『月刊登記情報』2024年1月号(746号)

『月刊登記情報』2024年1月号(746号)、(一社)金融財政事情研究会からです。

 新年随想 

法務省民事局長 竹内 努

 マイナンバーカード情報の提供により、戸籍謄本等の提出を不要とする手続きが始まる。

日本司法書士会連合会会長 小澤吉徳

今後、相続登記の申請件数は200万件を超えるのではないかという予想。

日本土地家屋調査士会連合会会長 岡田潤一郎

 狭あい道路解に向けた活動と発信強化。

特 集

士業者がおさえたい近時の制度改正・重要判例先例

近時の制度改正と士業実務

司法書士法人F& Partners  司法書士 北詰健太郎

 司法書士法1条の使命規定。民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)、法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律73号)について。民法909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)。民法1012条、1014条、1015条(遺言執行者の権限について)。民法1046条(遺留分の権利行使の効果の金銭債権化)。

 民法の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)について。

 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)について。

 民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)について。

 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第53号)について。・・・この法律は施行前に理解する必要があると感じます。

近時の重要判例と士業実務

司法書士 早川将和

財産開示の申立てに対する執行公告(最一小決令4・10・6民集76巻6号1320頁)。財産開示手続の利用件数の増加件数について、初めて知りました。

 マンション建替円滑化法による補償金についての供託(最一小判令4・10・6民集76巻6号1291号)。マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条と、民事執行法156条による混合供託義務を負うこと。

 破産管財人による債務承認の効力(最三小決令5・2・1民集77巻2号183頁)。破産管財人が、別除権者に対して被担保債権が存在する認識を表示した場合の被担保債権の消滅時効中断の効力発生の可否について(破産法44条、民法152条)。

 遺言執行者の権限/複数の包括遺贈の一部が効果を失った場合の権利の帰趨(最二小判令5・5・19金法2218号66頁)。

 民法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)施行以前に開始した相続について。遺言執行者が遺言者の生前に行われた無効な登記に関して、抹消登記請求訴訟の原告となることが出来るか。遺言執行者が包括遺贈に反した登記に対し、抹消登記請求訴訟の原告となることが出来るか。

 包括遺贈の放棄があった場合の遺産は、他の包括受遺者に帰属するのか、相続人に帰属するのか。

 1筆の土地の一部についての仮処分において土地全部の仮処分ができる場合(最三小決令5・10・6LLI/DB判例秘書L07810077)。

 分筆登記申請をすることが出来ない、著しく困難であることを疎明する必要がある。民事保全法23条。

 会社法206条の2第4項の決議を欠く新株発行の効力(東京地判令3・3・18判タ1503号233頁)。

 会社法206条の2第4項但し書の解釈について。

監査法人の脱退時持分の算定方法(東京地判令3・6・24金判1624号34頁)。

 定款で定めることの可否、算定方法など。会社法611条、621条、622条、624条。

 取締役会における持ち回り決議の有効性(東京高判令4・7・21金判1669号24頁)。

 会社法370条の規定は、株式の譲渡による取得を承認する場合にも活用可能か、について。

価格決定における譲渡制限株式の評価(最三小決令5・5・24LLI/DB判例秘書L07810042)

 会社法144条。自らの意思で株式譲渡を行おうとした株主が、その譲渡を会社から承認されなかった場合において、会社は株式の非流動性を理由として株価を値下げして買い取り請求を行うことが出来るか。

株主総会に先立って送付した委任状の取扱い(最一小決令5・10・26LLI/DB判例秘書L07810092)

 会社法758条2項1号イの反対した株主に該当するかの判断。委任状の意思表示の相手方に、受任者と共に会社が含まれるか。

近時の重要先例と士業実務

司法書士 田口真一郎

供託規則第26条3項6号に規定する証明書の様式について(令和4年8月24日民商第406号回答)

 各財産管理人に対して、裁判所書記官が作成する印鑑証明書の様式について。

商業登記規則及び電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則の一部の改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和4年8月25日民商第411号通達)

 商業登記記録における住所、氏名の表示、非表示に関する申出時の申請書記載事項など。商業登記規則31条の2、81条の2。

賃借権の設定の登記において他の不動産と合わせて定められた敷金を登記することの可否について(令和4年12月12日民二大1298号通知)

