加工令和7年4月21日施行不動産登記規則

○法務省令第一号不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十五条及び不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第二十七条の規定に基づき、不動産登記規則等の一部を改正する省令を次のように定める。

令和七年一月十日

不動産登記規則等の一部を改正する省令(不動産登記規則の一部改正)

法務大臣 鈴木 馨祐

  • 不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)の一部を次のように改正する。

次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分をこれに対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分のように改め、改正後欄に掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定を加える。

(申出立件事件簿等)

第二十七条の二 申出立件事件簿には、検索用情報の申出(第百五十八条の三十九第二項に規定する検索用情報同時申出又は第百五十八条の四十第二項に規定する検索用情報単独申出をいう。第三項において同じ。)第二項に規定する検索用情報単独申出をいう。第三項において同じ。)、代替措置等申出(第二百二条の四第一項に規定する代替措置等申出をいう。第三項及び第四項において同じ。)又は代替措置申出の撤回(第二百二条の十五第一項の規定による撤回をいう。第三項及び第四項において同じ。)の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとする。

2[略]

3申出立件関係書類つづり込み帳には、検索用情報の申出に関する書類、代替措置等申出に関する書類及び代替措置申出の撤回に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとする。

4[略]

第二款の五 検索用情報

(検索用情報管理ファイル)

第百五十八条の三十八 法務大臣は、所有権の登記名義人についての次に掲げる事項を記録する検索用情報管理ファイルを備えるものとする。

一氏名

二氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

三住所

四出生の年月日

五電子メールアドレス

六所有権の登記名義人として記録されている登記記録を特定するために必要な事項

2検索用情報管理ファイルは、所有権の登記名義人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとする。

3検索用情報管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とする。

(検索用情報の申出)

第百五十八条の三十九 所有権の保存若しくは移転の登記、合体による登記等(法第四十九条第一項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限る。)又は所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限る。)を申請する場合において、これらの登記の申請人が所有権の登記名義人となる者であって、かつ、国内に住所を有する自然人であるときは、これらの登記の申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての次に掲げる事項(以下この条及び次条において「検索用情報」という。)を申請情報の内容として申し出るものとする。

一氏名

二氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

三住所

四出生の年月日

五電子メールアドレス

2前項の規定による申出(以下この条において「検索用情報同時申出」という。)をする場合には、当該所有権の登記名義人となる者の前項第二号及び第四号に掲げる事項を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。

3電子申請の申請人が検索用情報同時申出をする場合において、その者が第四十三条第一項第一号に掲げる電子証明書(登記官が第一項第二号及び第四号に掲げる事項を確認することができるものに限る。)を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、前項の市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができる。

4登記官は、第一項の規定により検索用情報に係る情報が提供されたときは、申出立件事件簿に立件の年月日及び立件番号を記録するものとする。

5登記官は、検索用情報同時申出があった場合において、当該検索用情報同時申出に係る申請に基づく登記をしたときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとする。第百五十八条の四十所有権の登記名義人(国内に住所を有する自然人である者に限る。)は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人についての検索用情報を検索用情報管理ファイルに記録するよう申し出ることができる。

2前項の規定による申出(以下この条において「検索用情報単独申出」という。)は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一所有権の登記名義人の検索用情報

二代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名

三申出の目的

四申出に係る不動産の不動産所在事項

3検索用情報単独申出は、申出に係る不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してしなければならない。ただし、異なる登記所の管轄区域にある二以上の不動産について検索用情報単独申出をするときは、当該検索用情報単独申出は、当該不動産のうちいずれかの不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対してすることができる。

4 第二項第四号の規定にかかわらず、不動産番号(申出を受ける登記所以外の登記所の管轄区域内にある不動産について申出をする場合にあっては、不動産番号及び当該申出を受ける登記所以外の登記所の表示)を同項各号に掲げる事項に係る情報(以下この条において「検索用情報申出情報」という。)の内容としたときは、同項第四号に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とすることを要しない。

5 検索用情報単独申出においては、第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を検索用情報申出情報の内容とするものとする。

一 申出人又は代理人の電話番号その他の連絡先

二 第八項に規定する検索用情報申出添付情報の表示

三 申出の年月日

四 検索用情報申出情報を提供する登記所の表示

6 検索用情報単独申出は、次に掲げる方法のいずれかにより、検索用情報申出情報を登記所に提供してしなければならない。

一 電子情報処理組織を使用する方法

二 検索用情報申出情報を記載した書面(第十四項及び第十六項において「検索用情報申出書」という。)を提出する方法

7 検索用情報申出情報は、所有権の登記名義人ごとに作成して提供しなければならない。

8 検索用情報単独申出をする場合には、次に掲げる情報(第十一項及び第十四項において「検索用情報申出添付情報」という。)をその検索用情報申出情報と併せて登記所に提供しなければならない。

一 申出人となるべき者が申出をしていることを明らかにする市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(当該情報を記載した書面の写しを含む。)

二 代理人によって申出をするときは、当該代理人の権限を証する情報

三 第二項第一号に掲げる事項(電子メールアドレスを除く。)を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(所有権の登記名義人に係るものであることを登記官が確認することができる当該事項を検索用情報申出情報の内容としたときを除く。)

9 第三十七条の二の規定は、検索用情報単独申出をする場合について準用する。

10第百五十八条の八第一項及び第百五十八条の九の規定は、第六項第一号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする場合について準用する。この場合において、同条第二項中「受付」とあるのは「立件」と、同条第三項各号列記以外の部分中「別記第四号の二」とあるのは「別記第四号の三」と、同項第一号中「受付番号」とあるのは「立件番号」と読み替えるものとする。

11令第十二条第二項及び第十四条の規定は、前項の場合において送信する検索用情報申出添付情報(第八項第三号に掲げる情報に限る。)について準用する。

12第四十二条の規定は前項において準用する令第十二条第二項の電子署名について、第四十三条第二項の規定は前項において準用する令第十四条の法務省令で定める電子証明書について、それぞれ準用する。

13第六項第一号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする申出人が検索用情報申出情報又は委任による代理人の権限を証する情報に第四十二条の電子署名を行い、当該申出人の第四十三条第一項第一号に掲げる電子証明書を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、第八項第一号及び第三号に掲げる情報の提供に代えることができる。ただし、同項第三号に掲げる情報については、登記官が所有権の登記名義人の検索用情報(電子メールアドレスを除く。)を確認することができるものを提供したときに限る。

14第百五十八条の十の規定は第六項第二号に掲げる方法により検索用情報単独申出をする場合について、第百五十八条の十一の規定は検索用情報単独申出をしようとする者が検索用情報申出書又は検索用情報申出添付情報を記載した書面(以下この項において「検索用情報申出添付書面」という。)を送付する場合について、第五十五条の規定は検索用情報申出添付書面を提出した申出人について、それぞれ準用する。この場合において、同条第四項中「登記完了後、申請書類つづり込み帳」とあるのは、「検索用情報管理ファイルへの記録完了後、申出立件関係書類つづり込み帳」と読み替えるものとする。

15前条第四項の規定は、検索用情報申出情報が提供された場合について準用する。

16登記官は、第六項第二号に掲げる方法により検索用情報申出情報が提供されたときは、前項において準用する前条第四項の規定により申出立件事件簿に記録をする際、検索用情報申出書に立件の年月日及び立件番号を記載しなければならない。

17登記官は、検索用情報単独申出があったときは、職権で、申出のあった所有権の登記名義人についての検索用情報及び登記記録を特定するために必要な事項を検索用情報管理ファイルに記録するものとする。

(検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等)

第百五十八条の四十一 登記官は、検索用情報管理ファイルに記録された第百五十八条の三十八第一項各号に掲げる事項に変更又は錯誤若しくは遺漏があると認めるときは、職権で、検索用情報管理ファイルに変更後又は更正後の当該事項を記録するものとする。

2検索用情報管理ファイルに第百五十八条の三十八第一項第五号に掲げる事項が記録されている所有権の登記名義人は、法務大臣の定めるところにより検索用情報管理ファイルに記録された当該事項の変更又は削除をすることができる。

(施行期日)

1 この省令は、令和七年四月二十一日から施行する。

(経過措置)

2 この省令による改正後の不動産登記規則(以下「新規則」という。)中検索用情報の申出(新規則第二十七の二第一項に規定する検索用情報の申出をいう。)に関する規定は、不動産登記規則附則第三条第一項の規定による改製を終えていない登記簿(電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿を含む。)に係る申出については、適用しない。

不動産登記規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集結果について

法務省民事局民事第二課

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&id=300080314&Mode=1

カテゴリー      民事

案件番号         300080314

定めようとする命令などの題名 不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和7年法務省令第1号)

