THINK司法書士論叢会報第123号

THINK司法書士論叢会報第123号2025年03月

日本司法書士会連合会

https://www.shiho-shoshi.or.jp/gallery/think

不動産登記行政と司法書士の役割

京都大学法学部研究科教授 原田大樹

現行の不動産登記法は、民事法ではなく行政法。建築確認と比較して、不動産登記は一定の事実を公に証明するする意味を持っており、反証により覆すこともそうていされるから、登記官による審査の密度や登記という行政行為の存続に関する安定性への期待は大きくないから、登記官を行政庁とすることを許容。

 表示に関する登記の申請が義務。登記申請があった場合の諾否の応答義務あるいは審査義務に関する規定が、不動産登記法上明確でない。

 表題部に所有者を記載する行為は、所有権保存登記申請をなしうる地位が与えられるので行政処分。

 登記手続案内は、行政手続法でいえば、許認可等に係る行政指導、情報提供の一環。

 現実世界の情報を電子データ化し、多数のセンサーを配置してデータの入力を包括的に自動化するようなインターフェースのような役割が司法書士に求められる。

 

不動産登記の公開と個人情報の保護

平成国際大学法学部教授 小西飛鳥

 不動産登記法(個人情報の保護に関する法律の適用除外)

https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123#Mp-Ch_7

第百五十五条 登記簿等に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。

 

受付帳が開示される根拠・・・個人情報の保護に関する法律(保有個人情報の開示義務)第七十八条1項2号イ

 ドイツとの比較から、不動産登記情報の閲覧を、正当な利益を持つ者に制限することの検討。

世界の多様な家族法制と日本における渉外的相続の規律

一橋大学大学院法学研究科教授 竹下啓介

 どの法域の方が準拠法となるかの判断。

 当事者が実際に形成した関係と、相続準拠法が想定する同棲カップルに対して認める関係にずれがある場合の調整。

デジタル時代の不動産登記における司法書士の役割―複数の司法書士が一連の取引に関与する場合の問題点等―

司法書士総合研究所 不動産登記制度研究部会

 東京高判令和元年5月30日判時2440号

前件の登記申請手続を代理する司法書士がいる場合においては、前件の登記手続書類等の真否等の判断する義務・責任は、前件の登記申請手続を代理する司法書士が負う。後件の登記申請手続を代理する司法書士は、特段の委任を受けている場合を除き、前件の登記申請について判断する義務・責任を負わない。

 最判令和2年3月6日民集74巻3号P149

前件の司法書士の、後件の登記権利者に対する不法行為責任を認めている。

 不動産取引に複数の司法書士が関与する場合の委任契約の内容。依頼内容、

報酬、責任の範囲の明示。

 

合同会社の持分の一般承継についての定款規定に関する一考察

宮城県司法書士会 立花宏

 会社法608条の一般承継規定を、定款に定めるか否かの判断基準、定める場合の内容。

 民法の組合との比較。組合契約で組合員の地位の相続を認めている場合、有効。

 旧商法時代の合資会社の、代表権を有することが出来なかった業務執行権を有する有限責任社員との比較。有限責任社員の地位を当然に相続することが出来るが、業務執行権については、改めて相続人に業務執行権を与える旨の定款の定めを設ける決議が必要。

 代表権を有する無限責任社員がとの比較。無限責任社員の地位を相続するかは定款自治による。

 会社法施行後。原則は持分の一般承継を認めない。定款で許容する規定を設けた場合は認める。

 合同会社の定款に、持分の一般承継がない場合。資本金、資本剰余金、利益剰余金の会計・税務の取扱いと、それに伴う債権者保護手続。

登記研究135号P40、昭和34年1月14日民事甲第2723号民事局長回答「遺産分割と相続人の一部入社登記の可否について」

国税不服審判所令和4年6月2日裁決

https://www.kfs.go.jp/service/JP/127/05/index.html

合資会社の無限責任社員が死亡退社したことに伴い発生した持分払戻請求権の価額のうち当該社員の出資額を超える金額は、当該社員に対する配当とみなされるとして、所得税等の更正処分等を行ったことに対し、当該社員の相続人である審査請求人が、上記持分払戻請求権に係る金銭等の交付を受けておらず、配当とみなされる金額はないなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案

登記研究187号P71、昭和38年5月14日民事甲第1357号民事局長回答「有限責任社員の死亡と相続人数人中の一人のみによる入社登記申請の受否について」

登記研究767号P125、2012年1月30日【商業・法人登記のアクセスポイント】(1)

合資会社の無限責任社員の持分について遺言がある場合。

 定款の定め方により共同相続人全員の加入の登記を不要とする。社員が死亡した場合には、他の社員の承諾を得てその相続人が当該社員の持分を承継する、社員が死亡した場合には、その相続人(当該相続人間で決定した一名に限る。)が当該社員の持分を承継する。→共同相続人の全員に加入の登記を経る必要はない。

一般承継を認める相続人を特定しておく定款の定め→定款の定めを設けた時以後に相続人が変更になる場合に備えて。

合同会社の定款に、一般承継規定を設ける場合。一般承継規定を認める趣旨のみの意図か、遺産分割により決定された特定の相続人のみの承継を認める等の趣旨なのか明確に。

社員の数による一般承継の定めの必要性。社員ごとに定めるケース。清算人は社員である必要はない。始期付持分譲渡契約締結のケース。

民法262条の2と相続手続き~相続分の譲渡との対比を踏まえて~

神奈川県司法書士会 吉村比呂志

 相続分の譲渡の類型、譲受人は第三者か共同相続人か、譲渡の対象は相続分全部か特定の財産か。

 最高裁判所第二小法廷昭和50年11月7日 判決

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54192

共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が当該共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である。

