台湾法人の登記記録の代わり

登記記録の代わりに、台湾の民間公証人の認証を受けて提出する場合

台湾○○地方法院所属民間公証人

○○事務所

ケース番号:110年度○○公認第207号

日時:年月日

本文書内の陳韻如の署名押印は、台湾台湾○○地方法院所属の民間公証人である○○事務所が認証する。

公証人 ○○ 公証人○○

台湾○○区○○市○○路○○号○○階○○E室

電話:00-0000-0000 FAX:00-0000―0000

公証人は、この文書内の署名押印を証明する。文書の内容については証明しない。

宣誓書

私、【氏名】(住所 台北市○○路○○段○○階○○の○○)(年月日生)は、公証人の前で、○○有限公司に関する事実を記載した宣誓書の内容を読み上げて、真実であることを誓います。この書面と印章は、○○合同会社の解散と清算に関する手続きにおいて利用します。

会社名 ○○有限公司

会社所在地 ○○市○○街○○巷○○弄○○號

会社責任者 【氏名】

資本の総額 1,000元

株式総数  1,000株

発行済みの株式総数 普通株1,000株

営業項目

情報ソフトウェア卸売り業

エレクトロンの材料の卸売り業

コンピューター及び事務機器小売り業

電気通信機器の卸売り業

情報通信ソフトウェアの提供

電気通信業務

ネットワークサービス業

国際貿易業

電気工事業

エネルギー技術研究

電子通信工事

電子通信機材輸入業

配管工事業

電子機器設置業

消防安全設備設置業

照明設備設置業

設備管理業務

内装工事業

取締役・監査役ほかの責任者名簿

代表者 氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 1,000株

取締役 氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 1,000株

取締役 氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 1,000株

取締役 氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 1,000株

取締役 氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 1,000株

監査役 氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 1,000株

監査役 氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 1,000株

代理人名簿

氏名 台北市○○路○○巷〇號〇樓之〇 

○○有限公司

会社名 ○○有限公司

会社所在地 ○○市○○街○○巷○○弄○○號

署名【氏名】○○有限公司の印 

上記翻訳しました。翻訳者 宮城直

プライバシーポリシー

参考 個人情報保護委員会

https://www.ppc.go.jp/

 とある法人の担当者とやり取りをすることがあり、必要になって「プライバシーポリシーはありますか?」と訊き、「ないです。」と言われたので作って共通フォルダに入れたことを報告したけれど、返信がないので削除しました。なのでここに置いておきます。

法人名 データ保護の取組み


 法人名は、全国各地で活動する○○コミュニティ同士が繋がり、協力して助け合う組織となり、自らの足元である地域を良くしていくために、全国に遍在する共通の課題に取り組むことを目指しています。
 法人名は、そのために当法人の事業の関係者、各種イベント・会議への参加者など(以下、「参加者等」といいます。)のプライバシーを尊重し、様々なデータを適切に取り扱い参加者に提供していくことが重要であると考えています。そこで、法人名では、各データポリシーを明らかにし、遵守して各データの管理、運用に取り組んでまいります。なお、各種イベント・会議やWebページ、コンテンツにおいて、別途データの取扱いを定める場合があります。

  法人名【日付】作成


1 個人情報の定義について
 当法人で取得する主な個人情報は、以下のとおりです。
・本人の氏名、生年月日、連絡先(住所・居所・電話番号・メールアドレス・所属先)、それらと本人の氏名を組み合わせた情報
・本人の氏名が含まれる等の理由により、特定の個人を識別できる音声・動画録音情報
・個人情報を取得後に当該情報に付加された個人に関する情報
・新聞、ホームページ、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)等で公にされている特定の個人を識別できる情報


2 個人情報の取得について
 当法人は、以下のような場合に参加者から利用目的を明示し、その範囲内で個人情報をお聞きしたり、個人情報を自動的に入手させていただきます。
・法令に基づく場合
・各種イベント・会議やWebページ、コンテンツに参加登録される場合
・アンケートにお答えいただく場合


