市民と法No.151【特集】司法書士の可能性を探る(下)

市民と法 No.151 【特集】司法書士の可能性を探る(下)2025年2月、民事法研究会

https://www.minjiho.com/book/b10131252.html

大論公論

 新しい年、新しい25年に向けて

 京都大学教授 横山美夏

 法改正により司法書士の役割と責任は大きくなる。

【特集】司法書士の可能性を探る(下)

 1 訴訟支援と司法書士

   神戸大学教授 馬場健一

 Microsoft Teamsログインに手間取る。2回目は電話参加。司法書士事務所においてウェブ会議の環境を整え、依頼者に提供することの必要性。

 2 法律相談と司法書士

   西南学院大学准教授 山田恵子

 民事紛争全国調査2016-2020

https://cir.nii.ac.jp/crid/1130858596795429527

 最近5年間に起きたトラブルのうち、専門家等に相談したのは約3割。司法書士関係はその中の約6%。

 3 ADRと司法書士

   京都大学教授 山田 文

 日本司法書士会連合会

『司法書士による大学生・専門学校生向けオンライン紛争解決手続(無料チャット調停)』試験運用(令和3年度ODRトライアル・プロジェクト)

司法書士会ADRの2023年度新受任数は62件。当事者が遠隔地にいる場合に、各司法書士会ADRでの連携。

 4 孤独・孤立と司法書士

   早稲田大学教授 石田光規

平成17年4月26日最高裁判所第三小法廷判決集民第216号639頁

 権利能力のない社団である県営住宅の自治会の会員がいつでも当該自治会に対する一方的意思表示により退会することができるとされた事例

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62595

 5 中高年者支援と司法書士

   千葉大学准教授 山口 絢

 相続等に向けた対策についての相談先上位4つは、司法書士、税理士、弁護士、金融関連機関。

 6 多文化共生社会と司法書士

   名城大学教授 近藤 敦

出入国管理庁 在留外国人に対する基礎調査

https://www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00017.html

 

 7 性的マイノリティと司法書士

   追手門学院大学教授 三成美保

 認定特定非営利活動法人ReBit

https://rebitlgbt.org/overview

令和5年7月11日最高裁判所第三小法廷判決 民集第77巻5号1171頁

生物学的な性別が男性であり性同一性障害である旨の医師の診断を受けている一般職の国家公務員がした職場の女性トイレの使用に係る国家公務員法86条の規定による行政措置の要求は認められない旨の人事院の判定が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとされた事例

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92191

 8 国際離婚と司法書士

   同志社大学教授 林 貴美

 9 地域司法と司法書士

   神戸大学名誉教授 樫村志郎

 共助が大切。

 10 地域コミュニティと司法書士

   熊本県立大学教授 澤田道夫

 11 景観の地域づくりと司法書士

   近畿大学教授 上﨑 哉

 空き家。

 12 情報発信と司法書士

   岐阜大学准教授・中小企業診断士 柴田仁夫

SNS広告の必要性。

 13 AI のガバナンスと司法書士

   弁護士・慶應義塾大学准教授 斉藤邦史

 合同会社が経営判断をAIの判断に一定程度委ねた場合の、役員が法人の債権者に対して負う責任の軽重。

 14 司法書士の働き方

   同志社大学教授 久保真人

 世界保健機関

Burn-out an “occupational phenomenon”: International Classification of Diseases

https://www.who.int/news/item/28-05-2019-burn-out-an-occupational-phenomenon-international-classification-of-diseases

 15 司法書士の養成

   京都産業大学教授 草鹿晋一

 司法書士法1条が、訴訟より登記、供託を先に記載していること。

 16 司法書士に対する期待と満足度

   東京大学教授 飯田 高

 司法書士が相談の段階で果たしている役割。

【対談】

 相続手続におけるノテールと弁護士の役割分担

 パリ・パンテオン=ソルボンヌ大学教授 ムスタファ・メキ

 日本司法書士会連合会会長・司法書士 小澤吉徳

 立教大学教授 幡野弘樹〔訳〕

 フランスで相続未登記の不動産が生じない理由。相続に弁護士が介入する場合、家族会・後見裁判官が介入する場合。

現代家族の肖像と法律問題(39)

 弁護士 升田 純

 遺言執行者の被告適格。

相続・今昔ものがたり(46)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続の欠格(その2)

 家督相続人の不選定。

登記研究844号P133、昭和24年2月4日民事甲第3876号民事局長回答「戸籍事務の取扱方に関する件」

論点・争点 司法書士は民事信託契約書の作成業務ができるのか(2)

 司法書士 渋谷陽一郎

 和解契約書作成に係る報酬算定基準。行政書士法19条。

(業務の制限)

第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

2 総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。

https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004#Mp-Ch_8

 遺産承継業務(司法書士法29条、司法書士法施行規則31条)における、相続人の中の1人への依頼書の送付、メールの送信。その回数。

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務(10)民事信託支援業務の執務ガイドライン

司法書士 渋谷陽一郎

 司法書士による問題解決策の見極め、の明記。

 日本弁護士連合会の民事信託業務に関するガイドラインと比較して、依頼者は誰か。

 P143、代理権授与を伴わない委任契約があるのか、分かりませんでした。

 監修者。

月刊登記情報2025年2月号759号

月刊登記情報2025年2月号(759号)

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の成立

弁護士法人 中央総合法律事務所 弁護士 錦野裕宗

 ○東京都カスタマー・ハラスメント防止条例令和6年10月11日条例第140号(令和7年4月1日施行)

https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00005328.html

「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」の解説

法務省民事局商事課法規係長 大村健祐

法務省 商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務省民事局長通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html#4

 現在、対象は株式会社のみであるが、パブリックコメントを踏まえて、今後他の法人についても対象を拡大する可能性もある。

 登記済みの代表者住所を非表示申出出来ない理由は、一度登記された住所を非表示にする必要性が相対的に低く、後の非表示に備えて登記情報の網羅的な取得・保存を誘発するなどの混乱を招きかねないため。

 資格者代理人による本店所在場所の実在性を証する情報の記載例・・・受任した登記申請についての打合せのために本店所在場所に往訪した際に、本店所在場所において当該株式会社が実在する旨を確認した。

本店所在場所の実在性を証する情報について、資格者代理人が押印した職印について登記所が印影を照合する必要はない。

本店所在場所の実在性を証する書面として、配達証明書及び郵便物受領証を利用する場合、配達証明書及び郵便物受領証に、商号・本店所在場所が記載されている必要がある。

 別記様式3の期間を定めなくてもよい場合・別記様式3による通知自体が不要な場合。

 登記官が上場会社でなくなったと認められるときは、株式譲渡制限の定款の定めの設定による変更の登記が申請されたとき等。

「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて

(登記事項証明書等における代替措置関係)」の解説⑵

法務省民事局付 森下宏輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之、法務省民事局民事第二課補佐官 太田裕介

 代替措置申出がされている場合に、当該者が登記義務者とする登記申請時の住所表記は措置対象住所。

 信託目録の委託者、受託者、受益者の住所も対象。

 代替措置申出に係る事項は、地方税法382条の対象。

 代替措置申出がされた後、10年程度の経過を目安として、登記官から代替措置申出をした申出人に対し、代替措置申出を継続するかどうか意思確認をする場合がある。

 

法制審議会だより

法制審議会民法(成年後見等関係)部会、第11回・第12回会議を開催

編集部

 法制審議会-民法(成年後見等関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

 法定後見の終了、成年後見人等の交代等、成年後見人等の職務等。

新連載

逐条解説 スタートアップ向けモデル原始定款_v1.1 第1回

BAMBOO INCUBATOR司法書士チーム有志、石本憲史/川井秀一/笹野隼人/佐藤大輔/松本光平/丸山洋一郎

https://bambooincubator.jp/template/startup/aoi

 商号、商標調査の必要性。

 大阪高判平成25年3月7日、平成23(ネ)2238等。株式会社Mon cher旧商号 株式会社モンシュシュ、商標権侵害差止等請求。不正競争防止法、商標法、会社法。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=83059

 商号の音感による流行り。

 目的のグレーゾーン解消制度、ノーアクションレター制度。

 本店所在地をバーチャルオフィスにする場合。

 公告方法を電子公告にする場合のデメリット。資金調達後、減資を行う場合の債権者保護手続きの方法。

 発行可能株式総数の枠を大きく取ること。

 発行済株式総数の1株当たりの金額に低さ。

 株式の譲渡制限における承認機関の選択と設立登記後の変更登記の回数の想定。

 

新連載

「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の考察~身元保証業界の健全な発展に向けて~ 第1回

株式会社あかり保証、清水勇希/谷口陽輔/渡邉慶太郎/上内紀裕

消費者庁 高齢者等終身サポート事業に関する事業者ガイドラインについて

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_037

厚生労働省 ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39506.html

 主な相談内容は、金銭トラブル、サービス利用時のトラブル。

 身元保証等高齢者サポート事業の定義。

商業登記規則逐条解説 第26回

土手敏行

商業登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023

(印鑑の提出又は廃止の届出の方法)

第百六条 第百一条第一項第二号の規定により印鑑の提出又は廃止の届出をするには、印鑑の提出若しくは廃止の届出をする者又はその代理人(次項において「印鑑提出者等」という。)は、法務大臣の定めるところに従い、第九条第一項の書面に記載し若しくは明らかにすべき事項又は同条第七項の書面に記載すべき事項に係る情報に印鑑の提出又は廃止の届出をする者が第三十三条の四に定める措置を講じたものを送信(第三項において「提出等情報の送信」という。)しなければならない。

2 印鑑提出者等は、第九条第一項又は第七項の書面に添付すべき書面があるときは、法務大臣の定めるところに従い、当該書面に代わるべき情報にその作成者が前項に規定する措置を講じたものを送信(次項において「印鑑の提出又は廃止の届出に係る添付書面情報の送信」という。)しなければならない。

3 第百二条第三項の規定は提出等情報の送信について、同条第五項の規定は印鑑の提出又は廃止の届出に係る添付書面情報の送信について準用する。

 オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出は、オンラインによる登記の申請の同時にする場合に限りすることができる。

 登記官は、提出されたデータを印刷し、様式の目盛りを計測する。

(電子証明書による証明の請求の方法)

第百六条の二 第百一条第一項第三号の規定により電子証明書による証明の請求をするには、申請人等は、法務大臣の定めるところに従い、第三十三条の六第一項の申請書に記載すべき事項に係る情報に第三十三条の四に定める措置を講じたものを送信(第四項において「証明の請求に係る申請書情報の送信」という。)しなければならない。

2 申請人等は、法務大臣の定めるところに従い、第三十三条の六第一項の規定により提出すべき電磁的記録及び同条第七項の規定により書面を申請書に添付すべき場合における当該書面に代わるべき情報を送信しなければならない。

3 申請人等は、前項に規定する書面のほか、第三十三条の六第一項の申請書に添付すべき書面があるときは、法務大臣の定めるところに従い、当該書面に代わるべき情報にその作成者が第一項に規定する措置を講じたものを送信(次項において「証明の請求に係る添付書面情報の送信」という。)しなければならない。

4 第百二条第三項及び第四項の規定は証明の請求に係る申請書情報の送信について、同条第五項の規定は証明の請求に係る添付書面情報の送信について準用する。

5 第一項の規定による請求については、第三十三条の七第一項の規定中申請書への記載に関する部分は、適用しない。

6 第百一条第一項に規定する方法により電子証明書による証明の請求をする場合において、手数料を納付するときは、登記官から得た納付情報により納付する方法によつてしなければならない。

 電子証明書による証明のオンラインによる請求により申請人に告知したときは、登記所は端末から電子証明書の番号を記録した書面を2部出力し、一部を申請書に合綴、1部は適宜廃棄。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑻―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 依頼者が法人の場合。実質的支配者である自然人まで遡る。法人税申告書別表二「同族会社の判定に関する明細書」による確認など。

資本多数決法人である場合と、そうでない場合。

 

登記研究923号令和7年1月号

登記研究923号(令和7年1月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

■新年を迎えて

法務省民事局長 竹 内   努

 遺言法制、成年後見法制の見直し。

【論説・解説】

■民事基本法制の立法動向について

法務省大臣官房審議官 内 野 宗 揮

一 はじめに

二 令和6年通常国会で成立した法律の概要

1 民法等の一部を改正する法律(家族法制関係)

2 公益信託に関する法律

三 現下の立法課題

1 区分所有法制の見直し

2 船荷証券等の電子化に関する見直し

3 担保法制の見直し

4 遺言制度の見直し

5 成年後見制度の見直し

6 違憲決定への対応

■ポイント解説

基礎から考える商業登記実務(第5回)

横浜地方法務局法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

1 はじめに

2 株主総会の決議による解散とその登記

 特例有限会社が解散決議をする場合の株主総会の要件について。期限付き解散決議の期限。存続期間を定める定款変更の決議(会社法471条)。

3 清算人の登記

 特例有限会社の清算人の登記事項(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律43条2項)。

 登記研究325号P68、昭和49年11月15日法務省民四第5938号民事局第四課長依命通知「休眠会社の整理により解散した株式会社の清算人の登記等について」

登記研究227号P71、昭和41年8月24日民事甲第2441号民事局長回答「清算人及び代表清算人の就任年月日等の登記について」

4 代表清算人の登記

5 清算人及び代表清算人の登記に関連するその他の留意点等

6 おわりに

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(4・完)

東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

不動産登記規則(代替措置が講じられていない登記事項証明書の交付の請求)第二百二条の十四

 代替措置申出の撤回が出来るのは、申出人に限られ、申出人の相続人等は出来ない(不動産登記規則第二百二条の十五)。

 複数の措置対象住所が公示用住所管理ファイルに記録されている場合には、その一部の措置対象住所に係る公示用住所のみについて変更を申し出ることも許容される。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第128回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

 理事の予選。

■Q&A不動産表示登記(99)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

不動産登記法(共用部分である旨の登記等)第五十八条1,2,3、5,6項略

4 登記官は、共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記をするときは、職権で、当該建物について表題部所有者の登記又は権利に関する登記を抹消しなければならない。

■逐条解説不動産登記規則(52)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

不動産登記規則(分筆の登記における権利部の記録方法)第百二条

 登記研究408号P91、1981年12月30日質疑応答【六〇〇七】「分筆による買戻特約の登記の転写と共に権利の目的である旨の記載の要否」

登記研究244号P44昭和42年12月14日民事甲第3663号民事局長回答「担保権を除く所有権以外の権利についての「共ニ権利ノ目的タル」旨の記載方について」

■商業登記の変遷(69)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

■民事信託の登記の諸問題(40)

渋 谷 陽一郎

 将来、受益者となるべき者として指定された者=二次受益者・・・=期待権を有する者。かような期待権を有するにすぎない者の表示が、不動産登記法97条1項1号に規定する「受益者」に該当するのだろうか。

・・・該当しないと考えられます(七戸克彦監修『条解不動産登記法』2013、弘文堂、P600)。

 それでは、受益権の内容なるものは、信託目録上、97条1項11号の「その他の信託の条項」として登記し得るのか否か、更には、仮に、信託目録に記録すべき情報として登記し得るとした場合、その範囲は何か、という問題がある。

・・・後続登記に必要な範囲に限られると考えます。

更には、委託者の受益者変更権に対する別段の定めをした場合(同項ただし書)、それは信託目録に記録すべき情報とし得るのか(許容性)、また、同情報として記録する必要があるのか(必要性)も問題となろう。

・・・不動産登記法97条1項11号に制限がないので、許容されると考えます。後続登記に必要な情報であれば必要性を満たすと考えます。

 

【資 料】会社法施行下で使える登記先例――実務の便覧――(16)

登記研究552号P120、平成5年8月20日法務省民四第5554号民事局第四課長依命通知「利用運送事業又は一般貨物自動車運送事業を目的とする法人の合併の登記について」

登記研究557号P158、平成6年1月10日法務省民四第311号民事局第四課長通知「一般旅客定期航路事業、港湾運送事業又は内航海運業を目的とする法人の合併又は解散の登記について」

 認可を要しないものであることの証明書の添付。

登記研究675号P119、平成16年1月15日法務省民商第84号民事局商事課長通知「親会社を同じくする完全子会社間における新株を割り当てない吸収合併の登記について」

 合併前後を通じて、財産価値の合計および支配関係に変化がない場合。

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

 吸収合併の効力発生日に変更があった場合の添付書類。

登記研究598号P168、平成9年9月19日法務省民四第1709号民事局長通達「商法等の一部を改正する法律等の施行に伴う登記事務の取扱いについて」

 債権者保護として抵当権設定がされている不動産登記の全部事項証明書を添付することができる場合。

登記研究727号P119、平成20年6月25日法務省民商第1774号民事局商事課長通知「存続会社が一通の吸収合併契約書により複数の消滅会社との間で吸収合併をする場合の登記の取扱いについて」

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

 吸収合併存続株式会社の株主名簿等を添付する必要がある場合。

登記研究135号P37、昭和34年1月8日民事四発第2号民事局第四課長心得回答「一件の申請でなされた株式会社の合併による変更登記申請に合併に関連した変更登記が含まれている場合の登録税の徴収方について」

登記研究166号P55、1961年9月20日第五部質疑・応答三五四五「株式会社合併の場合における登録税について」

登記研究712号P171、平成19年4月25日法務省民商第971号民事局長通達「登録免許税法施行規則及び租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

 登録免許税法施行規則12条。

登記研究646号P158、平成13年分割4月19日法務省民商第1091号民事局商事課長通知「会社分割において債権者に対する公告及び催告を省略することができる場合について」

 分割会社の債権者が引き続き債権を行使することができ、責任財産が減少しない場合。

登記研究719号P164、平成19年12月18日法務省民商第2738号民事局商事課長通知「一つの分割会社が複数の承継会社との間で吸収分割をする場合の登記の取扱いについて」

登記研究641号P172、 2001年6月30日【質疑応答】「共同新設分割における簡易分割について」

登記研究707号P193、 2007年1月30日【質疑応答】〔七八四三〕「会社分割の登記の手続及び登録免許税について」

登記研究626号P243、2000年3月30日【質疑応答】〔七七一五〕「株式移転による設立の登記の申請書の「登記の事由」の記載について」

登記研究724号P51、平成20年1月25日法務省民商第307号民事局商事課長通知「新設分割又は株式移転による設立登記の申請書に設立時代表取締役の就任承諾書に押印した印鑑に係る印鑑証明書を添付することの要否について」

登記研究715号P219、2007年9月30日先例特集号【質疑応答】〔七八五七〕「新設型組織再編行為に係る契約・計画の承認決議の日の翌日から二〇日間を経過しないで申請された当該新設型組織再編行為に係る登記の可否」

【法 令】

不動産登記規則の一部を改正する省令(令和6年12月2日法務省令第47号)

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6253〕租税特別措置法第80条第1項の規定に基づく登録免許税の税率の軽減措置に係る証明書の様式について(令和6年4月1日付け法務省民二第669号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長、商事課長依命通知)

▽商業・法人登記関係

〔6254〕商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

加工令和6年3月22日法務省民二第552号不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(ローマ字氏名併記関係)

不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号。以下「改正省令」という。)による改正後の不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「規則」という。)の規定に基づく不動産登記事務の取扱い(ローマ字氏名併記関係。令和6年4月1日施行)については、下記の点に留意するよう、貴管下登記官に周知方お取り計らい願います。

なお、本通達中、「令」とあるのは不動産登記令(平成16年政令第379

号)を、「準則」とあるのは不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月2

5日付け法務省民二第456号当職通達)をいいます。

第1部本通達の趣旨

本通達は、外国人(日本の国籍を有しない自然人をいう。以下同じ。)である所有権の登記名義人の氏名へのローマ字氏名併記に係る改正省令の施行に伴い、その取扱いにおいて留意すべき事項を明らかにしたものである。

第2部ローマ字氏名併記に関する事務の取扱い

第1 通則

1 併記するローマ字氏名

(1) ローマ字氏名は、氏名の表音をローマ字で表示したものをいうとされた(規則第158条の31第1項)。

このローマ字氏名は、外国人である所有権の登記名義人の氏名にのみ併記し、所有権の登記名義人以外の者の氏名には併記することはできない。また、外国法人である所有権の登記名義人の名称にその表音をローマ字で表示したものを併記することもできない。

なお、外国人である所有権の登記名義人の氏名が漢字表記されている場合であっても、ローマ字氏名を併記するものとする。

(1) A Roman alphabet name is defined as the phonetic representation of a name written in Roman letters (Article 158-31, Paragraph 1 of the Regulations).