根拠法令条項   不動産登記法(平成16年法律第123号)第15条、不動産登記令(平成16年政令第379号)第27条等

行政手続法に基づく手続か      行政手続法に基づく手続

案の公示日      2024年11月2日

受付締切日時   2024年12月2日0時0分

結果の公示日   2025年1月10日

命令等の公布日          2025年1月10日

提出意見数      16

提出意見を踏まえた案の修正の有無    無

項番/意見の概要/御意見に対する考え方

1 検索用情報の申出関係(同時申出・単独申出共通)

1  省令案による改正後の不動産登記規則(以下「新不登規則」という。)第158条の39第1項及び第158条40第1項の申出の具体的な方法やその取扱いについては、できるだけ早く周知すべきである。

 <理由>  検索用情報の提供の制度は、検索用情報の具体的な提供の申出の在り方次第によっては、民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による改正後の不動産登記法(以下「新不登法」という。)第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資すると考えられるが、手続についての具体的な方法やその在り方については、十分な周知期間が必要であると考える。現時点において、制度の妥当性の評価を行うためには、それらが明らかになることが必要であり、国民に対して十分な周知期間が必要であると考える。

・・・周知等を行うに当たっての参考とさせていただきます。

1 新不登規則第158条の39第1項第1号(氏名)、第3号(住所)及び第4号(出生の年月日)のみによる検索用情報同時申出及び新不登規則第158条の40第1項第1号(氏名)、第3号(住所)及び第4号(出生の年月日)のみによる検索用情報単独申出も許容すべきである。

 2 検索用情報のうち氏名の振り仮名又は氏名の表音をローマ字で表示したもの(以下「ローマ字氏名」という。)を欠く申出があった場合であっても、その余の検索用情報をもって所有権の登記名義人の特定ができるときは、新不登法第76条の6のただし書所定の申出の前提として行われる登記所からの意思確認については、転送可能な郵便その他の手段で実施する等して、なるべく所有権の登記名義人に不利益を課さない運用を目指すべきである。

 <1の理由>新不登規則第158条の39第1項各号の情報の中には、電子メールアドレスなど必ずしも随時・自動的に更新されない情報が含まれ得る。そのため、所有権の登記の申請時点において当該各号の情報が全て正確に提供されたとしても、登記所が後日行う所有権の登記名義人の検索及び特定においては、一定の限界が存在する。

 同項に基づき所有権の登記名義人が申し出るべき検索用情報としては、同項所定の登記の申請時点における同項第1号、第3号及び第4号の情報をもってすれば、所有権の登記名義人の特定として、一定程度十分であると考えるべきである。このように考えれば、例えば、有効かつ永続的な電子メールアドレスなどを利用できない所有権の登記名義人についても穏当な運用となり得るし、新不登規則第158条の41第2項による抹消の申請が可能であることや、通称名を用いる外国人が所有権の登記名義人となった場合の運用とも整合しやすくなる。

<2の理由>新不登規則第158条の39第1項第2号及び第5号の検索用情報は、いずれも所有権の登記名義人を特定するための補助的な情報であって、不動産登記法所定の登記事項ではない。そのため、所有権の登記の申請時にこれらの検索用情報の提供がされなかったとしても、当該登記の申請の却下事由には該当せず、取下げや補正の対象にはならない。

 そのように考えると、同項第2号及び第5号の検索用情報については、その申出の情報が十分ではない場合に、新不登法第76条の6に基づく職権登記から外れる可能性が若干上がるにとどまるものであるようにも思われる。このような観点から、所有権の登記名義人に対して大きな負担を課す立法事実は、現状、存在しないと考えられる。また、新不登法第76条の6に基づく職権登記は、所有権の登記名義人が自然人であるときは当該登記名義人の申出によって行われるところ、上記1の第1段落の理由からすれば、いずれにせよ、当該登記名義人に対し、当該申出の時点において、当該登記名義人の特定に足る情報を別途提供させる運用が必要となる上、当該運用を徹底すれば、当該職権登記の過誤も起こり得ない。

・・・職権による住所等変更登記等のための住基ネットを始めとする他の公的機関との円滑な連携に当たり、外字の問題を生じない氏名の振り仮名又はローマ字氏名は必要な情報であると考えます。また、電子メールアドレスについても、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えます。

 以上を踏まえ、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、左記1の御意見については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名又はローマ字氏名が記載されていない場合や電子メールアドレスの申出が困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

 また、左記2の御意見については、令和8年4月1日までに定める職権による住所等変更登記に係る通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

3  新不登規則第158条の38第1項第5号の電子メールアドレスについては、高齢者など電子メールアドレスを持たない者もいること、嘱託登記や代位申請の際に申出できないことがあることから、無くても申出が可能となるよう、通達等で明らかにしていただきたい。

・・・検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。なお、申請人以外の所有権の登記名義人となる者に係る検索用情報は、検索用情報同時申出における申出事項ではないため、所有権の登記名義人となる者が申請人とならない登記の嘱託や代位登記の申請においては、検索用情報を申し出る必要はありません。

4 法定相続人の一人から法定相続分による相続登記を行う場合、申請人以外の登記名義人となる者の電子メールアドレスは分からないが、その場合はどうするのか。

・・・申請人以外の所有権の登記名義人となる者に係る検索用情報は、検索用情報同時申出における申出事項ではないため、御指摘の登記の申請をする際に、申請人以外の所有権の登記名義人となる者の電子メールアドレスを把握する必要はありません。

5  申出制度そのものは賛成であるが、申出事項に電子メールアドレスを含めることについては反対である。高齢者を中心に電子メールアドレスを有しない人が多く、手続に大きな負担がかかることが予想される。また、仮に登記手続のために電子メールアドレスを作成したとしても、その後使用されず事実上放置されるおそれがある。そもそも電子メールアドレスを申し出る必要性もないと考える。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

6 電子メールアドレスを申出事項とすることについて、以下の点につき実務運用上支障が生ずるおそれがあるので、再考されたい。

1 現在、登記申請時に電話番号(固定電話、携帯電話を含む。)を提供していない現状において、所有権の登記名義人となる者が電子メールアドレスを提供することについて抵抗を感じるものと想定される。

2 特に若年層においては、近年、電子メールアドレスを有さず、SNSやそのダイレクトメール(DM)機能を使用する者が多く、所有権の登記名義人となる者が新たに電子メールアドレスを取得しなければならないという負担が生じる。

3 仮に、電子メールアドレスの申出が可能であったとしても、所有権の登記名義人が電子メールアドレスを申し出た後、当該メールアドレスを変更した場合の措置についての定めがない。

4 所有権の登記名義人が申し出た電子メールアドレスについて特定人からのみの受信に限定している場合において、今後、職権による住所変更登記をする際に登記官から送信される通知が不達となることが想定される。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

7  職権による自然人についての住所等変更登記の手続において、登記名義人に意思確認をする方法として、検索用情報管理ファイルに電子メールアドレスを記録すること及び検索用情報として電子メールアドレスを提供させることについて反対する。登記名義人に意思確認する方法は、例えば、住基ネットから取得した氏名・住所の変更情報を基に郵送で行うなど、電子メール以外の方法で行うべきである。

 <理由>

 1 本改正案では、検索用情報として電子メールアドレスを記録することが定められているだけで、その提供が必須なのか任意なのかは不明確であるものの、必ず提供しなければならないとした場合には、自然人による所有権移転登記等の申請の新たな要件の追加となり、記録するための電子メールアドレスを保有していない自然人は登記申請人になることができないこととなる。年齢階層別のインターネット利用率は、70歳以降年齢階層が上がるにつれて利用率が低下する傾向にあるとされており、今後、高齢化社会が進展するなか、高齢の相続人が増えるにもかかわらず、所有者不明土地問題解消のための施策の一つとして、電子メールアドレスの提供を申請要件とすることで相続登記の申請人の負担を増やすことは適当ではない。

2 本改正案では、申請情報の内容として電子メールアドレスを申し出るものとしているのみで、電子メールアドレスを適切に提供するための工夫が見られない。このような工夫がないと、提供された電子メールアドレス宛てに送信した電子メールが登記申請人に適切に届いているか確認することができず、また、登記申請人が誤った電子メールアドレスを申請情報として提供するおそれもあるほか、登記申請人が提供した手書きの電子メールアドレスについて、登記官が綴り等を誤って検索用情報管理ファイルに記録するおそれもある。

3 個人の多くは、自らが電子申請等を利用して申請、請求、問合せ等をした場合を除き、法務省や法務局といった国の機関からの電子メールを受信することは通常ない。しかし、今後、法務省、法務局等が所有権の登記名義人への意思確認のために電子メールを用いることが広く周知された場合、法務省や法務局を装った電子メールを送信するフィッシング詐欺やなりすまし詐欺が横行することが危惧される。

