新旧が見つからない。私が参照した会員必携の司法書士倫理が 古いかもしれません。
○司法書士行為規範
司法書士の使命は、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することにある。
その使命を自覚し、自らの行動を規律する規範を明らかにするため、司法書士行為規範を制定する。
我々は、これを実践し、社会の信頼と期待に応えることをここに宣言する。
第1章基本倫理
(使命の自覚)
第1条司法書士は、使命を自覚し、その達成に努める。
(基本姿勢)
第2条司法書士は、その職責を自覚し、自由かつ独立の立場を保持して、司法書士としての良心に従い行動する。
(信義誠実)
第3条司法書士は、信義に基づき、公正かつ誠実に職務を行う。
(品位の保持)
第4条司法書士は、常に、人格の陶冶を図り、教養を高め、司法書士としての品位を保持する。
(法令等の精通)
第5条司法書士は、法令及び実務に精通する。
(資質の向上)
第6条司法書士は、自ら研鑚するとともに、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会(以下「司法書士会等」という。)が実施する研修に参加し、資質の向上に努める。
(自治の維持及び発展)
第7条司法書士は、司法書士自治の維持及び発展に努める。
(法制度への寄与)
第8条司法書士は、法制度が国民に信頼され、国民が利用しやすいものとなるようにその改善及び発展に寄与する。
(公益的活動)
第9条司法書士は、その使命にふさわしい公益的な活動に取り組み、実践するように努める。
第2章一般的な規律
(意思の尊重)
第10条司法書士は、依頼者の意思を尊重し、依頼の趣旨に沿って、その業務を行わなければならない。
2司法書士は、意思の表明に困難を抱える依頼者に対して、適切な方法を用いて意思の表明を支援するように努めなければならない。
(秘密保持等の義務)
第11条司法書士は、業務上知り得た秘密を保持しなければならず、又は利用してはならない。司法書士でなくなった後も同様とする。
2前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合は、その必要の限度において、秘密を開示することができる。
(1)本人の承諾がある場合
(2)法令に基づく場合
(3)司法書士が自己の権利を防御する必要がある場合
(4)前3号に掲げる場合のほか、正当な事由がある場合
(不当誘致等)
第12条司法書士は、不当な方法によって事件の依頼を誘致し、又は事件を誘発してはならない。
2司法書士は、依頼者の紹介を受けたことについて、いかなる名目によるかを問わず、その対価を支払ってはならない。
3司法書士は、依頼者の紹介をしたことについて、いかなる名目によるかを問わず、その対価を受け取ってはならない。
(非司法書士との提携禁止等)
第13条司法書士は、司法書士法その他の法令の規定に違反して業務を行う者と提携して業務を行ってはならず、またこれらの者から事件のあっせんを受けてはならない。
2司法書士は、第三者に自己の名義で司法書士業務を行わせてはならない。
3司法書士は、正当な事由がある場合を除き、その業務に関する報酬を司法書士又は司法書士法人でない者との間で分配してはならない。
(違法行為の助長等)
第14条司法書士は、違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。
(品位を損なう事業への関与)
第15条司法書士は、品位を損なう事業を営み、若しくはこれに加わり、又はこれに自己の名義を使用させてはならない。
(相手方等からの利益授受等)
第16条司法書士は、取り扱っている事件に関し、相手方又は相手方代理人等から利益の供与若しくは供応を受け、又はこれを要求し、若しくはその約束をしてはならない。
2司法書士は、取り扱っている事件に関し、相手方又は相手方代理人等に対し、利益の供与若しくは供応をし、又はその約束をしてはならない。
(広告又は宣伝)
第17条司法書士は、虚偽の事実を含み、又は誤認を生じさせるおそれがある広告又は宣伝をしてはならない。
2司法書士は、品位又は信用を損なうおそれがある広告又は宣伝をしてはならない。
(記録の作成等)
第18条司法書士は、受任した事件の概要、金品の授受に関する事項その他重要と考えられる事項に関する記録を作成し、保管しなければならない。