3 個人情報の利用について
 当法人では、収集した個人情報を以下の目的のために利用させていただきます。
・各種イベント・会議への登録・申込確認
・各種イベント・会議への参加者等からの問い合わせ等への対応
・当法人の主催又は共催するイベント案内
・当法人の主催又は共催するイベントに申し込みをされた参加者等への連絡
・アンケート調査によって統計的な情報を作成し、各種イベント等の向上を図る
・事業に関して、行政や企業などの団体又は個人との契約に定める業務の遂行
・各取引先に対する連絡、請求書の発送、その他事務手続
・当法人が運営するサービスの企画立案、開発、運営
・取材協力への登録、申込確認
・その他の当法人が明示した利用目的に同意いただいた場合

4 個人情報の目的外利用について
 当法人では、以下の場合を除いて収集した個人情報を第三者に提供することはありません。
・情報の提供や共有について、その参加者等の同意がある場合
・参加者が利用規約やガイドライン等に反し、他の参加者等および当法人の権利、財産、サービス等を保護するために必要と認められる場合
・生命、身体および財産等に対する差し迫った危険があり、緊急の必要があると認められる場合
・法令等により提供を求められた場合

5 個人情報に関する問い合わせ、開示、訂正、追加または削除の手続
 当法人は、個人情報の正確性を保つよう努力すると同時に、個人情報の安全管理のために安全対策を行い、個人情報への不正アクセス、個人情報の紛失、破壊、改竄及び漏洩を防止すると共に、改善を行います。
 個人情報保護に関する開示請求、訂正依頼、利用停止、苦情・相談等のお問い合わせについては、以下の窓口でお受けしています。
(連絡先)
[メールアドレス]


6 外部サービスの利用について
 当法人のWebサイトのリンク先、イベント等への申込み等は、当法人Webサイトとは別のサイトとなる場合があります。当法人は、リンク先のWEBサイト等について、いかなる責任も負いません。

7 プライバシーポリシーの更新
 本プライバシーポリシーは、当法人のイベント等及び外部サービスの内容の変更、又は技術通信情報の進歩等に応じ合理的必要性に基づいて、その内容を更新することができるものとし、当法人は参加者等に対して、直ちにその旨を当法人Webサイト内にて通知するものとします。なお、法令上参加者等の同意が必要となるような変更を実施する場合、当法人所定の方法により参加者等からの同意を取得いたします。

クリエイティブ・コモンズについて

 最近運営に関わっているイベントで、CC、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス、商用利用可などの用語を目にすることが多くなりました。その都度調べてこんな使い方は良いんだ、分からない・迷ったときはとりあえず承諾、などと対応しています。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスという言葉は知っていて[1]、ある程度自由に使えるものなんだろうなというイメージ程度でしたが、実際に使う、作ったものに表示するとなると、何だか色々な種類があるようです。

 私には全て網羅することは無理ですが、今まで関わってきた部分についてまとめてみたいと思います。

参考

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)(活動母体:特定非営利活動法人 コモンスフィア)

最初にみたのが、下のマークと「CC BY 4.0」という文字、作成団体の名称です。

下のページを読んでみると、

作成者は、

1 作成者の名前(名称)の表示と、クリエイティブ・コモンズライセンスマークの表示。

2 ライセンスに関する注意書き。

3 免責事項に関する注意書き。

4 元の資料などへのリンク。

5 変更があった場合には、その内容を表示すること。

利用者は、

1 複製、再配布可能。

2 自分で使いやすいように加工、変更したりすることも可能。

3 1,2は営利、非営利の目的を問わず可能。

 ただし、有名スポーツ選手の画像などの勝手に使えば明らかに経済的価値に繋がると分かるもの、有名であるか否かを問わず個人を特定できるような写真など、人の名誉を傷つける可能性があるものについては制限され、削除や非公表を求められる可能性がある。事前に気付いた場合は予め許諾を取った方が良い。

というような理解です。

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja

 上の図のように幅があり、左は一番固い、右は一番柔らかい・自由と考えるとその間で自身の作品などの流通形態を決めることが出来る、ということのだと思います。形態は6種類あり、1 加工の可否、2 加工可能な場合、元の作品と同じ形態にすること、3 非営利目的か否かの組み合わせで成り立っています。