4 登記申請時に電子メールアドレスを提供させることとするのであれば、電子メールアドレスを適切に管理するため、登記名義人が、いつでも簡易に、記録された電子メールアドレスを確認することができて、最新の情報に変更することができるような仕組みを構築するべきである。

5 電子メールアドレスを夫婦や親子などの家族間で共有し、又は家族の一部が管理しているようなケースも想定されるが、検索用情報管理ファイルに当該電子メールアドレスが記録された後、所有権の登記名義人にDV被害等による保護の必要性が生じ、住所を変更した場合において、本改正案では、共有し、又は管理する相手方に意思確認メールの内容が知られてしまうような事態も想定される。

6 仕事上で電子メールアドレスを利用することは日常的にあるものの、SNS等のさらなる普及により、電子メールを日常的な連絡用のツールとして利用することは減少するおそれがある。特に、10代、20代のITサービス利用者は、パソコンでなくスマートフォンを用いてインターネットを利用し、連絡用ツールとしてはSNS等を利用しているケースが多く、この傾向は今後続くと考える。今後、5年、10年の時間の経過に伴い、IT技術の進展、各種ITサービスの多様性の広がりとその普及が見込まれるなか、所有者不明土地問題という解決までに長期間が必要とされる問題に対して、電子メールが将来的に継続的に利用されていくことを前提とする施策を用いることについて疑問を抱かざるを得ない。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、今後の運用や検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

8  新不登規則第158条の39及び第158条の40に基づく検索用情報の申出制度について、抜本的な見直しを求める。

 <理由>  職権による住所等変更登記に係る登記名義人の意思確認の手段として、検索用情報管理ファイルに記録された電子メールアドレスが用いられることとされているが、このように意思確認を実施することに対して、以下のとおり懸念がある。

 ・登記名義人が氏名住所を変更することは検索用情報の申出をしてから数十年が経過していることも考えられ、変更した時点で登記名義人が当該電子メールアドレスを連絡手段として用いているとは限らない。

・当該電子メールアドレスを連絡手段として用いていたとしても、趣旨を理解した上で迷惑メール等と区別してメールを開封し、返信することは市民にとってハードルが高い。

・職権登記を了解する旨の返信があったとしても、登記名義人以外の者によるなりすましである可能性を排除することはできず、正確な本人確認のみならず、正確な意思確認がなされるとは言い難い。

・・・電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、今後の運用に当たっての参考とさせていただきます。

9 新不登規則第158条の39第2項において、氏名の振り仮名に関する公的証明書を必要としており、この証明書としては住民票又は戸籍謄本が考えられる。戸籍謄本については令和7年5月26日以降に振り仮名が付される予定であり、また、住民票についても同様に令和7年5月26日以降は住民基本台帳法第7条第1号の2により氏名の振り仮名が記載事項として法定されることになっているが、現行法は記載事項とされていないため、現状、市町村によっては住民票に振り仮名が付されていない市町村も存在する。そのような中、4月21日から5月25日までの間、上記のような公的証明書がない場合も考えられるが、その際の対応(申請人からの申述書で対応するのか)をどのように考えているのか。

・・・御指摘については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

10  外国人住民に係る住民基本台帳事務の取扱いについて(総務省自治行政局外国人住民基本台帳室平成24年10月29日事務連絡問5)には、「出生届に付記されているローマ字表記の氏名を記載する。ただし、ローマ字表記の氏名の付記がない場合、出生届に記載されたカタカナ又は漢字による表記の氏名を記載する。」とあることから、日本の国籍を有しない者にあっても、必ずしもローマ字氏名を有するものではない。また、日本の国籍を有しない者にあっても、住民登録の際に、日本の国籍を有する者と同様に氏名及び通称名の振り仮名も登録することが可能である。よって、「日本の国籍を有しない者にあっては」は「振り仮名を有しない者にあっては」に改めるべきである。

・・・所有権の登記名義人となる者が日本の国籍を有しない者である場合の登記の申請においては、当該所有権の登記名義人の識別性を向上させる観点から、そのローマ字氏名を申し出ることとされている(不動産登記規則第158条の31第1項)ことなどを踏まえ、御意見の申出事項につき、原案を維持させていただきます。なお、御意見については、日本の国籍を有しない所有権の登記名義人となる者の住民票の写しにローマ字氏名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

11  氏名は外字の取扱いが一定ではなく、司法書士がどう申請したかに左右されている。住所はマンション名の有無やスペースの扱いがまちまちで、これまた一定の表記ではない。確実に同一人を検索できるようにするためには、マイナンバー又は住民票コードを検索用情報に含めるべきである。将来的には偽造のおそれがある紙の住民票添付を廃止し、申請時点で申請情報と住基ネットの住所氏名を自動照合するようなシステムが望ましい。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱(令和3年2月10日法制審議会第189回会議決定)に沿ったものとしており、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

12  検索用情報の申出事項のうち、メールアドレスについて限界を感じ、マイナンバーを加えることを希望する。資金移動から登記の受付に至るまでのいわゆる登記空白期間内に正確なメールアドレスを申出する時間的余裕はない。

 メールアドレスを持ち合わせていない国民や事後的にメールアドレスを変更することができることを考えると申出事項としてメールアドレスではなく、マイナンバーを申出事項として、中長期的な視点で登記情報と固定資産の課税情報を一元的に管理できる仕組みを考えるべきだと思うためである。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱に沿ったものとしており、また、電子メールアドレスは、職権による住所等変更登記に係る意思確認及び回答を簡易・迅速に行う観点から必要な情報であると考えるため、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

13  マイナンバーとの紐付け必須とすべきではないか。脱税やグレーな取引も炙り出せる。

・・・住基ネットへの照会において検索キーとする検索用情報の内容については、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱に沿ったものとしており、申出事項につき、原案を維持させていただきますが、御意見については、今後の検討の参考とさせていただきます。

14  新不登規則では、検索用情報の申出において提供された電子メールアドレスが登記申請人又は申出人の電子メールアドレスであるかどうかの資料の提出を求めていないが、その真正を担保するための方策、具体的には、例えば代理権限証明情報に押印する印鑑を印鑑証明書の印鑑とし、その印鑑証明書を添付する方策などを考えているか。

・・・所有権の登記名義人となる者が登記の申請人である場合に限って当該申請人が検索用情報同時申出をすることとし、所有権の登記名義人に限って検索用情報単独申出をすることができるとすることなどにより、提供された電子メールアドレスの真正を担保することとしています。

15  電子メールアドレスを複数申し出ることは可能か。

・・・御指摘については、検索用情報の申出における申出事項の詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

16  所有権の登記名義人が未成年者等の制限行為能力者である場合に提供すべき電子メールアドレスは法定代理人等のものでよいのか。

・・・検索用情報の申出において申し出る電子メールアドレスは、所有権の登記名義人のものとなります。なお、御指摘については、検索用情報の申出の際に電子メールアドレスを申し出ることが困難である場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

17  新不登規則第158条の39第5項の「登記記録を特定するために必要な事項」とは具体的に何を想定しているのか。通達等で明らかにする予定があるのか。

・・・御指摘については、検索用情報管理ファイルへの記録方法の詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

2 検索用情報同時申出関係

18  検索用情報同時申出において、電子メールアドレスの申出がないことは、却下事由となり得るのか。なり得るとすれば不動産登記法第25条の何号に該当するのか。

却下事由となる場合、電子メールアドレスを持っていない自然人は実質上登記を受けることができない事になるが、これは対抗力付与のために必要な登記制度の考えからすると必要以上の制限と思われるが、これは不当ではないか。

・・・検索用情報同時申出において、電子メールアドレスの申出がないことは、不動産登記法第25条に規定する登記の申請の却下事由には該当しません。

19  新不登規則第158条の39第1項により、施行日以降、所有権の移転の登記の申請等を行う者は、同時に検索用情報を申出することが義務となるのか。

・・・本省令の施行日以降、新不登規則第158条の39第1項に規定する登記を申請する場合において、所有権の登記名義人となる者(当該登記の申請人である場合に限る。)が国内に住所を有する自然人であるときは、当該登記の申請人は、登記官に対し、当該所有権の登記名義人となる者についての検索用情報を申請情報の内容として申し出ることを要することとなります。

20  所有権の登記名義人の住所・氏名の変更又は更正の登記の申請の際も、同時に申し出るようにすべきである。施行前の所有権の登記は申出済であるか未申出であるか判別できず、もし申出済であっても、最新の電子メールアドレスを確認する必要はあるためである。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については・・・検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