2司法書士は、前項の記録を保管するに際しては、業務上知り得た秘密及びプライバシーに関する情報が漏洩しないように注意しなければならない。廃棄するに際しても同様とする。
(補助者に対する指導及び監督)
第19条司法書士は、常に、補助者の指導及び監督を行わなければならない。
2司法書士は、補助者をしてその業務を包括的に処理させてはならない。
3司法書士は、補助者に対し、その者が業務上知り得た秘密を漏洩し、又は利用しないように指導及び監督しなければならない。
第3章依頼者との関係における規律
(依頼の趣旨の実現)
第20条司法書士は、依頼の趣旨を実現するために、的確な法律判断に基づいて業務を行わなければならない。
(受任の際の説明)
第21条司法書士は、事件を受任するにあたり、その処理の方法その他依頼の趣旨を実現するために必要な事項について説明しなければならない。
(報酬の明示)
第22条司法書士は、事件を受任するにあたり、報酬及び費用の金額又はその算定方法を明示し、かつ、十分に説明しなければならない。
2司法書士は、その報酬については、依頼者の受ける経済的利益、事案の難易、その処理に要した時間及び労力その他の個別具体的事情に照らして、適正かつ妥当なものとしなければならない。
(契約書の作成)
第23条司法書士は、事件を受任するにあたり、依頼の趣旨並びに報酬及び費用に関する事項を記載した契約書を作成するように努めなければならない。
(事件の処理)
第24条司法書士は、事件を受任した場合には、速やかに着手し、遅滞なく処理しなければならない。
2司法書士は、依頼者に対し、事件の経過及び重要な事項を必要に応じて報告し、事件が終了したときは、その経過及び結果を遅滞なく報告しなければならない。
(公正を保ち得ない事件)
第25条司法書士は、業務の公正を保ち得ない事由がある事件については、業務を行ってはならない。
(公務等との関係)
第26条司法書士は、公務員又は法令により公務に従事する者として取り扱った事件については、業務を行ってはならない。
2司法書士は、仲裁人として取り扱った事件又は裁判外紛争解決手続において手続実施者その他これに準ずる者として関与した事件については、業務を行ってはならない。
(公正を保ち得ないおそれ)
第27条司法書士は、業務の公正を保ち得ない事由が発生するおそれがある場合には、事件を受任するにあたり、依頼者に対し、その事由の内容及び辞任の可能性があることについて説明しなければならない。
(不正の疑いがある事件)
第28条司法書士は、依頼の目的又はその手段若しくは方法に不正の疑いがある場合において、合理的な方法により調査を行ってもなおその疑いが払拭できないときは、その事件を受任してはならない。
(特別関係の告知)
第29条司法書士は、事件の受任に際して、依頼者の相手方と特別の関係があるために、依頼者との信頼関係に影響を及ぼすおそれがあるときは、依頼者に対しその事情を告げなければならない。
(受任後の措置)
第30条司法書士は、事件を受任した後に前5条に該当する事由があることを知ったときは、依頼者に対し速やかにその事情を告げ、事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
(利益相反の顕在化)
第31条司法書士は、同一の事件で依頼者が複数ある場合において、その相互間に利益相反が生じたときは、各依頼者に対してその旨を告げ、事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
(他の司法書士の参加)
第32条司法書士は、受任している事件について、依頼者が他の司法書士又は司法書士法人に、相談又は依頼をしようとするときは、正当な理由なくこれを妨げてはならない。
(受任司法書士間の意見の不一致)
第33条司法書士は、同一の事件を受任している他の司法書士又は司法書士法人がある場合において、その処理に関して意見の不一致により依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるときは、依頼者に対しその事情を説明しなければならない。
(依頼者との信頼関係の喪失)
第34条司法書士は、受任している事件に関し、依頼者との信頼関係が失われ、かつ、その回復が困難である場合には、辞任する等適切な措置をとらなければならない。
(預り書類等の管理)
