スタートアップ創出調整連絡会議(第6回)

スタートアップ創出調整連絡会議(第6回)令和6年8月7日

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/wgkaisai/startup_dai6/index.html

配布資料

資料1:   内閣官房グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室提出資料

資料2-1: 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局提出資料

 SBIR制度のスタートアップに対する研究開発支援に移行を記載。

資料2-2: 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局提出資料

 SBIRフェーズ3基金事業に係る採択済み件数、合計106件。

資料3:   経済産業省提出資料

「スタートアップ育成5か年計画」の進捗状況について。

新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律について。

https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000098

・スタートアップがストックオプションを柔軟かつ機動的に発行できる仕組み(ストックオプション・プール)の整備(株主総会から取締役会に委任できる内容・期間を拡大)

株式会社産業革新投資機構(Japan Investment Corporation:JIC) の運用期限を2050年3月末まで延長。

https://www.j-ic.co.jp/jp/about/info

投資事業有限責任組合契約に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000090/20220901_501AC0000000071?tab=compare

・既出資額を50%未満に制限される外国法人の範囲から、国内の事業者がその経営を実質的に支配し、又はその経営に重要な影響を及ぼす外国法人を除外。

・LPSが実施できる事業について暗号資産及び合同会社の持分の取得・保有を追加。

ストックオプション・プールの実現に向けた会社法制の整備。

 研究者等の起業家育成事業(躍進コース)(支援金額:最大500万円または最大3000万円※。個人、チーム、法人を対象。)※VCからの投資意向表明がある場合。※2023年度は28件採択(142件の応募あり)/2024年度は24件採択(165件の応募あり)。

 起業・事業経験者等による起業に向けたメンタリングや弁護士・会計士等の専門家による個別の助言。

スタートアップ創出促進保証の創設

 創業時に信用保証を受ける場合、経営者保証を不要とする新しい信用保証制度。承諾実績(2023年3月15日~12月15日)1,129件、119億円。

資料4:   文部科学省提出資料

 大学発の研究成果の事業化支援(大学発新産業創出基金事業)【R4補正988億円】

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)のスタートアップ支援【R4補正23億円の内数、R5補正26億円の内数、R6当初196億円の内数(内閣府)】。大学発スタートアップ創出数:45社(R5年8月現在)⇒令和4年11月からの半年程度で8社増加するなど、加速度的に進展。

 大学発ベンチャー数・・・2022年度調査から506社増加し、4,288社。沖縄県39社。

資料5:   金融庁提出資料

 金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律(2024年5月22日公布)」により、非上場有価証券の流通活性化の観点から、非上場有価証券の仲介業務の参入要件を緩和。

資料6:   デジタル庁提出資料

資料7-1: 法務省民事局提出資料

従業員への株式の無償交付について

現行会社法における課題

 上場会社の取締役に対する報酬等として株式を交付する場合には、払込みを不要とすることができるが(会社法第202条の2)、この規定は従業員には適用されない。

 従業員に対しては、金銭債権を付与した上で、その金銭債権を現物出資させて株式を交付する方法(現物出資構成)により、事実上、株式を無償で交付しているが、このような方法は技巧的であるため、端的に従業員への株式の無償交付を認めるべきであるとの指摘がある。

従業員への株式の無償交付を認めるに当たっての論点

 既存株主の利益の保護(株式の無償交付により株式の価値の下落(希釈化)が生じて既存株主の利益が害されるおそれについてどのように考えるか。)

 無償交付の対象者(従業員に加えて子会社の役職員を含めることの是非)。

 対象となる株式会社(上場会社に限るかどうか。)。

 開示の在り方等が問題となる。

課題に対する対応状況 

 有識者で構成される研究会(座長:神作裕之学習院大学法学部教授)に参加して制度設計の在り方を検討。

 令和6年度中に法制審議会への諮問を行う予定。

資料7-2: 法務省出入国在留管理庁提出資料

規制改革実施計画(令和6年6月21日閣議決定)

2.スタートアップの更なる成長

(3)海外活力の取り込み・内外人材活用

(ⅱ)海外起業人材の活躍に資する在留資格等の見直し

No.8スタートアップへ投資する外国人投資家向け在留資格の創設

 スタートアップ企業への海外からの投資を呼び込むため、国家戦略特区において、一定額を日本国内のスタートアップに投資するとともに特区内のスタートアップエコシステムの形成・発展に寄与する活動を行うこと等を要件として、投資家(エンジェル投資家を含む。)向けビザを創設することについて、令和6年度中を目途に必要な措置を講ずる。

市民と法148号2024年8月

市民と法148号、2024年8月、民事法研究会

http://www.minjiho.com/shopbrand/037/P/

大論公論 簡易裁判所のデジタル化と認定司法書士に対する期待

 大阪地方裁判所民事上席裁判官・大阪簡易裁判所司法行政事務掌理裁判官 松永栄治

・利用者の出頭による費用面及び時間面のコストを抑えたいという利用者のニーズに応えることが出来る。・・・今後、利用件数は増えるのか気になりました。

・簡易裁判所の平均審理期間は、1998年2,0カ月から2023年3,1カ月と長くなっている。

【論説/解説】

・総合法律支援法の沿革と今後の展望

 東海大学教授 吉岡すずか

 特定援助対象者法律相談援助について。月平均62件の相談実績。

 災害援助、刑事領域への拡大。

・「デジタル技術を活用した遺言制度の在り方に関する研究会報告書」を読んで

 弁護士 佐々木好一

 「私の下記所有財産を住所○○、氏名○○【配偶者・子・(    )】に、【相続させる・遺贈する】」の○○と選択をほんの自書で行い、その他は全て記載済みのものを利用する、という方法があり得るのではないかと思いました。

・ネット銀行の抵当権設定登記手続と司法書士業務のDX化

 司法書士 土屋佑介

住信SBIネット銀行の住宅ローンは、魅力的な商品性に加え、AI審査の導入など、融資判断の迅速化に積極的に取組み、多くのお客さまにご愛顧いただいております。その結果、2023年10月には住宅ローン取扱額10兆円を突破し、2023年度の新規実行額は1兆4,852億円

https://www.netbk.co.jp/contents/company/press/2024/0412_002540.html#:~:text=%E4%BD%8F%E4%BF%A1SBI%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%81%AE%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%80%81%E9%AD%85%E5%8A%9B,%E5%86%86%E3%81%A8%E5%9B%BD%E5%86%85%E8%A1%8CNo.

