信託契約1個につき、受益権は1個?

宮田浩志司法書士と河合保弘司法書士が、2018年の講座で言っていました。紙では残っていません。

「受益権は、お皿の上にお菓子がいくつか載っているようなもので、信託契約1個につき、受益権は1個。」

何が言いたいのかというと、書籍などに受益権の割合は、配偶者が2分の1とか長男が3分の1に指定するような書式例があるので、その否定だと思います。

その後、こう言っていました。

「あえて書くとしたら、扶養の範囲内(民法877条など。)。」

聞いていて、なぜ信託契約1つにつき、受益権が1個なのか聞きたかったのですが、良く分からない答えが返ってきそうで止めました。

私は、受益権を割合で分けることについては、少し疑問で機能しないのではないかと思っていて、実際に利用したことはありません。

信託財産がお金だけなら、ある程度割合で決めることが出来るかもしれません。

また共有の不動産1筆について、信託契約前と同じ割合の受益権を定めることも可能だと考えます。

ただし、収益不動産が複数入ってくると、会社の株式が入ってくると、信託財産責任負担債務が入ってくると、と考えるとややこしくて2分の1ずつの均等なら何とかなるのかもしれませんが、3分の1ずつなどは計算が出来ないんじゃないか、と思います(実際に計算方法が分かる方がいらっしゃったら、教えてください)。

信託契約1個について、受益権を複数にする必要がある場合は信託契約で100個とか1000個とか、複数にするときの単位を決めておけば良いと思うのです。

他に考えられる方法は、A不動産の受益権、B不動産の受益権など信託財産ごとに受益権を特定しておく方法。

他には、どんな方法があるでしょう。

受益権が共有になると、受益者代理人が就任していない限り、信託する意味が少し薄れていくのではないかと思います。

法人の目的 信託業法に抵触しない信託の引き受け

一般社団法人の設立の際、依頼者と「将来民事信託の受託者になり得るかもしれないですね。」と定款の目的欄に主要な事業に追加して「信託の引き受け」を記載しました。

那覇公証センターに定款案を提出したところ、「信託の引き受け」を「信託業法に抵触しない信託の引き受け」に訂正の指示があり、直ぐに訂正しました。

「信託業法に抵触しない信託の引き受け」は、あらゆる書籍で観ることができます[1]

ただし、その理由については家族信託・民事信託であること、信託業法に抵触しないことを強調する、という目的に書いてある通りの理由しか今のところ聞いたことがありません(他にあれば教えてください。)。

その他に、法人の目的で「~業法に抵触しない○○」という記載の仕方はあるのでしょうか。

例えば、建設業法に抵触しない建設、宅地建物取引業法に抵触しない宅地建物取引。

私は未だ見たことがありません。

まず基本法としての信託法があり、特別法として信託業法があります。受託者においても、信託法第7条の資格要件を満たした者は、個人・法人を問わず受託者となることが出来るのが原則です。例え法人の目的に記載が無くても。

沖縄県内の現在の金融機関は、法人の目的に信託の引き受け、不動産の管理、等が入っていないと信託口口座を作成出来ません。

 例外として、仕事(業、営業、業務)として信託の引き受けを行う場合は、免許が必要国が定めた免許が必要になる、という形です。

このような考えを辿ると、家族信託・民事信託では、「信託の引き受け」の方がまともだと以前から思っているのですが。

「信託業」が×なのは、特別法があるから分かります(少し宅地建物取引業法の場合に似ています。)。

受託者の営利を目的としないのが信託法なのだから、同じことを2回書いているようで変な感じです。

でも公証センターから指摘されたら訂正します。


[1] 遠藤英嗣「新訂新しい家族信託」2016P593など。

信託口口座開設(拒否)

信託公正証書作成日の前日、信託口口座を開設予定の金融機関から口座開設を拒否されました。

初めてのことだったので、驚きというか疑問というか、こんな事もあり得るんだという貴重な経験でした。

民事信託・家族信託専用の信託口口座を作成する際、一般的に次の手順を踏みます。
1   信託契約(設定)書(案)を公証人役場へ送信して、公正証書作成日の予約を取る。
2   信託契約(設定)書(案)の内容がほぼ確定してきたら、公正証書作成予定日の2週間~1カ月前に口座を開設する予定の金融機関に信託契約(設定)書(案)を送信して、金融機関にとって不都合なことがないか調整を行う。
公正証書作成予定日を記載して、予定日までに調整が終わるようにする。
3   公正証書作成後、金融機関の窓口で口座開設の手続きを行う。

今回の信託は、次のようなものです。[1]

 1   自己信託(委託者兼受託者は父親、受益者は子)
 2   目的は暦年贈与(自己信託を設定し、信託口口座を利用して暦年贈与を行う。申告は毎年するが、贈与契約書の作成が不要となる。)