21  新不登規則158条の39第1項において、登記されている所有権の登記名義人が海外に住所を有する自然人の場合において、その者が日本国内に住所を変更した場合においても、検索用情報の申出をすべきものと定めるべきと考えるがいかがか。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については・・・検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

22  所有者不明土地建物の発生予防のためにも、既登記の所有権について検索用情報の申出が積極的に行われることが望ましいと考えるが、新不登規則第158条の39第1項にはない抵当権抹消登記等の登記申請であっても、申請情報内に申出情報と添付情報に住民票の写しを加えることで、申出書を別途提出せずともよいよう、簡便な方法でも可能となるようにできないのか。

・・・民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱において「施行前に既に所有権の登記名義人となっている者については検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする」とされていることや申請人の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象となる登記の種類につき、原案を維持させていただきます。

 検索用情報を新不登規則第158条の39第1項に規定する登記以外の登記の申請情報の内容として申し出ることはできず、別途検索用情報単独申出をしていただく必要がありますが、検索用情報単独申出については、新不登規則第158条の40第8項第1号の添付情報については写しでも差し支えないこととし、同項第3号の添付情報については同項ただし書の場合には提供を不要としているほか、手続をWebブラウザ上で行うことを可能とするなど、簡易に行うことができるようにする予定です。

23  代位での登記申請を認めている土地区画整理登記令等の他の法令において、検索用情報の代位申出が可能となるよう改正はできないのか。

・・・登記名義人となる者の電子メールアドレスを把握することは必ずしも容易でないと考えられるため、代位者の負担等を踏まえ、検索用情報同時申出の対象につき、原案を維持させていただきます。

24  検索用情報同時申出における検索用情報の記載は、オンライン申請の場合にはその他の事項欄に必要な事項を記載するという理解でよろしいか。

・・・オンライン申請における検索用情報の入力方法等については、追って登記・供託オンライン申請システムのホームページ等において示す予定です。

25  検索用情報同時申出において同時に行う登記申請を資格者代理人が行う場合に登記申請の代理権限証明情報に検索用情報同時申出に関する件の特別の授権が必要か、それとも登記申請に関する一切の件の委任があれば特別な授権は不要か。

・・・御指摘については、検索用情報同時申出に係る申請において、代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

3 検索用情報単独申出関係

26  新不登規則第158条の40第3項ただし書につき、基本的に賛成するが、申出人や登記所において混乱が生じないよう、運用を整備すべきである。 <理由>  本条3項ただし書の取扱いは、新不登法第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資する。しかし、異なる登記所の管轄区域にある2以上の不動産について検索用情報単独申出を許容すると、その在り方いかんによっては、申請用総合ソフト等において無用なエラー表示がされたり、登記所から申出人に対しての申出の内容に係る問合せが増加する等、申出に係るトラブルの発生が懸念される。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の40第8項第2号に規定する代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

27  検索用情報の申出手続は新不登法第76条の5及び第76条の6による登記に関するものであるから、登記申請と同時に行われない検索用情報単独申出手続の代理も権利の登記に関する代理であるため権利の登記の申請の例によるという理解でよいか。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の40第8項第2号に規定する代理人の権限を証する情報の内容とすべき事項などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

4 検索用情報管理ファイルに記録された事項の変更等関係

28  新不登規則第158条の41に係る運用の具体的な在り方を、早期に明確にした上で、できるだけ早く周知すべきである。

<理由>同条に係る検索用情報の変更、更正及び抹消の運用の各制度は、その具体的な在り方次第によっては、新不登法第76条の5の登記申請の義務付けに係る国民負担の軽減に資すると考えられるが、その内容・在り方が判然としないため、現時点において、制度の妥当性の評価を行うためには、それらが明らかになることが必要であり、国民に対して十分な周知期間が必要であると考える。

・・・周知等を行うに当たっての参考とさせていただきます。

29  新不登規則第158条の41第2項に基づいて行われる所有権の登記名義人による電子メールアドレスの変更又は削除の具体的な手続については、できるだけ簡便な方法によることを要望する。

<理由>個人の電子メールアドレスは、法人等の組織のものに比べて変更されやすいため、変更又は削除の手続を簡便にして登記名義人の負担の軽減を図ることは、有効なアドレス情報を保つことが期待でき、職権による変更登記の円滑に資すると考える。

・・・運用に当たっての参考とさせていただきます。

30  電子メールアドレスに変更がある場合に新不登規則第158条の41第1項の職権の発動を促すことは、所有権の登記名義人において行うことができるのか。また、所有権の登記名義人の申出による電子メールアドレスの変更は同条第2項に基づき行い、同条第1項の職権による変更に関する申出をすることはできないという理解でよいか。

・・・御指摘については、新不登規則第158条の41に関する取扱いの詳細などを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

5 施行期日関係

31  本省令の施行日は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正戸籍法」という。)の施行日(令和7年5月26日)と同一にすべきである。

<理由>  本省令の施行の時期は、戸籍の振り仮名改正法の施行の時期と同一でない場合には、検索用情報の申出後に改めて検索用情報の変更・更正等が必要になる場合があり、そのことにより所有者たる国民や登記所の負担が増してしまうことが考えられる。

・・・検索用情報の申出をした際の氏名の振り仮名について、その後に変更が生じたとしても、国民に申出等を求めることなく、新不登規則第158条の41第1項に基づく登記官の職権による変更を行うことを想定しています。  また、本省令は、職権による住所等変更登記の運用を速やかに開始するためのものであり、住所変更登記の未了を原因とする所有者不明土地等の解消の観点から、できるだけ速やかに施行することが望ましいと考えます。以上を踏まえ、本省令の施行期日につき、原案を維持させていただきます。

32  本省令を令和7年4月21日から施行することは時期尚早であり、令和8年5月26日以降から施行するべきである。

<理由>  改正戸籍法により、本籍地の市町村長は、改正戸籍法施行日(令和7年5月26日)後遅滞なく、戸籍に記載されている者に対し、氏名の振り仮名に関する情報を通知し、改正戸籍法施行日から1年を経過した日(令和8年5月26日)に通知に記載された振り仮名が戸籍に記載されることとなる。ただし、改正戸籍法施行日から1年以内に限り、戸籍に記載されている者は、氏名の振り仮名の届出をすることが可能である。

 したがって、振り仮名が戸籍に記載される時期については、早ければ令和7年5月26日から、遅くとも令和8年5月26日には戸籍内の各人の氏名に振り仮名が記載されることとなる。

 本省令を令和7年4月21日から施行した場合、施行日時点では、検索用情報の申出の添付情報として、検索用情報申出情報と併せて振り仮名が記載された戸籍全部事項証明書又は戸籍個人事項証明書を提供することはできない。遅くとも令和8年5月26日には戸籍内の各人の氏名に記載される振り仮名が確定することから、本省令は同日以降に施行することが適切であると考える。

・・・職権による住所等変更登記の制度(新不登法第76条の6)は令和8年4月1日に施行されるところ、本省令は遅くとも同日までに施行する必要がある上、本省令は、職権による住所等変更登記の運用を速やかに開始するためのものであり、住所変更登記の未了を原因とする所有者不明土地等の解消の観点から、できるだけ速やかに施行することが望ましいことから、本省令の施行期日につき、原案を維持させていただきます。

 なお、所有権の登記名義人の氏名の振り仮名を証する情報として、一般的には住民票の写しが提供されることを想定しているところ、御意見については、所有権の登記名義人となる者の住民票の写しに氏名の振り仮名が記載されていない場合の取扱いなどを示す通達等を定めるに当たっての参考とさせていただきます。

6 令和8年4月以降の運用関係

33  職権登記をするか否かの意思確認メールを送る対象者は、登記期間である住所変更後2年を経過した登記名義人に限るという理解でよいか。(飽くまでも自発的な申請が優先であることから)

・・・本省令案の概要の別添「職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合)」のとおり、住基ネットに照会した結果、所有権の登記名義人の氏名・住所の変更情報を取得した場合には、当該変更の日から2年経過しているか否かにかかわらず、当該所有権の登記名義人に意思確認メールを送る想定です。

34  職権登記を行ったとしても、登記懈怠による過料は科され、その額は登録免許税を超えるという理解でよいか。(そうでないと期限内に申請した「正直者が馬鹿を見る」結果となってしまう)

・・・本省令案の概要の別添「職権による住所等変更登記の手続イメージ(自然人の場合)」のとおり、職権による住所等変更登記により、住所等変更登記の義務は履行済みとなるため、当該義務に関して過料の対象となることはありません。なお、上記のとおりであることから、検索用情報の申出をした上で、法務局からの意思確認に対して了解する旨の回答をすることが、自然人における住所等変更登記の義務の履行手段として一般的になるものと考えています。