 複数の不動産賃貸借契約において一括して敷金が定められた場合に、一括して定められた敷金の額を登記申請することが可能。不動産登記法81条。

・・・債権者が申請書の閲覧でも賃貸借契約書の入手が困難な場合、民事執行や民事保全の局面で、予納金に変化があるのか気になりました。

独立行政法人住宅金融支援機構が申請する抵当権の全部移転の登記に添付する委任状について(令和5年2月13日付民二第274号依命通知)

 原因日付より前に作成され、電子署名が付された委任状が有効であることを確認。関連・・・一部移転について、令和4年6月17日民二第639号依命通知。

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う供託事務の取扱いについて(令和5年3月27日民商第67号通達)

 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)に伴う供託事務の取扱いについて。非訟事件手続法87条5項など。

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(民法改正関係)(令和5年3月28日民二第533号通達)

 民法251条に該当する場合の登記申請人、所在等不明共有者の持分取得の裁判(民法262条の2)がされた場合の、登記申請時における登記識別情報の提供の要否など。

 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)(令和5年3月28日民二第538号通達)

 不動産登記法63条3項、69条の2、70条、不動産登記測152条の2、183条4に伴う登記原因、登記の目的など。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑴

法務省民事局民事第二課補佐官  三枝稔宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

 法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官

(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子

 法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

 法務局への相談の方法、相談する人の資格、法務局の相談に対応する権限の範囲などの解説。承認申請書を提出することが出来る人の範囲、添付書面などの解説。

NEWS

起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しの動き

編集部

 一定の要件を満たした場合の、公証人による面前確認の廃止、定款認証手数料の値下げ、将来的な定款認証制度の廃止の検討が始まっていること。

商業登記規則逐条解説 第13回

法務省民事局商事課長 土手敏行

 登記用紙から登記記録へ、登記官の識別番号。商業登記法4条、商業登記規則1条←商業登記規則116条←商業登記規則39条

 嘱託登記について。申請の例外という立ち位置から法律による原則へ。添付情報について、申請との違い。商業登記法14条←商業登記法116条←商業登記法40条。

 変更の登記について。実体上の法律関係が消滅したときに申請する登記を含む。商法10条、会社法909条、915条。商業登記法1条の2、29条←商業登記法41条。

 行政区画等の変更。商業登記法1条の2、4条←商業登記規則116条←商業登記規則42条。

 登記記録の閉鎖について。閉鎖されている登記記録については、閉鎖以降、一切の登記がされていないことを意味する。商業登記法4条、商業登記規則1条←商業登記規則116条←商業登記規則43条。

 登記事項の閉鎖について。商業登記規則114条←商業登記規則44条。保存期間は、閉鎖した日から20年間(商業登記規則34条)。

目で見る筆界の調査・認定事例

第4回 土地区画整理による測量成果が存在する土地について筆界を認定した事例(立会拒否)

京都地方法務局次長 田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 土地区画整理後、分筆がされた土地についての筆界特定。

法律業務が楽になる心理学の基礎

第4回 上手なコーピング―問題焦点型対処と情動焦点型対処

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 うっかりミスの種類と、確認不足の重なりの程度が気になりました。

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑷

司法書士 末光祐一

 犯罪収益移転防止法施行規則11条(実質的支配者の確認方法等)について。会社法308条1項括弧書き、会社法施行規則67条と、資本多数決法人の議決権の考え方について。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント

第57話 中小企業だって組織再編~④株式交付

司法書士法人鈴木事務所

司法書士 鈴木龍介

会社法816条の2~。子会社化するための組織再編。令和5年度の税制改正について。

登記研究910号(令和5年12月号)

登記研究910号(令和5年12月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/book/b10045240.html

【論説・解説】

■令和6年4月から始まる相続登記の申請義務化の内容と、その施行に向けたマスタープランの公表について 法務省民事局付 森 下 宏 輝、法務省大臣官房司法法制部審査監督課法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官) 古 田 辰 美、法務省民事局民事第二課法務専門官 太 田 裕 介

第1 はじめに

第2 相続登記等の申請義務の内容

 不動産の承継について遺言がされていない場合、遺言がされている場合などケース別の相続人の登記申請義務についての解説。

第3 相続人申告登記(手続負担軽減策/環境整備策)