登記研究926号令和7年4月号

登記研究926号(令和7年4月号)

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

【論説・解説】

■商業・法人登記制度をめぐる動向と展望(2)

名古屋法務局長(前福岡法務局長) 土 手 敏 行

3 商業・法人登記に関する各種申出制度

  •  氏名・住所の表記、登記事項証明書の記載は様々

旧氏併記、DV被害者等住所非表示、代表取締役等住所非表示の各制度と比較。DV被害者等住所非表示は、代表取締役等住所非表示と異なり株式会社以外でも利用可。

  •  司法書士制度を活用─商業登記で初めて「資格者代理人」と明記─

 商業登記規則31条3における本店が実在することを確認したことを証する情報。犯罪による収益の移転防止に関する法律上の法人の実質的支配者を特定したことを証する情報。

 令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務省民事局長通達

 ~第三者から当該株式会社を所有権の登記名義人とする不動産の登記事項証明書等を添付した上で当該株式会社の清算が未了である旨の情報提供が登記官に対してあった場合~

  •  代表取締役等住所非表示までの経緯

 依頼者への説明時には、法務省ホームページの写しを渡すなど。

  •  実質的支配者リスト制度

 外国人の利用が多い印象。

4 起業・投資促進

  •  早期完了の取組

 通常処理ではなく優先処理。

 平成18年1月20日付け法務省民商136号法務省民事局商事課長通知「司法書士が作成代理人として記名押印又は署名している定款が添付された登記申請の取扱いについて」

  •  その他の起業・投資促進の取組

 目的は総務省の産業分類が1つの目安になり、英訳がついている。設立時に日本に口座を持っていない場合。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係)(3・完)

東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介

第3 施行通達の解説(承前)

 ○第4 相続人申告登記の抹消

 例えば、所有権の登記名義人Xの相続人としてAが相続人申告名義人として付記されている場合、当該付記を抹消することなく、Bのみを所有者とする相続による所有権移転登記は可能。

 相続放棄をしたことを証する情報として、相続放棄申述受理証明書を想定。

 ○第5 経過措置

 ○第6 その他

ポイント解説■基礎から考える商業登記実務(第8回)

東京法務局民事行政部第一法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

ポイント:合同会社の業務執行社員の加入及び代表社員の就任による変更の登記について(その2)

4 持分の譲渡による業務執行社員の加入及び代表社員の就任の登記

 持分は社員たる地位。

 登記研究698号平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」P179

 社員が法人である場合

 業務執行社員の持分譲渡にかかる承諾の意思表示・・・法人の代表者

 業務執行社員でない社員の持分譲渡にかかる承諾の意思表示・・・法事の職務執行者(法人の代表者という見解あり。)

 総社員の同意により持分の譲渡によって加入する社員に係る定款の変更をする場合の社員・・・持分の譲受人、譲渡人を除く。定款で業務執行社員を定めている場合の定款変更に同意する社員には、持分の譲受人は含まれる。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第131回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問 神 﨑 満治郎

医療法

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205#Mp-Ch_6-Se_7

 第五十六条の七 清算人の職務は、次のとおりとする。

一 現務の結了

二 債権の取立て及び債務の弁済

三 残余財産の引渡し

2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

第五十六条の八 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、判明している債権者を除斥することができない。

3 清算人は、判明している債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4 第一項の公告は、官報に掲載してする。

・清算事務報告書

■逐条解説不動産登記規則(55)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

不動産登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018

(合筆の登記の制限の特例)

第百五条 法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。

一 承役地についてする地役権の登記

二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの

三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの

四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの

 不動産登記法41条6項により委任された規定。共同担保権であっても、受付番号が異なる場合は不可。

■公益認定法令の改正について─公益法人の機関に関連する改正点を中心に─

内閣府公益認定等委員会事務局政策企画調査官、司法書士 永 渕 圭 一

第1 はじめに

第2 外部理事及び外部監事の導入

 理事が法人内部の委員会において委員を務め、助言や審議を行う行為は、当該理事が単独で法人の事業に係る意思決定を行う行為ではないことから、業務を執行したとはみなされない。

 令和6年改正法施行の際に現存する公益法人において、外部理事の選任義務については、当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日から適用。

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律

https://www.koeki-info.go.jp/commissions/8juzxi8nhf.html

附則第5条第2項 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十五号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。

第3 理事と監事の間の特別利害関係の排除

第4 会計監査人の設置義務の拡大

 適用除外基準の引き下げ。

第5 定款の変更について

 外部理事・監事の選任規定。会計監査人の設置の定め。

■民事信託の登記の諸問題(43)

渋 谷 陽一郎

信託法182条1項2号(残余財産の帰属権利者)の定めが登記されていない場合。

登記研究224号P48、昭和41年5月16日民事甲第1179号民事局長回答「信託の登記ある不動産についての抵当権設定登記申請の受理について」の適用範囲。

 信託法31条2項(利益相反行為の制限に対する例外)と比較。1号による信託行為の記載。2号による受益者の承認の記載。

 受託者が残余財産を与えることと、信託法8条(受託者の利益享受の禁止)の関係。

 受益権が相続されない場合、その旨を登記する必要性。

市民と法152号2025年4月

市民と法152号2025年4月、(一社)民事法研究会

https://www.minjiho.com/search/g107194.html?srsltid=AfmBOoqr_PTsMpjja9unz9hW32dIde_aS8swm_6RVKd4G5nnbNHgxWp8