7 その他

35  本改正案に賛同する。

・・・本省令案への賛同意見として承ります。

36  検索用情報の申出の有無や登録されている検索用情報の内容の確認方法等はどのように行うのか。登記記録では判別できないため、本人又は代理人が電話やオンラインで管轄登記所へ照会ができるようにしていただきたい。

・・・御指摘については、運用に当たっての参考とさせていただきます。

37 農業用動産の場合には所有権保存登記や所有権移転登記の手続はない(農業用動産抵当登記令第12条及び別表第10)ため、準用の文言を農業用動産の所有者の登記手続に即して変更した方がよいのではないか。

・・・不動産登記規則の準用規定を定める農業用動産抵当登記規則第40条本文を改正しなくても、今回新設する新不登規則第3章第3節第2款の5の規定は準用されないことになるため、原案を維持させていただきます。

法務省 

※2 申請情報の内容とされたメールアドレスは、登記官が職権で住所等変更登記を行うことの可否を所有権の登記名義人に確認する際に送信する電子メールの宛先となるものです(申出手続が完了した際にも送信します。)。このため、代理人による申請の場合を含め、登記名義人となる者本人のみが利用しているメールアドレスを申請情報の内容としてください。
 手書きの書面で申請する場合には、文字の誤認・混同を防止するため、メールアドレスの振り仮名の記載をお願いします。それ以外の場合には、メールアドレスの振り仮名の記載は不要です。
 なお、登記名義人となる者のメールアドレスがない場合には、その旨を申請情報の内容としていただくこととなる予定です(その場合、登記官が職権で住所等変更登記を行うことの可否を確認する際には、登記名義人の住所に書面を送付することを想定しています。)。https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00678.html#:~:text=%E6%89%8B%E6%9B%B8%E3%81%8D%E3%81%AE%E6%9B%B8%E9%9D%A2%E3%81%A7%E7%94%B3%E8%AB%8B,%E3%81%AE%E8%A8%98%E8%BC%89%E3%81%AF%E4%B8%8D%E8%A6%81%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

法務省 令和7年4月21日以降にする所有権の保存・移転等の登記の申請について

月刊登記情報2025年1月号758号

月刊登記情報2025年1月号(758号)、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

CONTENTS 新年随想 

法務省民事局長 竹内 努

 2025年5月26日、戸籍法の一部改正施行。

法務局地図作成事業 地図整備計画 

法務省・令和7年度以降の次期地図整備計画の策定に向けた基本方針

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00236.html

日本司法書士会連合会会長 小澤吉徳

 相続登記の増加傾向。相続土地国庫帰属制度の見直しに向けての提言。

日本土地家屋調査士会連合会会長 岡田潤一郎

 建物の公費解体事業における建物性の認定。

「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて

(登記事項証明書等における代替措置関係)」の解説⑴

法務省民事局付 森下宏輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之、法務省民事局民事第二課補佐官 太田裕介

 法務省 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについ て(登記事項証明書等における代替措置関係)

令和6年4月1日法務省民二第555号通達

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00465.html

 代替措置申出と公示用住所の変更申出の二種類。

 申立立件事件簿・・・登記申請における受付帳(不動産登記規則18条1項1号、18条の2)。

 申立立件関係書類つづり込み帳・・・登記申請における申請書類つづり込み帳(不動産登記規則18条1項2号、19条)。

 申立立件事務日記帳・・・登記申請における登記事務日記帳(不動産登記規則18条1項26号、)

 法務大臣が備える公示用住所管理ファイルに記録された情報の保存期間・・永久(不動産登記規則202条の2第3項)。

 法人は適用外・・・代表取締役等住所非表示措置により限定的ではあるが対応。

 申出に係る不動産の不動産所在事項(不動産登記規則1条9号)は、土地の地目、地積、建物の種類、構造、床面積の記載は求められていない。

 補記・・・登記の申請情報「別途代替措置申出あり○○法務局」、別途提出する代替措置等申出書「別途登記申請あり(〇月〇日○○法務局受付××号)」。

 代替措置等申出にあっては、登記記録に記録されている者の氏名又は住所に変更があったとしても、その前提として氏名又は住所の変更登記は要しない。・・・登記名義人であった者の住所について代替措置を講ずる場合等、氏名または住所の変更の登記ができない場合も想定されるため。

法制審議会だより

法制審議会民法(成年後見等関係)部会、第8回~第10回会議を開催

編集部

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

 任意後見制度に関するその他の検討事項・・・予備的な任意後見受任者の定め、任意後見人の代理権の段階的発効など。

 

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第5回会議、第6回会議が開催される

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 モデル定款・・・ストックオプションプール制度に対応する条項導入の可否、印鑑の届出を書面にするか、電子的送信にするか。定款認証を行う公証人の仕事として、定款条項のデータベース化を含むリスクベース・アプローチを導入する方針。

商業登記規則逐条解説 第25回

土手敏行

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023

(添付書面の特則)

第百三条 第百一条第一項第一号の規定により登記の申請をする場合において、申請人等が、前条第二項の添付書面情報として、第六十一条第七項の就任を承諾したことを証する書面に代わるべき情報であつて当該就任を承諾した取締役等(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、同意をした本人である取締役等。以下この条において同じ。)が第三十三条の四に定める措置を講じたものを送信し、併せて、前条第五項第二号の規定により同条第三項第二号又は第三号に掲げる電子証明書を送信したときは、当該申請については、当該就任を承諾した取締役等についての第六十一条第七項の規定は適用しない。

登記研究809号P59、2015年7月30日、佐藤 真紀子:法務省民事局民事第一課総括係長(前法務省民事局商事課商業法人登記第一係長)【論説・解説】「平成27年改正商業登記規則等に基づく商業・法人登記事務の取扱いについて」

登記情報512号P12、2004年7月1日、松井信憲:法務省民事局商事課局付「改正商業登記規則(オンライン登記申請制度の導入)の解説」

 適用されない場合・・・他の登記所を経由してする株式交換・会社分割。

登記研究777号P111、平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」

(申請書類つづり込み帳の特則)

第百四条 第百一条第一項第一号の規定により登記の申請があつたときは、法第十一条の二前段の規定による閲覧に供するため、申請書類つづり込み帳に、申請書情報及び添付書面情報の内容を表示した書面をもつづり込まなければならない。

 オンラインによる登記の申請については、申請書情報及びその電子証明書を申請書と、添付書面情報及びその電子証明書を添付書面とみなして商業登記法、商業登記規則の規定を適用。

 印刷して綴り込むのは、閲覧に備えるため。

(住所非表示措置等の申出の方法)

第百五条の二第百一条第一項第一号の二の規定により住所非表示措置等の申出をするには、住所非表示措置等の申出をする者又はその代理人(次項において「申出人等」という。)は、法務大臣の定めるところに従い、申出書に記載すべき事項に係る情報に第三十三条の四に定める措置を講じたものを送信(第三項において「申出情報の送信」という。)しなければならない。

2申出人等は、申出書に添付すべき書面があるときは、法務大臣の定めるところに従い、当該書面に代わるべき情報にその作成者が前項に規定する措置を講じたものを送信(この項及び次項において「申出に係る添付書面情報の送信」という。)しなければならない。ただし、申出に係る添付書面情報の送信に代えて、登記所に当該書面を提出し、又は送付することを妨げない。

3第百二条第三項の規定は申出情報の送信について、同条第五項の規定は申出に係付書面情報の送信について準用する。

 オンライン登記申請と同時に行う住所非表示措置等の申出は、技術上の制約により、申請書情報の一部と構成される。

特別企画 スタートアップ支援の最前線

株式会社スマートラウンド 加納拓也、一般社団法人スタートアップ協会 代表理事 砂川 大、いしもと司法書士事務所 司法書士 石本憲史、YOU 司法書士法人 司法書士 松本光平

 smart round

https://jp.smartround.com/voc

2024年11月現在、利用しているスタートアップは6,000社以上。

一般社団法人スタートアップ協会

https://www.startup-kyokai.org/About

 2024年11月現在、100社以上のスタートアップが参画。

目で見る筆界の調査・認定事例

第10回 筆界確定訴訟の判決により筆界を認定した事案

津地方法務局鈴鹿出張所長 角間隆夫(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 平成12年判決書図面に基づいて、令和4年以降に筆界関係登記を申請することができる事例。

新連載 隣のプロフェッショナル 第1回 松井秀樹 弁護士(森・濱田松本法律事務所・外国法共同事業 パートナー)

