令和6年度商業登記分野研修会「税理士に頼られる司法書士となるためには」

令和6年度商業登記分野研修会「税理士に頼られる司法書士となるためには」

令和6年11月20日(水)

司法書士と税理士の付き合い方

第1講第1部 齊藤詩織司法書士(東京司法書士会)

・設立登記は依頼から一週間以内に登記申請したいという要望が多い。について・・・依頼内容や依頼者の理解度によるのかなと思いました。

・目的変更について。私は、似ている業種の上場会社の目的を参考にしてもらっています。許認可が必要な業種については、行政書士に確認を求めます。

・組織再編に対応できる司法書士ということは、強みになる。

・顧客の紹介をする、というのはそうだよねぇ、と思いました。

第1項第2部 飯川洋一司法書士

事前質問に答える形式

・商業法人登記の申請は、月に20件から30件。

・オンライン申請がなかった時は、依頼があった会社には、遠くても直接出向くようにしていた。

・解散する会社が多くなってきた。

・役員の任期管理をしている。

・株主総会議事録は、原則として会社に作成してもらう。依頼されれば作成する。税理士作成の議事録が送られてくる場合もある。

・定款は保管している。税理士も保管している。現状や法改正と異なる場合もある。

・リーガルテックサービスによる登記申請サービスについて。間違えた場合が心配。

・税理士と一緒に勉強会を開催することで、連携が深まった。30年以上続いている。10人くらい。2年に1回くらい発表の機会が回ってくる。飯川洋一司法書士が発表したテーマは、平成3年商法改正、相続登記義務化、遺言書保管制度など。・・・30年以上継続しているのはすごいです。

・正確に迅速に丁寧に業務を行うために意識していること。直接声を聴いて話をすること。メールで連絡が来ても電話で返信する。・・・これは意見が分かれるのかなと思います。私はメールなどテキスト派で書類も郵送が原則ですが、直接会ったり電話するのも、依頼者が望むならそうした方が良いのかなと最近思ったりします。

・講師の依頼は、一緒に勉強会をやっていた税理士からの紹介が多い。

・事業承継の場面で、会社が創業者の株の買い取ることは、剰余金の残高から難しいことを指摘。

・税理士が窓口になっていても、依頼者本人と会うようにしている。

第2講 税理士からみた司法書士(商業・法人登記業務)

日本税理士会連合会常務理事業務対策部長 鴨田和恵税理士

・司法書士法人の担当が転勤などで変わる場合。

・見解が違い、変わる場合。相性。

・公的機関の創業相談から。

・設立登記は本人で行う場合が多い。事情により速く登記したい場合は司法書士を紹介。について。定款、株主構成などの内容は、本人に考えてもらうのかなと思いました。

資本金の額

・中小企業者等の法人税率の特例、租税特別措置法第四十二条の三の二

・中小企業者等の貸倒引当金の特例、租税特別措置法第五十七条の九

・中小企業庁 消費税のしくみ

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

事業年度開始の日。設立の日が月初以外の場合。

・沖縄県 法人県民税・法人事業税に関する県税Q&A更新日 2024年1月11日

https://www.pref.okinawa.lg.jp/kurashikankyo/zeikin/1003660/1003689/1023512/1003691.html

・総務省 法人事業税における外形標準課税

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_05.html

令和8年4月1日より、資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金と資本剰余金の合計額等が2億円を超えるものについては、外形標準課税の対象に含まれる。

法人成り。

不動産などを現物出資する場合の短期譲渡取得、長期譲渡取得に該当するかの判断。

一般社団法人

 国税庁 一般社団法人・一般財団法人と法人税

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/01.htm

取締役会や監査役の設置または廃止登記の申請

 名目的取締役への役員報酬。名目的取締役、というのが分かりませんでした。

・役員の任期について管理を司法書士が行うのかについて。依頼があればさせていただきたいと思います。

・役員辞任の年月日は、退職所得控除額の計算(役員等勤続年数)に関わる。

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

・法人版事業承継税制。贈与の日付。代表権を持った日。議決権数の過半数を保有している日。役員年数。

・本店所在地の移転登記がある場合、事業年度と法人住民税の均等割り。税務署などへ移転届が必要。

・目的を追加する登記申請の場合、削除する目的についても話をして欲しい。

・資本金の額の増加の登記申請、株式の評価・適格現物出資など。

・資本金の額の減少の登記申請、有償減資の場合。

・組織再編の登記申請、合資会社のみなし種類変更(会社法639条)。適格・非適格の判断→繰越欠損日の取扱い、みなし事業年度と合併期日。

・会社の解散・清算登記の申請について、会社解散届、解散確定申告書、清算事業年度の確定申告書、残余財産確定事業年度の確定申告書、清算結了届と関わる。

登記情報756号2024年11月号

登記情報756号2024年11月号、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 個人情報保護法改正をめぐる昨今の状況

弁護士法人片岡総合法律事務所 弁護士 高松志直

個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/3nengotominaoshi

最二小判令5.5.19を踏まえた不動産登記に関する遺言執行者の権限および当事者適格の整理と平成30年改正民法および令和3年改正不動産登記法の判例への影響

久保井総合法律事務所 弁護士 上田 純

 □遺言の作成日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か(平成30年法律第72号附則2条、8条2項)。

 □遺言執行者の原告適格。遺言執行者の権限の範囲内(民法1012条1項、1014条2項)か。

□相続開始日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か。

□遺言の内容は、特定遺贈、包括遺贈(民法964条)か、相続分の指定(民法902条)か、遺産の分割の方法の定め(民法908条)か、特定財産承継遺言(民法1014条)か。

