影山克典「IT化に関する施策と司法書士実務」

登記情報[1]の記事です。

情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律などの一部を改正する法律[2]

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/digital.html

未来投資 戦 略 2017―Society 5.0 の実現に向けた改革―平成 29 年6月9日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf

未来投資戦略 2018

―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革― 平成 30 年6月 15 日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

成長戦略実行計画 令和2年7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ap2020.pdf

成長戦略フォローアップ 令和2年 7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2020.pdf

規制改革推進に関する答申 令和2年7月2日

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/20200702/200702honkaigi01.pdf

令和2年度革新的事業活動に関する実行計画 令和2年7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ps2020.pdf

経済財政運営と改革の基本方針2020 令和2年7月17日

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2020/2020_basicpolicies_ja.pdf

上の政策が大体掲載されているページ

首相官邸 政策会議

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kettei.html

オンラインサービスにおける身元確認手法の整理に関する報告書 2020/3/31

https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200417002/20200417002-3.pdf

規制改革制度ワーキングチーム 第18回各府省情報化専任審議官等連絡会議合同会議(資料2-2)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/densi/dai33/siryou2-2.pdf

金融業界における書面・押印・対面手続きの見直しに向けた検討会

https://www.fsa.go.jp/singi/shomen_oin/index.html

目指すもののうち、司法書士実務に関係があると思われる考え方など

・行政手続・・・窓口に行かない。同じ情報を出すことがない。本人確認をオンラインで行う。一部について、電子申請の義務化、マイナンバーカード普及のための施策。

・商業登記・・・法務局への届け出印を持っていない法人の登場。グレーゾーン解消制度(本店移転登記)。

・代理、署名押印・・・代理申請における当事者の電子署名の省略、クラウド型の電子署名、電子署名ではなく、IDとパスワードで本人であることを担保する。

書面・対面なしで完結させている取引(住宅ローン契約の電子化、ブロックチェーンによるデリバティブ取引、電⼦発注(⼯事受発注電⼦化)など。)。

・不動産登記・・・不動産売買契約をオンラインで行う場合の本人確認(特に意志の確認)。相続登記の自動化の可能性。相続人が被相続人が名義人となっている不動産を法務局に照会できる制度を創設予定。戸籍等のオンライン(代理)申請。デジタル遺言(アメリカ合衆国フロリダ州、ネバダ州にて利用開始予定)。

添付情報のオンライン化+提出

・裁判手続、執行手続・・・申立てから終了までのオンライン化を目指す。

・家事事件・・・オンラインによる面会交流。

諸外国

アメリカ、韓国、ドイツ、スイス。

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動きが速いのかどうなのか、判断出来ませんでした。書類も100ページ以上のものがほとんどなので、概要と目次と気になる部分を読むことで済ませました。

私はこちらの考えです。

──2014年以前から、政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)を熱望していたのでしょうか。それとも学生運動を通じて、その重要性に気付いたのでしょうか?DXに対する政府の態度はどのように変化しましたか。

わたしたちは、デジタルに“トランスフォーム”(変換)するとは考えていません。どちらかというと従来のアナログのプロセスをより多くの人に届くように“増幅”していると考えています。「デジタルトランスフォーメーション」は何かを奪うものではないんです。たとえば、電子署名法を導入したときも、台湾で広く使われている木彫りの「印鑑」が「もう使えません」とは言いませんでした。印鑑は継続して使えます。電子署名も、印鑑も、どっちでもいいんです。ちなみに、印鑑の電子化を受けてマルチタッチの電子印鑑を生産するイノベーターもいて、印鑑を携帯電話のスクリーンに押しあてると電子印鑑として使えるというものです。それは“トランスフォーム”(変換)ではなく、既存の文化を「増幅」することを意味しています。

https://note.com/blkswn_tokyo/n/ne3513163c79b

・気になること

・電子国家といわれているエストニア(人口約133万人)について

新型コロナ感染症(covid19)について、数字だけ見ると、対応できているのか分からないこと。

感染者数2,272 死亡者数63 回復者数2,024

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/

貧困率や格差が相対的に高い。

https://www.globalnote.jp/post-2498.html?cat_no=604

・アメリカについて

新型コロナ感染症(covid19)についてはニュースを読む通り。分断、格差については、Black Lives Matterを読む通り。

・韓国について

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200824001000882

https://www.globalnote.jp/post-2594.html?cat_no=604

・ドイツ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-07/QEP0TLDWLU6I01

https://www.globalnote.jp/post-2520.html?cat_no=604

・スイス

https://www.globalnote.jp/post-2791.html?cat_no=604

デジタル化は方法の1つなんだろうなと、ぼんやり考えています。自分の業務のうち、試すことが出来るものは試していきたいです。

・最近話題になっていたこと(特に支持しているわけではありません。)

