照会事例から見る信託の登記実務(9)

登記情報[1]の横山亘「照会事例から見る信託の登記実務(9)」から考えてみたいと思います。

後続の登記の申請に先立ち必要とされる登記事項として挙げられるものには、例えば、受益者の指図、承諾による処分、受託者による信託費用のための処分、処分による利益相反の許容、受託者による担保権の設定、信託終了時の信託不動産の帰属などが考えられます。

 「信託費用」というのが、何を指しているのか分かりませんでした。また、「信託費用のための処分」と信託目録に記録してしまうと、信託費用がこのままでは足りないということを登記原因証明情報か、その他の添付書類で証明ないし疎明しないといけなくなるのではないかと思います。そのため、記録するなら受託者以外の受益者などの同意、くらいに留めておきたいと私は思います。そのように記録しておけば、同意書が添付書類になり具体的です。

 「受託者による担保権の設定」について記録しておけば、登記申請について記録することは省略できる、というのが法務局の見解と考えて良いのかなと思いました。私にとっては大きなことで、担保設定したから登記申請が出来るとは思っていなかったので(参考として民法177条)、この記事を根拠に今まで記録していた「登記申請」は削除することを検討したいと思います。

信託の変更(信託法149条)も同様です。変更方法が149条1項ないし3項で法定されているので、これらを登記する必要はないと考えますが、4項に「信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる」とあることから、特約を登記しない限り、当該特約に基づく信託の変更の登記は認められないことになります。

 文章自体には同意です。ただ、信託の終了に関する判決(東京地判平成30年10月23日)から、信託の変更についても同様の解釈がなされるのではないかと個人的に考えます。信託法149条4項に定める変更事由が記録されていて、その他信託法に定める事由があるとき、という記録がない場合は、信託法149条1項ないし3項の規定は、適用されなくなるのではないかと考えることが出来ます。登記官の審査はより複雑になるので、他に良い方法はないのかなと思います。

 受益権の譲渡について、箇条書き程度で記載されることが望ましい、とありますが、曖昧なので譲渡の条件としても良いのかなと感じます。また信託法88条だけでなく、信託法93条が主となる項目だと感じます。

抵当権変更の登記につき、債務者の表示に受託者である旨の記載をすることができるかについてですが、―中略―登記する必要性はないと思われます。

 私も同意です。不動産の全部事項証明書中、甲区の信託された日付と乙区の抵当権変更の日付を照らし合わせると、受託者として債務者になったのか、個人として債務者になったのかが分かると考えます。

(2)信託の変更の登記の省略

登記原因証明情報上、1.信託受託者の追加、2.3者(新受託者、旧受託者、受益者)による信託条項の変更契約、3.旧受託者の辞任の順に法律事実が発生しているにもかかわらず、3と1を1つにまとめ、旧受託者から新受託者への所有権移転がされたかのような登記をすることは、登記原因証明情報との不一致を生じさせることになってしまいます。このような登記の申請は認められず、まず、1受託者を1人から2人にする所有権一部移転登記、2信託の変更の登記、3旧受託者の辞任による合有登記名義人変更の登記の申請をする必要があります。

 「3者(新受託者、旧受託者、受益者)による信託条項の変更契約」とありますが、法律効果は2者(旧受託者と受益者)間の契約として現れるのではないかと思います。新受託者は未だ受託者になっていません。

「1受託者を1人から2人にする所有権一部移転登記、2信託の変更の登記、3旧受託者の辞任による合有登記名義人変更の登記の申請をする必要があります。」について、1信託の変更の登記(受託者の任務終了事由の変更)2所有権移転登記(受託者辞任による変更)で済むのではないかと思います。


[1] 713号 2021.4(一社)金融財政事情研究会P35~

合同会社の本店移転登記申請(最小行政区画内)The application for registration of relocation of the head office of a limited liability company (within the minimum administrative division).

(試訳)

社員・業務執行社員 台湾国籍・台湾在住

The employees and executives are Taiwanese nationals and live in Taiwan.

社員・業務執行社員・代表社員 台湾国籍・日本在住

The employees, executives and representatives are Taiwanese nationals and live in Japan.

決定書

The document certifying that the decision has been made.

当会社の本店を下記へ移転すること。

The head office of our company will be relocated to the following.

