投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

投資契約書雛形『ANGELs』みなし優先株式

https://bambooincubator.jp/template/angels

誤りがあれば、指摘願います。修正します。

・臨時株主総会議事録

 議案として、募集株式(みなし優先株式)発行及び総数引受契約承認の件。

 募集株式の数(会社法199条1項1号)として、当会社普通株式(みなし優先株式)の株数。

 割当方法は、別紙「投資契約書」において割り当て、総数引受契約(会社法205条)により行う。

 議案として、定款一部変更の件。定款附則において優先株式に転換することを予定している株式であることを定める。

・株主名簿

備考欄に、みなし優先株式であることの記載。

・投資契約書

契約書名にみなし優先株式であることを明記。

 定義条項に、みなし優先株式の定義記載。発行会社により一定の要件を満たす優先株式(発行会社の普通株式以外の種類株式をいう。以下同じ。)の発行が行われた場合に、全株主の合意により当該優先株式と同種の優先株式に転換されることを予定している普通株式

本件株式の発行及び取得条項

 本件株式がみなし優先株式に該当する場合には、の記載。普通株式と併せて発行することも想定されているのかなと思いました。

他は、投資契約書(普通株式)と同じ。

みなし優先株式に関する株主間合意書

 みなし優先株主に関する定義がされています。投資契約書で定義されているみなし優先株式を取得した者として、参加契約書とみなし優先株式に関する株主間合意書、当事者一覧及び連絡先にみなし優先株主と記載されている者、とされています。

 新規株主等について、定義がされています。株主間合意書以外の者で、新たに発行会社の株主等になる者、とされています。

 適格株式発行の定義がされています。いくつか要件があります。適格株式発行の要件となる最低調達額は1億円と設定されています。

 適格株式発行の定義がされています。募集株式の発行(会社法199条~)に要件がいくつか追加されています。次回の種類株式による資金調達時を想定した設定になっているようです。

 議決権有、参加型、取得請求権付株式(会社法2条1項18号)、後から発行する優先株式よりもみなし優先株式の払込み価格が低く設定され、みなし優先株主が有利であること。

 主要みなし優先株主の定義がされています。みなし優先株式の議決権総数の過半数を有する1、または2以上のみなし優先株主、とされています。過半数を有する2人以上のみなし優先株主というのがどのような状態なのか、個人Aと法人がみなし優先株主で、法人の代表者兼100%株主が個人Aの場合なのかな、と思いました。

 買取の定義がされています。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338M50000040059

第八条 3項以外略

3 この規則において「親会社」とは、他の会社等の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している会社等をいい、「子会社」とは、当該他の会社等をいう。親会社及び子会社又は子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなす。

第2条

優先株式への転換条項です。1項は株式等の発行による資金調達を行うことになった場合のみなし優先株主への通知義務です。

 2項は、発行会社が適格株式発行を行うこととなった場合のみなし優先株主の手続協力義務と発行会社と経営株主がみなし優先株主の代理人となって手続きできることを規定しています。

 3項は、みなし優先株式が優先株式に転換される場合の計算です。みなし優先株式の数を、適格株式発行として発行された優先株式の、定款で定めた残余財産分配額で割った数が優先株式に転換されます。

 4項は、適格株式発行の要件を満たさない株式発行の場合の、主要みなし優先株主の権利に関する規定です。

第3条

 投資関連契約の締結です。適格株式発行がされる場合に、みなし優先株主と発行会社が投資関連契約を締結しているときは、適格株式発行に必要な手続に協力(契約内容変更や破棄。)やする義務があると定められています。

第4条

 株式等の譲渡制限です。譲渡機関は主要みなし優先株主となっています。株式を譲渡しようとする場合、株式の譲渡制限が定められているとき(会社法107条1項1号)、であれば、定款・登記記録上の承認機関とともに、主要みなし優先株主の承認も必要となってきます。譲渡人が経営株主、非経営株主等及びみなし優先株主と会社法上の種類株式とは区別されて限定されているので、登記事項になるのか、私はならないような感触を持ちましたが(会社法108条1項4号)、分かりませんでした。

第5条

 後から新規株主等が生じた場合の規定です。発行会社は、契約当事者という立場に加えて、この契約書でみなし優先株主の代理人として、新規株主等と参加契約を締結する定めとなっています。

 また発行会社以外の他の株主が株式を他の者に譲渡する場合、この契約書に従った契約をすることが条件となっています。

第6条

 発行会社によるみなし優先株式の買取請求権の規定です。株主総会の決議は不要ですが、全部取得条項付株式(会社法108条1項6号)と似たような構造になっているという印象を受けました。