This Roman alphabet name may only be written alongside the name of a registered ownership holder who is a foreign national, and may not be written alongside the name of any person other than the registered ownership holder. Furthermore, the phonetic representation of the name written in Roman letters may not be written alongside the name of a registered ownership holder who is a foreign corporation.

Even if the name of a registered ownership holder who is a foreign national is written in kanji, the Roman alphabet name shall be written alongside the name.

おって、併記されるローマ字氏名は、所有権の登記の登記事項ではなく、外国人である登記名義人の氏名を補足する事項である。

(2) 併記するローマ字氏名は、次の表示方法によるものとする。

ア所有権の登記名義人の氏名の表音をローマ字で表示したものに限るものとし、ローマ字以外の文字又は記号による表示は認めない。

イローマ字氏名は、原則として全て大文字で表示するものとする。

ウローマ字氏名の氏と名の間にはスペースを付すこととし、「・(中点)」等の記号による区切りは認めない。また、ローマ字氏名は、登記記録に記録された氏と名の順に従って表示するものとする。

エ 母国語による所有権の登記名義人の氏名に「Ⅲ」、「Ⅳ」又は「Ⅸ」等のローマ数字が含まれる場合には、当該ローマ数字について「I」「V」又は「X」等のローマ字を組み合わせて表示することができる。

2 ローマ字氏名が併記される場合

所有権の登記名義人の氏名にローマ字氏名が併記されるのは、次の場合である。

(1) 外国人が新たに所有権の登記名義人となる登記等の申請に伴い、申請人が、ローマ字氏名の併記の申出をした場合(規則第158条の31)。

(2) 外国人である所有権の登記名義人が、登記の申請を伴わずにローマ字氏名の併記の申出をした場合(規則第158条の32)。

なお、以下では前記(1)の申出を「登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出」といい、前記(2)の申出を「ローマ字氏名併記の申出」又は「登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出」というものとする。

第2 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出

1 申出をすべき場合

(1) 次に掲げる登記を申請する場合において、次のア及びイに定める者が外国人であるときは、当該登記の申請人は、登記官に対し、当該ア及びイに定める者のローマ字氏名を申請情報の内容として、当該ローマ字氏名を登記記録に記録するよう申し出るものとするとされた(規則第158条の31第1項)。

ア所有権の保存若しくは移転の登記、所有権の登記がない不動産について嘱託によりする所有権の処分の制限の登記、合体による登記等(不動産登記法(平成16年法律第123号)第49条第1項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限る。)又は所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限る。) 所有権の登記名義人となる者

イ所有権の登記名義人の氏名についての変更の登記又は更正の登記所有権の登記名義人

(2) 前記(1)ア及びイに定める者以外の者が、代位により前記(1)に掲げる登記を申請する場合や、前記(1)に掲げる登記を嘱託する場合であっても、前記(1)ア及びイに定める者が外国人であるときは、登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出をする必要がある。

2 申出の方法

登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出は、所有権の登記名義人となる者又は所有権の登記名義人のローマ字氏名を登記申請の申請情報の内容とする方法により行うものとする。具体的には、申請情報である登記権利者の氏名に括弧を付してローマ字氏名を併記する方法によるものとする。

3 ローマ字氏名を証する情報

登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出をする場合には、前記1(1)ア及びイに定める者のローマ字氏名を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報。以下この3において「ローマ字氏名を証する情報」という。)をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならないとされた(規則第158条の31第2項)。

(1) ローマ字氏名を証する情報の内容

ローマ字氏名を証する情報は、次のア及びイに掲げる区分に応じ、当該ア及びイに定めるものとする。なお、前記1(1)ア及びイに定める者の住所を証する情報に次に定めるものが含まれている場合には、これをもってローマ字氏名を証する情報を兼ねることができ、その場合には添付情報の表示として「ローマ字氏名を証する情報(省略)」の例によりその旨を明らかにするものとする。

ア住民基本台帳に記録されている外国人の場合当該外国人に係る住民票の写し(ローマ字氏名が記載されているものに限る。以下「外国人住民票」という。)。

イ住民基本台帳に記録されていない外国人の場合次の(ア)又は(イ)の区分に応じ、当該(ア)又は(イ)に定める書面

  • 旅券を所持しているとき

前記1(1)ア及びイに定める者のローマ字氏名が表記されたページが含まれている旅券の写しであって、次の①から③までを満たすもの。

① 登記申請の受付の日において有効な旅券の写しであること。

② 前記1(1)ア及びイに定める者のローマ字氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写しが含まれていること。

③ 当該旅券の写しに原本と相違がない旨の記載及び前記1(1)ア及びイに定める者の署名又は記名押印がされていること。

  • 旅券を所持していないとき

前記1(1)ア及びイに定める者のローマ字氏名、当該ローマ字氏名が当該者のものであることに相違ない旨及び旅券を所持していない旨が記載された当該者の作成に係る上申書であって、当該者の署名又は記名押印がされているもの。

3 Information certifying the Roman alphabet name

When applying for the inscription of the Roman alphabet name in conjunction with a registration application, information prepared by the mayor of a city, town or village or other public official in the course of their duties that certifies the Roman alphabet name of the person specified in 1(1)(a) and (b) above (information to replace it if there is no information prepared by a public official in the course of their duties; hereafter referred to as “information certifying the Roman alphabet name” in this 3) must be submitted to the registry office along with the application information (Article 158-31, paragraph 2 of the Ordinance).

(1) Content of information certifying the Roman alphabet name

Information certifying the Roman alphabet name shall be as specified in A and B below according to the classification set forth in A and B. In addition, if the information certifying the address of the person specified in 1(1)(a) and (b) above contains the following, this may also serve as information certifying the Roman alphabet name, and in that case, this shall be made clear by displaying the attached information as “information certifying the Roman alphabet name (omitted)”.

A. In the case of a foreigner who is recorded in the Basic Resident Register, a copy of the resident record (only those with the name in Roman letters written on them. Hereinafter referred to as the “Foreigner Resident Record”).

B. In the case of a foreigner who is not recorded in the Basic Resident Register, the document specified in (A) or (B) below according to the classification (A) or (B).

(A) If the person holds a passport

A copy of the passport that includes the page with the Roman alphabet name of the person specified in 1 (1) A and B above, and that meets the following ① to ③.

① It must be a copy of a passport that is valid on the day the registration application is accepted.

② It must include a copy of the page with the Roman alphabet name, validity period, and photo of the person specified in 1 (1) A and B above.

③ It must state that the copy of the passport is no different from the original and must bear the signature or name and seal of the person specified in 1 (1) A and B above.

(ii) When a person does not possess a passport, a written statement prepared by the person specified in 1.(1)(a) and (b) above, stating the Roman alphabet name of the person, a statement to the effect that the Roman alphabet name is indeed that of the person, and a statement to the effect that the person does not possess a passport, and bearing the person’s signature or name and seal.

なお、代位により前記(1)に掲げる登記を申請する場合その他の前記1(1)ア及びイに定める者以外の者が前記1(1)に掲げる登記を申請する場合において、前記1(1)ア及びイに定める者が住民基本台帳に記録されていない外国人であるためこのイに定める書面の提出が困難であるときは、例外的に登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出をしないこととして差し支えない。

ウ登記所に提出する前記イに定める書面のうち、外国語で作成されたものについては、その訳文を添付しなければならない。

(2) 提供方法

ローマ字氏名を証する情報の提供方法は、併せてする登記申請の添付情報の提供方法の例によるものとする。なお、令附則第5条第1項の規定によりローマ字氏名を証する情報を記載した書面を提出する場合には、当該書面に記載された情報を記録した電磁的記録を提供することを要しない。

(3) 提供の省略

前記1(1)ア及びイに定める者が前記1(1)に掲げる登記の電子申請をするに際し登記申請に伴うローマ字併記の申出をする場合において、その者が規則第43条第1項第1号に掲げる電子証明書(登記官が当該ローマ字氏名を確認することができるものに限る。)を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、ローマ字氏名を証する情報の提供に代えることができるとされた(規則第158条の31第3項)。

(4) ローマ字氏名を証する情報を記載した書面の原本の還付

ローマ字氏名を証する情報を記載した書面の原本の還付については、規則第55条の例によるものとする。

(5) 他の共有者の持分の取得に係る登記の添付情報

ローマ字氏名が既に登記されている所有権の登記名義人が他の共有者の持分を取得することに係る所有権の移転の登記を申請する場合において、当該ローマ字氏名を申請情報の内容としたときは、前記(1)ア又はイに掲げる情報の提供を省略することができるものとする。この場合においては、規則第34条第1項第6号の添付情報の表示として「ローマ字氏名を証する情報(省略)」の例によりその旨を明らかにするものとする。

4 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出の却下等

(1) 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出の却下

登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出がされた場合において、登記申請に却下事由はないが、申出につき次に掲げる事由があるときは、別記第1号様式に基づき、決定書を作成して申出を却下した上で、登記記録に申出に係るローマ字氏名を記録することなく登記をするものとする。ただし、申出の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申出人がこれを補正したときは、この限りでないものとする。

ア前記1(1)において登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出をするものとされた場合に該当しないとき。

イ申請情報の内容とするローマ氏名又はその提供の方法が令又は規則の規定により定められた方式に適合しないとき。

ウ申請情報の内容とするローマ字氏名の内容がローマ字氏名を証する情報の内容と合致しないとき。

エローマ字氏名を証する情報が提供されないとき。

申出を却下する場合の取扱いについては、規則第38条の例によるものとする。

(2) 登記申請を却下する場合の取扱い

登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出がされた場合において、登記申請を却下すべきときは、当該登記申請の却下により当該申出も併せて却下されたことになる。なお、当該登記申請を却下する決定書に当該申出を却下する旨を記載する必要はなく、当該申出の却下に係る決定書を別に作成することも要しない。

5 登記記録への記録方法

登記官は、登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出があったときは、職権で、申出に係るローマ字氏名を登記記録に記録するものとするとされた(規則第158条の31第4項)。

当該登記記録への記録は、別紙1の振り合いによるものとする。

第3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

1 申出ができる場合

日本の国籍を有しない所有権の登記名義人は、登記官に対し、そのローマ字氏名を登記記録に記録するよう申し出ることができるとされた。

ただし、当該ローマ字氏名が既に記録されているときは、この限りでないとされた(規則第158条の32第1項)。

2 ローマ字氏名併記申出情報

(1) ローマ字氏名併記の申出において明らかにすべき事項

アローマ字氏名併記の申出は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならないとされた(規則第158条の32第2項)。

(ア) 申出人の氏名及び住所

(イ) 代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名

(ウ) 申出の目的

(エ) 所有権の登記名義人の氏名

(オ) 所有権の登記名義人のローマ字氏名

(カ) 申出に係る不動産の不動産所在事項

イ前記ア(ウ)の申出の目的の記載方法は、「何番所有権登記名義人表示変更」の振り合いによるものとする。

また、前記ア(エ)及び(オ)の記載方法は、「変更後の事項 氏名【所有権の登記名義人の氏名】(【所有権の登記名義人のローマ字氏名】)」の振り合いにより、所有権の登記名義人の氏名にローマ字氏名を括弧書で併記する方法によるものとする。

(2) 不動産番号の取扱い

前記(1)ア(カ)にかかわらず、不動産番号をローマ字氏名併記申出情報(前記(1)アに掲げる事項に係る情報をいう。以下同じ。)の内容としたときは、同(カ)に掲げる事項をローマ字氏名併記申出情報の内容とすることを要しないとされた(規則第158条の32第3項)。

(3) ローマ字氏名併記申出情報の内容とする事項

ローマ字氏名併記の申出においては、前記(1)ア(ア)から(カ)までに掲げる事項のほか、次に掲げる事項をローマ字氏名併記申出情報の内容とするものとするとされた(規則第158条の32第4項)。

ア申出人又は代理人の電話番号その他の連絡先

イ ローマ字氏名併記申出添付情報(後記5(1)に掲げる情報をいう。以下同じ。)の表示

ウ申出の年月日

エ登記所の表示

3 ローマ字氏名併記の申出の方法

ローマ字氏名併記の申出は、次に掲げる方法のいずれかにより、ローマ字氏名併記申出情報を登記所に提供してしなければならないとされた(規則第158条の32第5項)。

(1) 電子情報処理組織を使用する方法(以下この方法によるローマ字氏名併記の申出を「電子申出」という。)

(2) ローマ字氏名併記申出書(ローマ字氏名併記申出情報を記載した書面をいう。以下同じ。)を提出する方法(以下この方法によるローマ字氏名併記の申出を「書面申出」という。)

4 ローマ字氏名併記申出情報の作成及び提供

ローマ字氏名併記申出情報は、一の不動産及び所有権の登記名義人ごとに作成して提供しなければならないとされた。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産についてのローマ字氏名併記の申出が同一の所有権の登記名義人に係るものであるときは、この限りでないとされた(規則第158条の32第6項)。

5 ローマ字氏名併記申出添付情報

(1) ローマ字氏名併記の申出をする場合には、次に掲げる情報(ローマ字氏名併記申出添付情報)をそのローマ字氏名併記申出情報と併せて登記所に提供しなければならないとされた(規則第158条の32第7項)。

ア代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する情報

イ前記2(1)ア(オ)に掲げる事項(所有権の登記名義人のローマ字氏名)を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報。以下この5及び後記8において「ローマ字氏名を証する情報」という。)

(2) 電子申出における前記(1)アの情報(代理人の権限を証する情報)については、作成者の電子署名を要しない。

書面申出における同情報を記載した書面には、作成者の押印又は署名を要しない。

(3) ローマ字氏名を証する情報は、①前記第2の3(1)において登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に係るローマ字氏名を証する情報に該当するとされたものに加え、②申出人と所有権の登記名義人が同一であることを証する情報とする。

6 ローマ字氏名併記申出添付情報の提供省略

法人である代理人によってローマ字氏名併記の申出をする場合において、当該代理人の会社法人等番号を提供したときは、当該会社法人等番号の提供をもって、当該代理人の代表者の資格を証する情報の提供に代えることができるとされた(規則第158条の32第8項において準用する規則第37条の2)。

7 電子申出の方法

(1) 電子申出におけるローマ字氏名併記申出情報及びローマ字氏名併記申出添付情報は、法務大臣の定めるところにより送信しなければならないとされた。ただし、ローマ字氏名併記申出添付情報の送信に代えて、登記所にローマ字氏名併記申出添付書面(ローマ字氏名併記申出添付情報を記載した書面をいう。以下同じ。)を提出することを妨げないとされた( 規則第158条の32第9項において準用する規則第158条の8第1項)。

(2) 前記(1)本文により送信するローマ字氏名併記申出添付情報(規則第158条の32第7項に規定する情報(前記5(1)アの情報(代理人の権限を証する情報))を除く。)は、作成者による規則第42条の電子署名が行われているものでなければならないとされた(規則第158条の32第10項において準用する令第12条第2項及び規則第158条の32第11項において準用する規則第42条)。

なお、前記(1)本文により送信するローマ字氏名併記申出情報については、電子署名を要しない。

(3) 前記(2)の電子署名が行われているローマ字氏名併記申出添付情報を送信するときは、規則第43条第2項の電子証明書を併せて送信しなければならないとされた(規則第158条の32第10項において準用する令第14条及び規則第158条の32第11項において準用する規則第43条第2項)。

8 電子申出においてローマ字氏名併記申出添付書面を提出する場合についての特例等

(1) 前記7(1)のただし書(いわゆる別送方式)によりローマ字氏名併記申出添付書面を提出するときは、ローマ字氏名併記申出添付書面を登記所に提出する旨及び各ローマ字氏名併記申出添付情報につき書面を提出する方法によるか否かの別をもローマ字氏名併記申出情報の内容とするものとするとされた( 規則第158条の32第9項において準用する規則第158条の9第1項)。