大論公論 「原点」――あるべき司法書士として働く――

 全国青年司法書士協議会会長 加藤 圭

 今、司法書士が社会にとって必要とされているのか、境界線に立っている。

【論説/解説】

・現代相続における司法書士の役割についての研究―時代に合致した司法書士による手続支援モデルの構築と提案―

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所業務開発研究部会主任研究員・司法書士 石田光曠、研究員・司法書士 平野次郎、研究員・司法書士 村上 毅、研究員・司法書士 小坂和義、研究員・司法書士 宮澤智史

 英米法採用国・・・管理清算主義。

 大陸法採用国・・・当然承継主義(実務では管理者による事実上の管理清算型相続手続き)。

 報酬基準の法定。日本版相続証明情報の提案。遺産分割協議への専門職の関与の仕方。生前対策としてエンディングノート普及の必要性。日本版代表者登記制度の導入提案。ファシリテータとは、舵取り役・仕切り役。

・AI技術・弁護士法・司法書士法から照射される士業の制度的正当(統)性の根拠と課題―自己決定権とパターナリズムの相克・情報の非対称性の観点からの省察―

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所司法・司法書士制度研究部会主任研究員・司法書士 木曽雄高

 弁護士法、司法書士法は国家が父権的に市場に介入することを趣旨として法律であり、情報の非対称性を解消という機能を有している限り、正当性を見出すことが出来る。

 Aiが法的権利義務帰属主体になり得るかについて・・・経済的な補償は可能かもしれませんが、身体の拘束が不可能なので難しいと感じます。

・会社秘書役制度に関する調査と法定手続の不遵守是正の提言

 日本司法書士会連合会司法書士総合研究所商業登記制度研究部会主任研究員・司法書士 神沼博充、研究員・司法書士 坂本佳弥子、研究員・司法書士 岩本直也、研究員・司法書士 齊藤詩織、研究員・司法書士 岩﨑 諭

 イギリスの会社秘書役は、会社法改正により、取締役の補助者から、会社の業務管理に係る総責任者的な位置づけに機能・責任が拡大。

https://www.gov.uk/limited-company-formation/appoint-directors-and-company-secretaries

 オーストラリア、香港、シンガポール、マレーシアにおける会社秘書役の紹介。

 日本に会社秘書役を置く場合のイメージとしては、会計参与の法的手続版。

・大深度地下使用法の現状と課題

 島根県立大学名誉教授 平松弘光

大深度地下の公共的使用に関する特別措置法

https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000087

【特集】国土安全保障と土地法

Ⅰ 企画趣旨

  大阪公立大学教授 久末弥生

国土交通省 WISENET(ワイズネット)2050

https://www.mlit.go.jp/road/wisenet_policies

Ⅱ 縮小社会に適応する地域空間管理法制と法的課題―老朽危険空き家対策を素材として―

  上智大学教授 北村喜宣

 民法の公法化、土地基本法の改正、空家等対策の推進に関する特別措置法の制定。指導、勧告、命令を受けた者が死亡した場合の効力。長屋。市区町村長の申立てによる成年後見制度の利用に代わる、民事訴訟法35条の特別代理人制度の利用検討。

Ⅲ 遊水地地役権の展開と課題

  拓殖大学教授 奥田進一

特定都市河川浸水被害対策法

https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000077

 明渡執行の考え方と諸問題

 元大阪地方裁判所執行官 櫻井俊之

土地の特定

原則・・・土地上に境界標識が存在する場合は検尺を基に見取図を作成。境界標識等が存在せず土地の境界が執行場所を特定した図面を添付。

例外・・・法務局に目的土地と同一の地積測量図が存在する場合は図面等添付不要。基点からの距離が示されていない地積測量図は検尺して見取図の作成。

未登記建物

家屋番号・・・未登記と記載。

相続・今昔ものがたり(46)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続の欠格(その3)

 家督相続人の不選定の場合に新民法附則25条2項が被相続人の死亡時にさかのぼって新民法が適用されるとき、その新民法の規律がどこまで適用されるのか。

登記研究35号P30、昭和25年10月7日民事甲第2682号民事局長回答、家督相続人不選定と旧民法中の数次相続。

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務(11)反社条項と FATF 勧告(1)

 司法書士 渋谷陽一郎

 日司連ガイドラインの作成経緯が公開されていないこと。日本司法書士会連合会「民信託支援業務の執務ガイドライン」と「司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ロンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン」の関係。

令和6年4月17日財務省「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」

月刊登記情報2025年4月761号

月刊 登記情報2025年4月(761号)

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

法窓一言 士業への災害復興法学のすすめ

銀座パートナーズ法律事務所、弁護士・気象予報士・博士(法学) 岡本 正

 罹災証明書。被災者生活再建支援金、災害弔慰金、自然災害債務整理ガイドライン。

戸籍の氏名の振り仮名の公証化について

法務省人権擁護局調査救済課長(前法務省民事局民事第一課長) 櫻庭 倫

 戸籍法第十三条 戸籍には、本籍のほか、戸籍内の各人について、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 氏名