□相続、遺贈の登記を経て、第三者に所有権移転登記がされていないか(民法1013条2項ただし書)。

遺言執行者の帰責性の有無。民法94条2項類推適用の有無を判断する対象は、遺言執行者か受遺者・相続分の指定により相続する相続人か。

口座登録法・口座管理法の概要

セブン銀行 小山正之

公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000038

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000039

(相続時における預貯金口座に関する情報の提供)

第八条 相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する当該相続人の被相続人(包括遺贈者を含む。以下この条において同じ。)である預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、次に掲げる事項の通知を求めることができる。

一金融機関及びその店舗の名称

二預貯金の種別及び口座番号

2預金保険機構は、前項の規定による求めを受けた場合には、主務省令で定める方法により、当該求めをした相続人が本人であること及び当該預貯金者が当該相続人の被相続人であることを確認するため、当該相続人及び預貯金者の本人特定事項その他当該相続人及び預貯金者を特定するために必要な事項として主務省令で定めるもの並びに当該相続人及び預貯金者の身分関係(当該相続人が包括受遺者である場合にあっては、遺言の内容)を確認しなければならない。

3預金保険機構は、第一項の規定による求めを受けた場合には、全ての金融機関に対し、当該求めをした相続人の被相続人である預貯金者の個人番号を通知しなければならない。

4前項の規定による通知を受けた金融機関は、当該個人番号に係る預貯金者を名義人とする預貯金口座を管理しているときは第一項各号に掲げる事項を、当該預貯金口座を管理していないときはその旨を、預金保険機構に対し、通知しなければならない。

5前項の規定による通知を受けた預金保険機構は、主務省令で定めるところにより、第一項の規定による求めをした相続人に対し、当該通知に係る事項を通知しなければならない。

1 相続人の1人が、金融機関に対して、

 ・相続時口座照会申込書

・法定相続情報一覧図の写しか、被相続人の死亡の事実と相続人であることが分かる戸(除)籍謄抄本

・照会手数料

を提供。

2 金融機関が預金保険機構と連携。

3 預金保険機構が全金融機関へマイナンバーが付番されている口座の有無を照会。

4 預金保険機構は、相続人の1人へ郵送で結果を通知。

法制審議会だより

民法(成年後見等関係)部会、第5回~第7回会議を開催

編集部

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

研究会だより

商業登記所における実質的支配者リスト制度の利便性向上に関する研究会の取りまとめ

編集部

https://www.kinzai.or.jp/substantial_ruler.html

 金融機関が、オンラインで実質的支配者リストの交付を申請することの検討。

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第3回会議、第4回会議が開催され、中間案が取りまとめられる

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 モデル定款を利用した場合の発起人の本人確認について、マイナンバーカードの公的個人認証の活用を基本とする。デジタル庁が提供するマイナンバーカード対面確認アプリを利用するかは不明。オンラインでの面談(面前確認)なら、アプリの利用ではなくマイナンバーカードの提示になるのかなと思います。

 代理人による面前確認については、原則不可でも良いと思います。制度趣旨として起業の負担軽減があり、モデル定款を利用するのはオンライン面談、電子署名に対応可能な人が想定されています。士業が関与するとすれば、定款の書類作成、発起人による電子署名の方法について支援、オンライン面談環境の提供・同席等になるのかなと思います。

NEWS

定款認証・設立登記の「72時間原則」が開始される

法務省民事局登記所適正配置対策室長 宇野直紀

 法務省 令和6年9月20日更新 新たな取組に関するリーフレット「定款認証の手続が「2つの原則」の導入で便利になります」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00076.html

商業登記規則逐条解説 第23回

土手敏行

商業登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-Ch_3

(電子情報処理組織による登記の申請等)

第百一条 次に掲げる申請、申出、提出、届出又は請求(以下「申請等」という。)は、情報通信技術活用法第六条第一項の規定により、同項に規定する電子情報処理組織を使用する方法によつてすることができる。ただし、当該申請等は、法務大臣が定める条件に適合するものでなければならない。

一登記の申請(これと同時にする受領証の交付の請求を含む。以下同じ。)

一の二第三十一条の二第一項及び第六項第一号、第三十一条の三第一項及び第四項第一号、第八十一条の二第一項、第七項及び第九項(第八十八条の二第二項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第八十八条の二第一項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)の申出(前号の登記の申請と同時にする場合に限る。以下第百五条の二第一項及び第百八条第一号において「住所非表示措置等の申出」という。)

二印鑑の提出又は廃止の届出(第一号の登記の申請と同時にする場合に限る。)

三電子証明書による証明の請求

四電子証明書の使用の廃止の届出

五電子証明書の使用の再開の届出

六識別符号の変更の届出

七電子証明書による証明の再度の請求

八登記事項証明書又は印鑑の証明書の交付の請求

2前項第八号の規定は、後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該後見人である法人の代表者の職務を行うべき者)、外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者)又は管財人等の職務を行うべき者として指名された者が提出した印鑑の証明書については、適用しない。

3情報通信技術活用法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、登記所の使用に係る電子計算機と第一項に規定する申請等をする者の使用に係る電子計算機であつて法務大臣の定める技術的基準に適合するものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

4情報通信技術活用法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があると登記官が認める場合とする。

 各登記所にオンラインシステムが順次導入されるに伴い、登記所毎に回復した。登記申請、その他の申請や申出などがオンラインで可能になるごとに変更されてきた。登記の申請と同時にしなければならない申出などは、その旨記載される。記載がないものは単独で可能。部分オンラインを認めるための位置付け。

登記研究777号P111、平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑸―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