金融機関の支店担当者から本店からの指示として、口座開設拒否の理由をききました。
(1)当行の家族信託では、事業承継と認知症対策のみ対応している。
(2)当行をメインバンクとしているお客様のみ対応している

2つの条件を満たさない限り、口座開設は不可能という説明でした。

反論しても覆ることはないので諦めましたが、私に説明した支店の担当者も説明していて理屈が合わないと感じたのではないでしょうか。

もし何も感じていなかったら、金融機関って独特な世界だなと思います。

  • (1)については、今回の信託も認知症対策であること。受託者が認知症などになった場合は、母を次の受託者に指定しています。
  • (2)については、新規の顧客は不要という金融機関は聞いたことがない。

自己信託についても、同じ金融機関で担保付不動産を自己信託設定し、信託口口座を作成していました。

金融機関からの連絡後、公証人役場の予定キャンセル、依頼者への説明などを行いました。


[1] 参考として、『実践 一般社団法人・信託活用ハンドブック』2019清文社P182~

出資金領収書

出資金領収書

收到資金

Investment receipt

社員 ○○市○○区○○巷○○弄○○號 ○○有限公司 御中

The Employee ○ ○ City ○ ○ Ward ○○ Street○○Togi 3 No. ○ ○ Co., Ltd.

下記金額の全額を領収しました。

我收到了以下金額的全部金額。

I received the full amount of the following amount.

金10,000,000円

10,000,000日圓

10,000,000 yen

○○年○○月○○日

○○ year ○○ month ○○ day

○○合同会社

○○有限公司

代表社員 ○○市○○区○○巷○○弄○○號 ○○有限公司 

【代表者 氏名】(      )印 

The representative name. (The signature.)

代表人姓名 (       )印

公証センターへのアンケート調査と回答

那覇公証センター・沖縄公証人役場 担当者様

一般財団法人司法協会 平成30年度研究助成事業

アンケート調査へのご協力依頼

2019年2月8日

〒903-0114沖縄県中頭郡西原町字桃原85番地

       (責任者)司法書士 宮城直(みやぎ すなお)

TEL(098)945-9268

FAX(098)963-9775

shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

この度、一般財団法人司法協会の助成を受けて研究事業を行うことになりました。つきましては、アンケート調査にご協力願いたいと思います。ご多忙のところ恐れ入りますが、3月8日までに、返送をお願い致します。

1 研究課題
・沖縄県内における民事信託・家族信託活用の実態把握及び普及推進のための仮説検証  
2、研究目的
・沖縄県における民事信託・家族信託の利用件数を、一定の限度はあるが把握すること。
・実態を把握したうえで今後の普及推進の方法及び課題の考察。  

1、民事信託・家族信託の公正証書作成件数

平成28年(  )件 平成29年(  )件 平成30年(  )件

2-1、1の内訳

  信託契約 遺言信託 自己信託
平成28年 
平成29年
平成30年

2-2、委託者(設定者)の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和34年~昭和43年
昭和14年~昭和23年 昭和44年以降
昭和24年~昭和33年    

2-3、受託者(設定者)の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和44年~昭和53年
昭和14年~昭和23年 昭和54年~平成2年
昭和24年~昭和33年 平成2年以降
昭和34年~昭和43年    

2-4、信託財産の種類(平成28、29、30年の合計。)

(一つの信託に複数ある場合、全ての財産をカウント。)

金銭 その他(         )   件  
不動産
株式
持分

3、民事信託・家族信託に関する公正証書を作成するにあたり、課題がある。

□はい(複数回答可)

 □書式の不統一 

□依頼を受けている専門家の力量不足 

□委託者(設定者)の判断能力

 □総合的に紛争性、違法性のある信託案件が持ち込まれる。

 □その他(                   )

□いいえ

4、民事信託・家族信託公正証書の作成依頼を受けてから作成までに要する期間

(現在のおおよその平均期間)

(    )か月

5、民事信託・家族信託の公正証書作成依頼を受けたが、作成に至らなかった件数

平成28年(  )件 平成29年( )件 平成30年(    )件

6-1、任意後見契約の公正証書作成件数

平成28年(  )件 平成29年(  )件 平成30年(  )件

6-2、委任者の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和34年~昭和43年
昭和14年~昭和23年 昭和44年以降
昭和24年~昭和33年    

6-3、受任者の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和44年~昭和53年
昭和14年~昭和23年 昭和54年~平成2年
昭和24年~昭和33年 平成2年以降
昭和34年~昭和43年    

7、公正証書遺言の作成件数

平成28年(  )件 平成29年(  )件 平成30年(  )件

7-1、遺言者の出生年

昭和14年以前 昭和34年~昭和43年
昭和14年~昭和23年 昭和44年以降
昭和24年~昭和33年    

以上、ご協力ありがとうございました。

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