第35条司法書士は、受任している事件に関し、依頼者から預かった書類等を、善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
(預り金の管理等)
第36条司法書士は、受任している事件に関し、依頼者から又は依頼者のために金員を受領した場合には、自己の金員と区別し、預り金であることを明確にして管理しなければならない。
2司法書士は、受任している事件に関し、依頼者のために金品を受領した場合には、速やかにその事実を依頼者に報告しなければならない。
(受任の継続不能)
第37条司法書士は、受任している事件の処理を継続することができなくなった場合には、依頼者が損害を被ることがないように、事案に応じた適切な措置をとらなければならない。
(係争目的物の譲受け)
第38条司法書士は、係争事件の目的物を譲り受けてはならない。
(依頼者との金銭貸借等)
第39条司法書士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は自己の債務について保証をさせ、若しくは依頼者の債務について保証をしてはならない。
(賠償保険)
第40条司法書士は、依頼者を保護するために、業務上の責任について賠償責任保険に加入するように努めなければならない。
(事件の終了後の措置)
第41条司法書士は、受任した事件が終了したときは、遅滞なく、金銭の精算、物品の引渡し及び預かった書類等の返還をしなければならない。
(依頼者との紛議等)
第42条司法書士は、依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じないように努め、紛議が生じた場合には、協議により円満に解決するように努めなければならない。
第4章不動産登記業務に関する規律
(基本姿勢)
第43条司法書士は、不動産登記業務を行うにあたり、登記の原因となる事実又は法律行為について調査及び確認をすることにより登記の真正を担保し、もって紛争の発生を予防する。
(実体上の権利関係の把握等)
第44条司法書士は、不動産登記業務を受任した場合には、依頼者及びその代理人等が本人であること及びその意思の確認並びに目的物の確認等を通じて、実体上の権利関係を的確に把握しなければならない。
2司法書士は、前項の確認を行った旨の記録を作成し、保管しなければならない。
(公平の確保)
第45条司法書士は、不動産登記業務を受任した場合には、当事者間の情報の質及び量の格差に配慮するなどして、当事者間の公平を確保するように努めなければならない。
(登記手続の中止又は登記申請の取下げ)
第46条司法書士は、当事者の一部から、不動産登記手続の中止又は不動産登記申請の取下げの申出を受けた場合においては、他の当事者の利益が害されることのないように当事者全員の意思を確認し、適切な措置をとらなければならない。
(補助者による立会の禁止)
第47条司法書士は、不動産取引における立会を、補助者に行わせてはならない。
(複数の代理人が関与する登記手続)
第48条司法書士は、複数の代理人が関与する不動産登記業務を受任した場合には、依頼者の依頼の趣旨を実現するために必要な範囲において他の代理人と連携するように努めなければならない。
第5章商業・法人登記業務に関する規律
(基本姿勢)
第49条司法書士は、商業・法人登記業務を行うにあたり、登記原因及び添付書面等の調査及び確認をすることにより真正な登記の実現に努め、もって取引の安全と商業・法人登記制度の信頼の確保に寄与する。
(実体関係の把握)
第50条司法書士は、商業・法人登記業務を受任した場合には、会社若しくは法人の代表者又はこれに代わり依頼の任に当たっている者(以下「代表者等」という。)が本人であること、依頼の内容及び意思の確認をするとともに、議事録等の関係書類の確認をするなどして、実体関係を把握するように努めなければならない。
2司法書士は、議事録等の書類作成を受任した場合には、代表者等にその事実及び経過等を確認して作成しなければならない。
(法令遵守の助言)
第51条司法書士は、商業・法人登記業務を受任し、又はその相談に応じる場合には、会社及び法人の社会的責任の重要性を踏まえ、依頼者に対して、法令を遵守するように助言しなければならない。
第6章供託業務に関する規律
(基本姿勢)