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)(活動母体:特定非営利活動法人コモンスフィア)のホームページにも次のようなマークと文章が掲載されています。

注)があるものを除いて, このサイトの内容物は クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 ライセンスの下に提供されています。


[1] 松尾陽編「アーキテクチャと法」弘文堂2017,水野祐「法のデザイン」フィルムアート社2017など。

「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)」を読んで

一般社団法人全国銀行協会

金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)

令和3年2月18日、一般社団法人全国銀行協会から、下の取りまとめが出されました。読みながら少し考えてみたいと思います。

https://www.zenginkyo.or.jp/news/2021/n021801/

Ⅰ.金融取引の代理等に関する考え方

1.銀行界を取り巻く現状(代理取引の課題)

銀行の預金は基本的には本人の資産であり、預金を払い出す場合には預金者本人の意思確認が必要となるため、家族といえども預金者の預金を払い出すことはできない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 基本的な考え方です。ATMを利用する場合は、現実として出来る状態になっています。私達も家族にキャッシュカード(と通帳)を渡して、5,000円下ろしてきて、とお願いしたりしているのではないでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

銀行においては、認知判断能力が低下した顧客との取引をする場合、民法上の法定後見制度である補助人、保佐人の同意を確認のうえ本人との取引を行う、あるいは成年後見人や任意後見制度にもとづく任意後見人を介して、代理取引を行うのが一般的である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一般的な考え方です。ここでいう顧客とは、銀行に預金をしている人を指しています。認知判断能力というのはどのような能力でしょうか。

車の運転などで使われているようです。

高齢ドライバの認知判断能力測定システムの検討

https://ci.nii.ac.jp/naid/10018575546

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかしながら、成年後見制度[1]の利用者総数は2018年12月末で約22万人にとどまっている[2]

銀行の実務においては、ご家族に成年後見制度の利用を促しても、月々の費用や、第三者に家族の資産を委ねることへの抵抗感等を理由に制度を利用してもらえないケースがある一方、本人の医療費、施設入居費、生活費等の支払いに充当するため、親族等への預金の払出し(振込)を求められるケースも多々ある。

さらに、預金が僅少となり、投資信託等の金融商品しかまとまった資産が残っていない場合、親族等による金融商品の解約等(売却)を求められるケースも生じている。

本考え方は、銀行の窓口等において、高齢のお客さま(特に認知判断能力の低下した方)や代理の方と金融取引を行う際の参考となるよう取引のポイントや、好事例等を掲載している[3][4]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここでは、金融機関の困りごとが記載されています。

・成年後見制度の利用者数が少ないこと。

・利用者数が少ないから、親族等への預金の払出し、金融商品の解約等(売却)を求められても対応出来ない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.状況別の対応の考え方

(1) 通常取引

 銀行での高齢顧客との取引において、本人に認知判断能力がある場合(取引

の有効性が確保できる場合)は、通常取引を行う。

(2) 認知判断能力が低下した顧客本人との取引

①認知判断能力が低下した顧客本人との取引

 認知判断能力の低下した本人との取引においては、顧客本人の財産保護の観点から、親族等に成年後見制度等の利用を促すのが一般的である。

 上記の手続きが完了するまでの間など、やむを得ず認知判断能力が低下した顧客本人との金融取引を行う場合は本人のための費用の支払いであることを確認するなどしたうえで対応することが望ましい[5]

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「本人のための費用の支払い」がどこまで可能なのでしょうか。文面を読む限り、本人の意思による預金の払い出し(例えば孫の学費。入学金として50万円)は含まれないと考えられます。飲み会、ランチ、ご祝儀のために、とりあえず10万円引き出したいといった場合はどうでしょうか。預金残高や取引状況によりそうです。私の個人的な感覚ですが、預金残高の1%未満で、毎月預金残高の1%以上が入金されている顧客、借入れなどの付き合いがある顧客に関しては払い出しを行うのではないかと思います。