リーガルテック企業の方が何度も取り上げていた自由研究

文部科学大臣賞 「知ってる?はんこってなんで押さなきゃいけないの―日本の特別な文化―」

https://concours.toshokan.or.jp/wp-content/uploads/contest-data/230002/?fbclid=IwAR3MoHjyWk2-6Cr58CcuqtOtX5lxI1ARjz2_MNTCi5lVhFWWW3HivtkEVKE#p=51


[1] 705号 2020.8きんざいP25~

[2] 影山克典「デジタル手続法は司法書士実務をどう変えるか」市民と法118号3項~

渋谷陽一郎「民事信託支援業務のための執務指針案100条(2)」

『市民と法』[1]の記事からです。気になった部分を抜粋して考えてみたいと思います。

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第7条 定義(民事信託組成相談)

 司法書士の民事信託組成相談とは、信託設定のための情報提供や選択肢の提示、そして、リスクの教示として、法3条1項5号に該当する相談、あるいは、同項7号に該当する相談の範囲で、法令順守と社会的相当性に留意して行われるべき相談をいう。

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自分はどういう根拠で相談を受けることが出来るのか、考えてみることが必要になっていると感じます。

特に紹介の場合は受任に繋がりやすく、揉める可能性も少なく、紹介者の立場もあるので無料にしているという場合は、あまり考えないかもしれません。

入り口を広くする考えで、無料相談や無料講座を行っている場合もあまり考えることがないのかもしれません。

現状の私の考えは、記事にあるように1回毎の個別受任の相談として、幾らかでも相談料を頂いた方が私たちも意識することが出来て、相談者も真剣度が増すことが多いと思うので、お互いにとって良いのではないかと思います。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC1000000197#8

司法書士法

(業務)

第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一 登記又は供託に関する手続について代理すること。

二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。

三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。

四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。

五 前各号の事務について相談に応ずること。

六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。

イ 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの

ロ 民事訴訟法第二百七十五条の規定による和解の手続又は同法第七編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの

ハ 民事訴訟法第二編第四章第七節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法(平成元年法律第九十一号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの

ニ 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの

ホ 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二章第二節第四款第二目の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの

七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。

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第9条 定義(信託関係者)

 本指針において、信託関係者とは、委託者及び受託者という信託当事者に加えて、受益者と受益者代理人等を加えたものをいう。又、信託の組成とその内容に対して法的に利害関係を有する委託者の親族等を含めて用いる場合もある。

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信託監督人が入っていないところを興味深く読みました。信託監督人の独立を重く置いている印象を持ちます。

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第14条 総則(司法書士会の責任)

 司法書士会は、公益的立場から、所属会員が業務として行う民事信託支援の適法性、適切性の維持に対して責任をもつものとする。

 そのため、司法書士会は、民事信託支援業務の特殊性と法律事務性に鑑み、常日頃より、所属会員の業務規律に対して監督や指導を行い、適宜、適切な調査、聞き取り、そして、研修等を行うことで、所属会員の業務方法、報酬算定方法、業務誘致方法などの適法性と妥当性を確保するものとする。

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ここは、今後どうなるのか注目したいところです。各司法書士会で対応が分かれてきそうです。また司法書士が中心となって設立準備中の民事信託会社が各地域に支店を作って監督的機能を果たすのか、その他の民間団体がサービスとして監督的機能を果たすのか(信託契約書のチェックなどで既に始まっているともいえます。)

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第24条 総則(利益相反)

司法書士は、支援対象の信託にかかわる信託当事者並びに信託関係者の利益相反関係に十分に注意して、本人の利益が害されないように、民事信託の組成を支援しなければならない。