 ネット銀行が委任する司法書士をどう探すか、各ネット銀行が工夫。司法書士においても、通常より広範な業務を行っているものと推測。・・・どのような工夫があるのか、どのくらい広範なのか気になりました。

 ネット銀行の電子署名に関する管理と、委任状の記載事項。

・空家等管理活用支援法人の指定制度における審査基準のあり方

 司法書士 立川健豊

 ■空家等管理活用支援法人の指定等の手引き

国土交通省 市町村が支援法人の指定等を行うにあたっての基本的な考え方や、審査の基準を含む事務取扱要綱(例)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html

 自治体により、空家等管理活用支援法人の指定を行わない例。

・区分所有法制の見直しに関する要綱を読む(下)――改正の背景・各制度の概要・今後必要な施策――

 弁護士・横浜市立大学客員准教授 佐藤 元

 法制審議会-区分所有法制部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00004

 建替え決議要件を緩和する事由。建替え決議がされた場合の賃貸借契約の終了請求権と損失補償義務。

 区分所有関係の解消制度、区分所有建物滅失後の再建制度。建物敷地売却制度。建物更新(リノベーション)決議。

 

・相続登記申請義務化時代の司法書士制度論(4)――AI時代の司法書士原論――

 司法書士 長谷川清

 司法書士事務所の運営とAI、主に生成AIとの関係。AI時代と表現。相続人申告登記の申出制度に、自動調査・校合を行うAI登記官の出現の可能性。・・・司法書士と同じように、AIを使用する登記官が出現する、という意味なのかなと思います。それは法務省が生成AIの使用方法についてガイドラインを省内でガイドラインが作成されることと、ほぼ同義ではないかと思います。利用方法さえ定めれば、今すぐにでも使用することが出来る状況にはなっているからです。

 韓国における未来登記システムについて。ここでいう登記システムは記事全体を読む限り、不動産登記に関するシステムの話をしています。

 一般国民が容易に理解して活用できる未来型登記簿、というものがどういうものなのか、想像が出来ませんでした。

 無管轄、非対面等が大きな特徴である。について・・・無管轄というのは、どこの法務局に登記の申請、申告の申出、各種証明書の請求をしてもよい、という意味だと考えられます。非対面はどのように本人の意思を担保するのか、気になりました。

 不動産売買契約事実申告登記制度の創設について。・・・税務申告に近いイメージを持ちました。相続税が課税されないが申告が必要なときなど。仮登記制度や仮登記仮処分制度の手続要件の緩和や、登録免許税を不動産1個1,000円(仮登記仮処分命令の手続き費用も一件1,000円)にすることで解決出来ないのかなと思いました。

 司法書士がAIを、まずは使ってみる、という心意気になるには、研修に組み入れるために10年単位の月日を要する、との記述について。・・・研修に入っていなくても、既にどのように使いこなすか、試行錯誤している方がいらっしゃいます。

対談 司法書士のアイデンティティの行方(上)

 司法書士 稲村 厚、 司法書士 渋谷陽一郎

 極めて中途半端な法律家、について。・・・私の認識は、有利な方に自身の立場を入れ替えることが出来る隣接法律専門職です。司法書士試験合格時は、言葉の王様、事務の王様だと考えていました。ただ、私や本記事の著者を含めた先輩方を見ていて、言葉の使い方が雑だと思うことが現在進行中でずっとあるので、さすがに言葉の王様、事務の王様なんて言えないです。

 司法書士制度が「未完の制度」あるいは「生成中の法律家制度」であるがゆえに非常に魅力的であったものが、どうも最近そういう議論がまったくなくなっちゃって、あの情熱はどこへいっちゃったのかなというふうに思います。について・・・1つは成年後見センター・リーガルサポートその他の司法書士が中心となって運営している法人、各司法書士会執行部における、多数決による除名規定や会員への指導とその活用の多さだと思います。事実認定や法律構成の議論ではなく多数決(役員にとって都合の悪いことは、多数決で決めて追い出す。)の論理が持ち出されると、普段の仕事と矛盾しますし、司法書士制度論など語る熱量は消えます。言うべきことは言う、など、少なくとも同業者の会務を熱心にやっている人にそういう対応をしても現状無意味で、かえって失望します。

 紛争性の有無という基準は曖昧、について同意です。

 司法書士制度は消滅するという予言について・・・あり得ると思いますが、一度法律に基づいて作られて、現在2万人以上が職業としている制度について、消滅するのは難しいと思います。

 無報酬性を前面に出すかどうかは、各司法書士が自分の頭で考えてやるかやらないかを決めて良いと思います。上から押しつけられて嫌々やっても、そのしわ寄せは事務所の職員にいきがちです。

 元司法試験の受験生であったことは、個々人または同じグループ内で解決していただきたいと思います。別の職業である弁護士に関する感情的な面を、司法書士会に持ってきて何かしらいい影響があるのか、分かりませんでした。

 

現代家族の肖像と法律問題(36)

 弁護士 升田 純

 東京高判平15・4・23金法1681号35頁。遺言執行者は、遺言の執行として金融機関等に対して預金等の払戻し等を求める権限を有するものではないとした事例。・・・民法899条の2、1014条による見直し。

相続・今昔ものがたり(43)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続分の譲渡に関連する先例

 登記研究848号、平成30年3月16日法務省民二第137号民事局民事第二課長通知「異順位の共同相続人の間で相続分の譲渡がされた後に遺産分割協議が行われた場合における所有権の移転の登記の可否について」

 登記研究750号、平成22年4月2日法務省民二第908号民事局民事第二課長通知「「相続分の売買」を登記原因とする土地の所有権の移転の登記に係る登録免許税の租税特別措置法第七二条の適用の可否について」

 登記研究536号、平成4年3月18日法務省民三第1404号民事局第三課長回答「数次相続人間における相続分譲渡と所有権移転登記手続)について」

 登記研究444号、昭和59年10月15日法務省民三第5195号民事局第三課長回答「相続分譲渡による相続登記の可否」

 登記研究220号、昭和40年12月7日民事甲第3320号民事局長回答 「相続分譲渡に関する調停調書を添付してなされた相続による所有権移転登記申請の取扱いについて」

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務8 信託契約書の起案の作法(3)

 司法書士 渋谷陽一郎

 司法書士の場合、委託者に加えて委託者の家族も依頼者であるという場合がある。について・・・委任契約書に家族も記載するという場合は、どのような場合なのか、気になりました。

