行政手続における書面主義の見直し及びオンライン利用率を大胆に引き上げる取組について(戸籍謄抄本の請求等のオンライン化の促進等)

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内閣府第1回デジタルワーキング・グループ 令和3年9月8日(水)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/digital/20210908/agenda.html

議題.行政手続における書面主義の見直し及びオンライン利用率を大胆に引き上げる取組について(戸籍謄抄本の請求等のオンライン化の促進等)

・戸籍謄抄本の請求等のオンライン化の取組・課題について(株式会社グラファーからのヒアリング)

・戸籍謄抄本の請求等のオンライン化に係る国の取組等について(法務省からのヒアリング論点に対する回答

【論点1-③】

 戸籍の記載事項は、ベースレジストリにも指定されており、関連する手続のデジタル化が強く求められると考えられる。「法務省情報化推進会議」等において、戸籍謄抄本の請求・交付、届出分野のデジタル化を進める観点から、どのような検討が行われたか(事務次官がどのようにリーダーシップを発揮したかを含む)、具体的にご説明願いたい。

【論点1-③】

 本年7月に開催した「法務省情報化推進会議」においては,戸籍謄抄本の請求・交付,届出分野のデジタル化を含めた国民目線でのオンライン化やキャッシュレス化の推進などの課題に対する取組を強力に推進するために,省全体のデジタル化推進体制を強化する必要があるとの認識を出席者一同で確認した。

 そして,戸籍謄抄本の請求・交付,届出分野のデジタル化については,事務次官のリーダーシップの下,PMOにおいて,CIO補佐官からの知見も得つつ,担当PJMOと協議を重ね,オンライン利用率向上等に向けた検討を行うなどしている。

 また,戸籍情報の連携のための関係省庁との協議,例えば,旅券発給手続に関する外務省や内閣官房番号制度推進室との協議や年金手続などの社会保障手続に関する厚生労働省との協議などに当たって相談を受けるなどしている。

 さらに,戸籍事務におけるマイナンバー制度の利活用を推進するべく,①マイナンバーの提供等による戸籍謄抄本の添付省略並びに②戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略及び本籍地以外の市区町村での戸籍謄本の発行を実現するために必要な経費を令和4年度予算概算要求に盛り込んでいる。

【論点2-①】

 現在、検討・策定を進めている基本計画等について、可能な範囲で、具体的内容をご説明願いたい。なお、目標については、狭い意味でのオンライン利用率に留まらず、コンビニ交付や情報連携により戸籍謄抄本等の添付が不要となる件数も考慮したものとすべきである。

【回答2-①】

 令和5年度中に戸籍情報連携システムを構築・稼動させることを予定している。これにより,戸籍の届出における戸籍証明書の提出や他の行政手続に添付する戸籍証明書の添付省略が図られることにより,そもそも戸籍証明書を取得する場面が減少することとなる。その結果,全ての市区町村の住民がその恩恵を受けることができることとなる。オンライン利用率の目標設定については,御指摘を踏まえつつ,検討してまいりたい。

【論点3-①】

 コロナ禍を踏まえて書面・押印・対面の見直しが進められる中におけるオンライン請求及びコンビニ請求に関する国民のニーズについて、可能な限り定量的にお示し願いたい。

【回答3-①】

 平成29(2017)年に実施した調査研究における結果,将来における戸籍証明書の取得方法に関するニーズとして,「インターネットでマイナンバーカードの電子証明書を利用して取得」するニーズが12.9%,「最寄りのコンビニエンスストアでマイナンバーカードを使ってマルチコピー機から取得」するニーズが11.1%あったところであるが,当局が構築する戸籍情報連携システムが稼動することにより,戸籍の届出における戸籍証明書の提出や他の行政手続に添付する戸籍証明書の添付省略が図られることにより,そもそも戸籍証明書を取得する場面が減少することとなり,全ての市区町村の住民がその恩恵を受けることができることとなる。

【論点3-②】

 戸籍謄抄本をオンライン請求もしくはコンビニ請求できる自治体数は人口カバー率でどの程度か、定量的にお示し願いたい。

【回答3-②】

 オンラインによる戸籍証明書の交付請求が可能な自治体は,本年7月1日現在,1896市区町村のうち,17市区町村(約 0.8%)であり,本籍人口は約 250 万人で,全体の約2%となっている。

 また,コンビニ交付の仕組みを使った戸籍証明書の交付請求が可能な自治体は,本年7月1日現在,1896市区町村のうち,693市区町村(約36.5%)である。なお,コンビニ交付は,住民票の住所を置く市区町村と本籍を置く市区町村が同一である場合にのみ交付請求ができる場合と,これらが同一でなくても交付請求ができる場合とがあるが,戸籍には住所情報がないため,コンビニ交付を受けることができる正確な人口割合は不明であるものの,人口比で約55%前後であると推計される。

【論点3-③】

 平成 29 年時点においてもオンライン請求及びコンビニ請求に対する一定のニーズが示されているが、オンライン請求やコンビニ請求を導入する自治体数が現況に止まる要因をどのように考えているか、具体的にご説明願いたい。

【論点3-④】

 論点3-③を把握するため、どのような取組を行ったのか、具体的にご説明願いたい。

【論点3-⑤】

 論点3-③について、具体的な把握ができていないとすれば、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答3-③から⑤まで】

 市区町村において戸籍事務に従事する職員にヒアリングしたところ,オンライン請求については,コンビニ交付に比べ交付までに時間がかかることから,住民からのニーズが高くないこと,戸籍事務のためだけにオンライン請求を受け付ける環境を構築することに意義が見出せないこと,などが挙げられる。

 また,コンビニ交付については,オンライン請求に比べ比較的普及が進んでいるところ,特に地方の小規模自治体については,本籍人が必ずしも住民とは限らず,導入することが当該自治体の住民の利便性の向上に資するものとはいえないことから,予算措置の優先順位が低いことが挙げられる。

 さらに,いずれの仕組みについても,地方公共団体の事務が多数ある中で,その仕組みの導入は戸籍証明書の交付請求の場面に限ったものではない。

 もっとも,当局が構築する戸籍情報連携システムが稼動することにより,戸籍の届出における戸籍証明書の提出や他の行政手続に添付する戸籍証明書の添付省略が図られることにより,コンビニ交付やオンライン申請により戸籍証明書を取得する場面が大幅に減少することになる見込みである。

【論点3-⑥】

 オンライン請求やコンビニ請求を実現した自治体においても、必ずしも、オンライン請求やコンビニ請求の利用状況はそれほど多くないが、その要因をどのように考えているか、具体的にご説明願いたい。

【回答3-⑥】

 オンライン請求やコンビニ交付による請求を実施する前提として,マイナンバーカードを使って行う必要があるところ,マイナンバーカードが完全に普及していないことも一因であると考えられる。

 また,オンライン請求を導入している自治体において,現在,紙の証明書を郵送で返信する方式又は自治体の窓口で交付していることから,コンビニ交付と比較して交付までの時間がかかることが要因として挙げられる。

【論点3-⑨】

 オンライン請求システムを提供しているグラファー社からは、デジタル手続法により、戸籍のオンライン請求が制度上可能となっている旨を把握していない自治体職員もいるとの課題が示されている。オンライン請求が可能であること等について、自治体への周知徹底が不十分であると考えるが、法務省としての見解及び今後の対応についてお示し願いたい。

【回答3-⑨】

 オンライン請求は,デジタル手続法の施行前から法制上可能であり,平成16年の戸籍法令の改正により,導入することが可能である。平成16年には標準仕様書を通達として発出し,これに関する解説記事も掲載しているほか,平成22年(東京都中野区の取扱いの認容事例),令和2年(埼玉県志木市の取扱いの認容事例)にオンライン請求の認容事例を紹介する周知を実施も行った。さらに,デジタル手続法が成立したことを踏まえ,オンラインシステムを導入している市区町村の一覧を掲載し,制度の周知を図っているところである。

【論点3-⑪】

 オンライン請求システムを提供しているグラファー社からは、法務省が整備している「戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書」について、最新のデジタル技術を踏まえた改訂が必要との課題が示されている。法務省が整備している「戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書」については、最新のデジタル技術や、自治体における実際の運用状況等も踏まえ、不断の見直しが必要であり、ベンダーや自治体関係者等と定期的に意見交換をして課題や対応策を検討することが不可欠と考えるが、法務省の取組について、具体的にご説明願いたい。

【回答3-⑪】

 戸籍情報システムの仕様書については,例年,調査研究委託として実施される標準仕様研究会において改訂が実施されている。この研究会は,法務省職員や地方自治体職員,戸籍情報システム事業者から構成され,制度改正や技術の進歩等に合わせた仕様書の改訂について研究しており,定期的な意見交換が実施されているところである。

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司法書士を入れていただけないかな、と思います。

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【論点3-⑫】

 一部の自治体からは、申請部分が電子化されても、戸籍情報を管理する内部システムと連動していないことから人による筆頭者等の審査・補正が必要、また、戸籍情報以外にも他のデータからDV等被害者に該当するか否か人による審査が必要等の理由から、オンライン請求を導入しても、自治体内部の効率化が図れないとの課題が示されている。デジタル化の推進に当たっては、申請者のインターフェイスだけでなく、自治体内部の業務も含め一連の業務をデジタル完結することが必要であるが、法務省としてどのような対応を行っているのか、具体的にご説明願いたい。

【論点3-⑬】

 論点3-⑫について、自治体任せにするのでは、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答3-⑫及び⑬】

 戸籍証明書の交付申請に当たっては,戸籍を特定する必要があり,戸籍の特定は,本籍及び筆頭者氏名を明らかにすることにより行うこととなるが,本籍及び筆頭者氏名が正しく特定されない場合には,交付すべき戸籍証明書が明らかにならないことから,申請内容を修正する必要がある。本籍及び筆頭者氏名以外の情報により個人情報を特定する方法としては,例えば,個人のマイナンバーにより特定する方法が考えられるが,マイナンバーと戸籍情報との紐付けについては,関係府省担当者も委員として参加した法制審議会戸籍法部会においても審議され,個人情報保護の観点から,直接紐付けをすべきではないとされたところである。そのため,現在,マイナンバーと戸籍情報は紐付いておらず(又は「マイナンバーカードには戸籍情報は登録されておらず」),マイナンバーによっては戸籍が特定されないことから,申請する側で戸籍を特定する必要がある。

 また,DV加害者やその代理人から,DV被害者等が記載された戸籍に係る戸籍証明書の交付請求がされた場合には,当該請求が不当な目的によるものであるか否かを審査する必要があるところであり,いずれも交付請求の適否の審査において必要な行為であると考えている。もっとも,DV被害者等が記載された戸籍に係る戸籍証明書の取扱いについては,DV被害者等からの申出を受けて証明書が交付されないような仕組みを検討中である。

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戸籍証明書の交付申請に当たって、請求者の生年月日が不要ということを初めて知りました。

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【論点3-⑭】

 法務省では、DV加害者からの請求への対応は、当該請求が戸籍法第 10条2項の「不当な目的」に該当するか否かを自治体が個別判断すべきとしていると承知している。当然にして慎重かつ正確な判断が求められる性質の審査であると考えるが、一方でその審査には相応の事務負担が自治体に発生しているものと考えられる。他方で、埼玉県戸田市では、グラファー社と連携した上で、自治体内部における審査業務のデジタル化の実証実験を行っていると承知している。総務省と連携の上で戸田市の取組に関する課題・効果を検証し、デジタル技術を用いて画一的に判断可能な審査項目・業務について、事務負担軽減のための取組みの横展開を図るべきと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答3-⑭】

 埼玉県戸田市における「審査業務のデジタル化の実証実験」の内容については,有益な情報があれば,是非お聞かせいただきたいと考えており,管轄法務局とも連携し,審査業務の効率化に資する事務負担の軽減に向けた取組を進めてまいりたい。

【論点3-⑮】

 「規制改革実施計画(令和3年6月 18 日閣議決定)」において、「キャッシュレス化の推進」が決定されているところ、郵送による請求の際には、手数料を定額小為替で納付するよう求める自治体も多数ある実態を踏まえると、自治体任せにするのでは、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省の見解及び今後の対応についてお示し願いたい。

【回答3-⑮】

 手数料の徴収に関する事項は,地方自治法に基づき条例によることとされているところであり,地方公共団体の事務は多数ある中で,決済方法の問題については,戸籍証明書の交付請求の場面に限ったものではないが,キャッシュレス決済の取組を進めている自治体の実例を紹介するなど,関係府省と連携して,利用者の利便性の向上に資する取組を進めてまいりたい。

【論点3-⑯】

 一部の自治体からは、請求総数のうち、士業による職務上請求が占める割合が高く、正当な理由であるか等の審査が必要で、本人請求を前提としたオンライン請求やコンビニ請求では対応できないとの課題が示されているが、士業団体等との協議状況も含め、法務省としての取組を具体的にご説明願いたい。

【回答3-⑯】

 士業者が戸籍証明書を請求する場合には,個人情報保護の観点から,その職務上必要とされるかについて,正当な事由の有無について審査が必要となる。

 当該請求については,利便性の向上を求める意見もある一方,本年8月にも,行政書士による不正請求が発覚するなど,不正請求事件も多く見られるところであり,市区町村からも,人権上の見地から,請求の事由を正確に記載するよう指導すべきとする意見もあるところであり,様々な意見を踏まえる必要があると考えている。

 なお,オンラインによる士業者からの職務上請求を可能とする戸籍法施行規則の改正については検討し,その旨を内閣府に回答したところである。

20221009追加

2022年9月5日富士フイルムシステムサービス
東京都墨田区と住民票の写しなどの証明書の郵送請求に
おけるキャッシュレス化に向けた実証実験を開始

証明書請求者と自治体職員双方の負荷軽減を目指して

https://www.fujifilm.com/fbss/news/news_220905

【論点3-⑰】

 平成 29 年8月の「戸籍制度に関する研究会最終取りまとめ」において、平成7年度から平成 15 年度までの間、戸籍の電算化に必要な経費について、特別交付税による財政支援がされ、各市区町村がベンダー(8社)から個別に戸籍情報システムを調達して順次電算化を進めた結果、電算化した自治体の数は、平成7年時点の 24 庁から平成 15 年には 1,497 庁へと拡大したことが示されている。

 一部の自治体からは、戸籍に限らずコンビニ請求を実施する際のサーバー設置費や、コンビニ等に支払う手数料が財政的に課題であるとの意見が示されているところ、総務省では一定の地財措置を講ずる等の取組を行っている。戸籍のオンライン請求及びコンビニ請求の拡大に向け、財政支援や複数の自治体による共同の取組の支援など法務省としての対応を検討すべきと考えるが、法務省の見解及び今後の対応についてお示し願いたい。

【回答3-⑰】

 財政措置の可否については,関係府省と相談の上で対応してまいりたい。

【論点4-①】

 「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」、「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」、「本籍地以外での戸籍謄抄本の発行」のそれぞれにつき、検討状況及び課題並びに実現に向けた今後のスケジュールについて、具体的にご説明願いたい。

【回答4-①】

 行政手続における戸籍謄本等の添付省略等については,法務省において新たに整備する戸籍情報連携システムによって戸籍情報の提供を可能とすることとなるところ,その検討状況等は以下のとおりである。

○「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」

以下の2通りの実現方式について,現在,設計・開発を行っている。

① マイナンバー制度に基づき情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍情報を提供する方式

 改正戸籍法(令和元年法律第17号)附則第1条第5号による施行日(令和6年3月予定)の導入を目指して開発中である。

 ・開発・テスト:令和4年度まで ・情報提供用個人識別符号取得:令和4年度 ・連携テスト:令和5年度 ・運用開始:令和6年3月

② 電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)をオンラインで提供する方式

令和6年度中の導入を目指して設計中である。

 ・対象行政機関と調整の上,現在設計中 ・運用開始:令和6年度以降

○「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」

改正戸籍法(令和元年法律第17号)附則第1条第5号による施行日(令和6年3月予定)の導入を目指して開発中である。

・開発・テスト:令和4年度まで・連携テスト:令和5年度・運用開始:令和6年3月

○「本籍地以外での戸籍謄本の発行」

 改正戸籍法附則第1条第5号による施行日(令和6年3月予定)の導入を目指して開発中である。

・開発・テスト:令和4年度まで・連携テスト:令和5年度・運用開始:令和6年3月

【論点4-②】

 「デジタル・ガバメント実行計画(令和2年 12 月 25 日閣議決定)」において、「戸籍謄本・抄本は、身分関係等を証明することを目的として、年間約 4,200 万件(令和元年)が発行されており、法令に基づく約 500 種類以上の国の行政手続において提出を求めることとなっている。」とあるが、速やかに添付省略が実現され、国民・行政双方のデジタル化・事務負担の軽減が図られる必要がある。上記取組みによって、500 種類以上の手続について、いつまでに、どの程度の手続(種類数・件数ベース・内容)で添付省略が実現されるのか、ご説明願いたい。

【回答4-②】

 IT室による「ワンスオンリー実現に必要な情報連携拡大等検討のための基礎調査」結果等を踏まえ,合計で 600 種類以上,少なくとも 1,000 万件以上の手続について,戸籍謄抄本の添付省略が実現される見込みであり,その詳細は以下のとおりである。

○「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」

①マイナンバー制度に基づき情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍情報を提供する方式

 ・約 580 手続,件数 約 580 万件 ・令和6年度から順次開始

② 電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)をオンラインで提供する方式

 ・約 30 手続,件数 約 345 万件 ・令和6年度中に開始

○「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」

・件数 約 121 万件・令和6年3月から開始

【論点4-③】

 平成 29 年8月の「戸籍制度に関する研究会最終取りまとめ」において、「戸籍謄本等の交付請求をした目的」として「パスポートの申請のため:61.6%」、「婚姻届など戸籍の届出で提出するため:50.2%」、「年金や児童扶養手当などの社会保障給付金受給に関する手続で提出するため:27.0%」等のニーズが示されている。これら国民のニーズが高い手続については、速やかに添付省略が実現される必要がある。法務省としての取組を具体的にご説明願いたい。

【回答4-③】

 戸籍情報連携システムを整備することで,国民のニーズが高いとされた以下の手続について,戸籍謄抄本の添付省略が実現される見込みである。

○「パスポートの申請のため:61.6%」【論点4-①】の回答で示した「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」の②電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明書)を提供する方式により,添付省略が実現される。

○「婚姻届など戸籍の届出で提出するため:50.2%」【論点4-①】の回答で示した「戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略」により,添付省略が実現される。

○「年金や児童扶養手当などの社会保障給付金受給に関する手続で提出するため:27.0%」

【論点4-①】の回答で示した「行政手続における戸籍謄抄本の添付省略」マイナンバーに基づき情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍情報を提供する方式により,添付省略が実現される。

【論点4-⑤】

 平成 29 年8月の「戸籍制度に関する研究会最終取りまとめ」において、全国の市区町村における戸籍謄本等の利用目的別の比率は「相続関係手続」が 33.9%に上ることが示されており、相続時においては、民間の手続きについても戸籍謄抄本の添付を求める手続が多数ある。国民負担の軽減の観点から、民間手続における戸籍謄抄本の利用についても可能な限り定量的・具体的に手続の種類・内容を把握したうえで、情報連携による添付省略の取組について、検討を開始すべきと考える。法務省としての見解をお示し願いたい。なお、十分にデジタル化が進まない中で、本籍地以外での戸籍謄抄本の請求が可能にすれば、都市部の自治体等において他の自治体分の戸籍請求も増えることも想定されるところであり、こうした問題について、法務省としてどのようにどのように考えているか、併せてお示し願いたい。

【回答4-⑤】

(民間手続における戸籍謄抄本の利用について)

 戸籍謄抄本については,利用目的別の比率の高い行政手続だけでなく,民間でも相続時においては添付を求める手続が多数あるものと承知している。

 この点に関し,デジタル・ガバメント実行計画の「死亡・相続ワンストップサービス」においては,「内閣官房は、戸籍情報連携システムの戸籍電子証明書(電子的な戸籍記録事項の証明情報)を活用した法定相続人の特定に係る遺族等の負担軽減策について、法務省と検討を行う」とされており,引き続き内閣官房の検討に協力してまいりたい。

 なお,【論点4-①】の回答で示した「本籍地以外での戸籍謄本の発行」により,本籍地以外の市区町村の窓口でも,自らや父母等の戸籍謄本の取得を可能とする広域交付の仕組みが導入されるため,国民の利便性向上に大きく資することとなると考える。

(「都市部の自治体等において他の自治体分の戸籍請求も増える」について)

 御指摘のとおり,人口が集中する都市部の自治体等においては,他の自治体の戸籍謄本の請求が増えることも想定されるところではあるが,国民の利便性向上のため,都市部の自治体等の理解を得つつ,所要の検討を進めてまいりたい。

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戸籍謄本の交付は、自治体の収入にはならないのでしょうか。

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【論点5-①】

平成 16 年から制度上可能となっているにもかかわらず、現在、導入している自治体は無いことについて、具体的な要因をどのように考えているか、ご説明願いたい。

【論点5-②】

論点5-①について、具体的な把握ができていないとすれば、「デジタル社会の基盤となる制度を所管する省」としての取組が十分とは言えないと考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答5-①及び②】

 届出のオンラインシステムを導入しない理由について,証明書のオンラインシステムを導入する市区町村に聞いたところ,以下の課題があるとのことであった。

①オンライン届出と紙の届出が混在することとなり、処理が複雑となる。

  • オンライン届出情報の他市区町村への送付や添付資料の確認など検討課題が多い。
  • 戸籍のオンライン届出については,届出人や証人についても電子署名が必要であるなど,届出を行うまでのハードルが高く,現実的でない。

【論点5-③】

 死亡時における国民の手続負担軽減の観点からは、死亡・相続ワンストップサービスの利便性向上等が必要である。「第 14 回デジタル・ガバメント分科会(令和3年 3月 26 日)」において、死亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出をオンラインで完結する仕組みの構築に向けて、厚生労働省と共に検討を開始することが示されているが、具体的に何がいつまでにどの様な工程を経て実現されるのか、課題は何か、ご説明願いたい。

【回答5-③】

 死亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出をオンラインで完結する仕組みの構築に向けては,現在,デジタル庁及び厚生労働省とともに取り組んでいるところである。当省としては,市区町村長が死亡診断書の内容を確認することが可能な場合には,死亡の届書に死亡診断書の添付を省略することができる旨の戸籍法施行規則の改正を本年4月に実施したところである。

 電子死亡診断書を市区町村に送付する運用の実施に当たっての主な課題としては,HPKI(保健医療福祉分野の公開鍵基盤)カード電子署名や医療関係データの送付の仕組みの普及などがあると承知している。現在,関係府省の間で,添付省略の取扱いの実証的運用について,本年度中に実施する方向で調整中である。

【論点5-④】

 死亡届以外も、例えば出生届及び出生証明書のデジタル化や、離婚届と調停調書のデジタル化など、関係府省等と連携して、国主導でオンライン化・デジタル化の検討を進めることが、国民の利便性向上につながると考える。

 法務省としてデジタル化に向けた取組みに率先して取り組むことが必要と考えるが、法務省としての見解をお示し願いたい。

【回答5-④】

 戸籍届書の添付書類の電子化は,手続をデジタルで完結させるために必要な課題であり,重要な取組であると認識している。今後とも引き続き,添付書類の電子化について関係府省等と取り組んでまいりたい。

20221116追記

参考

市民と法No.137、2022年10月、民事法研究会、赤松茂司法書士「戸籍全部事項証明書等の職務上請求のオンライン化に向けた展開」
  

法制審議会家族法制部会 第4回会議議事録を読もうの会

詳細
法制審議会家族法制部会 第4回会議議事録が公開されました。
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00073.html

http://www.moj.go.jp/content/001353853.pdf

■読み解きのパネラー:古賀礼子(弁護士)、松村直人(子育て改革のための共同親権プロジェクト 発起人)+ご希望される方、是非!

弁護士古賀礼子 明日 9月8日ウェビナー

https://note.com/kogareiko/n/nd9bf33acaa4c

■日時:2021年9月8日 (水)

引き続き、本議事録を読み込もうの会を実施したいと思います。
弁護士の古賀礼子さんと、子育て改革のための共同親権プロジェクト発起人の松村が読み込み、気になるところを確認する流れを考えていますが、プロジェクトにご賛同頂いた方で是非、読み解きの議論に参加したい方は、ご連絡ください。

■料金:無料
■参加可能な方:以下のいずれかの方で上限495名までご参加いただけます
・プロジェクト賛同者※プロジェクト賛同は↓からお願いします。
https://joint-custody.org/
・法制審議会家族法制部会の議論が気になる方

第1回  離婚及びこれに関連する制度の見直しについて
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00058.html

第2回 参考人ヒアリング
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00063.html

第3回 養育費及び面会交流に関する論点の検討
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00068.html

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第3 議 題

第4 議 事  (次のとおり)

議        事
○大村部会長 予定した時刻になりましたので,法制審議会家族法制部会の第4回会議を開会いたします。
  本日は御多忙の中御出席を頂きまして,誠にありがとうございます。
  本日も前回と同様,ウェブ会議の方法を併用した開催となりますが,引き続きよろしくお願い申し上げます。
  前回からの変更点として,外務省の西森首席事務官が新たに関係官となられるということで,御出席されているので,お名前と所属の自己紹介をお願いしたいと思います。
  西森関係官,よろしくお願いいたします。
○西森関係官 外務省領事局ハーグ条約室で首席事務官をしております西森と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○大村部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
  続きまして,本日の会議の配布資料の確認を,事務当局からお願いします。
○藤田幹事 事務局です。本日もよろしくお願いいたします。
  まず,お手元の資料について御確認頂きたいと思います。
  三つの資料を御用意しています。まず,意見交換用の参考資料として,これまでのヒアリング実施状況を一覧にしたもの,次に,家族法制部会の進め方に関する事務局たたき台一案ということで,後ほど御議論いただく,部会の今後の進め方に関する意見交換のために用意したもの,それから,部会資料3を前回と同じく配布しております。
  このうち,初めの2つにつきましては,いずれも本日皆様に御議論いただくためのお手元の参考として用意したものになりますが,こちらは,ホームページ等での掲載はせず,非公表としたいと存じますので,取扱いには御留意下さい。
  また,原田委員から文献を資料として御提出頂いておりますので,こちらについても配布させていただいております。
  資料の説明は以上ですが,追加で,本日の議事に当たり,発言に際してのお願い事を一つ申し上げます。

  本日の会議でもウェブ参加の方がおられますから,御発言される際には,まずお名前をおっしゃってから御発言いただけるよう,改めてお願いいたします。
○大村部会長 それでは,本日の審議に入らせていただきたいと存じます。
  前回,これまでに実施した参考人ヒアリングを踏まえて,委員,幹事の間で意見交換をしたらいかがかという御意見を複数頂きましたので,本日はまず,参考人ヒアリングを踏まえた意見交換を行わせていただきたいと考えております。
  それに続きまして,やはり前回,今後の議論の進め方につきましても,御意見を頂いたところでございます。そこで,事務当局の方から,今後の進め方のたたき台の案を配布してもらっておりますので,ヒアリングを踏まえた意見交換をいたしました後に,このメモを参考にしつつ,今後の検討の進め方についても,併せて意見交換の機会を設けたいと考えております。
  最後に,残った時間で前回検討していただきました部会資料3,これは大部分が積み残しとなっておりますので,この積み残し部分についての意見交換を行わせていただきたいと考えております。途中で2回ぐらい休憩を入れる形で進めさせていただきたいと思っております。
  そこで,まず,前回,前々回の2回のヒアリングを踏まえた意見交換ということで,テーマや取り上げる順序などについて特に限定はいたしませんので,自由に御発言を頂ければと思っております。

○武田委員 前回,前々回のヒアリングを踏まえてということで,この2回にわたるヒアリングに関して,お子さんのお立場,同居親,別居親のお立場,あと支援の立場にある様々なお立場の方からヒアリングができたこと,非常によかったと思います。ご尽力いただきました事務当局の皆様,参考人の皆様にまずは御礼を申し上げたいと思います。
  まずは感想を述べさせていただいて,今後ヒアリングをどうするかというところを,簡単に意見を述べさせていただければと思います。
  お子さんの当事者からの話で,やはり私といたしましては,離婚前の親教育という必要性を改めて痛感したというのが,まず感じた点でございます。あと,DV被害者の同居親の方からお話を受けてということですけれども,やはり離婚後に限らず,婚姻中から困難に陥っている父母への支援の必要性ということを,改めてこちらも痛感いたしました。別居親のお母さんの感想といたしましては,同意なき連れ去りから始まって,監護の継続性というところから,現状の家裁の親権,監護権の決定基準,あとお子さんの意思の捉え方に関して実情をお話しいただき,家庭裁判所の現行実務の問題が明らかになったように感じました。
  支援者の皆さんからのヒアリングでは,ここ数年で,やはり我が国の中での価値観の進展が見られたなと感じております。委員,幹事の先生方には御存じない方もいらっしゃると思いますけれども,2016年,17年にかけて,国会で共同養育支援法という超党派の議員による議員立法を進める動きがございました。この法案は,簡単に申し上げると,家族法研究会でもテーマに挙がっておりました離婚前共同養育計画を議員立法で法制化しようという法案であって,私ども親子ネットも推進の立場として議論に参画させていただいておりました。当時,思い起こせば五,六年前ですかね,先だってお越しになっていただきました泉市長も取り組み始めてまだ間もない頃,政府が注目し始めた頃だったように記憶しております。しばはしさんや小泉さんの活動に至ってはまだ始まっていなかったと思います。ここ五,六年くらいで,法改正なくとも離婚後も双方の親が子の養育に関わるということを少しでも支援する志のある方が,多様な取組をしていただいていると,こんなふうに感じております。こういった取組を参考にしながら制度化していくために,委員・幹事の先生方と有用な議論が進められればよいなと思ったのが,まず感想でございます。
  今後に関してということについて,2点ほど述べさせていただきます。配布されている資料の中に,海外法制に関するヒアリングというものがございました。これはちょっと,どんな方をイメージされているのかというのは,まだ分かりませんけれども,比較法の学者の先生なんかが呼ばれるのかなとも思っております。ただ,私といたしましては,こういった法制面の海外の実態に加えて,諸外国がなぜ共同養育や非同居親との人的な関係,つまり面会交流ですね,こういったものを大事なものと考えているのかと,こういった考え方の背景を,一度きちんと聞いてみて理解を深めたいと思っております。今更私が話すまでもなく,1990年代,諸外国は子どもの権利条約を批准以降,共同養育,共同監護へとかじを切ってきたと認識しております。こういった諸外国の国民意識を語れる方から話を聞いてみたいと感じております。個人的には,2回目の資料で配布されました参考資料2-7ですね,昨年7月,EU議会で日本における子の連れ去りに関する決議が圧倒的多数で採択されましたが,そういったEUの関係者,具体的には,例えば,EU大使館でありますとかEU諸国の大使館関係者からヒアリングはできないかということを提案させていただきたいと思います。
  また,ヒアリングについていろいろな意見あろうかと思いますが,ヒアリングはヒアリングとして,継続的に必要に応じて取り入れるということでよいかと思っております。順次議論を進めつつ,必要に応じてヒアリングを組み込んでいくという方法がよいのではないかと,個人的には感じております。
  ちょっと長くなりましたが,以上でございます。

○大村部会長 ありがとうございます。感想と,それから今後の進め方についても御意見を頂いたと理解しております。
  ウェブの方で,大石委員,小粥委員から手が挙がっておりますので,大石委員,小粥委員の順番でお願いいたします。