二 氏名の振り仮名(氏に用いられる文字の読み方を示す文字(以下「氏の振り仮名」という。)及び名に用いられる文字の読み方を示す文字(以下「名の振り仮名」という。)をいう。以下同じ。)

3号以下略。

 戸籍法・・・氏名の振り仮名を戸籍の記載事項とすること。振り仮名は一般的な読み方、現に使用・社会的に通用している読み方である必要があること。振り仮名を変更しようとするときは、原則として家庭裁判所の許可を必要とすること。

 戸籍法施行規則・・・氏名の一般的な読み方に利用することが出来る文字、記号の範囲の定め。一般的な読み方であることの審査方法。振り仮名の変更があった場合の戸籍への手続き。

 審査に関する法務省民事局長通達・・・振り仮名として認められる具体例、認められない具体例。

法制審議会だより

法制審議会民法(成年後見等関係)部会、第13回・第14回会議を開催

編集部

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

任意後見制度、法定後見制度の開始・終了に関する検討事項。

逐条解説 スタートアップ向けモデル原始定款_v1.1 第3回

BAMBOO INCUBATOR司法書士チーム有志

石本憲史/川井秀一/笹野隼人/佐藤大輔/松本光平/丸山洋一郎

新連載

 取締役の員数は下限規定。取締役選任決議における累積投票の廃除(会社法342条)。取締役の任期について、会社法339条2項の損害賠償の額の算定に関する考え方。定款変更した場合における会社法339条2項の類推適用の要件。業務の執行(会社法348条)について。決算月と創業融資の関係。一年一期。

 取締役会非設置会社の期中配当条項。資本金の額が100万円未満の場合と100万円以上の場合における、資本準備金に組み入れる要件。

スタートアップ支援 第1回 大学発スタートアップ支援の基礎~一般的なスタートアップ支援との差分から考える

BAMBOO INCUBATOR

千葉直愛/丸山洋一郎/原 大介/浅岡陽介/加藤淳也/柳田 駿

 事業の類型。法人設立のタイミング。GAPファンドの活用可能性考慮。共同研究契約締結のタイミング。大学の現役教員が株主・取締役になる場合の利益相反の考慮。スタートアップを志す場合は株式会社。新株を発行することが出来ない合同会社は、選択肢に入らない。補助金助成金、融資の活用検討。知的財産権の取扱い。

「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の考察~身元保証業界の健全な発展に向けて~ 第2回

株式会社あかり保証/清水勇希/谷口陽輔/渡邉慶太郎/上内紀裕/東田仁美

 ガイドライン違反に関して罰則はなく、事業者への自主規制という性質。関係各所との連携・役割分担が重要とされていること。今後の課題として、事業者が死亡届の届出資格者に含まれるかの検討、事業者の認定制度の検討が挙げられていること。

全国高齢者等終身サポート事業者協会準備委員会

https://www.senior-supportass.com

チェックリストの中に、利用者への重要事項説明書の交付が記載されていること。株式会社あかり保証は、契約書を公正証書にしている。預託金の管理方法・管理状況について、利用者と共有できる体制を整備すること。預託金を事業者の運転資金等と区分するため、株式会社あかり保証は、利用者ごとに預託金を信託口座で管理している。

商業登記規則逐条解説 第28回

土手敏行

商業登記規則

(登記事項証明書等の交付の請求の方法)

第百七条 第百一条第一項第八号の規定により登記事項証明書又は印鑑の証明書の交付の請求をするには、申請人等は、法務大臣の定めるところに従い、次の各号に掲げる事項に係る情報(印鑑の証明書の交付の請求にあつては、当該情報に第百二条第一項に規定する措置を講じたもの)を送信しなければならない。

一 この規則の規定により申請書に記載すべき事項

二 登記事項証明書の交付を求めるとき(第四号に規定するときを除く。)は、登記所で交付を受ける旨

三 印鑑の証明書の交付を求めるとき(第五号に規定するときを除く。)は、登記所で交付を受ける旨及び印鑑カード番号

四 登記事項証明書の送付を求めるときは、その旨及び送付先の住所

五 印鑑の証明書の送付を求めるときは、その旨、印鑑カード番号及び送付先の住所

2 代理人によつて前項の規定による請求をするときは、法務大臣の定めるところに従い、その権限を証する書面に代わるべき情報(印鑑の証明書の交付の請求にあつては、当該情報にその作成者が第百二条第一項に規定する措置を講じたもの)を併せて送信しなければならない。

3 第百二条第三項、第四項及び第五項第一号の規定は、第一項の規定により印鑑の証明書の交付の請求をする場合に前二項の情報と併せて送信すべき電子証明書に準用する。

4 第一項の規定による請求については、第二十二条第二項(印鑑の証明書の交付の請求にあつては、印鑑の証明書の送付を求める場合(以下「印鑑の証明書の送付の請求」という。)に限る。)、第二十八条第二項及び第三十三条の規定並びに第二十九条の規定中申請書への記載に関する部分は、適用しない。

5 第一項の規定により登記事項証明書の交付を受けようとするとき(登記事項証明書の送付を受けようとするときを除く。)は、法務大臣の定める事項を申告しなければならない。