第7条

 発行会社の株主に対する株式売却を、一定の条件が生じた場合に強制する条項です。発行会社の発行済株式総数の3分の2以上を保有する株主(複数名で3分の2以上の保有比率となる場合を含む。)の承諾と、事前通知が条件となっています。

第8条

1項

 経営株主以外の特定の者並びにその者の子会社及び関連会社が、発行会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる発行会社の株式の譲渡が行われた場合の規定です。

1,当該譲渡を行った者のみが発行会社の株主と仮定する。

2,譲渡の対価の層が鵜を残余財産の総額とみなす。

3、定款に定める規定に従って、残余財産の分配を行うことに、みなし優先株主は同意する。

定めになっています。

2項

 発行会社が消滅会社となる合併又は子会社となる株式交換、株式移転又は株式交付(但し、これらの組織再編直前の発行会社の総株主が、存続会社又は完全親会社の発行済株式の議決権総数の過半数を保有することとなる場合を除く。について、1項と同じ規定です。

3項

 残余財産の分配が金銭以外の場合の評価方法です。合理的かつ客観的な評価を行うと定められていますが、詳細な方法は分かりませんでした。

4項

 発行会社の事業の全部又は重要部分を第三者に譲渡する事業譲渡、吸収分割、新設分割等を行われる場合、主要みなし優先株主は、発行会社に対して解散請求することが出来ると定められています。

 発行会社に反対する権利はなく、解散及び清算手続きを行うと定められています。

5項

 8条に基づく残余財産の分配や発行会社の解散が行われる場合の、各当事者の手続協力義務が定められています。

6項

みなし規定が2つあります。

1つ目

 みなし優先株式は、適格株式発行のイに該当する募集株式の発行に該当するという定款の定めがあるとみなす規定です。

第1条第6号(イ)②「適格株式発行」とは、以下の条件を全て満たす募集株式の発行をいう。

ア  募集株式の発行による払込金額の合計額が100,000,000円 以上であること

イ  以下の要件を全て満たす優先株式の発行であること

① 議決権を有すること

② 発行会社の解散時に、残余財産から当該株式の払込金額相当額が普通株主に先立って分配され、同分配後の残余財産の分配についても、転換比率を調整のうえ計算した額で普通株式の株主と共に参加する内容の残余財産の分配を受ける権利が規定されていること

③ 取得請求権付株式(当該株式を取得するのと引換えに株主に対して発行会社の普通株式を交付する条項を含むものに限る。)であること

④ 優先株式の1株当たりの払込金額が、みなし優先株式の1株当たりの払込金額よりも高いこと

2つ目

 適格株式発行のイに該当する募集株式の発行より発行された株式については、残余財産の分配について1,優先株主、2、普通株主、3優先株主・普通株主の同順位、の順で受け取る、と定められています。

 また、主要みなし優先株主に権利が与えられています。

主要みなし優先株主は、上の2つのみなし規定に関して疑義があるときに、発行会社に対して、発行会社が発行したみなし優先株式の全てを、適格株式発行の要件を満たす優先株式に転換することを請求できる権利が付与されています。

第9条

 主要みなし優先株主の発行会社に対する、決算情報などの情報提供請求権が規定されています。

第10条

契約の各当事者が表明保証を行う定めです。

第11条

 契約の各当事者が秘密保持義務を負う規定です。

第12条

 契約の各当事者への通知先に関する定めです。

第13条

 他の契約との関連性を定める規定です。2項で、抵触する場合はこの契約が優先することが規定されています。契約日の前後を問わない規定です。

第14条

 費用は、原則として発行会社が負担するという規定です。

第15条

 契約の終了、契約の効力停止の定めです。

第16条

 準拠法は日本法、第一審の管轄は発行会社の本店所在地を管轄する地方裁判所とする定めです。

株式の内容の変更に関する株主全員の合意書・同意書

・株主全員でなくても良い。

・発行会社が代理権構成を取ることも可能であるが、法令、先例通達がないため分からないことが説明されています。・・・みなし優先株主にとって不利になることはないこと、民法108条の規定から可能である可能性が高いと思われます。

参考

中小企業庁

中小企業者のためのエクイティ・ファイナンスの基礎情報令和4年12月22日更新

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/equityfinance/index.html

規制改革推進会議スタートアップ・イノベーションWG11回令和5年4月11日(火)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/230411/startup11_agenda.html

令和5年度不動産登記研修会「相続登記申請義務化に関する研修会」

令和5年度不動産登記研修会「相続登記申請義務化に関する研修会」日本司法書士会連合会

令和6年(2024年)3月2日(土)