(2) 前記(1)の場合には、当該ローマ字氏名併記申出添付書面は、ローマ字氏名併記の申出の受付の日から二日以内に提出するものとするとされた(規則第15 8条の32第9 項において準用する規則第158条の9第2項)。

(3) 前記(1)の場合には、申出人は、当該ローマ字氏名併記申出添付書面を提出するに際し、規則別記第4号の2様式による用紙に次に掲げる事項を記載したものを添付しなければならないとされた(規則第15 8条の32第9 項において準用する規則第158条の9第3項)。

ア受付番号その他の当該ローマ字氏名併記申出添付書面をローマ字氏名併記申出情報とする申出の特定に必要な事項

イ前記7(1)ただし書(いわゆる別送方式)により提出するローマ字氏名併記申出添付書面の表示

(4) 電子証明書の提供による提供の省略

電子申出をする申出人がローマ字氏名併記申出情報又は委任による代理人の権限を証する情報に規則第42条の電子署名を行い、当該申出人の規則第43条第1項第1号に掲げる電子証明書(登記官が所有権の登記名義人のローマ字氏名を確認することができるものに限る。)を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、ローマ字氏名を証する情報の提供に代えることができるとされた(規則第158条の32第12項)。

9 書面申出の方法

(1) 書面申出をするときは、ローマ字氏名併記申出書にローマ字氏名併記申出添付書面を添付して提出しなければならないとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第158条の10第1項)。なお、ローマ字氏名併記申出書に押印することを要しない。

(2) ローマ字氏名併記申出書に記載する文字は、字画を明確にしなければならないとされた( 規則第158条の32第13項において準用する規則第158条の10第2項において準用する規則第45条第1項)。

(3) ローマ字氏名併記申出書につき文字の訂正、加入又は削除をしたときは、その旨及びその字数を欄外に記載し、又は訂正、加入若しくは削除をした文字に括弧その他の記号を付して、その範囲を明らかにしなければならないとされた。この場合において、訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならないとされた(規則第158条の32 第13項において準用する規則第158条の10第3項)。

(4) 申出人又はその代理人は、ローマ字氏名併記申出書が二枚以上であるときは、各用紙に当該用紙が何枚目であるかを記載することその他の必要な措置を講じなければならないとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第158条の10第4項)。

10 ローマ字氏名併記申出書等の送付方法

(1) ローマ字氏名併記の申出をしようとする者がローマ字氏名併記申出書又はローマ字氏名併記申出添付書面を送付するときは、書留郵便又は信書便事業者による信書便の役務であって当該信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによるものとするとされた(規則第158条の3 2第13項において準用する規則第158条の11第1項)。

(2) 前記(1)の場合には、ローマ字氏名併記申出書又はローマ字氏名併記申出添付書面を入れた封筒の表面にローマ字氏名併記申出書又はローマ字氏名併記申出添付書面が在中する旨を明記するものとするとされた(規則第15 8条の32第1 3項において準用する規則第158条の11第2項)。

11 受領証の交付の請求

(1) 書面申出をした申出人は、申出に係る登記記録への記録が完了するまでの間、ローマ字氏名併記申出書及びそのローマ字氏名併記申出添付書面の受領証の交付を請求することができるものとする。

(2) 前記(1)により受領証の交付を請求する申出人は、ローマ字氏名併記申出書の内容と同一の内容を記載した書面を提出しなければならないものとする。

(3) 登記官は、前記(1)による請求があった場合には、前記(2)により提出された書面にローマ字氏名併記の申出の受付の年月日及び受付番号並びに職氏名を記載し、職印を押印して受領証を作成した上、当該受領証を交付するものとする。

12 ローマ字氏名併記申出添付書面の原本の還付請求

(1) ローマ字氏名併記申出添付書面を提出した申出人は、ローマ字氏名併記申出添付書面の原本の還付を請求することができるとされた。

ただし、当該申出のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでないとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第1項)。

(2) 前記(1)本文により原本の還付を請求する申出人は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出しなければならないとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第2項)。

(3) 登記官は、前記(1)本文による請求があった場合には、調査完了後、当該請求に係る書面の原本を還付しなければならないとされた。この場合には、前記(2)の謄本と当該請求に係る書面の原本を照合し、これらの内容が同一であることを確認した上、前記(2)の謄本に原本還付の旨を記載し、これに登記官印を押印しなければならないとされた( 規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第3項)。

なお、当該原本還付の旨の記載は、準則第30条の例によるものとする。

(4) 前記(3)により登記官印を押印した前記(2)の謄本は、登記完了後、申請書類つづり込み帳につづり込むものとするとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第4項)。

(5) 前記(3)にかかわらず、登記官は、偽造された書面その他の不正なローマ字氏名併記申出のために用いられた疑いがある書面については、これを還付することができないとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第5項)。

(6) 前記(3)による原本の還付は、申出人の申出により、原本を送付する方法によることができるとされた。この場合においては、申出人は、送付先の住所をも申し出なければならないとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第6項)。

(7) 前記(6)の場合における書面の送付は、前記(6)の住所に宛てて、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによってするものとするとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第7項)。

(8) 前記(7)の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを提出する方法により納付しなければならないとされた( 規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第8項)。

(9) 前記(8)の指定は、告示してしなければならないとされた(規則第158条の32第13項において準用する規則第55条第9項)。

13 ローマ字氏名併記の申出の受付等

(1) 登記官は、前記3(ローマ字氏名併記の申出の方法)によりローマ字氏名併記申出情報が登記所に提供されたときは、当該ローマ字氏名併記申出情報に係るローマ字氏名併記の申出の受付をしなければ

ならないとされた(規則第158条の32第14項において準用する規則第158条の14第1項)。

(2) 前記(1)による受付は、受付帳に申出の目的、申出の受付の年月日及び受付番号並びに不動産所在事項を記録する方法によりしなければならないとされた( 規則第158条の32第14項において準用する規則第158条の14第2項)。

なお、当該受付帳は、規則第18条の2第1項の登記の申請について調製する受付帳を指す。

(3) 登記官は、ローマ字氏名併記の申出の受付をしたときは、当該ローマ字氏名併記の申出に受付番号を付さなければならないとされた(規則第1 58条の32第14項において準用する規則第158条の14第3項)。

(4) 登記官は、書面申出の受付にあっては、前記(2)により受付をする際、ローマ字氏名併記申出書に申出の受付の年月日及び受付番号を記載しなければならないとされた(規則第158条の32第14項において準用する規則第158条の14第4項)。

(5) 前記(1)から(4)までのほか、ローマ字氏名併記の申出の受付及びローマ字氏名併記申出書等の処理に関する取扱いについては、準則第31条及び第32条の例によるものとする。

14 調査

登記官は、ローマ字氏名併記申出情報が提供されたときは、遅滞なく、ローマ字氏名併記の申出に関する全ての事項を調査しなければならないとされた(規則第158条の32第14項において準用する規則第57条)。

15 ローマ字氏名併記の申出の却下等

(1) 登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、ローマ字氏名併記の申出を却下しなければならないものとする。ただし、当該ローマ字氏名併記の申出の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申出人がこれを補正したときは、この限りでないものとする。

ア申出に係る不動産の所在地が当該申出を受けた登記所の管轄に属しないとき。

イ申出に係るローマ字氏名が既に記録されているとき。

ウ申出の権限を有しない者の申出によるとき。

エローマ字氏名併記申出情報又はその提供の方法が規則により定められた方式に適合しないとき。

オローマ字氏名併記申出情報の内容である不動産が登記記録と合致しないとき。

カローマ字氏名併記申出情報の内容がローマ字氏名併記申出添付情報の内容と合致しないとき。

キローマ字氏名併記申出添付情報が提供されないとき。

(2) 登記官は、前記(1)ただし書の期間を定めたときは、当該期間内は、当該補正すべき事項に係る不備を理由に当該ローマ字氏名併記の申出を却下することはできないものとする。

(3) 登記官は、ローマ字氏名併記の申出を却下するときは、別記第2号様式に基づき、決定書を作成して、これを申出人に交付するものとする。ただし、代理人によってローマ字氏名併記の申出がされた場合は、当該代理人に交付すれば足りるものとする。

(4) 前記(3)の交付は、当該決定書を送付する方法によりすることができるものとする。

(5) 登記官は、ローマ字氏名併記申出添付書面が提出された場合において、ローマ字氏名併記の申出を却下したときは、ローマ字氏名併記申出添付書面を還付するものとする。ただし、偽造された書面その他の不正なローマ字氏名併記の申出のために用いられた疑いがある書面については、この限りでないものとする。

(6) 前記(1)から(5)までのほか、ローマ字氏名併記の申出の却下に関する取扱いについては、準則第28条の例によるものとする。

16 ローマ字氏名併記の申出の補正期限の連絡等

ローマ字氏名併記の申出の補正期限の連絡等に関する取扱いについては、準則第36条の例によるものとする。

17 ローマ字氏名併記の申出の取下げ

(1) ローマ字氏名併記の申出の取下げは、次のア及びイに掲げるローマ字氏名併記の申出の区分に応じ、当該ア及びイに定める方法によってしなければならないものとする。

ア電子申出規則第158条の17第1項において準用する規則第39 条第1項第1号の例により電子情報処理組織を使用してローマ字氏名併記の申出を取り下げる旨の情報を登記所に提供する方法

イ書面申出ローマ字氏名併記の申出を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法

(2) ローマ字氏名併記の申出の取下げは、申出に係る登記記録への記録がされた後は、することができないものとする。

(3) 登記官は、ローマ字氏名併記申出書又はローマ字氏名併記申出添付書面が提出された場合において、ローマ字氏名併記の申出の取下げがされたときは、ローマ字氏名併記申出書又はローマ字氏名併記申出添付書面を還付するものとする。ただし、偽造された書面その他の不正なローマ字氏名併記の申出のために用いられた疑いがある書面については、この限りでないものとする。

(4) 前記(1)から(3)までのほか、ローマ字氏名併記の申出の取下げに関する取扱いについては、準則第29条の例によるものとする。

18 登記記録への記録の方法等

(1) ローマ字氏名の併記の記録方法

ア登記官は、ローマ字氏名併記の申出があったときは、職権で、次に掲げる事項を所有権の登記に付記する方法によって登記記録に記録するものとするとされた(規則第158条の32第15項)。

(ア) 登記の目的

(イ) 申出の受付の年月日及び受付番号

(ウ) 登記原因及びその日付

(エ) 所有権の登記名義人の氏名

(オ) 所有権の登記名義人のローマ字氏名

前記(ア)の登記の目的は「何番登記名義人表示変更」と、前記(ウ)の登記原因は「申出」と、登記原因の日付はローマ字氏名併記の申出の受付の年月日とする。

イ登記官は、前記アの記録をするときは、従前の所有権の登記名義人の氏名を抹消する記号を記録しなければならないとされた(規則第158条の32第16項)。

(2) ローマ字氏名の併記の記録例

ローマ字氏名併記の申出による登記記録への記録は、別紙2の振り合いによるものとする。

19 ローマ字氏名併記の申出の完了通知

(1) 登記官は、前記18による記録(申出に係るローマ字氏名を登記記録に記録)をしたときは、申出人に対し、職権による記録が完了した旨を通知しなければならないとされた(規則第158条の32第17項において準用する規則第158条の18第1項)。

(2) 前記(1)の通知は、当該記録に係る次に掲げる事項を明らかにしてしなければならないとされた(規則第158条の32第17項において準用する規則第158条の18第2項)。

ア申出の受付の年月日及び受付番号

イ不動産所在事項

ウ登記の目的

(3) 前記(1)の通知は、次のア及びイに掲げるローマ字氏名併記の申出の区分に応じ、当該ア及びイに定める方法によるとされた(規則第158 条の32第17 項において準用する規則第158条の18第3項)。

ア電子申出法務大臣の定めるところにより、登記官の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された通知事項(職権による記録が完了した旨及び前記(2)アからウまでに掲げる事項をいう。以下同じ。)を電子情報処理組織を使用して送信し、これを申出人又はその代理人の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法

イ書面申出通知事項を記載した書面を交付する方法

なお、前記(1)の通知は、別記第3号様式又はこれに準ずる様式により行うものとする。

(4) 送付の方法により通知事項を記載した書面の交付を求める場合には、申出人は、その旨及び送付先の住所をローマ字氏名併記申出情報の内容としなければならないとされた(規則第158条の32第17項において準用する規則第158条の18第4項)。

(5) 送付の方法により通知事項を記載した書面を交付する場合における書面の送付は、前記(4)の住所に宛てて、書留郵便又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによってするものとされた(規則第15 8条の32第17項において準用する規則第158 条の18第5項において準用する規則第55条第7項)。

(6) 前記(5)の送付に要する費用は、郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを提出する方法により納付しなければならないとされた( 規則第158条の32第17項において準用する規則第158条の18第5項において準用する規則第55条第8項)。

(7) 前記(6)の指定は、告示してしなければならないとされた(規則第158条の32第17項において準用する規則第158条の18第5項において準用する規則第55条第9項)。

(8) 登記官は、次に掲げる場合には、前記(1)にかかわらず、申出人に対し、職権による記録が完了した旨の通知をすることを要しないとされた(規則第158 条の32第17 項において準用する規則第158条の18第6項)。

ア前記(3)アの方法により通知する場合において、通知を受けるべき者が、登記官の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに通知事項が記録され、電子情報処理組織を使用して送信することが可能になった時から30日を経過しても、自己の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該通知事項を記録しないとき。

イ前記(3)イの方法により通知する場合において、通知を受けるべき者が、登記完了の時から三月を経過しても、通知事項を記載した書面を受領しないとき。

なお、前記イの場合には、通知事項を記載した書面は適宜廃棄して差し支えない。送付の方法により通知事項を記載した書面を交付する場合において、当該書面が返戻されたときも、同様とする。

20 ローマ字氏名併記申出情報等の保存

ローマ字氏名併記申出情報及びそのローマ字氏名併記申出添付情報その他のローマ字氏名併記の申出に関する登記簿の附属書類については、権利に関する登記の申請情報及びその添付情報その他の登記簿の附属書類と同様に保存するものとする。

なお、申請書類つづり込み帳には、権利に関する登記の申請とローマ字氏名併記の申出とを区別せず、受付番号の順序に従ってこれらの書類をつづり込むものとする。

第4 相続人申告登記への準用

1 相続人申出等に伴うローマ字氏名併記の申出

登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に関する規定(規則第158条の31)は、相続人申出をする場合における申出人又は相続人申告名義人の氏名についての変更又は更正の申出をする場合における当該相続人申告名義人が外国人であるときについて準用するとされた(規則第158条の33)。

この場合の取扱いについては、前記第1及び第2の例によるものとする。

2 相続人申出等を伴わないローマ字氏名併記の申出

登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出に関する規定(規則第158条の32)は、外国人である相続人申告名義人について準用するとされた(規則第158条の33)。

この場合の取扱いについては、前記第1及び第3の例によるものとする。

第5 経過措置

登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出における電子申出に関する規定(第4の2で準用する場合を含む。)は、規則附則第3条第1項の規定による改製を終えていない登記簿(電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿を含む。)に係る申出については、適用しないとされた(改正省令附則第3条)。

第6 ローマ字氏名が記載された登記原因証明情報等の取扱い

所有権の登記名義人の氏名にローマ字氏名が併記されている場合において、その不動産の権利に関する登記の申請における登記原因証明情報その他の添付情報に作成者のローマ字氏名のみが記載されており、当該ローマ字氏名が所有権の登記名義人の氏名に併記されたローマ字氏名と一致することを登記官において確認することができるときは、添付情報におけるローマ字氏名の記載をもって当該所有権の登記名義人の氏名の記載があったものとみなして差支えない。

第7 その他

前記第1から第6までのほか、ローマ字氏名の併記に関する事務の取扱いについては、その性質上適当でないものを除き、権利に関する登記の申請に関する事務の取扱いの例によるものとする。

なお、ローマ字氏名が併記されている不動産について、住所変更の登記、分筆の登記、合筆の登記等をする場合における登記記録への記録は、別紙3の振り合いによるものとする。

別紙1

○ローマ字氏名併記に関する記録例(登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出関係)

(注)ローマ字氏名の併記方法を示したものである。

1 所有権の保存の登記と同時に併記をする場合

(1) 単有の場合

1-1【登記上の氏名が片仮名表記の場合】

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権保存令和何年何月何日所有者何市何町何番地

第何号ジョン・スミス(JOHN SMITH)

1-2【登記上の氏名が漢字表記の場合】

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権保存令和何年何月何日所有者何市何町何番地

第何号洪吉童(HONG KILDONG)

(2) 共有の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権保存令和何年何月何日共有者

第何号何市何町何番地

持分5分の3

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

何市何町何番地

5分の2

洪吉童(HONG KILDONG)

2 所有権の移転の登記と同時に併記をする場合

(1) 単有の場合

2-1【登記上の氏名が片仮名表記の場合】

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

2-2【登記上の氏名が漢字表記の場合】

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

洪吉童(HONG KILDONG)

(2) 共有の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号共有者

何市何町何番地

持分5分の3

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

何市何町何番地

5分の2

洪吉童(HONG KILDONG)

3 所有権の登記がない不動産について嘱託によりする所有権の処分の制限の登記と同時に併記をする場合

(強制執行に関する登記の場合の例)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権保存余白所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

令和何年何月何日順位2番の差押登記をするため登記

2 差押令和何年何月何日原因令和何年何月何日何地方裁判所(支部)第何号強制競売開始決定

債権者何市何町何番地

何某

4 合体による登記(法第49条第1項後段の規定により申請を併せてする所有権の登記と同時に併記をする場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 合体による所有権登記余白共有者

何市何町何番地

持分3分の2

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

何市何町何番地

3分の1

洪吉童(HONG KILDONG)

令和何年何月何日登記

洪吉童持分につき令和何年何月何日受付第何号

5 所有権の更正の登記と同時に併記をする場合

(1) 単有名義を共有名義にする場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権保存令和何年何月何日所有者何市何町何番地

第何号甲某

付記1号1番所有権更正令和何年何月何日原因錯誤

第何号共有者

何市何町何番地

持分2分の1

甲某

何市何町何番地

2分の1

洪吉童(HONG KILDONG)