 又、司法書士は、自らの業務にかかわる利益相反性の有無にも十分に注意を払わなければならない。

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私は、信託監督人を未だ付けたことがありません。任意後見監督人に少しだけその役割を期待しています。

例えば、自分で受託した民事信託事件について、自分が理事になっている監督人協会を信託監督人に就ける場合はどうなるのでしょうか。信託前は委託者から受任して、信託期間中に関しては受託者から受任することになります。

会社・法人の監査役が、自身が委託者(受託者は利益相反関係となります。)の家族の民事信託について、監査役である法人を信託監督人とすることが出来るのでしょうか。受託者を監督する法人(信託監督人)を監査するというのは、委託者の都合で自由に賛成・反対が出来るという理由により、難しいような気がします。自益信託であれば受益者の立場でも出来ることなのではないかと考えます。

 信託期中においては、受託者の(信託行為の制限の中での)利益を追求していくのが受託した場合の業務の姿勢の原則になると思います。信託監督人は、受託者を監督して、受託者の(事務負担などの)利益を害する機関ともいえると思います。この場合は利益相反関係に立っていると考えることが出来ます。

 有償で司法書士の民事信託組成業務の支援をした司法書士が、継続的にその司法書士の業務を有償で支援している場合はどうでしょうか。一方の利益となることが一方の害となることにはならないので、利益相反には該当しないような気がします。

参考

吉永一行「信託契約を作成する弁護士・司法書士の行為規範」

https://tohoku.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=132622&item_no=1&page_id=33&block_id=46


[1] ナンバー124 2020.8 民事法研究会P18~

民亊信託の税務 研修メモ

追加信託で損益通算が出来る。
→初めて知りました。税務上は出来ると考えて良いのかなと理解しますが、事前に担当の税理士に確認は必要だと感じます。

 

(一社)民亊信託推進センター 研修メモ

講師:辻・本郷税理士法人 鈴木 淳税理士 

 

※信託財産に係る負担(債務)も同時に信託財産とした場合

→負担付贈与に該当する

→委託者に「時価-債務」にて、みなし譲渡課税が生じる

→信託財産が土地建物等の場合には、受益者の受贈額は「相続税評価額-債務」

ではなく、「時価-債務」で計算する

(負担付贈与通達 平元3/29 付 直評5 外、相基通9-11、21 の2-4)

なお、賃貸不動産の贈与時に、預り敷金見合いの現金も同時に贈与する場合

には負担付贈与に該当しない(国税庁 質疑応答事例)ため、賃貸不動産の

信託設定時には、敷金相当の現金も含めることを検討する

みなし譲渡課税(※)(所法67 の3③,59①、所基通67 の3-1)

(法法22②)寄付金or 役員賞与(法法22②,34①,37)一時or 給与所得課税(所基通34-1(5))法人寄付金課税(法法22②,37)受贈益課税(法法22②)

 

相続税法第9 条の2①〈贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利〉

信託(退職年金の支給を目的とする信託その他の信託で政令で定めるものを除く。以下同じ。)の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずに当該信託の受益者等(受益者としての権利を現に有する者及び特定委託者をいう。以下同じ。)となる者があるときは、当該信託の効力が生じた時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を当該信託の委託者から贈与(当該委託者の死亡に基因して当該信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

 

・受益者が法人の場合の税 みなし譲渡課税に気を付ける。

相続税法9条

 

「対価は時価で分割払いなら課税されないと考えて宜しいでしょうか。」

 

同族会社の規定 通達

相続税法第9 条〈贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合〉

法第5 条から第8 条まで及び第9 条の2 から同条6 に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があった場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。ただし、当該行為が、当該利益を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。

相続税基本通達9-2〈株式又は出資の価額が増加した場合〉

同族会社(法人税法(昭和40 年法律第34 号)第2 条第10 号に規定する同族会社をいう。)の株式又は出資の価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したときにおいては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。この場合における贈与による財産の取得の時期は、財産の提供があった時、債務の免除があった時又は財産の譲渡があった時によるものとする。

(1)会社に対し無償で財産の提供があった場合 当該財産を提供した者

(2)時価より著しく低い価額で現物出資があった場合 当該現物出資をした者

(3)対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合 当該債

務の免除、引受け又は弁済をした者

(4)会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合 当該

財産の譲渡をした者

 