 原則として、全員に信託財産から受益させたいのならば、全員を受益者にすればよい。について・・・同意です。

全青司ノート67 オンライン申請システム障害

 全国青年司法書士協議会民法・不動産登記等研究委員会常任幹事・司法書士 牧野賢努

 e-Statを加工して、月別時間軸とオンライン申請率をデータ化した表を作成。印紙収入にも触れられています。商業・法人登記、船舶の登記などを含む登録免許税納付額の合計は、6559億8380万3300円(2022年度)でした。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250002&kikan=00250&tstat=000001012460&cycle=8&year=20221&month=0&tclass1=000001012463&result_back=1&tclass2val=0

登記情報753号2024年8月号

登記情報753号(2024年8月号)、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 

遺贈寄付の役割

一般社団法人日本承継寄付協会 代表理事 三浦美樹

 死蔵財産、という言葉を初めて知りました。

Legacy Futures

https://www.legacyfutures.com/services/legacy-foresight

特 集

AIの活用と司法書士実務

生成AIと司法の未来、司法書士の未来

司法書士法人ラインメッツァ  (日本司法書士会連合会民事裁判IT化対応委員会委員) 岩白啓佑

法務省 民事判決情報データベース化検討会

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi09900001_00004.html

AI法廷の模擬裁判リアルタイム配信/東大五月祭

https://www.youtube.com/watch?v=bU6rg5QEe7s

 業務に関する相場をしるための報酬表の作成。

 思い伝達系の文章、というものがどのようなものかよく分かりませんが、過去の自身のテキストデータがあれば、少しはテキスト作成に役立つのではないかと思います。

 著者の屋号、ブランドについて・・・責任も伴っているということだと思いました。

 一方で、不動産取引以外にも、例えば企業のM&Aなど非常に大きな金額が動く取引が法律家の関与なく多々行われている、の記載について・・・初めて知りました。

 取引性がなく責任問題が生じにくい業務、例えば単純な相続登記や商業・法人登記などの業務は、早い段階で大きく減少する可能性があるのではないか、について・・・責任問題が生じにくい業務なのか、分かりませんでした。

AI法廷の模擬裁判@五月祭/プロンプト公開

https://note.com/aimocktrial/n/nd4160382f477

民事裁判情報のデータベース化が実務に及ぼす影響

司法書士(民事判決情報データベース化検討会委員)  鹿島久実子

 判例、裁判例が士業にとって情報過多となる場合。

 

司法書士と裁判AI

司法書士アデモス事務所 司法書士 中村圭吾

 人工知能(AI) – 司法ガイダンス

 情報の出典を確認すれば良いのではないかと感じました。思考のプロセスの説明は、理由付けや補足説明で可能なのではないかと思いました。

商業登記規則逐条解説 第20回

土手敏行

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023

(役員等の氏の記録に関する申出等)

第八十一条の二会社の代表者は、役員(取締役、監査役、執行役、会計参与又は会計監査人をいう。以下この条において同じ。)又は清算人の一の旧氏(住民基本台帳法施行令(昭和四十二年政令第二百九十二号)第三十条の十三に規定する旧氏であつて、記録すべき氏と同一であるときを除く。以下同じ。)を登記簿に記録するよう申し出ることができる。この場合において、当該登記簿(閉鎖した登記事項を除く。)にその役員又は清算人について旧氏の記録がされていたことがあるときは、最後に記録されていた旧氏より後に称していた旧氏に限り、登記簿に記録するよう申し出ることができる。

2前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を登記所に提出してしなければならない。

一申出に係る会社の商号及び本店の所在場所並びに当該会社の代表者の資格、氏名、住所及び連絡先

二旧氏を記録すべき役員又は清算人の氏名

三前号の役員又は清算人について記録すべき旧氏

四代理人によつて申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称、住所及び連絡先並びに代理人が法人であるときはその代表者の資格及び氏名

五申出の年月日

3前項の申出書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。

一前項第三号に掲げる事項を証する書面

二代理人によつて第一項の申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面

4第二項の申出書又は委任による代理人の権限を証する書面には、申出をする会社の代表者が登記所に提出している印鑑を押印しなければならない。

5第一項の申出があつた場合には、登記官は、同項の申出に係る旧氏を登記簿に記録するものとする。

6登記官は、旧氏が記録された役員又は清算人の氏の変更の登記の申請があつた場合において、当該旧氏と登記簿に記録すべき氏とが同一であるときは、当該申請により登記簿に氏名を記録すべき役員又は清算人につき、当該旧氏を記録しないものとする。

7会社の代表者は、当該会社の登記簿に旧氏の記録がされている者について氏の変更の登記がされた場合には、登記簿に記録がされている旧氏を当該変更の登記の直前に称していた旧氏に変更するよう申し出ることができる。

8第二項から第五項までの規定は、前項の申出について準用する。

9会社の代表者は、当該会社の登記簿に記録がされている旧氏の記録を希望しない旨を申し出ることができる。

10第二項から第五項までの規定(第三項第一号を除く。)は、前項の申出について準用する。この場合において、第二項第二号中「旧氏を記録すべき」とあるのは「旧氏の記録を希望しない」と、同項第三号中「清算人について記録すべき旧氏」とあるのは「清算人について記録されている旧氏」と、第五項中「記録するものとする。」とあるのは「記録しないものとする。」と読み替えるものとする。

代理人によって申出する場合で、登記申請の代理と同時に行うときの委任状について・・・同じ委任状1枚で委任事項を特定して行うことも可能だが、別の委任状にした方が分かりやすいと思います。

 一般社団法人登記規則3条で商業登記規則81条の2が準用されているので、一般社団法人・一般財団法人の理事、監事、評議員も旧氏併記が出来る。

(添付書面)

第八十二条 定款の定めがなければ登記すべき事項につき無効の原因が存することとなる申請については、申請書に定款を添付しなければならない。

 総社員の同意を証する情報が添付されている場合、定款は基本的に不要。

(社員の業務執行権又は代表権の消滅の登記)

第八十三条社員の業務執行権又は代表権の消滅の登記は、その社員の退社の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。

(社員の職務執行停止等の登記)

第八十四条社員の職務の執行停止又は職務代行者に関する登記は、その社員の除名又は業務執行権若しくは代表権の消滅の登記をしたときは、抹消する記号を記録しなければならない。

 登記官の職権。登記されている業務執行権・代表権の喪失の登記、社員の職務執行停止・代表者選任の仮処分に関する登記、無意味になった場合。

(継続の登記)

第八十五条会社法第六百四十二条第一項の規定による継続の登記をしたときは、解散の登記並びに清算人及び清算持分会社を代表する清算人に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。

2会社法第八百四十五条の規定による継続の登記をしたときは、設立の無効又は取消しの登記並びに清算人及び清算持分会社を代表する清算人に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。

