自己信託の受託者と、委託者兼当初受益者兼指図権者の違い

1、代理権を制限する方法

□1   本信託における受益者代理人は、次の各号に掲げる代理権を有しない。

□(1)本信託の変更権のうち、受益者代理人の代理権、□【信託の目的、残余財産の帰属権利者、信託の変更方法】を変更する権利。

□(2)別紙信託財産目録□【1・2・3】を売却に関する同意権。

 

 

2、代理権を限定する方法

□2   本信託における受益者代理人は、次の各号に掲げる代理権のみを有する。

□(1)受益者が受ける□【医療、入院、介護その他の福祉サービス利用に必要な

費用の給付・生活費の給付・教育資金】を受託者へ請求する権利。

□(2)別紙信託財産目録□【1・2・3】を売却する権利。

□(3)本信託の終了に関する合意権。

□(4)信託法92条1項各号の権利。

 

 

 

 

 

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チェック方式の民事信託契約書の評価

(一社)家族信託普及協会代表理事で司法書士の宮田浩志先生にチェック方式の民事信託契約書を基にした契約書(案)の評価を頂きました。

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ご参考までに本契約書の出典元はどこでしょうか?
商事信託をベースにしているようですが・・・。


補足:前文の「・・・を理由として」にかかる部分
委託者の高齢による物忘れが目立ち始めたこと、受託者の財産管理を事実に合わせることを理由として信託を利用する。
◆前文:
「・・・を理由として」という表現がしっくりきませんが・・・。

補足:受託者が個人である件で、受託者の任務終了事由に「(4)受託者が法人の場合、合併による場合を除いて解散したとき。」の条項について
◆第3条第2項第4号:
受託者を法人にしないのであれば、この条項は要らないでしょう。

補足:(受託者)第3条第2項第5号 受託者の任務は、次の場合に終了する。(6)受益者と各受託者が合意したとき。
◆第3条第2項第5号:
「受益者と各受託者が合意したとき」
の「各」は要りますか?


補足:(受託者)第3条第2項第6号 受託者の任務は、次の場合に終了する。
(6)受託者が唯一の受益者となったとき。ただし、1年以内にその状態を変更
したときを除く。
◆第3条第2項第6号「受託者が唯一の受益者となったとき」に受託者の任務が終了してしまいますので、1年以内に状態の変更をする余地はなくなります。


補足:「・・・権利義務について同意することができる。」の本文。第二次以降の受益者に関する条項。「4 受益権を原始取得した者は、委託者から移転を受けた権利義務について同意することができる。」
◆第4条第4項:
「・・・権利義務について同意することができる。」とは、どのようなことを想定しておりますか?

補足:「1年以内」の本文。第二次以降の受益者に関する条項。「6 受益者に指定された者が、指定を知ったとき又は受託者が通知を発してから1年以内に受益権を放棄しない場合には、受益権を原始取得したとみなす。」
◆第4条第6項:
「1年以内」とありますが、受益権の放棄は遡及効がありますので、もっと検討期間は短い方がいい気がしますが・・・。

補足:第4条第7項「7【委託者】は、【受託者】が受益権を取得することを承認する。」
◆第4条第7項:
本項は必要ないと考えます。

補足:第5条第1項〜4項「第5条(受益権)1次のものは、元本とする。
(1)信託不動産。(2)信託金銭。(3)上記各号に準ずる資産。
2 次のものは、収益とする。
(1)信託元本から発生した利益。
3 元本又は収益のいずれか不明なものは,受託者がこれを判断する。
4 受益者は、信託財産から経済的利益を受けることができる。」
◆第5条第1項〜4項:
必要ないと考えます。

補足:第6条2項(受益者代理人など)
2 受益者代理人および信託監督人の変更に伴う権利義務の承継等は、その職務に
抵触しない限り、本信託の受託者と同様とする。
◆第6条2項:
本条第2項は、どのような趣旨でしょうか?

補足:第7条2項(委託者の地位)2 委託者が遺言によって受益者指定権を行使した場合、受託者がそのことを知らずに信託事務を行ったときは、新たに指定された受益者に対して責任を負わない。
◆第7条第2項:
不要でしょう。

補足:第8条1項「1 受託者は、信託不動産について次の信託事務を行う。
(1)所有権の移転登記と信託登記の申請
(2)信託不動産の性質を変えない修繕・改良行為
(3)信託目的の達成のために必要があるときは、受益者の承諾を得て金銭を借入れることができる。
(4) 受託者は、受益者の承諾を得て信託財産に(根)抵当権、質権その他の担保権、用益権を(追加)設定し、登記申請を行うことができる。
(5) 受託者がその裁量により行う次の事務
  ア 損害保険の契約締結又は付保
  イ リフォーム契約
  ウ 第3者への委託
  エ 境界の確定、分筆、合筆
  オ その他の管理、運用、換価(売却)、解体などの処分」
◆第8条第1項:
賃貸権限は盛り込みませんか?
「・・・ができる」という表現と体言止めの条項が混在しているので統一感が無いように感じます。

補足;第10条(受託者)
1 受託者は、次の者とする。
住所 氏名 生年月日 委託者との関係 
2 受託者の任務が終了した場合、後任の受託者は、次の者とする。
住所 氏名 生年月日 委託者との関係 
◆第10条:
受託者の任務終了事由は、敢えて盛り込みませんか?

補足:(信託の期間)第15条 本信託の期間は、本信託契約をした日から本信託が終了した日までとする。
◆第15条:
当たり前ですので、置かなくても良いでしょう。


◆第20条:
「●●が死んだとき」に信託が終了するとありますが、
信託終了時の受益者に帰属させる規定だけで整合性が取れますか?

