長通達

8項 代表取締役等の辞任による変更の登記申請の追加的な添付書面。虚偽の退任登記の防止。辞任届の作成日。

9項 株式会社の設立の登記又は資本金の額の変更の登記申請の追加的な添付書面。

10項 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額又は欠損額が存在することを要する登記申請の追加的な添付書面。

会社債権者の保護。

11項 株式会社の資本準備金の額の減少によってする資本金の額の増加による変更登記申請の追加的な添付書面。

境界紛争の解決手続における土地家屋調査士の役割

第4回 筆界特定

弁護士 井奥圭介

土地家屋調査士 山脇優子

 全国的に約2000件の申請。

法律業務が楽になる心理学の基礎

第7回 記憶と思考 ― 私たちの商売道具

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

推論と問題解決を日々行うためには、知識と思考が必要。分類してスキーマにして、記憶プロセスのエラーが出ないように、出た場合の対処方法を予め考えておくなど。

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑺

司法書士 末光祐一

犯罪による収益の移転防止に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022

(取引時確認等)

第四条

5 特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人が顧客等と異なる場合であって、当該顧客等が国、地方公共団体、人格のない社団又は財団その他政令で定めるもの(以下この項において「国等」という。)であるときには、第一項又は第二項の規定の適用については、次の表の第一欄に掲げる顧客等の区分に応じ、同表の第二欄に掲げる規定中同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とする。

6 顧客等及び代表者等(前二項に規定する現に特定取引等の任に当たっている自然人をいう。以下同じ。)は、特定事業者が第一項若しくは第二項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第四項の規定による確認(以下「取引時確認」という。)を行う場合において、当該特定事業者に対して、当該取引時確認に係る事項を偽ってはならない。

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