第1講 「相続登記申請義務化へ向けての司法書士の役割~」

講師 早稲田大学大学院法務研究科教授 山野目 章夫

第2講 「相続登記申請義務化と相続人申告登記の概要」

講師 法務省民事局民事第二課長 大谷 太

第3講「鼎談 大相続登記時代に向けて、相続登記義務化における司法書士としての使命について」

登壇者 山野目 章夫(早稲田大学大学院法務研究科教授)

里村 美喜夫(不動産登記法改正等対策部部長)

今川 嘉典(不動産登記法改正等対策部部委員)

「相続登記申請義務化へ向けての司法書士の役割」

早稲田大学教授 山野目 章夫

目次

第1 法体系における不動産登記制度の意義

第2 いまさらながらの復習

1 起算点は2つの事実

2 義務化の二段階の構造

3 あること証明とないこと証明

4 新しい不動産登記法164条の2つの項

第3 相続登記の実務

第4 司法書士制度の展望

第1 法体系における不動産登記制度の意義

権利に関する登記であるにもかかわらず、なぜ義務化されるか?

対抗要件にすぎない、と難ずる者が今もある。・・・ 表示の登記(不動産登記法36条、47条)。

画期をなす改革

令和3年法律第24号により不動産登記法が改正された。

法務省 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00501.html

不動産登記法を今の姿にした平成16年法律第123号にとって特筆すべき改正

明治からの不動産登記制度の発展のなかで眺めてみても、画期をなす改革とみなければならない。

慟哭と共に三陸の浜に立つ

土地政策の一つ

対抗要件にすぎないという言説を考える

不動産登記法は、決して私法、民法の附属法ではない。

あらためて政府答弁を読む

「不動産登記は、権利を取得した者がその権利を保全する対抗要件としての機能を有するものでございますが、対抗要件制度のためのみに存在するものでもございません。特に、近時におきましては、国土の管理や有効活用という側面から、土地の所有者情報を始めとして、土地の基本的な情報を公示する台帳としての役割を有する点が指摘されております」(法務省の小出邦夫民事局長〔当時〕、2021年3月24日、衆議院法務委員会)。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000420420210324007.htm

第2 いまさらながらの復習

相続登記の義務化ということの意義

受験論点のような話のいくつか

1 起算点は2つの事実

不動産登記法76条の2第1項前段。

  • 2つの事実とは何か?

 被相続人が死亡した事実、および被相続人が不動産を所有していた事実の双方を知った場合において、双方の事実を知った日から3年以内に、相続による所有権の移転の登記を申請。

  • 特定財産承継遺言の場合はどのように考えるか?

  被相続人人が甲土地を特定の相続人に、相続させる旨の特定財産承継遺言をしていた場合において、相続人は、相続による所有権の移転の申請をしなければならない。その根拠も76条の2第1項前段この場合において、他の相続人は、相続登記の義務を課せられない。 

  • 土地のみならず建物も義務づけられるか?

 相続登記の義務が課せられる場面は、土地または建物を目的とする相続である(76条の2は、不動産の一般に関する規定である)。土地のみということではない。

  • 根抵当権の債務者変更なども義務づけられるか?

 相続登記の義務が課せられる場面は、所有権の登記に限られる(76条の2は、所有権の登記に関する規定である)。配偶者居住権は、もともと相続による権利変動を観念すること余地がない。

登記地目が墓地の場合

本橋寛樹「祭祀承継者指定の審判と民法第897条による承継登記」登記情報20242月号〔通巻747号〕、山野目「墓地などの土地の承継と相続登記の義務」NBL1244号〔2023年〕

  • 法律を知らない一般の人びとを非難しない

 知った時から3年という起算点の「知った時」の意義は、過失により知らなかった場合を含まない。気づかなかったことについて相続人に落度があっても、3年は進行しない。

2 義務化の二段階の構造

 相続によるA→B・C・Dの法定相続分を持分とする甲土地の所有権の移転の登記が未だされていない場合において、B・C・Dの協議または家庭裁判所の審判によりBが甲土地を所有する旨の遺産の分割が成立した場合においては、Bが、相続によるA→Bの所有権の移転の登記を申請しなければならない。この場合において、C・Dは、相続登記の義務を課せられない。

また、法定相続分による登記がされた後・・・法定相続分による登記、原因は相続、申請人は相続人全員がされた場合でも、更生登記が出来る、ということ?