(2) 共有名義を単有名義にする場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転令和何年何月何日原因平成何年何月何日相続

第何号共有者

何市何町何番地

持分2分の1

ジョン・スミス

何市何町何番地

2分の1

乙某

付記1号2番所有権更正令和何年何月何日原因錯誤

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

6 登記名義人の氏名の変更又は更正の登記と同時に併記をする場合

(1) 氏名の変更

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

付記何号何番登記名義人氏名変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日氏名変更

第何号氏名ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(2) 氏名及び住所の変更

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

付記何号何番登記名義人住所、氏名変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日氏名変更

第何号令和何年何月何日住所移転

氏名住所何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(3) 氏名の更正及び住所移転

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

付記何号何番登記名義人住所、氏名変更、更令和何年何月何日原因錯誤、令和何年何月何日住所移転

正第何号氏名住所何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(4) 氏名の更正

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

付記何号何番登記名義人氏名更正令和何年何月何日原因錯誤

第何号氏名ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(5) 住所及び氏名の更正

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

付記何号何番登記名義人住所、氏名更正令和何年何月何日原因錯誤

第何号氏名住所何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(6) 共有者の一人の氏名の更正

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

付記何号何番登記名義人氏名更正令和何年何月何日原因錯誤

第何号共有者マイク・スミスの氏名ジョン・スミス

(JOHN SMITH)

7 中間相続人がない相続人申告登記と同時に併記をする場合

(1) 単有の登記名義人の相続人が単独でした相続人申出の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転昭和何年何月何日原因昭和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

甲某

付記1号相続人申告令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号相続開始年月日昭和何年何月何日

甲某の相続人として申出があった者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(2) 共有者の一人の相続人が単独でした相続人申出の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転昭和何年何月何日原因昭和何年何月何日売買

第何号共有者何市何町何番地

持分2分の1

甲某

何市何町何番地

2分の1

乙某

付記1号相続人申告令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号相続開始年月日昭和何年何月何日

甲某の相続人として申出があった者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(3) 単有の登記名義人の相続人が複数人でした相続人申出の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転昭和何年何月何日原因昭和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

付記1号相続人申告令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号相続開始年月日昭和何年何月何日

ジョン・スミスの相続人として申出があった者

何市何町何番地

マイク・スミス(MIKE SMITH)

何市何町何番地

丙某

別紙2

○ローマ字氏名併記に関する記録例(登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出関係)

(注)ローマ字氏名の併記方法を示したものである。

1 所有権の保存の登記に併記をする場合

(1) 単有の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権保存令和何年何月何日所有者何市何町何番地

第何号ジョン・スミス

付記1号1番登記名義人表示変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号氏名ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(2) 共有の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権保存令和何年何月何日共有者

第何号何市何町何番地

持分5分の3

ジョン・スミス

何市何町何番地

5分の2

洪吉童

付記1号1番登記名義人表示変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号共有者洪吉童の氏名洪吉童(HONG KILDONG)

2 所有権の移転の登記に併記をする場合

(1) 単有の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス

付記1号5番登記名義人表示変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号氏名ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(2) 共有の場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号共有者何市何町何番地

持分2分の1

ジョン・スミス

何市何町何番地

2分の1

甲某

付記1号5番登記名義人表示変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号共有者ジョン・スミスの氏名ジョン・スミス(JOHN SMITH)

別紙3

○ローマ字氏名併記に関する記録例(ローマ字氏名が併記されている不動産に対して登記する場合の記録関係)

(注)ローマ字氏名の併記方法を示したものである。

1 ローマ字氏名が併記された者の住所変更の登記をする場合

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号共有者何市何町何番地

持分5分の3

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

何市何町何番地

5分の2

洪吉童(HONG KILDONG)

付記1号5番登記名義人住所変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日住所移転

第何号共有者ジョン・スミスの住所何市何町何番地

Appendix 3
○Example of records regarding the co-writing of names in Roman characters (recording relationship when registering real estate with a co-written name in Roman characters)
(Note) This shows how to co-write names in Roman characters.
1 When registering a change of address for a person with a co-written name in Roman characters
Rights section (District A) (Matters related to ownership)
Priority number Purpose of registration Date of receipt/receipt number Right holder Other matters
5 Transfer of ownershipReiwa year month dayCauseReiwa year month day Selling
No. No. Co-ownerNo. CityNo. TownNo.
3/5
John Smith
No. CityNo. TownNo.
2/5
Hong Kildong
Appendix 1No. 5Change of address of registered ownerReiwa year month dayCauseReiwa year month day dayRelocation of address
No. No. Co-owner John Smith’s address No. CityNo. TownNo.

(注) ローマ字氏名が併記されていない場合に住所変更の登記と同時にローマ字氏名の併記をすることはできない。

2 ローマ字氏名が併記されている土地の合筆の登記をする場合

(1) 甲土地と乙土地に併記されているローマ字氏名が同一の場合(国土調査の成果により、甲土地に乙土地を合筆する場合の例)

(甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転昭和何年何月何日原因昭和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス

付記1号2番登記名義人表示変更令和8年何月何日原因令和8年何月何日申出

第何号氏名ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(乙土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和9年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(合筆後の甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

3 合併による所有権登記余白所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

令和10年何月何日登記

(2) 甲土地のみにローマ字氏名が併記されている場合(国土調査の成果により、甲土地に乙土地を合筆する場合の例)

(甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(乙土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転昭和何年何月何日原因昭和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス

(合筆後の甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

3 合併による所有権登記余白所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

令和10年何月何日登記

(3) 乙土地のみにローマ字氏名が併記されている場合(国土調査の成果により、甲土地に乙土地を合筆する場合の例)

(甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転昭和何年何月何日原因昭和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス

(乙土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

5 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(合筆後の甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

3 合併による所有権登記余白所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

令和10年何月何日登記

3 ローマ字氏名が併記されている土地の分筆の登記をする場合

(1) 甲土地が単有の場合(甲土地から乙土地を分筆する場合)

(甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(乙土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号所有者何市何町何番地

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

順位2番の登記を転写

令和10年何月何日受付

第何号

(2) 甲土地が共有の場合(甲土地から乙土地を分筆する場合)

(甲土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

2 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号共有者何市何町何番地

持分5分の3

ジョン・スミス

何市何町何番地

5分の2

洪吉童(HONG KILDONG)

付記1号1番登記名義人表示変更令和何年何月何日原因令和何年何月何日申出

第何号氏名ジョン・スミス(JOHN SMITH)

(乙土地)

権利部(甲区) (所有権に関する事項)

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項

1 所有権移転令和何年何月何日原因令和何年何月何日売買

第何号共有者何市何町何番地

持分5分の3

ジョン・スミス(JOHN SMITH)

何市何町何番地

5分の2

洪吉童(HONG KILDONG)

順位2番の登記を転写

令和10年何月何日受付第何号

(注) 付記登記がある場合であっても、ローマ字氏名を併記した氏名に引き直して記録するものとする。

別記第1号(第2部第2の4関係)

日記第号決定

住所

申出人(申請人)

令和何年何月何日受付第何号登記申請事件に伴うローマ字氏名併記の申出は、(不動産登記規則第158条の31第1項各号に掲げる登記を申請する場合に該当しない/不動産登記規則第158条の31第1項各号に定める者が日本の国籍を有しない者に該当しない/申請情報の内容とされたローマ氏名又はその提供の方法が不動産登記令又は不動産登記規則の規定により定められた方式に適合しない/申請情報の内容とされたローマ字氏名の内容がローマ字氏名を証する情報の内容と合致しない/ローマ字氏名を証する情報が提供されない)ため、これを却下する。

令和年月日

法務局出張所

登記官職印

別記第2号(第2部第3の15関係)

日記第号

決定

住所

申出人

令和何年何月何日受付第何号ローマ字氏名併記申出事件に係るローマ字氏名併記の申出は( 申出に係る不動産の、 所在地が当該申出を受けた登記所の管轄に属しない/申出に係るローマ字氏名が既に記録されている/申出の権限を有しない者の申出によるものである/ローマ字氏名併記申出情報又はその提供の方法が不動産登記規則により定められた方式に適合しない/ローマ字氏名併記申出情報の内容である不動産が登記記録と合致しない/ローマ字氏名併記申出情報の内容がローマ字氏名併記申出添付情報の内容と合致しない/ローマ字氏名併記申出添付情報が提供されない)ため、これを却下する。

令和年月日

法務局出張所

登記官職印

別記第3号(第2部第3の19関係)

申出に基づく職権登記完了通知

次の申出に基づく職権登記が完了したことを通知します。

申出受付年月日

申出受付番号

登記の目的

不動産

※「登記の目的」欄に表示されている内容は、「不動産」欄の最初に表示されている不動産に記録された登記の目的です。

                                   以上

年 月 日

法務局 出張所

登記官

ローマ字氏名・旧氏併記に関する質疑事項集

(凡例)

法:不動産登記法(平成16年法律第123号)

令:不動産登記令(平成16年政令第379号)

規則:不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)

準則:不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号民事局長通達)

ローマ字通達:民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(ローマ字氏名併記関係(令和6年3月22) 日付け法務省民二第552号民事局長通達)

旧氏通達:民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(旧氏併記関係)(令和6年3月27日付け法務省民二第553号民事局長通達)

※いずれも令和6年4月1日時点

第1 ローマ字氏名併記関係 ・・・・・・・・・・・・・・・ P1

1 通則

2 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出

3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

4 相続人申告登記への準用

5 その他

第2 旧氏併記関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・ P14

1 通則

2 登記申請に伴う旧氏併記の申出

3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出

4 旧氏併記の終了申出関係

5 相続人申告登記への準用

6 その他

質疑回答

第1 ローマ字氏名併記関係

1 通則

問1-1 ローマ字氏名の併記が認められるのは、現在の所有権の登記名義人の氏名のみであり、表題部所有者、仮登記の登記名義人、抵当権の登記の債務者や所有権の登記名義人であった者は対象とはならないということでよいか。(ローマ字通達第2部第1の1(1)関係)

・・・御理解のとおり。

問1-2 外国法人については、その名称をローマ字で表記したものを併記することはできないということでよいか。また、今後、対応する予定はあるのか。(ローマ字通達第2部第1の1(1)関係)

・・・御理解のとおり、外国法人の名称をローマ字で表記したものを併記することはできない。なお、外国法人の取扱いについては、今後の検討課題とする予定。

問1-3 漢字圏の外国人が所有権の登記名義人である場合の登記記録上の氏名については、従前の取扱いと同様、日本語の漢字表記により表示できる氏名とし、これにローマ字氏名を併記することになるということでよいか。(ローマ字通達第2部第1の1(1)関係)

・・・御理解のとおり。

問1-4 漢字圏以外の外国人(漢字圏の外国人であって日本語の漢字表記により表示できない者を含む。)が所有権の登記名義人となる場合の登記記録上の氏名については、従前の取扱いと同様、母国語による氏名の表音を片仮名で表記したものを氏名とし、これにローマ字氏名を併記することになるということでよいか。(ローマ字通達第2部第1の1関係)

・・・御理解のとおり。

問1-5 通称名を氏名として記録する場合や既に通称名を氏名として記録されている場合には、ローマ字氏名の併記をすることができないということでよいか。(ローマ字通達第2部第1の1(1)関係)

・・・御理解のとおり。

問1-6 ローマ字氏名は、氏名の表音をローマ字で表示したものをいうこととされていることから、アルファベット以外の文字や記号を使用した表示は認められないということで良いか。(ローマ字通達第2部第1の1(2)関係)

・・・御理解のとおり。

問1-7 ローマ字氏名は、原則として全て大文字で表記するとされているが、ローマ字氏名を証する情報においてローマ字においてローマ字氏名の全部又は一部が小文字で表記されている場合はどうすべきか。(ローマ字通達第2部第1の1(2)関係)

・・・ローマ字氏名を証する情報氏名の全部又は一部が小文字で表記されている場合であっても、登記記録に記録するローマ字氏名は、全部を大文字で表記したものとする。

このため、申出があったローマ字氏名の全部又は一部が小文字で表記されている場合であっても、補正を求めることなく、適宜、大文字に引き直して登記記録に記録することとなる。

なお、典型的なローマ字氏名を証する情報である住民票の写しや旅券においては、ローマ字氏名は基本的に大文字で表記されていると考えられる。

問1-8 登記記録に記録されていないミドルネームは、ローマ字氏名として併記することはできないということでよいか。(ローマ字通達第2部第1の1(2)関係)

・・・御理解のとおり、登記記録に記録されていないミドルネームをローマ字氏名として併記することはできない。

問1-9 本国名にローマ数字が含まれる場合には、ローマ数字をローマ字の組合せで表記すればよいか。(ローマ字通達第2部第1の1(2)関係)

・・・御理解のとおり、登記記録にローマ数字を日本語で表記したものが記録されている場合には、当該ローマ数字をローマ字の組合せで表記したものを併記して差し支えない。

2 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出

(1) 申出をすべき場合

問1-10 氏名が新たに記録されない所有権の登記名義人の住所についての変更の登記又は更正の登記に際して登記申請に伴うローマ字併記の申出をすることはできず、別途ローマ字併記の申出をする必要があるということでよいか。(ローマ字通達第2部第2の1関係)

・・・御理解のとおり。

問1-11 外国人が所有権の登記名義人となる登記申請がされたが、その申請情報において氏名にローマ字氏名が併記されていない場合はどうすればよいか。(ローマ字通達第2部第2の1関係)

・・・ローマ字氏名は、外国人の氏名を補足する事項のため、登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出がないことをもって、登記申請自体を却下することはできない。もっとも、ローマ字氏名は所有権の登記名義人の識別性を向上させる事項であり、規則第158条の31第1項においても「申し出るものとする。」と規定されていることを踏まえ、次のような取扱いをすることが相当と考えられる。

① 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出がされていない場合には、登記官は、登記申請人に対して申出をするよう促す(㋐所有権の登記名義人となる者等が通称名を氏名として登記申請をしている場合、㋑所有権の登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されているが外国人住民票にローマ字氏名の記載がない者である場合及び㋒所有権の登記名義人となる者等以外の者が登記申請人となる場合であって、当該所有権の登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人である場合を除く。)。

② ①㋑の場合、登記官は、登記申請人に対して申出をするかどうかを確認する。

①の促しに応じない場合又は②により申出をしないことが確認された場合には、申請書の余白にその旨を記載した上で、登記を実行するものとする。

第二版(令和6年12月19日現在)回答

ローマ字氏名は、外国人の氏名を補足する事項のため、登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出がないことをもって、登記申請自体を却下することはできない。もっとも、ローマ字氏名は所有権の登記名義人の識別性を向上させる事項であり、規則第158条の31第1項においても「申し出るものとする。」と規定されていることを踏まえ、次のような取扱いをすることが相当と考えられる。

① 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出がされていない場合には、登記官は、登記申請人に対して申出をするよう促す(㋐所有権の登記名義人となる者等が通称名を氏名として登記申請をしている場合、㋑所有権の登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されているが外国人住民票にローマ字氏名の記載がない者である場合及び㋒所有権の登記名義人となる者等以外の者が登記申請人となる場合であって、当該所有権の登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人である場合を除く。)。

② ①㋑の場合、登記官は、登記申請人に対して申出をするかどうかを確認する。

③ ①の促しに応じない場合又は②により申出をしないことが確認された場合には、申請書の余白にその旨を記載した上で、登記を実行するものとする。

問1-12 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出については、登記申請と独立して申出書が提出されるものではないため、申出に係る特別の受付は行わないということでよいか。(ローマ字通達第2部第2の2関係)

・・・御理解のとおり。

問1-13 委任による代理人によって登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出をする場合の当該代理人の権限を証する情報については、委任状において登記申請に係る委任がされていれば足り、申出に係る独立した委任がされている必要はないという認識でよいか。(ローマ字通達第2部第2の2関係)

・・・御理解のとおり。

2 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出

(2) ローマ字氏名を証する情報

問1-14 住民基本台帳に記録されている外国人について、住所を証する情報の提供に代えて住民票コードが提供された場合(規則第36条第4項)、ローマ字氏名を証する情報としても住民票の写しを提供する必要はないという理解でよいか。(ローマ字通達第2部第2の3関係)

・・・ローマ字氏名を確認することができる場合には、御理解のとおり。

問1-15 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出におけるローマ字氏名を証する情報について、外国居住者の住所証明情報と兼ねるケースが多いと考えられるところ、当該住所証明情報においては、公証人の認証書面と一体となった旅券の写しについては「原本と相違がない旨の記載」及び署名又は記名押印が不要とされている(令和5年12月15日付け法務省民二第1596号局長通達第1の(2)ア(ウ))が、本情報についても同様に取り扱って差し支えないか。(ローマ字通達第2部第2の3関係)

・・・同様に取り扱って差し支えない。

問1-16 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出におけるローマ字氏名を証する情報の考え方について教えてほしい。また、外国居住の外国人の住所を証する書面の見直しとの関係について教えてほしい。(ローマ字通達第2部第2の3関係)

登記申請に伴うローマ字併記申出におけるローマ字氏名を証する情報整理メモ

区分/添付情報

住民基本台帳に登録がある場合

・・・外国人住民票の写し

住民基本台帳に登録がない場合

旅券あり・・・ローマ字氏名が表記されたページが含まれている旅券の写しであって、次の①から③までを満たすもの。

登記申請の受付の日において有効な旅券の写し

② ローマ字氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写し

③ 当該旅券の写しに原本と相違がない旨の記載及び署名又は記名押印

旅券なし・・・ローマ字氏名、当該ローマ字氏名が当該外国人のものであることに相違ない旨及び旅券を所持していない旨が記載された当該外国人の作成に係る上申書であって、当該外国人の署名又は記名押印がされているもの

・・・1 ローマ字氏名を証する情報について

 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出におけるローマ字氏名を証する情報については、住民基本台帳に記録されている外国人が所有権の登記名義人となる場合等には、外国人住民票の写しにおいて当該外国人のローマ字氏名が記載されているため、当該写しをもってローマ字氏名を証する書面とするのが相当である。

 これに対し、住民基本台帳に記録されていない外国人については、当該外国人が旅券を所持している場合には、これに記載されたローマ字氏名が正確性の高いものと考えられることから、当該旅券の写しを添付させることとしている。