本店移転先  沖縄県【新本店所在地】

The head office relocation destination is XX in Okinawa Prefecture.

移転の時期【2021年  月  日】移転日

Timing of relocation [2021 month / day] Relocation date.

以上のとおり業務執行社員全員の一致を得たので,この決定書を作成し,記名押印する。

All executive employees were unanimous.

社員・業務執行社員

住所

氏名   印

Employee and executive employee.

Street address.

Full name.

Mark.

社員・業務執行社員

台湾 住所

氏名 印

Employee and executive employee.

Taiwan address.

Full name.

Mark.

委  任  状

  住 所  沖縄県中頭郡西原町字桃原85番地

  氏 名  司法書士 宮 城  直

私は、上記の者を代理人と定め、次の一切の権限を委任する。

The power of attorney

Residence: ○○ Okinawa

Name:

The record.

1.【新本店の所在地】に当会社の本店を移転したので、その登記申請に関する件

1.添付書類の原本還付請求及び受領に関する件

1、補正、申請意思の撤回による取下げ、登録免許税還付金の受領に関する件

The matters concerning registration application for relocation of company head office.

The matters concerning request and receipt of original refund of documents attached by the company.

The case where the company amends, withdraws due to withdrawal of application intention, receives registration license tax refund.

  【日付】

    沖縄県【新本店所在地】

      【商号】合同会社

       代表社員  【氏名】 会社印

 The new head office location of the company.

Name of a limited liability company.

Representative employee [name] company seal.

僱員和行政人員是台灣國民,居住在台灣。

員工,主管和代表均為台灣國民,居住在日本。

有限責任公司總部的搬遷登記申請(在最低行政區劃之內)。

證明已做出決定的文件。

公司總部將遷至以下地點。

總公司的搬遷地點是沖繩縣的XX。

搬遷時間[2021月/日]搬遷日期。

 所有高管人員都一致。

員工和執行員工。

街道地址。

全名。

標記。

員工和執行員工。

台灣地址。

全名。

標記。

授權書

居住地:○○沖繩

名稱:名稱:

記錄

公司總公司搬遷登記申請事項。

有關公司所附文件的要求和收據原件退還的事宜。

公司因撤回申請意向而修改撤回的情況將獲得註冊許可退稅。

公司新的總部所在地。

有限責任公司的名稱。 代表僱員[姓名]公司印章。

「民事信託支援業務のための執務指針案100条(6)」について

「市民と法[1]」の渋谷陽一郎「民事信託支援業務のための執務指針案100条(6)」からです。

日本弁護士連合会の「信託口口座開設等に関するガイドライン」については、以前考えたのでリンクを貼っておきます。

これまでの司法書士制度の歴史を振り返ればわかるとおり、弁護士業務と司法書士業務が競合化した分野では、最終的に弁護士(弁護士会)との間で、司法書士(近年ではビジネス化し全国展開する司法書士)との間に軋轢を生じ、司法書士の業務範囲の問題が顕在化するに至ることがありうる。

 私自身は今までのところ、弁護士との競合は感じていませんが、可能性はあると思います。研修の際に、その業務を司法書士が可能とする法令上の根拠は何でしょうか?と質問しても、答えていただけませんでした。ただ競合とされて、対立が顕在化する場合の司法書士は、全国展開している司法書士(法人)ではなく、小さな事務所ではないかなと思っています。何故かというと、ある程度の規模がある司法書士事務所(法人)では、不動産関連事業者や金融機関との連携から、あまり対立のない民事信託の依頼が多いこと、複数の弁護士とも業務提携をしていることが多いからです。

日弁連ガイドライン公表から数か月遅れて、2020年11月、東京弁護士会が、直接、三井住友信託銀行との間で、民事信託の相談・利用の紹介に関して協定書を締結した。

三井住友信託銀行のホームページから、リンクを貼っておきます。

https://www.smtb.jp/personal/entrustment/introduction/civil.html

 東京弁護士会の活動は活発で、良かったんじゃないかなと思います。特に日本弁護士会連合会ではなく、東京弁護士会であるところが良いと思います。三井住友信託銀行に相談する方は、一定の資産を所有している方やその家族だと思われます。東京周辺は分かりませんが、多様な方と会うことの多い司法書士とは入り口が違い、競合は一定割合に留まるのではないかと思います。ただ、例えば沖縄県の地方銀行と沖縄県弁護士会が業務提携をすると、私の事務所経営に影響は出ると思うので、何かしら考えないといけません。地方銀行は地域の方や企業の口座を開設し、受信・与信業務を行っているので、どの程度の資産を持っているのかを知っていることから、民事信託の(与信業務と絡めた)提案がしやすい環境にあるからです。