で同旨の遺産の分割が成立した場合において、Bは、その遺産の分割が成立した日から3年以内に、B・C・Dを所有権の登記名義人とする登記をBのみが登記名義人になる登記に更正する登記を申請しなければならない(76条の2第2項)。この更正により相続によるA→Bの所有権の移転の登記がされることとなる。 

  • 法定相続分という言葉が法文に出てくるか?

 76条の2第1項が主題とする登記のうち、法定相続分による登記とよばれるものは、精密に述べると、76条の2第2項が謳うとおり、「民法第900条及び第901条の規定により算定した相続分に応じてされた」登記。

 この法定相続分による登記がされている場合において、「遺産の分割があったとき」は、その遺産の分割によって法定相続分を超えて所有権を取得した者は、その遺産の分割の日から3年以内に、所有権取得の登記を申請しなければならない(同項)。

  • 指定相続分はどのように考えるか?

  遺言で相続分の指定がされた局面も検討を要する。この局面は、76条の2第2項に基づく相続登記の義務づけの外に置かれる。同項は、その括弧書において民法900条・901条を掲げ、半面、902条を掲げない。

 AがBの相続分を半分とし、C・Dの相続分をそれぞれ4分の1と相続分を定める遺言をしていた場合において、これらの指定相続分に即して持分を登記するA→B・C・Dの所有権の移転の登記で相続によるものをしたときに、その後に甲土地(の全部)をBが取得する旨の遺産の分割が調うとしても、Bは、その旨を公示する所有権の更正の登記を申請する義務を負わない。むろん、その旨の登記を申請することは、望まれる。しかし、公法上の義務づけをしてまで当該登記の申請を求めることは要請されないとする政策が、ここでは採られる。

 指定相続分による登記がされたの遺産の分割を反映する登記を義務づける政策の採用を躊躇させる考慮要素として、相続分を指定する遺言というものの実態がある。とりわけ自筆証書遺言で相続分の指定がされる場合において、その指定の意思の表示は、相続分や指定という法律表現を用いてされるとは限らず、民法902条に言及されるとも限らない。

 その結果として、現実にされる遺言において表示される遺言者の意思の解釈において、相続分の指定であるか遺産分割方法の指定であるか、判断が難しい事例も想像される。

 実子である女と養子である男が推定相続人であり、これらの子が婚姻をしている場合において、「私の財産は夫が3分の2、妻が3分の1の割合で夫婦に継がせる」という遺言がされた場合において、一筆の土地がほぼ唯一の「私の財産」であるときに、この意思表示が相続分の指定であるとする理解のほか、示された割合を持分とする遺産分割方法の指定(終局的に夫婦が当該土地を共有していって欲しいと望む処分であり、厳密に述べると、相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定である)であるとする理解も成りたつ。後者の理解を前提として共有の登記がされる場合において、後日に土地を夫が単独で所有する旨の夫婦の協議が調うときに、それは遺産の分割でなく共有物分割になる。その共有物分割による登記は義務づけられない。このように複数の遺言理解がなりたつ場合において、特定の理解を前提として義務づけがされる可能性を生じさせることは相続人を困惑させる

 この結果は避けられるべきであり、遺言で指定された相続分について相続登記の義務づけをしない76条の2第2項の規定は、このような観点からも理解される。

  • 更正の登記の根拠規定は? 登記原因は?

 更正の登記は、単独で申請することができる(63条2項が根拠となる)。この更正の登記は、登記原因を「遺産分割」としてBが単独で申請することができる(民事局長通達令和5年3月28日民二538号)。

3 あること証明とないこと証明

 不動産登記法76条の3が定める手続。

 相続人申告登記という言葉が法文に出てくるか?

  同条の法文において言葉そのものが現われるものではないが、同条が主題とする登記は、おおづかみに相続人申告登記とよばれる。

 相続人を網羅的に知ることができる登記ではないけれども、相続人申告登記により、相続開始の事実に加え、誰が相続人であるか全く判明していないものではない、という状態が登記上形成される。このような登記の状態は、相続人申告登記が簡易な手続による申出によりされるから、迅速な実現も期待される。

  • 法定相続分による登記をする場合と何が異なるか?

 ほかに相続人がない事実を戸籍上証明することは不要。

 相続人申告登記をして申告人として付記登記をされた者は、氏名や住所が変更した場合において、付記登記の変更の申出をすることができる。できるけれども、しなくてもよい。

4 新しい不動産登記法164条の2つの項

 過料は、金銭罰であり、その点では罰金や科料と似る。しかし、罰金や科料は、刑事罰であり、これらに処する裁判は、刑事訴訟法に従い行なわれる。

  • 過料って何?