(取材・編集)弁護士 渡部友一郎

 商業登記を専門とする司法書士が7名在籍。紙でタスク管理を行い、終わったタスクを赤のペンで消していく、というのは、私も1日のタスク管理に関しては今も同じようなことをやっているので、参考になります。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑺―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 外国PEPsについて。配偶者、父母、子、兄弟姉妹などの家族も含まれる。過去その地位にあった者、それらの実質的支配者である法人も含まれる。

登記研究922号令和6年12月号

登記研究922号(令和6年12月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

【論説・解説】

■ポイント解説

 基礎から考える商業登記実務(第4回)

横浜地方法務局法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

1 はじめに

2 合同会社の社員

3 合同会社の業務執行社員

4 合同会社の代表社員

5 法人が業務執行社員又は代表社員である場合

6 おわりに

会社法(株式会社の代表)

第三百四十九条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。

3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。

4項、5項略。

(持分会社の代表)

第五百九十九条 業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2 前項本文の業務を執行する社員が二人以上ある場合には、業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。

3 持分会社は、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる。

4項、5項略

登記情報683号P23、2018年10月1日、神崎 満治郎:一般社団法人商業登記倶楽部代表理事 主宰者、神崎 満治郎:一般社団法人商業登記倶楽部代表理事 主宰者、神崎 満治郎:一般社団法人商業登記倶楽部代表理事 主宰者、神崎 満治郎:一般社団法人商業登記倶楽部代表理事 主宰者 「社員」による代表社員の互選の可否

登記情報698号P38、2020年1月1日、金子 登志雄:ESG法務研究会 代表司法書士「合同会社の代表社員の就任承諾の要否」

 選任母体と被選任資格は一致している必要があるか。代表者を定める人事問題と業務執行の決定に含まれているのか否か。支配人の選任及び解任の決定との相違(会社法591条2項)。定款で代表社員を定めた場合に、代表社員が辞任するときの手続き。法人が代表社員である場合の、設立登記申請に添付する払込みを証する書面・出資金領収書の作成主体。社員が法人である場合、代表社員を選定する主体、法人が代表社員に選定された場合に就任承諾を行うのは法人の代表者なのか、職務執行者なのか。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(3)

法務省民事局付 森 下 宏 輝

法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之

法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

第2 関係法令と施行通達の解説

 公示用住所提供者となり得るとして想定されている者。公示の表記例。閉鎖された登記記録は申出可能。申出時に添付する客観的書面の中に、SNSの画像も含む。措置要件に該当する事実が認められるか、判断する過程。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第127回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

 248 投資事業有限責任組合の主たる事務所を最小行政区画内で変更する場合の添付書面について

 投資事業有限責任組合契約に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000090

(投資事業有限責任組合契約)

第三条 1項2項、4項略

3組合契約の契約書(以下「組合契約書」という。)には、次の事項を記載し、各組合員はこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

一組合の事業

二組合の名称

三組合の事務所の所在地

四組合員の氏名又は名称及び住所並びに無限責任組合員と有限責任組合員との別

五出資一口の金額

六組合契約の効力が発生する年月日

七組合の存続期間

(業務の決定及び執行の方法等)

第七条組合の業務は、無限責任組合員が決定し、これを執行する。

2無限責任組合員が数人あるときは、組合の業務の執行は、その過半数をもって決する。

3項4項略

(組合契約の効力の発生の登記)

第十七条組合契約が効力を生じたときは、二週間以内に、組合の主たる事務所の所在地において、次の事項を登記しなければならない。

一第三条第三項第一号、第二号、第六号及び第七号に掲げる事項

二無限責任組合員の氏名又は名称及び住所

三組合の事務所の所在場所

四組合契約で第十三条第一号から第三号までに掲げる事由以外の解散の事由を定めたときは、その事由

(変更の登記の添付書面)

第二十八条第十七条各号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、当該事項の変更を証する書面を添付しなければならない。

有限責任事業組合契約に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000040/#Mp-Ch_1

(組合契約書の作成)

第四条 3項以外略

3組合契約書には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

一有限責任事業組合(以下「組合」という。)の事業

二組合の名称

三組合の事務所の所在地

四組合員の氏名又は名称及び住所

五組合契約の効力が発生する年月日

六組合の存続期間

七組合員の出資の目的及びその価額

八組合の事業年度

■Q&A不動産表示登記(98)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第四章 建物(区分建物) 第一節 登記事項

  Q269 公正証書による規約の設定はどのようなものか。

  建物の区分所有等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069

(公正証書による規約の設定)

第三十二条最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。

・・・建物が完成している必要がある。

■逐条解説不動産登記規則(51)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

第100条 地 積

 不動産登記事務取扱手続準則(地積)最終改正:令和6年12月2日

第70条 土地の表示に関する登記の申請情報の内容とした地積と登記官の実地調査の結果による地積との差が、申請情報の内容とした地積を基準にして規則第77条第5項の規定による地積測量図の誤差の限度内であるときは、申請情報の内容とした地積を相当と認めて差し支えない。

第101条 分筆の登記における表題部の記録方法

不動産登記事務取扱手続準則(地積)最終改正:令和6年12月2日

(日付欄の記録)第66条 登記の日付欄に記録すべき登記の年月日は、登記完了の年月日を記録するものとする。

 残地求積。

■商業登記の変遷(68)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 日本私法学会2019巻81号p. 95-97 小出 篤, 舩津 浩司「ワークショップ商業登記の現代的機能会社手続の適正性担保機能の視点から」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shiho/2019/81/2019_95/_article/-char/ja

日本登記法学会

https://www.toukihou.jp

■民事信託の登記の諸問題(39)

渋 谷 陽一郎

第266 受益者という存在

第267 受益者の登記

第268 受益者の存在は信託成立の要素なのか

第269 受益権の譲渡性

第270 昭和59年3月2日民三第1131号民事局長回答

登記研究439号P109、昭和59年3月2日法務省民三第1131号民事局長回答「信託登記において権利能力のない自治会名義で受益者となることの可否について」

第271 権利能力のない社団の登記能力

第272 昭和59年先例が指摘する受益者と登記能力

第273 受益者は代位による信託登記を申請できるのか

第274 昭和59年先例の理由の検討と近年の動向

第275 本人確認という問題

第276 受益者による受託者の登記申請の代位権

第277 登記申請構造における受益者の地位の強化

【資 料】■会社法施行下で使える登記先例――実務の便覧――(15)

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

 特別取締役の登記事項に変更が生じた場合の添付書面などについて。商法特例法上の重要財産委員会。

登記研究662号P183、平成14年12月27日法務省民商第3239号民事局長通達「商法等の一部を改正する法律等の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

登記研究671号P87、2003年12月30日、中川 晃:法務省民事局総務課企画第一係長(前民事局商事課係長(法規担当)) 【論説・解説】「商法等の一部を改正する法律等の施行に伴う商業登記事務の取扱い」

登記研究698号P73、平成18年3月31日、民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

 計算書類等の備置き場所(会社法施行規則103条2項)の変更を証する書面の添付の要否について。

登記研究700号P200、2006年6月30日【質疑応答】〔七八三四〕「監査役を一名しか置かない会社の監査役が任期満了前に辞任した場合における補欠として選任された監査役の任期について」

 会社法336条3項は、監査役の人数に関係なく適用される。

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

 会社法338条2項の重任の登記申請における、会計監査人が就任を承諾したことを証する書面添付の可否。

登記研究804号P215、平成27年2月6日法務省民商第13号法務省民事局長通達「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

 監査等委員会設置会社の定めの設定による変更の登記において、退任と同時に監査等委員である取締役以外の取締役に就任した場合の登記原因。

登記研究804号P25、2015年2月28日南野 雅司:法務省民事局商事課法規係長【論説・解説】「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(平成27年2月6日付け法務省民商第13号民事局長通達)」の解説

登記研究808号P148、2015年6月30日【質疑応答】〔7970〕「監査等委員会設置会社への移行前の取締役が,会社法第332条第7項第1号の規定に基づく任期満了による退任と同時に移行後の監査等委員である取締役に就任した場合における商業登記規則第61条第5項の規定に基づく本人確認証明書の添付の要否について」

 監査等委員会設置会社への移行の際、移行前の取締役が、会社法332条7項1号の伊庭に基づき任期満了により退任し、同時に移行後における監査等委員である取締役に就任した場合については、会社法上、取締役の地位にあることは変わりない。