 民事信託士協会は、十六銀行と業務提携をしていて、十六銀行は三井住友信託銀行と業務提携していて、複雑な関係にみえます。

https://www.juroku.co.jp/release/files/20190528_1.pdf

 相談内容に、民事信託に関わるセカンドオピニオンに関する相談、というのがどのような内容を指すのか少し気になります。

士業の中には、自分が民事信託の受託者ですと言ってくる人・・・清算受託者は受託者ではないと理解していた士業の方がおられました(八谷博喜「信託銀行からみた民事信託」公証191号95頁)。―中略―司法書士が委託者と受託者の代理人という双方代理ケースを見たことがあります・・・委託者も受託者も相当高齢だった(八谷前掲論文104頁)。

 ミスとしては大きいなと感じます。自分の目で、どのような記載なのか文言を読ませていただければもうちょっと判断がしやすいのではないかなと思います。

たとえば、日弁連信託センター長の伊庭弁護士は、次のように、民事信託の契約書作成にかかわる専門家責任を追及することを提唱している。

司法書士との関連でいえば、弁護士法違反と信託法その他の法令違反に分かれるのだと思います。このような場合、委託者の代理人となって責任追及することを提唱しているようです。

第76条 司法書士は、司法書士法上許容される適法な範囲において信託組成相談を受けた場合、当該信託を組成することで、将来の委託者の死亡時、委託者の推定相続人の遺留分を侵害するか否かを、現時点で可能な限り確認し、当初受益者のみならず、将来の受益者と指定される者が存在する場合、その相続関係における遺留分侵害の可能性という事実関係についても確認するものとする。

 遺留分侵害の可能性を事前に確認するというものです。遺留分侵害の可能性がある場合、信託財産に属する財産以外の換金可能性のある財産で遺留分の手当てが出来るのか考えます。生命保険などに入っているのかを聴くのはそのためです。

信託を組成したからといって、必ずしも、金融機関から信託貸付けの審査基準に適合した信託契約であり、信託の内容である必要がある。

 受託者が信託内借入れをすることが出来る、という条項の入った信託契約書の案を、事前に金融機関に提出している場合、金融機関の審査基準に適合しないという事態も想定されるのか、気になりました。借入れ申込み時の財産状況によることは措いて、事前に信託契約書とは別に、借入れ条項についても金融機関への問い合わせが必要でしょうか。私は否であって欲しいと思います。

信託財産の現所有者である委託者兼受益者による信託撤回を、可能とするか不可能とするかという選択は、大変重いものであり、委託者兼受益者の慎重な判断を要する。遺言の書換え競争の防止などというキャッチフレーズだけによって決定すべき問題ではない。

 委託者と受託者の関係、受託者と委託者の家族の関係をみながら定める、ということになると思います。受託者も委託者からいきなり信託法164条1項の通り、いきなり信託を終了されても困る場面が出てくると思います。

 遺言の書換え競争の防止、という言葉で思い出しましたが、少し話が逸れます。研修で岡根昇司法書士が、「民事信託設定により、遺言は、撤回したものとみなされるので、遺言を活かすことはできない。」としていたので、「民事信託設定により、遺言は、撤回したものとみなされる」については、信託財産に入っていない財産については遺言の効力は活きるのではないでしょうか(民法1023条)。と質問してみましたが、違うという回答でした。

また、認知症発症という曖昧な条件ではなく、より客観的な停止条件が選定され、付される場合もあろう。

 任意後見契約を締結して、任意後見監督人の選任を条件とすることが良いのかなと考えます。任意後見人の代理権目録に、所有権移転登記及び信託の登記申請を記録しておいてもよいと思います。