 遺産分割協議が成立しない、出来ない場合の対応として、通常、法定相続分での相続登記申請ではなく、相続人申告登記の申出によることが制度の意図。

 P7、相続人申告登記は、相続等による権利移転を公示するものではなく、所有権の登記名義人に相続が開始したこと及び当該登記名義人の法定相続人とみられる者、の、みられる、という部分がどのような意味なのか分かりませんでした。

第4 マスタープラン

 相続人申告登記については、非課税。数次相続など複雑ではない相続関係の場合、オンライン上で手続きを完結させるために、行政間の情報連携などを通して、戸籍等の添付情報を可能な限り省略出来るように進めていること。電子署名の付与も不要。

第5 おわりに

■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(4)法務省民事局民事第二課補佐官 三 枝 稔 宗、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官) 手 塚 久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清 水 玖 美

第2 本要領の概要

 9 第9節 関係機関への資料提供の依頼等

法務局からの依頼に対して、関係機関(市町村など。)の回答期限は、2週間程度を予定。

 10 第10節 承認申請の審査

 実地調査の事前通知、方法について。

■「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知)」の解説

法務総合研究所研修第三部教官(前法務省民事局商事課法規係長) 村 上 裕 貴

第1 はじめに

第2 共同法人制度の創設(本件通知記第1)

 弁護士及び外国法事務弁護士を社員とする弁護士・外国法事務弁護士共同法人の設立を可能とする制度の創設等が整備されたことについて。

第3 共同法人の設立(本件通知記第2)

 定款記載事項など。

第4 他の種類の法人(共同法人又は弁護士法人等)への変更(本件通知記第3)

 設立登記と解散登記を申請すること。

第5 他の種類の法人との合併(本件通知記第4)

 債権者保護手続が必要となること。

第6 設立又は合併を無効とする判決(本件通知記第5)

第7 組登令の特則的規定の改正

 改正前の組合等登記令(昭和三十九年政令第二十九号)26条において、項建てされていた規定を、条建てに変更したこと。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第116回)一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問神 﨑 満治郎

237 独立行政法人の登記について

 独立行政法人の性質に伴う登記を除いて、組合等登記令の規定に近い。

■Q&A不動産表示登記(86)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第三章 建物(非区分建物)

 第二節 各種の登記の申請

  Q255  登記官は合体による登記等をどのように行うのか。

 合体前建物に所有権登記がある場合、表題部のみの登記の場合について、合体後の建物の登記の方法(不動産登記規則158条、120条)。合体前の建物登記について、処理の方法(不動産登記規則49条、110条、120条9項、144条)。登記識別情報は、合体後の建物所有権登記名義人に通知(不動産登記法21条、不動産登記規則62条)。みなし持分について、平成5年基本通達第6の5の(2)前段。

■商業登記の変遷(56)司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 登記情報交換システムの稼働(昭和63年改正商登法113条の4第2項、平成元年4月28日法務省令15号)。現在の商業登記法10条、商業登記規則30条。

 登記情報提供サービスの稼働(電気通信回線による登記情報の提供に関する法律)。

 登記公告について。昭和13年に改正されるまで、裁判所が新聞紙に公告を行っていた(明治23年4月26日法律32号商法19条)。登記公告と実際の登記が抵触するときであっても、その効力に影響はなく、第三者に対抗できる、とされていた(明治32年商法14条)ことなど。

■民事信託の登記の諸問題(27)渋 谷 陽一郎

 信託目録における、受託者権限の登記の重要性について。信託契約書から受託者の権限を抽出、要約とありますが、要約は属人性が強いので、要約が不要な信託契約書の条項が必要ではないかなと思います。

  信託目録の変更として、抵当権設定の登記事項を詳細に記録する変更を行っていますが、このようなことが実務で必要になってくると、信託の変更要件の条項は、ある程度ゆるくする必要があると感じました。

 信託法26条と民法34条の対比。

 信託法3条の読解。

 受託者の権限と代理人の権限について。権限という用語が異なる意味で使われているのではないか、という指摘。

【資 料】会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(3)

払い込みがあったことを証する書面については、要件が少しずつ柔軟になってきている。

会社設立登記前の役員の死亡、辞任、就任承諾の有無などについて、登記申請受理の可否について

 鹿児島地方法務局鹿屋支局管内登記事務研究会決議(昭和36年8月25日民事甲2069号民事局長指示)は、株式会社設立前に役員が死亡又は辞任した場合の取扱いについて。初めて知りました。