 秩序罰であるということの意義は、行政施策の達成が妨げられ、しかも、違反行為を罰しないことにより、その施策の遂行に係る規律が実質的に損なわれることにある。相続登記の義務づけも、不動産登記行政を的確に執行し、登記簿に適時、的確に権利関係が公示される成果の確保に趣旨が見出される。

 不動産登記法164条1項は、正当な理由がある場合において過料を科さないとしており、そこにいう正当な理由も、それがあるときに控えられる過料の秩序罰としての性格を踏まえ、その存否が見定められる。

  • いきなり、とはならない

 まず、相続登記が義務づけられたところに従い履践されていない事案を認知した登記官は、申請の義務を負う者に対し相続登記の申請の履践を促す。この促す過程を省いて短兵急に過料の制裁を要請することは、適正な手続と見ることはできない(不動産登記規則187条1号参照)。

不動産登記規則(裁判所への通知)

第百八十七条 登記官は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、管轄地方裁判所にその事件を通知しなければならない。

一 法第百六十四条の規定により過料に処せられるべき者があることを職務上知ったとき(登記官が法第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務に違反した者に対し相当の期間を定めてその申請をすべき旨を催告したにもかかわらず、その期間内にその申請がされないときに限る。

 もちろん、これらの場合であっても、それぞれの困難がなくなったと認められる段階において相続登記をすべきであり、いったん正当な理由があるとされる事案が、事態の推移にかかわりなくずっと正当な理由があるとされるものではない。申請人が重篤な疾病に悩まされている場合などにおいて、やむをえない事情があるものとして、過料に処さない解決が望まれるが、これも、申請人の疾病が治癒した後に登記申請を促す手順が想定される。

  • 個人の便宜を口実にされても困る

余命が小さいとみられる相続人が死亡する時を待って登記をしようとしている間に3年を経たという事例は、正当な理由があるとはみられない。登記を困難にしている事情が何ら存しないからである。

  • 謙抑的な運用という基本精神

「3年経過時の過料の対象の時点で例えば重病であった、正当事由があった場合に、その重病であった状態を脱して、要するに病気が治癒した場合について、3年前は正当事由で過料は免れました、4年後に病気は治っていましたというときに、果たしてそれは遡ってまた義務や過料の対象になるのか、3年前に病気であればもうその後も過料は免れるような形になるのか、このようなところも非常に曖昧であるというふうに問題意識を持っておりますので、この辺り、やはり公平性を持った形で今後の議論がされることを切望しておりますし、我々も今後、引き続き問題意識を発言していきたいというふうに思っております」(阿部健太郎・発言・参議院法務委員会、2021415日)。

https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=120415206X00820210415

 過料は刑事罰でないから、刑法の諸理論・・・罪数を厳密に用いるということにならない。とはいえ、50筆の土地を有していて死亡した者があるとき、3年を経ると500万円の過料を科することは、いかにも機械的である。また、3年を経て10万円をいったん科せられた者が、それでも依然として登記をしない場合において、再び10万円を科する扱いは、適正手続の観点に照らし、理論的にも検討課題が残る。

第3 相続登記の実務

アドバイザーとしての司法書士

1 いずれを勧めるか――76条の2の第1項と第2項

2 いずれを勧めるか――76 条の2 と76 条の3

法務省のウェブサイトを御自分で見てみて、そのうえで御来訪ください、と案内する手順は、ひとつの工夫であるかもしれない。

 登記の手続登記の態様B による不動産の処分の登記B の住所が変更したならば
B・C・D の法定相続分による登記単独申請 戸籍の “ないこと証明”主登記 持分が登記される。B の持分の処分の登記が可能。住所の変更の登記が義務づけられる。
B を申告人とする相続人申告登記申出→職権 戸籍の “あること証明”付記登記 持分が登記されない。依然として登記名義人はA。できる。 しなくてもよい。

第2講 「相続登記申請義務化と相続人申告登記の概要」

講師 法務省民事局民事第二課長 大谷太

相続人申告登記

 法定相続情報番号(法定相続情報一覧図の番号)を提出すれば、戸籍謄本の添付は不要。不動産登記規則37条の3

 不動産登記規則158条の2第1項8号、第158条の3、158条の5、158条の8(不動産登記令12条、電子証明書不要)、158条の9、158条の10(不動産登記令16条)、158条の19(追加的記載事項)、158条の20(添付情報の省略)、