6 第一項の規定による印鑑の証明書の交付の請求(印鑑の証明書の送付の請求を除く。)についての第二十二条第二項の規定の適用については、同項中「前項の申請書を提出する場合」とあるのは「第百七条第一項の規定により印鑑の証明書の交付を受けようとする場合」と、「印鑑カード」とあるのは「法務大臣の定める事項を申告し、及び印鑑カード」とする。

7 第百一条第一項に規定する方法により登記事項証明書又は印鑑の証明書の交付の請求をする場合において、手数料を納付するときは、登記官から得た納付情報により納付する方法によつてしなければならない。

 オンラインによる登記事項証明書、印鑑の証明書の交付請求、受取方法の定め。

(氏名等を明らかにする措置)

第百八条 情報通信技術活用法第六条第四項に規定する氏名又は名称を明らかにする措置であつて主務省令で定めるものは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。

一 第百二条第一項の規定による登記の申請、第百五条の二第一項の規定による住所非表示措置等の申出、第百六条第一項の規定による印鑑の提出若しくは廃止の届出、第百六条の二第一項の規定による電子証明書による証明の請求、第百六条の三第一項の規定による電子証明書の使用の廃止若しくは電子証明書の使用の再開の届出、第百六条の四第一項の規定による識別符号の変更の届出、第百六条の五第一項の規定による電子証明書による証明の再度の請求又は前条第一項の規定による印鑑の証明書の交付の請求 当該署名等をすべき者による第百二条第一項に規定する措置

二 前条第一項の規定による登記事項証明書の交付の請求 申請人等の氏名又は名称に係る情報を入力する措置

 登記事項証明書、印鑑証明書の交付請求を行う場合の氏名・名称の記載に関する定め。

目で見る筆界の調査・認定事例

第12回 登記所備付け地積測量図により筆界を認定した事案

富山地方法務局砺波支局長、角間隆夫(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣地所有者が筆界の確認に応じない場合でも、登記所に筆界の復元基礎情報といい得る図面情報が記録された地積測量図が備え付けられ、境界標が現地に存在し、各境界標を測量した結果や関係する他の土地の所有者等も境界標が示す位置を筆界点と認識しており、隣地所有者と立会いや筆界確認情報の提供がなくても筆界関係登記を処理して再分筆の登記をした事例。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑽―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 疑わしい取引の判断を行う指標として、犯罪による収益の移転防止に関する法律8条1項から3項まで。

3項の詳細として、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/420M60000F5A001

(法第八条第三項に規定する主務省令で定める方法)

第二十七条 法第八条第三項に規定する主務省令で定める方法は、次の各号に掲げる特定事業者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。

一 法第二条第二項第一号から第四十四号までに掲げる特定事業者 次のイからハまでに掲げる取引の区分に応じ、それぞれ当該イからハまでに定める方法

イ 特定業務に係る取引(ロ及びハに掲げる取引を除く。) 前条第一号に規定する項目に従って当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認する方法

ロ 既に確認記録又は法第七条第一項に規定する記録(以下ロにおいて「取引記録」という。)を作成し、及び保存している顧客等(ハにおいて「既存顧客」という。)との間で行った特定業務に係る取引(ハに掲げる取引を除く。) 当該顧客等の確認記録、当該顧客等に係る取引記録、第三十二条第一項第二号及び第三号に掲げる措置により得た情報その他の当該取引に関する情報を精査し、かつ、前条第一号に規定する項目に従って当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認する方法

ハ 特定業務に係る取引のうち、法第四条第二項前段に規定するもの若しくは第五条に規定するもの又はこれら以外のもので法第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書(以下単に「犯罪収益移転危険度調査書」という。)において犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備の状況から注意を要するとされた国若しくは地域に居住し若しくは所在する顧客等との間で行うものその他の犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して犯罪による収益の移転の危険性の程度が高いと認められるもの イに定める方法(既存顧客との間で行った取引にあっては、ロに定める方法)及び顧客等又は代表者等に対する質問その他の当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認するために必要な調査を行った上で、法第十一条第三号の規定により選任した者又はこれに相当する者に当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認させる方法

二 法第二条第二項第四十七号から第四十九号までに掲げる特定事業者 次のイからハまでに掲げる特定受任行為の代理等の区分に応じ、それぞれ当該イからハまでに定める方法

イ 特定受任行為の代理等(ロ及びハに掲げる特定受任行為の代理等を除く。) 前条第二号に規定する項目に従って当該特定受任行為の代理等に疑わしい点があるかどうかを確認する方法

ロ 既に確認記録又は法第七条第二項に規定する記録(以下ロにおいて「特定代理等記録」という。)を作成し、及び保存している顧客等(ハにおいて「既存顧客」という。)のために行った特定受任行為の代理等(ハに掲げる特定受任行為の代理等を除く。) 当該顧客等の確認記録、当該顧客等に係る特定代理等記録、第三十二条第一項第二号及び第三号に掲げる措置により得た情報その他の当該特定受任行為の代理等に関する情報を精査し、かつ、前条第二号に規定する項目に従って当該特定受任行為の代理等に疑わしい点があるかどうかを確認する方法