 もっとも、その真正性を確保するため、次の(ア)から(ウ)までを満たすものに限定することとしている。

(ア) 登記申請の受付の日において有効な旅券の写しであること

(イ) 当該外国人のローマ字氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写しが含まれていること。

(ウ) 当該旅券の写しに原本と相違がない旨の記載及び当該外国人の署名又は記名押印がされていること。

 また、住民基本台帳に記録されていない外国人が旅券を所持していないときは、当該外国人のローマ字氏名、当該ローマ字氏名が当該外国人のものであることに相違ない旨及び旅券を所持していない旨が記載された当該外国人の作成に係る上申書であって、当該外国人の署名又は記名押印がされているものを提出させることとしている。

 なお、別途提供されている住所証明情報により所有権の登記名義人となる者等の実在性は確認されていることから、登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出とは異なり、その実在性を確認するための追加資料は求められていない。※ローマ字氏名を証する情報を整理したものは左表のとおり。

2 外国居住の外国人の住所を証する書面との関係

外国に住所を有する外国人については、その住所証明情報の見直しに伴い、①本国政府の作成した住所を証する書面又は②公証人の作成した書面に旅券の写し等を添付したものを提供することになる。

 この①又は②により前記ローマ字氏名を証する情報を兼ねることができる場合には、当該①又②の提供で足りるが、例えば、前記①の書面がアルファベット文字を使用しないものであるとき(例えば、韓国等の住民票)は、ローマ字氏名を確認することができないため、別途、ローマ字氏名を証する情報の提供が必要となる。

問1-17 旅券を所持していない場合のローマ字氏名を証する上申書については、以下のような内容があれば足りると考えるが、よいか。

○ローマ字氏名(アルファベット表記)に関する上申書の例

「私、洪吉童の氏名の表音をローマ字表記した氏名はHONG KILDONGに相違ない。」

※作成者の署名又は記名押印を要する。

※外国語により作成されている場合には、訳文の添付を要する。(ローマ字通達第2部第2の3関係)

・・・御理解のとおり。

問1-18 いわゆる特例方式を用いて添付情報を提供する場合において、オンライン申請の受付の日から二日を経過しても登記申請に係る添付情報とローマ字氏名を証する情報を記載した書面の双方が提出されない場合の取扱いはどうすべきか。(ローマ字通達第2部第2の3(2)関係)

・・・登記申請の例(「不動産登記令の一部改正等に伴う登記事務の取扱いについて」(平成20年1月11日付け法務省民二第57号民事局長通達)第1の3(4)の例)による取扱いをすることとなる。もっとも、登記申請に係る添付情報のみが送付され、ローマ字氏名を証する情報は送付がない場合等には、送付に遺漏がないか申請人に確認することが望ましい。

2 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出

(3) 却下等

問1-19 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に対する登記官の応答(登記記録への記録又は申出の却下)に行政処分性はないという理解でよいか。(ローマ字通達第2部第2の4関係)

・・・御理解のとおり。なお、登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に対する却下は、申出に対する登記官の応答の有無を明確化する趣旨のものにすぎず、当該却下に対して審査請求や取消訴訟の提起をすることはできないと考えられる。そのため、別記第1様式においては、準則別記第42号の3様式と同様に、不服申立てについての教示は要しないものとしている。

問1-20 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に対する却下決定は、書面申請又は電子申請の別にかかわらず、書面を送付する方法で行うとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第2の4関係)

・・・御理解のとおり。

問1-21 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出のみに却下事由があり、登記申請に却下事由が存しないときは、ローマ字氏名を登記記録に記録することなく登記をするとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第2の4関係)

・・・御理解のとおり。

問1-22 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に却下事由があるため申出人が申出の取下げ(申出の撤回)を希望する場合には、申請情報とされたローマ字氏名を削除する訂正を行えば足り、別途規則第39条第1項に規定された方法に準じて申出の取下げをすることまでは要しないと考えるが、よいか。(ローマ字通達第2部第2の4関係)

・・・御理解のとおり。

問1-23 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出のみに却下事由いずれもがあるため、申出人が当該申出のみを取り下げた場合には、取下のみに関する添付情報(登記申請における添付情報として援用されていないものに限る。)を還付するという理解でよいか。ただし、偽造された書面その他の不正な申出のために用いられた疑いがある場合は除かれるとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第2の4関係)

・・・御理解のとおり。

2 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出

(4) 登記記録への記録方法等

問1-24 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に基づき登記記録にローマ字氏名が記録されたことについて、個別の登記完了証の作成の必要はないとの認識でよいか。また、登記申請に係る登記完了証に修正等を行ってローマ字氏名併記が完了したことを補足することは要しないとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第2の4関係)

・・・いずれも御理解のとおり。

3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

(1) 申出ができる場合

問1-25 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出をすることができるのは、現在の所有権の登記名義人に限られるとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第3の1関係)

・・・御理解のとおり。

問1-26 既に記録されているローマ字氏名に誤りがある場合において、これを更正する趣旨で正しいローマ字氏名の併記を申し出ることは、規則第158条の32第1項ただし書には抵触しないことから、同項の規定に基づき許容されるとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第3の1関係)

・・・御理解のとおり。

問1-27 他人の依頼を受けて、業としてローマ字氏名併記申出の手続を代理することができる者は、弁護士又は司法書士に限られるという認識でよいか。(ローマ字通達第2部第3の2関係)

・・・御理解のとおり。

3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

(2) ローマ字氏名併記申出情報

問1-28 ローマ字氏名併記の申出において、電子申出は電子署名及び電子証明書の提供が、書面申出は押印が不要とされているが、司法書士が代理人として申出をする場合には、司法書士法施行規則第28条第1項又は第2項に基づき、電子申出においては司法書士の電子署名及び電子証明書が、書面申出においては職印の押印が必要となるとの理解で良いか。(ローマ字通達第2部第3の1関係)

・・・御理解のとおり。

問1-29 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出ができない登記の申請と登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出とを1件の申出書(又は申請書)で行うことは認められず、それぞれ別の申請書と申出書の作成及び提出を要するとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第3の4関係)

・・・御理解のとおり。

3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

(3) ローマ字氏名併記申出添付情報

問1-30 委任による代理人によって登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出をする場合における委任状には、申出に係る具体的な委任がされている必要があり、単に登記申請に係る委任がされているだけでは足りないものと考えるが、その理解でよいか。(ローマ字通達第2部第3の5関係)

・・・御理解のとおり。

問1-31 登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に係るローマ字氏名を証する情報と登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出に係るローマ字氏名を証する情報との違いはどのようなものか。(ローマ字通達第2部第3の5関係)

・・・登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出においては、登記申請の添付情報である登記原因証明情報及び住所証明情報により登記権利者の実在性及び同一性を確認することができるのに対し、登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出においては、これらの情報の提供は求められていないため、「所有権の登記名義人のローマ字氏名を証する…情報」に該当するためには、申出人と所有権の登記名義人との同一性を証する情報の提供も必要となる。

問1-32 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出に係るローマ字氏名を証する情報とは、①登記申請に伴うローマ字氏名併記の申出に係るローマ字氏名を証する情報に該当するとされたものに加え、②申出人と所有権の登記名義人が同一であることを証する情報とするとされているが、②については、具体的にどのようなものが考えられるのか。(ローマ字通達第2部第3の5関係)

同一性を証する書面の整理メモ

既登記名義人の分類/想定される同一性を証する書面

住民基本台帳に登録がある場合・・・外国人住民票の写し

※ローマ字氏名が記載されている住民票のため、①と②を兼ねることとなる。

住民基本台帳に登録がない場合(旅券を保有)

英語圏

 (1) 本国等政府の作成に係る住所を証する公的書面(訳文付き)等

 (2) (1)がない場合には、登記名義人と同一であることを証する宣誓供述書(外国語で作成されている場合には、訳文付き。)等

※(1)又は(2)の書面により所有権の登記名義人と申出人との同一性を確認する。

※(1)又は(2)の書面には英語(ローマ字)で表記されている氏名が記載されていることが想定されるため、当該書面に記載されている氏名等と別途添付される旅券の写しの氏名等を対照することが想定される。

住民基本台帳に登録がない場合(旅券を保有していない)

英語圏

(1) 本国等政府の作成に係る住所を証する公的書面(訳文付き)等

(2) (1)がない場合には、登記名義人と同一人であることを証する宣誓供述書(外国語で作成されている場合い)には、訳文付き。)等

※(1)又は(2)の書面により所有権の登記名義人と申出人との同一性を確認する。

※(1)又は(2)の書面には英語(ローマ字)で表記されている氏名が記載されていることが想定されるため、当該書面に記載されている氏名等と別途添付されるローマ字氏名を証する上申書の氏名等を対照することが想定される。

英語以外

(1) 本国等政府の作成に係る住所を証する公的書面(訳文付き)等

(2) (1)がない場合には、登記名義人と同一人であることを証する宣誓供述書(外国語で作成されている場合には、訳文付き。)等

※(1)又は(2)の書面により所有権の登記名義人と申出人との同一性を確認する。

※(1)又は(2)いずれの書面にも英語(ローマ字)で表記されている氏名等が想定されないため、訳文の氏名等と別途添付されるローマ字氏名を証する上申書の訳文の氏名等を対照することが想定される。

If you are not registered in the Basic Resident Register (but have a passport)
English-speaking countries
(1) An official document (with a translation) certifying your address as prepared by the government of your home country, etc.
(2) If you do not have (1), an affidavit (if written in a foreign language, a translation must be included) certifying that you are the same person as the registered owner, etc.
※The identity of the registered owner and the applicant will be confirmed by the document in (1) or (2).
※Since the document in (1) or (2) is expected to contain the name written in English (Roman letters), it is expected that the name, etc. written on the document will be compared with the name, etc. on the copy of the passport attached separately.
If you are not registered in the Basic Resident Register (but do not have a passport)
English-speaking countries
(1) An official document (with a translation) certifying your address as prepared by the government of your home country, etc.
(2) If you do not have (1), an affidavit (if written in a foreign language, a translation must be included) certifying that you are the same person as the registered owner, etc. ) etc.

※The identity of the registered owner of the ownership and the applicant is confirmed by the document in (1) or (2).

※Since the document in (1) or (2) is expected to contain the name written in English (Roman letters), it is expected that the name written in the document will be compared with the name in the statement certifying the name in Roman letters, which is attached separately.

Other than English
(1) Official document (with translation) etc. certifying the address prepared by the government of the home country, etc.

(2) If (1) is not present, an affidavit (with translation if prepared in a foreign language) etc. certifying that the person is the same as the registered owner

※The identity of the registered owner of the ownership and the applicant is confirmed by the document in (1) or (2).

※Since the document in (1) or (2) is expected to contain the name written in English (Roman letters), it is expected that the name in the translation will be compared with the name in the statement certifying the name in Roman letters, which is attached separately.

・・・登記申請を伴わないローマ字氏名を証する情報のうち、②申出人と所有権の登記名義人が同一であることを証する情報については、例えば、登記記録上の住所及び氏名(①に記載された氏名と同一の氏名が記載されたもの)が記載された外国人住民票の写し又は本国等政府の作成に係る住所を証する公的書面(訳文付き)が想定される。また、所有権の登記をした際の登記済証などにより、登記記録に記録されている登記名義人の住所・氏名との同一性を確認できるものが想定される。

なお、登記記録上の住所及び氏名に変更があった場合には、申出人の住所及び氏名とのつながりを証する情報も必要となる。

この書面に記載されている住所・氏名(訳文による片仮名氏名を含む。)等から、別途添付されている①ローマ字氏名を証する情報が申出人に係るものであるかとどうかも併せて確認することとなる。

なお、整理したものは左表のとおり。

問1-33 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出における申出人と所有権の登記名義人が同一であることを証する情報として宣誓供述書を提出する場合には、以下の内容を含み、作成者の記名又は押印がされたものである必要があると考えるが、どうか。(ローマ字通達第2部第3の5関係)

○同一性を証する供述の例

「私は、○○市○○町○番の土地の所有権の登記名義人である何市何町何番地ジョン・スミスに相違ない。」

※ 外国語により作成されている場合には、訳文の添付を要する。

※ 片仮名表記の氏名は、登記記録上の氏名と同一であることを確認できる場合に限る。

・・・御理解のとおり。

問1-34 ローマ字氏名を表記した上申書に代えて、本国で作成された出生証明書を使用しても差し支えないか。(ローマ字通達第2部第3の5関係)

・・・必要事項の記載があれば、上申書に代わるものとして使用することができるものと考える。ただし、外国語により作成されている場合には、訳文の添付を要する。

問1-35 住民基本台帳に記録されている外国人について、住民票コードや出生の年月日等の提供によりローマ字氏名を証する情報に代えることは認められるか。(ローマ字通達第2部第3の5関係)

・・・認められない。

問1-36 ローマ字氏名併記の電子申出において、いわゆる別送方式によりローマ字氏名併記申出添付書面を送付する場合において、ローマ字氏名併記の申出の受付の日から二日を経過しても当該書面が送付されない場合の取扱いはどうすべきか。(ローマ字通達第2部第3の5関係)

・・・二日を経過した場合の取扱いは、登記申請の例(「不動産登記令の一部改正等に伴う登記事務の取扱いについて」(平成20年1月11日付け法務省民二第57号民事局長通達)第1の3(4)の例)による。

3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

(4) ローマ字氏名併記申出書等の送付方法

問1-37 ローマ字氏名併記申出書又はローマ字氏名申出添付書面が普通郵便で送付されたり、これらを入れた封筒の表面にローマ字氏名併記申出書又はローマ字氏名申出添付書面が在中する旨の明記がなかったとしても、登記の申請の場合と同様、そのことをもって却下したり補正を求めたりする必要はないとの理解でよいか。(ローマ字通達第2部第3の10関係)

・・・御理解のとおり。

3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

(5) ローマ字氏名併記申出の取下げ

問1-38 ローマ字氏名併記の書面申出については、申請書への押印は不要とされているため、取下げに当たっては、運転免許証等の本人確認書面の提示を求めるなどして、取下書を提出した者が申出人本人であることを確認する必要があると考えるがどうか。

 また、取下書の提出は、郵送の方法によることもできるものと考えるが、この場合には本人確認書面の写しの添付を求めるのが相当と考えるがどうか。(ローマ字通達第2部第3の17関係)

・・・いずれも御理解のとおり。

3 登記申請を伴わないローマ字氏名併記の申出

(6) ローマ字氏名併記申出の完了通知

問1-39 ローマ字氏名併記の書面申出に係る完了通知については、申出人の便宜のために通知するに過ぎないものであることから、書面申出における通知事項を記載した書面については地紋紙を用いず、登記官の押印を要しないものと考えるがどうか。

なお、電子申出における通知事項については、システム上の処理を考慮し、電子署名を付すこととして差し支えないと考えるがどうか。

・・・いずれも御理解のとおり。

(ローマ字通達第2部第3の19関係)

4 相続人申告登記への準用

問1-40 住民基本台帳に記録されている外国人について、相続人申告登記の申出に併せてローマ字氏名併記の申出をする場合に、住所を証する情報に代えて出生の年月日等が提供されたとき(規則第158条の21)は、ローマ字氏名を証する情報を提供する必要はないという理解でよいか。(ローマ字通達第2部第2の3関係)

・・・ローマ字氏名を確認できる場合には、御理解のとおり。

5 その他

問1-41 ローマ字併記の記載に誤りを発見した場合には、どのようにすべきか。(ローマ字通達第2部第7関係)

・・・申出人の申出誤りの場合に は、申出人から再度ローマ字併記の申出をして更正することとなる。(問1-26参照)

なお、過誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、登記事項に過誤があった場合(不登法第67条)に準じた取扱いをするものとすることが相当である。

問1-42 ローマ字併記に係る申出は、登録免許税は要しないということでよいか。

・・・御理解のとおり。

質疑回答

第2 旧氏併記関係

1 通則

問2-1 併記できるのは一の旧氏に限られ、複数の旧氏を併記することはできないということでよいか。(旧氏通達第2部第1の1関係)

・・・御理解のとおり。

問2-2 旧氏の併記が認められるのは、現在の所有権の登記名義人の氏名のみであり、表題部所有者、仮登記の登記名義人、抵当権の登記の債務者や所有権の登記名義人であった者は対象とはならないということでよいか。(旧氏通達第2部第1の2関係)

・・・御理解のとおり。

問2-3 日本国籍を有しない者は、戸籍又は除かれた戸籍に記載又は記録がされないため、旧氏併記の対象とはならないということでよいか。(旧氏通達第2部第1の2関係)

・・・御理解のとおり。

2 登記申請に伴う旧氏併記の申出

(1) 申出することができる場合等

問2-4 登記名義人の氏の変更の登記申請において、その申請情報とされた氏名に旧氏が併記されていない場合であっても、特段の対応は要しないということでよいか。(旧氏通達第2部第2の1関係)

・・・御理解のとおり、旧氏併記は本人の任意の申出に基づくものであり、特段の対応は要しない。

問2-5 登記申請に伴う旧氏併記の申出については、登記申請と独立して申出書が提出されるものではないため、申出に係る特別の受付は行わないということでよいか。(旧氏通達第2部第2の2関係)

・・・御理解のとおり。

問2-6 委任による代理人によって登記申請に伴う旧氏併記の申出をする場合の当該代理人の権限を証する情報については、委任状において登記申請に係る委任がされていれば足り、申出に係る独立した委任がされている必要はないという認識でよいか。(旧氏通達第2部第2の2関係)

・・・御理解のとおり。

2 登記申請に伴う旧氏併記の申出

(2) 併記を申し出ることのできる旧氏

問2-7 登記申請に伴う旧氏併記が認められる氏の範囲について教えてほしい。(旧氏通達第2部第2の3関係)

1 初めて旧氏の併記をする場合( 規則第158条の34第1項)の例

● 氏名の経緯: ① 「民事太郎」→ ② 「登記太郎」→③(現在)「法務 太郎」の場合

( 1 ) 登記記録に新たに記録する氏名が③ 「法務太郎」である場合には、併記する旧氏は①②いずれでも良い「法務 太郎(民事 太郎)」「法務 太郎(登記 太郎))」。