○大石委員 千葉大学の大石です。
  これまでの当事者の方や専門家の方のヒアリングによって,多くを学ばせていただきました。ありがとうございます。
  その過程で,離婚のダメージを最小限に抑えて,子どもの健全な発達を確保することの重要性,特にどのようにして子どもの意見を聴取し,葛藤を抱える両親と調整しながら子どもに寄り添っていくかが非常に重要な問題であると,私自身,認識を新たにいたしました次第です。
  つきましては,発達心理学の第一人者でおられる菅原ますみ委員がこちらの部会にはいらっしゃいますので,父母の離婚やその後の養育が子どもに与える影響に関して,国内外の研究に基づく心理学の御知見を報告いただけましたら大変有り難いなと,私自身,専門は経済学ですので,分野外ということもあり,そういった知識を委員間で共有したいと考えてあります。御検討いただけましたら,大変有り難いと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。感想と,それから今後のヒアリングについて,具体的なお名前を挙げての御提案がありました。御提案につきましては,また後で進め方との関係でお諮りさせていただきたいと思います。
  続きまして小粥委員からお願いいたします。

○小粥委員 小粥でございます。
  私からは,まず,これまでのヒアリング,調査結果の開示等,事務局を中心に御尽力を賜りまして,また,ヒアリングに応じてくださった皆様に大変感謝しておりますし,大変勉強させていただいたということを,まず申し上げたいと思います。
  その上で,今後のことについて申し上げると,抽象的な形で申し上げざるを得ませんけれども,やはりこの法制審議会の部会のミッションというものを再確認する必要があるのではないかと考えます。つまり,これは,法務大臣が法制審議会に諮問して,法制審議会の総会がこの部会を立ち上げて,最終的には法務大臣に対する答申という形で,基本的には民事法制の改正という形でどのようなことをするのか,ということを考えなければならないと。そうしますと,即物的な言い方になってしまいますけれども,民法のどこをどう変えるのか,あるいは家事事件手続法のどこをどう変えるのか,あるいは民事執行法のどこをどう変えるのかというような形で,結論をしかるべき時期までに得るということが必要だろうと考えます。改めて申し上げるまでもないことかもしれませんが,このような形で部会を立ち上げているということは,離婚に伴う子の養育の問題について,一歩,二歩前進する千載一遇のチャンスなんだろうと思うのです。ですので,この機会を生かして,何とか前向きに一歩でも二歩でも前進するような成果を,この部会のミッションの範囲内で実現するという,そこに少しフォーカスしていくということが必要ではないかと考えます。
  現時点では,このような抽象的な言い方にとどめさせていただきますけれども,追って具体的なことを,また補足する機会があればと存じます。
○大村部会長 ありがとうございます。主として今後の進め方について,この部会の果たす役割との関係で御指摘を頂いたと受け止めました。
  そのほかに,御発言いかがでございましょうか。


○柿本委員 柿本でございます。これまでヒアリングに御参加していただきました当事者や専門家の方々に感謝いたします。現状や実態を知ることができ,大変多くのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。
  私からはコメントが4点でございます。只今,小粥委員より部会のミッションについての御意見を頂いたところでございますが,民事法制以外の公的支援に関わるところも問題がたくさんあぶりだされてきたように,思いました。本論から外れてしまっているかもしれませんが,第2回会議のときのA参考人「お金がないと子どもは育ちません」という言葉は,養育費の重要性として強く,私の心に残っております。また第3回会議,野沢先生の資料4ページの離婚後の養育費や面会交流の実施状況というところで,養育費も面会交流も,離婚後三,四年たつとほとんどのケースで途絶えるという説明がありました。継続性を維持するための法整備が必要ではないかと,考えたところでございます。
  3点目は,浅井さんと光本さんからの,子どものための第三者機関のカウンセリングの充実を,というところは,非常に重要ではないかなと感じております。お子様が調査官による調査のときに「黙る,忘れちゃった」というようなことが起きたという話をお聞きしまして,調査官の養成機関の充実ですとかトレーニング方法の研究などが非常に重要になってくるのではないかと考えました。
  4点目ですが,面会交流支援事業をなさっている団体の方たちは,非常に一生懸命活動されているということを知りましたが,相談料などが高額な場合も多いようですので,金銭的に余裕のない方たちも受けられるような,そういう仕組みができたらいいのではないかというところなどが私が感じたコメントでございます。


○大村部会長 ありがとうございました。ヒアリングを聞いていただいて,民事法制以外の問題がかなりあるのではないかという感想を抱かれたと承りました。
  最後に本論から外れるかもしれないけれどもという留保の上での御指摘もありましたが,先ほど御指摘のあった,本部会でやるべきこと,できることとの関係で考える必要があろうかと思いますけれども,貴重な御指摘として伺いました。
  石綿幹事,大山委員からお手が挙がっているようですので,その順番でお願いいたします。


○石綿幹事 石綿でございます。
  まずは,ヒアリングでお話くださった皆様,また,それをアレンジしてくださった事務局の皆様,どうもありがとうございました。
  ヒアリングを通じて,感じたことを二つ述べさせていただければと思います。
 まず,子どもの視点を伺えたことは大変参考になったと考えております。人によってそれぞれではありますが,何らかの形で離婚後も別居親との交流,別居親の関与を求める視点というのが感じられましたので,事務局から既に提示された面会交流,養育費の課題に加えて,離婚後の父母の子どもの養育の在り方について検討してみるというのは,子どもの利益,子どもの意思の尊重という点からも意味があるのではないかと思いました。
  ヒアリングを通じてもう1点感じたのは,光本参考人だったと思いますが,離婚が増えるということは再婚が増えるということだという御指摘がありまして,それとの関係でも,連れ子養子の問題など未成年養子縁組等についての検討をすることも必要ではないかと思ったところです。
  今後の議論の進め方ですが,ヒアリングを通じて,民事法制以外のことについても対応する必要があることは様々あるのではないかということは私自身も感じておりまして,先ほど柿本委員がおっしゃったというところにも共感をいたしますが,それと同時に,小粥委員が御指摘なさったように,ここは法制審であって,主に民事法制の在り方について検討する場だと理解しております。ですから,これからは,民法をはじめとした民事法の具体的な議論に入っていければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からも感想と今後の進め方についての御意見を頂きました。これまで出ていない項目でいうと,再婚の場合も考える必要があるのではないかといった御指摘も頂きました。


○大山委員 経団連の大山でございます。
  私もこれまでのヒアリングで,いろいろな角度から,それぞれの御専門のお立場の方や,当事者の方からのお話をお伺いできて,大変勉強になりました。ありがとうございました。
  その上で,いろいろお話を伺って,まさに今,先生方から既に御指摘いただいているとおり,法制審の場でありますので,民事法制の在り方や法改正につながるような検討を進め,最終的には法改正に収束するよう目指していくべきと感じております。その一方で,前回の明石市長のお話にもございましたように,例えば自治体でも熱心に取り組めば,いろいろなことができるということも感じており,法制度以外にも,様々な課題に対する事前の防止策や対応策を含め,自治体でできること,民間でできること,それぞれいろいろな役割があると思います。ただ,最終的には,どの論点につきましても,法制度の見直しにうまくつながっていくよう検討を進めていただければ有り難いと思っております。
  その上で,ヒアリングも必要に応じて是非行っていただければと思っております。特に前回も御指摘いただいており,また今後の進め方のたたき台にも記載いただいております海外法制に関するヒアリングについては,海外の民間のお立場の方というよりは,学者の方で,また,あまり細かいことではなく大きな法制度に関するご説明と,そういった制度が実際にどれぐらいどのように使われているかといったことを,私個人としては是非お伺いしたいと感じております。
  それから,今後の大まかな進め方につきましては,今回の法制審における検討事項は,多岐にわたる論点があると思いますので,事務局のたたき台の案にあるとおり,まずは一巡,いろいろな論点について総ざらいした上で,その後,二巡目という進め方であれば,その過程で議論を収束できる論点は明確にあると思います。その一方で,例えば,DVの問題をはじめ,個別事情によって様々な形があり,なかなか一つのケースに論点を絞り込めないものもあると思いますので,二巡目については,よりテーマを絞り込んで法制度につながるような論点に関する議論を,進めていただければ良いと感じております。
○大村部会長 ありがとうございます。全体としての進め方と,それから具体的な議論の手順について御発言を頂きました。
  海外法制のヒアリングについては,基本的な枠組みと,それから実態について聞きたいという御要望を頂いたと承りました。
  落合委員,赤石委員の順番でお願いいたします。

○落合委員 落合です。
  法制審ということで法制度が中心になるわけですけれども,私はやはり,第三者機関の方たちの頑張りとか,そのサポートの重要性ということが非常に印象に残りました。法を作っても,それをどのように実施可能にしていくかというようなことまでの提言というのは,法制審でどうなんでしょうかね。答申の中に含むべきものなのでしょうか。これまでの慣例はよく知りませんが,含まないと現実的ではないとむしろ思いました。
  フランスで調査をしたときに,第三者機関に予算がたっぷり付いているというのが印象的でした。公的な予算が付いている。明石市長もおっしゃっていましたけれども,やはり予算をきちんと付けて人を雇用するということが,サポートを充実させるということに直結するわけですよね。そこまでの提言が付けられると,本当に意味のあることになるなと思いました。
  それから,海外法制についてなんですけれども,タイの法制についてヒアリングさせていただく機会を別に頂きました。協議離婚がタイでは多いので,日本と比較可能だからです。おかげさまでいろいろな示唆がありました。日本よりもずっと早く,1930年代から,協議離婚だけれども,養育費についてですとか,そのほか親権もですかね,かなりかっちりと法的な枠組みが作られていたそうです。すなわち,日本より早くから,欧米からの批判に耐えるような協議離婚制度というのを作っていたということが分かりました。欧米の国と直接に比べると違いが際立つことが多いですけれども,結婚も離婚も割と自由な日本のような伝統を持つ社会が,欧米的な法と出会ってどのように工夫してきたかという辺りから,学べる点があるんではないかと思います。海外法といっても,そういう東南アジアの法などを見る機会があるのも,重要ではないかと思いました。
○大村部会長 ありがとうございました。委員,幹事からは,サポートのシステムが重要だという御指摘が相次いでおりますけれども,それについて,この答申の中にどのような形で書き込めるだろうかという御趣旨の御指摘を頂きました。
  それから,海外調査については,東南アジアの国も興味深いという御指摘を頂いたかと思います。
  赤石委員,それから原田委員という順番でお願いいたします。


○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。よろしくお願いします。
  ヒアリングの,まずちょっと振り返りをさせていただきますが,お子さんたちのお話を聞かせていただきまして,やはり第三者の大人の重要性というのがあり,法制度でどうそこをカバーできるのかというのは,私も課題として感じました。また,取決めというのが,子どもの生活にとっては非常に圧迫感があり,かえってなじまないものであるという御発言がありましたので,こういったことをどう生かすのか,今やはりちょっと部会資料3を見ていますと,取決めありきのようになっておりますが,ここをどうできるのかということがあります。
  私が感じているのは,面会交流と養育費というのを議論するときに,そもそも非監護親と子どもが面会交流することが,あらゆる場合に子の福祉に合致するのかどうかというエビデンスが果たしてあるのかどうかということを,いつも疑問に思ってしまいます。ですので,そういったところからやはり議論が行われるべきかなと思っています。
  これと関連しまして,葛藤状態にあって,夫婦の子が,これまでの家裁の原則面会交流実施という流れの中で,面会交流を嫌だと言っていても強制されてしまったといったお子さんの事例がなかったので,是非ヒアリングの中でやっていけたらいいなと思っております。私も紹介もしたいと思っております。
  続いて,DV被害者の事例のヒアリングなのですけれども,Bさん,要約で議事録が出ているかと思いますが,協議離婚事例なんですね。しかも,DV被害としては重いという認識になっていなく,保護命令も出ていない。こういうケースが,DV被害については危険性があるという認識は皆さん持たれたと思うんですけれども,では,この人たちをどうケアするのかといったときに,どこまでの範囲をケアするべきかというときに,こういった事例が落ちてしまう可能性があるということを,如実に表していたと思います。協議離婚後も,相談しても,あなたは軽いよねと言われていたが,しかし,協議離婚後に親が学校に電話して退学を迫ったという事例でございます。もしここに本当に共同養育のような親の権利を与えていたら,間違いなく子どもに非常に大きなダメージがあった。彼女は,今回の議事録に関しても,お子さんにはそこまで伝えないために必死にカバーして要約だけにしてほしいということをおっしゃっている。終わった後も,お子さんへの影響を考えていかなければいけない親と,してしまう親,もちろんしてしまう親の方のケアも必要だということが,とても如実に出てきていたと思います。
  それから,非監護親のヒアリングなんですが,お父さんの非監護親のヒアリングがなかったのですが,実際には一番多く,法制審が開かれる背景もそこにあったかと思いますので,是非お父さんの側からもお話を聞けたらいいのかなと思いました。
  あと,家裁のこれまでの2011年からの対応についての,やはり振り返りといったものが必要かと思っております。家裁の調査,子どもの調査ですね,調査官調査についても,浅井氏からやはり問題点が指摘されました。非常に短時間で環境も整備されていないところで,子どもの本心が聞けていなかったのではないかというようなお話があり,私もそういうことをよく聞いております。
  私が聞いたケースでは,幼稚園のお子さんが,家族の絵を描いてごらんって調査官に言われて,お母さんとお兄ちゃんと自分を描く,そうすると,お父さんはどこって言って,お父さんを紙の隅っこの方に描く。そうすると,調査官がそこに線を引いて,仲間外れっていけないことだよね,何々ちゃん,お友達いるの,お父さんを仲間外れにしているのは誰かなって言って,何とかしてお父さんと会うということを子どもに言わせようとする,こういった調査官調査があったとお母さんから報告を受けました。また,お兄ちゃんは本当に支配をされていたんだけれども,お兄ちゃんには,お父さんに会いたくないって言ったら,お父さん自殺してしまうかもしれないよ,それでもいいのとまで誘導しようとした,こういった暴力的な調査官調査が行われていたとお聞きしておりますので,やはり2011年からの家裁で起こったことというのは何なのかということが,まず明らかになってからでないと,その次の法制度の検討というのができない。もし子どもの意見を聴取するのであれば,中立な環境であり,人手を増員し,予算拡充で,何度でもお子さんの話が聞ける,こういった体制が,子どもの代理人制度などと一緒に,池田先生が御専門ですけれども,在るべきではないのかなというのは改めて思い,ちょっと法制度に行く前の振り返りというものが,余りにもないのかなというふうに思いました。
  今後の進め方なんですけれども,私は前回も,まずは,整理されているところでは養育費からお願いしますと申し上げたところです。その意見は変わらないです。そして,その上で,海外法制のことは,本当に欧米は1980年代から共同養育の流れをしてきて,今,反省点に立っているんですね。今日,原田委員が出した英国の報告書は,正にそれでございます。今までのイギリスの対応がDA,ドメスティックアビューズについて対応し切れてこなかったという反省点に基づいた報告書についての論文です。こういうことを考えますと,あるいは,アメリカで本当に子どもたちが性虐待を訴えたら,お母さんが親権を取れなくなってしまった,なぜならフレンドリーペアレントルールに反するから。そして,父親,その加害者の下で子どもたちは過ごさなければいけなかった,こういう子どもたちの叫びが出ています。これは,エンパワメント・センターの森田ゆりさんが報告していらっしゃいます。こういった反省点が出てきている欧米の在り方を,今,まねする必要があるのかという,そういう論点を是非組み込んでいただきたいと思います。そういう点で,海外法制については,そういう点がきちんと出されるべきではないかなと思います。
  もちろん,離婚後も仲のよい,ある程度コミュニケーションができる,そういうカップルのお子さんにとっては,交流はいいことになります。しかし,全ての方にとって良くはないんですね。ここのところを見極めていきたい,そして,それの介入が果たしてでき得るのか,日本の今の脆弱な子どもの保護の体制でということを考えて,法制度をすべきだと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。これまでのヒアリングについての様々な御感想と併せて,更なるヒアリングについての御要望もお出しいただきました。
  それから,家裁実務の話もございましたけれども,海外法制についてのヒアリングとの関係では,現在どのように考えられているのかという視点も取り込んでお話いただくように依頼してほしいという御要望を頂きました。
  今後の議論の仕方については,課題を取り上げる順序などについても御意見を承りましたけれども,これは後で,今後の進め方について御意見をいただく際に,改めて取り上げさせていただきたいと思います。
  では,原田委員,池田委員の順番でお願いします。

○原田委員 弁護士の原田です。
  今,赤石委員がおっしゃったこととかなり重なるかもしれませんけれども,当事者のお話を聞いていて,子どもが蚊帳の外に置かれているということと,親の葛藤が高い間の面会というものの問題点というのは,これまた毎日の実務で感じていることと一致するなと思いました。
  離婚するか否かを決めるのは当事者,この場合は親ですから,少なくとも子どもに対しては,その年齢に応じた説明をする必要があるということ,それから,これに対して,面会交流は正しく子どもの利益のために行うものですから,当事者抜きには考えられないということだろうと思います。面会交流の場合,現状では,協議できる関係であれば,裁判所なんか使わなくても,ヒアリングのAさんのように,子どもの意思を反映した面会交流はできるのかなと思いますけれども,両親の対立が激しくて,したがって,最も子どもの意見を尊重すべき裁判手続において,子どもは初めて会う家裁調査官から意見を聞かれたり,しかも説得的な調査,赤石さんのおっしゃったような例までは直接聞いていませんが,やはりかなり説得的な調査が行われているということは,私もよく聞くところです。それから,子どもの手続代理人という制度がありますけれども,ほとんど利用されていないというのが実態だと思います。ですから,子どもの意思が反映される制度というものを考える必要があるのではないかと思います。
  しかも,養育費というのは,1回決めたら,それがそのまま続いても弊害は余り起こらないと思いますけれども,面会交流というのは,子どもの成長に合わせて形が変わってくるのではないかと思いますが,一度決めるとその後のフォローはないので,幼児期に決めた面会交流が中学や高校になってもそのまま行われて,変更しようと思っても,変更が決まるまではそのまましなくちゃいけないと,場合によっては,間接強制されてお金を払わなくちゃいけないというようなことになっている点が,やはり子どもにとってかなり負担になっているのではないかと思います。
  それから,親の葛藤の問題では,今回のヒアリングで,お子さんのヒアリングでも支援の方のヒアリングでも,親の葛藤が高い場合の面会が難しいというお話がありました。同時に,子どもには安定した養育環境を保障するということが必要で,養育者の安定,これは精神的にも経済的にも必要だと思います。したがって,制度を考える場合は,紛争が続くような制度は考えるべきではないと同時に,その両親の葛藤状態の緩和のためにどうするのかという検討も必要だと思います。この点,私は,支援の方にその点をどう考えられますかという質問をしたつもりだったんですけれども,明確なお答えが頂けなかったように思っております。
  家庭裁判所では,面会交流は子の利益を最も重視するとされていますけれども,子の利益に反する場合というのがとても狭く解されているように思っていて,高葛藤のまま調停ないし審判で決められて,支援機関に流れてくると。審判というのは,合意ができなくて調停から審判に移行するということですから,正しく高葛藤の状態が維持されている見本のような状態で,支援機関のところに流れてきているというのが現実だろうと思います。
  調停で合意される場合も,早く終わらせるためにやむなく合意したというケースもたくさんあります。考えていただきたいのは,北仲参考人が言われたような,DVの力関係の差ということで,本当に真の対等,平等な関係での合意が形成されているとはなかなか言えないのではないかということです。もめる理由というのは,やはり非監護親は面会したい,監護親の方はDVのために監護親自身が会うのが怖いとか,子どもが嫌がっているとか,子どもが気に入らないことがあるとどなられるのではないかと心配だとか,いろいろで,なかなか面会に積極的になれないというところがあるんですけれども,結局は,監護親が説得されて義務が課せられて,一旦合意すると義務化してしまうというところが問題で,途中で子どもが嫌だと言い出しても止められないです。
  それから,支援については,面会交流の実施がゴールということではなくて,そうすると,どうしても消極的な方は説得に陥りがちですので,子どもの利益ということをゴールにして,面会交流するかしないか,するとしたらどういう方法でするか,仮にしないとしても,一定期間後に見直しをするなどの,こういう制度の検討が必要なのではないかと思っています。
  それからもう一つ,この会は民事法の検討会でありますけれども,支援に関する制度や立法も両輪でやらないと,私としては,民事立法だけで支援制度ができないということでは,とても安心して提言ができないと考えています。ここで作るということではないにしても,各省庁の方もお見えですので,支援に関する制度又は立法にも,目に見える形で並行して話を進めていただきたいと。それに合わせて立法,あるいはその立法を実現するような支援というのが一緒に進んでいくということが,とても大事なのではないかと思っております。
  それから,ちょっとこれは余談ですけれども,前回養育費の法的性質について検討するのに,どんな意味があるのかという私の発言について,意味がないと取られたり,養育費も扶養料も同じだと言っていると取られたようですけれども,これは弁護士同士で議論したときに,違うからこそ,どちらか一方に固めてしまうと,いろいろな場面で問題が生じるというような議論があったということをお伝えしたかった,ちょっと先走った議論になってしまいましたが,そのような趣旨に御理解いただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。たくさんの御指摘を頂いたかと思いますけれども,民事法の外の問題との関係につきましては,既に出ているものと共通の方向の御指摘を頂いたと思います。
  そのほかに,高葛藤のケースにおける子どもの利益,子どもの意思をどう考えるかということ,一旦決めたことの変更ということが重要だという御指摘は,非常に興味深いものとして伺いました。
  具体的な問題についての御意見は,またそれぞれのところで頂戴したいと思います。


○池田委員 池田でございます。
  これまでたくさんの方々からヒアリングさせていただいて,大変勉強になりまして,どうもありがとうございました。
  その中で,私からは,主として父母の離婚を経験した子の立場からのお三方へのヒアリングに触発されて考えたことを,2点ばかり申し上げたいと思います。一つがそういった子どもへの直接の支援の必要性,二つ目が父母への支援の必要性,いずれも支援についてです。
  まず,子どもへの支援ですが,私の代理人としての活動を振り返りますと,裁判所の外で父母間で合意がスムーズに進んでいく,つまり,協議離婚へと流れていくようなケースですけれども,そういったところでは,どうしてもやはり合意を優先してしまうというような傾向があると思っています。例えば,お子さんをどちらが養育するかというところで争いがなければ,同居親がしっかりとした養育体制を取るだろうと信頼をしますし,心理的ケアも同居親が中心となってやってくださるだろうというふうな信頼をして,よほど気になるところがなければ,同居親の代理人であっても,直接子どもに会ったりということはあまりしないというところがあります。さすがに,養育費を定めないということはほとんどないですけれども,面会交流については,引き続き協議しましょうねというところでとどめておくということも,しばしばあります。弁護士が関わる場合でもそうですから,弁護士が付かないという場合には,やはりその傾向は一層強いのではないかなと思っています。
  しかし,ヒアリングで子どもの立場からのお話を伺いますと,やはり,いずれも協議離婚のケースだったと思いますけれども,お母さんと会いたいと思ったけれども言えなかったというお話とか,養育費が支払われていないことに対する不満を実は感じていたんだというお話ですとか,あとは,ヤングケアラーの役割を担わざるを得なかったというふうなお話もあったと思いますし,それから,何より父母の離婚に関する情報がほとんど与えられていないんだなということを,改めて認識したところでした。
  そういうことを考えますと,やはり一見スムーズに父母間で合意が進むような協議離婚でこそ,子どもへの直接の支援というのが必要なのではないかなと思っています。やはり子どもが一人で悩みを抱えて,お父さんとお母さんの離婚という事態に折り合いを付けられずにいるというような状態というのはできるだけ回避されるべきで,子どもの年齢とか発達状態とかに応じた,分かりやすい言葉で情報提供を受け,何か疑問や悩み事があれば相談できるという仕組みの必要があると思います。もちろん,親が一義的にはそういった役割を担うのでしょうけれども,あるいは親族が担うのでしょうけれども,親密な関係にあるからこそ相談しにくいというところもよく指摘されているところで,一定の相談支援の枠組みというのを用意しておいて,その枠組みに守られながら子どもが相談するという支援があればいいなと思っています。
  そういった支援をどのように制度化するか,先ほど来,民事法制との関わりという指摘がありましたが,そこについてもちょっと申し上げたいと思います。そういった支援というのは,基本的には福祉的な関わりだと思いますので,そういった機関が担うということになるんだろうと思います。この点,現状でもひとり親家庭の支援という枠組みで,親への支援というのはあると思うんですけれども,子どもへの直接の支援というのをきちんと組み込んだ形にしていくべきだろうと思います。そして,それを全国的なものとしていくためには,やはり支援の枠組みを定めた立法というのも必要になってくるかもしれないなと思います。おそらくそれは厚労省の所管になるのだろうと思います。ですので,せっかく厚労省にも御参加いただいていますので,そういった支援の現状ですとか今後の支援の在り方について,是非御検討いただければ有り難いと思います。
  他方,この部会で議論をすべき離婚法制においては,それらの支援との連携がスムーズにいくということを,おそらく注意しながら考えていくべきなんだろうと思います。例えばですけれども仮に,離婚のときに,親が子どもの意見や意向を年齢や成熟度において尊重しなければならないと,民事法制で定めるとすると,やはり親が第一義的に,とにかく真摯に子どもに向き合わないといけないということの動機付けになるだろうと思います。あるいは,協議離婚に関して,一定のガイダンスを受講するということにすれば,一定のそういった動機付けにもやはりなると思います。協議離婚時に定める事項について,子どもの意見や意向を適切に尊重した合意をしなければいけないと,仮に定めるとすれば,やはりそういったところの支援に流れて行き得るというところはあるので,そういったきっかけといいますか,連携の始まりになるような規定の仕方を,ここで議論するということではないかなと思っています。
  それから,あと,民間団体,支援団体がいろいろと役割を担うということになれば,その認証基準に子どもの意見や意向をきちんと尊重するような,そういう業務活動をしているということを含めることも,一つ方法になってくるかなと思います。
  以上が,子どもへの支援の話でしたけれども,手短に父母への支援というのを,最後に少しだけお話ししたいと思います。やはり子どもの養育に関する取決めというのは必要だと思います。極端な話,離婚時の取決めがなくて,養育費も払われず,養育支援もなされず,孤独の中,同居親が子どもをネグレクトして死に至らせてしまうというようなケースもやはり現実にありますので,こうしたことが起こらないように取決め支援をしっかりする必要があります。明石市はじめ自治体でやっているところもあると思います。ますます進めていくという必要があると思います。離婚法制においても,やはりそれを後押しするような連携の始まりとなるような仕組みというのを議論していく必要があるのかなと思っております。
  ちょっと長くなりましたが,以上です。
○大村部会長 ありがとうございました。子どもへの支援と,それから親への支援ということを分けて御感想,御意見を頂きました。
  議論の仕方についても御指摘を頂きまして,民事の立法をするときに,福祉的な支援との関係について,どういう考え方をするのかということに関しまして,親への動機付けとか,あるいは支援のつなぎの契機になるといった観点から規律をするということでつないでいけるのではないかという御指摘を頂きました。
  久保野幹事,それから戒能委員の順にお願いいたしたいと思います。


○久保野幹事 久保野です。
  まず,ヒアリングにつきましては,取り分け当事者の方,また支援の方々の,文献などからは知ることのできないような事柄ですとか,あるいは思いの重さといいますか,ちょっと曖昧な言い方ですけれども,そのようなものに触れさせていただく機会を頂けたというのを,非常に有り難く思いました。
  意見は主に今後の方向性についてなんですけれども,冒頭の会のときに,民法を改正していく際に,子どもの利益といったことについて,正面から,児童虐待の対応といった狭い意味ではなく,子どものことを捉えた親権法の改正が実現していくことに期待を持つと言わせていただいたのですけれども,先ほど指摘が出ましたとおり,子どもの利益に限りませんけれども,千載一遇のチャンスという表現,もう一度何か胸に留めたいと思います。この機会は,そのような非常に大事な場だと思います。
  現行法につきましては,改めて言うまでもないかもしれませんけれども,親族の関係につきまして,当事者の協議ですとか合意に任されている点の多い,白地規定の多い特徴があると,かねて指摘されてきているところでありまして,親権法にしましても,766条にしましても,未成年養子につきましても,具体的基準が条文にはほとんど具体的には記されていないという現状ですので,正に今,議論になっていますような,両親が非常に高葛藤であるということをどう捉えるかですとか,DVの事案やDVという要素をどう考えていくのかですとか,子どもの意見や意向をどう考えるのかということについても,実は手掛かりがないという問題があります。この点については,家事事件手続法にはしっかり入りながら,民法の方では手当てがされていないといったようなこと等につきまして,具体的基準が示されていない民法を,変えるところがあれば少しでも変えていこうということが,積極的に進めていけたらという思いを強く持ちます。
  その上で,支援が大事ですとか,福祉との連携が大事ですとか,人材育成がまず必要ではないかといったことは,これはこれで本当にそうだと強く思うところでありますけれども,ヒアリングの中で泉市長さんが,第三者機関や行政の支援をあれほど独自に手厚くなさっていて,人材育成にも乗り出していらっしゃると伺って,不勉強で申し訳ないですけれども,感心して驚いたんですけれども,その泉市長さんが,裁判所にもっと頑張ってもらわないと困るのだというような趣旨のことをおっしゃったように思いまして,やはり法制度でやるべきことも残っているという,残っているという言い方は変ですけれども,印象を持ちました。
  ということが1点です。
  もう一つ,少し細かい点になるんですけれども,海外法制につきまして,難しい問題なので,海外法制が原則論のところだけではなく,細かいところにどう対処しているかということは知りたいとは思います。ただ,注目が高いテーマなので,これまで複数の国を取り上げての報告書やまとまったものが何回か出ていると思いますし,また,先ほど真似する必要があるのか疑問が存するという意味で,参考にするべき国々があるということにつきましても,今日提出されました資料も含めまして,詳しい形で比較的紹介されているようにも思いますので,文献で調査が付くところにつきましては,むしろそれらのものを,ほかの法制審議会などでも行われていますとおり,分かりやすく一覧性にするといったような形で共有することが大事なのではないかと思います。文書では分からない点について,もし聞くことができるといったものがあれば,それはそれで有益かとは思いますけれども,それも,もう少し日本の課題として,どの辺りが特にポイントかということが分かってからの方がふさわしいのではないかという気がしておりまして,海外法制のヒアリングを急ぐというのは,どちらかというと控えた方がいいのではないかという意見を持っております。
○大村部会長 ありがとうございます。大きく分けて2点だったかと思いますけれども,現行の民法の規定が,相対的に手薄になっていることに伴う問題があり,これについて対処すべきではないかということと,それから海外法制については,調査は必要であろうけれども,既に調査されているものがあるので,その先の調査についてはもう少し後でもいいのではないかという御指摘を頂いたかと思います。