犯罪収益移転危険度調査書の分析から始める。

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm

 自然人が議決権を間接保有するケースについて、法人の実質的支配者の判定。

目で見る筆界の調査・認定事例第9回 筆界特定書により筆界を認定した事案

大阪法務局首席登記官(不動産登記担当)田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣接所有者の所在が不明なケース。過去に他の隣接地について筆界特定、官民境界確認協議が行われている。

法律業務が楽になる心理学の基礎第14回・完 連載で学んだ26のアクションアイテム

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 集団思考の特徴。集団成員相互の同調圧力、自己検閲、逸脱意見から集団を防衛する人物の発生、表面上の意見の一致、無謬性の幻想、道徳性の幻想、外集団に対するゆがんだ認識、解決方略の拙さ。

登記研究920号令和6年10月号

登記研究920号(令和6年10月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

取締役会非設置会社(会社法326条)と特例有限会社(会社法整備法3条2項)における代表権について。代表取締役の定め方によって、取締役と代表取締役の地位が分化するか一体なのか定まる。

分化しているか一体なのかは、

  • 1 取締役として就任承諾を会社にしたうえで、代表取締役としても就任承諾が必要なのか、
  • 2 代表取締役の一方的な意思表示により代表取締役のみ辞任して取締役として残ることが可能か否か、
  • 3 代表取締役が死亡した場合に、他の取締役が当然に代表取締役に就任するのか、選任決議が必要なのか、

に関わる。3、について定款に代表取締役は取締役の互選によって定めるという定めがある場合、法人の意思として、取締役のうち誰が代表取締役になっても良い、というところは納得でした。

 定款に、取締役が2名以上あるときは代表取締役を置き、株主総会の決議によって定める、と規定している株式会社の代表取締役が死亡して、他の取締役に代表権を付与する株主総会決議があった場合、他の取締役の代表取締役としての就任承諾を証する情報は必要か。

 有限会社の場合。取締役に代表権付与決議を行った株主総会議事録の添付の要否。登記申請権限の確認が根拠。登記申請権限の確認を根拠とするものとして定款の提供が必要な場合。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(1)

法務省民事局付 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

第1 はじめに

 登記事項証明書等における代替措置制度について。

法務省 登記事項証明書等における代替措置について(不動産登記関係)

令和6年7月2日、初回掲載日(令和6年4月5日)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00596.html

第2 関係法令と施行通達の解説

不動産登記法(登記事項証明書の交付等)

第百十九条 1項から5項まで略。

6登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

 これまで通達等により運用上の対応がされていたが、法律上の措置とされた。

不動産登記規則第四章第三節。

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018#Mp-Ch_2-Se_3

(帳簿)第十八条

十二の二申出立件事件簿

十二の三申出立件関係書類つづり込み帳

十二の四申出立件事務日記帳

十二の五代替措置等申出書写しつづり込み帳

(申出立件事件簿等)

第二十七条の二申出立件事件簿には、代替措置等申出(第二百二条の四第一項に規定する代替措置等申出をいう。第三項及び第四項において同じ。)又は代替措置申出の撤回(第二百二条の十五第一項の規定による撤回をいう。第三項及び第四項において同じ。)の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとする。

2申出立件事件簿は、書面により調製する必要がある場合を除き、磁気ディスクその他の電磁的記録に記録して調製するものとする。

3申出立件関係書類つづり込み帳には、代替措置等申出に関する書類及び代替措置申出の撤回に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとする。

4申出立件事務日記帳には、申出立件事件簿に記録しない代替措置等申出に関する事務又は代替措置申出の撤回に関する事務に係る書類の発送及び受領に関する事項を記録するものとする。

(代替措置等申出書写しつづり込み帳)

第二十七条の三代替措置等申出書写しつづり込み帳には、第二百二条の十二第二項(第二百二条の十五第七項及び第二百二条の十六第六項において準用する場合を含む。)の規定により送付を受けた書類をつづり込むものとする。

(保存期間)

第二十八条次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

1号から17号まで略

十八請求書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報受付の日から一年間

十九申出立件事件簿に記録された情報立件の日から五年間

二十申出立件関係書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報立件の日から五年間

二十一代替措置等申出書写しつづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報送付を受けた日から五年間

(公示用住所管理ファイル)

第二百二条の二 法務大臣は、第二百二条の十二第一項各号に掲げる事項を記録する公示用住所管理ファイルを備えるものとする。

2公示用住所管理ファイルは、法第百十九条第六項の申出(以下この節において「代替措置申出」という。)の申出人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとする。

3公示用住所管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とする。

(代替措置の要件)

第二百二条の三 法第百十九条第六項の法務省令で定める場合は、当該登記記録に記録されている者その他の者(自然人であるものに限る。)について次に掲げる事由がある場合とする。

一ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第六条に規定するストーカー行為等に係る被害を受けた者であって更に反復して同法第二条第一項に規定するつきまとい等又は同条第三項に規定する位置情報無承諾取得等をされるおそれがあること。

二児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待(同条第一号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)を受けた児童であって更なる児童虐待を受けるおそれがあること。

三配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第一条第二項に規定する被害者であって更なる暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの(次号において「身体に対する暴力」という。)を除く。)を受けるおそれがあること。

四前三号に掲げるもののほか、心身に有害な影響を及ぼす言動(身体に対する暴力に準ずるものに限る。以下この号において同じ。)を受けた者であって、更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあること。

・・・不動産登記法119条の法務省令で定めるものの、具体的内容4つを規定。身体に対する暴力については、不動産登記法に定めがあるため、その他の精神的・心理的暴力について規定。抹消記号が付されている・過去の所有権登記名義人、閉鎖された登記記録に記録されている自然人も該当。商登登記の代表者の住所非表示措置も、制度趣旨からして同様の措置が採られても良いのではないかと思いました。