ハ 特定受任行為の代理等のうち、当該特定受任行為の代理等に係る取引が法第四条第二項前段に規定するもの若しくは第五条に規定するもの又はこれら以外のもので犯罪収益移転危険度調査書において犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備の状況から注意を要するとされた国若しくは地域に居住し若しくは所在する顧客等との間で行うものその他の犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して犯罪による収益の移転の危険性の程度が高いと認められるもの イに定める方法(既存顧客のために行った特定受任行為の代理等にあっては、ロに定める方法)及び顧客等又は代表者等に対する質問その他の当該特定受任行為の代理等に疑わしい点があるかどうかを確認するために必要な調査を行った上で、法第十一条第三号の規定により選任した者又はこれに相当する者に当該特定受任行為の代理等に疑わしい点があるかどうかを確認させる方法

2項略。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント第72話 各種法人基本のキ~③学校法人~

司法書士法人鈴木事務所、司法書士 鈴木龍介

 文部科学省 私立学校法の改正について(令和5年改正)

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiritsu/mext_00001.html

学校法人会計基準

https://laws.e-gov.go.jp/law/346M50000080018

実務の現場から 相続登記義務化から1年を経て

司法書士 田口真一郎

 依頼者に対する過料要件(令和5年9月12日民二第927号通達)の伝え方。

 戸籍証明書の広域交付(戸籍法120条の2)が郵送請求、代理人による請求を認めていないこと。

登記研究925号令和7年3月号

登記研究925号令和7年3月号、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

【論説・解説】■商業・法人登記制度をめぐる動向と展望(1)

福岡法務局長 土 手 敏 行

はじめに 福岡管区の登記の状況

 未成年者登記は全国で1件、後見人登記は全国で0件。

1 オンライン(QRコード)申請のすすめ

 法務局にとっては、オンライン申請・QRコード申請の場合、記入処理が早くなる。

 書面申請の場合の登記完了予定日の案内は、那覇地方法務局が先に実施した。

 役員全員解任の登記申請があった場合の法務局の対応として、早期に処理するわけにはいかない。

2 商業登記電子証明書は商業・法人登記の最成長株

 商業登記電子証明書の有効性確認件数は、2023(令和5)年で約2億2,500万件。発行件数は約35万7,000件。手数料については印鑑証明書と同程度の費用になるよう計画。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係)(2)

東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

 既に中間の相続に係る事項が所有権の登記に付記されているときは、その事項を相続人申出事項の内容とすることを要しない(不動産登記規則158条の19第1項3号括弧書き)。

 中間相続人の最後の住所として中間相続人の最後の本籍を相続人申出等情報の内容としたときは、本籍を中間相続人の最後の住所とみなして差し支えないものとされている。

 必ずしも現在戸籍でなくて良い。

 戸籍謄本等に記載されている被相続人と所有権の登記名義人との同一性を証する情報については、所有権登記の登記名義人の登記記録上の住所が当該戸籍謄本等に記載された本籍と異なる場合で被相続人の住民票の写し又は戸籍の附票を提出することができないときは、「所有権の登記名義人と戸籍謄本等に記載された被相続人とは同一である」旨の申出人の上申書をもって同一性を認めて差し支えない。

 申出人の住所が外国である場合の取扱い。

■「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」の解説

法務省民事局商事課法規係長 大 村 健 祐

はじめに

 商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務省民事局長通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html

第1 本通達の趣旨

第2 登記事項証明書等の記載事項に関する特例に係る改正

第3 電気通信回線を使用して提供することに適しない情報に係る改正

 代表取締役等住所非表示措置の申出を併せてすることができる登記の申請における就任の登記には代表権付与の登記も含まれる。

 本店所在場所における実在性を証する書面の記載例、受任した登記申請についての打合せのために本店所在場所に往訪した際に、本店所在場所において当該株式会社が実在する旨を確認した、など。

 本人確認証明書として、通達に挙げられている住民票の写しや住民票事項証明書等以外であっても、商業登記規則61条7項に規定する本人確認証明書であれば、添付書類として認められると考えられる。

 閉鎖された登記記録について復活すべき事由があると認められるときの例として、第三者から株式会社を所有権の登記名義人とする不動産の登記事項証明書等を添付した上で、株式会社の清算が未了である旨の情報提供があった場合など。

ポイント解説■基礎から考える商業登記実務(第7回)

横浜地方法務局法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

ポイント:合同会社の業務執行社員の加入及び代表社員の就任による変更の登記について(その1)

1 はじめに

2 社員の加入の類型

3 新たな出資による業務執行社員の加入及び代表社員の就任の登記

 合同会社では、社員の氏名又は名称は登記事項ではないため、総社員の同意書のみでは、社員の全員が同意しているかどうか明らかとならない場合もあり得るが、商業登記実務上は、社員全員の氏名又は名称を証するために定款を添付することは要しないとして取り扱われている(民事月報61巻号外「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」(解説編))。

 総社員の同意により新たに加入する社員に係る定款の変更をする場合の当該同意すべき社員には、いまだ合同会社に加入していない新たに社員に加入しようとする者は、原則として含まれない。

 合同会社の社員が法人である場合における、業務執行社員を定める同意の意思表示は、法人の代表者が行う。法人の職務執行者が行うことはできない。

 合同会社の社員が法人である場合における業務執行社員による代表社員の互選の意思表示は、当該法人の職務執行者が行う。代表社員の互選の主体を業務執行社員ではなく社員と解する立場からは、互選の意思表示は法人の代表者が行う(民事月報61巻号外「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」(解説編P503)。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第130回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

251 事業協同組合の解散手続について

中小企業等協同組合法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000181

(清算人)