【法 令】

不動産登記令等の一部を改正する政令(令和5年10月4日政令第297号)

 相続登記の申請義務化に伴う、不動産以外の登記が必要な財産について必要な整備。

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6212〕農地中間管理事業の推進に関する法律による不動産登記の特例に関する政令の取扱いについて(令和5年3月27日付け法務省民二第532号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

▽商業・法人登記関係

〔6213〕外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(令和4年10月13日付け法務省民商第460号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局商事課長通知)

加工_令和5年12月15日付け法務省民二第1596号通達「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00465.html

法務省民二第1596号

令和5年12月15日

法務局長殿

地方法務局長殿

法務省民事局長

(公印省略)

外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて(通達)

近時、国際化の進展の下で、所有権の登記名義人が外国に住所を有する事例が増えてきており、登記名義人の所在の把握に困難を伴うことがあるとの指摘がされています。

また、外国に住所を有する外国人(日本の国籍を有しない自然人をいう。以下同じ。)又は法人(会社法人等番号を有するものを除く。以下同じ。)が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)(不動産登記令(平成16年政令第379号)別表13の項添付情報欄リ、同28の項添付情報欄ニ、同29の項添付情報欄ハ及び同30の項添付情報欄ハに掲げる情報。以下「住所証明情報」という。)については、日本に住所を有する者や外国に住所を有する日本人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合と異なり、実際に必要となる具体的な書面等に関する運用上の幅が広くなっているとの指摘がされています。

これらの状況を踏まえ、標記の取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう、貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

なお、この通達による取扱いは、令和6年4月1日以後にされる登記の申請について実施するものとします。

おって、この通達に抵触する従前の取扱いは、この通達により変更したものと了知願います。

第1 外国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合

1 外国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所証明情報については、次の(1)又は(2)のいずれかとするものとする。

(1) 登記名義人となる者の本国又は居住国(本国又は居住国の州その他の地域を含む。以下「本国等」という。)の政府(本国等の領事を含み、公証人を除く。以下「本国等政府」という。)の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。

(2) 登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面及び次のア又はイに掲げる区分に応じ当該(ア又は(イに定める書面

ア登記名義人となる者が旅券を所持しているとき次の要件を満たす旅券の写し

(ア 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な旅券の写しであること。

(イ 登記名義人となる者の氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写しが含まれていること。

(ウ 当該住所を証明する書面と一体となっていない旅券の写しにあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。

イ登記名義人となる者が旅券を所持していないとき登記名義人となる者の作成に係る旅券を所持していない旨の上申書及び登記名義人となる者の本国等政府の作成に係る書面又は電磁的記録(以下「書面等」という。)の写し等(写し又は電磁的記録の内容を書面に出力したものをいう。以下同じ。)であって、次の要件を満たすもの

(ア 登記名義人となる者の氏名の記載又は記録がある書面等の写し等であること。

(イ 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。

(ウ) 当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。

2 前記1(2)にかかわらず、所有権の登記名義人となる者の本国等の法制上の理由等のやむを得ない事情から、登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができないときは、日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面等(登記名義人となる者がその住所が真実であることを宣誓した書面等について、公証人法(明治41年法律第53号)第58条ノ2第1項又は第62条ノ6第2項(令和5年法律第53号による改正後の公証人法第53条第1項又は第59条第3項)の規定に基づく認証がされたものをいう。)並びに次のア及びイに掲げる書面を住所証明情報とすることができるものとする。

ア前記1(2)アに定める書面

イ登記名義人となる者の作成に係る本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の上申書

登記所に提供する前記1又は2の情報のうち、外国語で作成されたものについては、その訳文を添付しなければならない。

第2 外国に住所を有する法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合

1 外国に住所を有する法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所証明情報については、次の(1)又は(2)のいずれかとするものとする。

(1) 登記名義人となる者の設立に当たって準拠した法令を制定した国(州その他の地域を含む。以下「設立準拠法国」という。)の政府(設立準拠法国の領事を含み、公証人を除く。以下「設立準拠法国政府」という。)の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。)

(2) 登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面及び登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等であって、次の要件を満たすもの