・代替措置等申し出は書面申請、管轄なし。

・新たなオンライン登記申請と共に代替措置等申出を行う場合は、補記が必要。

・完了証の交付はないが、完了の電話連絡希望は可能。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第125回)

一般社団法人商業登記倶楽部 名誉主宰者兼最高顧問、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

 246 中小企業等協同組合の種類、登記事項及び登記手続法令について

 中小企業等協同組合法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000181#Mp-Ch_2-Se_1

 (名称)

第六条 組合は、その名称中に、次の文字を用いなければならない。

事業協同組合にあつては、協同組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同組合)

一の二事業協同小組合にあつては、協同小組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同小組合)

信用協同組合にあつては、信用協同組合又は信用組合

協同組合連合会にあつては、その種類に従い、協同組合、協同小組合又は信用協同組合のうちのいずれかを冠する連合会(第九条の九第四項に規定する特定共済組合連合会に該当するものにあつてはその種類に従い共済協同組合又は共済協同小組合のうちのいずれかを冠する連合会、同条第一項第三号の事業を行う協同組合連合会に該当するものにあつては共済協同組合連合会)

企業組合にあつては、企業組合

2この法律によつて設立された組合又は他の特別の法律によつて設立された協同組合若しくはその連合会以外の者は、その名称中に、事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会又は企業組合であることを示す文字を用いてはならない。

3組合の名称については、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八条(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)の規定を準用する。

 5種類。

(組合等の設立の登記)

第八十四条 組合の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、第二十九条の規定による出資の払込みがあつた日から二週間以内にしなければならない。

2前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。

一事業

二名称

三地区

四事務所の所在場所

五出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額

六存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由

七代表権を有する者の氏名、住所及び資格

八公告方法

九第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの

ロ第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

3中央会の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可があつた日から二週間以内にしなければならない。

4前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一事業

二名称

三事務所の所在場所

四代表権を有する者の氏名、住所及び資格

五公告方法

 登記事項。

民法

(法人の成立等)第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

・・・設立根拠法。

(登記)第三十六条 法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。

・・・登記手続法令。

■Q&A不動産表示登記(96)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第四章 建物(区分建物)

 第一節 登記事項

Q266 敷地利用権、敷地権、敷地権である旨の登記とは何か。

Q267 専有部分と敷地利用権の一体性の原則とは何か。

建物の区分所有等に関する法律

(定義)

第二条 1項から5項まで略。

6この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

不動産登記法

(建物の表示に関する登記の登記事項)

第四十四条 建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

1号から8号まで略。

九建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

不動産登記規則

(登記記録の編成)第四条 1項、2項略

3区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。

別表三(第四条第三項関係)区分建物である建物の登記記録

一棟の建物の表題部

敷地権の目的である土地の表示欄

区分建物の表題部

敷地権の表示欄

不動産登記法(敷地権である旨の登記)

第四十六条登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

不動産登記規則

(敷地権である旨の登記)

第百十九条登記官は、法第四十六条の敷地権である旨の登記をするときは、次に掲げる事項を敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に記録しなければならない。

一敷地権である旨

二当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番

三当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積又は当該一棟の建物の名称

四当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは、当該一部の建物の家屋番号

五登記の年月日

2登記官は、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に前項の規定により記録すべき事項を通知しなければならない。

3前項の規定による通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に、通知を受けた事項を記録しなければならない。

■逐条解説不動産登記規則(49)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

(地番)

第九十八条地番は、地番区域ごとに起番して定めるものとする。

2地番は、土地の位置が分かりやすいものとなるように定めるものとする。

 不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)最終改正:令和6年4月1日

(地番の定め方)第67条 地番は、規則第98条に定めるところによるほか、次に掲げるところにより定めるものとする。

(1) 地番は、他の土地の地番と重複しない番号をもって定める。

(2) 抹消、滅失又は合筆により登記記録が閉鎖された土地の地番は、特別の事情がない限り、再使用しない。

(3) 土地の表題登記をする場合には、当該土地の地番区域内における最終の地番を追い順次にその地番を定める。

(4) 分筆した土地については、分筆前の地番に支号を付して各筆の地番を定める。ただし、本番に支号のある土地を分筆する場合には、その1筆には、従来の地番を存し、他の各筆には、本番の最終の支号を追い順次支号を付してその地番を定める。

(5) 前号本文の規定にかかわらず、規則第104条第6項に規定する場合には、分筆した土地について支号を用いない地番を存することができる。

(6) 合筆した土地については、合筆前の首位の地番をもってその地番とする。

(7) 特別の事情があるときは、第3号、第4号及び第6号の規定にかかわらず、適宜の地番を定めて差し支えない。

(8) 土地区画整理事業を施行した地域等においては、ブロック(街区)地番を付して差し支えない。

(9) 地番の支号には、数字を用い、支号の支号は用いない。

2 登記官は、従来の地番に数字でない符号又は支号の支号を用いたものがある場合には、その土地の表題部の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は土地の登記記録の移記若しくは改製をする時に当該地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

3 登記官は、同一の地番区域内の2筆以上の土地に同一の地番が重複して定められているときは、地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

4 地番が著しく錯雑している場合において、必要があると認めるときは、その地番を変更しても差し支えない。

■商業登記の変遷(66)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 悪意擬制説。異次元説。消極的公示力と積極的公示力。フランス法との比較。商業登記制度のデジタル化の経緯。積極的公示力と外観信頼保護規定。登記分社の専門六法。商業登記関係法令に関する注釈書(コンメンタール)。

■民事信託の登記の諸問題(37)