登記研究145号P27、昭和34年10月29日民事甲第2371号民事局長電報回答「会社解散登記の受否について」

 期限付解散決議。この回答では3日。

登記研究227号P71、昭和41年8月24日民事甲第2441号民事局長回答「清算人及び代表清算人の就任年月日等の登記について」

 最初の清算人、代表清算人の就任年月日の登記の要否。

登記研究332号P77、1975年7月20日第六部 質疑・応答五一六六「登記未了であった代表取締役変更の登記を会社の解散後申請する場合の申請人について」

 代表取締役に選定され、変更登記を怠った清算人が申請。

登記研究 367号P139、1978年6月20日第六部質疑応答【五五二六】「代表取締役死亡後、変更登記未了の間に会社が解散した場合の同変更登記の申請人」

登記研究437号P66、1984年6月30日第六部質疑応答【六四四一】「法定清算人の就任の登記の前提としての取締役の変更登記の要否」

 存立時期の満了により解散した株式会社。法定清算人の就任の登記の前提として取締役の変更の登記が必要。

登記研究760号P137、2011年6月30日【質疑応答】〔7924〕「補欠清算人の選任の可否について」、登記研究760号P137、 2011年6月30日【質疑応答】〔7924〕補欠清算人の選任の可否について

 補欠清算人に関する定款の定めは不要。

登記研究364号P82、1978年3月20日第六部質疑応答【五四八二】「清算中の会社の支店廃止等の登記の登録免許税」

 登録免許税法別表一の24(1)ツにより1件3万円。

登記研究325号P68、昭和49年11月15日法務省民四第5938号民事局第四課長依命通知「休眠会社の整理により解散した株式会社の清算人の登記等について」、登記研究457号P121、1986年2月28日【第六部 質疑応答】〔六六八三〕「休眠会社の整理により解散した株式会社の清算人の就任登記等」、登記研究644号P97、2001年9月30日【商業登記の栞】(7・休眠会社の解散と継続の登記について)

 休眠会社の整理により解散したとみなされた株式会社について、解散したとみなされた日の前に取締役の変更があった場合。

登記研究348号P80、昭和51年8月4日法務省民四第4480号民事局第四課長依命回答「休眠会社の清算人の登記について」

 仮清算人(会社法479条、346条)選任の登記嘱託の前の清算人の登記申請の要否。

登記研究519号P190、1991年4月30日【質疑応答】〔七一六八〕「休眠会社の整理による解散会社の清算人就任登記について」

 権利義務取締役が死亡している場合の取締役の死亡の登記申請と他の取締役の清算人就任の登記申請の可否

登記研究26号P23、昭和25年1月30日民事甲第72号民事局長通達「登記事務取扱方について」、登記研究197号P55、昭和39年1月29日 民事甲第206号通達「存立時期の満了している会社の登記の取扱いについて(商通第五十二号)」、登記研究325号P68、昭和49年11月15日法務省民四第5938号民事局第四課長依命通知「休眠会社の整理により解散した株式会社の清算人の登記等について」

 解散及び清算人の登記を完了した後に、会社継続の決議をした場合、取締役の選任を新たに行う必要がある。

登記研究125号P39、昭和33年3月18日民事甲第572号通達「株式会社の清算結了登記について(商通第三十一号)」

 清算人就任の日から2か月以内に清算結了の登記申請がされた場合。

登記研究247号P71、昭和43年5月2日民事甲第1265号民事局長回答 「清算結了登記の受否について」

 債務超過の収支決算書が添付されている場合。

登記研究273号P67、昭和45年7月17日民事甲第3017号民事局長回答「清算人職務代行者選任登記の受否について」

 申請によって清算結了登記を抹消する必要。

登記研究429号P127、1983年9月30日第六部質疑応答【六三二七】「一括申請の可否について」

 解散、清算人就任の登記未了のまま、清算が結了した場合。

登記研究510号P208、1990年7月30日【質疑応答】〔七一〇七〕「株主総会の招集ができない場合の株式会社の清算結了登記について」

 裁判所において一時監査役の職務を行うべき者の選任。

登記研究773号P190、2012年7月30日【質疑応答】〔7940〕「清算結了の登記の申請書に添付すべき決算報告の承認があったことを証する書面について」

 収入、費用の額が明示されず、残余財産がない旨のみを示した貸借対照表が添付された場合。

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6250〕不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(ローマ字氏名併記関係)(令和6年3月22日付け法務省民二第552号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

▽商業・法人登記等関係

〔6251〕不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務及び動産・債権譲渡登記事務の取扱いについて(令和6年6月18日付け法務省民商第111号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

〔6252〕ウェブ会議による登記簿の附属書類等の閲覧に係る商業・法人登記事務及び動産・債権譲渡登記事務の取扱要領の制定について(令和6年6月18日付け法務省民商第112号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局商事課長依命通知)

市民と法No.150/2024年12月号

市民と法No.150/2024年12月号、民事法研究会

http://www.minjiho.com/shopbrand/ct238/

 永代借地権の取引をめぐって

 九州大学教授 七戸克彦

法務省 最近の主な判決一覧 令和4年4月15日東京地裁所有権確認請求事件平成31年(ワ)第6071号

https://www.moj.go.jp/shoumu/shoumukouhou/shoumu01_00023.html

判示事項

1 不動産登記の表題部及び権利部甲区欄に所有者が明記されていない土地の登記簿上の地上権者が、国が元所有者であることを前提に、当該土地の地上権はいわゆる永代借地権であり、昭和17年に勅令によって所有権に転換した等として、国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えにつき、国が、当該土地について、所有権等の法律上の利益の存在を主張しておらず、また、当該土地のかつての所有者であったとも認められないなどの事情の下では、確認の利益を欠くとされた事例

2 国を被告とする土地の所有権確認訴訟につき、国が、当該土地について、所有権等の法律上の利益の存在を主張しておらず、また、当該土地のかつての所有者であったとも認められない場合における当該訴訟の勝訴判決は、不動産登記法74条1項2号の確定判決には該当しないとされた事例

横浜地裁平成30年(行ウ)第69号 令和1年12月11日判決所有権保存登記申請却下処分取消請求事件

https://shoumudatabasep.moj.go.jp/hanreiSearch/HanreiSearchRusult?storage_valid_flg=true

行政事件 訟務月報第六六巻四号 四四六ページ

1 不動産登記法74条1項2号の「確定判決」の意義

2 不動産登記法74条1項2号の「確定判決」該当性の登記官の審査権限

帝国ノ臣民又ハ法人ニ於テ外国人又ハ外国法人ノ為ニ永久存続ノ意思ヲ以テ設定シタル地上権又ハ賃借権ヲ取得シタル場合ニ関スル件・御署名原本・明治三十二年・勅令第三百三十三号

https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/Detail_F0000000000000018177

【特集】司法書士の可能性を探る(上)

[1]司法書士の可能性をめぐって

   大阪大学教授 仁木恒夫

 事務所経営。

[2]社会問題と司法書士

   甲南大学教授 早瀬勝明

 法令の趣旨まで考える。手続完了まで可能か。

[3]家族問題と司法書士

   新潟大学教授 田巻帝子

 成年後見制度。相続。

[4]消費者問題と司法書士

   中央大学教授 宮下修一

 簡易裁判所の管轄事件における司法書士関与率の減少。

[5]障害者支援と司法書士

   同朋大学教授 汲田千賀子

 司法書士と地域包括支援センターが関わるケース。

[6]若年者支援と司法書士

   関西学院大学准教授 橋場典子

 成年年齢引下げと消費者教育。

[7]被災者支援と司法書士

   専修大学教授 飯 考行

日本司法書士会連合会 災害対策

https://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/rescue_fund

[8]生活困窮者支援と司法書士

   上智大学准教授 鏑木奈津子

 生活困窮者自立支援制度。

[9]外国人支援と司法書士

   埼玉県立大学准教授 保科寧子

 保科寧子「支援に困難を感じる外国人の相談援助事例からみた生活課題調査」2020年4月

https://researchmap.jp/hoshina-yasuko/published_papers/31543384

対談

 生成の司法の世界に対するインパクト

 アンティーユ大学教授 サミール・メラベ

 日本司法書士会連合会会長・司法書士 小澤吉徳

 立教大学教授 幡野弘樹〔訳〕

2024 年 6 月 7 日更新 フランス法務省 Data Just

https://www.justice.fr/donnees-personnelles/datajust

相続・今昔ものがたり(45)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続の欠格(その1)

事例44-5 家督相続(被相続人A男(沖縄県に本籍、住所を有する者))(沖縄)

論点・争点

 司法書士は民事信託契約書の作成業務ができるのか(1)