○戒能委員 戒能と申します。
  3点,もう論点がいろいろ出ておりますので,簡単に申し上げます。
  一つは,ヒアリングで気付いた点というのは大変大きかったと思うんですが,その中で,養育費の位置付けということなんですね。養育費について,先ほど不満が出たというお話もありましたが,実は,その子どもさんの進学という問題に関わる,そして,その進学というのは就労と深く結び付いている,どういう人生を送るかということを,言わば10代の後半で決めていく,そこに,養育費の不払いとか取決めがないというようなことが,大変多くあるんではないか痛感させられました。
  そういう意味では,一つは,養育費という,これは先ほど来,この法制審のミッションの範囲に絞った議論をすべきだという意見と,やはり連携,関係している分野との総合的な検討が,どうしても必要となるという意見があったと思いますが,私は後者の方の,私的な責任だけではもう覆い切れないんではないかと,お二人ですね,男性の方と,それからAさんのお話を聞いていて,強く感じました。それが1点目です。
  ですから,確かに家族法制部会でありますけれども,そこで民法の改正に至るまでに,もう少し視野を広く見たいと思います。私が伺っていたところによりますと,この家族法制部会は,民法研究者だけではなく他領域の専門家も入って,総合的に議論するということに大きなメリットがあるんではないか,今までの家族法の考え方を打ち破っていくというようなことを,子どもをどうやって守るか,あるいは子どもの利益をどうやって実現していくかという,外国だと子ども法という範ちゅうになるかもしれませんが,そういうことを使命としていると,個人的には考えております。
  2番目ですが,支援機関のお話を聞いて,特にFPICと,それから明石市長のお話を聞いて,高葛藤の中でもDV事案が,数量的にどうかということは示されませんでしたが,対応が困難であると,支援が困難であると感じました。その背景には,余りにも公的な支援体制が貧弱であり,それを前提として議論しなければいけないと。その中でも,面会交流の問題になりますけれども,DV被害の継続であるという北仲さんの指摘とか,それから,何といっても母親に対する被害の影響と同時に子どもへの影響ですね,それをもっと,これは他領域の専門家の援助が必要かと思いますが,そこまで見ていかないと,本当に子どもの利益,子どもの安全ですよね,安全は守られないのではないかというのが2番目です。
  それから,3番目が海外法制,外国法制なんですが,これは,相当時間がたって,見直しの時期に入っている,今まで前提としてきた価値観とか考え方あるいは制度が見直しされているということに敏感でありたいと思っております。ですから,後からという考えもあるでしょうけれども,事務局の案のように,海外法制を見ておくことが,必要なのではないか。そのときにやはり,外国のことだけではないわけで,日本の課題とどうつながっているのか,関連しているのかという視点が大事だと思います。その意味では,日本の家裁の運用の観点からのヒアリングも必要ではないかなと感じております。
○大村部会長 ありがとうございます。ヒアリングについての個別の感想とともに,これからの議論の仕方についても御意見を頂きました。大きな議論の仕方につきましては,先ほどから御意見が出ているところでございますけれども,海外法制については,最近の状況を捉えるという意味で,少し早めにやった方がいいのではないかという御意見を頂きました。それから,日本の実務の状況についても,という御意見も頂きました。
  では,青竹幹事,棚村委員という順番でお願いいたします。


○青竹幹事 青竹と申します。
  ヒアリングは,非常に参考になり,勉強させていただきました。
  1点目は,子の立場で御報告された方のお話を伺って感じたことですけれども,やはり多様な家族がありますので,法制度を考えていくときに,一律に定めるというのではなくて,共同での父母の子との関わりということについても,必要な場合と不要な場合もあるでしょうし,逆に害になるケースもあるというのも認識されていることですので,硬直的な制度というのではなくて,やはり様々なケースに対応できる仕組みという方向を目指すべきではないかと感じました。
  2点目は,進め方に関わることですけれども,これもヒアリングで,お子様だったという立場でお話ししていただいた方は,面会交流と養育費について,両方重要な意味を持つように捉えられているということが分かったように思います。面会交流も,もちろんマイナスの意味も含めてなんですけれども,マイナスの意味も持ち得るということも含めて検討すべきですので,やはり養育費,面会交流,両方同じように重要なものだという捉え方で検討していってはどうかと考えております。
  それから,3点目に,先生方がおっしゃったことですが,海外の仕組みは参考になりますので検討すべきだと思うのですけれども,やはり一部の国でこういうふうになっているということで,すぐに結論に結び付けない方がいいのではないか,諸外国でとられている制度の仕組みの意味を慎重に検討すべきだと考えております。また,比較する対象の数も増やして,比較していった方がいいのではないかという印象を持ちました。
○大村部会長 ありがとうございました。ヒアリングを踏まえて,家族により様々な状況があるので,その多様な状況に対応できる立法が必要ではないかということと,養育費と面会交流それぞれに重要な課題があるという御認識,最後に海外法制については,それぞれの制度に慎重な評価が必要ではないかという御指摘を頂きました。
  次に,棚村委員,よろしくお願いします。


○棚村委員 早稲田大学の棚村です。
  参考人のヒアリングについては,時間が限られていましたけれども,いろいろな立場の方から御意見を伺い,また御経験をお話しいただき,大変参考になりました。お礼を申し上げたいと思います。
  それから,法制度と支援との関わりについてですが,実は,私の方から最初に,法制と支援というのはセットで考えてほしいということを申し上げました。ただ,私自身がお話しした趣旨としては,法制審議会では,主として民事法制を議論する場ですので,ただ,支援を全く度外視して法制度を作っても,実効性も担保できないし,いいものはできないのではないかという意味で,是非支援も議論の中に入れてやるべきだということを申し上げました。その辺りをもう一回,きちっと確認をしていきたいと思います。理解していただいたと思うのですけれども,ここは法制度の在り方を議論するというのが主であって,ただ,支援というものを全く考えに入れないで考慮せずに作るとすれば,決していい法制度はできないということでお話ししたものです。
  それで,子どもの養育のあり方を見直すということが焦点になっていて,子どもの利益や子どもの権利を守ろうということでは,共通認識が皆さんにあると思いますから,是非,今後の進め方でもそのようにお願いしたいと考えております。前回も,私が言いましたように,民法は,明治民法典として当時の状況下では優れたものができたのですけれども,ただ,時代とか社会の変化に適応するためには,きちっと改めるところは改めざるを得ないということでも,異論はないと思われます。しかし,どの範囲の問題を取り上げるかということでいうと,子どもの養育に関係するのは,親権と監護の法制だけではなくて,未成年養子という,連れ子養子とか,再婚されて養子縁組をされるということもあるので,是非未成年普通養子についても議論するせっかくの機会ですから,すべきだろうと思います。
  それから,財産分与についても,婚姻費用の分担とか,それから財産分与というお金の面のことですけれども,養育費といろいろとリンクする経済状態の問題ですから,これも是非取り上げていただきたいと思います。どこにどんな順番でウエイトをかけてやるかということは別として,せっかくの家族法制を見直す千載一遇のチャンスですから,特に民法を中心とした基本法の見直しである以上,それも取り上げてほしいと考えています。
  海外法制とヒアリングの御希望が結構あったと思うのですけれども,私もアメリカを含めて,イギリスとかコモンウェルスの国々を中心に見ているのですが,本当に比較しようとなると,時間も労力も掛かるだけではなくて,短期間では実態にどこまで迫れるかはかなり難しいところがあります。ですから,もちろんエッセンスということで,先ほども出ていましたけれども,法制審議会で私も協力をしたりしてきたのは,一覧表みたいなのを作って,この項目についてはこういうふうになっているとか,こういう制度があるとか,条文とか書いていただいて,日本法の審議の参考にする。ただ,実際の運用とかそういうところまではよく分からないところもあるので,必要があれば,そういうことについて専門家からコメントを頂くとか,参考文献を付していただくということでよいのではないでしょうか。海外法制については,日本と全く同じように比較するとか実態を知るということは案外難しいところがあるので,日本の法制を作る上で,海外の法制をどの程度参考にできるだろうかという観点でやってほしいと思います。ですから,特別に海外法制についての時間を作るとか,調査の機会を作っていくということよりは,調査報告書や研究論文等の文献を示していただき,本当に必要最小限に限っていいのではないか。ヒアリングも大分聞かせていただいていますから,ヒアリングそれ自体に時間をかけるというよりは,今後の進め方にも関わるのですけれども,養育費,面会交流を含めて,やはり具体的な問題ごとに話を進めていってはと思います。
  それで,私も養育費から検討を始めるということに賛成です。逆に言うと,面会交流については法的には別のものではあるのですけれども,一定程度関連したりしますし,海外法制を調べているとよく分かると思いますけれども,別のものとしてスタートさせたところでも,面会交流をさせてもらえないから養育費を払わないという話が出てきたりして,どうしてもある程度は,別のものとしながらも関連付けてやっていくというところがあります。例えば,面会交流の時間とか共同養育で使った時間,そういうものを養育費の算定なんかで考慮するというところもあります。結局,両方がむしろ一体となって協力をしてうまくいったときは,ある意味では,子どもを応援する経済側面と精神的な側面という場合もあり得るし,逆に,ブレーキになって,むしろ問題をこじらせるということもありますので。その辺りは慎重にすればいいと思います。取りあえず具体的な問題から入っていくということが重要でして,養育費とか面会交流とか,現状がどうなっているのか,現行法の規定がどうなっているか,それにどういう課題があるかという,事務局で整理していただいたような方向で議論をしていただければと思っています。
  いずれにしても,ここでは,民事法制,家事法制,この改正につなげられるかどうかということである点は確認しておく必要があると思います。支援を全く度外視するとか,実情を無視するとか,海外の法制を全く考慮しないという意味ではなくて,ここの場ではその主たる目的に沿って,必要な範囲で参照させていただいたり,資料を用意していただいたり,議論の対象にしていくということで進めていただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。最初に民事法制と支援の諸方策の関係についての御意見を頂きました。具体的な方向性については,親権,監護,それから未成年養子,財産分与といった問題を,一つずつ順次検討に入るべきではないか,まず養育費と面会交流の問題から始めようという御提案を頂いたと承りました。
  また海外法制については,必要な限度でやるということでよいのではないか,なかなか取扱いに難しいところがあるのではないかといった御指摘も頂きました。
  まだ御発言があろうかと思いますけれども,ここで10分休憩させていただいて,さらにヒアリングに関する御意見,御感想を承った上で,次の話題である今後の進め方に入っていきたいと思います。

          (休     憩)

○大村部会長 それでは,再開させていただきます。
  先ほどから,ヒアリングを踏まえた皆様の御意見,御感想を頂いておりましたけれども,更に御発言があれば承りたいと思います。委員,幹事の御発言も頂きたいと思いますし,役所の方々,厚労省ですとか裁判所で何か御発言があれば,そちらもどうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○佐野幹事 もう既に,次の議論をどういうふうにしていくかという話が入っているようですので,そちらについてちょっと希望を申し上げさせていただきます。
  まず,面会交流と養育費の話を途中までやっていたかと思うのですが,やはり私としては,議論をするのは別々の方が議論をしやすいなと感じております。やはり問題の性質が大分違うので,その方がすっきり議論ができるかなと思っております。
  それから,やはり海外法制の研究については,いろいろ議論があるところのように思いますけれども,私としては,是非,韓国の話も聞いてみたいと思っています。特にアジアで,非常に制度が進んでいるところですので,ベースの内容については文献等で頂いて,運用とかについてよく知っている方に聞かせていただくような形で,コンパクトでも結構ですので,具体的にどういった問題が生じているのか,そういった辺りを聞きたいとは思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。議論の進め方について,二つ御意見を頂いたかと思います。
  養育費と面会交流は一応分けて議論を,という御発言でしたけれども,これは,これを続けてやるという前提で,しかし分けてやりたいという御希望だと承りました。
  それから,海外法制については様々な御意見を頂いておりますけれども,韓国も含めてどうかということと,コンパクトに運用の実態などに焦点を当てて行うとよいという御指摘を頂きました。
  ほかに御意見いかがでしょうか。


○藤田幹事 事務局でございます。
  先ほどから御指摘がある民事法と公的支援の関係について,関係省庁との状況を少し申し上げておいた方がよいかと思いまして,一言だけ失礼します。
  御指摘があるとおり,この家族法制部会は,諮問事項との関係で民事法制の検討が中心になるのでしょうが,事務局としては,これまでの議論で皆様から様々な御意見を頂いておりまして,それをできるだけ適切な形で受け止めたいと考えてございます。その中でも,離婚前後のDV被害の問題,さらには公的支援の問題については,特に多くの御意見を頂いておりますが,例えば,DV対策の問題であれば,DV法を所管する内閣府に幹事に入っていただいており,部会の場以外にも,離婚に関連したDV問題の対応で連携を図ろうとしているところですし,公的支援の関係では,特に養育費確保の公的支援がこれまでクローズアップされてきたこともあり,それらを中心に厚労省と実務的な連携の枠組みを設けて,公的支援策の検討をしてきたところであります。ですので,これら御指摘の点は,この部会とは別の形でも,同時並行で関係省庁等としっかり検討を進めて,方向や成果を出せるときにはしっかりこちらに報告・還元して,部会での議論と双方向でやるということを考えておりますし,それが重要であると認識しているところです。
○大村部会長 ありがとうございました。
  そのほかにはいかがでございましょうか。

○水野委員 水野でございます。
  特に今までの御意見と異なる意見を申し上げる自信はないのですけれども,発言をお許しください。ヒアリングでは本当に胸の痛むケースをたくさん伺いまして,改めて,つらい問題で,何とかしなければならない問題だと思いました。ただ,その胸の痛むようなケースは,監護親と非監護親どちら側の立場にもあるわけです。それは,今,事務局からのご発言にもありましたように,育児支援や暴力対策支援がものすごく貧弱だという問題,つまりいわば離婚後共同親権という窓のスタイルを議論しようにも,土台がものすごくぬかるんでいるので,そもそもまずきちんとした家が建っていないという,そういう問題を我々の社会が抱えているのだろうと思います。
  それで,進め方なのですけれども,外国法制のヒアリングという希望が出ましたが,私は外国法制の紹介は,非常に難しいことだと思っております。外国法制は,どこに光を当てるかによって随分イメージが変わってきます。その外国法制は,土台がどういう構造になっているのかということから,全体像を描ける紹介でないと危険で,一部分の紹介ですと,象の一部をなでて,極端な結論が出るということにもなりかねません。そして,日本法は西洋法制と比べますと協議離婚制度がある等,非常に特殊ですし,また,先ほど申し上げたような土台がぐずぐずであるという問題も抱えていますので,まず議論を進めるためには,ある程度論点を絞って進めた方がいいかと思います。
  先ほど小粥委員や久保野幹事から,まずは民事法制の改正という論点ではないかというご意見が出ました。確かに背景の問題を我々は自覚しながら進めなければいけませんけれども,ここでする議論は,やはり民事法制の改正という論点にある程度絞った方がいいように思います。
  ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございます。海外法制は,先ほども御指摘ありましたが,なかなか実情を知るというのは難しいところがあります。そういうことを考えつつ,やる必要があるということかと思います。
  それから,議論は論点を絞って,民事の法改正に結び付くような形で最終的にはやっていく必要があるのではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。
  窪田委員,沖野委員の順番でお願いいたします。
○窪田委員 ヒアリングを踏まえての感想というよりは,専ら今後の進め方ということになってしまうのですが,それでもよろしいでしょうか。議論がそちらの方に移っているのかなと思ったので。
○大村部会長 そうですね。直近で頂いた意見の多くは,議論の進め方の方にシフトしていると思いますので,ここから先は,もちろん引き続きヒアリングの感想を述べていただいても結構ですが,議論の進め方についても御意見を頂くということで,議論の重心を移していきたいと思います。窪田委員,そういう前提で結構ですので,御発言をお願いします。

○窪田委員 もちろんヒアリングの感想についてもいろいろ申し上げるべきなんだろうと思いますが,議論の進め方ということで,今まで出ている論点について,重なることになるかと思いますが,発言させていただければと思います。
  3点ございます。
  一つは,もう先ほど事務局からもお話があったのですが,この法制審の役割と今回できることということは,やはり意識はしておくべきなのだろうと思います。最初に小粥委員から御発言がありましたが,小粥委員は,できないこと,管轄外のことについては議論するなという趣旨では全くなくて,飽くまでそれを踏まえた上で,でも,最後の目的は,民法なり民事法制の改正なのだということを,自覚的に捉えていくべきだったということなのだろうと思います。その周辺の問題が議論できないとその先に進めないというような枠を課してしまいますと,もうちょっと身動きが取れなくなるのではないかなと思いますので,その点が一つ。
  それから比較法,外国法の扱いなのですが,対照的な意見がすごく出ているのだろうと思いますが,これは,外国法を何のために扱うのかということにも関わるかと思います。もちろん,ここには,外国法制,外国の家族法制に詳しい方もおられれば,そうではない方もおられますし,また法律の専門ではないという方もおられる中で,ある程度一般的な外国法の知識を共有しておこうというものであれば,これを早めにやっておいたらよろしいと思いますし,棚村先生からお話があったような一覧性のものをまず作って,概略をお話しいただき,それを出発点にしてということでもよいのかと思います。
  ただ一方で,掘り下げた外国法の紹介というのは,実はものすごく難しいのだろうと思っています。今日,委員から資料で出していただいたもの,オーストラリアに関するものもそうなのですが,非常に立ち入った論文というのも従来から幾つもありますけれども,多くの場合には,やはり一定の,そこから解釈論を導くという性格がかなり強くなっておりますので,単純に外国法の状況,外国の状況を知ろうというのではないかと思います。もちろん議論していく上での参考となるものではあるのですが,それらを全部扱う,それをしないと先に進めないという前提を取らない方がいいだろうと思っております。必要に応じて論点ごとに外国法についてやや詳しく説明をしてもらうということでよいと思いますし,この場合も,私は基本的にはできるだけニュートラルなものをまず出発点とした上で,必要があれば更に立ち入った形でというのが良いと思っています。そういった形での外国法の位置付けの方がいいのではないかなと思っております。
  それから,3点目なのですが,養育費と面会交流の扱いということで,これは,意見の中でそれほど大きな対立があるわけでもないのかなとは思います。私自身も,養育費と面会交流の話,両方とも大事だろうとは思いますし,最終的にまとめる中で,両方ともについて判断を出すべきだと思いますが,セットであるということはあまり強調しない方がいいのかなと思っております。もちろん,養育費の議論をしていって,また面会交流の議論をしていって,最終的に両者の関係として一定の関わりがあるそうだということは出てくるかもしれないですが,それをその時点で,次のステップで扱うべき問題であるのではないかと思っております。
  さきほど棚村先生から,養育費を払わないのだったら面会交流させないというのがありましたけれども,それもよくありそうな話だなと思うのですが,一方で,養育費を払っているのだから会わせろというような形での一体性が出てくると,やはり面会交流の議論というのは出発点でゆがんでしまうのではないかなと思いますので,一応問題としては切り離した上で進めていったらどうでしょうか。切り離すというのは,全く無関係だということではなくて,まずは別の論点だということで柱を立てた上で議論をしていったらどうかなということです。
  今まで出てきた意見とかぶるところも多いのですが,以上3点についての意見でした。
○大村部会長 ありがとうございました。今日のこれまでの議論をまとめていただいたような形になっているかと思いますけれども,まず,法制審の役割に関する捉え方につき,民事法制以外の問題について,議論をしないということではないけれども,最後は立法のあり方,民事法の改正に結び付くような形で議論すべきではないかという御指摘がありました。
  それから,外国法制は,これは研究者の方々がみなさん共有されていることだと思いますが,理解をするというのは本当に難しいことです。そうであるということを踏まえた上で,しかし,一定程度知識を共有するということであれば,ニュートラルな形で紹介していただくというのはよいのではないかという御指摘を頂きました。
  さらに,養育費,面会交流については,一応分けた上で議論はするということでどうかという御意見だったかと思います。
  それぞれについて,異なる御意見も出ておりましたけれども,それを踏まえての御発言だったと理解をいたしました。

○沖野委員 今の窪田委員の御指摘をそのままなぞるような形になってしまって恐縮なんですけれども,同じ項目を3点,やはり申し上げたいと思います。
  一つは,この部会の役割ということで,もうこれは既に,本日問題提起をしていただいたことで共通理解となっているのではないかと思いますけれども,中核としては,法制審議会の部会として,民事法制についての一定の考え方を示すということだと理解しております。しかしながら,取り組むべき問題というものが,民事法制だけで解決するものではないということも共通理解となっており,この民事法制がどう動くか,あるいは,しかるべくように動いていくためには,どういうことが必要なのかという点から,様々な検討が必要だということになってくると思われます。公的支援もそうでしょうし,あるいは民間の団体との協働ですとか,いろいろな形があると思います。
  また,法制度としてどういうものがあるべきかという,その選択においても,他の制度ですとか他のものが関連してきて,こういうことができるのであれば,選択肢Aになるけれども,しかし,そこが難しければ,やはりBになるとか,そういう形で関連してくることが考えられるので法制度だけを独立して論じることもできないと思います。ただ,しかしながら,私たちは全てを同じ比重でやっていくわけではないということは,重々念頭に置いておく必要があるだろうと思います。
  2点目がヒアリングでございますけれども,これまでのヒアリングで,私,途中出られなかったときもあるんですけれども,参加させていただいたところでは,非常に多くを学んだと思います。いろいろな問題,いろいろな経験,そして問題の深刻さ,重さについても,改めて感じ入ったというところがあります。したがいまして,ヒアリングを続けていくということに対しては,更に多くを学ぶ機会だろうとは思っております。
  しかしながら,ヒアリングには一方,限界もあると感じておりまして,様々な御自身の経験を語ってくださるということですが,その経験には,恐らく別の見方もあるだろうと。相手方,あるいは別の立場に立てば,同じ事象が違うように見えてくるとか,違う経験があるということがありまして,そういったことを同じようにヒアリングで補完していくということになりますと,ある意味際限なくなってしまうということがありまして,やはり私たちが最終的に取り組む民事法制の在り方のために,どういうことを考えていくかといったときに,時間も限定されているということもございますけれども,むしろこういうヒアリングが再びやはり必要ですねという指摘がありましたら,正にそれを補充していくというような形で,また,これまでのヒアリングに対し,しかしこういう点も考えなければならないというのは,既にいろいろな専門家の方が知見を持っておられるところですから,そういった留保も十分していくことで,あるいは,今回もそうですけれども,今までのヒアリングになかった,しかし,こういった点が実は重要であるとか,こういった御経験もいろいろとあるんだということは,正に委員や幹事の皆様から伝えてくださって,それを共有しているということもありますので,そういった手法も組み合わせて考えていくべきではないかと思っております。
  同じことは海外法制についても言えまして,海外法制というのは,やはり私たちのこの制度をどういうふうに作っていくかというのに当たって,こういうようなやり方もあるとか,こういう経験もあるとか,そういったことを学びといいますか,それを参照していくものであり,そのための情報入手等としてヒアリングが唯一だとは思われませんので,やはり適宜の方法でということになるのではないか。それもまとめて集中的にということもあり得ますけれども,そうではなくて,例えば,韓国の例でこういうものがあって,こういうところの実態が分かれば,一層参考になるのではないかという御指摘があれば,それについての情報提供ということが,どういう方法があり得るかというようなことで見ていくということもあり得ると思います。もちろん,ヒアリングを否定するというわけではないのですけれども,全てヒアリングをやるべきだということにはならないという前提で,適宜の組合せを考えていくべきではないかと思っております。
  3点目が,具体的な項目につきまして,私も養育費と面会交流というところから始めていくということが適切ではないかと思っております。両者の関係につきましてなのですけれども,これも,ヒアリングですとかこれまでの皆様の御意見を聞いてということなんですが,私は,子どもの養育に親が共にそれを担っていかなければならないと,そういう義務を負っている中で,養育費というのは経済面での担い方ですし,面会交流,あるいはそれだけではないかと思いますけれども,というのは,交流ですとか先ほど精神的ということも言われたと思いますけれども,財産法的にいえば現物給付的ということもあるのかもしれませんけれども,そういう点からの様々な義務を果たす手法の一つと考えますと,両者というのは関係している,あるいは,子どもの養育という点からは,その一環という形で位置付けられるというものではないかと思っております。
  しかしながら,具体的な内容というのはそれぞれかなり違っておりますので,これを一緒に論じていくということの意味がどういうことなのかということで,結局やはり養育費というのはこういうふうに,面会交流というのはこういうふうにというような形で論じていかざるを得ないのではないかと思います。
  両者の関係につきましては,今申し上げたような大きな位置付けといいますか,視点の中で,両者というのをどういうふうに考えていくかという問題と,非常に個別的な点で両者を連動させて考えるのかという問題があり,出てまいりました面会交流がブロックされるならば養育費は払わないとか,あるいは,面会交流をしているなら養育費を減じるべきだとか,これというのは非常に具体的なレベル,それぞれの中身のレベルで両者を関連させ,あるいは連動させていくという考え方ですけれども,果たしてそうかと。そもそもが,子どもの養育というのを担う,あるいは,それが義務であるならば,面会交流をしていても,子どもの養育に費用が必要ならば,それは負担しなければいけないということになりますので,一方が負担できなければ他方が負担すると,中の分担ですとか,最終的な精算をどうするかというのは,また別途考えられると思いますけれども,それはちょっと具体的に立ち入りすぎかもしれませんけれども,そういう具体的なレベルでの関連性があるのかどうかというのは,それぞれの制度を考えた上で,さらに最後,両者の関係性というようなことで考えていくというのがよろしいのではないかと思っているところです。
○大村部会長 ありがとうございました。先ほどの窪田委員の御発言とほぼ対応する形で御意見を頂いたと思います。
  特に最後の3点目ですね。養育費と面会交流について,大枠での捉え方と個別の制度のレベルでの捉え方とを区別して考える必要があるのではないかという御指摘を頂いたと理解をしております。
  それでは,杉山幹事,落合委員の順番でお願いいたします。

○杉山幹事 幹事の杉山でございます。
  私も,これまでのヒアリングで様々な立場の方からの御意見をうかがう機会を頂き,大変勉強になりましたため,感謝申し上げたいと思います。
  私も,このヒアリングに対する感想というよりは,むしろこれからの進め方に関しての意見になりますが,また,既に窪田先生と沖野先生からいただいた御意見とほぼ同じようなものになりますけれども,私自身も,基本的に検討対象を民事法制に絞って,また,事務局が提案されたように,養育費,面会交流の問題からまず議論するという方向性に,基本的に賛成しております。
  先ほど事務局から御紹介がありましたように,例えば,養育費の問題に関しましては,公的な支援とか,あるいは公的な徴収や立替制度の在り方について,他の省庁との協働の上で検討が進められているようですが,少なくとも民事法制,民事執行とか家事手続などの見直しについては,こちらの法制審に委ねられていると理解しておりますので,民事法制については,こちらで議論をするということが必要であると思います。
  また,場合によっては,養育費とか面会交流の問題でも,手続的な面を先に議論するということもあり得るのではないかとは思っております。例えば,養育費の請求権が子の権利か親の権利なのかとか,両親が別居中の取扱いをどうしたらいいのかといったような問題もありますが,実体法の本質的な論点であって,大きく意見の対立する可能性もあります。これらが最終的にどのような方向性になったとしても,手続的な問題,つまり,養育費回収ができない人について手続的な手当てを施すべきだという方向性については,大きな異論はないと思われますし,手続自体は,実体法の議論からはニュートラルなものとして作ることが可能であると理解をしておりますので,場合によっては,手続的な問題から議論を始めて,実体面の方向性がまとまっていけば,その影響が及ぶ範囲で手続についても再度見直すのがよいと思います。一読,二読という機会もありますし,前提が変われば,別途個別に修正していくことはあり得ると思います。
  また,特に養育費に関しましては,これまでのヒアリングの中でも,実際に払われていない実情があることが伺われましたし,これまでにも養育費があまり払われていないことを示す調査があったり,その原因や具体的な問題点が明らかになっているので,議論がしやすいと思います。ヒアリングとか本日の御意見でもあったように,特に面会交流に関して,強制をするのはどうかというような御意見などもあるかと思いますが,他方で,履行を求めたくても,それが実現できないという現状があるのであれば,それを改善する必要性があることは確かでありますので,この問題を先に議論するというのがいいと思います。
  もちろん,これも前の御意見にあったように,面会交流が強制にどれほどなじむのかとか,あるいは後に事情の変更があったらどうするのかとかいったような問題や,養育費と面会交流について今後手続を構築するに当たって考慮要素が違うのかといった点については,今後具体的に詰めていけばいいと思いますけれども,少なくともこれらの問題については,方向性について,この部会全体で大きな意見の対立が出てこないのではないかと思われ,具体的に議論を進めていくのになじみやすいと思います。
  また,これも,ほかの先生方の考えと一緒でありますけれども,海外法制に関して,一覧表を頂くというのは非常に役に立つ,参考になると思っております。他方で,例えば,養育費の回収方法の問題一つをとっても,公的徴収の在り方などについて様々な法制度を並べて比較してみたことはあるのですけれども,その背景にある制度,手続法も実体法も含めて,さらには裁判制度も含めて,どこが違っているからこのように違っているのかというところから立ち返って考えないと結局分からない問題であり,そうすると,たとえ1か国であっても,かなり比較は難しいと思いました。それもありますので,一覧表は参考にさせていただいて,必要があれば少し深めていく,方法はヒアリングなのか文献調査なのか,どれがよいのはちょっと分かりませんけれども,詳細に見ていくのがいいのではないかと思っています。
○大村部会長 ありがとうございました。最初に全体として,事務局で一案を作られたような進め方に賛同するというご趣旨の御発言があったと思いますが,具体的な問題については,養育費から始めるということで,手続を先にすることも考えられるという御発言がありましたけれども,狭い意味での手続ということではなくて,何をどうするのかという問題で,具体的な議論ができて合意が形成されやすいものからやっていったらいいのではないかという御趣旨の発言としてと伺いました。
  外国法については,もう既に御指摘があるところですが,なかなか扱いが難しいので,慎重な対応が必要ではないかという御意見であると理解しました。
  落合委員,それから菅原委員に,お願いしたいと思います。