 一番は払い出しは一切しない、というのが銀行にとってはリスクがないと思いますが、出来ませんと言った場合に、何で○○と不満をぶつけられた場合に考えることになるのかなと思います。

 また、「確認」をどのように行うのかも気になります。請求書などを見せるのか、行員と面談を行い誓約書を書くことが出来れば良いのか、ケースバイケースなことが多いのでしょうが、どのような確認を行うのか気になります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

②保佐人・補助人や任意後見人が指定された後の顧客本人による取引

 預金規定等の定めにもとづき保佐人・補助人の届出を受領している場合、保佐人・補助人の同意を確認するなど、各行の取引手順に則って対応する必要がある[6]

 任意後見契約が締結されている場合、本人の認知判断能力に問題がない時点においては、本人との取引が可能であり[7]、任意後見監督人の選任後は任意後見人と代理取引を行う。

(3) 法定代理人との取引

 法定代理人(成年後見人等)との取引は、法的な裏付けのある代理権者との取引となることから、法定代理人であることを確認のうえ、各行の取引手順に則って対応する。

(4) 任意代理人との取引

 本人から親族等への有効な代理権付与が行われ、銀行が親族等に代理権を付与する任意代理人の届出を受けている場合は、当該任意代理人と取引を行うことも可能(本人の認知判断能力に問題がない状況であれば、本人との取引が可能なケースもある)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 (1)から(3)までは通常の対応です。(4)については、予め届出をして可能と回答をもらっていたのに、任意代理契約公正証書を提出したら出来なかった、という経験を持っています。当行では対応していませんでした、と言われました。なので、届出をして銀行が受け付けたから大丈夫、ではなく通帳とキャッシュカードが出来上がるまでは安心することは出来ません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(5) 無権代理人との取引

 親族等による無権代理取引は、本人の認知判断能力が低下した場合かつ成年後見制度を利用していない(できない)場合において行う、極めて限定的な対応である。成年後見制度の利用を求めることが基本であり、成年後見人等が指定された後は、成年後見人等以外の親族等からの払出し(振込)依頼には応じず、成年後見人等からの払出し(振込)依頼を求めることが基本である。

 本人が認知判断能力を喪失していることを確認する方法としては、本人との面談、診断書の提出、本人の担当医からのヒアリング等に加え、診断書がない場合についても、複数行員による本人面談実施や医療介護費の内容等のエビデンスを確認することなどが考えられる。対面での対応が難しい場合には、非対面ツールの活用等も想定される。

 認知判断能力を喪失する以前であれば本人が支払っていたであろう本人の医療費等の支払い手続きを親族等[8]が代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかである場合に限り、依頼に応じることが考えられる[9][10]

 無権代理の親族等からの払出し依頼に応じることによるリスクは免れないものの、真に本人の利益のために行われていることを確認することなどにより、当該リスクを低減させることができる。

 預金が僅少となり、投資信託等の金融商品しかまとまった資産として残っていない顧客の医療費や施設入居費、生活費等の費用を支払うために、親族等から本人の保有する投資信託等の金融商品の解約等の依頼があり、やむを得ず対応する場合、基本的には上記の預金の払出し(振込)の考え方と同様であるが、投資信託等の金融商品は価格変動があることから、一旦、解約等を行った場合、預金と異なり、原状回復が困難である[11]。この点に鑑み、金融商品の解約等については、より慎重な対応が求められる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 要件としては、一度は成年後見制度の利用を求めることが挙げられています。それでも何らかの事情で制度利用をしない・出来ない場合です。

 本人との面談、診断書の提出、本人の担当医からのヒアリング等、複数行員による本人面談実施、医療介護費の内容等のエビデンス、非対面ツールの活用は、今までと同様の対応だと思います。

 認知判断能力を喪失する以前であれば本人が支払っていたであろう本人の医療費等の支払い手続きを親族等が代わりにする行為などは、与信情報を持っている銀行ならではですが、これも今までもやっていたと思います。

 当初出てきた、「本人のための費用の支払い」と、今回の「本人の利益のために行われていることを確認」は同じ意味で使っているのか気になります。後者が別の意味で使われているなら、払い出しの用途の範囲は広がります。