(清算人の登記)

第八十六条会社法第九百二十八条第二項又は第三項の規定による清算人の登記をしたときは、代表社員に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。

2前項の規定は、会社法第六百四十一条第四号若しくは第七号の規定による解散の登記をした場合又は設立の無効若しくは取消しの登記をした場合について準用する。

 清算人の登記により、代表社員に関する登記の効力がなくなるから、登記官の職権。合名会社は任意清算をすることが出来る場合があるため、解散の登記をしたときではなく、清算人の登記をしたとき。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑵―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 司法書士法21条の正当な事由に該当する場合を定めている。依頼を拒むことが出来る、のではなく、依頼を拒まなければならない。犯罪収益移転防止法の特定業務、特定取引に該当しない業務も含まれる。

 株主が法人である場合(間接保有)、支配法人を通した保有割合をもって判定。

境界紛争の解決手続における土地家屋調査士の役割第6回 まとめ

弁護士 井奥圭介、土地家屋調査士 山脇優子

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000151

(特定和解の執行決定)第二十七条の二

民間ADRについて、令和6年4月1日から特定和解について執行力が付与。

・越境物がある場合。

・隣接地同士が縄伸びしている場合、所有権確認訴訟と筆界特定を並行して進行。

・お互いに越境物があると主張している場合。境界ADR。

・路地を通行することが重要な目的である場合。民間総合調停センターの利用。通行手数料の支払い合意による和解。

法律業務が楽になる心理学の基礎第11回 リーダーシップの一歩

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 対人思考と課題思考というものがある。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント 第64話 協働しよう③~社会保険労務士

司法書士法人鈴木事務所 司法書士 鈴木龍介

 日本全国で、約4万5,000人が登録。

韓国視察報告書~次世代電子訴訟システムや次世代登記システムを中心に~

司法書士 䧎山克典

 韓国の法務士事務所の視察。裁判や登記のオンラインの普及について、進んでいるのであれば、統計が公的なサイトに公表されているではないかと思いましたが、数字が出てこなかったので、どうなっているのだろうと思いました。

実務の現場から 新株予約権の内容の変更について―実体法分野と登記分野の連関

弁護士法人中央総合法律事務所 弁護士 森山雄平

 登記研究590号、平成8年7月25日法務省民四第1350号民事局第四課長通知「転換社債の転換条件変更の登記申請について」

 株主に不利かどうか。社債権者全員と個別の合意がある場合に、社債権者集会の開催が必要かどうか。

令和6年7月26日法務省民商第116号商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)

令和6年7月26日法務省民商第116号商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)

商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号。以下「改正省令」という。)が本年4月16日に公布され、同年10月1日から施行されることとなりましたが、これに伴う商業登記事務の取扱いについては、下記の点に留意するよう、貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

 なお、本通達中「規則」及び「提供規則」とあるのは、それぞれ改正省令にる改正後の商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)及び電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則(平成12年法務省令第28号)をいい、引用する条文は、全て改正後のものです。

第1 本通達の趣旨

本通達は、改正省令の施行に伴い、登記事項証明書等の記載事項に関する特例に係る改正等(規則第31条の3等)について、事務処理上の留意事項を明らかにしたものである。

第2 登記事項証明書等の記載事項に関する特例に係る改正

1 代表取締役等住所非表示措置の申出

(1) 代表取締役等住所非表示措置の対象

 株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」という。)は、登記の申請と併せて、当該登記により登記簿に記録すべき住所について、登記事項証明書又は登記事項要約書(以下「登記事項証明書等」という。)に、当該住所につき行政区画以外のものを記載しない措置(以下「代表取締役等住所非表示措置」という。)を講ずるよう申し出ることができるものとされた(規則第31条の3第1項前段)。

 なお、ここでいう「行政区画」とは、都道府県及び市区町村をいい、指定都市(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項に規定する指定都市をいう。)においては、同法第252条の20第1項に規定する区を含むものとする。

 また、代表取締役等住所非表示措置の対象となる会社は、株式会社(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)第3条第2項に規定する特例有限会社を除く。)であり、その他の会社並びに各種の法人、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合及び限定責任信託については対象外である(改正省令第2条から第7条まで)。

(2) 申出を行うことができる登記の申請

 代表取締役等住所非表示措置は、登記の申請と併せて申し出るものとされたところ、この対象となる株式会社の登記は、設立の登記、本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記、代表取締役若しくは代表執行役の就任若しくは住所変更による変更の登記、清算人の登記又は代表清算人の就任若しくは住所変更による変更の登記とされた(規則第31条の3第1項前段)。

 なお、代表取締役又は代表執行役の就任の登記には、重任の登記を含み、また、重任の登記や本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記であって、既に登記されている代表取締役又は代表執行役の住所から変更がない場合であっても、代表取締役等住所非表示措置の申出をすることができる。

(3) 申出の方法

 代表取締役等は、代表取締役等住所非表示措置の申出をする場合には、上記(2)の登記の申請書に代表取締役等住所非表示措置を講ずべき代表取締役等の氏名及び住所を記載するとともに、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第16項に規定する金融商品取引所(以下「金融商品取引所」という。)に上場されている株式を発行している株式会社(以下「上場会社」という。)であって、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられているものを除き、以下のとおり必要な書面を添付しなければならないものとされた(規則第31条の3第1項後段)。

 なお、上場会社であって、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられているものが、申出の時点において上場会社であることについては、登記記録等から登記の申請をした会社が公開会社であることを確認することをもって足りる。

ア 上場会社以外の株式会社であって、代表取締役等住所非表示措置が講じられていない場合(規則第31条の3第1項第1号)

(ア) 株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面(規則第31条の3第1項第1号イ)

 代表取締役等住所非表示措置の申出をする株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面として、当該申出と併せて行う登記の申請を受任した資格者代理人(登記の申請の代理を業として行うことができる代理人に限られる。)によって当該株式会社が本店の所在場所において実在することを確認した書面又は当該株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便若しくはこれに準ずるものとして法務大臣が定めるものにより送付されたことを証する書面の添付を要するものとされた。

 前者の書面には、別紙様式1の例により当該資格者代理人において当該株式会社の本店所在場所における実在性を確認した日時及び具体的な方法等を記載した当該資格者代理人の職印(当該資格者代理人が法人の場合は、当該法人が登記所に提出している印鑑)を押印した書面等が該当する。

 後者の書面を添付する場合には、配達証明書と併せて当該株式会社の商号及び本店所在場所が送付先として記載された郵便物受領証の添付を要し、当該配達証明書及び郵便物受領証に記載された当該株式会社の商号又は本店所在場所が登記記録と合致しない場合には、代表取締役等住所非表示措置を講ずることはできない。