○落合委員 落合です。
  ちょっと不協和音というような感じになるかもしれないんですけれども,お話を伺っていて,法学者の方たちのカルチャーってこういうのなのかっていうのを感じました。それは,世間の多くの人たちも思うかもしれませんので,何を思ったかを共有させてください。
  一つは,法制度を変えるのが目的なのだから,支援とかのことは二の次というか,ということになるというような話をされているわけですけれども,社会を変えるために法を変える話をしているんですよね。この社会で今何か問題が起きているから,法を変えることでそれが解決できると思っているから,これを議論しているんですよね。例えば,離婚して子どもを育てているお母さんが経済的に苦しいと,子どもを育てるのが大変だということで,養育費の徴収の仕方を法律にどう書き込むかという話をしているんですよね。そうであれば,夫から取り立てられないときは公的な支援でとか,幾つかの方法でその問題を解決することを考えて,そのうちの一つとして,この法改正の話をしているんだと思うんですね。
  法の社会的な機能というのは,法社会学の中でもそういうふうに論じられていると思いますけれども,社会の何をどう変えるために,今,法を変えるんだと話をしていないと,やはり何をしているのか,ちょっとはたから見て分からないと思うんです。ですから,支援の話とか運用の話とか,そこは必ずしも切り離さなくていいというような論調もありますけれども,基本的には切り離さないものだろうと。ただ,法の整合性を議論するときには,テクニカルに法だけの議論をすればいいと思うんですけれども,全体としては,一体として話さなかったら何の意味があるんだと,私は思います。
  不協和音だと思うんですけれども,社会科学一般をやっている者,あるいはこの社会を生きている者としては,そういうふうに思うということを,ちょっとお伝えしたいんです。
  それから,外国法の話ですけれども,すごい一国主義ですね,今日の御議論は。法学が一国主義なのは知っていますし,それは,法が国ごとにできているから,当然そうなんだというのも知っていますけれども,外国法とすり合わす必要もあります。今や人の移動も多いし,家族も国際化していますので,結構それで問題が起きているわけですよね,連れ去りのこととか。日本はそういうことで批判をされているわけですよね。ですから,国際的にハーモナイズするというのは,やはり一つ考えておくべきことだと思うんです。世界の中のガラパゴスにならないために。だから,日本の中の法を変えるために,参考になるから見る,でも十分に参考にするほど深くは見られないから,余り見なくていいとか,そういう議論をしているのではなくて,国際的な家族が生まれているときに,ある程度,これから世界のルールが向かっていく先というのを想像して,そこに一緒に進んでいくように作っていかないと,浮いてしまうと思います。
  こんなことは,本当は言わずもがなだと思うんですけれども,そういうことが海外の例を見るときの目的なんだということを,言葉にしておきたいと思いました。
  あと,ヒアリングについてですけれども,本当は皆さんも多分遠慮して言っていらっしゃるんでしょうが,今までの実務でもっと御存じなんですよね。みんなで共通して話せる事例をということで,ヒアリングをさせていただいたということだと思っていまして,実態が分かってよかったということではないと,ちょっと気を付けて話をしていった方がいいように思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。落合委員は最初に不協和音ですが,とおっしゃいましたけれども,あえて挑発的な御発言をされたと受け止めております。
  ほかの委員,幹事から反論もおありかもしれませんけれども,私が今伺ったところを受け止めて,整理をさせていただきたいと思います。
  まず,最後の点です。ヒアリング,それから外国法調査もそうですが,それで何か客観的な,私たちが議論のベースにできるような確かなものが分かるのかというと,それは必ずしも分からないという認識は皆さんもお持ちなのだろうと思います。特に外国法について皆さんがそういうことをおっしゃったんだろうと思いますけれども,法改正を考える上で,私たちが気付かなかったことに気付くきっかけになる,発想の幅を広げることができる,そうしたものとして,ヒアリングや外国法の調査というのを受け止めておられるのではないかと思います。ここまで委員,幹事からは,こういうことに気付いた,こう考えるきっかけになったという御発言があったものと理解しております。ですから,外国法の調査をこの後に行うという場合についても,どういう目的でこれを行うかということについて考える必要があるのだろうと思って伺いました。
  それから,前の点ですけれども,これも落合委員は,わざとおっしゃったんだと思いますが,皆さん,この部会で民法あるいは民事手続法について立法に向けての議論をするというときに,法改正以外のことについて全く考慮に入れないとおっしゃっている方は,おそらく一人もおられなかったと思います。ただ,有益だろうと思われる基礎作業を全てやった上でないと立法はできないと考えると,今回のミッションを果たすことは難しいのではないかという御意見であったと受け止めました。
  これは,先ほどもお話がありましたけれども,DV問題については内閣府でその検討が進んでいる,子どもの福祉に関しては厚労省で検討がされているということで,それぞれ異なる立法で子どもの問題について対応がなされつつあるので,それぞれと連携しながらやっていくことが必要だろうということで,先ほどの御発言があったと受け止めました。それはそれで必要なことで,それぞれがそれぞれの立場から考えるときに,どこまでのものを視野に入れて行くのかということではないかと理解しております。
  答申に向けて報告書を書くときに,純粋な立法上の提案以外のことを,どの程度どのような形で書けるのかという問題は,報告書の書き方の問題としてもありますので,後の方で御検討をいただきたいと思います。
  ここでさらに立ち入った論争をするのはなかなか難しいと思いますので,落合委員,今のように受け止めさせていただくということでよろしいでしょうか。
○落合委員 はい,どうもありがとうございました。
  おっしゃるように,論点がはっきりするようにわざと言いました。ありがとうございます。
○大村部会長 ありがとうございます。


○菅原委員 菅原です,よろしくお願いします。
  ヒアリングについては,ほかの委員と共通するところが非常に多いのですけれども,発達心理学の立場で参加させていただいているという点で,特に前半のところでお話を頂戴しました,離婚を経験したお子さんの立場からという3名の方のお話からは,これまで様々発達心理学の中でも言われてきた,子どもにとって養育費の問題,経済の問題が重要であるということ,それから希望や事情に沿って面会交流が自由にできることの大切さ,また発達段階によって子どもの希望や事情はいろいろ変わっていくということを踏まえることの重要さを確認することができました。また,子どもが相談できる場所があることが大事だということも出てきましたが,その辺りにつきましては,子どもにとって重要なことであるというエビデンスも既にあるところですので,今後の法制度の制定のところに生かしていただきたいと思います。
  明石市の泉市長のお話も大変感銘を受けました。非常に細やかな制度をもう作っていらっしゃって,地方行政の中で実行されているというところで感銘を受けたのですが,泉市長が出された資料の中に,法制審議会へのお願いというものがありまして,1番目に子どもの権利の明確化というところで3点挙げられていました。子どもの権利としての養育費の請求権と面会交流を求める権利というのを明記してほしいということ,また離婚に際しての子どもの意見表明権の保障をしてほしいという3点でした。この辺り,私は法制度の専門家ではないので,今回の改正の中でどう生かされるのか詳しくは分からないのですけれども,是非これらが実現される方向性で,子どもの権利として位置付けていただけるような法制度の議論を本部会でしていくことが必要だと思っております。
  今後の進め方ですが,親権,監護権,それから未成年養子の問題,財産分与権は全て離婚後の子どもにとって非常に重要なことですので,一通り議論を先に進めていただいて,適宜必要なものはまたヒアリングをしていくという方法に賛成です。
  それから,海外の制度については非常に奥が深いことだということも分かりましたが,やはり一覧表にしていただいたガイドがあると,私たち領域外の者もおりますので,有り難いと思います。その際に,公的な支援の制度を持っている国については,そのことも一緒に一覧表に入れていただけると大変有り難いと思いました。
  以上です,よろしくお願いいたします。
○大村部会長 ありがとうございました。ヒアリングについての感想のほか,進め方として,一通りまず全体を見渡すことが必要で,子どもの権利という観点から,そうすることが望ましいのではないかという御意見,それから,外国法については,一覧性の高い資料というのが欲しいという御要望を頂きました。
  そのほか,御発言いかがでございましょうか。はじめに,ヒアリングについての感想をと申し上げましたので,最初の方で発言された委員,幹事の中には,進め方ということであれば,また別途意見があるという方もいらっしゃると思いますので,そういう方々の御意見も含めて御意見を頂ければと思いますが,さらに御発言はございますでしょうか。

○武田委員 進め方ということで,ちゃぶ台をひっくり返すわけではないんですが,私は元々,やはり離婚後の子の養育の在り方,ここは議論が錯綜するとか空中戦になるとかという御指摘はそのとおりだと思うんですけれども,本来はそこから方法論として入り,面会交流,養育費ということには個別論として入っていく,そういうアプローチの方が元々はよいのではないかと思っておりました。ただ,今日の先生方のお話をいろいろ聞きまして,養育費と面会交流から分けて検討するという流れについては,それはそれでアプローチとしてよろしいかと思いますので,賛同いたします。
  これも委員の先生方皆さんおっしゃっていただきましたが,面会交流,養育費ともにどちらも重要ということの共通認識の上で,進め方をどう進めていくのかというお話になろうかと思いますので,大筋後半の先生方がおっしゃっていただいた進め方に賛同をいたしたいと思います。
  ただ,やはり私どもは当事者団体でございますので,この養育費と面会交流の関係ということに1点だけ,意見を述べさせていただきたいと思います。
  養育費の重要性,全く異論ございません。子のための養育を考えた場合,養育費という経済面,非常に重要です,ただ,それのみで本当によいのかというところが,非常に私どもが昔から懸念を持っているところでございます。面会交流ができなければ養育費を支払う必要はないと,こういう条件付けは,当然間違いだと思っています。しかしながら,一方,養育費について合意がある,合意どおりに遅滞なく養育費を払っている,しかしながら,一方,面会交流に関しては,裁判所の調停に話合いを委ねて,約1年は合意に至らない,合意に至るまで1年掛かる。合意した場合も,月1回2時間程度という,現状の相場かと思っています。昨今,1年以上,このコロナの影響で親子の交流が断絶してしまっているというケースも非常に多くなっています。法務省さんからの1年前に見解が出ましたけれども,あれで改善する兆しは正直ございません。そういう相談が今,止まらないような状況であること,当然DVはない前提でのお話でございます。こんな中,心がおかしくなったり,それによってリストラされたり職を失う,こういう例も散見されます。
  先生方にお伝えしたいのは,子どもとの交流が多ければ養育費が適切に支払われるという関係,これは,私がこれまで別居親を支援してきた中,実感としてございます。子どもと離れて暮らす親の気持ちとして,是非先生方に御理解いただきたい。すなわち,面会交流を適切に実施するということは,養育費の確保にもつながる。養育費を数年払って終わりとは思っておりません。やはり支払い続けること,これが非常に重要だと思っております。そういった継続的な支払を確保するという観点からも,面会交流の適切な実施を図ることは重要なのではなかろうかと,こんなふうに思っております。
  また,先に面会交流がなされるケース,安全・安心にきちんと面会交流ができたということになりますれば,養育費の請求をちゅうちょしていた監護親の皆さんに,安心して養育費を請求する動機付けにもなろうかと思っています。したがって,子どもたちのためにも,具体的な議論の順序は別ですけれども,関連付けて議論させて終着点に至るのがよいと,このようなことを皆さんにお伝えしたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。養育費と面会交流とを一応分けて議論をするということでも構わないけれども,しかし,その間には関連性があるということについては,留意をして議論を続けたいという御発言として受け止めさせていただきました。
  ほかにも御発言があろうかと思いますけれども,今,具体的な議論の順番の話も出ております。部会の最初で説明がありましたが,事務当局の方で議論の進め方のたたき台として,ごく大まかな一案を作っていただいておりますので,具体的なイメージを持ってこの後のことを考えるために,これについて説明していただいて,更に御意見を頂いたらいかがかと思います。事務当局から御説明を頂けますか。

○藤田幹事 それでは,家族法制部会の進め方に関し,お手元の事務局たたき台一案について,簡単に御説明いたします。
  これは,この部会の全体の進行について大枠のイメージをお持ちいただくとともに,これから具体的にどういった形で検討を進めていただくかの御議論の参考に,これまでの部会で皆様からいただいた御指摘等を踏まえ,事務局で飽くまで一案としてたたき台をお示しするものです。これも参考にしつつ,自由に御議論を頂ければと思っております。
  この部会は本日が第4回会議となり,これまでに養育費の検討,面会交流の検討に着手して,事務局から部会資料3を出させていただいております。
  今後の進め方として,第5回以降ですが,積み残しの課題のほか,これまでの議論では,海外法制の情報,それから発達心理学といった関連の専門分野について,今回の検討に関連してヒアリングを実施してはどうかという御意見が出たことを踏まえ,まず,専門家ヒアリング等を位置付けております。ただ,本日に御議論があったとおり,どういう位置付け,目的の下で海外法制等のヒアリングを実施するのかについては,もう少し詰める必要があるかと拝聴したところです。
  第6回以降の議論ですが,法制審の全体的進行として,一通り議論してそのまま終わるというような扱いではありません。基本法制の在り方という重要な課題を御議論して頂くということになりますと,まずは一通り,一巡目の検討をして,さらにそれを反映してブラッシュアップした形で二巡目の検討に入っていくことになります。さらに,検討のプロセスとして,中間的な方向性を示す中間試案の作成とそれに関するパブリック・コメントの実施,さらには最終的な法案化を見据えた要綱案の取りまとめということで,段階を追って議論をしていただくことが通例となります。そういう意味では,一巡目の検討というのは,事務局から第1回会議に検討事項の例を示したように,既にこれまでに指摘のある論点や課題について一通り幅広く御議論をしていただくということが考えられます。その観点から,年内に予定されている第6回から第10回までの会に順に検討を進めるという形を,一つの進め方の案としてお示ししているところです。
  具体的には,第6回から順に,離婚後の子の養育に関する問題,子の意思・意見の考慮に関する問題,離婚制度以外の関連する問題の検討,未成年養子制度の検討,財産分与制度の検討と,五つの課題を掲げております。これは,今回の諮問の中核である離婚という事象に着目して,離婚時,離婚後,さらにそれを通じて関わる子どもの意思等に関する課題を初めに挙げた上で,周辺的な,例えば別居の問題といった御指摘もこれまであったかと思いますが,そういったものが,離婚制度以外の関連する問題ということになろうと思います。さらに,父母の再婚に伴う未成年養子の問題,さらには,広い意味で子の成長に資する夫婦間の財産分与を挙げています。こういった課題をどういった形でどのように議論するかということにつき,この場で御議論いただければと思っております。
  事務局からの説明は,以上です。
○大村部会長 ありがとうございました。今,説明があったとおりですけれども,皆さんから御意見を頂く前提として,私の方で不正確なところがあるかもしれませんが,多少補足させていただきたいと思います。
  委員,幹事から既に御発言があったところですけれども,本部会では最終的には,法改正に向けての要綱案を取りまとめることになります。要綱案は,諮問に応じた民事法の改正の原案の形を取ったもので,条文に非常に近い形のものを答申することを目指すことになります。これには補足説明が,事務当局によって付けられるのが通例です。その中では,なぜこのような立法が提案されるのか,このような立法をする前提として,現行法にどのような問題があるのか,改正をすることになると,どういう問題が生じそれについてはどう考えるのかといったことについて解説がなされることになります。このように最終的には,民事法制に関する立法案を提案するということになりますが,それ以外のことにつきましては,補足説明の中で,立法案を提案する際に考慮された事情として書き込まれる,こうしたイメージで捉えていただけるとよろしいかと思います。
  最終的な要綱案の取りまとめに至るまでに,先ほどお示しいただいたように,何度か全体を見直すことになります。第一読会,第二読会,第三読会などと呼ぶこともございますけれども,まず中間試案の取りまとめに向けて議論を行う。その後は,この中間試案をパブリックコメントに付して,パブリックコメントで出てきた意見も考慮しつつ,順次問題を絞り込んでいって,最終的な案を取りまとめる。こういうプロセスで議論を進めるというのが通例かと思います。
  そこで,一巡目の議論にあたっては,何を問題にして,どのようなことについて提案をしていくのかということを,おおよそ定めていくということが,大きな課題になるかと思います。事務当局からは,現在議論を始めたところである養育費,面会交流の問題に関し,次回も部会資料3について更に検討した上で,夏休み明けからはその他の問題について一通り順番に見ていくという案が示されているということかと思います。
  これは,最初に藤田幹事から話がありましたように,たたき台としての一つの案ということですので,自由に御議論を頂ければと思います。
  大きな方向性については,先ほどから幾つかの案が出ていて,ある一定の方向のようなものは,大まかには示されているように思いますけれども,皆さんからは,それを踏まえたとして,様々な御意見が更にあろうかと思いますので,御意見を頂ければと思います。
  どなたからでも結構ですので,御意見を頂ければと思います。
  それでは,大石委員,原田委員の順でお願いいたします。

○大石委員 千葉大の大石です。
  最初に,菅原委員から御報告をいただきたいという話をしましたが,最終的な答申に向けて,法律,法体系を整えていくということと,ソフト面といいますか,それを可能にするような体制とか支援作りというのは,車の両輪のようなものであり,両方とも共に進めていかなければいけないと思います。
  その中で,子どもの意見ですとか子どもを中心に据えた新しい制度を実現するに当たっては,子ども自身の意見をどのように聴取する体制を整えるのかとか,どのように聞くことが可能なのかとか,そういったことについての知見をやはり必要としていると思いますし,そういった人材育成も必要ということは,明石市長からのお話でも伺ったところです。私が菅原委員にお話を伺いたいとお願いしましたのは,特にそれが念頭に,まずどのような専門性を持って,子どもの気持ちを聞いたりとか,意見が表明できるような環境を整えるのかとか,それが実現しない場合には,子どもの発達にどのような影響が及ぶのかといったことについて,早いうちに知見をお伺いしたいという希望がありましたものですので,最初にあのようにお話をしたという次第です。ちょっと付け加えさせていただきたいと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。御希望は承りました。
  今の御発言を頂いて,先ほどから挙がっている幾つかの項目のうち,海外法制のヒアリングと子どもの心理面についてのヒアリングについては次回にということになっていますので,この部分についてまずお諮りしたいと思います。原田委員の御発言がもしそこに関わるのであれば,御発言を頂いた上で考えたいと思いますが,それ以外のことに関わるのであれば,私がもう少し話してよろしいですか。
  分かりました,ありがとうございます。
  それでは,進行について,決められそうなところから御提案していきたいと思います。
  まず,大石委員から,菅原委員にお話を頂きたいというお話がありました。この部会のメンバーであられるので,お話をしていただけると言っていただければ,次回のセッティングはこの場で済みますので,もしお話しいただけるということであれば,次回にお話を頂いたらいかがかと思っております。菅原委員,もしお願いをしたら,お引き受けいただくことは可能でしょうか。
○菅原委員 微力ながら,皆さんの御希望があれば。
○大村部会長 ありがとうございます。お引受けを頂けるということですので,もし御異論がなければ,そのようにしてはいかがかと思います。


 赤石委員,どうぞ。
○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。
  菅原委員が家族法研究会で御発言くださっていたレジュメ等を拝見させていただきました。すごくいろいろな研究データに基づいての御発言だったかと思います。
  私がやはり知りたいのは,親が葛藤状態にあるときに,子どもが面会ですとかしたときに,果たしてそれが利益になる,利益にならないというところの状況の調査があるのかどうか,ないのであれば,ないで結構なんですけれども,そこが何かちょっとオブラートのようになっていたので,是非その点をきちんと知りたいなと思っておりまして。元々コミュニケーションできて仲がよければ,いい結果が得られるのは当たり前,ごめんなさい,そんな素人の言い方をしてあれなんですけれども,そうではない場合にどうしたらいいんだろうというところを,私たちが苦慮しているんだと思いますので,そこが,ある程度手探りでも分かるといいなと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。今のような御要望が出ておりますので,それも踏まえてお話を頂くということでお願いしてよろしいでしょうか。赤石委員,そのような形でお願いするということでよろしいですか。
 菅原委員で御準備を頂けるということであれば,それでお願いしたいのですが。
○菅原委員 はい,かしこまりました。
○大村部会長 では,そのようにさせていただきます。
○佐野幹事 もし菅原先生に,こういったところも聞きたいということが事前にあれば,事務局の方にお送りさせていただく,もちろん答えていただけるかどうか分かりませんけれども,そのような形でよろしいですか。
○大村部会長 菅原委員には,もしかすると皆さんから更に御希望が出るかもしれませんが,可能な範囲で御勘案を頂くという形でよろしいでしょうか。
○菅原委員 はい,可能な範囲で対応したいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。では,そのようにさせていただきます。
  次に,外国法ですけれども,これについて本格的なヒアリングをするということになると,これは大変なことになるということで,少し慎重に考えた方がよいのではないかという意見が,かなりたくさん出たと認識しております。
  他方で,今までのヒアリングと同様,この先法改正を考えていく上で,外国法について一定のことを知っておきたいとお考えになられる委員,幹事の方も少なくないと思います。
  民法専門の方々は,それぞれ諸外国の制度について御存じのことが多いと思いますけれども,部会のメンバー全員がそれを共有しているわけではございませんので,一度,御了解が得れるようであれば,次回のうちの一定の時間を割いて,ニュートラルな形で制度がどうなっているのかについて御報告していただき,それとの関係で,皆さんの御関心に応じて質問をしていただいて可能な範囲でお答えをいただくことをする。あとは,特定の点について何か必要が生じた場合に,どなたかに来ていただいてその点に関する知識を補う。こうした形で外国法調査をしたらいかがかと思います。
  既にある調査について,一覧表を作っていただくということも,できれば事務当局にお願いしたいと思います。一覧表は便利ですけれども,しかし,読み取るのはそう簡単でもないところがありますので,それだけで外国法についての一定の理解が持てるかというと,それも難しいところです。
  そういう限界がいろいろあることを前提にして,外国法について少し聞いてみたらどうかと思いますが,窪田委員から手が挙がっていますので,御意見を伺いたいと思います。

○窪田委員 外国法の部分について,追加でお願いということになるのかもしれませんが,一覧表を作るのは大変だろうと思いますし,論点ごとに作るとしても,かなり整理が大変なのだろうと思いますが,それ以外に一つお願いしたいのは,先ほども少し出ておりましたが,面会交流についてなのか養育費の問題についてなのか,問題ごとによって違いはあるとは思うのですけれども,外国法についての資料というのは,既に文献資料としてある程度あるかと思います。
  先ほど出ていた話の中では,場合によっては,参考文献として挙げてということではあったのですが,そうした資料を参考文献として挙げられても,実際にアクセスするというのは,全員にとってそれほど簡単であるわけでもないと思いますので,法的な問題が生じない形で,うまくそれを委員に配布していただくようなことができないかなという,これはもう単純な希望ということでございます。
○戒能委員 今の外国法制なんですけれども,一覧表も必要だと,大事だと思うんですが,もう一つ私が希望しているのは,特に面会交流に関しての新しい動きです。見直しということになって,英国司法省から報告書が2020年6月に出ております。それは,日本でいう家裁の実務の検証をしているわけですね。今までは親子関係の継続性というのが子の福祉を促進するんだという推定規定が児童法にあったんですが,それが,実際の運用でどうなのかということを検証しています。そのきっかけとなったのが,2004年と2016年に出ているんですが,いろいろな事件が起きており,事件の報告書が,ウィメンズエイドという,日本でいう女性支援の団体の連合があるんですが,そこがまとめて,それに裁判官が反応をして,実際どうなっているんだろうか,どこが問題なんだろうかということをかなり,検証しているという報告書が出ています。そうすると,これは,今の日本にとても参考になるのではないかと考えます。
  ですから,報告書を全部自分で読みなさいというのは結構大変なものですから,専門家がもしいらっしゃるならば御紹介を頂く。それを基に議論をするということも,大変有益なんではないだろうかと考えるのですね。ですから,単にこういう法制度がありますということではない,そういう動きも紹介して,共有をするということも必要なのではないかと考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。


○赤石委員 私,先ほど,日本の家裁実務について,やはり振り返りが必要ですということを申し上げて,多分,皆さんも結構御賛同いただけるのではないかと思います。だから,それを議論の中に持ち込むときに,さらに,今,戒能先生おっしゃってくださったように,英国あるいはオーストラリアですね,2006年に法改正をして,かなり両親が均等に子どもの時間を持つみたいな法改正をした後に,2011年,2019年と二度の法改正をしている。これはなぜ起こったのか,やはりいろいろな弊害が起きてきたからだということを聞いております。
  こういう動きを踏まえて,日本は一体今,どこに向かっていったらいいのかということが見えてくるだろうと思いますので,日本の振り返りと,それから海外でのこういった新しい動きについてのヒアリングというのが,多分両方があいまって,私どもが子どもを本当に大切に育てられる,そういう社会にするために,参考になるのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。幾つかの御発言を頂いたかと思います。
  私が申し上げたのは,ともかく最小限の事柄であっても,まず次回に情報を共有しましょうということでした。その上で,戒能委員からは,イギリスの報告書を紹介してほしいという御要望があり,赤石委員からは,最近の動向に焦点を当てた形での外国法を知りたい,あるいは日本の状況も併せて知りたいという御発言があったかと思います。
  最近動きがあったようなところについては,ヒアリングの中に入れていただき,こういう動きがあったということをご紹介いただいて,それについて皆さんから質問をしていただき,その背景についての御発言を聞くことで,差し当たり対応できるかと思います。他方,外国の報告書の内容や,家裁の実務状況ということについては,次回直ちにということにはならないのかもしれませんが,それは,可能な時期に対応を検討していただくといった方向で,事務当局の方で考えてもらえますか。
○藤田幹事 いろいろと貴重な御示唆をいただいたかと思っていますので,今,部会長におまとめいただいたような形で,事務局としてできる範囲で,次回に向けての準備は可能かと思います。
○大村部会長 実務については,裁判所の方とも相談,調整が必要と思いますので,多少時間が掛かるかもしれませんし,報告書もそう簡単には対応できないということがあると思いますので,少し時間を頂ければと思います。
  そういう留保した上で,次回,一定の時間を使って外国法について話を聞くということについては,いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
  どの国を対象に具体的にやるかということにつきましては,先ほどから具体的な国の名前も挙がっています。多少の時間がありますので,御希望があれば事務当局まで早急に寄せていただき,次回の使える時間との関係で絞り込みが必要ではありますが,それについてはお任せいただくということで調整させていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
  また,次回の会議に来ていただくという形ではなく,資料を出していただく方法も含めて,検討させていただければと思います。
 外国法については以上のような扱いにさせていただきます。
  そのほか,家裁実務やその他の資料についても,さらにこういうものが必要ではないのかという御要望も出てくるかと思います。それは,随時皆さんの御意見を伺って,可能な範囲で組み込んでいくことにしてはいかがかと思いますが,これは,全体の進行にも関わってまいります。
  全体の進行については,取りあえず,外国法のヒアリングと残っている養育費と面会交流の議論は次回に行うとして,夏休み以降にこの部会で扱う課題を順に見ていこうというのが,事務当局の今後の進行案になっています。その過程で,繰り返しになりますが,必要であればヒアリングや調査等を行っていくということで進めることについて御意見を伺いたいと思います。
 先ほどから原田委員に待っていただいたので,まず原田委員から御意見を頂きたいと思います。

○原田委員 手を挙げたのは,海外調査の件で,一覧表のことなんですけれども,すみません,事務局に御負担を掛けるとは思いますが,先ほど公的支援についても入れてほしいという御意見があったと思いますが,それを支えている,例えば,裁判所の物的な規模とか事件数とか,そういうものも入れていただけると有り難いなと。難しい注文かもしれませんが,一言付け加えさせていただいて。
 今後の進行の問題ですけれども,6回から10回の間に5項目入っていますが,DVをどう切り分けるかというところについて,検討会では安全・安心な面会交流ということが言われていましたけれども,では,どうやって安全・安心な面会交流を確保するのかというところの議論がちょっと少なかったのかなと思っています。
  この中で,例えば,子の意思・意見の考慮に関する問題というのは,全てのところに関わってくる問題だと思うんですけれども,DVをどう切り分けるかというところも,やはり全てのところに関わってくる問題だと思いますので,それを1項目入れていただきたいなと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。DVについて全体的にどうするかということは,先ほども話題になりましたが,内閣府の方で対応いただくことも必要になるかと思いますけれども,この部会で扱う民事法の問題についても,DVが問題になったときに,それをどのように考えるのかということについては,どこかでまとまった形で議論をしたいというのが,今の原田委員の御希望であると捉えてよろしいでしょうか。
  これは,今回のたたき台の中でいうと,どういう位置付けになりますか。
○藤田幹事 事務局です。
  原田委員から御指摘があったDVの問題というのは,我々としても当然念頭にございます。このお示しした進め方の一案では,独立の課題というより,各検討課題のいずれでもそれぞれ問題になると考えており,その前提で位置付けております。具体的には,これから御議論いただく養育費と面会交流の場面でも問題になってまいりますし,その後の離婚後の子の養育から財産分与まで,全ての検討課題のところで,それぞれDVの取扱いや対応が問題になってくるかと思っております。そこで,このたたき台では,各課題,論点のところでそれぞれDVの問題を関連付け必要に応じ取り上げようと,そういう認識で整理していたところです。
○大村部会長 今のような御説明ですけれども,いかがでしょうか。

○赤石委員 DVの問題は,全てに関わるというのはそのとおりでございます。かつ,内閣府がこの間の報告書の中でも,面会交流については慎重にすべきだという,新しい報告書をまとめていたと思います。では,あれが,一つ一つの案件にどう考慮されるのかということはかなり難しい,そして,本当に失礼ながら申し上げますけれども,私は,毎年2,000件ぐらいの御相談を受けています。しかし,そこまでそうした深刻なものに接していない方たちが委員になっていらっしゃるのは,事実だと思うんですね。この切迫感がある中では,きちんと事実を聞いていかないといけないので,やはりもう少し,面会交流をして危険にさらされた方たちの声とかは聞いていかないと,議論の参考にならないというのが私の思いですし,お子さんたちが嫌がっていたにもかかわらずお父さんと会うことを,会えば平和なコミュニケーションができるはずというのは大人の論理でして,嫌だと思っている子は,泣き叫んで嫌だと言っているにもかかわらず,決まったがために,母親さえ裏切らなければいけないということになってしまうときだってあるわけですよね。こういう事態を防ぐ手立てがあるのかどうかということを,やはり。
  私どもも,そういう方をここにお招きしたいと本当に思って探しましたけれども,そういうお子さんたちはメンタルヘルスも病んでいて,ここに来ることすらかなわない方たちがいるということなんですよ。それをどうやってこの議論に反映させるのかということは本当に,基本的に大事な視点ですけれども,見逃されてしまうと思っておりますので,是非適宜,私どもも慎重に,かつ,何とかここに来てもメンタルヘルスがやられないような方を選んで,やはりお聞きしていただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。原田委員と赤石委員から同じ方向の御要望を頂きました。
  そして,スケジュールについてですが,まず,本日は,部会資料3の養育費,それから面会交流の検討を残りの時間でやろうと思っておりましたが,だんだんと時間がなくなっております。次回にはヒアリングを行うということですので,養育費と面会交流について議論をする時間は限られてくるだろうと思います。しかし,この課題は,皆さんが最重要課題の一つとして挙げられていることで,一読の段階で,時間を掛けて意見交換をすることが必要かと思います。
  たたき台では,今後の日程が一応組まれていますけれども,このスケジュールに収まるかどうかは,なかなか読めないところもあります。私自身はなかなかタイトなスケジュールではないかという感触を持っております。事務当局からこの案を示していただいているわけですが,これで収まらないこともあり得ると思っておりまして,令和3年中に1巡目の検討を終えるという点に関しては,多少,持ち越しになる部分が残っても仕方がないのではないかと思っております。それが一つと,DVはどの問題にも関わるということで,それぞれの問題において,事務当局の方では注意をして問題提起をしていくということをおっしゃっていただきましたけれども,そういう議論の後で,やはりまとめて議論する必要があるという御意見が出ることもあろうかと思います。その中で,赤石委員がおっしゃったように,どなたかに来ていただくということが必要かつ可能であるという条件が整えば,そういうことも併せて,更に追加的なセッションを加えるということもありうるかと思っています。そうすると,一巡目の検討が年内に終えるということが,必須のスケジュールなのかということについて,事務当局に御感触を伺っておく必要があろうかと思います。

○藤田幹事 事務局でございます。
  今日お示ししたものも一つのたたき台の案でございまして,スケジュールについて,部会長から御心配いただきましたが,特にいつまでに,どこまでを,ということはございません。ただ,改めて整理しますと,議論する項目,論点がかなり多いなということは確かでございますので,御議論を進めていただくことは必要かと思います。先ほど委員から御指摘あったようなDVの問題は,特に留意をして資料を作成することに努めたいと思っています。ですので,このとおりお進めいただければと思います。
○大村部会長 このとおりというのは,今,私が申し上げたような,一巡目の検討が多少長びくこともやむを得ないという趣旨だと理解してよいですか。
○藤田幹事 スケジュールも含めて,もちろん先のことを考えつつというところはありますけれども,その点はその趣旨で構いません。