所得税法第59 条①〈贈与等の場合の譲渡所得等の特例〉

次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)

又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。

一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)

二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)

 

 

所得税法施行令第169 条〈時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲〉

法第59 条第1 項第2 号(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)に規定する政令で定める額は、同項に規定する山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額とする。

所得税基本通達59-3〈同族会社等に対する低額譲渡〉

山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産を法人に対し時価の2 分の1 以上の対価で譲渡した場合には、法第59 条第1 項第2 号の規定の適用はないが、時価の2 分の1 以上の対価による法人に対する譲渡であっても、その譲渡が法第157 条《同族会社等の行為又は計算の否認》の規定に該当する場合には、同条の規定により、税務署長の認めるところによって、当該資産の時価に相当する金額により山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することができる。(昭50 直資3-11、直所3-19 追加)

 

〈適用不可〉

① 非上場株式に係る納税猶予(相続税・贈与税) ・・・措法70 の7 の5、

70 の7 の6

② 農地に係る納税猶予(相続税・贈与税)・・・措法70 の6

 

信託に関する受益者別(委託者別)調書(同合計表)」(相法59③)

※下記に該当する場合は、提出不要

・自益信託の場合(相規30⑦五イ(4))

・信託財産の価額の合計額が50 万円以下の場合(相規30⑦一)

 

・受益者が個人

  • 不動産所得に損失がある場合

→「信託による不動産所得の損失がある場合、その損失はなかったものとする。」

(措法41 の4 の2)

=当該信託以外の所得と損益通算不可(=翌年以降繰越不可)

 

・受益者が法人

  • 受益者が当該信託に係る債務を弁済する責任の限度が、実質的に信託財産の価額とされている場合→信託財産の帳簿価額を超える部分の金額は、損金不算入。

ただし、損金不算入額は、翌事業年度以後の信託による利益額を限度として、損金算入可。(=翌年以降繰越可)(措法67 の12①,②)

 

・受益者が個人の場合、信託の計算期間も暦年にすることで、受託者からの報告書をそのまま申告に使うことができる。法人の場合も同様に、その法人の事業年度と、信託の計算期間とを合わせることで、効率よく申告作業を行うことができる。

 

・近い将来に大規模修繕が見込まれる場合には、その修繕が資本的支出(いったん資産計上され減価償却)または修繕費(一度に必要経費算入)のいずれに該当するものかを事前に想定し、単年で信託財産での損益が赤字とならないかを確認しておく必要がある。複数物件を一つの信託契約に含めることで、信託による不動産所得の赤字リスクの軽減にもつながる。

 

「登録免許税などを考える建物だけを信託設定するということも考えられる。」

 

相続税基本通達9 の2-4〈信託に関する権利の一部について放棄又は消滅があった場合〉

受益者等の存する信託に関する権利の一部について放棄又は消滅があった場合には、原則として、当該放棄又は消滅後の当該信託の受益者等が、その有する信託に関する権利の割合に応じて、当該放棄又は消滅した信託に関する権利を取得したものとみなされることに留意する。

 

相続税法第13 条①〈債務控除〉

相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。

一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)

二 被相続人に係る葬式費用

相続税法第14 条①

前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。

 

(参考)平成19 年6 月22 日廃止

個別通達「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて(S61.7.9)」

共通1-2<取扱いの原則>

土地信託の信託財産の取得、運用若しくは譲渡又は信託受益権の取得若しくは譲渡については、信託財産に帰属する財産債務はその信託の受益者が自ら有するものとし、信託受益権はその目的となっている信託財産に帰属している財産債務そのものを直接有する権利であるものとして、所得税、法人税、相続税又は贈与税に関する法令の規定を適用する。

 

・債務控除の適用にあたっての論点

(1) 確実と認められる債務か否か

① 委託者の意思に基づく信託契約の組成が行われ、その後も信託契約に基づいた運用がされており、債務は受託者固有のものではなく、受託者としての地位に基づいた信託財産責任負担債務といえるか。