(2) 「法務」が旧氏であったとしても、「法務太郎(法務 太郎)」のように登記記録上の氏と同一の旧氏を併記する申出は認められない。

2 旧氏が併記されている所有権の登記名義人の氏の変更の登記又は更正の登記と併せて旧氏の併記をする場合(規則第158条の34第2項)

● 氏名の経緯: ① 「司法太郎」→ ② 「民事太郎」→③「登記 太郎」→④(現在)「法務太郎」の場合

( 1 ) 変更前の登記記録上の氏名の表示が「登記太郎(民事 太郎)」である場合には、③「登記太郎」を④ 「法務太郎」に氏を変更する登記と併せて、「法務 太郎(民事 太郎)」又は「法務 太郎(登記 太郎)」とする併記の申出をすることができる。

( 2 ) 既に併記されている旧氏「民事」よりも前の旧氏を併記する「法務 太郎(司法 太郎)」とする申出や、登記記録上の氏名と同一の旧氏を併記する「法務 太郎(法務 太郎)」とする申出は認められない。

・・・登記申請に伴う旧氏併記が認められる氏の範囲は次のとおりである(事例は左表のとおり)。

1 初めて旧氏の併記をする場合(規則第158条の34第1項)

旧氏が登記すべき氏と同一でなければ、直近の旧氏であるかどうかを問わない。

2 旧氏が併記されている所有権の登記名義人の氏の変更の登記又は更正の登記と併せて旧氏の併記をする場合(規則第158条の34第2項)

 既に併記されている旧氏と同一の旧氏又は当該旧氏より後に称していた旧氏でなければならない。

2 登記申請に伴う旧氏併記の申出

(3) 旧氏を証する情報

問2-8 所有権の移転の登記その他の新たに所有権の登記名義人となる者がある登記の申請に際して登記申請に伴う旧氏併記の申出をする場合における所有権の登記名義人となる者の旧氏を証する情報とはどのようなものが想定されているのか。(旧氏通達第2部第2の4(1)ア関係)

所有権の登記名義人となる者の旧氏を証する情報の範囲の例

●氏名の経緯:①「民事 太郎」→②「登記 太郎」→③(現在)「法務 太郎」の場合

 登記記録に新たに記録する氏名が③「法務 太郎」であり、併記する旧氏が①「民事太郎」の場合には、「法務 太郎」が記載された戸籍謄本等であって、登記申請の添付情報である住所を証する情報(住民票の写し等)に記載された申出人の名及び生年月日等と「民事太郎」の戸籍謄本等に記載された名及び生年月日等を対照して申出人に係るものであることが確認できるものが旧氏を証する情報に該当する。

 この場合には、③「法務太郎」が記載された戸籍謄本等から①「民事太郎」が記載された戸籍謄本等までの全ての戸籍謄本等を提出する必要はない。

 なお、住所を証する情報に申出に係る旧氏が併記されているとき(①「民事 太郎」)は、これをもって旧氏を証する情報を兼ねることができるため、別途の戸籍謄本等の添付は不要である。このことは、申出に係る旧氏が②「登記太郎」である場合も同様である。

・・・旧氏を証する情報となる戸籍謄本等は、当該戸籍謄本等に記載された者と申出人との同一性が確認できるものである必要がある。

 具体的には、住所証明情報に記載された申出人の情報(名、生年月日等)と戸籍謄本等に記載された情報(名、生年月日等)とを対照して両者の同一性が確認できるものである必要がある。

 この同一性が確認できる限り、当該戸籍謄本等の他に、現在の氏の記載又は記録がされた戸籍又は除かれた戸籍に至る全ての戸籍謄本等を提出する必要はない。

なお、具体例は左記のとおり。

問2-9 所有権の登記名義人の氏についての変更登記に際して登記申請に伴う旧氏併記の申出をする場合における所有権の登記名義人の旧氏を証する情報とはどのようなものが想定されているのか(旧氏通達第2部。第2の4(1)イ関係)

所有権の登記名義人となる者の旧氏を証する情報の範囲の例

●氏名の経緯:①「民事 太郎」→②「登記 太郎」→③(現在)「法務 太郎」の場合

(1) 現在の登記記録上の氏名が②「登記太郎」であり、これを③「法務太郎」に変更する氏の変更の登記の申請に伴い従前の②「登記太郎」を併記することを求める旧氏併記の申出については、②「登記太郎」が申出人の過去の氏名であることが不動産の登記記録上から明らかであることから、旧氏を証する情報の添付を省略することができる。

(2) 現在の登記記録上の氏名が②「登記太郎」であり、これを③「法務太郎」に変更する氏の変更の登記の申請に伴い①「民事太郎」を併記することを求める旧氏併記の申出については、まず、①「民事太郎」が所有権の登記名義人の過去の氏名として登記記録に記録されていた場合には、旧氏を証する情報の添付を省略することができる。

 なお、①「民事太郎」が所有権の登記名義人の過去の氏名として登記記録に記録されていない場合には、「民事 太郎」が記載された戸籍謄本等であって、登記名義人の氏名変更の登記申請の登記原因証明情報である戸籍謄本等(登記太郎から法務太郎への氏変更に係るもの)に記載された申出人の名及び生年月日等と「民事太郎」の戸籍謄本等に記載された名及び生年月日等を対照して申出人に係るものであることが確認できるものが旧氏を証する情報に該当する。

・・・旧氏を証する情報となる戸籍謄本等は、当該戸籍謄本等に記載された者と申出人との同一性が確認できるものである必要がある。

 具体的には、登記原因証明情報に記載された申出人の情報(名、生年月日等)と旧氏を証する情報として提供された戸籍謄本等に記載された情報(名、生年月日等)とを対照して両者の同一性が確認できるものである必要がある。

 この同一性が確認できる限り、当該戸籍謄本等の他に、現在の氏の記載又は記録がされた戸籍又は除かれた戸籍に至る全ての戸籍謄本等を提出する必要はない。

 ただし、申出人の旧氏であることが登記記録上から明らかである場合には、氏を証する情報の添付を省略することができる。

なお、具体例は左記のとおり。

問2-10 所有権の登記名義人の氏についての変更登記の申請に際して登記申請に伴う旧氏併記の申出をする場合において、旧氏を証する情報の添付を省略できる場合として定められている「(ア)申出に係る旧氏が申出に係る不動産の登記記録に記録され、又は記録されていた旧氏と同一である場合」とは、具体的にどのような場合が想定されているのか(旧氏通達第2部第2の4(1)イただし書き(ア)関係)

・・・具体的には、次の事案を想定している

●登記記録に記録されている旧氏を併記する場合の例

所有権の登記名義人となる者の旧氏を証する情報の範囲の例

① 所有権の移転の登記により登記名義人の氏名が「登記 太郎」と記録されている不動産について、「法務 太郎」とする登記名義人の氏の変更の登記と併せて、登記記録に記録されている旧氏となる「登記」を併記し、「法務太郎(登記太郎)」とする場合

② 所有権の移転の登記により登記名義人の氏名が「登記太郎(民事太郎)」と記録されている不動産について、所有者の氏名を「法務太郎」とする登記名義人の氏の変更の登記と併せて、登記記録に記録されている旧氏となる「民事」を併記し、「法務 太郎(民事 太郎)」とする場合

●登記記録に記録されていた旧氏を併記する場合の例

所有権の移転の登記により登記名義人の氏名が「民事太郎」と記録されており、その後、「登記 太郎」に氏の変更の登記がされている不動産について、「法務太郎」とする登記名義人の氏の変更の登記と併せて、登記記録に記録されていた旧氏である「民事」を併記し、「法務 太郎(民事 太郎)」とする場合

問2-11 所有権の登記名義人の氏についての変更登記の申請に際して登記申請に伴う旧氏併記の申出をする場合において、旧氏を証する情報の添付を省略できる場合として定められている「申出に係る旧氏が変更後の氏を証する登記原因証明情報(市区町村長が作成したものに限る。)に記録されている旧氏と同一である場合」とは、具体的にどのような場合が想定されているのか。(旧氏通達第2部第2の4(1)イただし書き(イ)関係)

・・・所有権の移転の登記により登記名義人の氏名が「民事太郎」と記録されており、その後、「法務 太郎」とする登記名義人の氏名変更の登記に伴い「法務 太郎(登記 太郎)」とする旧氏併記を申し出る場合において、当該登記名義人氏名変更登記に係る登記原因証明情報(市区町村長が作成したもの)に登記名義人の旧氏が「登記」であることが記録されている場合を想定している。

問2-12 いわゆる特例方式を用いて添付情報を記載した書面を提出する場合において、オンライン申請の受付の日から二日を経過しても登記申請に係る添付情報を記載した書面と旧氏を証する情報を記載した書面の双方が提出されない場合の取扱いはどうすべきか。(旧氏通達第2部第2の4(2)関係)

・・・登記申請の例(「不動産登記令の一部改正等に伴う登記事務の取扱いについて」(平成20年1月11日付け法務省民二第57号民事局長通達)第1の3(4)の例)による取扱いをすることとなる。

 もっとも、登記申請の添付情報を記載した書面のみが提出され、旧氏を証する情報を記載した書面が提出されていない場合には、送付に遺漏がないか申請人に確認することが望ましい。

2 登記申請に伴う旧氏併記の申出

(4) 却下等

問2-13 登記申請に伴う旧氏併記の申出に対する登記官の応答(登記記録への記録又は申出の却下)に行政処分性はないという理解でよいか。(旧氏通達第2部第2の5関係)

・・・御理解のとおり。なお、登記申請に伴う旧氏併記の申出に対する却下は、申出に対する登記官の応答の有無を明確化する趣旨のものにすぎず、当該却下に対して審査請求や取消訴訟の提起をすることはできないものと考えられる。そのため、別記第1様式においては、準則別記第42号の3様式と同様に、不服申立てについての教示は要しないものとしている。

問2-14 登記申請に伴う旧氏併記の申出に対する却下決定は、書面申請又は電子申請の別にかかわらず、書面を送付する方法で行うとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第2の5関係)

・・・御理解のとおり。

問2-15 登記申請に伴う旧氏併記の申出のみ却下事由があり、登記申請に却下事由が存しないときは、旧氏を登記記録に記録することなく登記をするとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第2の5関係)

・・・御理解のとおり。

問2-16 登記申請に伴う旧氏併記の申出に却下事由があるため申出人が申出の取下げを希望する場合には、申請情報とされた旧氏を削除する訂正を行えば足り、別途規則第39条第1項に規定された方法に準じて申出の取下げをすることまでは要しないと考えるが、よいか。(旧氏通達第2部第2の5関係)

・・・御理解のとおり。

問2-17 登記申請に伴う旧氏併記の申出のみに却下事由があるため申出人が申出を取り下げた場合には、取下げのみに関する添付情報(登記申請における添付情報として援用されていないものに限る。)を還付するという理解でよいか。

ただし、偽造された書面その他の不正な申出のために用いられた疑いがある場合は除かれるとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第2の5関係)

・・・いずれも御理解のとおり。

問2-18 所有権の移転の登記と併せて旧氏併記の申出があった場合に、旧氏併記の申出に係る却下の決定書の名宛人は誰とすべきか。(旧氏通達第2部第2の5関係)

・・・却下の決定書の名宛人は旧氏併記を申し出た登記権利者であり、登記義務者を名宛人とする却下の決定書を作成する必要はない。

2 登記申請に伴う旧氏併記の申出

(5) 登記記録への記録方法等

問2-19 登記申請に伴う旧氏併記の申出に基づき登記記録に旧氏いずれもが記録されたことについて、個別の登記完了証を作成する必要はないとの認識でよいか。また、登記申請に係る登記完了証に修正等を行って旧氏併記が完了したことを補足することは要しないとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第2の6関係)

・・・御理解のとおり。

3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出

(1) 申出ができる場合等

問2-20 登記申請を伴わない旧氏併記の申出をすることができるのは、現在の所有権の登記名義人に限られるとの理解で良いか。(旧氏通達第2部第3の1関係)

・・・御理解のとおり。

問2-21 既に記録されている旧氏に誤りがある場合において、これを更正する趣旨で正しい旧氏の併記を申し出ることは、規則第158条の35第1項ただし書には抵触しないことから、同項の規定に基づき許容されるとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第3の1関係)

・・・御理解のとおり。

問2-22 他人の依頼を受けて、業として旧氏併記申出の手続を代理することができる者は、弁護士又は司法書士に限られるという認識でよいか。(旧氏通達第2部第2の3関係)

・・・御理解のとおり。

3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出

(2) 旧氏併記申出方法等

問2-23 旧氏併記の申出において、電子申出には電子署名及び電子証明書が、書面申出には押印が不要とされているが、司法書士が代理人として申出をする場合には、司法書士法施行規則第28条第1項又は第2項に基づき、電子申出においては司法書士の電子署名及び電子証明書が、書面申出においては職印の押印が必要となるとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第3の4関係)

・・・御理解のとおり。

問2-24 登記申請に伴う旧氏併記の申出ができない登記の申請と登記申請を伴わない旧氏併記の申出とを1件の申出書(又は申請書)で行うことは認められず、それぞれ別の申請書と申出書の作成及び提供を要するとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第3の54関係)

・・・御理解のとおり。

3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出

(3) 旧氏併記申出添付情報

問2-25 委任による代理人によって登記申請を伴わない旧氏併記の申出をする場合における委任状には、申出に係る具体的な委任がされている必要があり、単に登記申請に係る委任がされているだけでは足りないものと考えるが、その理解でよいか。(旧氏通達第2部第3の6関係)

・・・御理解のとおり。

問2-26 登記申請を伴わない旧氏併記の申出に係る旧氏を証する情報のうち「② 前記①の戸籍謄本等に記載された旧氏が申出人に係るものであることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報」については、具体的にどのようなものを想定しているのか。(旧氏通達第2部第3の7関係(1))

・・・当該書面は、戸籍謄本等に記載された旧氏が申出人に係るものであるかを確認するためのつながり証明等を求めるものである。

 具体的には、「申出に係る旧氏が記載された戸籍謄本等」に記載されている名及び生年月日等と同一の名及び生年月日等が記載された申出人に係る住民票の写し、戸籍の附票の写し等を想定している。

問2-27 登記申請を伴わない旧氏併記の申出に係る旧氏を証する情報のうち「③ 申出人の住所と所有権の登記名義人の住所が異なる場合にあっては、申出人と所有権の登記名義人が同一であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報」については、具体的にどのようなものを想定しているのか。(旧氏通達第2部第3の7関係(1))

・・・当該書面は、登記記録に記録されている住所と申出人の住所が相違している場合に、そのつながりを証する情報を求めるものである。

 具体的には、同一人であることのつながりを証する住民票の写し、戸籍の附票の写し等を想定している。

問2-28 登記申請を伴わない旧氏併記の申出において、「申出に係る旧氏が申出に係る不動産の登記記録に記録されていた旧氏と同一である場合には、旧氏を証する情報の提供を省略することができる。」とされているが、これは、所有権の登記名義人の登記記録上の過去の氏名が「登記太郎」であり、登記名義人の氏名変更の登記により現在の登記記録上の氏名が「法務太郎」である場合に、「法務 太郎(登記 太郎)」とする旧氏併記の申出をする場合には、旧氏を証する情報の提供を省略することができるとの認識でよいか。(旧氏通達第2部第3の7関係(2))

・・・御理解のとおり。

問2-29 登記申請を伴わない旧氏併記の申出において、申出人の氏名と所有権の登記名義人の氏名が異なる場合には、旧氏併記の申出の前提として氏名変更の登記をしなければならないとされているが、つながり証明書を添付することにより氏名変更の登記を省略することは認められないということでよいか。(旧氏通達第2部第3の7関係(3))

・・・御理解のとおり。氏名変更の登記をすることなく旧氏併記をすることを認めると、最新の氏名でない情報に旧氏を併記することになり、所有者の識別性を向上させるという趣旨に反することになる。そのため、申出人の氏名と所有権の登記名義人の氏名が異なる場合には、前提登記として氏名変更の登記を申請しなければならず、氏名のつながりを証する情報の提供をもってこれを省略することはできない。この場合において、氏名変更の登記が氏の変更を伴うときは、登記申請に伴う旧氏併記の申出をすることで、旧氏を併記することができる。

3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出

(4) 旧氏併記申出書等の送付方法

問2-30 旧氏併記申出書又は旧氏併記申出添付書面が普通郵便で送付されたり、これらを入れた封筒の表面に旧氏併記申出書又は旧氏併記申出添付書面が在中する旨の明記がなかったりしたとしても、登記の申請の場合と同様、そのことをもって却下したり補正を求めたりする必要はないとの理解でよいか。(旧氏通達第2部第3の12関係)

・・・御理解のとおり。

3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出

(5) 旧氏併記申出の取下

問2-31 旧氏併記の書面申出については、申出書への押印を要しないこととされているため、取下げに当たっては、運転免許証等の本人確認書面の提示を求めるなどして、取下書を提出した者が申出人本人であることを確認する必要があると考えるがどうか。また、取下書の提出は、郵送の方法によることもできるものと考えるが、この場合には本人確認書面の写しの添付を求めるのが相当と考えるがどうか。(旧氏通達第2部第3の19関係)

・・・いずれも御理解のとおり。

3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出

(6) 旧氏併記申出の完了通知

問2-32 旧氏併記の書面申出に係る完了通知については、申出人の便宜のために通知するに過ぎないものであることから、書面申出における通知事項を記載した書面については地紋紙を用いず、登記官の押印を要しないものと考えるがどうか。なお、電子申出における通知事項については、システム上の処理を考慮し、電子署名を付すこととして差し支えないと考えるがどうか。(旧氏通達第2部第3の21関係)

・・・いずれも御理解のとおり。

4 旧氏併記の終了申出関係

(1) 申出ができる場合等

問2-33 既に旧氏が併記されている所有権の登記名義人について氏の変更の登記をする場合に、当該登記の申請情報の内容となる変更後の氏名に旧氏を併記しなければ変更後の氏名に旧氏は併記されないため、登記申請に伴う旧氏併記の終了申出の手続は設けられていないとの認識でよいか。(旧氏通達第2部第4の1関係)