 金融商品の解約については、成年後見制度の利用に限定するのではないかと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Ⅱ.銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方

(1) 地域における社会福祉関係機関

 地域社会においては、それぞれの地域の特性を踏まえ、地方公共団体、社会福祉関係機関および社会福祉関係者等(以下「社会福祉関係機関等」という。)が高齢者支援の仕組みを構築している。

 社会福祉関係機関としては、地域の高齢者等の保健医療・介護等に関する総合相談窓口である「地域包括支援センター」や、判断能力に不安のある方を対象に日常的な金銭の管理等をおこなう「日常生活自立支援事業」の実施主体である「社会福祉協議会」、「権利擁護支援の地域連携ネットワーク」の中核的役割を果たす「中核機関」等が代表例として挙げられる。

(2) 社会福祉関係機関等との連携

 厚生労働省は、「団塊の世代」が 75 歳以上となる 2025 年を目途に、社会構造の変化や高齢者のニーズに応えるため「地域包括ケアシステム」[12]の実現を目指すとしている。地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性にもとづき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要であるとされていることに加え、地域によってその人口構成や有している資源も異なることから、各地域に設置されているそれぞれの社会福祉関係機関の役割や期待できる対応、適切な相談窓口は全国一律のものではないと考えられる。

 社会福祉関係機関等との連携に当たっては、地域福祉の枠組みがまちまちであること等も踏まえ、銀行においては、日常的に地域の社会福祉関係機関等との間で、相談しやすい関係を築くことが重要である。具体的には、以下のような対応が考えられる。

 当該地域における相談窓口や中核機関を担う組織を事前に確認[13]すること

 地域の社会福祉関係機関等の担当者との対話等を積み重ねることにより、当該地域における高齢者等への支援の仕組みがどのように構築されているのかを把握すること

 自らも地域の一員として、消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)や地域ケア会議といった、地域の関係機関や関係者が集まる協議体等へ参加するなどし、日常的に地域の関係機関や関係者との関係性を強化すること

 自らも当該地域における高齢者の見守りを担う一員として、地域の社会福祉関係機関等とも協議のうえ、当該地域における連携の仕組みづくりを進めること

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 たしかに地域における会議などでは、必ずと言っていいほど金融機関の方が参加しています。これからもそのような連携を進めていくという方針なのだと考えられます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(3) 個人情報保護法上の留意点

 社会福祉関係機関等との連携に当たって、高齢の顧客の個人情報を提供することは必ずしも必要ではない[14]

 一方で、金融審議会市場ワーキング・グループ報告書にも記載されているとおり、「顧客に認知判断能力の低下があると思われるような兆候・行動が見られ、かつその状態を放置すれば顧客財産に重大な支障をきたすような場合で、緊急性が高いと思われる場合など、例外的ケースにおいては、個人情報保護法との関係においても家族や行政、福祉関係機関に顧客の必要情報(氏名、住所、症状等)を提供できる場合もある」と考えられる。

 個人データの提供は、個人情報保護法第23条第1項にもとづき本人からの同意を得ることが基本である。一方で、個人情報保護法第23条第1項各号[15]に該当する場合や、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律第7条[16]および第9条第1項に該当すると考えられる場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合は、それぞれの状況に応じた通報先や連携先へ個人データを提供することも認められると考えられる。

 このほか、銀行として、消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)に参加することで、同協議会構成員間における個人情報提供の枠組みを活用することも考えられる[17]

 なお、家族や親族への連絡であっても、個人データを提供する際は本人の同意を得ることが基本である。ただし、個人情報保護法第23条第1項各号等に該当する場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合は、個人データを提供することも認められると考えられる。

以 上

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 個人情報保護法、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律などを積極的に利用する方向に向かうのであれば、市区町村長申立てがこれから増えます。私は、この方向になると思います。


[1]成年後見制度は、法定後見制度(後見・保佐・補助)および任意後見制度の2つの制度で構成されている。

[2] 2012 年時点で 65 歳以上の高齢者のうち、認知症の方の数は約 462 万人と推計されている。なお、本統計は高齢者のみについての統計であり、65 歳未満(若年性認知症の方等)の数は含まれていないことについては留意が必要。