② 第二次受益者や帰属権利者が確実に債務を承継する仕組みとなっているか。受託者が免責的債務引受や新規借り入れを行っており、第二次受益者が連帯保証人にもなっていない場合に、第二次受益者にとって確実な債務といえるのか。

また、仮に信託財産では弁済しきれない借入が存する場合、第二次受益者にとって確実な債務といえるのか。

 

・条文上の解釈に関して

① 条文上、信託終了時における帰属権利者の債務控除の適用について必ずしも明確ではない。

土地信託に関する個別通達が廃止されて、土地以外の資産にも対象が拡充され

相続税法第9 条の2 第6 項が新設されたが、第6 項では、信託終了時の取扱いである第4 項に直接的に触れられていない。

② ①は、信託法第177 条(清算受託者の職務)、同第181 条(債務の弁済前における残余財産の給付の制限)に基づき、信託終了時には債務は弁済されていることを想定しているとも考えられるため、信託行為に同178 条(清算受託者の権限等)第1 項のただし書による「別段の定め」を設けることにより、債権者の同意を得て帰属権利者が債務引受をしていれば実質的に問題はないのではないか。

③ 信託が終了した場合には、清算が結了するまではなお信託は存続するものとみなされており(信託法176)、さらに、帰属権利者は信託の清算中は受益者とみなされる(信託法183⑥)ことから、相続税法第9 条の2 第2 項が適用されるため第6 項の規定には当てはまるのではないか。

④ 当初受益者の死亡を原因とする信託終了ではなく、受益者連続型信託として、

いったん第二次受益者を介してからの信託終了とすれば、当初受益者からの受益者変更の段階で相続税法第9 条の2 第2 項が適用されるため第6 項の規定には当てはまるが、経済的効果としては、死亡を基因とする信託終了と結果的に同じではないか。

 

・複層化信託について

 

複層化信託の設定や受益権の評価にあたっては、上記の相続税法上の定義に該当するかどうかの確認が必要である。

収益受益権を個人が有する複層化された信託が相続税法上の受益者連続型信託に該当するときは、収益受益権は信託財産全部の価額にて、元本受益権はゼロにて評価する。

複層化信託について、信託設定時には財産評価基本通達202 に基づき元本受益者が贈与税の申告をしていたとしても、その信託が税務上の受益者連続型信託に該当していると判断された場合には、将来元本受益者に権利が帰属する段階で100%評価による贈与税(または相続税)が課税される可能性がある点には留意すべきである。

また、税務上の受益者連続型信託に該当しない信託を組成しても、次に、受益権の評価にあたっては以下のような論点も指摘されている。

・将来利益の合理的な評価として推算した価額と現実とが乖離した場合の税務上の問題はどうするか。

・固定資産税や減価償却費などの必要経費が、収益受益権と元本受益権のいずれに帰属させるべきか税務上整理されていない。

 

 

「平成30 事務年度における課税部(部門)の事務運営に当たり特に留意すべき事項について(指示)」平成30 年6 月26 日(抜粋)

Ⅳ 資産課税関係

4 財産評価事務の適正な実施

(2) 財産評価基本通達の適切な運用

財産の評価に当たっては、各財産の価額に影響を及ぼす事項を的確に把握した上で、財産評価基本通達に定めるところにより実態に即した評価を行う。

また、評価方法に疑義のある事案等については、事実確認を確実に行うとともに、財産評価基本通達第5項(評価方法の定めのない財産の評価)及び第6項(この通達の定めにより難い場合の評価)の定めを適用すべきかどうかも含め、財産評価基本通達への当てはめや評価方法等の検討を十分に行い、庁・局・署間の連絡を密にして適切な対応を図る。

田中和明「信託における遺留分の侵害と相続法の改正」

「市民と法」[1]の記事からです。

1はじめに

2旧民法化における信託の設定における遺留分の減殺請求についての学説

  • 信託の設定における遺留分の侵害の有無と減殺請求の対象・減殺の順序j
  • 遺言代用信託における遺留分侵害行為
  • 遺留分減殺請求の相手方
  • 遺留分の減殺請求の対象となる財産と減殺の行使の方法
  • 遺留分が発生する時点
  • 遺留分の減殺請求に関する問題点