第3講 相続登記の申請義務化と司法書士業務について 個別テーマ一覧

  • 法制審議会での相続登記義務づけ議論について

 調査をすれば分かる、というのは司法書士の言い分。

 登記記録から所有者が分かる、ということが大切。

今後が大切。

  • 申請義務化が適用された場合、司法書士業務はどのように変化するか

 登記情報を最新に保つ使命・・・所有権については。  

3.いわゆる二段の申請義務が発生する場合はどのようなときか

4.相続人申告登記をする場合は、どのようなときか

・・・相続人申告登記は司法書士発(山野目章夫教授。初めて知りました。

持分を取得した分ではないことを説明する必要。

・・・付記1号の付記1号相続人申告登記も可能か。相続人申告登記を申請した相続人が亡くなった場合。

5.相続登記の申請の義務が免れる場合と過料の適用はどのようになるか

6.国庫帰属制度にどのように対応していくのか

7.登記事項のいくつかの変更

法人識別事項・国内連絡先

所有権登記名義人の旧姓併記

外国人が所有権の登記名義人となる場合のローマ字併記

DV被害者等の保護のための住所の代替措置

8.外国に住所を有する外国人等の住所証明情報の取扱いについて

9.遺産分割協議への関与はどのようにすべきか

〇法務省令第五号戸籍法施行規則

https://kanpou.npb.go.jp/

〇法務省令第五号戸籍法施行規則

戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第十七号)の施行に伴い、及び戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第百三十一条の規定に基づき、戸籍法施行規則の一部を改正する省令を次のように定める。

令和六年二月二十六日

戸籍法施行規則の一部を改正する省令

戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)の一部を次のように改正する。

次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付し又は破線で囲んだ部分のように改め、改正前欄及び改正後欄に対応して掲げる対象規定を改正後欄に掲げる対象規定として移動し、改正前欄に掲げる対象規定で改正後欄にこれに対応するものを掲げていないものは、て掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定(以下「対象規定」という。 ) は、その標記部分が同一のものは当該対象規定を改正後欄に掲げるもののように改め、その標記部分が異なるものは改正前欄に掲げる対象規定を改正後欄に掲げる対象規定として移動し、改正前欄に掲げる対象規定で改正後欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを削り、改正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれを掲げていないもので掲げるその標記部分に二重傍線を付した規定(以下「対象規定」という。 ) は、その標記部分が同一のものは当該対象規定を改正後欄に掲げるもののように改め、その標記部分が異なるものは改正前欄には、これを削り、改正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれ正後欄に掲げる対象規定で改正前欄にこれに対応するものを掲げていないものは、これを加える。

目次

[第一章〜第四章略]

第四章の二 戸籍電子証明書等

第四章の二電子情報処理組織による届出又は申請等の特例

第五章[略]

附則

第十一条 戸籍法第十条第三項(同法第十条の二第六項、第十二条の二、第四十八条第三項及び第百二十条の六第二項において準用する場合を含む。)の法務省令で定める方法は、次の各号に掲げる方法とする。

[一・二略]

第二十一条 市町村長は、附録第五号様式によつて毎年受附帳を調製し、これにその年度内に受理し又は送付を受けた事件について受附の順序に従い、次の事項を記載しなければならない。ただし、第三号、第六号及び第七号の事項は、受理した事件についてのみ記載すれば足りる。

[一〜七略]

八 第七十九条の二の四第二項の規定による届出等であるときは、その旨

第四十八条[略]

②[略]

③第一項の書類の保存期間は、当該年度の翌年から五年とする。

第五十二条の二 戸籍法第四十八条第三項において届出の受理又は不受理の証明書の請求、届書及び届書等情報の内容に関する証明書の請求並びに同法第百二十条の六第二項において届書等情報の内容を表示したものの閲覧の請求(以下この条において 「証明書等の請求」 という。 )について準用する同法第十条の三第一項に規定する法務省令で定める方法及び事項については第十一条の二第一号から第三号まで及び第五号イ並びに第十一条の三本文の規定を、同法第四十八条第三項及び第百二十条の六第二項において証明書等の請求について準用する同法第十条の三の規定を、同法第四十八条第三項及び第百二十条の六第二項において証明書などの請求について準用する同法第十条の三第二項に規定する法務省令で定める方法については第十一条の四の規定を、証明書等の請求の際に提出した書面の原本の還付については第十一条の五の規定を準用する。

第五十三条の四[略]

【②~⑥略】

⑦ 第二項の書面及び第五項の取下げに係る書面の保存期間は、 当該年度の翌年から一年とする。

第六十八条 戸籍事務を電子情報処理組織によつて取り扱う場合には、市町村長(戸籍法第百十八条第一項の規定による指定を受けている市町村長をいう。以下本章、次章及び第四章の三について同じ)は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製された戸籍及び除かれた戸籍の滅失及びき損並びにこれらに記録されている事項の漏えいを防止するために必要な措置を講じなければならない。