 司法書士 渋谷陽一郎

 新たな権利義務を発生させる案件、という記載がある裁判例の紹介。

すぐに使える! 資産税の豆知識51

 家族信託の事務から不動産譲渡の事務まで  税理士 福壽一雄

 税理士による信託契約書作成。信託不動産を売却する場合の譲渡取得税の計算について。

月刊登記情報2024年12月号757号

月刊登記情報2024年12月号757号(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

CONTENTS 法窓一言 

事業価値把握のための担保権の議論動向

島田法律事務所 弁護士 本多知則

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00226.html

法制審議会担保法制部会第41回会議(令和5年11月22日開催)部会資料38 担保法制の見直しに関する要綱案のとりまとめに向けた検討⑼

 ある事業によって発生する債権に集合債権譲渡担保権が設定されていると共にその事業を営むのに必要な財産についても別途担保権が設定されている場合において、その事業を継続して営むことによって得られる利益が見込まれるときには、少なくとも、その利益を勘案した上で、当該事業を営むのに必要な財産の評価を行い、それに基づく別除権協定を締結することは必ずしも再生債務者の義務には反しないように思われる。・・・固定化にかかわらず、継続事業価値による評価を肯定するものと解される。

民法等の一部を改正する法律(家族法制の見直し)の概要

法務省民事局参事官 北村治樹

法務省民事局付 太田健介

法務省民事局付 今村謙介

現行民法

(親権者)

第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。

2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

改正民法

(親権)

第八百十八条 親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。

2 父母の婚姻中はその双方を親権者とする。

3 子が養子であるときは、次に掲げる者を親権者とする。

一 養親(当該子を養子とする縁組が二以上あるときは、直近の縁組により養親となった者に限る。)

二 子の父母であって、前号に掲げる養親の配偶者であるもの

(一般の先取特権)

第三百六条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。

一 共益の費用

二 雇用関係

三 子の監護の費用

四 葬式の費用

五 日用品の供給

・・・合意を証明する情報が必要。

(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)

第七百六十六条の三 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。

一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日

二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日

三 子が成年に達した日

2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。

3 家庭裁判所は、第七百六十六条第二項又は第三項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第一項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

・・・原則として、債務者の収入に関わらず一定額。

「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて」の解説

法務省民事局付 森下宏輝

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

法務省民事局民事第二課補佐官 太田裕介

法務省HP

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00589.html

住所変更登記は、虚無人名義の登記を防止するという制度の趣旨から外れるので、通達の対象外。

 外国の政府等や公証人の作成する書面は、不動産登記令17条1項に該当しない。

不動産登記令(代表者の資格を証する情報を記載した書面の期間制限等)

第十七条第七条第一項第一号ロ又は第二号に掲げる情報を記載した書面であって、市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成したものは、作成後三月以内のものでなければならない。

2前項の規定は、官庁又は公署が登記の嘱託をする場合には、適用しない。

境界紛争調停手続における留意事項

摂南大学法学部特任教授 田中 敦

 公正と公正らしさ。中身の公正と、外面の公正らしさが求められる。調停委員として、名前を言うか言わないかは、当事者をみて考えていきたい。修正写真、望遠写真に気を付ける。専門用語の翻訳。折り合えるように、抽象的にいう。

BOOK REVIEW 金森真吾 著 『供託法・供託規則コンメンタール』

【評者】早稲田大学教授 山野目章夫

供託規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50000010002/#Mp-Ch_4

(供託金利息)第三十三条供託金利息は、一年について〇・〇〇一二パーセントとする。

2供託金利息は、供託金受入れの月及び払渡しの月については付さない。供託金の全額が一万円未満であるとき、又は供託金に一万円未満の端数があるときは、その全額又はその端数金額に対しても同様とする。

狭あい道路の解消に向けた取組み

国土交通省住宅局市街地建築課課長補佐 中世古英昭

 国土交通省 狭あい道路対策に関するガイドラインについて(令和6年3月)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000082.html

更新日:2019年3月18日 那覇市狭あい道路整備事業の改正について「事前協議制度の導入」

https://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/life/kentiku/todokede/kyouai.html

士業法人に関する出資持分の承継問題と運営における注意点

税理士 柿沼慶一

2023年6月14日東京都税理士会調査研究部「税理士法人出資の評価について」

https://www.tokyozeirishikai.or.jp/news/tax_accountant/detail/1885.html

 税理士法人は税理士法に基づき、社員を税理士に限定した特別法人であり、会社法上の合名会社に準ずる。社員を税理士に限定しているので、社員死亡時に出資持分の相続は認められていない。払戻請求権に転化し、配当所得課税、源泉所得税課税。相続人が税理士でも同じ。税理士法48条の21は、会社法608条を準用していない。

 死亡以外の退社、社員の入社時の課税関係。

国税庁 「持分会社の退社時の出資の評価」

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/13/03.htm

 各士業法人の制度比較。

NEWS 戸籍に氏名の振り仮名を記載する取組が始まります!~皆様のお手元に通知が届いたら~

法務省民事局民事第一課

 施行日は2025(令和7)年5月26日。振り仮名通知は、戸籍単位で送付される予定。通知の振り仮名と実際の振り仮名が違う場合、2026(令和8)年5月25日までに市町村に届け出ることが重要。

商業登記規則逐条解説 第24回

土手敏行

(登記申請の方法)

第百二条前条第一項第一号の規定により登記の申請をするには、申請人又はその代表者若しくは代理人(以下この章において「申請人等」という。)は、法務大臣の定めるところに従い、法令の規定により申請書に記載すべき事項に係る情報に第三十三条の四に定める措置を講じたもの(以下「申請書情報」という。)を送信しなければならない。

2申請人等は、法令の規定により登記の申請書に添付すべき書面(法第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。)があるときは、法務大臣の定めるところに従い、当該書面に代わるべき情報にその作成者(認証を要するものについては、作成者及び認証者。第五項において同じ。)が前項に規定する措置を講じたもの(以下「添付書面情報」という。)を送信しなければならない。ただし、添付書面情報の送信に代えて、登記所に当該書面を提出し、又は送付することを妨げない。

3申請人等(委任による代理人を除く。)が登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該申請人等が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一第三十三条の八第二項(他の省令において準用する場合を含む。)に規定する電子証明書

二電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律第三条第一項の規定により作成された署名用電子証明書

三電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第八条に規定する認定認証事業者が作成した電子証明書(電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第四条第一号に規定する電子証明書をいう。)その他の電子証明書であつて、氏名、住所、出生の年月日その他の事項により当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

四官庁が嘱託する場合にあつては、官庁が作成した電子証明書であつて、登記官が当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

4委任による代理人によつて登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該代理人が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一前項各号に掲げる電子証明書

二当該措置を講じた者を確認することができる電子証明書であつて、前号に掲げるものに準ずるものとして法務大臣の定めるもの

5申請人等が添付書面情報を送信するときは、次の各号に掲げる情報の区分に応じ、それぞれ当該情報の作成者が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて当該各号に定めるものを併せて送信しなければならない。

一委任による代理人の権限を証する情報 第三項各号に掲げる電子証明書

二前号に規定する情報以外の情報 前項各号に掲げる電子証明書又は指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令第三条第一項に規定する指定公証人電子証明書

 3項1号は、商業登記電子証明書。3項2号はマイナンバーカードによる電子証明書。3項3号はセコムパスポートfor G-IDなど。3条4項は政府認証基盤発行の官職証明書、地方公共団体組織認証基盤発行の職責証明書。

 令和3年3月1日施行、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)以後は、オンラインによる登記の申請と同時に印鑑届書が提出されることは、原則ではなく例外という位置づけになるから、登記官は印鑑届書の到達を待つことなく登記を処理する。

 4項は登記申請の代理人が利用可能な電子証明書の定め。4項2号の電子証明書には、生年月日の情報がなくてもよい。旧氏が併記されている電子証明書の取扱い。

 5項2号はリモート署名。クラウドサインなど。登記所は、電子署名の有効性と、電子署名の情報に書面に代えて作成した情報の名義人がその作成に関与している情報が記録されていることを確認する。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑹―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 会社設立登記を司法書士が代理申請した事例。 

 判例解説 

1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合における保全の必要性の有無(最三小決令5・10・6)

 保全の必要が認められる場合・・・分筆の登記を申請することができない場合や、それが著しく困難な場合。

登記研究59号P26、昭和27年9月19日民事甲第308号民事局長回答 「登記及び台帳事務の取扱について」・・・一筆の土地の一部分について処分禁止の仮処分命令を得た債権者は、その仮処分命令正本を代位原因を証明する書面として、債務者に代位して分筆の登記を申請することができる。

 昭和27年回答の後、分筆の登記の申請に必要な情報として地積測量図が定められた。不動産登記規則78条など。地積測量図を作成することが可能であれば、土地の全部について処分禁止の仮処分命令は認められない。地積測量図を作成することが難しいときは、そのことを陳述、疎明して申立てをしてみる。

実務の現場から

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司法書士法人丸山洋一郎事務所 丸山洋一郎

 沖縄県で1年半動いてみましたが、無理でした。

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