(イ  代表取締役等の住所等を証する書面(規則第31条の3第1項第1号ロ)

 代表取締役等住所非表示措置の対象となる代表取締役等について、氏名及び住所が記載された市町村長その他の公務員が作成した証明書の添付を要するものとされた。

 この証明書には、住民票の写し若しくは住民票記載事項証明書、戸籍の附票の写し又は当該代表取締役等の氏名及び住所が記載された日本国領事が作成した証明書のほか、運転免許証や個人番号カード等の写しであって、当該代表取締役等が原本と相違ない旨記載し、記名したものが該当する。

 なお、これらの証明書が代表取締役等住所非表示措置の申出と併せて行う登記の申請書に添付されている場合には、当該申出のための改めての添付は要しないものとされているが、当該登記の申請で登記される代表取締役等の住所については、これらの証明書に記載されている住所と合致することを要する。

(ウ  株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面(規則第31条の3第1項第1号ハ)

 代表取締役等住所非表示措置の申出をする株式会社の実質的支配者の本人特定事項(以下単に「本人特定事項」という。)を証する書面の添付を要するものとされた。

 この書面として、当該申出と併せて行う登記の申請を受任した資格者代理人(司法書士又は司法書士法人に限られる。)が犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)第4条第1項の規定に基づき確認を行った本人特定事項の証明書が例示されているところ、同法第6条の規定に基づき作成及び保存される確認記録(同条第1項に規定する「確認記録」をいう。)の写しがこれに該当する。

 このほか、本人特定事項を証する書面には、本人特定事項についての当該株式会社の代表取締役等の供述を記載した書面であって当該申出と併せて行う登記の申請の日の属する年度又はその前年度において公証人法(明治41年法律第53号)第58条の2第1項の認証を受けたものや公証人法施行規則(昭和24年法務府令第9号)第13条の4第1項の規定に基づき申告した本人特定事項についての申告受理及び認証証明書(当該申出と併せて行う登記の申請が当該株式会社の設立の日の属する年度又はその翌年度に行われる場合に限る。)が該当する。

 なお、当該株式会社について、当該申出と併せて行う登記の申請の日の属する年度又はその前年度において、商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則(令和3年法務省告示第187号)第7条に規定する実質的支配者情報一覧の写しの交付又は同告示第2条の申出がされており、かつ、その旨が当該登記の申請書に記載されている場合には、本人特定事項を証する書面の添付は要しないものとされた。

イ 上場会社以外の株式会社であって、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている場合(規則第31条の3第1項第2号)

 既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている代表取締役等の住所の変更の登記や代表取締役等住所非表示措置の対象となる代表取締役等を追加する場合においては、上記ア(イの代表取締役等住所非表示措置の対象となる代表取締役等の住所等を証する書面の添付を要するが、その他の書面の添付は要しないものとされた。

 なお、これらの証明書が代表取締役等住所非表示措置の申出と併せて行う登記の申請書に添付されている場合には、当該申出のための改めての添付を要しないのは、上記ア(イなお書きと同様である。

ウ 上場会社であって、代表取締役等住所非表示措置を講じていない場合(規則第31条の3第1項第3号)

 代表取締役等住所非表示措置の申出をする株式会社について、金融商品取引所に当該株式会社の株式が上場されていることを認めるに足りる書面の添付を要するものとされた。

 この書面には、当該株式会社の上場に係る情報が掲載された金融商品取引所のホームページの写し等が該当する。なお、この書面の当該株式会社の代表取締役等による奥書等は不要である。

2 代表取締役等住所非表示措置の実施

 登記官は、代表取締役等住所非表示措置の申出があった場合において、当該申出が適当と認めるときは、代表取締役等住所非表示措置を講ずるものとされた(規則第31条の3第2項)。この場合の記録例は、別紙記録例によるものとする。

 なお、当該申出が規則第31条の3第1項に規定する要件を満たしていることをもって、当該申出が適当と認めて差し支えない。

 また、代表取締役等住所非表示措置が講じられた登記記録が閉鎖され、又は代表取締役等の登記事項が退任等により現に効力を有しないこととなった場合においても、代表取締役等住所非表示措置は終了させない。

3 代表取締役等住所非表示措置の継続

 代表取締役等住所非表示措置が講じられている株式会社の登記の申請があった場合において、代表取締役等住所非表示措置が講じられている代表取締役等の住所と同一のものを登記するときは、登記官は、当該代表取締役等の住所につき、引き続き代表取締役等住所非表示措置を講ずるものとされた(規則第31条の3第3項)。

 「同一のものを登記するとき」とは、本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記、重任又は再任の登記(いずれも当該代表取締役等の住所に変更がない場合に限る。)が該当し、この場合には、改めて代表取締役等住所非表示措置の申出をすることを要しない。

 他方で、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている代表取締役等であっても、当該代表取締役等の住所に変更がある登記の申請をする場合には、改めて代表取締役等住所非表示措置の申出が必要となる。

4 代表取締役等住所非表示措置の終了

 登記官は、以下の場合には、現に効力を有する登記事項(清算結了又は規則第81条第1項若しくは第117条第3項の規定により登記記録が閉鎖されている場合においては、当該閉鎖時に現に効力を有していた登記事項)について、代表取締役等住所非表示措置を終了させるものとされた(規則第31条の3第4項柱書き)。

(1) 代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出があった場合

 登記官は、代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社から、代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出があったときは、代表取締役等住所非表示措置を終了させるものとされた(規則第31条の3第4項第1号。申出書の様式については別紙様式2のとおり。)。

 この場合において、代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出をする株式会社は、申出書に代表取締役等住所非表示措置を希望しない代表取締役等の氏名及び住所を記載するとともに、申出書又は委任による代理人の権限を証する書面に当該株式会社が登記所に提出している印鑑を押印しなければならないものとされた(規則第31条の3第5項)。

 なお、代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出については、登記の申請と併せてすることを要しない。

(2) 株式会社の本店所在場所における実在性が認められない場合

 登記官は、代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社について、その本店が登記上の所在場所において実在すると認められないときは、当該株式会社の登記記録が清算結了等により閉鎖されている場合を除き、代表取締役等住所非表示措置を終了させるものとされた(規則第31条の3第4項第2号)。