[1] №128 2021.民事法研究会P31~

クリエイティブ・コモンズについて

 最近運営に関わっているイベントで、CC、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス、商用利用可などの用語を目にすることが多くなりました。その都度調べてこんな使い方は良いんだ、分からない・迷ったときはとりあえず承諾、などと対応しています。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスという言葉は知っていて[1]、ある程度自由に使えるものなんだろうなというイメージ程度でしたが、実際に使う、作ったものに表示するとなると、何だか色々な種類があるようです。

 私には全て網羅することは無理ですが、今まで関わってきた部分についてまとめてみたいと思います。

参考

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)(活動母体:特定非営利活動法人 コモンスフィア)

最初にみたのが、下のマークと「CC BY 4.0」という文字、作成団体の名称です。

下のページを読んでみると、

作成者は、

1 作成者の名前(名称)の表示と、クリエイティブ・コモンズライセンスマークの表示。

2 ライセンスに関する注意書き。

3 免責事項に関する注意書き。

4 元の資料などへのリンク。

5 変更があった場合には、その内容を表示すること。

利用者は、

1 複製、再配布可能。

2 自分で使いやすいように加工、変更したりすることも可能。

3 1,2は営利、非営利の目的を問わず可能。

 ただし、有名スポーツ選手の画像などの勝手に使えば明らかに経済的価値に繋がると分かるもの、有名であるか否かを問わず個人を特定できるような写真など、人の名誉を傷つける可能性があるものについては制限され、削除や非公表を求められる可能性がある。事前に気付いた場合は予め許諾を取った方が良い。

というような理解です。

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja

 上の図のように幅があり、左は一番固い、右は一番柔らかい・自由と考えるとその間で自身の作品などの流通形態を決めることが出来る、ということのだと思います。形態は6種類あり、1 加工の可否、2 加工可能な場合、元の作品と同じ形態にすること、3 非営利目的か否かの組み合わせで成り立っています。

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)(活動母体:特定非営利活動法人コモンスフィア)のホームページにも次のようなマークと文章が掲載されています。

注)があるものを除いて, このサイトの内容物は クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 ライセンスの下に提供されています。


[1] 松尾陽編「アーキテクチャと法」弘文堂2017,水野祐「法のデザイン」フィルムアート社2017など。

民事信託・家族信託に関する疑問

・身元保証・身元引受について、成年後見制度で代替出来るか?

参考・(平成30年8月30日)(/老高発0830第1号/老振発0830第2号/)

(各都道府県介護保険主管部(局)長あて厚生労働省老健局高齢者支援課・振興課通知)「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3682&dataType=1&pageNo=1

「平成30年3月の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議でも周知したところであるが、介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はなく、各施設の基準省令においても、正当な理由なくサービスの提供を拒否することはできないこととされており、入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない。介護保険施設に対する指導・監督権限を持つ都道府県等におかれては、管内の介護保険施設が、身元保証人等がいないことのみを理由に入所を拒むことや退所を求めるといった不適切な取扱を行うことのないよう、適切に指導・監督を行うようお願いする。」

 おそらくこの辺りのことをいっているのだと思います。身元保証、身元引受の中身は、主に緊急連絡先、生活支援、費用の支払い、死後事務、その他に分かれる。過去に、公益財団法人が預かり金を流用して破産した経緯がある(公益財団法人ライフ)。消費者被害の可能性があることから、身元保証、身元引受に関する事業者と契約を行う前に、地域包括支援センターと相談を行うこと。

 また、身元保証、身元引受を施設入所の条件とする根拠法令はないのだから、施設入所を拒否したりするような対応はやめるように、というようなことが記載されています。 おそらく、この通達に違反した場合は都道府県の担当から調査、指導などが入るのではないかと思います。罰則については探すことが出来ませんでした。身元保証、身元引受という言葉は使われなくなっても、形を替えて施設や病院にはそれぞれの都合があると思うので何かしら残っていくのではないかなと思います。

・成年後見人は、医療同意も事実上しているのか?