渋 谷 陽一郎

第254 受託者の権限に対する制約としての信託監督人の同意権に関する登記

P82、信託財産の管理方法、受託者の処分権限 信託不動産の売却処分、売却処分の条件 信託監督人の同意、と信託目録に記録されている場合、売却処分の文言のみで所有権登記申請まで読み取ることが出来るのか分かりませんでした。私なら、売買契約及び売買契約に基づく所有権移転登記申請、とします。信託不動産であることは登記記録から明らかなので除きます。

P84、信託監督人の同意を証する書面(抜粋)中の、所有権の帰属権者、という文言が分かりませんでした。

第255 信託法27条に基づく受託者の権限外行為に対する取消権

 詐害行為取消権(民法424条から426条)との比較。

第256 受託者と受益者への権利の分属(受益者の準物権的行為)

 未成年者の法定代理人による取消権(民法5条)との比較。

第257 受託者による権限外取引の取消権者は誰か

 不動産に関しては、第三者からみて誰が取消権者か分かるような公示の必要性。受益者に判断能力の喪失があったときのために、受託者の権限外行為に対する受益者に代わる同意権者を定めておくことの必要性。

第258 信託監督人と信託法27条の取消権限の帰属

 信託監督人の表示を登記申請することの許容性と相当性。

第259 信託監督人による登記申請権の行使の可能性

 信託監督人による、不動産登記法59条1項7号による代位登記申請の可否。

【資 料】■会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(13)

 定款により取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに伸長した会社において、取締役の任期満了による退任の登記の申請書に添付すべき退任の事実を証する書面(商業登記法54条4項)は、定時株主総会議事録に、定款第〇条により任期満了の記載があれば、定款の添付は必要ない。記載がない場合は定款の添付が必要。登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、

 始期付きの辞任届は有効。

登記研究182号P161、昭和37年7月20日民事甲第2055号民事局長一部変更指示◇登記官吏会同決議◎津地方法務局本局直轄管内登記官吏会同決議

 取締役の意思表示が会社に到達した日が辞任日。地方議会議員の兼任規定。

登記研究392号P102、昭和54年12月8日法務省民四第6104号 民事局第四課長回答「取締役辞任の時期について」、登記研究503号P37、 1989年12月30日、柳田 幸三:法務省民事局第四課長、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第四課係長、藤部 富美男:法務省民事局第四課係長 【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(27)」

 

 法律、定款に定める取締役の定数に満たない場合について。

登記研究93号P41昭和30年5月23日民事甲第1008号民事局長回答「数人の取締役が任期満了又は辞任し、その数に満たない後任取締役が就任した場合の取締役変更登記について」。登記研究465号P108、1986年10月30日、神崎 満治郎:東京法務局総務部職員課長(前法務省民事局第一課補佐官)【先例漫歩】商業・法人登記の実務(11)

 

 権利義務取締役の退任日について。

登記研究102号P31、昭和31年4月6日民事甲第746号民事局長回答「取締役の退任の日について」、登記研究508号P70、昭和30年6月18日民事甲第1271号民事局長回答「農業協同組合法(以下農協法と略記す)第三十一条第二項但書の期間をこえた設立当時の役員の任期について」

 権利義務取締役の辞任による退任の登記の可否。

登記研究144号P33、昭和34年9月23日民事甲第2136号民事局長電報回答「取締役及び監査役の変更登記について」、登記研究509号P25、1990年6月30日、柳田 幸三:法務大臣官房参事官(前法務省民事局第四課長)、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第一課係長(前法務省民事局第四課係長)、宮田 和一:法務省民事局第四【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(32)」

 権利義務取締役の辞任、解任の可否について。

登記研究512号P64、昭和35年10月20日民事四発第197号民事局第四課回答「商法第二百五十八条第一項の規定により権利義務を有する取締役の解任について」

 権利義務取締役が亡くなった場合の退任の登記原因。

登記研究170号P83、昭和36年8月25日民事甲第2069号民事局長指示◇登記官吏会同決議◎鹿児島地方法務局鹿屋支局管内登記事務研究会決議、登記研究325号P73、1974年12月20日第六部質疑・応答五一二七「取締役の変更の登記について」

 登記留保措置の廃止と、登記完了前の申請書等の閲覧・交付等。本店移転登記と同時申請の場合における、普通郵便の発送場所。申請疑義事案の例と一部の役員の解任の場合。

登記研究869号P154、令和2年3月23日法務省民商第65号法務省民事局商事課長通知「役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて【解説付】」

 役員の死亡を原因として退任の登記を申請する場合の添付情報の内容。

登記研究303号P72、1973年2月20日第五部質疑・応答五〇二〇「役員が死亡した旨の記載のある議事録をもつて株式会社の役員の死亡による退任を証する書面とすることの可否」

 登記されている取締役が、社外取締役に該当することになった場合。

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、登記研究658号P175、平成14年4月25日法務省民商第1067号民事局長通達「商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6245〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(令和6年4月1日付け法務省民二第555号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 別記第5号、調査結果調書(代替措置等申出関係)

『スタートアップの法律相談』16.従業員に対するストック・オプション設計時の留意点

『スタートアップの法律相談』16.従業員に対するストック・オプション設計時の留意点、2023年、青林書院

https://www.seirin.co.jp/book/01854.html

  • 1 既存社員や入社予定の内定者に対して、税制適格ストック・オプションを発行することを検討している場合、税制適格要件を満たすための新株予約権の設計についての留意点。

・スケジュール例(取締役会非設置・非公開会社・普通株式のみを発行している、募集事項を取締役に委任しない(会社法309条2項6号、239条1項)場合)

  • 取締役間で調整・決定・株主総会招集通知
  • 税制適格要件を満たすストック・オプションを発行するか否か
  • 税制適格要件を満たすストック・オプションを発行すると決定した場合