 登記官が当該株式会社の本店が登記上の所在場所に実在すると認められないときと判断するに当たっては、第三者から当該株式会社を受取人とした郵便物が宛所不明により不達となったことを明らかにする書面(以下「不達となったことを明らかにする書面」という。)を添付した上で当該株式会社がその本店所在場所において実在しない旨の情報提供が登記官に対してあったことなどが端緒となる。この場合において、当該情報提供につき事実であることの蓋然性が高いものと登記官が判断したときには、規則第31条の3第6項の規定に基づき、登記官は、当該株式会社に対し別紙様式3による通知を転送不要郵便で送付するものとし、一定の期間内に返送等がないことをもって、当該株式会社の本店が登記上の所在場所において実在しないことを確認するものとする。

 なお、弁護士又は司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第2項に規定する司法書士(以下「弁護士等」という。)から、当該弁護士等の資格を証する書面の提示又は当該弁護士の職印につき当該弁護士が所属する弁護士会が作成した証明書の提出と併せて、当該株式会社がその本店所在場所において実在しないため代表取締役等住所非表示措置を終了すべき旨を記載した当該弁護士等の職印が押印された上申書及び不達となったことを明らかにする書面が提出された場合には、別紙様式3による通知をすることなく、代表取締役等住所非表示措置を終了して差し支えない。この場合において、弁護士等の資格を証する書面及び不達となったことを明らかにする書面については、当該弁護士等が原本と相違がない旨を記載した写しの提出であっても差し支えない。また、弁護士等の資格を証する書面について原本が提示された場合には、登記官は、当該弁護士等の了解を得て、これらの書面の写しを作成し保存するものとする。

 このほか、別紙様式3による通知、会社法(平成17年法律第86号)第472条第2項に基づく通知その他の登記所から株式会社に対して発出した通知等が宛所不明により不達となった場合においても、別紙様式3に記載された期間を待つことなく、又は別紙様式3による通知をすることなく、代表取締役等住所非表示措置を終了して差し支えない。

(3) 上場会社でなくなったと認められる場合

 登記官は、上場会社として代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社が上場会社でなくなったと認められるときは、代表取締役等住所非表示措置を終了させるものとされた(規則第31条の3第4項第2号)。

 ここでいう「上場会社でなくなったと認められるとき」とは、株式譲渡制限の定款の定めの設定による変更の登記が申請されたとき等が該当する。

 なお、この場合において、同時に上記1(2)の登記の申請がされ、これと併せて規則第31条の3第1項第1号に規定する書面を添付した上で代表取締役等住所非表示措置の申出があったときは、代表取締役等住所非表示措置を終了させることなく、引き続き代表取締役等住所非表示措置を講じるものとする。

(4) 閉鎖された登記記録について復活すべき事由があると認められる場合

 登記官は、代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社の閉鎖された登記記録について復活すべき事由があると認められるときは、代表取締役等住所非表示措置を終了させるものとされた(規則第31条の3第4項第3号)。

 ここでいう「閉鎖された登記記録について復活すべき事由があると認められるとき」とは、第三者から当該株式会社を所有権の登記名義人とする不動産の登記事項証明書等を添付した上で当該株式会社の清算が未了である旨の情報提供が登記官に対してあった場合などが該当する。

5 登記官による調査

 登記官は、上記2から4までに掲げる措置を講ずるに当たって必要があると認めるときは、これらの措置の対象となる株式会社の代表取締役等に対して必要な情報提供等を求めることができるものとされた(規則第31条の3第6項)。

6 オンラインによる申出

 上記1及び4(1)の申出は、オンラインによる登記の申請と同時に行う場合に限り、オンラインにより行うことができるものとされた(規則第101条第1項第1号の2)。

7 書類の保存

 代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出に関する書類(添付書面を含む。)については、住所非表示措置申出等書類つづり込み帳につづり込むものとされた(規則第34条第3項第7号の2)。

 なお、代表取締役等住所非表示措置の申出は、上記1のとおり登記の申請と同時に行うこととされたため、その添付書面については当該登記の申請書と併せて申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。

 また、規則第31条の3第1項第1号ハただし書に基づき本人特定事項を証する書面の添付が省略された場合には、登記官は、登記所に保管されている当該申出をした株式会社の実質的支配者情報一覧の写しを作成の上、併せて申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。

8 登記簿の附属書類の取扱い

 代表取締役等住所非表示措置の申出の旨が記載された登記の申請書及びその添付書面等の代表取締役等住所非表示措置の対象となる代表取締役等の住所が記載されている登記簿の附属書類について、利害関係を有する者から閲覧の請求があった場合の対応については従前のとおりであり、当該住所が記載されている部分を塗抹するなどの特段の対応は要しない。

9 その他

(1) 登記義務について

 代表取締役等住所非表示措置は登記事項証明書の記載事項に関する特例であるため、代表取締役等住所非表示措置が講じられたことをもって、会社法第915条第1項に規定する登記の義務を免れるものではない。

(2) 官公署への対応について

 代表取締役等住所非表示措置の対象である代表取締役等の住所に係る情報につき、官公署(官公署から嘱託を受けた者を含む。)から請求等があった場合には、当該情報を提供して差し支えない。

第3 電気通信回線を使用して提供することに適しない情報に係る改正商業登記簿に記録されている登記情報のうち、規則第31条の3第2項の規定により代表取締役等住所非表示措置が講じられることとなるものについて、電気通信回線を使用して提供することに適しない情報とされた(提供規則第1条の2第1項第2号の2)。

1 商業登記規則第31条の3第1項の申出があった場合

(1) 設立の登記と同時の申出

役員に関する事項東京都千代田区

代表取締役法務太郎

(2) 本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記と同時の申出

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

(3) 就任の登記と同時の申出

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

(4) 住所変更を伴わない重任の登記と同時の申出

役員に関する事項東京都千代田区霞が関一丁目1番1号

代表取締役法務太郎

東京都千代田区令和6年10月1日重任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

(5) 住所変更を伴う重任の登記と同時の申出

役員に関する事項東京都千代田区霞が関一丁目1番1号

代表取締役法務太郎

東京都港区令和6年10月1日重任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

(6) 住所移転の登記と同時の申出

役員に関する事項東京都千代田区霞が関一丁目1番1号

代表取締役法務太郎

横浜市中区令和6年10月1日住所

代表取締役法務太郎移転

令和6年10月4日登記

20240919追加 Q&A

Q 住所非表示措置が講じられた場合、既登記の代表取締役等の住所の登記はどのように表示されるか?

A あくまで今後登記をする代表取締役等の住所が対象であり、既登記の代表取締役等の住所については非表示とならず、従来どおりの表示が維持されます。

Q 住所非表示措置の申出はいつでもすることができるのか?