ア登記名義人となる者の名称の記載又は記録がある書面等の写し等であること。

イ当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。

ウ当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の代表者その他の当該住所を証明する書面の作成に当たって宣誓供述を行う権限のある者(以下「代表者等」という。)の署名又は記名押印がされていること。

2 前記1(2)にかかわらず、所有権の登記名義人となる者の設立準拠法国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができないときは、登記名義人となる者の代表者等の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面又は日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面等

(当該代表者等がその住所が真実であることを宣誓した書面等について、公証人法第58条ノ2第1項又は第62条ノ6第2項(令和5年法律第53号による改正後の公証人法第53条第1項又は第59条第3項)の規定に基づく認証がされたものをいう。)並びに次のア及びイに掲げる書面を住所証明情報とすることができるものとする。

ア登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等であって、前記1(2)アからウまでの要件を満たすもの

イ当該代表者等の作成に係る設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の上申書

3 登記所に提供する前記1又は2の情報のうち、外国語で作成されたものについては、その訳文を添付しなければならない。

関連通達

昭和48年8月11日付民三第6365号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達、昭和48年4月12日付登第297号東京法務局長照会、同年8月11日付民三第6354号民事局長回答「台湾在住の日本人の住所を証する書面等について」

昭和59年5月15日付け二不登一第465号東京法務局民事行政部長照会、昭和59年8月6日付法務省民三、991号民事局第三課長回答、同日付け法務省民三第三、992号法務局民事行政部長、地方法務局長あて民事局第三課長依命通知「外国人が登記義務者として登記を申請する場合の署名証明について」

「農地法5条の許可書を添付してなされる所有権移転登記の農地の価格」

昭和42年7月26日 民事三発第794号民事局第三課長依命通知

「農地法5条の許可書を添付してなされる所有権移転登記の農地の価格」登記先例解説集7巻9号P14、『登記情報』600号、2011年11月号

農地法5条の許可書を添付してなされる所有権移転登記の農地の価格

・登記簿上も固定資産課税台帳上も農地である不動産について、農地法5条の許可書を添付して所有権移転の登記をする場合の登録免許税の課税標準たる不動産の価額は、土地の現況が農地でないと明白に認められない限り、固定資産課税台帳に登録された価額による。

→登録免許税の課税標準は、現況が明白に雑種地や宅地でない限り農地の固定資産課税台帳に登録された価額。4月で価額の変更がある場合があるので、時期にも注意。

『月刊登記情報』2023年12月号(745号

『月刊登記情報』2023年12月号(745号)

一般社団法人金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T/

東京財団政策研究所研究員 吉原祥子「所有者不明土地問題と新たな土地制度の普及」

所有者探索のコスト、放置された土地の再活用のコスト、国庫帰属のコストを下げるための予防にコストをかける方向。

法務省民事局民事第一課長 櫻庭 倫「デジタル社会の進展と戸籍法改正」

 戸籍法について、令和元年改正、令和5年改正が行われたこと。併せて、デジタル関連の法律も令和3年、令和5年に改正が行われていること。

→令和元年改正における、特定の人の出生から死亡に係る戸籍証明書等を最寄りの市区町村で一括取得できることは、相続手続きを行う方にとって利便性が高いと思います。沖縄県であれば、戸籍証明書等の等に、不在籍証明書まで含めて欲しいところです。

 その他については、地方自治体間の間のデータの連携が出来る、ということであり、私たち士業にとっては、活用できる場面は限られると感じます。

法務省民事局民事第一課「令和6年3月1日から戸籍制度が利用しやすくなります!」

 新婚旅行先で婚姻届を提出する際、児童扶養手当認定申請の際、パスポートの発給申請の際、戸籍証明書を添付省略することが出来るというのは、良いなと思います。

 施行日には間に合わない可能性が高いですが、将来、相続人申告登記の手続きが、おそらく戸籍等を添付することなく、オンラインで完結することができるように検討されているということで、こちらも便利になると感じます。

法務省民事局民事第一課長  櫻庭 倫、法務省民事局参事官 国分貴之、横浜地方検察庁検事(前法務省民事局戸籍企画官兼局付) 長橋佑里香「市町村の機関による戸籍証明書の公用請求に係る広域交付等の実施―「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律における戸籍法改正」の概要―」