第52条司法書士は、供託業務を行うにあたり、実体上の権利関係を的確に把握し、登記手続、裁判手続その他の関連する手続を踏まえて供託の目的を達成させる。
(供託が関係する相談)
第53条司法書士は、供託が関係する相談に応じる場合には、相談者が置かれている状況を的確に把握したうえで、供託手続の役割、内容及び方法について説明及び助言をしなければならない。
第7章裁判業務等に関する規律
(基本姿勢)
第54条司法書士は、裁判の公正及び適正手続の実現に寄与する。
(紛争解決における司法書士の役割)
第55条司法書士は、依頼者が抱える紛争について、正確な知識及び情報を提供し、最善の方法をもって業務を遂行することにより、依頼者の正当な権利の擁護及びその利益の実現に努めなければならない。
(裁判書類作成関係業務)
第56条司法書士は、裁判書類作成関係業務を受任した場合には、依頼者との意思の疎通を十分に図り、事案の全容を把握するように努め、依頼者にその解決方法を説明するなどして、依頼者自らが訴訟等を追行できるように支援しなければならない。
(簡裁訴訟代理等関係業務)
第57条司法書士は、簡裁訴訟代理等関係業務を受任した場合には、代理人としての責務に基づき、依頼者の自己決定権を尊重して、業務を行わなければならない。
(業務を行い得ない事件)
第58条司法書士は、裁判業務(裁判書類作成関係業務及び簡裁訴訟代理等関係業務をいう。以下同じ。)に係る次の事件については、裁判業務を行ってはならない。ただし、第4号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
(1)相手方の依頼を受けて行った事件又は相手方から受任している事件
(2)相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
(3)相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
(4)受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
(5)受任している事件の依頼者を相手方とする他の事件
(6)その他受任している事件の依頼者と利益相反する事件
2司法書士は、かつて司法書士法人の社員等(社員又は使用人司法書士をいう。以下同じ。)であった場合は、裁判業務に係る次の事件(自ら関与したものに限る。)については、裁判業務を行ってはならない。
(1)社員等として業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が相手方の依頼を受けて行った事件
(2)社員等として業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
(3)社員等として業務に従事していた期間内に、当該司法書士法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
(受任の諾否の通知)
第59条司法書士は、簡裁訴訟代理等関係業務の依頼に対し、その諾否を速やかに通知しなければならない。
(法律扶助制度等の教示)
第60条司法書士は、依頼者に対し、事案に応じて法律扶助制度又は訴訟救助制度を教示するなどして、依頼者の裁判を受ける権利が実現されるように努めなければならない。
(見込みがない事件の受任の禁止)
第61条司法書士は、依頼者が期待するような結果を得る見込みがないことが明らかであるのに、あたかもその見込みがあるかのように装って事件を誘発し、受任してはならない。
(有利な結果の請け合い等の禁止)
第62条司法書士は、受任した事件について、依頼者に有利な結果を請け合い、又は保証してはならない。
(偽証等のそそのかし等)
第63条司法書士は、偽証又は虚偽の陳述をそそのかしてはならない。
2司法書士は、虚偽と知りながらその証拠を提出し、又は提出させてはならない。
(裁判手続の遅延)
第64条司法書士は、不当な目的のために又は職務上の怠慢により、裁判手続を遅延させてはならない。
(相手方本人との直接交渉等)
第65条司法書士は、受任している事件に関し、相手方に法令上の資格がある代理人がいる場合は、特別の事情がない限り、その代理人の了承を得ないで相手方本人と直接交渉してはならない。
2司法書士は、受任している事件に関し、相手方に法令上の資格がある代理人がいない場合において、相手方が代理人の役割について誤解しているときは、その誤解に乗じて相手方を不当に不利益に陥れてはならない。