・・・御理解のとおり。

4 旧氏併記の終了申出関係

(2) 旧氏併記申出添付情報

問2-34 委任による代理人によって登記申請を伴わない旧氏併記の終了申出をする場合における委任状には、申出に係る具体的な委任がされている必要があり、単に登記申請に係る委任がされているだけでは足りないと考えるがよいか。(旧氏通達第2部第4の3関係)

・・・御理解のとおり。

問2-35 旧氏併記の終了申出をする場合に、申出人の住所と登記名義人の住所が異なるときは、申出人が所有権の登記名義人であることを証する情報(つながり情報)の提供があれば、その前提として住所変更登記をすることは要しないと考えるがよいか。(旧氏通達第2部第4の3関係)

・・・御理解のとおり。

5 相続人申告登記への準用

問2-36 相続人申告登記の申出に併せて旧氏併記の申出をする場合に、住所を証する情報に代えて出生の年月日等が提供されたとき(規則第158条の21)は、旧氏を証する情報を提供する必要はないという理解でよいか。(旧氏通達第2部第5関係)

・・・併記したい旧氏を確認できる場合には、御理解のとおり。

6 その他

問2-37 併記された旧氏に誤りがある場合には、どのようにすべきか。(旧氏通達第2部第8関係)

・・・申出人の申出誤りの場合には、申出人から再度旧氏併記の申出をして更正することとなる。(問2-21参照)

なお、過誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、登記事項に過誤があった場合(不登法第67条)に準じた取扱いをするものとすることが相当である。

問2-38 旧氏併記に係る申出は、登録免許税は要しないということでよいか。

・・・御理解のとおり。

加工令和7年4月21日施行不動産登記規則

○法務省令第一号不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十五条及び不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第二十七条の規定に基づき、不動産登記規則等の一部を改正する省令を次のように定める。

令和七年一月十日

不動産登記規則等の一部を改正する省令(不動産登記規則の一部改正)

法務大臣 鈴木 馨祐

  • 不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)の一部を次のように改正する。

次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分をこれに対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分のように改め、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定を加える。

(申出立件事件簿等)

第二十七条の二 申出立件事件簿には、検索用情報の申出(第百五十八条の三十九第二項に規定する検索用情報同時申出又は第百五十八条の四十第二項に規定する検索用情報単独申出をいう。第三項において同じ。)第二項に規定する検索用情報単独申出をいう。第三項において同じ。)、代替措置等申出(第二百二条の四第一項に規定する代替措置等申出をいう。第三項及び第四項において同じ。)又は代替措置申出の撤回(第二百二条の十五第一項の規定による撤回をいう。第三項及び第四項において同じ。)の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとする。

2[略]

3申出立件関係書類つづり込み帳には、検索用情報の申出に関する書類、代替措置等申出に関する書類及び代替措置申出の撤回に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとする。

4[略]

第二款の五 検索用情報

(検索用情報管理ファイル)

第百五十八条の三十八 法務大臣は、所有権の登記名義人についての次に掲げる事項を記録する検索用情報管理ファイルを備えるものとする。

一氏名

二氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

三住所

四出生の年月日

五電子メールアドレス

六所有権の登記名義人として記録されている登記記録を特定するために必要な事項

2検索用情報管理ファイルは、所有権の登記名義人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとする。

3検索用情報管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とする。

(検索用情報の申出)

第百五十八条の三十九 所有権の保存若しくは移転の登記、合体による登記等(法第四十九条第一項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限る。)又は所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限る。)を申請する場合において、これらの登記の申請人が所有権の登記名義人となる者であって、かつ、国内に住所を有する自然人であるときは、これらの登記の申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての次に掲げる事項(以下この条及び次条において「検索用情報」という。)を申請情報の内容として申し出るものとする。

一氏名

二氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

三住所

四出生の年月日

五電子メールアドレス

2前項の規定による申出(以下この条において「検索用情報同時申出」という。)をする場合には、当該所有権の登記名義人となる者の前項第二号及び第四号に掲げる事項を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。

3電子申請の申請人が検索用情報同時申出をする場合において、その者が第四十三条第一項第一号に掲げる電子証明書(登記官が第一項第二号及び第四号に掲げる事項を確認することができるものに限る。)を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、前項の市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。

4登記官は、第一項の規定により検索用情報に係る情報が提供されたときは、申出立件事件簿に立件の年月日及び立件番号を記録するものとする。

5登記官は、検索用情報同時申出があった場合において、当該検索用情報同時申出に係る申請に基づく登記をしたときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとする。第百五十八条の四十所有権の登記名義人(国内に住所を有する自然人である者に限る。)は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人についての検索用情報を検索用情報管理ファイルに記録するよう申し出ることができる。

2前項の規定による申出(以下この条において「検索用情報単独申出」という。)は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一所有権の登記名義人の検索用情報

二代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名

三申出の目的

四申出に係る不動産の不動産所在事項

3検索用情報単独申出は、申出に係る不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してしなければならない。ただし、異なる登記所の管轄区域にある二以上の不動産について検索用情報単独申出をするときは、当該検索用情報単独申出は、当該不動産のうちいずれかの不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してすることができる。

4 第二項第四号の規定にかかわらず、不動産番号(申出を受ける登記所以外の登記所の管轄区域内にある不動産について申出をする場合にあっては、不動産番号及び当該申出を受ける登記所以外の登記所の表示)を同項各号に掲げる事項に係る情報(以下この条において「検索用情報申出情報」という。)の内容としたときは、同項第四号に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とすることを要しない。

5 検索用情報単独申出においては、第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とするものとする。

一 申出人又は代理人の電話番号その他の連絡先

二 第八項に規定する検索用情報申出添付情報の表示

三 申出の年月日

四 検索用情報申出情報を提供する登記所の表示

6 検索用情報単独申出は、次に掲げる方法のいずれかにより、検索用情報申出情報を登記所に提供してしなければならない。

一 電子情報処理組織を使用する方法

二 検索用情報申出情報を記載した書面(第十四項及び第十六項において「検索用情報申出書」という。)を提出する方法

7 検索用情報申出情報は、所有権の登記名義人ごとに作成して提供しなければならない。

8 検索用情報単独申出をする場合には、次に掲げる情報(第十一項及び第十四項において「検索用情報申出添付情報」という。)をその検索用情報申出情報と併せて登記所に提供しなければならない。

一 申出人となるべき者が申出をしていることを明らかにする市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(当該情報を記載した書面の写しを含む。)

二 代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する情報

三 第二項第一号に掲げる事項(電子メールアドレスを除く。)を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(所有権の登記名義人に係るものであることを登記官が確認することができる当該事項を検索用情報申出情報の内容としたときを除く。)

9 第三十七条の二の規定は、検索用情報単独申出をする場合について準用する。

10第百五十八条の八第一項及び第百五十八条の九の規定は、第六項第一号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする場合について準用する。この場合において、同条第二項中「受付」とあるのは「立件」と、同条第三項各号列記以外の部分中「別記第四号の二」とあるのは「別記第四号の三」と、同項第一号中「受付番号」とあるのは「立件番号」と読み替えるものとする。

11令第十二条第二項及び第十四条の規定は、前項の場合において送信する検索用情報申出添付情報(第八項第三号に掲げる情報に限る。)について準用する。

12第四十二条の規定は前項において準用する令第十二条第二項の電子署名について、第四十三条第二項の規定は前項において準用する令第十四条の法務省令で定める電子証明書について、それぞれ準用する。

13第六項第一号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする申出人が検索用情報申出情報又は委任による代理人の権限を証する情報に第四十二条の電子署名を行い、当該申出人の第四十三条第一項第一号に掲げる電子証明書を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、第八項第一号及び第三号に掲げる情報の提供に代えることができる。ただし、同項第三号に掲げる情報については、登記官が所有権の登記名義人の検索用情報(電子メールアドレスを除く。)を確認することができるものを提供したときに限る。

14第百五十八条の十の規定は第六項第二号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする場合について、第百五十八条の十一の規定は検索用情報単独申出をしようとする者が検索用情報申出書又は検索用情報申出添付情報を記載した書面(以下この項において「検索用情報申出添付書面」という。)を送付する場合について、第五十五条の規定は検索用情報申出添付書面を提出した申出人について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項中「登記完了後、申請書類つづり込み帳」とあるのは、「検索用情報管理ファイルへの記録完了後、申出立件関係書類つづり込み帳」と読み替えるものとする。

15前条第四項の規定は、検索用情報申出情報が提供された場合について準用する。

16登記官は、第六項第二号に掲げる方法により検索用情報申出情報が提供されたときは、前項において準用する前条第四項の規定により申出立件事件簿に記録をする際、検索用情報申出書に立件の年月日及び立件番号を記載しなければならない。

17登記官は、検索用情報単独申出があったときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとする。

(検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等)

第百五十八条の四十一 登記官は、検索用情報管理ファイルに記録された第百五十八条の三十八第一項各号に掲げる事項に変更又は錯誤若しくは遺漏があると認めるときは、職権で、検索用情報管理ファイルに変更後又は更正後の当該事項を記録するものとする。

2検索用情報管理ファイルに第百五十八条の三十八第一項第五号に掲げる事項が記録されている所有権の登記名義人は、法務大臣の定めるところにより検索用情報管理ファイルに記録された当該事項の変更又は削除をすることができる。

(施行期日)

1 この省令は、令和七年四月二十一日から施行する。

(経過措置)

2 この省令による改正後の不動産登記規則(以下「新規則」という。)中検索用情報の申出(新規則第二十七の二第一項に規定する検索用情報の申出をいう。)に関する規定は、不動産登記規則附則第三条第一項の規定による改製を終えていない登記簿(電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿を含む。)に係る申出については、適用しない。

不動産登記規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集結果について

法務省民事局民事第二課

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&id=300080314&Mode=1

カテゴリー      民事

案件番号         300080314

定めようとする命令などの題名 不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和7年法務省令第1号)

根拠法令条項   不動産登記法(平成16年法律第123号)第15条、不動産登記令(平成16年政令第379号)第27条等

行政手続法に基づく手続か      行政手続法に基づく手続

案の公示日      2024年11月2日

受付締切日時   2024年12月2日0時0分

結果の公示日   2025年1月10日

命令等の公布日          2025年1月10日

提出意見数      16

提出意見を踏まえた案の修正の有無    無

項番/意見の概要/御意見に対する考え方

1 検索用情報の申出関係(同時申出・単独申出共通)

1  省令案による改正後の不動産登記規則(以下「新不登規則」という。)第158条の39第1項及び第158条40第1項の申出の具体的な方法やその取扱いについては、できるだけ早く周知すべきである。

 <理由>  検索用情報の提供の制度は、検索用情報の具体的な提供の申出の在り方次第によっては、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による改正後の不動産登記法(以下「新不登法」という。)第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資すると考えられるが、手続についての具体的な方法やその在り方については、十分な周知期間が必要であると考える。現時点において、制度の妥当性の評価を行うためには、それらが明らかになることが必要であり、国民に対して十分な周知期間が必要であると考える。

・・・周知等を行うに当たっての参考とさせていただきます。

1 新不登規則第158条の39第1項第1号(氏名)、第3号(住所)及び第4号(出生の年月日)のみによる検索用情報同時申出及び新不登規則第158条の40第1項第1号(氏名)、第3号(住所)及び第4号(出生の年月日)のみによる検索用情報単独申出も許容すべきである。

 2 検索用情報のうち氏名の振り仮名又は氏名の表音をローマ字で表示したもの(以下「ローマ字氏名」という。)を欠く申出があった場合であっても、その余の検索用情報をもって所有権の登記名義人の特定ができるときは、新不登法第76条の6のただし書所定の申出の前提として行われる登記所からの意思確認については、転送可能な郵便その他の手段で実施する等して、なるべく所有権の登記名義人に不利益を課さない運用を目指すべきである。

 <1の理由>新不登規則第158条の39第1項各号の情報の中には、電子メールアドレスなど必ずしも随時・自動的に更新されない情報が含まれ得る。そのため、所有権の登記の申請時点において当該各号の情報が全て正確に提供されたとしても、登記所が後日行う所有権の登記名義人の検索及び特定においては、一定の限界が存在する。

 同項に基づき所有権の登記名義人が申し出るべき検索用情報としては、同項所定の登記の申請時点における同項第1号、第3号及び第4号の情報をもってすれば、所有権の登記名義人の特定として、一定程度十分であると考えるべきである。このように考えれば、例えば、有効かつ永続的な電子メールアドレスなどを利用できない所有権の登記名義人についても穏当な運用となり得るし、新不登規則第158条の41第2項による抹消の申請が可能であることや、通称名を用いる外国人が所有権の登記名義人となった場合の運用とも整合しやすくなる。

<2の理由>新不登規則第158条の39第1項第2号及び第5号の検索用情報は、いずれも所有権の登記名義人を特定するための補助的な情報であって、不動産登記法所定の登記事項ではない。そのため、所有権の登記の申請時にこれらの検索用情報の提供がされなかったとしても、当該登記の申請の却下事由には該当せず、取下げや補正の対象にはならない。

 そのように考えると、同項第2号及び第5号の検索用情報については、その申出の情報が十分ではない場合に、新不登法第76条の6に基づく職権登記から外れる可能性が若干上がるにとどまるものであるようにも思われる。このような観点から、所有権の登記名義人に対して大きな負担を課す立法事実は、現状、存在しないと考えられる。また、新不登法第76条の6に基づく職権登記は、所有権の登記名義人が自然人であるときは当該登記名義人の申出によって行われるところ、上記1の第1段落の理由からすれば、いずれにせよ、当該登記名義人に対し、当該申出の時点において、当該登記名義人の特定に足る情報を別途提供させる運用が必要となる上、当該運用を徹底すれば、当該職権登記の過誤も起こり得ない。

・・・職権による住所等変更登記等のための住基ネットを始めとする他の公的機関との円滑な連携に当たり、外字の問題を生じない氏名の振り仮名又はローマ字氏名は必要な情報であると考えます。また、電子メールアドレスについても、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えます。

 以上を踏まえ、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、左記1の御意見については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名又はローマ字氏名が記載されていない場合や電子メールアドレスの申出が困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

 また、左記2の御意見については、令和8年4月1日までに定める職権による住所等変更登記に係る通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

3  新不登規則第158条の38第1項第5号の電子メールアドレスについては、高齢者など電子メールアドレスを持たない者もいること、嘱託登記や代位申請の際に申出できないことがあることから、無くても申出が可能となるよう、通達等で明らかにしていただきたい。

・・・検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。なお、申請人以外の所有権の登記名義人となる者に係る検索用情報は、検索用情報同時申出における申出事項ではないため、所有権の登記名義人となる者が申請人とならない登記の嘱託や代位登記の申請においては、検索用情報を申し出る必要はありません。

4 法定相続人の一人から法定相続分による相続登記を行う場合、申請人以外の登記名義人となる者の電子メールアドレスは分からないが、その場合はどうするのか。

・・・申請人以外の所有権の登記名義人となる者に係る検索用情報は、検索用情報同時申出における申出事項ではないため、御指摘の登記の申請をする際に、申請人以外の所有権の登記名義人となる者の電子メールアドレスを把握する必要はありません。

5  申出制度そのものは賛成であるが、申出事項に電子メールアドレスを含めることについては反対である。高齢者を中心に電子メールアドレスを有しない人が多く、手続に大きな負担がかかることが予想される。また、仮に登記手続のために電子メールアドレスを作成したとしても、その後使用されず事実上放置されるおそれがある。そもそも電子メールアドレスを申し出る必要性もないと考える。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

6 電子メールアドレスを申出事項とすることについて、以下の点につき実務運用上支障が生ずるおそれがあるので、再考されたい。

1 現在、登記申請時に電話番号(固定電話、携帯電話を含む。)を提供していない現状において、所有権の登記名義人となる者が電子メールアドレスを提供することについて抵抗を感じるものと想定される。

2 特に若年層においては、近年、電子メールアドレスを有さず、SNSやそのダイレクトメール(DM)機能を使用する者が多く、所有権の登記名義人となる者が新たに電子メールアドレスを取得しなければならないという負担が生じる。

3 仮に、電子メールアドレスの申出が可能であったとしても、所有権の登記名義人が電子メールアドレスを申し出た後、当該メールアドレスを変更した場合の措置についての定めがない。

4 所有権の登記名義人が申し出た電子メールアドレスについて特定人からのみの受信に限定している場合において、今後、職権による住所変更登記をする際に登記官から送信される通知が不達となることが想定される。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

7  職権による自然人についての住所等変更登記の手続において、登記名義人に意思確認をする方法として、検索用情報管理ファイルに電子メールアドレスを記録すること及び検索用情報として電子メールアドレスを提供させることについて反対する。登記名義人に意思確認する方法は、例えば、住基ネットから取得した氏名・住所の変更情報を基に郵送で行うなど、電子メール以外の方法で行うべきである。

 <理由>

 1 本改正案では、検索用情報として電子メールアドレスを記録することが定められているだけで、その提供が必須なのか任意なのかは不明確であるものの、必ず提供しなければならないとした場合には、自然人による所有権移転登記等の申請の新たな要件の追加となり、記録するための電子メールアドレスを保有していない自然人は登記申請人になることができないこととなる。年齢階層別のインターネット利用率は、70歳以降年齢階層が上がるにつれて利用率が低下する傾向にあるとされており、今後、高齢化社会が進展するなか、高齢の相続人が増えるにもかかわらず、所有者不明土地問題解消のための施策の一つとして、電子メールアドレスの提供を申請要件とすることで相続登記の申請人の負担を増やすことは適当ではない。

2 本改正案では、申請情報の内容として電子メールアドレスを申し出るものとしているのみで、電子メールアドレスを適切に提供するための工夫が見られない。このような工夫がないと、提供された電子メールアドレス宛てに送信した電子メールが登記申請人に適切に届いているか確認することができず、また、登記申請人が誤った電子メールアドレスを申請情報として提供するおそれもあるほか、登記申請人が提供した手書きの電子メールアドレスについて、登記官が綴り等を誤って検索用情報管理ファイルに記録するおそれもある。