 同一市町村内で、税務課、戸籍課、建築土木課(公共事業などを行うため、空家対策・予防、管理不全土地建物への対策に、戸籍が必要となることがある。)などで戸籍情報を共有できるという法律です(改正戸籍法120条の2)。

法務省民事局民事第一課長 櫻庭 倫、法務省民事局参事官 国分貴之、横浜地方検察庁検事(前法務省民事局戸籍企画官兼局付) 長橋佑里香「氏名の振り仮名の法制化―「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律における戸籍法改正」の概要―」

令和5年法律第48条戸籍法改正における、戸籍法13条3項、附則について。振り仮名について、要綱ではカタカナ。附則9条において、住所事項記録証明情報から転記することはしないのかな、と思いました。

法務省法務総合研究所国際協力部教官 荒川 豊「韓国不動産登記法改正案の概要~未来登記事業の実現に向けて~」

 不動産登記に関する管轄に関して、どの管轄からも処理できる特例を設ける法改正案。非常事態の際に、臨時の登記所等で事務処理をすることが出来る法改正案など。

2025年1月31日施行予定。

弁護士 井奥圭介、土地家屋調査士 山脇優子「境界紛争の解決手続における土地家屋調査士の役割第2回 民間 ADR(裁判外紛争解決手続)」

簡易調停による場合、成立手数料無料。令和6月4月28日から、執行力が付与される手続きの整備(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律27条の2。)。

 当事者双方に、解決したい、という気持ちがない場合は難しいと感じました。反対に、解決したい、という気持ちがある場合は、結果が一方当事者に不利な内容であっても、調停が成立する場合が多いと感じます。地図混乱地域でも調停が成立するところは、調停制度の柔軟性として良いところだと思いました。

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎「法律業務が楽になる心理学の基礎第3回 対人認知の歪み」

だって・・・何しとんねん・・・すまんなぁ・・・しゃあないな・・・

司法書士 末光祐一「犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑶」

犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項の改正。取引の目的について、頻繁に信託が例示されています。

 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則10条1項ロについて、事業報告書が例示されています。 

法務省民事局商事課長 土手敏行「商業登記規則逐条解説 第12回」

商業登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339M50000010023

(申請書の調査)

第三十八条 登記官が申請書を受け取つたときは、遅滞なく、申請に関するすべての事項を調査しなければならない。

38条の調査には、実体法も含まれる(片岡貞敏、法務省民事局第四課編「商業登記規則逐条解説(20」商事法務1367号P34)。

 行政手続法2章申請に対する処分、3章不利益処分の適用除外。

・昭和39年11月13日民事甲第3640号民事局長回答「審査請求に対する裁決について」登記研究206号P61。

・平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」登記研究 777号P111。

・令和2・3・23 民商第65号民事局商事課長通知「役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて」登記情報706号P67

・登記申請情報に、連絡先の電話番号を記録することに関して、根拠法令・通達はない。

・昭和29年12月25日民事甲第2637号通達「登記申請の取下に関する取扱について」登記研究 87号P33・・・委任契約書に、申請不備のための取り下げに関する件、の記載は不要。

(受領証の送付)

第三十八条の二 第九条の四第四項から第六項までの規定は、法第二十二条の規定による受領証の交付の請求に準用する。

・安田錦治郎:法務省民事局補佐官「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行等に伴う商業・法人登記事務の取扱い(下)」登記情報 515号2004年、P120。登記申請の取り下げに伴う、受領証返還の事務取扱の廃止。

(登記官による本人確認)

第三十八条の三 登記官は、法第二十三条の二第一項の規定により申請人の申請の権限の有無を調査したときは、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。同条第二項の嘱託を受けて調査をした場合についても、同様とする。

2 前項後段の場合には、嘱託を受けて調査をした登記所の登記官は、その調査の結果を記録した調書を嘱託をした登記官に送付しなければならない。

・申請人の意思確認の有無は、本人確認調査の対象ではない。

・松井信憲:法務省民事局付、沼田知之:総務省行政管理局主査(前法務省民事局商事課法規係長) 「平成16年改正商業登記法等の解説」登記情報523号 P46、2005年。登記官の調査の範囲。

司法書士法人鈴木事務所司法書士 鈴木龍介「中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント第56話 中小企業だって組織再編~③株式交換・株式移転」

 税制適格か非適格か。完全親会社の、発行済株式の総数の変更の登記の申請があることが多い。

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