[3]なお、銀行としてより厳格な対応を行うケースや、取引のリスクが大きいと判断された場合に取引を謝絶するケースはあり得る。

[4] 法律構成や実務対応の考え方などは、日本金融ジェロントロジー協会の「法人特別会員ワーキング・グループ報告書」(2020 年 12 月 23 日)に依拠するところが大きい。

http://www.jfgi.jp/wp-content/uploads/2020/12/20201223【JFGI】法人特別会員 WG 報告書.pdf

[5]  医療費等で至急の支払いが必要な場合には審判前の保全処分を活用することも考えられる。

[6] 保佐人については、民法 13 条 1 項各号に規定された法律行為について、補助人については、その一部について同意権が設定されていることに留意。

[7] 任意後見監督人が選任される前であっても、任意後見人が顧客本人の預金取引を代理できるよう、任意後見契約とともに委任契約を締結している事例もある。その場合は、任意後見監督人が選任される前であっても委任契約の受任者である任意後見人との取引が可能。

[8] 「親族等」に銀行は含まれないことに留意する。

[9] あくまで無権代理におけるリスク許容の考え方の一例であり、無権代理の親族等からの払出依頼に応じることによるリスクは伴う。

[10] 日本金融ジェロントロジー協会の「法人特別会員ワーキング・グループ報告書」(2020年 12 月 23 日)において、金融資産の解約等について次のとおり整理されており、親族等による預金の払出し等についてもこれに準じた整理が可能と考えられる。「親族等が、本人の医療費等を支払うために、本人の金融資産を売却する行為は、他に容易に支払う方法が存在しない等、資金準備の方法として、最も本人の利益に適合するといえる場合には、本人との関係で、民法における事務管理が成立する可能性があるものと考えられる。事務管理が成立すれば、親族等は、本人に対する不法行為責任を負わないものと考えられる。」

http://www.jfgi.jp/wp-content/uploads/2020/12/20201223【JFGI】法人特別会員 WG 報告書.pdf

[11] 金融商品を解約等した後、原状回復を行う場合、簿価が書き換わることを含めた税制対応等が非常に複雑になる点に留意が必要である。

[12] 「地域包括ケアシステム」とは、地域の事情に応じて高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まいおよび自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制のことをいう。高齢化の進展のスピードや地域資源の状況などは地域によって異なるため、それぞれの地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの構築を可能とすることが重要であるとされている。(出典:厚生労働省「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」)

[13] なお、地方自治体においては、「地域の高齢者等の保健医療・介護等に関する総合相談窓口である地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターを含めた認知症に関する相談体制を地域ごとに整備し、ホームページ等を活用した窓口のアクセス手段についても総合的に整備する」(厚生労働省「認知症施策推進大綱」(令和元年6月))ことが期待されている。

[14] 例えば、社会福祉関係機関の担当者に、高齢の顧客の名前等の個人情報は伝えず、様子や状況等を具体的に伝えることで、対応方法に係るアドバイスを受けるケースや、社会福祉関係機関の担当者に直接店舗まで来て対応してもらうケースも考えられる。

[15] 個人情報保護法第 23 条第1項各号は、第三者への個人データの提供に当たり、本人の同意が不要である場合を定めている。特に、銀行においては、同項第2号が適用されるか否かの判断、つまりは当該事例が「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」と判断できるかという点が重要となる。

[16] 高齢顧客の様子から、養護者からの虐待を受けているおそれがあると思われる場合であって、生命または身体に重大な危険が生じているときには、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律により、市区町村への通報が義務付けられている点に留意が必要である。

[17] 一部の銀行においては、顧客の個人情報を社会福祉関係機関等に提供する可能性がある旨を、ポスター等で店内に掲示するといった取組みも行われている。掲示のみでは同意を得たことにはならないが、対外的に自らの対応を予め示しておくことで、トラブルの回避に繋がるケースもあると考えられる。

PAGE TOP