○棚村委員 早稲田大学の棚村です。
  DVの問題が非常に重要で多岐にわたるということと,それからDV,ハラスメント,暴力,虐待,こういうことについて,海外と比べても日本の法制とか対策が非常に弱いというのも,私も全く同感です。
  ただ,問題は,やはり家族の法制度を変えるとか,改めていくというときに,DVとか暴力の問題だけではなくて,子どもの権利とか子どもの意思とかということも含めて,私は全体に関わってくる大切な問題だと思っています。そこで,これらの問題は,具体的にどのような場面で全体にどういうふうに関わって,どの程度,どんなふうに配慮しなければいけないかということについて,養育費,面会交流などの取り決め,実施等で議論になってこようと思います。そこで,やはり早く具体的な事項や問題の検討に移って,各箇所や場面でそれぞれのところで,この場面でこういう対策が必要だとか,支援が必要だというのも出てくると思いますので,私は,DVとか子どもの意思だとかということだけに特化して最初に何かを設けるというよりは,議論をして,制度の問題点,課題,運用,そういうことを議論する中で,子どもの意思が全然反映されていないとか,子どもにきちんと説明がなされないとか,それから,怖くて関わりたくないとか,DVが深刻に作用する,リスクがあるとか,そういう問題の取り上げ方もあるのではないかと思います。もちろんモラハラでも出てくると思います。
  それをまずは議論した上で,そこで出てきた問題をどういうふうに,制度一般の中でどう取り上げるか,それから,先ほど赤石さんからも出ていた問題というのは,正に個別ケースでどう対応するかということは,実務上もどんな法制度を作っても出てくるので,その辺りを法制度一般の中でどういうふうに配慮していくかという,制度設計をするときにどうするかという問題と,それから個別ケースというのは非常に多様なものがあって,それに対して柔軟に対応しないといけないというは,少し区別して考えてもよいのではないか。個別案件では緊急性は非常に高いという問題があるので,法制度一般の設計の見直し,リスクのある個別事案への対応については,その辺りを少し切り分けて,対応した方がいいだろうと思います。
  個別ケースではかなり深刻な問題が出てくるということなので,出てきたときにどう対応するか,法制度一般の制度設計でどうするか,個別の緊急性を要するもので対応がまずかったり,いろいろな問題があるということは,制度設計の中にも出てくると思うので,そういうことをやりながら,個別にその問題について特化して,審議を集中してやるべきだということになったら,ヒアリングも海外の法制も必要に応じてやる,いろいろな知見を調べるなり,是非,必要に応じて柔軟に臨機応変にやっていくということでいいのかなと思っています。
  議論の後ろがそれほど切られていないということも,ある程度,分かりましたので,一通り議論をしながら具体的な問題,どの場面でどういうリスクがあって,どういう制度になるとどういう問題点があるのかという中で,DVとか子どもの意向をどうやって酌んでいくかということで議論してみる。そして,これらは非常に重要だと思いますので,取りあえず具体的な議論を進めてみた上で,特化して取り上げる必要があれば,子どもの権利というものをどういうふうな制度設計の中で取り入れていくとか,DVの問題に対して民事法制の中でもどうやるべきかということを議論した方がいいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。各論の中で議論することでまず対応して,その上で,必要があれば追加のセッション等を設けるということでしょうか。
○棚村委員 いずれにせよ,必要な論点,重要論点だと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。

○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。
  私と棚村先生は何年来のお付合いで大変仲がよいということを言った上で,前回と今回はちょっと意見が違うということをお伝えしたいと思います。
  やはり海外の法制度は,いろいろな事件が起こって見直しが始まりました。オーストラリアでは,4歳のお子さんが面会交流中に橋の上から投げられ殺されてしまったという事件がございました。英国もいろいろな深刻な事件があったわけです。日本はそれを学んでいかなければいけないというときに,この議論の中で1回はきちんと,2011年から面会交流推進になったときに,どのようなことが起こり,お子さんがどういう思いをしたかということを聞いてくださいと申し上げていることが,やはり予防としてすごく大事であり,そこから照射される各方面のいろいろな取決めがどう見えてくるのかということを,想像力を持って聞いていただきたいということでございます。何か議論を止めたいというようなことではございませんので,是非御理解いただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。棚村委員も,おっしゃるような議論はすべきではないという御趣旨ではないと思います。
 まず,各論の中で,それぞれの場面でしっかりと議論をした上で,それを通して検討をすべき問題がさらに出てくるかもしれないといった御指摘も,先ほど棚村委員からはございましたけれども,そうした点については,どこかでまとまった検討をすることはあるべしということで進めるというのを,本日の一応の案にしたいと思いますが,この点について更に御意見を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。


○武田委員 質問です。
  今日の議論の中で,親同士,高葛藤のときどうしようと,いろいろ大変だよねと,それはそのとおりだと思います。その葛藤を下げる支援というアプローチもあれば,他方,法制度でどんなふうに担保していくんだという話もあろうかと思っていまして,その辺りの議論はどこに入りますか。
○藤田幹事 事務局でございます。
  武田委員から御指摘あった点は,これからの議論や部会資料の各所で出てくるものではないかと見ております。例えば,部会資料3の中でも,今おっしゃったような葛藤の高い場合に,親である父母に事前にどういった情報を提供するか,又は,取決めであれば,その段階でどういう問題があるか,そういうところをステージごとに課題であるとか,必要な制度の在り方と,それに関連する支援等の問題は取り上げていただければと思っております。
○武田委員 ありがとうございます。
○大村部会長 ほかに御発言いかがでしょうか。
  では,進め方につきましては,今のようなことで進めさせていただくということにさせていただくことにしたいと思います。二巡目の進め方などもございますが,この夏以降の議論の中で,進め方についても随時皆様の御意見を頂いて,更に考えていくことにして,まずは今ここでお諮りしたような形で議論をするということにさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
  その上で,今日,残った時間で,部会資料3について,更に御議論を頂きたいと思っておりますが,ここで10分ほど休憩したいと思います。

          (休     憩)

○大村部会長 再開します。
  今後の進め方について大まかな合意を頂きましたので,具体的な問題に入らせていただきます。
  養育費と,それから面会交流とをあわせた形で資料はできておりますけれども,先ほどからの皆さんの御意見をまとめますと,養育費と面会交流とを一応別々に議論をして,その上で両者の関係について必要な議論をするという御趣旨の御意見が多かったかと思います。
  この二つを別々に議論しつつ大きくばらけてしまわないように,本来ならば1日のセッションの中で,前半で養育費,後半で面会交流といった分け方で議論すればいいと思うのですが,今日はもう1時間しかありませんので,養育費の一部を議論させていただければと思います。ただ,面会交流の議論がずっと後にならないように,次回は面会交流に一定の時間を割き,養育費の残る部分についても時間を割くということにして,それで終わらなければ,さらに持ち越すことあるべしという形で,それぞれ別々に議論をし,そして,二つの問題が大きく離れないという形で進めるということにさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
  では,残りの時間で御意見を頂きたいと思います。部会資料3の中身は,前回御説明を頂きました。第1ははしがきなので,第2から御意見を頂いて,前回は,第2についてある程度御意見を頂いたところで時間切れになっていたかと思います。
  本日は,資料3の第2についての御意見も頂きますが,第3の養育費の取決めの促進・確保,第4の養育費に関する取決め内容に関する規律という点について御議論を頂くことにします。第5は裁判手続になりますが,そこまでは今日は無理かと思いますので,次回送りにさせていただくということでよろしいでしょうか。
  それでは,資料3の第3,第4の部分を中心に,第2についても御意見を伺うということで御発言を頂ければと思いますので,お願いいたします。

○池田委員 弁護士の池田でございます。
  第2からということで,まず,養育費の件について,5ページの①について,意見を申し上げたいと思います。
  ここでは,養育費について,子を権利者とする子の扶養請求権を中心に据えるということが書かれていまして,これに基本的に賛成です。ただ,一つ検討しなければならないことは,手続法の話で,子どもが権利者と明確にされたとしても,現状,行為能力がない,つまり財産処分権がないということで,子どもが自分で家事調停,審判の申立てをするということはできない仕組みになっていますけれども,かといって,特別の代理人を付けるという手続も特段用意されていませんので,そこの代理人を選任できるということも併せて検討しなければいけないかなと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。先ほど杉山幹事から御指摘があったような,手続法上の問題とも関わる問題について,御指摘を頂いたと受け止めました。
  ほかに,今の点と関連してでも結構ですし,そのほかの点でも構いませんので,御発言を頂ければと思います。

○石綿幹事 石綿でございます。
  広い意味では第4に関係する話かと思いますが,休憩前の議論で,養育費については一度決めたら変更もなく払い続ける,それで問題が生じないという御指摘があったかと思うのですが,養育費に関しても,様々な事情で変更を検討する必要性が生じる場面というのはあるのではないかと思います。一つ目は義務者,あるいは権利者の収入の変化が生じた場合,二つ目は子どもに進学等,新たな費用が掛かるような事情や希望が生じたような場合,さらには,8ページの(注1)のような事情,すなわち子どもを監護している親が再婚し,その配偶者と養子縁組をした,あるいは義務者の方が再婚したような場合などに,取決めの変更の必要性があるか,ないかということも,議論をした方がよいのかと思います。これを,第4に絡めて検討するのか,あるいは事情の変更というのは別途取り扱うのかはお任せしますが,その点も検討した方がよいのではないかということです。
○大村部会長 ありがとうございました。先ほど面会交流について,事情が変わったときの手続に関するお話がありましたけれども,養育費もついても事情が変わることがあるので,同様に問題として意識して検討する必要があるのではないかという御指摘を頂きました。
  ほかにはいかがでございましょうか。

○原田委員 検討の必要性という意味では,婚姻費用の請求というときに,その中身として,子どもの扶養請求と片方の配偶者の扶養請求の関係をどうするのかということも,検討の必要が出てくるんだろうと思いました。ちょっと回答は分かりませんが。
○大村部会長 ありがとうございます。婚姻費用との関係というのも,問題としてあるだろうという御指摘で,確かに問題はあるのではないかと思われます。
  水野委員,どうぞ。

○水野委員 7ページの父母間での取決めの促進・確保という表題についての質問です。御存じのように日本の場合は,養育費にしろ財産分与にしろ,全部,私人間の取決め,当事者の夫婦の取決めに任されてしまっている構造になっていますから,ともかく別れたいと望む側が経済的な権利をすべて放棄して離婚合意を得ようとすることも少なくありませんが,これはとても変わった法制で,離婚裁判で裁判官がチェックして妥当な金額が自動的に決まって命じられる国の方が圧倒的に多いわけです。
  そこで,日本法の場合も,あえて夫婦に相談させる取決めの促進・確保というのが大前提になる必要はないのではないかと,私は思っております。養育費については,ある程度機械的に命じられる,それは必ずしも多額でなくてもいいと思うのですが,最低でも自動的にこれだけの額が命じられる,あるいは収入などによって機械的に決められるのであれば,それは自動的に発生するということにし,その内容がいろいろな事情できついということならば,改めて修正の相談をするというような制度設計もあり得ると思うのです。大前提として,必ず取決めの促進という枠組みは,今度も崩されないということで考えるのか,それとも,そういう自動的にある程度一律のものが命じられるという制度設計まで考えてもよいのかという点をお伺いしたいのですが。
○藤田幹事 事務局でございます。
  部会資料3の7ページの第3の見出しで「取決め」という用語を使っておりますが,用語の使い方としては,父母間の協議・合意によるものも取決めですけれども,それ以外の審判等の合意に基づかないものも含め,具体的内容として定められるものを「取決め」と呼称する整理をしています。
  その上で,今,水野委員から御指摘があった点については,部会資料3の11ページを御覧いただいて,③です。ここに今御指摘があったとおり,養育について,これまでは,基本的な合意なり裁判所の判断によって初めて具体的請求権が発生すると整理していた規律を見直し,今回の一つの提案として,一定の場合には自動的,暫定的に具体化する,要するに合意なり裁判手続によらずに養育費請求権が発生するという規律を設けてはどうかということを挙げており,御指摘の点は十分にあり得るものと考えております。
○水野委員 ありがとうございました。


○棚村委員 早稲田大学の棚村です。
  まず,5ページのところで,基本的に未成熟子に対する扶養について,どういうような規定上の位置付けとするか,養育費請求権という言葉も出てきていますし,原田委員も先ほどおっしゃっていました,婚姻費用の分担ということで別居中に請求をするということも出てきます。それから,監護費用の分担ということで,養育費は766条にも出てきますし,扶養請求権ということになると877条と。この三つの請求権を立法の際に一本化して規定をするのか,それとも,各箇所にサテライトみたいな形で分散して置くという位置付けにするのかということも,議論しなければならないと思っています。
  それから,ここに書いてある,未成熟子という,誰が誰に対していつまでということについても,何らかのルールなり明確化をしないと,未成熟子なのか未成年者なのかということで,随分受け取る人によって混乱も起きますので,その辺りも整理をする必要があります。扶養請求権とか養育費請求権といっても,今言ったように,それぞれ一本化して整理をしていくということなのか,各段階に応じて,場面ごとにサテライトのように複数の場所にそれぞれの段階ごとにあって,それを最終的には統一するような概念とか基準とか,そういうものを構想していくのかでも,大分違うと思います。
  それから,決めるときの考慮要素とか基準とかについても,先ほど事情変更とかいろいろ出てきましたけれども,扶養の必要性とか扶養の可能性とかという資産,収入のことと,それから需要みたいなことでバランスを取って最終的には決めることになると思うのですけれども,その考慮要素や考慮事項みたいなことについても,きちっと明確な規定を置く,例えば,再婚した場合とか,収入が減ったとか,リストラされたとか,いろいろな事情をどんなふうに考慮するかというのも,実務の運用でされているのですが,海外の法制を見ても,裁判官の裁量の範囲を定めたり,当事者にとっての予測可能性も確保する意味でも,ある程度基準なりルールというのを議論して明確にする必要はあるのではないかと思います。
  そういうことを議論していると,水野委員がお話ししたように,取決めだとか話合いが可能なケースと,それから非常に困難なケースというのも出てきますから,やはりスタンダードな算定基準,ガイドライン,今も算定表が,裁判所の紛争の効率的な解決とか,目安として作られています。しかし,海外ですと,関係する中央省庁や,司法だけでなく,統計,福祉,教育に関わるようなところも含めて,最新の統計的な数値を持ち寄って,最低限度生活していく上でこれぐらいのお金が必要だという観点から,数年ごとに改定していたりします。今裁判所の用意した簡易算定表は,飽くまでも権利者と義務者の双方の収入を比較して,そして,できるだけ目安として早く問題の解決をしたいというところに主眼があるものなので,どうしても限界があります。その辺りも,今後の議論ですけれども,どういう基準でもって,どこがどんなふうに決めていくかということについても,裁判所だけでなく,国を挙げて考えなければいけないと思います。つまり,取決めをしたり話合いができないケースに対しても,自動的に算定表・計算ツールなどで決まるなど,どういうふうに対応していくかということも重要だと思います。
  それから,紛争や葛藤が非常に高いケースがあるというのは,よく分かるのですけれども,逆に言うと,早期に親ガイダンスとか,教育的な働きかけや情報提供,啓発プログラムに参加するなども大切だと思います。今,厚労省が音頭を取って,東京都なども力を入れてやろうとしています。また,自治体の離婚前後の親支援講座などについても力を入れ始めていますから,是非,離婚前後の親ガイダンス,親支援講座みたいな形で,一定の知識と情報を与えることが重要だと思います。
  いずれにしても,民法の中で養育費とか扶養請求権とか,いろいろな言い方,婚姻費用分担の中にも一部含まれているのですが,それをある程度整理をして考えていかないといけません。場面ごとにその中身が変わるのも困りますし,要するに,誰が誰に対してどんなものを請求するかというときに,民法の規定や条文が不明確で,あちこちに異なって規定されていますと,齟齬とか不統一が生じたりします。今回は,せっかくの機会ですから,そういう実務の現状を知った上で,子どもの権利を本当に実現するためには,一本化して基準も手続もやっていくのがいいのか,それとも,それぞれのところにある制度や規定の中で,できるだけ齟齬や不整合が生じないように統一をしていくというか,そういうような形で,各箇所にある程度置いておくということにするのか。私自身も今,結論は出ていないのですが,学会でこの問題を取り扱って検討してきたときに,海外でもいろいろな対応の仕方があったが,ただ,少なくとも,扶養請求権のところに,未成熟子の扶養の規定がきちっと置かれていないというのは日本だけなものですから,ある意味では,そういう子どもの権利とか子どもの利益が優先されずに,大人の紛争を解決するということで,どちらかというと子どもの利益が後退している部分は,是非この機会に改正をしてはどうかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。幾つか御指摘いただきましたけれども,5ページの①,②について,出来上がりがどうなるかについては幾つかの考え方があるけれども,この際,この点をきちんと整理することが必要ではないかという御指摘と,それから,高葛藤で協議ができないような場合についての対応が一方で必要である,それは水野委員がおっしゃったことだけれども,他方でそうでないカップルに対する支援も必要ではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。
  手が挙がっていますので,大石委員,窪田委員の順番でお願いします。


○大石委員 千葉大学の大石です。
  12ページの具体的な養育費について,幾つか御提案というか,させていただきたいんです。まず,養育費の算定方式ですけれども,日弁連からも問題点を指摘する意見書が出ておりますし,そういう水準について,もう少し包括的な,できれば細かい家計のデータなどを用いた検証というのが行われた方がよいと,かねがね思っておりました。ただ,こちらの部会でするのがよいのか,更にもう少し何かブレークダウンした別のパートですればよいのかは,また検討する必要があるかとは思います。諸外国の事情についても,海外法制との関連でどのような基準に基づいて養育費の水準が決定されているかといったことをお調べいただくとよいかと思いますし,日本の基準の設定の仕方,子ども1人の成長にどのぐらいの費用が掛かるのかといった視点から考えるということが必要と思っております。
  もう一つ。やや超越的なコメントかもしれませんが,養育費というのはフローですよね,月々とか,一定期間ごとの送金となっていると思いますが,私のような経済畑の考えから言うと,ストックでもらっても同じではないかという発想があります。財産分与と絡んでくるかもしれませんが,将来的に支払が不安定になるのであれば,まとめてもらって,それを年金化していっても同じではないかという発想があります。実務でどのようになさっているのか詳しくはないのですが,そういう考え方はあり得るのだろうかということを,問題提起させていただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。養育費の算定表に関連する御指摘を二つ頂きました。
  一つ目は,これを細かくする方向で,計算の仕方はこれでいいのだろうかといったことについて,この際見直してみる必要があるのではないか。それをどこで見直すかという問題はあるけれども,という御指摘だったかと思います。
  他方,先ほど棚村委員も触れられましたけれども,現在のこの表を支える考え方がどのようなものかということを見直すという方向もありますので,この表について,あるいは実務について,どこかで皆さんに御意見を頂くということが必要かと思って伺いました。
  二つ目は,一括払いというのはどうかということでしたが,この点については,それぞれ知見をお持ちの方に伺いたいところですけれども,これは,先ほどの石綿幹事の御発言とも関連するところがあろうかと思います。変動しないならば一括払いもあり得るわけですけれども,変動するということになると,それをどのように組み込むかといった問題も考えなければならないと思って伺ったところです。


○窪田委員 窪田です。
  ちょっと答えが分からない状態で,こういう論点もあるのかなということだけなのですが,養育費に関して,面会交流もそうかもしれませんが,父母間での取決めがやはり重要であって,それを促進する必要があるということは,一般論としては,私自身は十分に理解できますし,この方向で準備していただいているのも理解できます。
  ただ,ちょっとよく分からなくなってきてしまったのが,一方で,特に部会資料3の3ページには,養育費の位置付けが,父母間の問題なのか,扶養請求権の言わば代理行使の問題なのかという建付けというような問題があります。今,養育費と言っているときには,父母間の話だという前提でいるわけですけれども,仮に,基礎にあるのが子の扶養請求権にあって,監護親の方は,それについて掛かった費用を求償しているにすぎないのだと考えた場合に,父母間での養育費の合意って一体何なのだろうかというのが,実は法的には結構深刻な問題として出てくるのかなと思います。
  そんなうるさいこと言わなくてもという意見もあるのかもしれませんが,恐らく,例えば,養育費に関しては要らないという取決めをしたとしても,それは,子どもの扶養請求権を否定することにはならないと思いますし,今ちょっと答えがない状態なのですが,少し整理する必要があるのかなと思いました。
  私は,大石先生の先ほどの年金化というのは,すごく面白いなと思って伺ったのですが,これも恐らく財産分与を手掛かりにすると,夫婦間の問題としてはうまく説明できるのですが,子どもとの関係だとすると,実はその説明が難しくなるのかなという気もしますので,いろいろ派生する問題なのかなということで,思い付きで申し訳ないのですが,発言させていただきました。
○大村部会長 ありがとうございます。父母間の養育費請求権と子どもの扶養請求権との関係については,親が子どもの扶養請求権を処分できるのかといった問題が出てくるという御指摘かと思います。それは検討しなければならない問題だろうと思います。
  沖野委員,原田委員,赤石委員の順番でお願いします。

○沖野委員 私も,少し思い付き的なことで,きちんと詰めていないままの発言で申し訳ないのですけれども,この養育費請求権の位置付けに関しましては,各親が子を養育する義務があるということで,ただ,その義務の内容というのは,単にお金でバックアップするということだけではなくて,非常に多様な形で子を養育していくという,そういう義務を負っている,その中で経済的にも対応するということは,その一つなんだろうと思います。
  そのように考えた場合は,やはり養育費請求権というのを持っているのは子であって,子に対してそれぞれの親が,合同でなのかもしれませんが,義務を負っていると。一方で,親同士の話というのは,そういう義務を負っている者の間の分担の請求であったり,取決めであったりと,そういう位置付けではないかと思います。したがいまして,両者の取決めにおいて,全体の内容が適正なのかというと,分担としてはこういうふうに,しかも経済的な部分の分担はこうするというだけのものですから,義務全体としてどれだけかとか,経済的に言ってもそれが足りるのか足りないのかということが,合理性が確保されていないというものとして,したがって,それでは足りないということになれば,子からの請求というのは妨げられないということになるんだろうと思います。
  もっとも,子の請求を誰が具体的にやっていくのかという問題は,最初に池田先生から御指摘のあったとおりかと思いますが,そのような位置付けで考えていくことができないかと思っております。
  そうしたときには,例えば,婚姻費用の分担というときには,共に養育の義務を負い,経済面においても分担していく義務者間において,子どもに対して負う義務をどのように分担していくかという話と,それ以外の夫婦間の婚姻の費用を更にどうするかということを,言わばまとめて請求していくという位置づけができるのではないかと思います。ちょっと直接関係ない別の事項ですけれども,財産分与でも様々な性格があるとか,あるいは不法行為の損害賠償もあり,それらを一緒に請求することもできるとかもありますので,そういう形で整理ができるのではないかと思います。
  それから,離婚後につきましては,元夫婦の間の離婚後扶養というような話も,財産分与の中で出てくる話がありますので,そういう性格を持った中で請求していくというようなことも,あるいはあるのかもしれません。別居中が婚姻費用の分担でないと考えれば,また似たような話も出てくるかと思いますので,少し概念整理として,そのような形で整理をしてはどうかと思います。
  ただ,養育義務は,一種の扶養かもしれませんが,非常に多様であり,こういう性格を持っているので,親子の間の養育義務として取り扱えばいいのではないかと思っておりますけれども,それ自体,やはり義務の具体的な内容自体が,子どもの状況に応じて,どういうものが必要かというのは中身も変わってきますので,そうすると,ある意味不断の見直しというのも表現として適切ではないのかもしれませんが,かなり長期にわたる義務であり,状況に応じて適切に養育する義務だということになりますので,その義務の性格上,見直しの機会というのはきっちり確保されるということと,当事者の取決めについて,飽くまで義務者間の取決めということになりますので,その合理性の確保措置というのが必要になってくるのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。基本的な一つの考え方を示されて,そこからこういう帰結になるというお話を頂きましたけれども,最初の発想は,父母の養育費の取決めというのは,共同で義務を負う者の間での内部的な負担部分の取決めであるということで,子どもにそれは影響しないと考えることができるということかと思います。これが基本的な発想であり,そこから,どのように考えを進めることができるかということですね。

○沖野委員 はい,そのように考えております。
  もっとも,その取決めを子が援用するとか,そういう話が出てくるのかもしれませんけれども。
○大村部会長 ありがとうございます。
○原田委員 すみません,時宜に遅れてしてまって,先ほどの大石委員の一括負担という内容が,ちょっとどういうものなのかをお聞きしたかったのですが,信託の利用とか,そういうこともあり得るということで御紹介をします。
  今の実務では,一括というのは,これは裁判官の方が違うと言われるかもしれませんが,例えば,お子さんが亡くなるとか,そういうときに清算の問題が起きるとか,あるいは,お母さんがというか,養育者がそれを使って,例えば事業を始めたと,それで失敗して,それはなくなってしまったと,その後どうなるのかとかいう,いろいろな問題があって,よほど当事者同士で合意がある場合を除いては,使われていないんだろうと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。

○赤石委員 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。
  養育費の概念がこんなに幾つもあるんだというのは,私も読んで,支援団体としては,そこはちょっとお任せするしかないんですけれども,税制との絡みをどうするのかというのを,一応お伝えしておきます。
  今,親が養育していて,同居親が養育していて,子どもの扶養に関しての税制の控除を受けている場合が多いんですけれども,これは別にどちらでも選択できるということなのか,所得の高い方が先に,自分が税の申告のときに,この子ども2人は自分が扶養していますということを申告してしまえば,こちらの方が所得が高いので,そのまま認められてしまうというようなことが起こっているようなんですね。
  この税の控除の問題をどう整理していくのかというのは,結構後に残る問題で,では,扶養とは何なのか,扶養控除とは何なのか,結構議論が必要なのだなと思っておりますし,もしかしたら分割した方がいいのかもしれませんし,そこもよく分からないというところなので,一応お伝えしておき,先取り勝ちで,扶養控除を取れないため,所得が高くなってしまって,いろいろな手当てとかもらえなくなってしまっておられる方がいらっしゃるということをお伝えしておきます。
○大村部会長 ありがとうございます。請求権の法的性質をどう考えるかということについて,論点が出されていますが,その性質決定が税制に影響するかもしれないということで,そのことも考えて議論しなければいけないという御指摘を頂いたと承りました。

○小粥委員 小粥です。
  現在,養育費の件でどのように理解するかということが議論されていると思うんですけれども,債権者は誰なのかというような問題とは別に,実体法上,ただの金銭債権という扱いのままでよいのか,現状でも民事執行法で養育費請求権については特別扱いがされているわけですけれども,今般の改正論議の中で,民事執行法,つまり債権回収の手続でより強力な特別扱いをしようとする際に,実体法というか,民法で現在のようなただの金銭債権という扱いのままで,手続法上の特別扱いがどこまで正当化できるのかという問題は考えなくてよいのかと。つまり,養育費は債務名義をより簡単に取れるようにするといったことが示唆されていますけれども,ただの金銭債権ではなく,若干の特殊性がある金銭債権ということで,あるいは,例えば先取特権を付与するような形にした方が,取扱いが正当化できるというようなことがあるんだとすると,そこも考えた方がいいのではないかと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。先ほど棚村委員から資料5ページの①,②について御指摘がありましたけれども,小粥委員の今の御発言は③に関わるのだろうと思って伺いました。
  ここには,極めて重要な権利であると書かれているのですが,民事手続において,ここでいう養育費請求権に特別な保護を与えるというときに,何か理由付けが必要になるのではないか。小粥委員がおっしゃったように,優先権にかかわる問題が一つありますけれども,優先権に尽きない問題も多分あって,それらをどうやって正当化するかのということを議論する必要があるだろうという御指摘かと思いますが,資料としては③のところで扱っていることかと思います。
  そのほか,いかがでしょうか。

○井上委員 連合の井上です。
  養育費については,子の利益だと考えていますので,支払が親の責任であることを明確にした上で,取決めの作成支援のみならず,受取り側に代わって取立てや立替えなどを行う公的な仕組みを検討すべきではないかと考えています。これは,明石市長のヒアリングのときにも孤軍奮闘されている様子が話されましたけれども,やはり国として一定の水準,基準は持つべきだと思っています。
  特に,ひとり親家庭の貧困問題が深刻化している中で,養育費を確保するための方策は,優先的に検討すべきではないかと考えています。
○大村部会長 ありがとうございます。養育費の履行確保についての方策が重要ではないかという御指摘を頂きました。公的なということですけれども,民事法の外でやるということもあるだろうと思いますし,民事執行法の中で,あるいは他の手続法の中でどこまでできるかという問題もあるかもしれません。問題提起として承りました。

○久保野幹事 幹事の久保野です。
  一つ前の話に戻るのですけれども,5ページの③のような方向で,未成熟子からの扶養請求権,子どもの方からの請求権の実体法的手続法的な特性を詰めていくことが大事だということだというのに私も賛成ですけれども,この件について,少し前だったか,沖野委員の方から,扶養請求権という名称を変えて,何かいい言葉に置き換えられるとよいだろうというような方向性についての御発言があったかと思います。繰り返すのも変ですけれども,扶養請求権という言葉を使うことによって,現在扶養について取られている考え方と結び付けてということになりやすいというようなこともありますし,いつ変えるかはともかくとしましても,扶養請求権という言葉を非常に気を付けて,どういう実態,例えば,成長発達権と結び付けるのかどうかとか,いろいろなことがこれから議論されるんだと思いますけれども,その実態に合わせてどのような言葉を使っていくかということについても,積極的に議論をしていけるとよいなと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。他の請求権と性質が違うものだと考えるならば,概念の方も区別するということが望ましいのではないか,そういう方向の議論も必要であろうという御指摘として承りました。


○佐野幹事 佐野です。
  11ページのところで,ちょっとまた支援の話になってしまうかもしれないのですけれども,最初,①ガイダンスを実施すること,これは非常に賛成なのですが,ただ,ガイダンスだけではなかなか心情的に受け入れられない当事者の方もいらっしゃるというところを踏まえると,やはりそういう方には,その後個別の相談につなげるという何らかの枠組みが必要なのではないかなと思います。それは,韓国でもやっているのではないかと思います。
  それから,先ほど窪田委員からあったような,やはり養育費の額を取り決めるとしても0で取り決めてしまうというインセンティブが働いてしまうということを防止するためには,やはり税制上など何らかの,養育費を払うことによる利益といったところも考えなければいけないのではないかなと思いました。
  12ページの算定方式,考慮要素を法定してはということは,今は裁判官だけで決められているところですので,これは非常に賛成です。ただ,その前提となる収入の部分について,その後の話なのかもしれないですけれども,ここでも指摘されているように,やはり自営の方などで経費をかなり多く計上している事案などもあり,それを適正化するためにはどうしたらいいのかというところは,また別途検討する必要があると思っています。
○大村部会長 ありがとうございました。ガイダンスという話が出ていますが,ガイダンスには来ない人がいるということが,いろいろなところで問題になりますので,そうした問題についても対応が必要であるということ,また,算定表につき実際の算定の方法に関する問題などに関する御指摘を頂きました。
  ほかに御発言いかがでしょうか。
  青竹幹事,窪田委員,落合委員の順番でお願いします。

