あるメールマガジンの記事です。下線は私です。
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2000万円の金銭信託、3000万円口座に入金したらどうなる?
今回はこのような内容をメインで議論しました。その逆もあり得ますよね。
3000万円の金銭信託で、2000万円しか口座に入れなかったらどうなるか。
つまり、信託の設定より少ない場合と、設定より多い場合ですね。
いずれにしても、書籍にはまず書いていない内容でしょうね。実務をしているからこそ出てくる問題。
・少ない場合 (3000万円の金銭信託で、2000万円しか口座に入れなかった)
協会のメンバーからは、そもそも、聞き取りが上手くいっていなかったという厳しい指摘も。
残りの1000万円を管理していいないのだから、受託者の責任が問われますよね。
親から子の信託で、信託契約3000万円、口座に入金2000万円、残りの1000万円を填補する責任が問われます。
誰が問うか?受益者です。?
つまり、受益者である親が、受託者である子に対して「残りの1000万円ちゃんと口座に入金して管理しなさい」って言える(信託法40条1項)
でも、その親が1000万円入れてくれないのだから、しょうがないです。
関与した、専門家としては、信託の変更をすべき場面と言えるでしょう。
でも、協会メンバーからはこんなシーンもあったそうです。
3000万円の信託、1000万円を口座に入れた。
残り2000万円を入れようと思っていたら、コロナ騒動。銀行に行くにいけない状態。その間に、委託者がすっかり認知症で判断能力がなくなったそう。そうすると、残りの2000万円は信託の口座に動かせないですよね。ですから、認知症対策で信託を組む場合は、迅速さが求められるでしょう。
今回のコロナはしょうがないとしても、転んでけがしたとか、病気になって、急遽入院することになったとかも、あり得ます。
何があるかわかりませんから、素早く財産の移動まで行う必要がありますよね。
■ 多い場合 (2000万円の金銭信託で、3000万円入金した)追加信託をしましょう!と言うことですね。(笑)
では、追加信託の書類を作っていなかったらどうなるか?つまり、贈与税の問題です。
これについては、受益者が誰かがポイントになりそうです。委託者兼受益者の自益信託の場合は、自分のお金を余計に信託の口座に入金して、そして自分が受益者。
となると、税務的には、贈与税の問題はなさそうと、協会のメンバーからの意見でした。確かに、自益信託ですから贈与税の問題はなさそうですね。(相続税法9条の2 第1項)
でも、税務的には問題がなくても民事的には問題です。親から子の信託で、他の子からクレームがでるかもしれません。
ですからの後々のトラブルを防ぐためにも、早めに追加信託の手続きをしておくべきでしょうね。
いずれにしても、信託の設定金額と、信託の口座への入金金額が、大きく異なる場合、問題が生じる可能性があります。(特に民事上)
ですから、その場合は、信託の変更や追加信託をするなりして、迅速に対処した方が良さそうですね。
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・少ない場合 (3000万円の金銭信託で、2000万円しか口座に入れなかった)
私に関しては、今のところ金融機関が事前に契約書をチェックして、信託口通帳作成時に入金確認をするので、金額がずれる、ということはないのですが、今後何かの事情でこのようなことはあり得るかもしれません。
少ない場合も多い場合も、最初に考えるのは分別管理が可能か否か、ではないかなと考えます。
これは信託口通帳は必ずしも作成する必要はない、と記載している専門家の方々がいつも言っていることです。信託契約書で口座が特定されていたら、受託者名義の通帳で良い、というような主張です。
分別管理が不可能であれば、その後信託法40条、103条、149条、163条などの順番で考えていくのが筋として良いのかなと感じます。
この点については、税務と民事法に異なる点はないのではないかと考えます。
またコロナも関係がないと考えます。