A  次のいずれかの株式会社の登記申請と併せて申出をしなければなりません。

・設立登記

・管轄外へ本店移転する場合の新本店の登記

・代表取締役等の就任(重任含む)登記

・代表取締役等の住所移転等による変更登記

Q 住所非表示措置が講じられた会社が自らの登記事項証明書等の交付請求を行う場合、住所の全部を表示することができるか?

A 会社自らが登記事項証明書等の交付請求をする場合であっても、住所非表示措置が講じられた代表取締役等の住所の全部を登記事項証明書等に表示することはできません。また、当該交付請求をするときに限り当該措置を解除することもできません。

(1) Application at the same time as the registration of establishment

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Representative Director Taro Houmu

(2) Application at the same time as the registration at the new location when the head office is relocated to an area under the authority of another registration office

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

(3) Application at the same time as the registration of appointment

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

(4) Application at the same time as the registration of reappointment without address change

Matters related to officers.

1-1-1 Kasumigaseki, Chiyoda-ku, Tokyo

Representative Director Taro Houmu

Reappointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

(5) Application at the same time as the registration of reappointment with address change

Matters related to officers.

1-1-1 Kasumigaseki, Chiyoda-ku, Tokyo

Representative Director Taro Houmu

Reappointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

(6) Application at the same time as the registration of address relocation

Matters related to officers.

1-1-1 Kasumigaseki, Chiyoda-ku, Tokyo

Representative Director Taro Houmu

Moved to Naka-ku, Yokohama on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

別紙記録例

2 商業登記規則第31条の3第2項の措置を講じた後、申出と併せて登記の申請がされた場合

(1) 同一行政区画内での住所移転の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都千代田区令和6年11月1日住所

代表取締役法務太郎移転

令和6年11月8日登記

(2) 他の行政区画への住所移転の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都港区令和6年11月1日住所

代表取締役法務太郎移転

令和6年11月8日登記

(3) 住所変更を伴わない重任の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都千代田区令和8年10月1日重任

代表取締役法務太郎

令和8年10月7日登記

(4) 住所変更を伴う重任の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都港区令和8年10月1日重任

代表取締役法務太郎

令和8年10月7日登記

(1) Registration of address relocation within the same administrative district

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

Chiyoda-ku, Tokyo

Moved on November 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on November 8, 2024

(2) Registration of address relocation to another administrative district

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

Minato-ku, Tokyo

Moved on November 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on November 8, 2024

(3) Registration of reappointment without address change

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

Chiyoda-ku, Tokyo

Reappointed on October 1, 2026

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 7, 2026

(4) Registration of reappointment with address change

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

Minato-ku, Tokyo

Reappointed on October 1, 2026

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 7, 2026

3 商業登記規則第31条の3第2項の措置を講じた後、登記の申請のみがされた場合

(1) 同一行政区画内での住所移転の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

(1) Registration of address relocation within the same administrative district

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

別紙記録例

東京都千代田区霞が関一丁目1番1号令和6年11月1日住所

代表取締役法務太郎移転

令和6年11月8日登記

(2) 他の行政区画への住所移転の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都港区東麻布二丁目11番11号令和6年11月1日住所

代表取締役法務太郎移転

令和6年11月8日登記

(3) 住所変更を伴わない重任の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都千代田区令和8年10月1日重任

代表取締役法務太郎

令和8年10月7日登記

(1) Registration of address relocation within the same administrative district

1-1-1 Kasumigaseki, Chiyoda-ku, Tokyo

Moved on November 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on November 8, 2024

(2) Registration of address relocation to another administrative district

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

2-11-11 Higashi-Azabu, Minato-ku, Tokyo

Moved on November 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on November 8, 2024

(3) Registration of reappointment without address change

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

Chiyoda-ku, Tokyo

Reappointed on October 1, 2026

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 7, 2026

※住所変更を伴わない場合は、申出がない場合であっても、引き続き代表取締役等住所非表示措置を講ずる(規則第31条の3第3項)。

(4) 住所変更を伴う重任の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都港区東麻布二丁目11番11号令和8年10月1日重任

代表取締役法務太郎

令和8年10月7日登記

(5) 辞任の登記

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

令和7年10月1日辞任

令和7年10月7日登記

4 商業登記規則第31条の3第4項の措置を講じた場合

役員に関する事項東京都千代田区令和6年10月1日就任

代表取締役法務太郎

令和6年10月4日登記

東京都千代田区霞が関一丁目1番1号令和7年10月1日住所

代表取締役法務太郎非表示終了

令和7年10月1日登記

(4) Registration of reappointment with address change

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

2-11-11 Higashi-Azabu, Minato-ku, Tokyo

Reappointed on October 1, 2026

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 7, 2026

(5) Registration of resignation

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

Resigned on October 1, 2025

Registered on October 7, 2025

Measures taken under Article 31-3, Paragraph 4 of the Commercial Registration Regulations

Matters related to officers.

Chiyoda-ku, Tokyo

Appointed on October 1, 2024

Representative Director Taro Houmu

Registered on October 4, 2024

1-1-1 Kasumigaseki, Chiyoda-ku, Tokyo

Address as of October 1, 2025

Representative Director Taro Houmu, non-disclosure terminated.

Registered on October 1, 2025

別紙様式1

本店の実在性を確認したことを証する書面

年月日

当職は、本件登記申請の代理人として、以下のとおり、申請に係る株式会社が登記上の本店所在場所に実在することを確認したことから、その旨を証明する。

〒-

住所

氏名又は名称[印]

1 本店

2 商号

3 代表取締役等住所非表示措置の対象者

資格:

住所:

氏名:

4 本店実在性の確認の日時・方法

日時: 年月日

方法:□現認□郵送□その他( )

5 本店実在性の具体的確認方法

別紙様式2

代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出書

申出年月日 年 月 日

商号

本店

申出人の表示

住所

資格

氏名 印(注1)

連絡先 - -

代理人の表示

(注2)

住所

氏名

連絡先 - -

代表取締役等住所

非表示措置を希望しない代表取締役等の氏名等

住所

資格

氏名

(申出会社の本店所在地を管轄する登記所) (地方)法務局 宛て

(注1)申出をする株式会社の代表取締役等が登記所に提出している印鑑を押印してください。なお、代理人によって申出をする場合、申出書への押印は不要です。

(注2)代理人によって申出をする場合、代理人の権限を証する書面に、申出をする株式会社の代表取締役等が登記所に提出している印鑑を押印してください。

別紙様式3_

日記第  号

年月日

株式会社○○○○

代表取締役○○ ○○ 殿

○○市○○町○丁目○番○号

○○(地方)法務局法人登記部門

貴社について、本店の所在場所における実在性につき疑義がありますので、商業登記規則第31条の3第6項の規定に基づき、お尋ねします。

現在においても登記上の本店の所在場所において貴社が実在する場合は、下記回答欄に商号及び代表者氏名を記載するとともに、登記所に提出している印鑑を押印の上、○年○月○日までに、登記所に持参し、又は返送してください。