○青竹幹事 先ほど,国による立替払いについての御指摘がありましたので,それに関連して一言だけなんですけれども,義務者から何が何でも徴収するという発想だけではなくて,国による立替払いもそうなのですけれども,公的機関の仕組みというのも,民法の外ですけれども,払えなかった場合ということにはなるんですけれども,むしろ少し積極的に検討するという方向があってもいいのかと思いました。
  落合委員が,第1回のときだったかと思うんですけれども,子の養育というのが,親だけの義務ではなくて社会が負担すべきという視点を御提示されていたのを,印象的に伺ったのですけれども,少しそういったことからも検討してもいいのではないかと思いました。
○大村部会長 ありがとうございました。履行確保以外あるいは,それ以上の対策というのも必要だという御指摘として承りました。
○窪田委員 窪田です。
  5ページの①,②,③に関わる部分で,前回も確か私,未成熟という概念をそう簡単に使っていいのかという発言をしたと思いますので,それと重なってしまうのですが,特に今回もう一度資料を見直していたときに,②の親が未成熟子に対して重い扶養義務を負っていることを民法において明らかにしてはどうかというのは,重い扶養義務を負っていることが当然の前提になっているのですが,本当にそうなのだろうかという点について,少し違和感を持ちました。
  つまり,未成年であるというのは,行為能力も制限されていて,言わばまだ法的に完全には自立していない,そういった未成年者に対する関係と,大学に行っていて,成年には達しているけれども,経済的に自立していないという場合とでは,扶養をめぐる関係はやはり違うのかなという気もしますので,全部何かひっくるめてこういう形で重い扶養義務と言われてしまうと,成年の未成熟子に対して重い扶養義務を負っているのはどうしてなのというのを,やはり聞いてみたくなってしまいます。そういう点も含めて,少し慎重な書き方をしていただく,あるいは,もし書くのだとすると,成年の未成熟子,それから未成年の成熟子という概念があるのかどうか分からないですが,未成年であるけれども経済的に自立している子どもとか,幾つかきちんと整理した上で書き分ける必要があるのかなと思いました。前回の話と同じことになってしまいますが,感想です。
○大村部会長 ありがとうございました。5ページの②について,言葉遣いと,それから実質についても,この問題についてはより慎重に考える必要があるのではないかという御指摘を頂きました。
○落合委員 子を権利者とする子の扶養請求権という話なんですけれども,子どもの権利だというのはものすごく賛成です。ただ,その場合,母親と考えが違うときに何が起きるのかというのを,現状でも起きているのではないかと思うんですけれども,どういうふうに処理するものなのかというのを,ちょっと伺いたいなと思いました。
  母親は,例えば,養育費をものすごく少なく合意してしまったとか,でも,子どもとしては,自分は大学に行きたいんで,やはり本当はもっと欲しいんだけれどもとか,あるいは,母親がほかのことに使ってしまっているというようなことも,先ほどありましたよね,例として。母親と子どもの間の関係は,どういうふうに扱われることになるんでしょうか。
○大村部会長 ありがとうございます。今,質問という形でおっしゃっていただいたのですけれども,先ほどから,それに関わる御指摘が出ていて,その問題について,今回一定の考え方を示す必要があるのではないかということで,複数の委員から御意見を頂いたところかと思います。落合委員がおっしゃっているような危惧に対応できるような形で,制度を組む必要があるのではないか。その基盤として,沖野委員のような発言があったということではないかと思います。
  具体的にどうするかということを,規定を詰めた形で,この先で議論する必要があると思いますけれども,問題の御指摘は落合委員がおっしゃるとおりなのではないかと思います。
○落合委員 ありがとうございます。
○大村部会長 杉山幹事,武田委員の順番でお願いします。
○杉山幹事 幹事の杉山です。
  先ほど養育費の支払が一括なのか,それとも,定期的に少額に払うのかという話が出ましたが,今の執行法などは,基本的に定期的に少額で毎月払うということを前提にしていると思います。ただ,一括での支払いが絶対排除されるのかというと,必ずしもそうではないような気がしています。
  先ほど一括払いですと,後の事情の変更に対応できないという問題がありますが,必ずできないかというと,事後的な調整は不可能ではないと思いますし,一括で払った後に,子どものために使われない可能性があるという問題についても,毎月払う場合でも同じような問題が出てくるかとは思います。
  ただ,子どもの養育のための費用であるということであれば,一括払いよりも定期的に払うことを基本的に念頭に置いて検討するのでいいと思いますが,11ページにあるような取決めができないときに,そもそも取決めをする必要性があるかどうかとの関係で,離婚時に一定額,恐らくはかなり低い額で,自動的に請求権が発生するという考え方も検討に値するとありますが,そのような制度自体はあり得るとは思いますが,他方で,自動的に債務名義となるとした場合に,先ほどから養育費の額が変動する可能性があるという話がありましたが,その場合に債務者側にも修正のための重い負担を課すということになると思います。また,仮に追加請求もできるとして,その追加部分も債務名義にしなければならないといった問題も出てきます。いずれにしても,債務名義としない限りは実効性のある制度にならない点は理解できますが,何も手続的な保障がないまま,債務名義として修正の負担を債務者側に課すというのがいいかという点は,少し慎重に検討した方がいいのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。手続的な面からの非常に重要な御指摘を頂いたかと思います。その点について注意をするとともに,どこかで皆様の意見を伺いたいと思います。
  武田委員,大石委員の順番で伺って,その辺りで今日はまとめたいと思います。
○武田委員 私どもは,養育費を払うことが常識というふうな中でやっておりますので,まずは,ずっと払い続けられるという観点と,もう一つは,継続的な支払確保のために収入に合わせて流動的に変動させるという2点が必要なのかなと,そんなふうに思っています。
  基準に関して,また別途整理いただいて情報提供いただけるという話ですけれども,今,基礎収入をベースにした考え方,今それだけで「えいや」って決めているように,やはり見えておりまして,払うのは全然当たり前のことなんですけれども,そこに対する納得感というところが,今はまだ足りないのかなと,そんなふうに思います。特に昨今,年収が上下することは,同じ会社に勤めながらもということは,非常に当たり前の世の中になっております。これはちょっとどこの国か忘れましたけれども,毎年双方の収入証明を出すと,それに伴って自動的に再計算すると,そのような仕掛けを持っている国もあるやに聞いております。そういった事例も踏まえて,払い続けられるようにという観点で,今後どう整理していくのかということが必要になろうかというのが,私からのコメントの1点目です。
  あともう1点は,次回のテーマになりますが,裁判手続の中でということで,先だって民事執行法が改正になっております。一定,回収に当たっても使いやすくなったとは聞いております。これは,可能であれば,新民事執行法改正以後,具体的にデータとしてどこがどういうふうに変わった,そういうようなものを,次回の部会の前に資料として御提供いただきたいというのがお願いでございます。
○大村部会長 ありがとうございました。第2点は,次回に間に合うかどうか分かりませんけれども,事務当局で御検討いただきたいと思います。
  第1点については,収入が変動するということが,かつてに比べて多い時代になっていますので,それを見込んだ支払可能な制度を考えてほしいという御要望として承りました。
○大石委員 千葉大の大石です。ありがとうございます。
  先ほど発言に追加なのですが,一括というときに,例えば,離婚が比較的若い時期に行われるとすると,そのときの余り蓄積していない資産で一括払いするというのは,もしかしたら子どもにとっては不利な状況に,あるいは子と同居する側に不利になるかもしれないという問題はあるかと思います。
  それと関連して,もう一つ問題提起させていただきたいのは,定額にするのか,定率にするのかということもありまして,今ですと,離別時に決めた金額がずっと続くということが多いと理解いたしましたけれども,例えば,年功賃金体系のもとでは年齢が上がっていくにつれて収入は増えていくわけですけれども,若いうちに定額で決めてしまうというのは,後々多くなるかもしれない支払能力というものを反映できないというリスクがあるかもしれないというのが一つ。ただし,賃金の年功度も緩やかになってきていると言われておりますので,今申し上げた問題点がどの程度当てはまるかどうかはまた別かもしれません。
  それから,定率にするということは,それぞれの時期に変動する収入に応じて,その一定割合を支払うということですね。アメリカの州によってはそういうシステムを取り入れている州もあります。ただ,これは海外の研究ですけれども,そういうふうに定率になってしまうと,今度は,例えば,払わなければいけない側が一生懸命働かなくなるというような,つまり収入を増やす努力を怠っていくというような行動を惹起するということも指摘されています。定額・定率のどちらも長所短所があり,両者をミックスした方がいいのかもしれませんが,そういったディテールについても,何らかの機会に検討することができればよいと考えています。
○大村部会長 ありがとうございました。直前の武田委員の発言と同じ方向で,収入の状況が変動するので,それをどのように考慮するのかということを,様々な選択肢の得失を考えて検討すべきではないかという御指摘を頂きました。
  現在の雇用状況について,どのように認識をするのかといったことも関わると思いますけれども,その辺はまた,大石委員からも知見を披露していただくこともあろうかと思いますが,引き続き議論をしていきたいと思います。
  ほかに御発言ございますでしょうか。
○落合委員 この際,質問させてほしいと思うのですけれども,養育費というのは,両親以外の義務にはならないでしょうけれども,実態として払っていたりしますね。祖父母などが。息子が払えなくなったときに,おばあちゃんが払っているとか,例はいろいろ見たりしています。
  お父さんが払えなくなったら,誰かにその義務が移転していくようなことはあり得るんでしょうか。それがいいと言っているのではないのですけれども,質問です。
○大村部会長 お尋ねは,実態についての質問ということになりますか。
○落合委員 はい,実態ですね。日本と,それからほかの国で。
○武田委員 日本国内でも事例としてはございます。お父さん払えなくなって,今,おじいちゃん,おばあちゃんが一生懸命なんで,何とか孫と接点を持つために払うというケースは,実はあります。
  もう一つ,大学の学費ですね。大学の学費,お父さんだけではどうしても出せなくて,お母さんも出せない,その中,おじいちゃん,おばあちゃんが田んぼを売って学費を出してあげると,そんなケースも実態としては耳に入っております。
○落合委員 あるなと思ったんですけれども。
  それが,扶養控除など,税制上何か優遇されるとか,養育費一般についてあるんでしたら,祖父母のも入るのかなと,お尋ねさせてください。
○大村部会長 実態についてどうなのかというのは,なかなか難しい問題だろうと思いますが,親の義務を祖父母が代わりに履行しているという話なのか,あるいは,祖父母が子どもに対して直接金銭的な給付をしているという話なのか,そういうことも,考えていく上では整理が必要なのかと思います。
  この問題は,監護者として,祖父母をどう考えるのかという問題とも,緩やかにつながるところがあるかと思いますので,またその辺りで御議論を頂ければと思います。
  窪田委員,原田委員の順番でお願いします。
○窪田委員 窪田です。
  大村先生から御説明があったとおりなんですが,おじいちゃん,おばあちゃんが代わって払うことがあるというのは,別におじいちゃん,おばあちゃんが義務を引き受けているわけではありませんので,ちょっとそこの部分は丁寧に,次回にでも結構ですから説明していただいた方がよろしいのかなと思いました。
  基本的には,おじいちゃん,おばあちゃんが払う場合があったとしても,お父さん,お母さんの義務が移っているわけではありませんので,法的には,それを前提として,直系親族の,血族の関係だけだということだと思いますから,改めて説明していただいたらよろしいかと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。
○原田委員 私も今,同じことを言おうとしていました。
  実態的には,おじいちゃん,おばあちゃんがお金を出すことは一杯あります。でも,それが義務として裁判所で例えば認められるかといったら,それは違う話だということだと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。
  ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。
  それでは,取りあえず今日のところは資料3の第4まで,13ページの3行目まで御意見を頂いたということにいたしまして,次回,ヒアリングと併せて,残りの部分と,それから面会交流について取り扱うということで検討を続けたいと思います。
  次回に面会交流も併せて終わらないかもしれませんが,その場合には,残ったものはその次に持ち越して,継続して議論をするということにさせていただこうと思います。
  それでは,次回の予定等について,事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。
○藤田幹事 本日も御議論をありがとうございました。
  次回は,7月27日の午後1時半からということで,場所は改めて御連絡いたします。
  部会長から御説明がありましたとおり,次回は,まず部会資料3の養育費に関する残りの部分を御議論いただいた後に,面会交流に関する御検討を引き続きお願いするということになります。その後に,海外に関する研究者からのヒアリングと,菅原委員からお話を伺うということになりましたので,そのような進行で次回はお願いしたいと思います。
○大村部会長 次回のヒアリングでは皆様からいろいろな質問が出ると思いますけれども,次回は,今日の養育費の残りの問題と面会交流の問題について意見交換をしたいと思いますので,そちらを先にさせていただきまして,ヒアリングをお願いした方がお越しいただく時間になりましたら,議論はそこで一旦打ち切って,ヒアリングに移らせていただくという形で,時間配分をしたいと思っております。この点,どうぞよろしくお願い申し上げます。
  今日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。
-了-

デジタル化と司法書士

九州ブロック司法書士会協議会令和3年度会員研修会

〔講演第1部〕デジタル化で司法書士は生き残れるか

九州大学大学院法学研究院教授   七戸克彦 令和3年9月4日

1. 平成期の「司法書士の危機」 ワープロの登場。東芝。

1-1. 平成14年:簡裁代理権

1-2. 平成16年:現行不動産登記法制定

1-3. 平成19年:長瀬訓令(業務停止2年 有期懲戒の最長)

1-4. 平成28年:債務整理最高裁判決

1-5. 令和 2 年:調査説明義務最高裁判決

1-5. 従来の判例理論

(1)調査確認義務(原則と3つの例外)

・【原則】委任者から交付された関係書類の適式性の限りで確認すれば足りる。

・【例外】①登記申請の委任者から関係書類の真否等についてとくに調査を依頼された場合、②司法書士が却下事由の存在を知っていた場合や書類の記載の不合理が一見して明白な場合、③登記義務者の本人性や書類の偽造につき疑念性があるにもかかわらず追加的な調査・確認を行わなかった場合

(2)説明(助言・警告・注意喚起)義務

・委任者以外の第三者との関係では説明義務は負わない。

1-5.令和2年最高裁判決

最(2小)判令和2・3・6民集74巻3号149頁

・A→B→X→Cの物権変動のうち、A→B登記の前件申請を弁護士D、B→C登記(中間省略登記)の後件申請を司法書士Yが受任したが、前件取引がAの成りすましによる不動産詐欺であったことから、無効となったB→(X)→Cの後件取引の中間者XがYに対して不法行為責任(説明(警告)義務違反)を追求した事案。

1-5. 令和2年最高裁判決【判旨①】

・ 登記申請等の委任を受けた司法書士は、その委任者との関係において、当該委任に基づき、当該登記申請に用いるべき書面相互の整合性を形式的に確認するなどの義務を負うのみならず、当該登記申請に係る登記が不動産に関する実体的権利に合致したものとなるよう、上記の確認等の過程において、当該登記申請がその申請人となるべき者以外の者による申請であること等を疑うべき相当な事由が存在する場合には、上記事由についての注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務を負うことがあるものと解される。

1-5. 令和2年最高裁判決【判旨②】

・ 登記申請の委任を受けた司法書士は、委任者以外の第三者が当該登記に係る権利の得喪又は移転について重要かつ客観的な利害を有し、このことが当該司法書士に認識可能な場合において、当該第三者が当該司法書士から一定の注意喚起等を受けられるという正当な期待を有しているときは、当該第三者に対しても、上記のような注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務を負い、これを果たさなければ不法行為法上の責任を問われることがあるというべきである。

2. 電子契約と司法書士

・ 不動産取引が〈電子契約〉化した場合、司法書士の①書類確認と、②契約締結および決済への立会業務(いわゆる前段業務)は、どのように変化するのか?

・最(2小)判令和2・3・6民集74巻3号149頁が電子契約だった場合、どのようになるのか。

2-2. 電子署名及び認証業務に関する法律

(定義)第2条〔第1項〕この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。〔「本人性」要件〕

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。〔「非改ざん性」要件〕

2-2.電子署名及び認証業務に関する法律

第2章 電磁的記録の真正な成立の推定

第3条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

民事訴訟法と対応

民事訴訟法228条4項 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正なものと推定する。

2-3. 印判の由来

・日本の印判の歴史には3つの系統がある。

1 封印・封字の系譜

福岡市博物館 金印

http://museum.city.fukuoka.jp/gold/

外務省 わかる国際情勢

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol12/index.html

(2)公印・職印の系譜

宮内庁 御璽・国璽

https://www.kunaicho.go.jp/about/seido/seido09.html

一家に一本、ネジザウルス!をめざす社長ブログ 

http://blog.livedoor.jp/engineerjpmaster/

(3)印鑑の系譜

踏む(押す)という所作

長崎 踏み絵 聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)

https://www.pauline.or.jp/historyofchurches/history05.php

平戸松浦家の名宝と禁教政策―投影された大航海時代―

http://www.seinan-gu.ac.jp/museum/wp-content/uploads/2014/12/pr-2013hirado.pdf

新潟県 三行半

新潟日報 貞心尼に新説 実像に迫る

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20210830638771.html

国税庁 地券

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/tokubetsu/h15shiryoukan/a.htm

(電子署名)

第12条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請するときは、申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請情報に電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)を行わなければならない。

2 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合における添付情報は、作成者による電子署名が行われているものでなければならない。

3. 電子署名・電子証明書と登記業務

3-1. 不動産登記令(平成16年政令第379号)

第14条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合において、電子署名が行われている情報を送信するときは、電子証明書(電子署名を行った者を確認するために用いられる事項が当該者に係るものであることを証明するために作成された電磁的記録をいう。)であって法務省令で定めるものを併せて送信しなければならない。

3-2. 署名→電子署名、押印→電子証明書

4. 不登法の真実性担保手段の欠陥

4-1. 他部局・他府省の保有する情報(戸籍・住民票・不動産課税台帳等)との連携が取れていないこと

4-2. 添付情報(とくに登記原因証明情報)に関する実質的審査が行われていないこと

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

(情報の提供の求め)第151条 登記官は、職権による登記をし、又は第14条第1項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、その対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)をいう。)に関する情報の提供を求めることができる。

令和3年改正不動産登記法151条(新設)

(所有権の登記名義人についての符号の表示)

第七十六条の四 登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

自然人を想定(法人はGビズID)。権利能力を有しないこととなった、は遺族感情を踏まえての表現。職権。条文上は、書面でも電子情報でも。要綱では、電子情報が予定されている。「検索」の記載有。

https://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf

マイナンバーカードではなくて、住民基本台帳ネットワークを利用する理由。

戸籍法部会資料 戸籍事務へのマイナンバー制度導入のための主な検討事項

https://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

第3 登記所が他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するための仕組み

相続の発生や氏名又は名称及び住所の変更を不動産登記に反映させるための方策を採る前提として、登記所が住民基本台帳ネットワークシステムから所有権の登記名義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するため、次のような仕組みを設けるものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

① 自然人である所有権の登記名義人は、登記官に対し、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について、氏名及び住所の情報に加えて、生年月日等の情報(検索用情報)(注)を提供するものとする。この場合において、検索用情報は登記記録上に公示せず、登記所内部において保有するデータとして扱うものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部第3(続)

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

② 登記官は、氏名、住所及び検索用情報を検索キーとして、住民基本台帳ネットワークシステムに定期的に照会を行うなどして自然人である登記名義人の死亡の事実や氏名又は名称及び住所の変更の事実を把握するものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部第3(続)

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

(注) 上記の新たな仕組みに係る規定の施行後においては、新たに所有権の登記名義人となる者は、その登記申請の際に、検索用情報の提供を必ず行うものとする。当該規定の施行前に既に所有権の登記名義人となっている者について

は、その不動産の特定に必要な情報、自己が当該不動産の登記名義人であることを証する情報及び検索用情報の内容を証する情報とともに、検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部第3(続)

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

* 判例の【原則】と【3つの例外】は、電子契約の場合には、どのようになるか?

・【原則】委任者から交付された関係書類の適式性の限りで確認すれば足りる。

・【例外】①関係書類の真否等についてとくに調査を依頼された場合、②司法書士が却下事由の存在を知っていた場合や書類の記載の不合理が一見して明白な場合、③登記義務者の本人性や書類の偽造につき疑念性がある場合

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【原則】委任者から交付された関係書類の適式性の限りで確認すれば足りる。

・ 電子契約では、関係書類はすべて電子情報になっている。

・ 電子契約の関係書類(情報)の「適式性」審査の具体的内容は、どのようなものになるのか?

デジタルによる本人確認方法や電子署名の方法について、対面でアドバイスを行い仕事にする方法の可能性。

参考

2020年12月電子契約・電子署名の活用に関する諸問題(契約実践編)

法人間で締結される電子契約の証拠力を中心に

弁護士 宮川 賢司 / 弁護士 西 愛礼 / 弁護士 辻 勝吾/弁護士 望月 亮佑 / 弁護士 一圓 健太

https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins14_pdf/201130.pdf

・ 電子契約の場合の〈本人確認〉は、どのような方法になるのか?

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【例外①】関係書類の真否等についてとくに調査を依頼された場合には、調査確認義務・説明義務(助言忠告義務)が加重される。

・ 電子契約の締結ならびに決済への〈立会業務〉の具体的な内容は、どのようなものになるのか?

e-KYCについて

平成30年11月30日金融庁「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」の公表について

https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20181130/20181130.html

・ 電子契約・決済への立会を依頼された司法書士が負う加重的な調査確認義務・説明義務(助言忠告義務)の具体的内容は、どのようなものか?

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【例外②】司法書士が却下事由の存在を知っていた場合や書類の記載の不合理が一見して明白な場合、司法書士は債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償責任を負う。

電子契約の場合に、却下事由の存在に関する〈悪意〉あるいは〈過失〉とは、具体的にはどのようなものになるのか?

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【例外③】登記義務者の本人性や書類の偽造につき疑念性がある場合には、調査確認義務・説明義務(助言忠告義務)が加重される。

・ 電子契約の場合に、ⓐ本人性あるいはⓑ情報の偽造につき〈疑念性がある場合〉とは、具体的にはどのようなものになるのか?

5. 電子契約と司法書士

「第3部 パネルディスカッション」に向けて――

・ 不動産取引が〈電子契約〉化した場合、司法書士には、①電子契約の有効性確認のスキルが必要となる一方、②対面での本人確認・意思確認ができなくなる時代が来る。

DX不動産推進協会

https://www.dxppa.or.jp/

(所有不動産記録証明書の交付等)

改正不動産登記法第百十九条の二 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。

2 相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

3 前二項の交付の請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。

4 前条第三項及び第四項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

→相続人申告登記と、一部遺産分割(例えば、10筆あるうちの宅地のみ行えば、相続登記の義務化は免れれる。)を行って相続登記義務化を免れることが可能?

規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」で受け付けた提案及び所管省庁からの回答について

内閣府 令和3年8月18日「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」で受け付けた提案及び所管省庁からの回答について

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/hotline/h_index.html

個人的に気になった回答を抜き出してみます。


農地転用申請のオンライン化について

店舗の建設・出店にあたり申請を行うが、これらをオンラインで申請できるようにし、この書類への押印を不要にしていただきたい。

①毎年1,000店程度の出店を行っているコンビニエンスストアでは、左記の申請書類へ社名・代表者氏名とともに印鑑を押印すべき書類が多数存在する。この書類の押印のために、複数人の専用の人員を整えて対応しているのが現状である。
②申請をオンライン化し、押印を不要とできれば、これらの人員をより有効な活用を進めることが可能となり、より効率化を図ることができる。

(一社)日本フランチャイズチェーン協会

農林水産省

①農地転用許可申請書への押印は、法令上の規定を根拠に求めているものではなく、国が発出している通知中の様式例を参考に、各自治体において申請書様式で押印を求めることとして運用しているものと考えております。
②デジタル手続法において、国の行政手続についてはオンライン化が原則とされているものの、現状では農地転用許可申請にかかるオンライン申請システムは構築されていない状況です。

農地法第4、5条

検討に着手

規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)において、デジタルガバメント分野の重点事項として、行政手続における書面規制・押印、対面規制の抜本的見直し、オンライン利用率の大胆な引上げ等を明記しているところです。
この取組の一環として、農地転用許可申請に係る押印についても通知中の様式例を改正し廃止する方針です。
また、農林水産省では農林水産省デジタル・ガバメント中長期計画(令和2年3月27日農林水産省行政情報化推進委員会決定)において、令和4年度中に全ての手続をオンラインで受け付けられるようにすることを目標としており、農地転用許可申請手続についてもオンライン化に向けて、システムを構築し対応していきたいと考えております。

定借の電子化

賃貸契約で普通借は電子化できるが、定借が古い法律で紙がいる。
システム化に不便。

it重説もあるのに、定借だけ遅れている、電子契約で完結するのに必要。

個人

法務省

借地借家法第38条第1項は,契約の更新がない旨の定めがある期限の定めがある建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約)をする場合においては,公正証書による等書面によって契約をしなければならないと規定しています。ここでいう「公正証書による等書面」とは,公正証書のみならず,単なる書面も含まれると解されていますが,電磁的記録は含まれないと解されています。同条第2項は,定期建物賃貸借契約をしようとするときは,賃貸人が,あらかじめ,賃借人に対し,契約の更新がなく期間の満了により当該建物の賃貸借は終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならないと規定しています。また,この書面は,契約書面とは別個の書面であることを要することとした判例があります(最高裁判所平成22年(受)第1209号平成24年9月13日第一小法廷判決・最高裁判所民事判例集66巻9号3263頁)。

借地借家法第38条第1項,第2項

検討を予定

借地借家法第38条第1項及び第2項の規定が設けられたのは,定期建物賃貸借契約は,期間満了により確定的に契約関係が終了することとなり,賃借人がその点を十分に理解しないまま契約を締結すると,賃借人が不測の損害を被ることになりかねないため,賃借人が定期建物賃貸借であることを十分認識できるよう,当事者の意思の確認が厳重かつ確実に行われると思われる公正証書等の書面による契約を義務づけるとともに,賃借人に対する事前の説明においても更に書面の交付を要求することで,契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止するためです。
 契約の電子化の必要性が高まっていることなどを受けて,定期建物賃貸借契約を電磁的記録によって締結すること等の検討を行う必要があると考えていますが,この定期建物賃貸借契約の締結について,書面による契約に代えて電磁的記録による契約の締結を認めることとした場合や,事前の説明において書面の交付に代えて電磁的記録の送付によることを認めることとした場合に,賃借人が定期建物賃貸借であることを十分認識することを目的とする法の趣旨が損なわれないか等の,必要な検討を進める予定です。

各種不動産の相続届

1.森林(不動産)を取得した場合、森林法により、市町村長へ所有者変更の事後届出をしなければなりません。
2.農地を相続した場合、農地法により農業委員会へ届出が必要です。
上記1、2とも、不動産の相続登記のデータを横につなげばいいだけではないでしょうか?

上記については不動産登記の名義変更を義務化するのが先かも知れません。
相続登記だけはする人が多いと思いますが、その後の届出は知らない人も多いです。特に森林。
これらの届出に意味があるのならば、データは共有した方が漏れがなくなります。

個人

法務省
農林水産省

1 平成24年4月から新たに森林の土地の所有者となった場合は、市町村の長が把握できるよう、市町村の長への届け出が必要となっています。

2 農業委員会の許可を要さない相続による農地の権利移転について、農業委員会が把握できるよう、農業委員会への届け出が必要となっています。

1 森林法第10条の7の2

2 農地法第3条の3

その他

1 御指摘の新たに森林の土地の所有者になった場合の市町村の長への届出については、森林法に基づき適切に伐採及び伐採後の造林が行われていない場合の造林命令等の森林を適切に整備・保全する諸制度を円滑に実施するために設けられた制度です。

2 農地の相続が生じた場合には、権利移転に係る農業委員会の許可を不要とする一方で、地域における農地集積などを円滑に実施するためには、農地の権利移転を確実に把握する必要があることから、相続の事実を届け出ていただく仕組みとしています。

3 現在、法制審議会において不動産の相続登記等の義務化等を内容とする不動産登記法の見直しに向けた調査審議が行われており、その検討状況を踏まえつつ、森林の所有者変更や農地の相続の届出への不動産登記の情報の活用を検討していく考えです。

戸籍等の郵送請求の料金支払い方法について

戸籍等の郵送請求の料金支払い方法の定期小為替を廃止して、全国統一の手数料納付システムを作り、クレジットカードで支払えるようにしてほしい

請求のためだけに郵便局にいき定期小為替を購入する必要がある、小為替一枚あたり100円の手数料がかかる、
また、追加で手数料納付する必要があるとき再度定期小為替を送付する必要があり、郵便費用もかかり、時間もかかる

個人

法務省

 戸籍謄抄本等の手数料の徴収については,市区町村ごとの条例で定めることとされているため(地方自治法第231条の2第1項),手数料の支払方法については,各市区町村の判断によることとされています。

地方自治法第231条の2

その他

 制度の現状欄に記載のとおりです。

法人の印鑑証明の電子認証無料化

法人を経営していますが、法人の印鑑証明をPCで請求する際、電子認証必要ですが、3ヶ月で2000円程度かかります。
合わせて発行手数料もかかるため、何度も利用する法人以外はコストメリットがありませんので無料化していただきたいです。

特に地方の法務局の多くは場合利便性の悪い場所にあり、印鑑証明の取得に行くだけで時間がかかります。
また、法務局の印鑑証明取得はいつも混雑しています。
皆、利便性の悪い場所に、わざわざ訪問し混雑の原因にもなっているためこの解消につながり、合わせて電子認証の促進にもなります

Garden Grove株式会社

法務省

商業登記電子証明書の手数料は,物価の状況,電子証明書の発行等に要する実費その他一切の事情を考慮して,定めることとしています。

商業登記法第12条の2第4項,第13条第1項
登記手数料令第11条

その他

商業登記電子証明書の手数料の見直しについては,「成長戦略フォローアップ」(令和2年7月17日閣議決定)において,「一定期間無償化の是非も含めた手数料の見直し」を検討することとされ,現在その見直し作業を行っているところです。
また,法人の印鑑証明書をオンラインにより請求する際に送信する電子証明書については,令和3年2月の商業登記規則の改正によって,電子署名した者が印鑑提出者である場合に商業登記電子証明書に限定している規定を削除する予定です。これにより,公的個人認証サービスの電子証明書を利用して,法人の印鑑証明書のオンライン請求ができるようになる予定です。

登記・供託オンライン申請

オンライン申請が、業務時間以外は、申請不可能になっています。Webで電話応対のように営業時間外があるのは民間では聞いたことがありません。
改善をお願いします。

会社の印鑑証明が欲しくて、日曜日に申請しようとおもったら、Webページが受け付けていませんのメッセージでした。
気づいたらすぐに申請できるシステムにしてください。
業務の効率化につながります。

民間企業

法務省

登記・供託オンライン申請システムのサービス提供時間は,平日の午前8時30分から午後9時00分までとしております。

検討を予定

登記・供託オンライン申請システムのサービス提供時間につきましては,サービス提供に要する費用及びシステムのメンテナンス実施時間等も考慮して,対応の可否を検討してまいります。

公的個人認証サービスにおける住民票の最新情報の提供

電子証明書が失効した場合においても、住民票の変更後の内容を提供できるようにすべきである。
 
事業者が顧客に対して契約書や通知書等を発送するにあたり、当該顧客が住所変更を申し出ない限り、住所の変更を把握できない。このため、新住所を照会した上で再配達の手続を行う必要が生じる。とりわけ、生命保険業界においては、顧客との契約締結後から保険金の支払いに至るまで長期にわたり契約管理を行うため、顧客の最新の住所情報や生死情報の把握に要する負担が極めて大きい。
公的個人認証サービスの「署名用電子証明書」には住民票に記載の基本4情報が含まれるため、証明書の有効性を確認することで最新の住民票情報との差異を把握できる。公的個人認証法の改正にともない、2016年より民間事業者においても、地方公共団体情報システム機構に対する照会を通じて電子証明書の有効性を確認することが可能となっている。しかしながら、住所変更等により電子証明書が失効した場合においても、署名検証により入手できるのは失効の事実にとどまり、変更後の住所内容等は把握できない。このため、事業者は別途顧客に新情報を照会する必要が生じ、業務負荷の軽減効果は小さい。