A信託行為減殺説

信託の設定行為が遺留分減殺請求の対象となる。

B受益権減殺説

受益権が遺留分減殺請求の対象となる。

3 相続法(民法)改正における遺留分制度に関する見直し

  • 遺留分減殺請求権の効力及び法的性質の見直し

A 見直しの必要性

B 遺留分に関する主な改正の内容

C 受遺者または受贈者の請求による金銭債務の支払いに係る期限の許与

  • 遺留分の算定方法の見直し

A 見直しの必要性

B 遺留分を算定するための財産の価額に関する規律

4 改正民法の信託設定に関する遺留分侵害の問題への影響

  • 実務上のニーズへの影響
  • 遺留分侵害額に相当する金銭債権と請求の相手方
  • 改正民法の信託設定に関する遺留分侵害の問題への影響

A信託行為減殺説

B受益権減殺説

5 結びにかえて

という構成になっています。実務としては、信託行為時に遺留分を侵害しないようにすること。遺留分を払えるお金を何かの方法で準備すること。例えば遺言(民法1047条1項2号但し書きの利用を含む)、保険など。

私の考えは受益権減殺説に傾いています。理由は実務で機能しやすいのではないかと思うことと、遺留分というものが財産を目的とするものだからです。

第2次の受益者への対応は、民法上の相続関係の範囲内に収まると思います。


[1] 2020年8月 №124号 p9~

「情報交換と会費」記事について

 時々、お問い合わせいただくことがあります。専門家が、長期にわたり信託を見ていったり、監督人になるのは将来が心配。監督人協会が引き継いでくれれば安心だが、どうしたらいいか?僕がまさに、監督人協会を作った理由です。しかし、監督人業務を本格スタートするには、様々な障がいがありました。

■■ まずは案件の管理をどうするか?

扱う案件が5件くらいなら、別にいいのですが、100件くらいになるともう一件一件把握するのは不可能です。いや、20件でも不可能です。

 あなたも、5年前の相続手続きの案件、全て覚えています?一人で把握していたら、その一人がいなくなったら、もう最悪です。誰も分からない。そのために、案件を管理するための「データベース・システム」が必要だったんですね。顧客管理システムや、案件管理システムですね。

 実は、監督人協会を立ち上げてから、システムの必要性に気づきました。なんたる、アホさ加減。(苦笑)しかし、その後、様々な試行錯誤をへて、このシステムが完成したんですね!ふーッ。2年かかりました。

 私の事務所でも、同じシステムを構築して使っていますが、これがもうチョー便利。(笑)案件の内容や関係者の連絡先が、PCからもスマホからもすぐアクセスでき、お客さんに連絡したいときもワンタッチで電話できる。案件の内容も、クラウドにデータがあるので、すぐ確認できます。しかも端末には一切データは保管されないから、万一、端末を紛失しても安心です。僕がいなくなっても、事務所のスタッフは案件の内容や経緯がすぐ分かるんですね。もちろん、スタッフごとに、アクセスできるデータに制限をかけることも可能です。やっと、管理システムの問題はクリアしました。

さらりと書いていますが、それなりのお金と、開発のための時間、労力、をつぎ込み、多くの失敗を乗り越えてできたシステムなんですよ!

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システム開発でお金を時間がかかった、という話です。お金がかかったというのは外注したからじゃないかな、と思います。

クラウドでGoogleDriveやMicrosoftOnedriveの容量制限を超える場合、民間のAmazonwebserviceなどを利用するなら、月や年単位で課金されるので、その資金も必要、ということだと思います。

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■■ 次は価値ある会員サービス

長期にわたり案件をサポートするには、どうしても運営資金が必要です。

そのために、監督人協会では、これまでセミナーを何回も開催してきました。しかし、セミナーだけで資金を集めるには限界があります。一方で、僕が絶対やりたくなかったことが一つあります。

 それは、「資格ビジネス」「信託○○士」みたいな民間士資格を作って、資金を集めることは絶対にしたくなかったんですね。だって、資格があっても、仕事が来るわけでないし。しかも、すでに、その類いの民間資格はいくつもあります。

 もし、僕がそのような類いの資格を作ったら、イヤでしょ?(笑)僕が、「イヤだな」と思うことはやらない。そうすると、どうしても会員制を作るしかありません。では、会費を納めていただく「価値」のあるサービスはどのようなものか?