3 個人の多くは、自らが電子申請等を利用して申請、請求、問合せ等をした場合を除き、法務省や法務局といった国の機関からの電子メールを受信することは通常ない。しかし、今後、法務省、法務局等が所有権の登記名義人への意思確認のために電子メールを用いることが広く周知された場合、法務省や法務局を装った電子メールを送信するフィッシング詐欺やなりすまし詐欺が横行することが危惧される。

4 登記申請時に電子メールアドレスを提供させることとするのであれば、電子メールアドレスを適切に管理するため、登記名義人が、いつでも簡易に、記録された電子メールアドレスを確認することができて、最新の情報に変更することができるような仕組みを構築するべきである。

5 電子メールアドレスを夫婦や親子などの家族間で共有し、又は家族の一部が管理しているようなケースも想定されるが、検索用情報管理ファイルに当該電子メールアドレスが記録された後、所有権の登記名義人にDV被害等による保護の必要性が生じ、住所を変更した場合において、本改正案では、共有し、又は管理する相手方に意思確認メールの内容が知られてしまうような事態も想定される。

6 仕事上で電子メールアドレスを利用することは日常的にあるものの、SNS等のさらなる普及により、電子メールを日常的な連絡用のツールとして利用することは減少するおそれがある。特に、10代、20代のITサービス利用者は、パソコンでなくスマートフォンを用いてインターネットを利用し、連絡用ツールとしてはSNS等を利用しているケースが多く、この傾向は今後続くと考える。今後、5年、10年の時間の経過に伴い、IT技術の進展、各種ITサービスの多様性の広がりとその普及が見込まれるなか、所有者不明土地問題という解決までに長期間が必要とされる問題に対して、電子メールが将来的に継続的に利用されていくことを前提とする施策を用いることについて疑問を抱かざるを得ない。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、今後の運用や検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

8  新不登規則第158条の39及び第158条の40に基づく検索用情報の申出制度について、抜本的な見直しを求める。

 <理由>  職権による住所等変更登記に係る登記名義人の意思確認の手段として、検索用情報管理ファイルに記録された電子メールアドレスが用いられることとされているが、このように意思確認を実施することに対して、以下のとおり懸念がある。

 ・登記名義人が氏名住所を変更することは検索用情報の申出をしてから数十年が経過していることも考えられ、変更した時点で登記名義人が当該電子メールアドレスを連絡手段として用いているとは限らない。

・当該電子メールアドレスを連絡手段として用いていたとしても、趣旨を理解した上で迷惑メール等と区別してメールを開封し、返信することは市民にとってハードルが高い。

・職権登記を了解する旨の返信があったとしても、登記名義人以外の者によるなりすましである可能性を排除することはできず、正確な本人確認のみならず、正確な意思確認がなされるとは言い難い。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、今後の運用に当たっての参考とさせていただきます。

9 新不登規則第158条の39第2項において、氏名の振り仮名に関する公的証明書を必要としており、この証明書としては住民票又は戸籍謄本が考えられる。戸籍謄本については令和7年5月26日以降に振り仮名が付される予定であり、また、住民票についても同様に令和7年5月26日以降は住民基本台帳法第7条第1号の2により氏名の振り仮名が記載事項として法定されることになっているが、現行法は記載事項とされていないため、現状、市町村によっては住民票に振り仮名が付されていない市町村も存在する。そのような中、4月21日から5月25日までの間、上記のような公的証明書がない場合も考えられるが、その際の対応(申請人からの申述書で対応するのか)をどのように考えているのか。

・・・御指摘については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

10  外国人住民に係る住民基本台帳事務の取扱いについて(総務省自治行政局外国人住民基本台帳室平成24年10月29日事務連絡問5)には、「出生届に付記されているローマ字表記の氏名を記載する。ただし、ローマ字表記の氏名の付記がない場合、出生届に記載されたカタカナ又は漢字による表記の氏名を記載する。」とあることから、日本の国籍を有しない者にあっても、必ずしもローマ字氏名を有するものではない。また、日本の国籍を有しない者にあっても、住民登録の際に、日本の国籍を有する者と同様に氏名及び通称名の振り仮名も登録することが可能である。よって、「日本の国籍を有しない者にあっては」は「振り仮名を有しない者にあっては」に改めるべきである。

・・・所有権の登記名義人となる者が日本の国籍を有しない者である場合の登記の申請においては、当該所有権の登記名義人の識別性を向上させる観点から、そのローマ字氏名を申し出ることとされている(不動産登記規則第158条の31第1項)ことなどを踏まえ、御意見の申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、日本の国籍を有しない所有権の登記名義人となる者の住民票の写しにローマ字氏名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

11  氏名は外字の取扱いが一定ではなく、司法書士がどう申請したかに左右されている。住所はマンション名の有無やスペースの扱いがまちまちで、これまた一定の表記ではない。確実に同一人を検索できるようにするためには、マイナンバー又は住民票コードを検索用情報に含めるべきである。将来的には偽造のおそれがある紙の住民票添付を廃止し、申請時点で申請情報と住基ネットの住所氏名を自動照合するようなシステムが望ましい。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱(令和3年2月10日法制審議会第189回会議決定)に沿ったものとしており、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

12  検索用情報の申出事項のうち、メールアドレスについて限界を感じ、マイナンバーを加えることを希望する。資金移動から登記の受付に至るまでのいわゆる登記空白期間内に正確なメールアドレスを申出する時間的余裕はない。

 メールアドレスを持ち合わせていない国民や事後的にメールアドレスを変更することができることを考えると申出事項としてメールアドレスではなく、マイナンバーを申出事項として、中長期的な視点で登記情報と固定資産の課税情報を一元的に管理できる仕組みを考えるべきだと思うためである。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱に沿ったものとしており、また、電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

13  マイナンバーとの紐付け必須とすべきではないか。脱税やグレーな取引も炙り出せる。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱に沿ったものとしており、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

14  新不登規則では、検索用情報の申出において提供された電子メールアドレスが登記申請人又は申出人の電子メールアドレスであるかどうかの資料の提出を求めていないが、その真正を担保するための方策、具体的には、例えば代理権限証明情報に押印する印鑑を印鑑証明書の印鑑とし、その印鑑証明書を添付する方策などを考えているか。

・・・所有権の登記名義人となる者が登記の申請人である場合に限って当該申請人が検索用情報同時申出をすることとし、所有権の登記名義人に限って検索用情報単独申出をすることができるとすることなどにより、提供された電子メールアドレスの真正を担保することとしています。

15  電子メールアドレスを複数申し出ることは可能か。

・・・御指摘については、検索用情報の申出における申出事項の詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

16  所有権の登記名義人が未成年者等の制限行為能力者である場合に提供すべき電子メールアドレスは法定代理人等のものでよいのか。

・・・検索用情報の申出において申し出る電子メールアドレスは、所有権の登記名義人のものとなります。なお、御指摘については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

17  新不登規則第158条の39第5項の「登記記録を特定するために必要な事項」とは具体的に何を想定しているのか。通達等で明らかにする予定があるのか。

・・・御指摘については、検索用情報管理ファイルへの記録方法の詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

2 検索用情報同時申出関係

18  検索用情報同時申出において、電子メールアドレスの申出がないことは、却下事由となり得るのか。なり得るとすれば不動産登記法第25条の何号に該当するのか。

却下事由となる場合、電子メールアドレスを持っていない自然人は実質上登記を受けることができない事になるが、これは対抗力付与のために必要な登記制度の考えからすると必要以上の制限と思われるが、これは不当ではないか。

・・・検索用情報同時申出において、電子メールアドレスの申出がないことは、不動産登記法第25条に規定する登記の申請の却下事由には該当しません。

19  新不登規則第158条の39第1項により、施行日以降、所有権の移転の登記の申請等を行う者は、同時に検索用情報を申出することが義務となるのか。

・・・本省令の施行日以降、新不登規則第158条の39第1項に規定する登記を申請する場合において、所有権の登記名義人となる者(当該登記の申請人である場合に限る。)が国内に住所を有する自然人であるときは、当該登記の申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての検索用情報を申請情報の内容として申し出ることを要することとなります。

20  所有権の登記名義人の住所・氏名の変更又は更正の登記の申請の際も、同時に申し出るようにすべきである。施行前の所有権の登記は申出済であるか未申出であるか判別できず、もし申出済であっても、最新の電子メールアドレスを確認する必要はあるためである。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については・・・検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

21  新不登規則158条の39第1項において、登記されている所有権の登記名義人が海外に住所を有する自然人の場合において、その者が日本国内に住所を変更した場合においても、検索用情報の申出をすべきものと定めるべきと考えるがいかがか。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については・・・検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

22  所有者不明土地建物の発生予防のためにも、既登記の所有権について検索用情報の申出が積極的に行われることが望ましいと考えるが、新不登規則第158条の39第1項にはない抵当権抹消登記等の登記申請であっても、申請情報内に申出情報と添付情報に住民票の写しを加えることで、申出書を別途提出せずともよいよう、簡便な方法でも可能となるようにできないのか。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

 検索用情報を新不登規則第158条の39第1項に規定する登記以外の登記の申請情報の内容として申し出ることはできず、別途検索用情報単独申出をしていただく必要がありますが、検索用情報単独申出については、新不登規則第158条の40第8項第1号の添付情報については写しでも差し支えないこととし、同項第3号の添付情報については同項ただし書の場合には提供を不要としているほか、手続をWebブラウザ上で行うことを可能とするなど、簡易に行うことができるようにする予定です。

23  代位での登記申請を認めている土地区画整理登記令等の他の法令において、検索用情報の代位申出が可能となるよう改正はできないのか。

・・・登記名義人となる者の電子メールアドレスを把握することは必ずしも容易でないと考えられるため、代位者の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象につき、原案を維持させていただきます。

24  検索用情報同時申出における検索用情報の記載は、オンライン申請の場合にはその他の事項欄に必要な事項を記載するという理解でよろしいか。

・・・オンライン申請における検索用情報の入力方法等については、追って登記・供託オンライン申請システムのホームページ等において示す予定です。

25  検索用情報同時申出において同時に行う登記申請を資格者代理人が行う場合に登記申請の代理権限証明情報に検索用情報同時申出に関する件の特別の授権が必要か、それとも登記申請に関する一切の件の委任があれば特別な授権は不要か。

・・・御指摘については、検索用情報同時申出に係る申請において、代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

3 検索用情報単独申出関係

26  新不登規則第158条の40第3項ただし書につき、基本的に賛成するが、申出人や登記所において混乱が生じないよう、運用を整備すべきである。 <理由>  本条3項ただし書の取扱いは、新不登法第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資する。しかし、異なる登記所の管轄区域にある2以上の不動産について検索用情報単独申出を許容すると、その在り方いかんによっては、申請用総合ソフト等において無用なエラー表示がされたり、登記所から申出人に対しての申出の内容に係る問合せが増加する等、申出に係るトラブルの発生が懸念される。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の40第8項第2号に規定する代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

27  検索用情報の申出手続は新不登法第76条の5及び第76条の6による登記に関するものであるから、登記申請と同時に行われない検索用情報単独申出手続の代理も権利の登記に関する代理であるため権利の登記の申請の例によるという理解でよいか。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の40第8項第2号に規定する代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

4 検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等関係

28  新不登規則第158条の41に係る運用の具体的な在り方を、早期に明確にした上で、できるだけ早く周知すべきである。

<理由>同条に係る検索用情報の変更、更正及び抹消の運用の各制度は、その具体的な在り方次第によっては、新不登法第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資すると考えられるが、その内容・在り方が判然としないため、現時点において、制度の妥当性の評価を行うためには、それらが明らかになることが必要であり、国民に対して十分な周知期間が必要であると考える。

・・・周知等を行うに当たっての参考とさせていただきます。

29  新不登規則第158条の41第2項に基づいて行われる所有権の登記名義人による電子メールアドレスの変更又は削除の具体的な手続については、できるだけ簡便な方法によることを要望する。

<理由>個人の電子メールアドレスは、法人等の組織のものに比べて変更されやすいため、変更又は削除の手続を簡便にして登記名義人の負担の軽減を図ることは、有効なアドレス情報を保つことが期待でき、職権による変更登記の円滑に資すると考える。

・・・運用に当たっての参考とさせていただきます。

30  電子メールアドレスに変更がある場合に新不登規則第158条の41第1項の職権の発動を促すことは、所有権の登記名義人において行うことができるのか。また、所有権の登記名義人の申出による電子メールアドレスの変更は同条第2項に基づき行い、同条第1項の職権による変更に関する申出をすることはできないという理解でよいか。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の41に関する取扱いの詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

5 施行期日関係

31  本省令の施行日は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正戸籍法」という。)の施行日(令和7年5月26日)と同一にすべきである。

<理由>  本省令の施行の時期は、戸籍の振り仮名改正法の施行の時期と同一でない場合には、検索用情報の申出後に改めて検索用情報の変更・更正等が必要になる場合があり、そのことにより所有者たる国民や登記所の負担が増してしまうことが考えられる。

・・・検索用情報の申出をした際の氏名の振り仮名について、その後に変更が生じたとしても、国民に申出等を求めることなく、新不登規則第158条の41第1項に基づく登記官の職権による変更を行うことを想定しています。  また、本省令は、職権による住所等変更登記の運用を速やかに開始するためのものであり、住所変更登記の未了を原因とする所有者不明土地等の解消の観点から、できるだけ速やかに施行することが望ましいと考えます。以上を踏まえ、本省令の施行期日につき、原案を維持させていただきます。

32  本省令を令和7年4月21日から施行することは時期尚早であり、令和8年5月26日以降から施行するべきである。

<理由>  改正戸籍法により、本籍地の市町村長は、改正戸籍法施行日(令和7年5月26日)後遅滞なく、戸籍に記載されている者に対し、氏名の振り仮名に関する情報を通知し、改正戸籍法施行日から1年を経過した日(令和8年5月26日)に通知に記載された振り仮名が戸籍に記載されることとなる。ただし、改正戸籍法施行日から1年以内に限り、戸籍に記載されている者は、氏名の振り仮名の届出をすることが可能である。

 したがって、振り仮名が戸籍に記載される時期については、早ければ令和7年5月26日から、遅くとも令和8年5月26日には戸籍内の各人の氏名に振り仮名が記載されることとなる。

 本省令を令和7年4月21日から施行した場合、施行日時点では、検索用情報の申出の添付情報として、検索用情報申出情報と併せて振り仮名が記載された戸籍全部事項証明書又は戸籍個人事項証明書を提供することはできない。遅くとも令和8年5月26日には戸籍内の各人の氏名に記載される振り仮名が確定することから、本省令は同日以降に施行することが適切であると考える。

・・・職権による住所等変更登記の制度(新不登法第76条の6)は令和8年4月1日に施行されるところ、本省令は遅くとも同日までに施行する必要がある上、本省令は、職権による住所等変更登記の運用を速やかに開始するためのものであり、住所変更登記の未了を原因とする所有者不明土地等の解消の観点から、できるだけ速やかに施行することが望ましいことから、本省令の施行期日につき、原案を維持させていただきます。

 なお、所有権の登記名義人の氏名の振り仮名を証する情報として、一般的には住民票の写しが提供されることを想定しているところ、御意見については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

6 令和8年4月以降の運用関係

33  職権登記をするか否かの意思確認メールを送る対象者は、登記期間である住所変更後2年を経過した登記名義人に限るという理解でよいか。(飽くまでも自発的な申請が優先であることから)

・・・本省令案の概要の別添「職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合)」のとおり、住基ネットに照会した結果、所有権の登記名義人の氏名・住所の変更情報を取得した場合には、当該変更の日から2年経過しているか否かにかかわらず、当該所有権の登記名義人に意思確認メールを送る想定です。

34  職権登記を行ったとしても、登記懈怠による過料は科され、その額は登録免許税を超えるという理解でよいか。(そうでないと期限内に申請した「正直者が馬鹿を見る」結果となってしまう)

・・・本省令案の概要の別添「職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合)」のとおり、職権による住所等変更登記により、住所等変更登記の義務は履行済みとなるため、当該義務に関して過料の対象となることはありません。なお、上記のとおりであることから、検索用情報の申出をした上で、法務局からの意思確認に対して了解する旨の回答をすることが、自然人における住所等変更登記の義務の履行手段として一般的になるものと考えています。

7 その他

35  本改正案に賛同する。

・・・本省令案への賛同意見として承ります。

36  検索用情報の申出の有無や登録されている検索用情報の内容の確認方法等はどのように行うのか。登記記録では判別できないため、本人又は代理人が電話やオンラインで管轄登記所へ照会ができるようにしていただきたい。

・・・御指摘については、運用に当たっての参考とさせていただきます。

37 農業用動産の場合には所有権保存登記や所有権移転登記の手続はない(農業用動産抵当登記令第12条及び別表第10)ため、準用の文言を農業用動産の所有者の登記手続に即して変更した方がよいのではないか。

・・・不動産登記規則の準用規定を定める農業用動産抵当登記規則第40条本文を改正しなくても、今回新設する新不登規則第3章第3節第2款の5の規定は準用されないことになるため、原案を維持させていただきます。

法務省 

※2 申請情報の内容とされたメールアドレスは、登記官が職権で住所等変更登記を行うことの可否を所有権の登記名義人に確認する際に送信する電子メールの宛先となるものです(申出手続が完了した際にも送信します。)。このため、代理人による申請の場合を含め、登記名義人となる者本人のみが利用しているメールアドレスを申請情報の内容としてください。
 手書きの書面で申請する場合には、文字の誤認・混同を防止するため、メールアドレスの振り仮名の記載をお願いします。それ以外の場合には、メールアドレスの振り仮名の記載は不要です。
 なお、登記名義人となる者のメールアドレスがない場合には、その旨を申請情報の内容としていただくこととなる予定です(その場合、登記官が職権で住所等変更登記を行うことの可否を確認する際には、登記名義人の住所に書面を送付することを想定しています。)。https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00678.html#:~:text=%E6%89%8B%E6%9B%B8%E3%81%8D%E3%81%AE%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E3%81%A7%E7%94%B3%E8%AB%8B,%E3%81%AE%E8%A8%98%E8%BC%89%E3%81%AF%E4%B8%8D%E8%A6%81%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

法務省 令和7年4月21日以降にする所有権の保存・移転等の登記の申請について
PAGE TOP