(一社)日本経済団体連合会

総務省

 電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第153号。以下「公的個人認証法」という。)第18条第1項及び第2項において、機構は、署名検証者の求めがあったときは、署名用電子証明書失効情報又は署名用電子証明書失効情報ファイル(以下「署名用電子証明書失効情報等」という。)の提供を行うこととされており、生命保険会社は、機構から署名用電子証明書失効情報等の提供を受け、生命保険会社で取得している署名用電子証明書の有効性を確認することで、異動等の有無を確認することができます。

電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律

対応

 「デジタル・ガバメント実行計画」(令和2年12月25日閣議決定)において、本人同意に基づき基本4情報を署名検証者に地方公共団体情報システム機構から提供する仕組みを構築し、令和4年度にサービスを開始することを目指すこととされたことを受けて、第204回通常国会にこれを可能とする改正法案を提出しているところ。

マンション管理組合のIT総会・理事会におけるルール整備

現在、政府においては、類似の事案としてバーチャルオンリー株主総会のあり方について2020年度中に結論を得る方向で検討されている(「成長戦略フォローアップ」2020年7月17日、p42)。この議論と並行して、WEB会議システム等を用いたマンション管理組合の総会・理事会の開催方法について、デジタルデバイドにも配慮しつつ、決議無効を回避するためのオンラインでの議決権行使の望ましい運用ルール(バーチャルオンリーも含む)についてガイドラインを策定し、明確化すべきである。また、これを踏まえたマンション標準管理規約の見直しも検討すべきである。

マンション管理組合が開催する総会・理事会は、従前より集会室等で実際に人が集まり対面形式で行われてきた。昨今、感染リスクの回避や業務効率化等を目的に、ITを活用した会議システム等の活用で物理的な場所に制約されない形式で、出席および議決権行使ができる総会・理事会を開催するニーズが高まっている。
しかし、現行の区分所有法において、マンション管理組合の総会及び理事会を、ITを活用し開催した場合に、参加者が出席扱いとされるのか、またオンラインでの議決権行使の有効性が不明瞭である。これにより、国内に概ね10万程度あるとされる管理組合は、WEB会議システム等による総会や理事会を開催することに二の足を踏んでいる現状がある。
2020年5月、公益財団法人マンション管理センターが「新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A」を公表し、区分所有法第39条、同第45条の解釈が一定程度示されたが、例えば、以下のような実務上の対応方法が不明確であり、オンライン開催の判断が困難となっている。 
Ø 本人確認に関する対応(経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」p15参照)
Ø 第三者がなりすましてWEB会議システム等で総会に参加し、議決権を行使していたことが後日判明した場合の対応
Ø 事前に書面や電磁的方法で議決権行使をした者が、総会にWEB会議システム等で参加し、提出済の議決権行使書の意見から変更の意思表示をした場合の対応
Ø オンラインのみ(バーチャルオンリー)で開催した場合においてインターネット環境を持たない区分所有者がいる場合の対応
また、国土交通省が公表しているマンション標準管理規約においても、上記のような場合の扱い等について明示的な記載がない。そのため、仮に管理規約で独自に定めていても、将来的に総会が無効となるリスクがあり、有効に活用できていない。
要望が実現すれば、全国に約10万存在するマンション管理組合において、WEB会議システム等によって感染症対策をしながら総会・理事会の議案決議が滞りなく進められる。また、WEB会議システム等を活用すれば遠隔地からの参加も可能となるため、これまで以上に総会・理事会への参加者は増加すると期待される。多数の意思決定が総会・理事会に反映されることは、管理組合の活動の健全化にも寄与すると考えられる。

(一社)日本経済団体連合会

法務省
国土交通省

区分所有法上、WEB会議システムを用いて区分所有者の集会を開催することは、一律に否定されているものではありませんが、その具体的な議事運営等については、運用に委ねられています。
マンションの快適な居住環境を確保するためには、区分所有者間の具体的な住まい方のルールを定めておくことが重要であり、国土交通省では、管理組合が各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として、「マンション標準管理規約」及び「マンション標準管理規約コメント」を作成し、周知を図っています。

区分所有法
マンション標準管理規約

検討を予定

区分所有法上、WEB会議システムを用いて区分所有者の集会を開催することは、一律に否定されているものではなく、その具体的な議事運営等については、運用に委ねられています。
これに関し、今般、国土交通省・法務省もオブザーバーとして参加した「ITを活用した総会における在り方検討会」(一般社団法人マンション管理業協会)において、「ITを活用した総会の実施ガイドライン」(令和2年12月1日策定・公表)がとりまとめられ、WEB会議システムを用いた区分所有者の集会及び理事会(いわゆるバーチャルオンリー型を含む。)の具体的な議事運営等についての運用の例が示されたものと承知しています。
こうした取組を踏まえつつ、引き続き、マンション管理に係る関係団体とも連携し、マンション標準管理規約の改正を検討してまいります。

法務局のキャッシュレス化

法務局での手数料支払いの時、印紙購入のキャッシュレス化、または手数料支払いのキャッシュレス化を望みます。

法務局で印鑑証明等、手数料支払いの時、受付窓口と別のところで、現金で印紙を購入するという手間がある。法務局で現金を扱えないことや、クレジットカードなどキャッシュレスの現金化を防ぐことなど、印紙購入のメリットもあると思う。しかし、キャッシュレスを推進している政府の機関であれば、印紙のキャッシュレス購入、またはキャッシュレスの場合のみ印紙購入を挟まない、直接法務局窓口で支払える方法を導入してください。

民間企業

法務省

不動産,会社・法人に係る登記事項証明書や印鑑証明書(以下「登記事項証明書等」という。)を登記所の窓口で請求する場合には,申請書に必要な事項を記載し,所定の手数料額に相当する収入印紙を貼付して,登記所の窓口に提出する必要があります。


不動産登記法第119条
不動産登記規則第193条,第194条
商業登記法第10条,第12条,第13条
商業登記規則第19条,第22条,第28条
登記手数料令第2条,第3条

検討を予定

登記事項証明書等の交付事務に係る登記手数料のキャッシュレス決済の導入については,関係法令における制度の趣旨や利用者の利便性向上の観点等も踏まえて,費用対効果を考慮しつつ,検討を行ってまいります。

「中小企業倒産防止共済」「小規模企業共済」に係る手続の負担軽減

新規加入時、預金口座のある金融機関に事前押印を求める「金融機関口座確認印」の廃止
掛金月額変更申込書、掛金前納申出書など加入後手続のオンライン化

「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」「小規模企業共済」に係る手続は全て紙であり、電子申請ができない。
商工会議所など委託団体で新規加入を行う際、掛金を引き落とす口座のある金融機関で、「掛金預金口座振替申出書」の確認印の押印が事前に必要となっている。公共料金自動引落や、民間のクレジットカード引落口座登録手続などにおいては行われていない手続であり、事業者の負担となっており、本制度の利用促進を阻害している。
利用者の利便性向上や感染拡大防止、ならびに行政手続のデジタル化・オンライン化を推進する観点から、「金融機関口座確認印」の廃止と申請手続のオンライン化を図るべきである。

日本商工会議所

経済産業省

中小企業倒産防止共済と小規模企業共済に係る手続は全て紙であり、電子申請に対応していません。
中小企業倒産防止共済及び小規模企業共済に加入を希望される方(以下「申込者」)は、委託機関(金融機関、商工団体等)からお申込みいただきます。商工団体等で受付ける場合、事前に申込者に「掛金口座振替申出書」を金融機関に提出いただき、金融機関は申込者の口座を確認して口座振替設定手続を行った後、「掛金口座振替申出書」に確認印を押印して申込者に返却、申込者から商工団体等へ提出していただくことととなっています。
また、「掛金月額変更申込書」、「掛金前納申出書」については、申込者から委託機関へ提出していただくことになっています。

検討に着手

中小機構では、オンライン利用率引上げの基本計画(令和2年12月4日)に基づき、掛金月額変更の申込手続きは令和5年度中、掛金の口座振替手続きは令和7年度中にオンラインによる手続きが可能となるように検討を進めています。
 「金融機関口座確認印」については、掛金の口座振替手続きのオンライン化の検討に合わせて検討
を進めています。
 また、「掛金前納申出書」については、オンライン利用率引上げの基本計画にある業務に合わせて、オンライン化の実現に向けて進めています。

都銀等による信託業務に係る規制緩和

【具体的要望内容】
ü 不動産売買の媒介、貸借の媒介・代理等の不動産関連業務等を、都銀本体、子会社、信託銀行子会社、信託代理店に解禁。
ü 不動産取引一任代理等(宅地建物取引業第50条の2第1項)を都銀本体、子会社、信託銀行子会社に解禁

【制度の現状】
² 現状、都銀本体、信託銀行子会社、信託代理店は、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」により、併営業務の一部である不動産売買・仲介等の不動産関連業務を行うことができない。

【要望理由】
² 一部の信託兼営金融機関は不動産業務を行っており、これらの金融機関において当該業務により、不動産仲介を行うとともに当該不動産取得資金を融資する事例もみられるが、経営の健全性が損なわれている状況にもなく、都銀本体、都銀子会社、信託銀行子会社および信託代理店に対して、併営業務の一部を制限することの理論的根拠は不明確。また融資市場においては、公平な競争条件が形成されていない面あり。
² 都銀または都銀子会社によるREIT運用会社設立、または買収を検討するも、宅地建物取引業、及び取引一任代理が解禁されないため、参入できない。都銀または都銀子会社によるREIT運用会社設立、または買収を実現させるためには、宅地建物取引業及び取引一任代理の解禁が必要不可欠。
<メリット・ニーズ>
① 国土交通省が標榜する「REIT市場30兆円」に資する事業者の拡大。
②今後想定されるREIT救済において、都銀による支援体制の1つとなる可能性あり、個人投資家を含むREITエクイティ投資家の保護に繋がる。
③都銀顧客には不動産売買ニーズ及び情報が数多くあり、顧客からも都銀の不動産ビジネス参入期待有り(上場REITの資産運用会社からの賃貸不動産売買情報提供ニーズなど)
④都銀で不動産仲介は、利益相反防止など金融機関の基準に基づいた顧客本位の不動産取引に繋がる。

都銀懇話会

金融庁

 銀行は、一部の信託兼営金融機関を除き、不動産業務を行うことが禁止されています。

金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項
金融機関の信託業務の兼営等に関する法律施行令第3条
金融機関の信託業務の兼営等に関する法律施行規則第3条第1項

検討を予定

 銀行における不動産仲介業務への参入については、他業を営むことによるリスクの遮断、銀行業務に専念すること等による銀行等の経営の健全性確保といった他業禁止の趣旨を踏まえる必要があり、中長期的な検討を要するため、直ちに措置することは困難です。

オンライン登記事項証明書

オンライン登記事項証明書を取得した所、法務局(福岡県八幡)で取得するために、受け取り証に住所・氏名・申請番号等を記入するように言われた。

申請時のWEB画面の印刷を持っていったのにこの対応です。
コロナ時代できるだけ施設内にいなくて良いようにすべきです。
WEBや携帯画面で受け取り用画面を表示できるようにすべき。
コンビニで印刷ができるようになればさらに良いです。
個人の印鑑証明ができるので、コンビニ発行できるはずです。

個人

法務省

(前段)
 オンラインにより交付請求された証明書を登記所で受け取る場合,法務局の窓口担当者は,①証明書を受け取る者の氏名及び住所,②申請番号,③証明書の合計の請求通数の情報を確認することとなっており,請求人は,上記①から③までの情報が記載された以下1から3までの書類のいずれかを窓口で提出していただく必要があります。
 1 「かんたん証明書請求」の「Step2 照会内容確認(電子納付情報表示)」の画面を印刷し,請求に係る証明書の合計の通数を記載したもの
 2 「申請用総合ソフト」の「電子納付」の画面を印刷し,請求に係る証明書の合計の通数を記載したもの
 3 上記1及び2の書面に代えて,上記①から③までの情報を請求人が記載した書面

(後段)
不動産,会社・法人に係る登記事項証明書や印鑑証明書(以下「登記事項証明書等」という。)の交付を請求する場合には,手数料を納付して,申請書に必要な事項を記載し,①最寄りの登記所に直接持参する方法,②登記所に申請書を郵送する方法,③インターネットを利用してオンラインにより交付請求する方法があります。

(前段)
不動産登記規則第197条の2
商業登記規則第107条第5項

(後段)
不動産登記法第119条
不動産登記規則第193条,第194条
商業登記法第10条,第12条,第13条
商業登記規則第19条,第22条,第28条
登記手数料令第2条,第3条

(前段)
その他




(後段)
検討を予定

(前段)
 「かんたん証明書請求」及び「申請用総合ソフト」のいずれを使用しても①証明書を受け取る者の氏名及び住所と②申請番号が記載された画面が表示され,当該画面を印刷した上,③証明書の合計の請求通数を記載したものを証明書の受取先として指定した法務局に提出する方法により,証明書を受領することが可能です。また,このような書面の提出ができない場合であっても,①から③までの情報が記載された書面を提出いただければ対応が可能です。これらの措置は,証明書の誤交付を防止するために必要なものですが,利用しやすいものとなるよう努めてまいります。

(後段)
コンビニ等で登記事項証明書等を交付することについては,関係法令や利用者の利便性向上の観点等も踏まえて,費用対効果を十分に考慮しつつ,慎重に代替措置の存否を含めた検討
を行ってまいります。

預金差押通知書の電子化による預貯金照会事務との一体的なデジタル化の実現

預貯金照会から預金差押までの事務をデジタル化するため、預金差押通知書を電子化する。

○預金の差押えは、国税庁および地方自治体から滞納者の預金口座のある銀行店舗に対し、書面の債権差押通知書が郵送・持参されることにより行われており、書面・対面ベースでの事務処理に係る負担が課題となっている。
○現在、預貯金照会事務については、「デジタル・ガバメント実行計画」(2019年12月閣議決定)を踏まえ、金融庁・国税庁等においてデジタル化に向けた検討が進められている。
○預金差押通知書が電子化されれば、預貯金照会から預金差押までの一連の事務のデジタル化を実現でき、国税庁・地方自治体および銀行の双方にとって、事務処理の効率化、負担軽減につながる。

一般社団法人全国地方銀行協会

内閣官房
金融庁
総務省
財務省
厚生労働省

 預金の差押えは、第三債務者である金融機関に債権差押通知書を送達することにより行うこととされています(国税徴収法第62条第1項)。
 なお、預金の債権差押書通知書は、郵便若しくは信書便による送達又は交付送達により送達することとされています(国税通則法第12条)。

国税徴収法第62条第1項
国税通則法第12条
地方税法第48条第1項等(各税目の規定に「国税徴収法に規定する滞納処分の例による」旨あり。)

検討を予定

預金の差押通知書の送達については、制度面・運用面及び費用対効果等を勘案した上でデジタル化を検討してまいります。
なお、現在の預貯金照会事務のデジタル化に向けた取組とも連携を検討してまいります。

免許更新の際の講習をオンラインで行いたい

最寄りの警察署で更新の手続きを行った後に、自宅、もしくは警察署で講習の動画を見た後に、後日警察署に免許証を取りに行く。

講習では動画が流れるだけなので、それを一か所で集まって、決まった時間に見るのは、効率的ではないと思います。
オンラインで可能な内容であると思いますし、そうする事で施設費や、人件費などを削減できると同時に、そのために移動、準備する時間を、他の仕事に回すことができると考えます。

個人

警察庁

 免許証の更新を受けようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県公安委員会が行う優良運転者、一般運転者又は違反運転者等の区分に応じた講習を受けなければならないこととされています。また、当該講習については、都道府県警察の運転免許センター等で実施されています。

道路交通法(昭和35年法律第105号)第101条の3

対応

 優良運転者講習のオンライン化については、令和2年12月に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画において、令和3年度にモデル事業を行い、令和4年度以降にモデル事業の効果検証や必要なシステム改修等を行った上で、令和6年度末に全国で実施することとされており、警察庁において、講習のオンライン化に向けた取組を推進しています。
 上記モデル事業については、4道府県で実施する予定です。


マイナンバーカードによる生活保護の自動給付

マイナンバーカードにすべての口座等の資産を紐づけることを条件に、公務員の恣意的な判断をすることなく、自動的に給付を可能とする。

日本の生活保護申請は、手続きが煩雑で給付に非常に時間がかかり、命の危機に瀕している人を救うことができていない。すべての口座を紐づけることにより資産状況が把握でき、不正受給が根絶できる。また、公務員の恣意的な給付抑制を防ぎ、生活保護の適切な支給により、本当に必要な人の命を守ることが可能となる。最低限の生活が保障されることにより、基本的人権が守られる。

個人

内閣官房
金融庁
厚生労働省

 生活保護法第7条において、保護は、要保護者、その扶養義者又はその他の同居の親族の申請に基づいて開始するものとされていますが、要保護者が急迫した状況にある場合には、申請がなくとも保護を行うことができることとされています。

 また、同法第8条においては、保護は厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基ととし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとされています。

生活保護法第7条等

対応不可

 生活保護は権利であることから、生活保護法上、保護が申請に基づき行われることが原則とされています。
 また、生活保護受給者に限定して預貯金口座へのマイナンバー付番を義務付けるなど、生活保護受給について、資産、収入に関わらない要件を課すことについては、慎重な検討が必要
です。

緊急走行時のETC通行について

現在、緊急車両のETC利用については、道路管理者の発行する業務用プレートと呼ばれるETCの発行を依頼し、発行道路管理者の管理する道路のみ(一部他社のカードに情報を載せる場合あり)に使用は限られている。
ところが、実際には旧道路公団、現NEXCOの子会社が一元的に発行をしており、発行されるカードで全国の道路の通行が可能である。
そのカードを、一律全国での利用が可能な制度とし、円滑な緊急走行につなげていただきたい。

現在は、特に道路管理者が複数あるような都市部において、道路管理者の異なる道路を通行する場合、カードの差し替えなどの対応をするなどの対応が必要な場合や、E例え緊急走行であってもETC通行ができない状態となるなどの影響がある。
それぞれの道路管理者の棲み分けによる、相互乗り入れができないためである。
これにより、管轄する行政機関(特に警察、消防)が影響を受けている。
一方で、道路パトロール隊は、道路管理者内々の申し合わせなどで、相互の道路乗り入れも柔軟に対応している。
乗用車がETCレーンを停車することなく通過する中、最も急ぐべき緊急走行車両が、この時代において、道路管理者の縦割りにより影響があるようなことは、決して許されない。
にも関わらず、国交省や総務省も理解していながら、解決に至らない。
先般、総務省行政評価局においても、一定解決するべき問題であることも示されて(評価局の主旨は若干異なるが…)いる。
全国の有料道路の通行が可能となることで、広域的な応援活動も円滑に進むことは言うまでもない。
警察、消防、さらには自衛隊までも、新たなETC通行制度をしっかりと運用すれば、より良い対応が可能である。
早期に検討いただきたい。

個人

警察庁
総務省
国土交通省
防衛省

 高速道路の料金を徴収しない車両については、道路整備特別措置法において、道路交通法に規定する緊急自動車その他政令で定める車両はこの限りではないとされており、同法施行令において、災害救助、水防活動その他の特別の理由に基づくものであるため料金を徴収することが著しく不適当であると認められる車両で、国土交通大臣が定めるものとされています。
 
 国土交通大臣が定める車両については、「料金を徴収しない車両を定める告示」で定められており、警察、消防等車両については、当該車両の使用目的に応じて告示の該当の有無を判断しており、告示に該当する場合、料金を徴収していないところです。

 当該告示に該当する場合の通行方法等については、各高速道路会社と各地方公共団体等との協議において定められていることから、各高速道路会社において発行したETCカード等を使用して各高速道路会社が指定した区間を通行する必要があるなど、同一の通行方法で管理会社が異なる高速道路を利用することができない場合があると承知しております。

道路整備特別措置法

検討に着手

 当該告示に該当する場合の通行方法等について、管理会社が異なる高速道路を相互に通行する場合には、一のETCカードにより相互に利用が可能となるよう、検討に着手していると高速道路会社から聞いているところですが、国土交通省としましても、高速道路会社と連携し、適切な運用の見直しに向けて必要な対応を行ってまいります。

動産譲渡登記又は債権譲渡登記の資格証明書の省略

動産・債権譲渡登記令第8条第1号により、動産譲渡登記又は債権譲渡登記の資格証明書の添付が求められているが、不動産登記及び商業登記においては会社法人等番号を提供することによりその添付が省略できる。動産譲渡登記又は債権譲渡登記においても会社法人等番号の提供することにより、資格証明書の提供を省略できるようにしてほしい。

デジタル・ガバメント実行計画にも触れられている登記事項証明書の添付省略を行うことにより、利用者の費用負担を行うことができる。

個人

法務省

 動産譲渡登記又は債権譲渡登記の申請時に、登記申請をされる方から商号若しくは名称及び本店若しくは主たる事務所の所在地又は会社法人等番号の情報を御提供いただき、登記官がこれらの情報から登記情報連携により当該法人の登記事項を確認することができる場合には、代表者の資格を証する書面としての法人の登記事項証明書の添付を省略することができます。

動産・債権譲渡登記令第8条第1号、動産・債権譲渡登記規則第13条第1項第1号、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第11条、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行令第5条

対応

  登記事項証明書の添付が必要な国の手続につきましては、令和2年10月から運用が開始された国の行政機関における登記情報連携によって、当該情報の提供を受けるための環境が整った場合は、その添付を省略することが可能となっています。
 これを受けて、動産・債権譲渡登記手続においても、動産・債権譲渡登記規則の一部を改正し(令和3年法務省令第32号)、令和3年6月1日から、動産譲渡登記又は債権譲渡登記の申請時に、登記申請をされる方から商号若しくは名称及び本店若しくは主たる事務所の所在地又は会社法人等番号の情報を御提供いただき、登記官がこれらの情報から上記登記情報連携により当該法人の登記事項を確認することができる場合には、代表者の資格を証する書面としての法人の登記事項証明書の添付を省略することができることとなりました。

法律の旧字体について法律関係の公文書が未だ活版印刷時代を感じさせる旧字体で読みにくいように思います。
よってがよつてであったり
負うが負ふであったりで混乱し、
読むのに時間がかかるので刷新はできないでしょうか。
私は法律家ではないのですが
仕事で関係法令に触れることがあります。
国民は法律を調べる機会が時たまあると思いますので、
現代の国民全員が読める文章にする
というのも業務効率化になるのではないかと思います。
難しい文は各種解説サイトがありますが、
解説サイトがあるのは書いている方の解釈が入るので本来喜ばしいことではないと思います。
文章を変えるということで、
難しい部分もあると思いますがどうぞ宜しくお願いします。
個人内閣官房
内閣法制局
文部科学省
【内閣法制局】
法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記については、 「法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について」(昭和63・7・20内閣法制局総発第125号)により、「現代仮名遣い」(昭和61・7・1内閣告示第1号)の原則に従い、昭和63年12月召集の第114回通常国会に提出する法律案等(大書きとなっている法令の一部改正を除く。)から小書きにすることとしています。

【文部科学省】
戦後の法令の用字用語については「公用文作成の要領」(昭和26年国語審議会建議、昭和27年内閣官房長官依命通知別紙)に基づいています。その「3 法令の用字用語について」の「2(1)」には、法令の一部を改正する場合について、次のような規定があります。

1 文語体・かたかな書きを用いている法令を改正する場合は、改正の部分が一つのまとまった形をしているときは、その部分は、口語体を用い、ひらがな書きにする。
2 にごり読みをすべきかなに、にごり点をつけていない法令を改正する場合は、改正の部分においては、にごり点をつける。
3 当用漢字字体表(注:現在は常用漢字表)の字体を用いていない法令を改正する場合は、改正の部分においては、当用漢字字体表の字体を用いる。
4 旧かなづかいによる口語体を用いている法令を改正する場合は、改正の部分においては、現代かなづかいを用いる。

したがって、いわゆる旧字体の漢字及び旧仮名遣いを用いた法令について、その全部改正を行う場合には、当用漢字表又は常用漢字表の字体を用いるとともに現代仮名遣いを用いることとなります。一方、一部を改正する場合には、改正の部分以外が従前のまま残ることとなっています。
【内閣法制局】
「法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について」(昭和63年内閣法制局総発第125号)

【文部科学省】
「公用文作成の要領」(昭和26年国語審議会建議、昭和27年内閣官房長官依命通知別紙)
【内閣法制局】
その他

【文部科学省】
現行制度下で対応可能
【内閣法制局】
制度の現状欄に記載のとおりです。

【文部科学省】
「制度の現状」で示したとおり、現状の制度下であっても、法律の改正によって、いわゆる旧字体の漢字や旧仮名遣いを改めることは可能です。

農地利用状況調査におけるデジタル情報の活用
 農地法で定められている農地利用状況調査は、農業委員会が年に1回、所管する農地を調査することとされている。
現在、当農業委員会では、紙媒体の地図を、農地利用最適化推進委員(平成30年7月32名設置)に配布し、農地の利用状況を調査、写真の撮影と地図の色分け、月一度の報告を行っている。
 農地の地図情報のデジタル化を図り、タブレット端末を用いた調査の効率化を図りたい。

 農地利用状況調査における地図情報のデジタル化と、タブレット端末等を用いた調査効率の向上を検討しているが、福島県及び一般社団法人福島県農業会議では、タブレット端末の導入(リースや購入)のほか、地図情報を用いたシステムの導入は、既存の農地情報公開システムとのすみ分けが困難であるとして、補助金の交付が認められていない。
 次年度において、任期を3年とする農地利用最適化推進委員の第17期を委嘱するにあたり、改めて地図情報の印刷やカメラなど現地調査用の資材の購入が必要となることから、補助金のメニューにデジタル化の推進とタブレット端末等の活用をお認めいただきたい。
地図情報の印刷 300万円の削減
カメラなど現地調査資材 150万円の削減
農地利用状況調査の効率化及び時間の短縮
 これに付随し、農水省が進めているデジタル地図の開発と、農地情報公開システムの連携及び現地調査に対応したシステムの開発を急いでいただきたい。
個人農林水産省 利用状況調査については、調査計画策定費や現地調査旅費等を補助するため、農業委員会からの申請を受け、機構集積支援事業で予算を措置しています。
 デジタル地図については、「「デジタル地図」を活用した農地情報の管理に関する検討会」において、関係機関が有する農地に関する情報を地図上で紐付け、一元的に管理するデジタル地図の活用についての検討結果を令和2年3月に取りまとめ、その結果を受け、デジタル地図を活用して農地台帳や水田台帳等の農地の現場情報を統合し、農地の利用状況の現地確認等の抜本的な効率化・省力化などを図るための「農林水産省地理情報共通管理システム」の開発に向けた検討を進めているところです。
 また、農地情報公開システムについては、農林水産省地理情報共通管理システムと連携するために関係省庁等との必要な調整を行っているところです。
なし対応 農業委員会が行う現地調査については、情報収集のスピードアップを図り、得られた情報を関係機関と速やかに共有できるようにするため、当省としてもデジタル化を進めることが必要と考えております。
 そのため、令和3年度概算要求でタブレットの導入経費について計上を行ったところです。
 また、まずは農地情報公開システムへの移行を推進していただくとともに、農林水産省地理情報共通管理システムの開発と、農地情報公開システムの連携及び現地調査に対応したシステムの開発については、令和4年からの一部運用を目指し、12月15日に閣議決定した令和2年度第3次補正予算案に計上しているところです。
税務官へのメールアドレスの付与(外部との連絡用)

税務官へのメールアドレスの付与(外部との連絡用)


私は会社員ですが、数年に一度税務監査を受けております。
質問をされて後日回答になる場合、回答は書面でFAXを送るように指示されます。
担当税務官への連絡はいつも電話を使用してのやり取りになります。
業務の効率化、及びやりとりの記録方法を簡潔にするためにも外部とやり取りできるメールアドレスを税務官に付与してくださいませんでしょうか。
個人財務省 税務調査は、多くの場合、税務職員が納税者(法人等)の管理・支配する場所(事務所等)等に臨場して実施していますが、税務調査を開始する前の調査開始日時・場所等の事前通知や臨場後の追加資料の提出依頼等のために納税者(法人等)に連絡する際には、電話等により行うこととしています。
 また、調査に関係する資料を提出していただく際には、郵送によるほか、FAXを利用することもあります。
国税通則法第127条検討に着手 国税の職場では、納税者の皆様の機微な情報を大量に取り扱っており、情報流出等に細心の注意を払っているところです。インターネットメールの利用については、誤送信などにより情報流出リスクが高いことから、納税者の皆様の機微な情報の取り扱いを制限しておりますことをご理解いただきますようお願いいたします。
 なお、納税者の皆様の利便性向上のため、インターネットを利用したメール以外の安全な方法について既に検討を進めており、早ければ令和3年度中の利用開始を目指しております。利用可能となりましたら、皆様にお知らせしたいと考えております。

在外公館での戸籍発行業務について
海外在住者が自身の戸籍謄本(抄本)を在外公館でも取得または取得手続きができるようにしてほしい。

現在海外在住者が自身の戸籍謄本を取得する必要がある場合、日本国内の役所での手続きが必要である。つまり、そのために帰国するのが困難な場合、日本にいる家族等代理人に委任して手続きをしてもらうことになる。これが在外公館で手続きから取得まで、または本籍地の役所へオンライン申請をして在外公館で受け取るなどができれば、日本からの郵送を待つことなく(メキシコ在住ですが、現地の郵便事情は良いとは言えず、また追跡結果も信用できず予定通りに到着することはほぼありません)、また代理手続きをしてもらう必要もなくなる。個人的なことではありますが、私は一人っ子で母は他界しており日本の家族は高齢の父しかおりませんので、現地で自分で取得することができればコストや委任状等の手間が省けることになる。戸籍が必要な場合というのは、海外在住者の場合ほとんどが在外公館での手続きであるので、戸籍の取得もできればなおスムーズである。婚姻届けや出生届は在外公館に提出するだけで日本の戸籍に反映されるのだから、理論上は可能なのでは?と考える。日本ではマイナンバーカードの取得等が条件とはなるものの、コンビニでも取得可能になってきているので、セキュリティの問題等あるのかもしれませんが海外在住者についてもアクセスしやすくなることを願います。
個人法務省
外務省
【法務省】
  戸籍謄抄本等の交付請求は,本籍地の市区町村に対して行う必要があります。

【外務省】
在外公館における領事手続において、記載事実等の確認のため必要に応じて、戸籍謄(抄)本を日本から取り寄せていただいております。
【法務省】
戸籍法第10条第1項

【外務省】
戸籍法
【法務省】
検討を予定


【外務省】
検討を予定
【法務省】
 制度の現状欄に記載のとおりです。
 なお,令和元年5月31日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日から,いずれの市区町村においても,本人等の戸籍又は除かれた戸籍の謄抄本を取得することができるようになります。

【外務省】
在外公館における戸籍の届出や証明申請手続等において、今後、戸籍謄(抄)本の添付を不要とするよう関係省庁とも連携し検討を進めてまいります。

法務省・裁判所における横書きコンマの使用撤廃
法務省・裁判所では、「公用文作成の要領」に従い、横書き文書にテン「、」ではなく、コンマ「,」を用いています。しかし、民間は勿論、他の省庁でも、日本語の文章にコンマを使うことはなく、法務省・裁判所関係だけが、コンマを使うことを強制しているのは異常です。法務省・裁判所における横書きコンマを使用を撤廃し、民間・他の省庁と同様に、テン「、」を使うよう改めて下さい。