第六十八条 組合が解散したときは、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。

2 第九条の九第一項第三号の事業を行う協同組合連合会が第百六条の二第四項又は第五項の規定による第二十七条の二第一項の認可の取消しにより解散したときは、前項の規定及び第六十九条において準用する会社法第四百七十八条第二項の規定にかかわらず、行政庁が清算人を選任する。

(解散後の共済金額の支払)

第六十八条の二 共済事業を行う組合は、総会の決議、第百六条の二第四項又は第五項の規定による第二十七条の二第一項の認可の取消し又は第百六条第二項の規定による解散命令により解散したときは、共済金額を支払うべき事由が解散の日から九十日以内に生じた共済契約については、共済金額を支払わなければならない。

2 前項の組合は、第六十二条第一項第四号に掲げる事由により解散したときは、その解散の日から共済契約の期間の末日までの期間に対する共済掛金を払い戻さなければならない。

3 第一項の組合は、同項に掲げる事由により解散したときは、同項の期間が経過した日から共済契約の期間の末日までの期間に対する共済掛金を払い戻さなければならない。

(会社法等の準用)

第六十九条 組合の解散及び清算については、会社法第四百七十五条(第一号及び第三号を除く。)、第四百七十六条、第四百七十八条第二項及び第四項、第四百七十九条第一項及び第二項(各号列記以外の部分に限る。)、第四百八十一条、第四百八十三条第四項及び第五項、第四百八十四条、第四百八十五条、第四百八十九条第四項及び第五項、第四百九十二条第一項から第三項まで、第四百九十九条から第五百三条まで、第五百七条(株式会社の清算)、第八百六十八条第一項、第八百六十九条、第八百七十条第一項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)、第八百七十一条、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)、第八百七十四条(第一号及び第四号に係る部分に限る。)、第八百七十五条並びに第八百七十六条(非訟)の規定を、組合の清算人については、第三十五条の三、第三十五条の四、第三十六条の二、第三十六条の三第一項及び第二項、第三十六条の五から第三十八条の四まで(第三十六条の七第四項を除く。)、第四十条(第一項、第十一項及び第十三項を除く。)、第四十七条第二項から第四項まで、第四十八条並びに第五十三条の二並びに同法第三百五十七条第一項、同法第三百六十条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項並びに同法第三百六十一条第一項(第三号から第五号までを除く。)及び第四項、第三百八十一条第二項、第三百八十二条、第三百八十三条第一項本文、第二項及び第三項、第三百八十四条、第三百八十五条、第三百八十六条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)並びに第五百八条の規定を、組合の清算人の責任を追及する訴えについては、同法第七編第二章第二節(第八百四十七条第二項、第八百四十七条の二、第八百四十七条の三、第八百四十九条第二項、第三項第二号及び第三号並びに第六項から第十一項まで、第八百四十九条の二第二号及び第三号、第八百五十一条並びに第八百五十三条第一項第二号及び第三号を除き、監査権限限定組合にあつては、監査役に係る部分を除く。)(株式会社における責任追及等の訴え)の規定を、監査権限限定組合の清算人については、同法第三百五十三条、第三百六十条第一項及び第三百六十四条の規定を準用する。この場合において、第四十条第二項中「財産目録、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分案又は損失処理案」とあるのは「財産目録、貸借対照表」と、「事業報告書」とあるのは「事務報告書」と、同条第三項、第五項から第十項まで並びに第十二項第一号及び第三号中「事業報告書」とあるのは「事務報告書」と、同法第三百八十二条中「取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」とあるのは「清算人会」と、同法第三百八十四条、第四百九十二条第一項、第五百七条第一項並びに第八百四十七条第一項及び第四項中「法務省令」とあるのは「主務省令」と、同法第四百七十九条第二項各号列記以外の部分中「次に掲げる株主」とあるのは「総組合員の五分の一以上の同意を得た組合員」と、同法第四百九十九条第一項中「官報に公告し」とあるのは「公告し」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(種類)

第三条 中小企業等協同組合(以下「組合」という。)は、次に掲げるものとする。

一 事業協同組合

一の二 事業協同小組合

二 信用協同組合

三 協同組合連合会

四 企業組合

(組合等の設立の登記)

第八十四条 組合の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、第二十九条の規定による出資の払込みがあつた日から二週間以内にしなければならない。

2 前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。

一 事業

二 名称

三 地区

四 事務所の所在場所

五 出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額

六 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由

七 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

八 公告方法

九 第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの

ロ 第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

3項、4項略

■逐条解説不動産登記規則(54)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

第104条 分筆に伴う権利の消滅の登記

不動産登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018/#Mp-Ch_3-Se_2-Ss_2

 (分筆に伴う権利の消滅の登記)

第百四条 法第四十条の規定による権利が消滅した旨の登記は、分筆の登記の申請情報と併せて次に掲げる情報が提供された場合にするものとする。

一 当該権利の登記名義人(当該権利が抵当権である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を消滅させることを承諾したことを証する当該登記名義人が作成した情報又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報

二 前号の権利を目的とする第三者の権利に関する登記があるときは、当該第三者が承諾したことを証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報

三 第一号の権利が抵当証券の発行されている抵当権であるときは、当該抵当証券

2 甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、法第四十条の規定により乙土地について権利が消滅した旨の登記をするときは、分筆後の甲土地の登記記録の当該権利に関する登記についてする付記登記によって乙土地について当該権利が消滅した旨を記録しなければならない。この場合には、第百二条第一項の規定にかかわらず、当該消滅した権利に係る権利に関する登記を乙土地の登記記録に転写することを要しない。