・誰にいくつ、どのような条件で新株予約権を割り当てるか、株主総会で決議する議案を決定。

・税制適格要件を満たすか、最終確認[1][2]

  • 募集事項の決定(会社法238条)・・・株主総会特別決議(会社法309条2項6号)
  • 新株予約権の引受け申込みをしようとする者への通知、契約(会社法242条、243条、会社法施行令1条1項5号、会社法施行規則54条)。・・・新株予約権を付与する株式会社と、新株予約権の割り当てを受け、申込みをする従業員。
  • 新株予約権者による払込み(会社法246条)・・・無償の場合はなし。
  • 新株予約権の発行会社による、新株予約権原簿の作成と管理・備え置き(会社法249条、252条)。
  • 募集新株予約権の発行の登記申請(会社法911条)。
  • 新株予約権の発行会社による、特定新株予約権の付与に関する調書(同合計表)提出[3]

ストック・オプションに関する会社の計算処理

ストック・オプションを従業員に無償で付与

株式報酬費用○○円/新株予約権○○円 

・貸借対照表の純資産の部に新株予約権として計上

権利行使時

 当座   ○○円/資本金○○円

新株予約権○○円

新株を発行した場合には、新株予約権として計上した額のうち、当該権利行使に対応する部分を払込資本に振り替える。

新株予約権の行使に伴い、当該企業が自己株式を処分した場合には、自己株式の取得原価+新株予約権の帳簿価額+権利行使に伴う払込金額の合計額との差額は、自己株式処分差額であり、平成17年12月改正の企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」第9項、第10項及び第11項により会計処理を行う。

権利失効時

新株予約権○○円/新株予約権戻入益○○円

権利不行使による失効が生じた場合には、新株予約権として計上した額のうち、当該失効に対応する部分を利益として計上。

税制適格要件について

1. 行使時の課税(税制適格ストック・オプションの場合)

・税制適格ストック・オプションの場合、行使時には非課税。この時点では株を売却していないため、所得税や住民税は発生しない。

2. 株式売却時の課税

後日、株式を売却した時点で、株価が上昇していた場合。譲渡益に対して、譲渡所得税を課税。

 最終的に売却した際の譲渡益に対して、税金が課される。税制適格ストック・オプションの場合、行使時には課税されず、株式を売却した時点でのみ譲渡益に課税されるため、税負担が売却時まで先延ばしされるのが特徴。

税制適格要件を満たさない場合[4]

【税制適格要件を満たさないストック・オプションの場合の課税】

税制非適格ストック・オプションでは、2つのタイミングで課税。

行使時(給与所得として課税[5]

株式売却時(譲渡所得として課税)

1. 行使時の課税

新株予約権の行使時点での株価と、権利行使価格の差額を課税対象として、給与所得として課税。

2. 株式売却時の課税

 株式譲渡益に対して、譲渡所得税を課税。

税制適格を受ける要件

・ストック・オプションの付与対象者が税制適格の対象者であること。

 雇用契約締結前の内定者は、原則として税制適格の対象とならない[6]。例外として、内定者が正社員として入社する前に、アルバイト等としての雇用契約を締結したうえで業務に従事することが可能であれば、税制適格ストック・オプションを発行することができる可能性がある。

・権利行使価額が割当契約時の株価の時価以上であること。

・租税特別措置法29条の2第1項各号[7]において、割当契約に定められていることとされている内容が、割当契約に定められていること。

・無償発行

・付与対象者

・権利行使期間

・権利行使価額

・権利行使限度額

・譲渡禁止

・新株予約権の講師に係る株式の交付

・行使により交付される株式についての管理型信託を行う場合は、前提として株券発行会社への定款変更。

・その他 ベスティング(一定の時期の経過に応じて権利を確定させる契約条件)の定め。・・・目的の一つとして、ストック・オプションの権利行使後における人材離脱を防ぐ。

 内定者が別の会社で勤務中である場合、前職の会社の就業規則で兼業の定めを確認。

  • 2 当社は、M&Aによるイグジット(投資資金の回収)も視野に入れているため、IPO(新規株式公開)前にM&Aをする場合は、その時点で行使できる余地を残したいと考えているが、そのような設計は可能か。

行使条件として、買収(例えば、発行済み株式総数の50%超の株式の譲渡や発行会社が消滅会社となる合併など)について、発行会社が承認した場合に、承認後一定期間内に限りストック・オプションを行使することができる形を考えることができる。

 その他の方法

・買収が生じた場合は取得事由に該当する設計とし、会社が買収時にストック・オプションを新株予約権者との合意により、自己新株予約権として取得し、消却したうえで(または従業員から新株予約権を放棄してもらったうえで)、別途賞与等で手当てすること。

・自己新株予約権の取得

仕訳例

自己新株予約権 ○○円/支払対価 ○○円

・自己新株予約権の消却

仕訳例

新株予約権 ○○円/自己新株予約権 ○○円

自己新株予約権消却損 ○○円(借方)、または自己新株予約権消却益 ○〇円(貸方)[8]

・買収者のストック・オプションや株式を代わりに交付すること。

・買収者が新株予約権のまま従業員から買い取ること。

信託型のストック・オプションについて

 新株予約権の行使時に、給与取得として所得税の課税対象[9]

ストック・オプション(新株予約権)付与の目的・・・現在の収入の代替目的など。

その他

経済産業省 募集新株予約権の機動的な発行(ストックオプション・プール)に関する制度 https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/stockoptionpool/index.html