なお、期限までに回答がない場合は、商業登記規則第31条の3第4項第2号の規定に基づき、代表取締役等住所非表示措置を終了します。

登記上の本店の所在場所に実在することにつき間違いありません。

登記所に提出した印鑑の押印欄

回答欄

商号

本店

代表者氏名

※(注意)

なお、この書面の内容に不明な点がありましたら、直ちに、上記の登記所に連絡してください。

連絡先電話番号○○-○○○○-○○○○

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第10章

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。  

  • 第10章 民事信託の実務論点

Q669、受益権証書と受益証券について。受益権証書と受益証券の違いについての解説がなされています。信託法185条は、受益証券を発行する場合のみ、信託行為に定めるとしており、受益証券を発行しない旨の信託条項は、不要だと考えます。信託法に規定のない受益権証書についても、同じ考え方になると考えます。

Q676、受益者等が存しなくなってしまった信託と税務リスクについて、受益者連続型信託において、信託期中、個人である受益者、指定していた次の受益者も想定外に死亡、その次の順位に指定した受益者は出生していないなどの事情で、信託の終了事由に該当しない場合には、受託者が法人とみなされ、死亡した受益者から受託者に対する信託財産の遺贈とみなされ、課税リスクが生じる。について・・・信託の終了事由をどのように定めているのか、気になりました。また、目的不達成により終了させることも可能だと思います(信託法165条)。

Q677、跡継ぎ遺贈型の受益者連続信託(信託法91条)の期間経過の都度、信託を再設定すれば事実上永久信託も可能という士業者もいるが、信託法の潜脱とならないか注意したい。について・・・経験はありませんが、委託者・受託者が個人であれば、信託を再設定する場合は委託者・受託者ともに異なる人物である可能性が高く、信託法の潜脱には当たらないと考えます。よって、もし私に依頼が来た場合は、原則として受任すると思います。

Q678、連続受益権に対する差押え、中間の連続受益者は、連続受益権の処分を禁止されるのが一般だ。の記載について・・・連続受益権の処分が禁止されるのが一般というのが実務であるということを、初めて知りました。後順位受益者を予備的に定めている場合は、禁止されないのではないかと思いましたが、一般的に禁止される実務が浸透している理由は、信託の目的で明確に定めている場合を除いて、何なのだろうと思いました。

 受託者の承諾を得て処分できるとする民事信託契約書もあるが、受託者が許諾した場合、その後の連続はどうなるか(許可の基準は何か)。について・・・受託者の許諾の基準とその後の連続については、受益権の処分(譲渡)に関する契約書と信託契約書の整合性によると考えます。

 中間の連続受益権への差押えや連続受益者の破産開始決定申立てによる連続受益権の破産財団化の場合は、どうなるのか。事実上、中間の連続受益者の信用力が信託に混入しないか。について・・・中間の受益者の連続受益権に差押えが行われることによって、中間の連続受益者の信用力が信託に混入する理由が分かりませんでした。差押えが禁止・制限される債権など、原則として民事執行法の債権執行(民事執行法143条~。)の規定に従うと考えます。

 受益権の譲渡禁止・制限の定めがある場合はどうなるのか、について・・・受益権の譲渡禁止・制限の定めは、信託関係者内部の定めであり、信託債権者には及ばないと考えます(信託法93条)。

Q681、受益者連続と遺留分、第二次受益者や第三次受益者が、委託者の地位を承継している場合はどうなるか。について・・・委託者の地位を承継しているか否かに関係なく、受益者に相続が開始した場合に遺留分権者がいるときには、遺留分が生じると考えます(民法1042条~)。

Q683、複層化信託と税務リスク、節税目的の信託の組成それ自体が租税回避行為と評価されるリスクはないだろうか注意したい。について・・・私は信託の期間が分からないこと、信託財産の価額評価が変わり得ること、税務通達が変更し得ることが、複層化信託を利用するリスクだと考えていて、利用したことがありません。信託の組成それ自体が租税回避行為と評価されるとすると、相続税法基本通達9の3-1は、どのような場合に利用されることを想定しているのか、気になりました。

Q685、受益者連続における登記実行処分の確実性、祖父が、孫の代まで資産や事業の承継関係を拘束してしまってよいのか、という論点もある。について・・・孫(第2次受益者以降の順位の受益者)は受益権の放棄が出来るので(信託法99条)、問題はないと思います。

Q688、帰属権利者の決定と遺産分割協議という論点(その2)、について、帰属権利者の指定や変更を、信託の変更によって行うという学説(能見善久=道垣内弘人『信託法セミナー4』2016年、有斐閣、P111~。)に同意です。

Q690、受益者間の遺産分割協議という論点、遺産分割協議が成立しない、という可能性はあり得ることだと思います。成立しない場合は、通常の相続と同じく、遺産分割調停などの家事手続に載せて処理することになると考えます。

Q695、信託監督人の普及の遅れ、野球において、選手経験のない監督は存在しないし、いても役に立たない。について・・・野球に関する規則の中に、監督就任の要件に選手経験が必要とされる記載は、見つけることが出来ませんでした。いても役に立たないのか、選手・野球未経験で甲子園に出場した監督はいます。インターネット上で調べていただきたいと思います。

Q697、後見人の権限行使不可条項、受益者に対しては制限せず、後見人についてだけ、その代理行為を禁止するという信託条項は、そのままの規定通り、実効性があるのだろうか。について・・・受益者と後見人の権限が重複するよりは、先に委託者の意思が入っている信託の安定性を重視して権限を分けるのは、悪いことなのか、分かりませんでした。私は権限を分ける条項を利用しますが、後見人の法定代理権を、信託行為で不可に出来ると考えているわけではなく、信託行為時の委託者の意思として記載しています。受託者と後見人が対立関係に至るかどうかは、受託者による趣旨説明と個人差がある後見人の理解度によると考えます。Q698の、万が一法定後見人が選任される事態に至ることも想定して、どこまで信託に関する権利を委ねるかをよく考えて、信託行為の定め(信託契約書の信託条項)を検討すべきという指摘がある。という他の書籍の引用をしていることとの整合性が分かりませんでした。

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