第8章司法書士法第3条に定めるその他の業務に関する規律
(審査請求手続)
第66条司法書士は、審査請求手続を受任した場合には、審査請求の意義を依頼者に説明し、依頼者の権利が実現されるように努めなければならない。
(国籍に関する書類の作成)
第67条司法書士は、国籍に関する書類の作成を受任した場合には、その要件等を依頼者に説明及び助言をし、依頼者や関係者のプライバシー等の人権に配慮して、業務を行うように努めなければならない。
(検察庁に提出する書類の作成)
第68条司法書士は、検察庁に提出する書類の作成を受任した場合には、関係者の人権に配慮して、正義の実現に努めなければならない。
第9章成年後見業務等に関する規律
(基本姿勢)
第69条司法書士は、成年後見業務等を行う場合には、本人の意思を尊重し、その心身の状態並びに生活及び財産の状況(以下「心身の状態等」という。)に配慮する。
(法定後見等に関する相談)
第70条司法書士は、法定後見又は任意後見に関する相談に応じる場合には、本人のほか、親族、福祉、医療及び地域の関係者等の支援者(以下「支援者」という。)から、その意見、本人の心身の状態等を聴取するなどしたうえで、適切な助言をしなければならない。
(後見等開始申立書類の作成)
第71条司法書士は、後見等開始申立書類を作成する場合には、本人、申立人及び支援者の意見を聴取するなどしたうえで、本人の権利を擁護し、心身の状態等に適した内容になるよう配慮しなければならない。
(任意後見契約の締結等)
第72条司法書士は、自己を受任者とする任意後見契約の締結を依頼された場合には、見守り契約等の任意後見契約に関連する契約の必要性を検討したうえで、本人の権利を擁護し、心身の状態等に適した契約になるように配慮しなければならない。
2司法書士は、前項の任意後見契約及びこれに関連する契約を締結する場合には、本人の心身の状態等に配慮し、本人が理解できるように適切な方法及び表現を用いて契約内容を説明しなければならない。
3司法書士は、第1項の任意後見契約を締結した場合において、精神上の障害により本人の事理弁識能力が不十分になったときは、本人及び支援者の意見を聴取するなどしたうえで、任意後見契約の効力を生じさせるなど、遅滞なく適切な措置をとらなければならない。
(支援者との連携)
第73条司法書士は、成年後見人等に就任した場合には、支援者と連携を図るように努めなければならない。
2前項の場合において、司法書士は、本人のプライバシーに配慮しなければならない。
第10章財産管理業務に関する規律
(基本姿勢)
第74条司法書士は、他人の財産を管理する場合には、自己の財産又は管理する他者の財産と判然区別することが可能な方法で各別に保管するなど、善良な管理者の注意をもって行う。
(委任による財産管理)
第75条司法書士は、委任により他人の財産を管理する場合には、委任者が適切な手続を選択することができるように説明しなければならない。
2司法書士は、前項の場合には、委任者と利益相反する行為をしてはならない。
3司法書士は、財産管理の状況について、定期的に委任者に報告しなければならない。委任者から報告を求められたときも、同様とする。
(法律の定めによる財産管理)
第76条司法書士は、法律の定めにより他人の財産を管理する者に選任された場合には、その目的を達するため誠実に財産管理を行わなければならない。
(遺言執行)
第77条司法書士は、遺言執行者に就任した場合には、遺言の内容を実現するため直ちに遺言執行事務に着手し、善良な管理者の注意をもってその事務を遂行しなければならない。
2司法書士は、遺言執行者に就任している場合において、遺言者の相続財産(遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産に限る。)に係る事件であって、相続人又は受遺者の依頼により、他の相続人又は受遺者を相手方とする裁判業務を行ってはならない。遺言執行者でなくなった後も、同様とする。
(遺産承継業務)
第78条司法書士は、遺産承継業務を受任する場合には、委任契約書を作成するなどして、依頼者に対し、受任事務の内容及び範囲を明らかにしなければならない。
2司法書士は、前項の場合においては、事案に応じて、依頼者に対し、業務の中断又は終了に関する事由を明らかにしなければならない。
(事件の終了)