ここ、けっこう悩みました。それで、まずは、無料の情報提供と言うことで

 バズ・ダラ会をはじめました。なかなか内容が定まらず、回ごとに方向性が違ったりしていることは、僕も認識しています。毎回、実験でした。無料だからできることですよね。付き合っていただいた皆さん、どうもありがとうございます。

 それでようやく方向性が見えてきました。案件の事例の紹介です。実際の案件ですが、いま、監督人協会の理事の橋本司法書士(+もう一人、新人の司法書士)と、信託内借り入れの案件をしてまして、(それなりに大きな案件)銀行の説明のために、これまで経験した事例(信託内借り入れ)の紹介を、墨消しした登記簿を見せながらしたんですね。ここでした説明、興味ありません?

 セミナーでも、登記簿は、墨消ししてもなかなかお見せできません。でも、クローズドの中だったらどうか?クローズドの中だったら、画面上ならお見せできるかも。ということで、無料のバズ・ダラ会では、事例の概要。コアな部分は、クローズドの会員のみの会合で紹介。これなら価値があるかなと思います。

 つまり会費を支払う価値を感じていただけるのではないでしょうか。バズ・ダラ会は、公開していますし、録画もYouTubeで見れるようにしています。(前回は録画に失敗しました。すいません。)公開だと、あまり、とんがったことはできない。でも、会員制のクローズドの空間なら、事例のとんがった紹介もできますし、深い議論も可能です。もちろん、とんがった議論も録画して、会員は見れるようにするつもりです。クローズドの会は、情報の交換が主な目的です。

 情報をもらうだけでなく交換。ですから、それなりに案件をやった人だけが対象になるでしょう。実務上のコアな情報を、それぞれの実務経験から議論し合う。監督人協会の理事のメンバー間では日常的にしていることですが、これを、もう少し広げようという考えです。

・信託内借り入れの、実際の登記簿や金銭消費貸借の内容 そして、銀行への説明方法

・信託金銭で、不動産を購入する場合の信託登記の入れ方

・信託終了時の、登記申請書の書き方や、その登記簿

などなどは、墨消ししたとしてもなかなか出しづらいですよね。それから、

・案件後の、事後対応。そこから来る、追加案件の流れ

 なんかは、ちょっとマニアックな部分もあり、一般的に募集するセミナーでは取り扱いにくい分野ですね。でも、事務所経営的にはチョー重要。追加の依頼が来る流れができるんですから。ここにも会費を支払う価値がありますよね。

 実際に案件をやって、ある程度共通の考え(長期にお客様をサポートしていきたい)をしている会員ならとても興味がある内容と思います。ですから、会員は、

・ある程度の業務経験がある人

・自分の事例も話せる人(もちろん個人情報は隠して)

というのが条件になってきます。こういった人たちでお互いに情報交換できる場は、価値があるのかなと思います。

■■ ということで、バズ・ダラ会のおしらせ

 次回のバズ・ダラ会では、監督人協会の橋本理事(司法書士)から事例の紹介をしてもらいます。内容は、信託内借り入れについての事例をお話しいただく予定です。(変更する場合もありますので、その際はご了承ください)費用は無料。あなたの参加をお待ちしていますね!

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 情報交換会をするので、参加する人は会費を払ってくださいということです。運営する人は、システム開発、運用費用を回収する必要があるので払いません、ということです。読む限り、会費がzoomの利用料を超える分は、運営の方々が作ったシステムに回されることになると思います。お金の流れを追う限り、セミナーとどう違うんだろう、資格ビジネスと違う部分はどこなんだろう、と考えてみましたが分かりませんでした。

 クローズドの会だから、一般には公表しずらい情報を公開するとして、スクリーンショットを撮られたら、守秘義務の面でどうなるんだろう、と思いました。

 コロナ禍で、オープンデータの価値が高まっています。その中で司法書士がクローズしていく世界観は、専門性を高めることになるのか、その逆に働くのか、どうなるのか私も分かりません。

オープンデータについての参考

「なぜ東洋経済オンラインではデータ可視化コンテンツのソースコードをGitHubで公開するのか?」

https://note.com/kazukio/n/n7e6d7915dee5

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