・・・取締役会設置会社において、取締役会に委任できる範囲を拡大(会社法239条の特例として、産業競争力強化法21条の29、産業競争力強化法に基づく募集新株予約権の機動的な発行に関する省令、産業競争力強化法第21条の19第1項に規定する経済産業大臣及び法務大臣の確認に係る審査基準、令和6年9月2日経済産業省、法務省「産業競争力強化法に基づく募集新株予約権の機動的な発行に関するQ&A)。

拡大範囲

・権利行使価額

・権利行使期間

適用要件

・非公開会社であること

・設立の日から15年未満か等

・要件を満たしていることの経済産業大臣、法務大臣の確認を受けること。


[1] 経済産業省ストック・オプション税制

https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/stock-option.html

[2] 租税特別措置法施行令29条の2

[3] 国税庁 F3-3 特定新株予約権の付与に関する調書(同合計表)募集新株予約権の発行日の翌年1月31日まで。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100073.htm

[4] 国税庁 No.1543 税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1543.htm

[5] 国税庁 給与所得者と税 国税太郎さん(給与530万円/年、社会保険料60万円/年、生命保険料2万円/年、配偶者有り、扶養2人)の場合、7,100円。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_1.htm

 

[6] 企業会計基準委員会、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」平成17年12月27日。従業員等とは、企業と雇用関係にある使用人のほか、企業の取締役、会計参与、監査役及び執行役並びにこれに準ずる者をいう。

[7] 租税特別措置法

https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026

[8] 企業会計基準委員会実務対応報告第16号「会社法による新株予約権及び新株予約権付社債の会計処理に関する実務上の取扱い」平成17年12月27日

[9] 国税庁「ストック・オプションに対する課税(Q&A)」令和5年5月最終改訂令和5年7月、所得税法施行令84条3項

登記情報2024年10月号

登記情報2024年10月号(755号)、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 境界紛争解決とADR

東京土地家屋調査士会境界紛争解決センター センター長 味田昌也

 筆界と占有界、所有権界に誤差の範囲内では処理しきれない誤差が生じる場合。

特 集 近時の民事法制・重要判例先例

民事基本法制の立法動向

法務省大臣官房司法法制部長(前大臣官房審議官) 松井信憲

 法務省 民法等の一部を改正する法律について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html

 公益Information 公益信託に関する法律

https://www.koeki-info.go.jp

 法務省 法制審議会-区分所有法制部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00004

 法務省において、法案の立案作業中。

 衆議院 事業性融資の推進等に関する法律案

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/213/meisai/m213080213057.htm

 譲渡担保権の内容や被担保債権の範囲に関する規律。

 集合動産譲渡担保契約について対抗要件の特例等を定めること。

 所有権留保契約の効力について。

法務省 法制審議会-担保法制部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003008.html

金融庁 金融審議会 事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/base_gijiroku.html

 法務省 法制審議会-商法(船荷証券等関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00002

 商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案

法務所 法制審議会-民法(遺言関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00009

 自筆証書遺言のデジタル化について

公益社団法人商事法務研究会 成年後見制度の在り方に関する研究会

https://www.shojihomu.or.jp/list/seinenkoken

 法制審議会民法部会において調査審議中。

近時の重要判例と士業実務

司法書士 早川将和

最判二小判令5・11・27判タ1519号162頁

 抵当権の登記を重視。登記後は差押え前であっても、将来賃料債権を受働債権とする相殺をして抵当権者に対抗することは出来ない。

最三小決令6・3・19銀法912号69頁

 真正相続人の相続回復請求権(民法884条)の消滅時効の前後に関わらず、表見相続人は、真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる。

最二小判令6・6・21LLI/DB判例秘書L07910030

 親の現在の法的性別は認知の届出(民法781条)は受理される。

最三小決令6・3・27LLI/DB判例秘書L07910009

 医療法46条の3の2第4項、理事長は、総社員の五分の一以上の社員から社員総会の目的である事項を示して臨時社員総会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれを下回る割合を定めることができる。について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律37条2項、次に掲げる場合には、前項の規定による請求をした社員は、裁判所の許可を得て、社員総会を招集することができる。一前項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合、二前項の規定による請求があった日から六週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を社員総会の日とする社員総会の招集の通知が発せられない場合、を準用規定がないので、類推適用することは出来ない。

最二小判令6・4・19LLI/DB判例秘書L07910011

 株券発行会社における株主間の株式の譲渡は、株券発行前であれば、契約のみで効力が生じる。

大阪高判令4・128法学教室511号136頁

 取締役の善管注意義務、忠実義務について(会社法330条、355条)。

近時の重要先例と士業実務

司法書士 田口真一郎

令和5年3月30日民二第555号回答

 本人確認情報(不動産登記法23条4項1号、不動産登記規則72条)を作成するにあたり、テレビ電話会議システムによる方法が可能と考えられる要件について。

・・・遠隔の場合、テレビ電話会議に依頼者の現地に事務所を持つ司法書士に同席してもらい、同時に画面で映って確認する方法もあるのかなと思います。

令和5年9月12日民二第927号通達

 相続登記における過料の消極要件について。

令和5年12月15日民二第1596号通達

 外国に住所がある外国人・外国を本店等とする法人の住所・本店等を証する情報について。

令和5年12月18日民二第1619号回答

 相続を広義の原因とする登記申請において添付する被相続人の同一性を証する情報について、性別を補完する情報。

令和6年3月15日民二第535号通達

 相続人申告登記の抹消申出を、次順位相続人が出来るかについて。

令和6年3月19日法務省民事局民事第二課補佐官事務連絡

 租税特別措置法84条の2の3の第1項と第2項の関係について

令和6年3月21日民二第569号通達

 登記申請時における法定相続情報の提供について。

令和6年3月22日民二第551号通達

 所有権の登記事項に法人等が記録される場合の取扱いについて。

令和6年3月22日民二第552号通達

 所有権の登記名義人に、ローマ字併記が認められる場合と添付が必要な情報について。

令和6年3月27日民二第553号通達

 所有権の登記名義人が旧氏併記の申出が可能な場合と必要な情報について。

令和6年4月1日付け民二第555号通達

 不動産登記法116条6項に関する通達。信託目録に記録されている者について、不動産登記法97条1項11号その他の信託の条項に記録される者についても適用があるのか、分かりませんでした。