第79条司法書士は、他人の財産の管理を終了したときは、遅滞なく、その管理する財産を委任者など受領権限がある者に引き渡さなければならない。
第11章民事信託支援業務に関する規律
(基本姿勢)
第80条司法書士は、民事信託支援業務を受任したときは、信託目的の達成に向けて、委託者、受託者、受益者その他信託関係人の知識、経験、財産の状況等に配慮して業務を行う。
(適正な民事信託の支援)
第81条司法書士は、民事信託の設定を支援するにあたっては、委託者の意思を尊重し、かつ、信託法上の権利及び義務に関する正確な情報を提供するように努めなければならない。
2司法書士は、民事信託の設定後においては、受託者の義務が適正に履行され、かつ、受益者の利益が図られるよう、必要に応じて、継続的な支援に努めなければならない。
第12章共同事務所における規律
(遵守のための措置)
第82条複数の司法書士が事務所を共にする場合(以下「共同事務所」という。)において、その共同事務所を監督する立場にある司法書士があるときは、当該司法書士は、共同事務所に所属する全ての司法書士(以下「所属司法書士」という。)が、法令、会則等を遵守するために必要な措置をとらなければならない。
(秘密保持の義務)
第83条所属司法書士は、正当な事由がある場合を除き、他の所属司法書士が業務上知り得た秘密を保持しなければならず、又は利用してはならない。所属司法書士でなくなった後も同様とする。
(共同事務所における業務を行い得ない事件)
第84条所属司法書士は、他の所属司法書士(所属司法書士であった者を含む。)が業務を行い得ない事件については、業務を行ってはならない。ただし、業務の公正を保ち得る事由があるときは、この限りでない。
(所属司法書士であった者が裁判業務を行い得ない事件)
第85条所属司法書士であった司法書士は、所属司法書士であった期間内に、他の所属司法書士が取り扱った裁判業務に係る事件で、自らこれに関与していた事件については、その事件の相手方の依頼を受けて裁判業務を行ってはならない。
(受任後の措置)
第86条所属司法書士は、事件を受任した後に第84条本文に該当する事由があることを知ったときは、依頼者に対し、速やかにその事情を告げ、事案に応じて適切な措置をとらなければならない。
(業務を行い得ない事件の受任防止)
第87条所属司法書士は、共同事務所として、当事者情報の確認その他必要な措置をとるなどをして、業務を行い得ない事件の受任を防止するように努めなければならない。
第13章司法書士法人における規律
(遵守のための措置)
第88条司法書士法人は、その社員等が法令、会則等を遵守するための必要な措置をとらなければならない。
(秘密保持の義務)
第89条社員等は、正当な事由がある場合を除き、司法書士法人、他の社員等が業務上知り得た秘密を保持しなければならず、又は利用してはならない。社員等でなくなった後も同様とする。
(司法書士法人が業務を行い得ない事件)
第90条司法書士法人は、裁判業務に係る次の事件については、裁判業務を行ってはならない。ただし、第4号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合はこの限りでない。
(1)相手方の依頼を受けて行った事件又は受任している事件
(2)相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
(3)相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
(4)受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
(5)受任している事件の依頼者を相手方とする他の事件
(6)その他受任している事件の依頼者と利益相反する事件
(司法書士法人が社員等の関係で業務を行い得ない事件)
第91条司法書士法人は、裁判業務に係る次の事件については裁判業務を行ってはならない。
(1)社員等が相手方から受任している事件
(2)第25条、第26条若しくは第58条第1号から第6号まで又は第92条第2項第1号から第3号までに掲げる事件として社員の半数以上(簡裁訴訟代理等関係業務に係る事件については特定社員の半数以上)の者が裁判業務を行ってはならないこととされる事件
(社員等が司法書士法人との関係で業務を行い得ない事件)