日本において、横書き文書を書くにあたり、法務省・裁判所関係(検察庁、弁護士会、裁判関係用語)だけ、テン「、」ではなく、コンマ「,」を使っています。これは、この世界が一般市民社会からかけ離れた非常識なところであることを示していませんか。裁判員制度の導入など、市民に開かれた裁判制度を目指しているにも関わらず、用語の使い方を見ても、市民社会の常識を見ようともしない姿勢には憤りを感じます。
横書き文書を、テンではなく、コンマで表記するよう、裁判官・検察官・弁護士、法務省職員の方は、パソコンを設定しているのだと思いますが、普通の人はそんなことはしません。
テンで表記された文書を受け取らない職員の方もいるようですが、全くの無駄で、合理性に欠けています。
制定から50年以上経過した「公用文作成の要領」において、コンマ「,」を使うよう定めているのは、戦後の混乱期における間違った日本語改革の一つです。これを機に、「公用文作成の要領」を正式に改め、横書きであっても、日本語文章はテンを使うようにきちんと定めて下さい。
個人文部科学省
法務省
内閣官房
 「公用文改善の趣旨徹底について」(昭和27年内閣閣甲第16 号依命通知)で「これを関係の向に周知徹底せしめることは、公用文改善の実をはかるため適当のことと思われる」として示された「公用文作成の要領」(昭和27年内閣閣甲第16 号依命通知別紙)は、公用文を、感じのよく意味のとおりやすいものとするとともに、執務能率の増進をはかるため、その用語用字・文体・書き方などについて、示したものです。その「第3 書き方について」の5 注2で「句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる。」と示されています。
 ただし,「公用文作成の要領」が通知されて既に70年近くを経ており,現状の公用文の作成においては,言葉に対する意識の変化や和文タイプライターを使用しないなどの社会状況の変化に合わせて省庁ごとに柔軟に運用されるようになり,読点についても,「、」の使用を許容している省庁もあります。
 なお,法務省においては,上記「公文書作成の要領」に基づき,「,」を使用していると
ころです。
「公用文改善の趣旨徹底について」(昭和27年内閣閣甲第16 号依命通知)、
「公用文作成の要領」(昭和27年内閣閣甲第16 号依命通知別紙)
検討に着手 文化審議会国語分科会において、令和3年3月12日に「新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/92968501_01.pdf)が取りまとめられたところであり、その中では読点には「,」でなく「、」を用いることを原則とすることについても内容に盛り込まれております。当報告を踏まえ各府省庁における取扱いについて関係府省庁と検討を行う予定です。

各都道府県の警察で運用している落とし物検索サイトを警察庁でまとめて運用
落とし物検索サイトについて、現状は都道府県警別に運用しているため使い勝手が悪く、多重投資で税金の無駄遣いでもあり、運用のための余計な人員が発生しているのではないかと思います。使い勝手のいいサービスを一つ用意して、各都道府県警でそれを共有して使用すればいいはずです。

以前車で東北を何日もかけて旅行したとき、ある大事なものを無くしたことに後で気が付きました。警察の検索サイトで調べようと思ったのですが、各県でそれぞれ別のサイトとなっており、検索フォームも全く統一感がなく探すのに大変苦労しました。それを連日繰り返す必要がありました(結局見つかりませんでしたが)。

参考:都道府県警察における遺失物の公表ページ|警察庁Webサイト
https://www.npa.go.jp/bureau/soumu/ishitsubutsu/ishitsubutsulink.html


そんな場合でも、各都道府県で単一の検索サービスを共有していれば、調べる手間は毎回一度ですんだはずです。

共有化することで、以下のメリットが見込まれるかと思います。
・各都道府県警で発生しているシステム開発費、サーバー運用費、人件費の削減
・利用者(国民)の利便性向上

運転免許証とマイナンバーカードを共通化するためにシステムをクラウド化するという報道もありましたので、今回の提案も関連して進められるのではないかと思います。
個人警察庁 遺失物法(平成18年法律第73号)では、拾得物の早期発見・返還のため、都道府県警察本部長による
 ・ 貴重な物件に関する通報
 ・ 公告され、又は通報を受けた物件に関するインターネット公表
等が規定されています。
 これらを実施するため、各都道府県警察が拾得物や遺失届に関する情報を集約する遺失物管理システムを整備し、運用しているところです。
遺失物法(平成18年法律第73号)第8条第2項
遺失物法施行規則(平成19年国家公安委員会規則第6号)第12条
対応 これまで各都道府県警察で個別に整備されていた遺失物管理システムを全国統合する予定であり、これにより、拾得物検索の利便性向上が図られるものと考えています。
 なお、全国統合した遺失物管理システムは、令和4年度中に一部都道府県警察において運用を開始し、令和8年度末までに順次全国に拡大していく予定です。

実体のない会社等の登記の職権消除について

https://blog.goo.ne.jp/tks-naito/e/9e570de449bef05c38d8dbeee4a64cc1

行政サービス・データ連携モデル(全体編)(β版)を読みながら

政府CIOポータル標準ガイドライン群

https://cio.go.jp/guides#renkeimodel

行政サービス・データ連携モデル
標準ガイドライン群ID:1016

行政サービス・データ連携モデル(全体編)(β版)2021年6月4日

・・・情報に関わる事業をしている方が、テキストはプレーンテキスト(Windowsのメモ帳など)で良いとコメントされていましたが、アウトラインや目次、改ページ設定を使ったりしないで欲しいと思います。

〔キーワード〕

個人、法人、基本情報、決算情報、財務情報、申請、届出、報告、連絡、通知証明、事例、行政サービス、制度、行政サービス拠点、支援機関、事例、イベント、報告書、会議資料、サービスカタログ、調達、デジタル手続法、ワンスオンリー、ベース・レジストリ

〔概要〕行政機関で個人や法人に関するマスターデータや各種手続に関するシステムを作るときに参照すべき実践的データ連携モデルの全体編。このガイドに従いデータ設計を行うことで、ワンスオンリー、ワンストップ、ベース・レジストリの活用等、他機関とのデータ交換が容易かつ正確に行えるようになり、データ設計に関するコストも削減することができる。

目次

はじめに

 背景

行政機関では多くのデータを管理していますが、そのデータは独自の形式である場合が多く、データの再利用が困難であったり、外部とのデータ連携においても大きな障害になっていたりします。また、データ形式が標準化されていないと、データ連携ができないだけでなく、データの整形に多くのリソースを割くことになり、分析にも支障をきたします。AIやビッグデータの活用が注目されていますが、そのインプットとなるデータが十分に整備されていなければ、目的の結果にたどり着くのが困難になります。

欧州や米国では、行政データの標準化を進めることで、社会全体のデータ標準化につながっていくものと考え、欧州委員会(EC)は、各国の個人、法人、場所情報等が活用できるようにSEMIC[1]という行政データ標準化のプロジェクトを推進しています。米国では同様にNIEM[2]というプロジェクトが進められています。

行政においては、これまでEDINET[3]を通じて上場企業に対してデータの標準化を推進し、法人番号制度の開始と同時に開始した法人情報を収集、公開するgBizINFO[4]は、政府の推進するデータのフレームワークである共通語彙基盤[5]に準拠して開発されています。

デジタル手続法が制定されたこともあり、今後はワンスオンリー、ワンストップの実現が求められてきます。また、社会の基本データとしてのベース・レジストリの整備も進められており、個人、法人、土地の基本データだけでなく、申請情報、資格情報等の社会活動に関連したデータ全体の標準化も必要となっています。

データの標準化は、個人や法人が活動しやすい社会環境を実現するために必須の要素であり、早急な環境整備と普及が望まれています。

 全体像

個人や法人が活動しやすい社会環境を考える上で、行政機関と社会の間で交換される情報を明確化し体系を整理していきます。

個人データの活用場面とサービス分類

個人に関するデータは、例えば下記のような場面において活用されます。

  • 転居、妊娠や出産などの申請について知りたい
  • 利用できるイベントや施設について知りたい
  • 利用できる支援制度の情報が欲しい
  • 相談に行く先が知りたい

このような各場面で利用者が情報を探すためには、各組織からデータを独自の形式で提供するのではなく、比較検討しやすくするために一定の規約に沿った形式でのデータ提供が必要となります。

個人の活動を支えるデータとしては以下のようなものが挙げられます。

・個人基本データ

氏名、住所、世帯等の基本情報

・申請データ

補助金、届出等の各種手続の情報

・・・登記はここ?

・証明書データ

許認可、証明書、通知等の情報

・行政サービス・データ

支援制度、行政サービス案内等の情報

・事例データ

事例集等の事例の情報

・・・判例?

・イベントデータ

展示会やセミナー等のイベントの情報

・行政サービス拠点・支援機関等データ

学校、税務署、保健所等の支援機関の情報

・・・税務署は支援機関?

・報告書・会議資料等データ

調査報告書、レポート等の報告書の情報

また、行政サービスの分類体系でありメニュー体系であるサービスカタログが必要になります。サービスカタログとは、デパートでの「食品」「紳士服」「生活雑貨」のように、行政サービスを整理するときの分類の標準モデルです。欧州では各国横断で行政サービスを検索可能とするように、サービスカタログの開発が積極的に行われています。

法人データの活用場面とサービス分類

企業はライフサイクルの段階に応じて、様々な情報を必要とします。

例えば新しい事業を始めるなら、以下のような情報を集めるでしょう。

  • 事業のヒントを得るためのイベント情報や事例情報、報告書情報
  • 競合他社や協力企業の候補
  • 事業の立ち上げにかかわる手続に関する情報
  • 事業の立ち上げにかかわる支援情報
  • 相談窓口

また、既存事業を拡大若しくは効率化したいと考える企業も同じような情報を集めるでしょう。

  • 事業の着想を得るためのイベントや事例、報告書情報等
  • 競合他社や協力企業の候補
  • 既存事業の拡大に関する支援情報
  • 相談窓口

事業を承継、清算したい企業は、それに関連する以下のような情報を集めるでしょう。

  • 譲渡先候補
  • 事業承継、清算にかかわる支援情報
  • 相談窓口

こうした情報につながる、法人の活動を支えるデータには以下のようなものがあります。

・法人基本データ

法人名、本社所在地等の基本情報

・申請データ

補助金、届出等の各種申請の情報

・財務データ

会計年度ごとの決算の情報

・証明書データ

許認可、証明書、通知、表彰等の情報

・行政サービス・データ

支援制度、行政サービス案内等の情報

・事例データ

事例集等の事例の情報

・イベントデータ

展示会やセミナー等のイベントの情報

・報告書・会議資料等データ

調査報告書、レポート等の報告書の情報

・行政サービス拠点・支援機関等データ

税務署、商工会議所等の支援機関の情報

法人にも、業務の各場面で利用者が情報を探すために、「設備投資」「販路拡大」「雇用・人材」のように、行政サービスを整理するときの分類体系でありメニュー体系であるサービスカタログが必要になります。

その他のデータ

個人や法人に関する情報ではありませんが、行政機関の重要な活動として調達があります。調達データの標準は、「行政サービス・データ連携モデル 解説」(標準ガイドライン群ID:1016(2019年(平成31年)3月28日))として公表していましたが、本ガイドの改定に合わせ調達標準も本ガイドに含むこととします。

サービスイメージと体系

本データモデルを適用した場合の個人や法人の活動と行政内の活動のイメージは以下の通りです。

図 1 個人の活動のイメージ

図 2 法人の活動のイメージ

このサービスを実現するため、本データモデルは、以下のデータモデル体系で構成します。

図 3 データモデルの全体像

・・・おそらく、私たちがパソコンなどのディスプレイを観たときに、サービスカタログモデルが出てくるのだと思います。

この全体像を効率的に実現するために、共通語彙基盤という政府で推進するデータ連携のための体系をもとに構造化したデータモデルを考えています。

例えば、連絡先を1つのデータ項目で自由記述にしていると、連絡先一覧を作成するようなデータの再利用が難しくなります。部署名、住所、メール等を別々のデータ項目にして、ブロックのように組み合わせることでデータの活用が容易になり、目的に応じた並べ替えや精度の高い検索ができるようになります。

具体的には以下のようにブロックを組み合わせるイメージです。様々な申請・届出データも、あらかじめ準備された基本部品を組み合わせてデータモデルを作っていくことができます。

図 4 データブロックの組み合わせによるデータモデルイメージ

一方、型化されたデータモデルは目的に合わないデータ項目が多くて使いにくいことや、独自データ項目を付け加えたい場合があります。

そこで、実際に導入する際には、目的に合わせて、データモデルをそのまま使ったり、必要な項目だけ部分的に利用(サブセット化)したり、独自ブロックや項目を追加(エクステンション)する等のカスタマイズをすることも可能です。

図 5 データモデルの部分利用や項目追加等のカスタマイズイメージ

・・・住所、氏名、電話番号のゴム印のイメージを持ちます。

カスタマイズで独自のデータ項目を付加した場合には、そのデータ項目は他組織では扱えない可能性があります。データ連携を検討する際には独自のデータ項目を定義している旨、情報提供することが重要です。

データの基本構造

個人に関する情報は、住所などを示す基本情報、法人に関する情報は、法人そのものを表す法人基本情報、それに付随する財務情報が基本となります。

関連情報は類型化することが可能で、「申請・証明系」「ドキュメント系」「施設・イベント系」に分類することができます。

申請、証明系

申請や証明等のデータは、宛先に続き、申請内容や証明事項等の内容のブロックがあり、その後に連絡先と発行者情報のブロックが付く場合が多いです。また、各ブロックの中に個人や法人の情報を含む構造になっています。

・・・不動産、商業法人登記申請は、申請、証明系に分類されそうです。

ドキュメント系

制度や事例などのドキュメントは、表題等の概要の後に内容が続き、法人情報を含む連絡先のブロックで構成されることが多いです。

・・・・ドキュメント系は、官公庁のサイト以外に、どのような場面で利用するのか分かりませんでした。

施設・イベント系

施設やイベントも、表題等の概要の後に内容が続き、法人情報を含む連絡先のブロックで構成される場合が多いです。

・・・イベント系は、引っ越しなどでしょうか。

データの入力から再利用までの流れ

申請書で入力した内容が、行政手続や内部分析で再利用され、証明書等でさらにデータが再利用される仕組みを目指します。

さらに、公開可能データは、データカタログサイト等で公開をしていきます。

図6 データのライフサイクル

・・・チェック、受領、審査について、勉強・経験する機会があれば良いなと思います。改善と広報と理解できる以外は、外部に漏れない情報だと思うので、どのように管理しているのかは知りたいです。

ワンスオンリーの実現

ワンスオンリーサービスの実現のため、既に登録されている情報があれば、そのデータの活用を検討する必要があります。特に、ベース・レジストリが整備されている分野では、ベース・レジストリのデータを使うことが求められます。

ただし、再利用対象のデータの正確性や最新性に問題があったり、データの取得が困難であったり等の理由で再利用できない場合、クレンジングしたデータを活用する等、別途対応が必要になります。

ワンストップの実現

複数の申請先に提出する必要のある申請をワンストップで行うためには、受付組織から他組織への照会、転送、確認等の処理が必要になります。各機関が独自のデータ形式で照会や転送等を行うと、受け取った側でデータ形式の変換が必要になるため、確認元、確認先の双方の負担になります。また、自動照合等の機械的処理の妨げにもなります。

このような組織間の申請情報や証明情報の連携や交換を円滑に実施できるように標準的なデータモデルを使っていくことが重要になります。

ベース・レジストリとの連携

今後、行政機関でベース・レジストリの整備が進んでいきます。ベース・レジストリのデータの基になるのが申請や届出のデータです。

一度登録されたデータは2回目以降の手続では入力不要になるワンスオンリーにより、ベース・レジストリに登録された情報が自動的に申請に転記されます。また、証明データは申請内容との照合が行われます。

ワンスオンリーの実現のために、ベース・レジストリの提供者は、本データモデルに沿ってベース・レジストリを整備するか、本データモデルに合わせたインタフェースを整備することが重要になります。ベース・レジストリ利用者に利便性を提供するのはもちろんのこと、ベース・レジストリ提供者にとっても、データ管理が効率的にすることができます。

また、既存のデータベース等、本データモデルを採用していないベース・レジストリと連携する場合には、コンバータを介してデータ形式を連携可能な形式に変換する場合もあります。

図 7 ベース・レジストリ活用の例

 導入方式

データの設計は、以下の流れになります。

図 8 導入の流れ

1.ニーズ分析

何の目的で、何のためにデータが必要かを精査する。

2.現状データ分析

複数部門の類似データを比較したり、既存データが目的に対して妥当かを確認したりする。

3.テンプレートと比較

本ガイドが提供するデータモデルと比較することでデータの過不足を確認する。役職と氏名を1つのデータ項目にしている等の再利用が困難なデータ項目は、役職と氏名を別のデータ項目に分割することを検討する。

4.不要データの削除、不足データの追加

データ項目の過不足の評価を踏まえ、必要なデータ項目を追加し、不要なデータ項目を削除する。

5.新データモデルで実装

データ定義書を作り、システムを実装する。

新規にシステムを開発する場合

新規にシステムを設計する場合には、本ガイドのデータモデルをベースに考えていくことで効率的かつ拡張性、メンテナンス性が高くシステム連携が容易なシステムを構築していくことができます。

図 9 新規システム構築時のイメージ

入力、出力含め、システム全体をデータモデルに沿って構築します。独自データを持つ外部システムと連携する場合には、接続先にデータモデルに沿った形式でのデータの提供を求めますが、自システム若しくは接続先のインタフェース部分の前処理として、データ形式の変換を行うようにし、連携に影響のない仕組みにする必要があります。

メリット

・設計済みのデータモデルを利用するため、データ設計コストを抑えられる

・データモデルによりインタフェースが標準化されるため他のサービスと連携しやすい

・データがモジュール化、標準化されるため、メンテナンス性が高い

・将来のデータ移行も容易である

デメリット

・なし

ただし、超高速処理が必要なシステム等においては、日付の年月を省略し日情報だけで管理する等、システムの目的によっては標準ではないデータを使う場合もある(その場合には、外部との連携処理をする場合にデータを年月日にする等の変換処理をインタフェース部で行う)。

既にシステムを保有している場合

既にシステムがあり、独自データ項目で運用している場合、現在のシステムのデータを本データモデルのデータ形式に置き換えるのはコスト的にも業務的にも負担が大きくなります。現在のシステムの持つインタフェースの外側にデータ形式を変換するインタフェースを整備し、データ形式を整えてシステム連携できるようにしておき、内部システムの標準化はシステム更改等のタイミングで実施するなど中長期で検討を行う必要があります。

図10 既存のシステムへの適用イメージ

メリット

・既存システム自体には手を加えないため、コストや業務面の負担が抑えられる

・インタフェースを介して、連携先に合ったデータ形式に変換されるため他のサービスと連携しやすい

デメリット

・データ形式を変換するインタフェースの整備にコストがかかる

 データやデータ項目名の表記に関する留意点

本ガイドでは、システム連携のためのデータモデルを示しています。画面や帳票等ではデータ形式を変換して表示することがあります。

例えば、日付データはシステムには「2019-04-01」で格納し、入出力画面や帳票上では「2019年4月1日」に変換して表示する等、様式や手続等の要件に応じて対応します。

データ項目名も必要に応じて異なる表示をすることがあります。例えば、データ項目名としては「氏名」がよく使われますが、入出力画面や帳票等では「お名前」と表示するなどです。

 基本データ

システムで各種データを扱う前に、文字、日付時刻、住所等の基本データの定義が必要になります。基本的には、文字環境導入実践ガイドブック、行政基本情報データ連携モデル[6]を基にした表記にすることで、様々なシステムとの相互運用性を確保することとなります。

 文字

データモデルで使用する文字は、システム間の連携を容易にするため文字環境導入実践ガイドブック[7]に準拠することが重要です。

漢字

一般的な情報機器で使用できるJIS X 0213(いわゆるJIS第4水準)の範囲内を使用します。この範囲外の外字については、文字情報技術促進協議会が提供する文字情報基盤縮退マップ[8]で、JIS X 0213の文字に縮退した文字を使います。可読性を高めるために、文字をさらに限定して教員免状のように常用漢字を使用する場合もあります。その場合はその行政手続の規則に従います。

ヨミガナ

氏名、法人名や地名にはヨミガナを付与します。

ローマ字

氏名、法人名や地名をローマ字表記する場合は、基本的にヘボン式ローマ字を使用します。ただし、従前から慣用的に使われているローマ字などはそのまま使用する場合があります。

数字

数字は基本的に半角数字を使います。

 日付時刻

日付

西暦年と月日とします。半角の数字とハイフンのデータとします。曜日はコンピュータが持つカレンダーデータから自動取得できるため省略します。

例: 2019-04-01

画面への表示、印刷で他の形式にしたい場合にはデータを変換して表示、印字します。また曜日を記載したい場合には、データをカレンダーから呼出し、(水)のように日付の後に表示します。

例: 2019年4月1日(月)

期間を表現する場合には1つのデータ項目に「2019-04-01から2019-04-08まで」とするのではなく、開始日「2019-04-01」終了日「2019-04-08」とデータ項目を分けて管理します。

 時刻

時刻は24時間表記のデータとします。行政データ連携標準を基本とし、半角数字と半角コロンのデータとします。

例: 13:00

時刻に期間がある場合には、日付同様に開始時間「13:00」、終了時間「16:00」とデータ項目を分けて記入します。

 日時

コンピュータ処理の中で日付と時刻を1つのデータ項目で扱う場合があります。その場合には、ISOの標準に従い「T」をセパレータとして接続した表記を行います。

例: 2019-06-01T10:00

 利用可能日

施設、イベント等では利用可能日を使用します。国際的に、利用可能日を情報提供するのが主流であり、利用日検索の効率化を図るため、休館日等の利用不可日のデータ項目は使わないようにします。

例: 月火木金土日

 時期

時期が未定の場合は、該当しそうな月を前広に扱います。例えば桜まつりの場合は、3月、4月が該当するので「3,4」と記入します。季節や旬を表現したい場合には、「行政データ連携モデル(日付及び時刻)」[9]を参照してください。

 日時備考

「金曜日は終了時間が変更」のような特記事項がある場合には、日時備考の項目を設けます。

 所在地(住所)

個人や法人が存在する建物の位置を示すのに「所在地」と「住所」がデータ項目名として使用されますが、所在地は「東京」等のエリアを示す場合があり定義が明確でないため、行政データにおいては「住所」をデータ項目名として使用します。行政データ連携標準(住所)[10]の「3個のデータ項目で管理する場合に準拠します。

 住所都道府県、住所町名、住所丁目以下

住所は、制度上は町名と丁目が一体ですが、丁目以下は漢数字や半角数字などが混在するため、町名までの住所と丁目以下の住所に分割し別々のデータ項目にします。「住所都道府県」は記入又は選択肢で入力し、「住所町名」では郡・市区町村から記入し、丁目以降は省略します。また「住所丁目以下」では半角数字ハイフンつなぎで表記します。

例: 住所   「東京都」「千代田区霞が関」「3-3-1」

ただし、入力時に都道府県を選択した上で市区町村を入力するなどの方法や市区町村コードを利用するなどの工夫は自由にできます。

 建物名等(方書)

ビル名等は上記項目とは別途「建物名等」のデータの項目を作り管理します。

例: 建物名等   〇〇ビル9階

 郵便番号

郵便番号は、7桁のデータとします。ハイフンは省略します。表示や印字する時には頭に〒を付加して表示します。

例: 郵便番号 1000013

 電話番号

半角で、省略可能な市外局番に()をつけ、その後の番号はハイフン接続のデータとします。内線、代表等は、電話番号のデータに連続して記入するのではなく、電話番号とは別のデータ項目として管理します。

例: (03)3501-****

1 基本ブロック

基本情報を組み合わせて定型的に使う基本ブロックの例を示します。

法人情報の基本ブロックは以下の通りになります。

図11 情報の基本ブロック

「氏名」が「氏」と「名」と分離するなどデータ項目は従来に比べて増加していますが、登録済み情報を自動入力したり、審査を自動化したりするための工夫が図られています。

こうすることで、利用者、行政機関の双方の利便性が増し、業務を効率化します。

 個人基本情報(3情報)

個人番号個人に割り当てられた一意の番号(12桁)
個人の氏
個人の名
氏(カナ)個人の氏のカナ表記
名(カナ)個人の名のカナ表記
氏(英字)個人の氏の英字表記
名(英字)個人の名の英字表記
住所都道府県個人の住所の表記(都道府県)
住所町名個人の住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
住所丁目以下個人の住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
建物名等個人の住所に建物名等の情報がある場合に使用

 連絡先(個人)

役割代理の場合の、委任先、保護者等の関係性
個人の氏
個人の名
氏(カナ)個人の氏のカナ表記
名(カナ)個人の名のカナ表記
電話番号個人の電話番号(市外局番にカッコをつけ、以降の番号はハイフンで接続。半角)
メールアドレス連絡先のメールアドレス
住所都道府県個人の住所の表記(都道府県)
住所町名個人の住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
住所丁目以下個人の住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
建物名等個人の住所に建物名等の情報がある場合に使用
郵便番号個人の住所の郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))

 法人基本情報(3情報)

法人番号法人に割り当てられた一意の番号(13桁)
商号又は名称法人の商号又は名称
商号又は名称(カナ)法人の商号又は名称のカナ表記。 株式会社、一般社団法人等の組織種別のカナは省略
商号又は名称(英字)法人の商号又は名称の英字表記
登記住所都道府県法人登記の所在地の表記(都道府県)
登記住所町名法人登記の所在地の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
登記住所丁目以下法人登記の所在地の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
登記建物名等法人登記の所在地に建物名等の情報がある場合に使用

 事業所情報

事業所名法人に関する、支店などの名称。本社の場合は、本社とする
事業所住所都道府県法人に関連する、支店などの住所の表記(都道府県)
事業所住所町名法人に関連する、支店などの住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
事業所住所丁目以下法人に関連する、支店などの住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
事業所建物名等法人に関連する、支店などの建物名
事業所郵便番号法人に関連する、支店などの郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))

 連絡先(法人)

役割連絡先の役割
担当部署担当部署名
担当者役職担当者の役職
担当者名の氏担当者の氏
担当者名の名担当者の名
担当者名の氏(カナ)担当者の氏のカナ表記
担当者名の名(カナ)担当者の名のカナ表記
電話番号担当部署の電話番号(市外局番にカッコをつけ、以降の番号はハイフンで接続。半角)
内線担当部署の電話番号の内線番号 電話番号に「直通」「代表」と記載したい場合は、この欄に記入
メールアドレス連絡先のメールアドレス
住所都道府県連絡先の住所の表記(都道府県)
住所町名連絡先の住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
住所丁目以下連絡先の住所の表記(丁目以下は半角数字とハイフンで記入)
建物名等連絡先の住所に建物名等の情報がある場合に使用
郵便番号連絡先の郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))
Webフォーム連絡先のWebフォームURL

 宛先、申請元、発行元

商号又は名称法人の商号又は名称
商号又は名称(カナ)法人の商号又は名称のカナ表記 株式会社、一般社団法人等の組織種別のカナは省略
商号又は名称(英字)法人の商号又は名称の英字表記
事業所名法人に関する、支店などの名称。本社の場合は、本社とする
事業所住所都道府県法人に関連する、支店などの住所の表記(都道府県)
事業所住所町名法人に関連する、支店などの住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
事業所住所丁目以下法人に関連する、支店などの住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
事業所建物名等法人に関連する、支店などの建物名
事業所郵便番号法人に関連する、支店などの郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))
担当者部署担当者の部署名
担当者役職担当者の役職
担当者名の氏担当者の氏
担当者名の名担当者の名

 表題等の概要

タイトルタイトル
サブタイトルサブタイトル
概要概要(70文字以内)
最終更新日最終更新日(西暦年月日とし、半角数字をハイフンでつなぐ)
産業分類産業分類大分類、可能な場合は中分類

留意事項

2.1 氏名、法人名の漢字表記の扱い

氏名、法人名は、一般の情報機器では扱うことができないJIS X 0213で定められた範囲外の文字(いわゆる外字)で戸籍や登記に登録されていることがあります。政府に登録された正規の表記ですが、既に社会保障・税番号制度の導入に伴い、マイナンバーカードに個人氏名の代替文字が導入され、法人番号公表サイトで法人名の代替文字が提供されています。また、マイナンバーカードには券面入力補助アプリにも代替文字が記録されています。従来の手続と同等の利便性を確保するために、行政サービスや他システム連携データでは、氏名、法人名に代替文字が活用されることがあります。

戸籍や商業登記に基づき登録された文字が法令等に基づき必要な場合には、データ項目に一般の手続に使われる「氏名」の項目と別項目の「戸籍氏名」を設け、商業登記名が必要なときには「法人名」と別項目の「登記名」を設けることで円滑な連携ができるようにするなどの工夫が必要です。

2.2 氏名、法人名のヨミガナの扱い

氏名や法人名については、法的にはヨミガナが存在しません。しかし、名簿等でのデータのソートは名称の五十音順に行われることが多く、ヨミガナがないと、データのソートや検索に不都合が生じます。

よって、手続では、固有名詞のデータにヨミガナを付与することを基本とします。ヨミガナを付与することでローマ字表記化することも容易になります。

2.3 本社住所の扱い

本社住所は、商業登記した住所が正式なものです。一方で、変更登記が行われていない法人も多く、住居表示変更等も反映されていない場合もあります。

ワンスオンリー実現の観点から、商業登記した住所を、その後の申請などで使うことが求められていますが、正確な連絡先として使用できない場合があるため、「登記住所」というデータ項目とは別に事業所名「本社」事業所住所「本社住所」と記録できるようにするなどの工夫が必要です。登記変更を促すため申請のデータ項目に追加することで、「登記住所」と「本社住所」が異なる場合に注意を促す運用も可能になります。

・・・事業者情報は、支店・営業所用の情報だと理解していましたが、違うようです。

2.4 外字の扱い

氏名、法人名、地名等で外字の表示が必須である場合には、コンピュータで処理するデータ項目以外に、外字をイメージで保有する場合があります。その場合にも、データ項目は、JIS X 0213の範囲で運用することが望ましいです。範囲外の文字を使う場合には、連携システムや再利用時の影響評価を実施した上で判断する必要があります。

2.5 申請者などによる押印の扱い

規制改革推進会議が整理した押印手続の見直しの方針[11]に基づき、押印の必要性を見直します。またデータの真正性証明は、データの場合は電子証明書、サーバーに保存している情報を参照する場合には認証などでのアクセスコントロールで行うことができます。

・・・今まで押印が必要な場面(意思確認)と異なると感じます。

2.6 公印の扱い

公印に法的な拘束力はありませんが、多くの書類に押印されてきました。書面に印影イメージや「公印省略」を印刷する場合がありますが、証明としての効力は有しないため省略が可能です。BPRの観点から不要な業務プロセスや様式を洗い出し、内部規則などの見直しを図る必要があります。またデータの真正性証明は、データの場合は電子証明書、サーバーに保存している情報を参照する場合には認証などでのアクセスコントロールで行うことができます。

・・・公印省略を省略


[1] https://joinup.ec.europa.eu/collection/semantic-interoperability-community-semic

[2] https://www.niem.gov/

[3] https://www.fsa.go.jp/search/20130917.html

[4] https://info.gbiz.go.jp/

[5] https://imi.go.jp/goi/

[6] https://cio.go.jp/guides

[7] https://cio.go.jp/guides

[8] https://moji.or.jp/mojikiban/map

[9] https://cio.go.jp/guides

[10] https://cio.go.jp/guides

[11] https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html

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