法制審議会だより

民法(成年後見等関係)部会、第1回~第4回会議を開催

編集部

法務省 法制審議会-民法(成年後見等関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

 現在7回まで開催。重度の身体障害により意思疎通が困難な場合など、法定後見制度の対象となる範囲について。

 

民法(遺言関係)部会、第1回~第4回会議を開催

編集部

法務省 法制審議会-民法(遺言関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00009

 遺言が要式行為であることの趣旨を確認。死亡危急時遺言や一般隔絶地遺言等の見直しについて検討。

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第2回会議が開催される

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 金融財政事情研究会の主催。現在、4回まで開催。モデル定款に取締役会設置会社を含めることについて。既存システム(登記・供託オンライン申請システムや法人設立OSS)を有効活用し、モデル定款の作成を既存システムの新たな機能として位置付けた上で、国がその基本的機能を開発することとし、そのAPIを提供して民間が広く活用する方向で検討。

商業登記規則逐条解説 第22回

土手敏行

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023

(登記すべき登記記録等)

第九十四条外国会社の登記は、その登記をするに最も適する登記簿の種類に従つた登記記録にしなければならない。

2登記すべき事項の記録は、これに最も適する区に記録しなければならない。

 商号規定は適用されない。

(設立の準拠法等の記録)

第九十五条外国会社の設立の準拠法に関する登記は商号区に、外国会社の日本における代表者に関する登記は社員区又は役員区にしなければならない。

 外国会社の設立の準拠法は、具体的な法律名。外国会社の日本における代表者は、代表取締役や支配人の地位を持つ者でなくても良い。

(登記記録の閉鎖等)

第九十六条次の登記は、登記記録区にしなければならない。

一営業所を登記所の管轄区域外に移転した場合において、当該営業所の旧所在地においてする移転の登記(登記所の管轄区域内に他の営業所がある場合を除く。)

二営業所を閉鎖した場合において、当該営業所の旧所在地においてする閉鎖の登記(登記所の管轄区域内に他の営業所がある場合及び登記所の管轄区域内に日本における代表者の住所地がある場合(すべての日本における営業所を閉鎖した場合に限る。)を除く。)

三日本に営業所を設置している外国会社のすべての日本における代表者(日本に住所を有するものに限る。)の退任の登記(清算の開始の命令がある場合を除く。)

四日本に営業所を設置していない外国会社の日本における代表者がその住所を登記所の管轄区域外に移転した場合において、当該代表者の旧住所地においてする移転の登記(登記所の管轄区域内に他の日本における代表者の住所地がある場合を除く。)

五日本に営業所を設置していない外国会社が登記所の管轄区域外に営業所を設置した場合において、当該外国会社の日本における代表者の住所地においてする営業所の設置の登記

六日本に営業所を設置していない外国会社の日本における代表者の住所地においてする当該代表者の退任の登記(登記所の管轄区域内に他の日本における代表者の住所地がある場合及び清算の開始の命令がある場合を除く。)

七清算結了の登記

2前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

 外国会社の登記のうち、登記記録区にする登記を規定。登記記録の閉鎖について。

(準用規定)

第九十七条第九条の四第二項の規定は、外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者)が登記の申請をする場合について準用する。

2第六十五条第一項の規定は、法第百三十一条において準用する法第五十二条第二項の規定による申請書の送付について準用する。

3第七十四条及び第七十五条の規定は、外国会社の登記について準用する。

 国税庁 アイルランド共和国に本店を有する法人が我が国会社法の規定に基づき日本における代表者の選任及び外国会社の登記をし、その代表者が日本において一定の行為をした場合の恒久的施設の有無の判定

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/hojin/230222/index.htm

空き家問題の解消および相続登記の申請義務化における司法書士の役割

江島・猪之鼻司法書士事務所、日本司法書士会連合会 常任理事 猪之鼻久美子

 一般財団法人国土計画協会 所有者不明土地問題研究会

https://www.kok.or.jp/project/research.html

 各市町村における空き家対策協議会への参加。海外に移住した相続人や国内に居住する外国籍の方からの相談など、渉外登記業務についての対応。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑷―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 依頼者の属性、依頼の種類・目的、形態、同種の依頼との比較など。

法律業務が楽になる心理学の基礎第13回 産業・組織心理学から見た社会的手抜きと働く意義

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 社会手抜き。集団で仕事をすると生産性が低くなる原因。キャリアの自己責任化との関係。

供託ねっと―実務から学ぶ供託―第113回 不法行為に基づく損害賠償金の供託について、供託者による取戻請求をさせないために被供託者が採り得る手段について

甲府地方法務局供託課長 小山真治

 供託受諾書について(供託規則48条)。

第66話 「共済」って知っていますか?

司法書士法人鈴木事務所、司法書士 鈴木龍介

 全税共年金

http://www.zenzeikyo.com/nenkin.html

実務の現場から

台湾人の相続登記―令和5年12月15日付け法務省民二第1596号通達を踏まえて

司法書士 竹内淳史

 登記研究804号P325、2015年2月28日発行【登記簿】台湾の会社を登記権利者とする所有権の移転の登記に係る添付情報について

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