第92条社員等は、裁判業務に係る次の事件については、裁判業務を行ってはならない。ただし、第2号に掲げる事件については、司法書士法人が受任している事件の依頼者の同意がある場合は、この限りでない。
(1)司法書士法人が相手方から受任している事件
(2)司法書士法人が受任している事件の相手方の依頼による他の事件
2社員等は、かつて別の司法書士法人(以下「その司法書士法人」という。)の社員等であった場合は、裁判業務に係る次の事件(自ら関与したものに限る。)については、裁判業務を行ってはならない。
(1)その司法書士法人の社員等として業務に従事していた期間内に、その司法書士法人が相手方の依頼を受けて行った事件
(2)その司法書士法人の社員等として業務に従事していた期間内に、その司法書士法人が相手方の協議を受けて賛助し、又は依頼を承諾した事件
(3)その司法書士法人の社員等として業務に従事していた期間内に、その司法書士法人が相手方の協議を受けた事件で、協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
(社員等が他の社員等との関係で業務を行い得ない事件)
第93条社員等は、他の社員等が業務を行い得ない事件については、業務を行ってはならない。ただし、業務の公正を保ち得る事由があるときは、この限りでない。
(受任後の措置)
第94条司法書士法人は、事件を受任した後に、第90条又は第91条の規定に該当する事由があることを知ったときは、依頼者に対し、速やかにその事情を告げ、事案に応じて適切な措置をとらなければならない。
2社員等は、事件を受任した後に、前2条の規定に該当する事由があることを知ったときは、依頼者に対し、速やかにその事情を告げ、事案に応じて適切な措置をとらなければならない。
(業務を行い得ない事件の受任防止)
第95条司法書士法人は、業務を行い得ない事件の受任を防止するために、当事者情報の確認その他必要な措置をとるように努めなければならない。
(準用)
第96条第1章から第11章まで(第4条、第5条、第6条、第11条第1項、第26条第2項及び第58条を除く。)、第14章及び第15章の規定は、司法書士法人について準用する。
第14章他の司法書士との関係における規律
(名誉の尊重)
第97条司法書士は、他の司法書士(司法書士法人を含む。以下、本章において同じ。)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。
(他の事件への介入)
第98条司法書士は、他の司法書士が受任している事件に関して、不当に介入してはならない。
(相互協力)
第99条司法書士は、他の司法書士と共同して業務を行う場合には、依頼者とそれぞれの司法書士との間の委任関係を明確にして、依頼の趣旨の実現に向け、相互に協力しなければならない。
2司法書士は、事件処理のために復代理人を選任する場合には、依頼の趣旨の実現に向け、復代理人と十分な意思疎通を図らなければならない。
第15章司法書士会等との関係における規律
(規律の遵守)
第100条司法書士は、自治の精神に基づき、司法書士会等が定める規律を遵守する。
(組織運営への協力)
第101条司法書士は、司法書士会等の組織運営に積極的に協力する。
(事業への参加)
第102条司法書士は、司法書士会等が行う事業に積極的に参加する。また、司法書士会等から委嘱された事項を誠実に遂行する。
附則(令和4年6月23日・24日第87回定時総会承認)
この規範は、令和5年4月1日から施行する。
?
Tsuyoshi Taniguchi
これ見てる人全員アウトー!!
司法書士行為規範 (品位の保持) 第4条 司法書士は、常に、人格の陶冶を図り、教養を高め、司法書士としての品位を保持 する。
Tsuyoshi Taniguchi
非弁と言われる可能性は数年前まではかなり悩んでましたが、今はほとんど意識しなくなりましたかね。 「信託は魔法のツール」ってやりたい放題やってた時期はいつ誰が刺されるかとドキドキしてました。 司法書士行為規範に民事信託を盛り込んで、「目指すべき適正な形」を明文化したのは大きかった。
https://x.com/Hamuuuuuuuuuuu/status/1714521896757407774?s=20
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