第六十八条の二 戸籍事務を電子情報処理組織によつて取り扱う場合において、氏又は名に漢字を用いるときは、次の各号に掲げる字体で記録するものとする。

一 常用漢字表に掲げる字体(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)

二 別表第二に掲げる字体

三 その他法務大臣の定める字体  

第六十九条 戸籍法第百十八条第一項ただし書の電子情報処理組織によつて取り扱うことが相当でない戸籍又は除かれた戸籍は、電子情報処理組織による取扱いに適合しない戸籍とする。

[号を削る。]

[号を削る。]

第七十三条の二 戸籍法第百二十条の二第一項の規定により同法第一条第一項の請求 (本籍地の市町村長以外の市町村長に対してするものに限る。) をする場合において、請求をする者は、市町村長に対し、第十一条の二第一号の方法により、当該請求をする者の氏名及び住所又は生年月日を明らかにしなければならない。

2 戸籍法第百二十条の二第一項の規定により同法第十条の二第二項の請求(本籍地の市町以外の市町村長に対してするものに限る。) をする場合において、現に請求の任に当たっている者は、市町村長に対し、第十一条の二第一号の方法により、当該請求の任に当たつている者の氏名及び所属機関、住所又は生年月日を明らかにしなければならない。

3 前項の請求をする場合において、戸籍法第十条第3項の規定により戸籍証明書等の送付の請求をするときは、第十一条の二第5号ロの方法によることができる。

第七十三条の三 前条第一項又は第二項の請求により交付する戸籍証明書等には、市町村長が、その記載に接続して付録第二十九号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

第七十三条の四 市町村長が第七十三条の二第一項又は第二項の請求により戸籍証明書等を交付した場合は、本籍地の市町村長に対してその旨の情報を提供するものとする。

② 第七十三条第三項から第九項までの規定は前項の戸籍又は除かれた戸籍に関する証明書に、第十四条第一項ただし書及び第二項の規定は前項の場合に準用する。

第七十五条 戸籍又は除かれた戸籍が磁気ディスクをもつて調製されているときは、市町村長は、戸籍又は除かれた戸籍に記録をした後遅滞なく、当該戸籍の副本(電磁的記録に限る。以下この条から第七十五条の三まで、第七十九条及び第七十九条の九の二において同じ。) を電気通信回線を通じて法務大臣の使用に係る電子計算機に送信しなければならない。

【②・③略】

 ④前三項の規定は、戸籍法第十一条、第十一条の二第一項及び第二項(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定により再製された戸籍又は除かれた戸籍の原戸籍(以下「再製原戸籍」という。) の副本について準用する。

【⑤略】

第七十五条の二 法務大臣は、前条第一項又は第二項(第四項において準用する場合を含む。) の規定によつてその使用に係る電子計算機に戸籍若しくは除かれた戸籍又は再製原戸籍の副本の送信を受けたときは、これを保存しなければならない。 この場合において、法務大臣は、前に送信を受けた戸籍又は除かれた戸籍の副本を消去することができる。

②略

③ 次の各号に掲げる再製原戸籍の副本の保存期間は、 当該各号に定めるとおりとする。

一 戸籍法第十一条(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定による再製原戸籍の副本   

当該年度の翌年から一年

二 戸籍法第十一条の二第一項(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定による再製原戸籍の副本 

当該年度の翌年から百五十年

三 戸籍法第十一条の二第二項(第十二条第二項において準用する場合を含む。) の規定による再製原戸籍の副本   

当該年度の翌年から一年

④法務大臣は、除かれた戸籍の副本又は再製原戸籍の副本で、前二項に規定する保存期間を満了したものを廃棄するときは、あらかじめ、その旨の決定をしなければならない。

 ⑤ 法務大臣は、前項の廃棄をしたときは、本籍地の市町村長にその旨を通知するものとする。

第七十五条の三 市町村長は、戸籍事務の処理に必要な範囲内において、戸籍若しくは除かれた戸籍又は再製原戸籍の副本に記録されている情報を参照することができる。

② 法務大臣は、戸籍法第四十条又は第四十一条第一項の規定により大使、公使又は領事に届出又は提出された書類の確認に必要な範囲内において、外務大臣に対し、戸籍又は除かれた戸籍に記録されている情報を参照することができる。

③ 法務大臣は、戸籍法第百二条、第百二条の二、第百四条の二又は第百五条の規定に基づく戸籍の記載が適正に行われることを確保するために必要な範囲内において、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める事務に関し戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報を提供することができる。