3 甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、法第四十条の規定により分筆後の甲土地について権利が消滅した旨の登記をするときは、分筆後の甲土地の登記記録の当該権利に関する登記についてする付記登記によって分筆後の甲土地について当該権利が消滅した旨を記録し、当該権利に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。

4 第二項の規定は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、乙土地に地役権が存しないこととなるとき(法第四十条の場合を除く。)について準用する。

5 第三項の規定は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、分筆後の甲土地に地役権が存しないこととなるとき(法第四十条の場合を除く。)について準用する。

6 登記官は、要役地についてする地役権の登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該地役権を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを証する地役権者が作成した情報が提供されたとき(当該土地を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、当該土地について当該地役権が消滅した旨を登記しなければならない。この場合においては、第一項第二号、第二項及び第三項の規定を準用する。

登記研究430号P173、1983年10月30日質疑応答【六三三一】要役地地役権の抹消方法について

■民事信託の登記の諸問題(42)

渋 谷 陽一郎

第296 会社との比較で考える信託

第297 信託の終了前後と受益者の登記

第298 実質的支配者という側面からの受益者の重要性

第299 残余財産の帰属に関する信託法182条

第300 残余財産受益者とは何か

第301 残余財産の帰属権利者とみなし受益者

第302 残余財産受益者は信託期間中からの登記事項なのか

第303 信託法90条1項2号と2項の適用問題

第304 受益者として権利を有しない状態とは何か

第305 権利を剝奪された委託者の場合との比較

第306 残余財産受益者の表示

 P108、信託設定当時、信託行為の定めを以て信託法182条1項1号の「残余財産受益者」を定めた場合、その者も、信託設定の当初より受益者として登記する必要があるのだろうか。・・・信託法182条1項1号の残余財産受益者と信託法2条6項の受益者を同様に扱う規定がないことから、登記する必要があるとはいえないと考えます。

【資 料】会社法施行下で使える登記先例――実務の便覧――(18)

登記研究715号P168、平成18年4月5日法務省民商第873号民事局商事課長通知「従業員又は代理人の宣誓供述書に領事等が認証したものが添付された外国会社の登記の申請の受理について」

登記研究737号P183、2009年7月30日【質疑応答】〔七八九五〕外国会社の日本における代表者に関する登記について

登記研究532号P121、平成3年12月24日法務省民四第6201号民事局第四課長通知「配当可能利益の資本組入れによる変更の登記の更正について」

 裁判所からの嘱託による抹消の登記による。

登記研究719号P156平成19年12月3日法務省民商第2584号民事局商事課長通知「募集株式の発行による変更登記によって資本金の額を誤って少なく登記した場合の抹消及び変更の登記について」

登記研究719号P158平成19年12月3日法務省民商第2586号民事局商事課長通知「募集株式の発行による変更登記によって資本金の額を誤って多く登記した場合の更正の登記について」

 債権者保護手続きの有無。

登記研究719号P159平成19年12月14日法務省民商第2722号民事局商事課長通知「管轄外からの本店移転の登記後旧本店所在地においても登記がされていた登記の更正又は抹消の申請があった場合等の取扱いについて」

 更正の登記申請における添付情報。

登記研究779号P115平成24年4月3日法務省民商第898号法務省民事局商事課長通知「登記の抹消の申請書に添付すべき書面について」

 無効の原因があることを証する書面の作成者と、登記申請書の作成者が異なる場合。

 登記研究498号P31昭和29年12月28日民事甲第2764号民事局長通達「本店移転の決議無効確認判決による登記の嘱託の取扱について」

登記研究498号P21、1989年7月30日発行、柳田 幸三:法務省民事局第四課長、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第四課係長、藤部 富美男:法務省民事局第四課係長【第一部 論説・解説】 株式会社に関する先例をめぐって(24)

登記研究273号P67昭和45年7月17日民事甲第3017号民事局長回答「清算人職務代行者選任登記の受否について」

登記研究300号P62昭和47年7月26日民事甲第3036号民事局長回答「取締役および監査役の選任決議無効の判決確定による嘱託登記の受否について」

 表見取締役。

登記研究719号P159平成19年12月14日法務省民商第2722号民事局商事課長通知「管轄外からの本店移転の登記後旧本店所在地においても登記がされていた登記の更正又は抹消の申請があった場合等の取扱いについて」

登記研究838号P127、平成29年6月13日法務省民商第98号民事局商事課長通知「職務執行停止の仮処分命令又は職務代行者選任の仮処分命令の申立てが取り下げられたことによる職務執行停止又は職務代行者選任の登記の抹消が嘱託された場合の受否について」

登記研究677号P146平成16年3月31日法務省民商第952号民事局長通達「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行等に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

 電子証明書の有効時点。

登記研究746号P143、2010年4月30日【質疑応答】〔七九〇九〕「合同会社の設立の登記のオンライン申請において添付書面情報とされる電子定款に係る電子証明書の有効性について」

【法 令】不動産登記規則及び法務局における遺言書の保管等に関する省令の一部を改正する省令(令和7年2月14日法務省令第2号)

・本人確認書類

【訓令・通達・回答】

▽商業・法人登記関係

〔6256〕新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて【解説付】(令和6年9月2日付け法務省民商第130号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局長商事課長通知)

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