補足:第21条2項(受益者の代理人等)
第21条
2 受益者に民法上の成年後見人、保佐人、補助人または任意後見人が就任して   いる場合、その者は受益者の権利のうち次の代理権および同意権を有しない。
 ただし、任意後見人、保佐人および補助人においては、その代理権目録、代理行為目録および同意行為目録に記載がある場合を除く。
(1)受託者の辞任申し出に対する同意権。
(2)受託者の任務終了に関する合意権。
(3)後任受託者の指定権。
(4)受益権の譲渡、質入れ、担保設定その他の処分を行う場合に、受託者に同   意を求める権利。
(5)受益権の分割、併合および消滅を行う場合の受託者への通知権。
(6)受託者が、信託目的の達成のために必要な金銭の借入れを行う場合の承諾    権。
(7)受託者が、信託不動産に(根)抵当権、その他の担保権、用益権を(追加)設定する際の承諾権。
(8)本信託の変更に関する合意権。
(9)残余財産の帰属権利者が行う、清算受託者の最終計算に対する承諾権
(10)本信託の終了に関する合意権。
3 信託監督人が就任している場合、受益者の意思表示に当たっては事前に信託監督人との協議を要する。
◆第21条第2項:
これはどこの出典ですか?
この条項を入れても、本当に必要な事態になれば、後見人は信託に関わることは理論上できると思いますが。この条項で排除できるという解釈が成り立ちますか?



もっと全体をきちんと精査してからリーガルチェックのお申込みをして下さい。
まだチェックをする段階にない契約書レベルです。
また、余分な条項が散見されます。
各条項を置く意味をきちんとお客様や専門職に説明できるようにして下さい。
置く意味の説明ができないものは、置く必要が無いことも多いでしょう。
もっと設計や契約書は、シンプルに分かりやすくできると思います。

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というような評価でした。0点ですね。
商事信託の契約書を見せていただければ、確かに似ているな、いや違う、と判断できるのですが。

第3条第2項第6号の指摘については誤りです。受託者が唯一の受益者となったときに受託者の任務が終了という法令の規定はありません。設定時(信託法2条2項かっこ書き)や信託法163条1項2号と混合しているのでしょうか。
それとも後任受託者に代わるからでしょうか。受益者を複数にすることも可能なのでこの想定をすることも出来ません。

第20条については改善の余地があると私も思っているのですが、少し考えてみます。

他は根拠が示されていないこと、建設的でない反論に関しては、議論しないようにしていることを理由としてそのままにしておきます。

出典はどこかにあれば教えていただきたいと思います。

受益者代理人の代理権

 受益者代理人の代理権 

1、代理権を制限する方法
□1 本信託における受益者代理人は、次の各号に掲げる代理権を有しない。
□(1)本信託の変更権のうち、受益者代理人の代理権、□【信託の目的、残余財産の帰属権利者、信託の変更方法】を変更する権利。
□(2)別紙信託財産目録□【1・2・3】を売却に関する同意権。
□(3)信託法92条1項各号の権利。


2、代理権を限定する方法
□2 本信託における受益者代理人は、次の各号に掲げる代理権のみを有する。
□(1)受益者が受ける□【医療、入院、介護その他の福祉サービス利用に必要な
費用の給付・生活費の給付・教育資金】を受託者へ請求する権利。
□(2)別紙信託財産目録□【1・2・3】を売却する権利。
□(3)本信託の終了に関する合意権。

参考

信託法139条1項但し書、4項。

医療法人の敷地内に理事長の家を建てる。債務者理事長、担保提供医療法人として住宅ローンを組むことが出来るか。

1、社員総会決議
2、理事会決議(理事長の議決権はない)
以上の決議を経て、議事録を作成する。

厚生労働省HP(2018年5月21日閲覧)
社団医療法人定款例(最終改正平成30年3月30日)

第 19 条 次の事項は、社員総会の議決を経なければならない。
(1) 定款の変更
(2) 基本財産の設定及び処分(担保提供を含む。)
(3) 毎事業年度の事業計画の決定又は変更
・退社について社員総会の承認の議決を要することとしても差し支えない。
・定時社員総会は、収支予算の決定と決算の決定のため年2回以上開催することが望ましい。
・5分の1を下回る割合を定めることもできる。
・招集の通知は、定款で定めた方法 により行う。書面のほか電子的方法によることも可。
(4) 収支予算及び決算の決定又は変更 (5) 重要な資産の処分 (6) 借入金額の最高限度の決定(7) 社員の入社及び除名 (8) 本社団の解散 (9) 他の医療法人との合併若しくは分割に係る 契約の締結又は分割計画の決定
2 その他重要な事項についても、社員総会の議決を経ることができる。

第 32 条 理事は、次に掲げる取引をしようとする 場合には、理事会において、その取引について重 要な事実を開示し、その承認を受けなければなら ない。 (1)自己又は第三者のためにする本社団の事業の 部類に属する取引 (2)自己又は第三者のためにする本社団との取引 (3)本社団がその理事の債務を保証することその 他その理事以外の者との間における本社団と その理事との利益が相反する取引
2 前項の取引をした理事は、その取引後、遅滞な く、その取引についての重要な事実を理事会に報告しなければならない。

第 38 条 理事会の決議は、法令又はこの定款に別 段の定めがある場合を除き、議決事項について特 別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数 が出席し、その過半数をもって行う。

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