 成年後見人は、法令等では出来ないけれど、実態として医療行為に関する同意をしているのでしょうか。私は聴いたことがありませんでした。一度同意書にサインしましたが、「※ただし、成年後見人には医療行為に関する同意権はありません。」との文言を黙って書きました。そもそも医療行為に関して、本人以外の家族、成年後見人等が同意権を持っていると考えることが出来ません。家族に求めるのは後で医療ミスなどを問われないように、などという理由の方が大きいと思います。それならば、同意書ではなく説明書でよいのではないかと考えます。また本人に意思能力がない場合で、事前にエンディングノートなどに記載がないときの医療方針については、医療関係者を始め、家族、ケアマネジャーなど福祉関係者、成年後見人などの関係者で合意形成を図っていくのが望ましいのではないかと思います。

・個人事務所が大規模事務所に対抗するためのシステムとは?2年半の開発期間と1000万の投資、カスタマイズ費用は、開発にかかった費用の何十分の一。

 個人事務所が大規模事務所に対抗するためのシステムとは、どのようなものでしょうか。構造を読む限り、1つの司法書士法人が作った顧客管理システムを、他の個人事務所が利用するもののようです。利用料についての記載はありませんが、無料ではないかもしれません。どの辺が「個人事務所が大規模事務所に対抗するためのシステム」なのか分かりませんでした。もし利用料を受け取っているなら、開発した司法書士法人にとっては、大規模事務所に対抗するためのシステムになっていると思います。司法書士などの士業相手のビジネスは、未払いというリスクがほとんどないこと、毎月安定した収入が入ることは経営上プラスの面が大きいと思います。

・「親の介護に親のお金が使えない!」「親が払いたくても払えない場合」はどんな時?離れて暮らす親が突然倒れた場合、軽い症状でしたら入院費や治療費を親が自分で支払うことが可能です。しかし、重い症状や、寝たきりになってしまった場合には自分で自分の費用を支払う事ができません。離れて暮らす親が、突然倒れ寝たきりになった知らせを聞けば、子供たちは親のもとに駆け付けると思います。しかしながら、ずっと側にいて介護ができるわけではありません。子供たちには家族もいますし、仕事もあります。介護をしながら親と一緒に暮らすことは難しく、『早急に介護施設を探さなければ』と考えます。そこで大問題にぶつかります!子供が銀行窓口に行ったら拒否をされるのです。たとえ子供でも親のお金を下ろすことはできません。介護施設入所には一時金を用意しなければならず、そして月々の支払いがかかります。まず一時金を用意することが一苦労です。もしも実家のタンスに500万円あれば、それを原資としてすぐに支払う事ができます。しかし、実際は銀行に預金していることが普通かと思います。子供である自分が銀行に行き、介護費用の為といい数百万円単位のお金をおろしたい旨、伝えます。しかし、銀行窓口に行っても基本的には難しいでしょう。「ご本人様をお連れ下さい」と。本人が寝たきりで意思表示も難しいと結局、銀行口座からお金を下ろすことは難しくなります。たとえ、実の子供であっても。。。

 以前、全銀協の代理についての記事があったような気がします。キャッシュカードで少しずつ下ろすか、振込みでも良いのかなと思います。ただ私の周りで、入所時に500万円の一時金が必要な介護施設や、そこに入るような人を知らないので何ともいえません。施設も少し待ってくれるような気がしますが。

・信託財産ごとの契約となるので、契約書が2枚になるケースもあります。父が元気なうちは、父と息子さん、娘さんが共同でアパート管理ができます。しかし、将来、父が判断能力を失う状態になった場合には、受託者である息子さん、娘さんが・入退去時の賃貸借契約・アパートの大規模修繕、建替え、売却を行うことも可能です。信託契約書の中に、将来相続が起こった場合に、どの物件を誰が相続するのか残余財産の帰属先を定めておくことができます。そのため、それぞれ引き継ぐ収益物件ごとに信託契約書を作成することで、物件を受託者として管理している息子さん、娘さんにそれぞれ財産を相続させることができ、生前で円満に、財産管理と遺産分割をまとめることができました。

「信託財産ごとの契約となる」、「契約書が2枚」、「どの物件を誰が相続するのか」、「それぞれ財産を相続させることができ、生前で円満に、財産管理と遺産分割をまとめることができました。」などの使い方が気になりますが、分かりやすさでしょうか。信託財産は財産、2枚は2通・2個・2つ、相続は権利移転・引継ぎ、「信託財産に関しては、」を入れる、遺産分割は使わない、と私ならなるところです。

・信託を発効するまでに、個人差がありますが、だいたい1か月半〜3ヵ月程度の時間がかかります。

 結構速いという印象です。私の場合、3か月から1年かかります。地域差があるのか、業務の進め方が違うのか、興味があります。

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