一 法務省職員 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第三条第一項、第十七条第一項若しくは第二項の規定による国籍取得の届出、帰化の許可申請、選択の宣言又は国籍離脱の届出に関する事務

二 外務省職員 国籍法第三条第一項若しくは第十七条第二項の規定による国籍取得の届出、選択の宣言又は国籍離脱の届出に関する事務

④ 第二項及び前項第二号の規定による情報の提供は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と外務大臣の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してするものとし、当該情報の提供の方法に関する技術的基準については、 法務大臣が定める。

第七十六条[略]

②[略]

③ 受付帳が磁気ディスクをもつて調製されているときは、市町村長は、受付帳に記録した後遅滞なく、当該受付帳に記録された事項(以下「受付帳情報」という。 ) を電気通信回線を通じて法務大臣の使用に係る電子計算機に送信しなければならない。

④ 前項に規定する場合において、法務大臣は、同項の規定にかかわらず、いつでも受付帳情報を電気通信回線を通じてその使用に係る電子計算機に送信させることができる。

⑤ 前二項に定める電気通信回線を通じた送信の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

第七十六条の二 法務大臣は、前条第三項又は第四項の規定によってその使用に係る電子計算機に受付帳情報の送信を受けたときは、これを保存しなければならない。

② 受付帳情報の保存期間は、当該年度の翌年から十年とする。

③ 第七十五条の二第四項及び第五項の規定は、受付帳情報について準用する。

第七十八条の二 戸籍法第百二十条の四第一項の届書等は、次の各号に掲げるものとする。

一  戸籍の記載をするために提出された届出、報告、申請、請求若しくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判に係る書面(戸籍法又はこの省令の規定により添付し、又は提出すべきこととされている書面を含む。)

二 戸籍法第二十四条第二項の規定による戸籍の訂正に係る書面

三 戸籍法第四十四条第三項の規定による戸籍の記載に係る書面

四 第五十三条の四第二項の書面

五 第五十三条の四第五項の取下げに係る書面

② 戸籍法第百二十条の四第一項の規定による届書等情報の作成は、前項の届書等に記載されている事項をスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。 ) により読み取つてできた電磁的記録及び当該届書等に記載されている事項に基づき市町村長の使用に係る電子計算機に入力された文字情報を当該電子計算機に記録する方法により行うものとする。

③ 市町村長(第一項第二号から第五号までの書面にあっては、本籍地の市町村長に限る。)は、 第一項の届書等を受理した後遅滞なく、前項の規定に基づき作成された届書等情報を電気通信回線を通じて法務大臣の使用に係る電子計算機に送信しなければならない。ただし、電気通信回線の故障その他の事由により電気通信回線を通じた送信ができない場合は、この限りでない。

④ 前項本文に規定する場合において、法務大臣は、同項の規定にかかわらず、いつでも届書等情報を電気通信回線を通じてその使用に係る電子計算機に送信させることができる。

⑤ 市町村長が、戸籍法第四十二条の規定により書類の送付を受けたときも、前三項と同様とする。

⑥ 前三項に定める電気通信回線を通じた送信の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

第七十八条の三 法務大臣は、前条第三項から第五項までの規定によつてその使用に係る届書等情報の送信を受けたときは、これを保存しなければならない。

② 次の各号に掲げる前項の届書等情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一 前条第一項第一号から第三号までの書面

当該年度の翌年から十年

二 前条第一項第四号の書面

当該年度の翌年から百年(ただし、第五十三条の四第五項の取下げその他の事由により効力を失つた場合は、当該年度の翌年から三年)

三 娣前条第一項第五号の書面

当該年度の翌年から三年

③ 第七十五条の二第四項及び第五項の規定は、第一項に規定する届書等情報について準用する。

④ 第五十二条の規定にかかわらず、前条第二項の規定により作成された届書等情報の基となつた届書、申請書その他の書類は、適切と認められる方法により保存すれば足りる。

第七十八条の四 戸籍法第百二十条の五第一項及び第三項の通知は、同法第百十八条第一項の電子情報処理組織を使用してするものとし、当該通知を受けた市町村長は、前条第一項の届書等情報(当該通知に係るものに限る。 ) の内容を参照することができる。

② 戸籍法第百二十条の四に規定する場合において、第二十五条から第二十九条まで、第四十八条第二項、第四十九条、第四十九条の二、第五十四条及び第七十九条の規定は、適用しない。

③ 第四十一条第一項の規定は、原籍地の市町村長が第七十八条の二第三項の規定によつて届書等情報を送信した場合について準用する。

この場合において、第四十一条一項中「新本籍地の市区長村長にこれを送付し」とあるのは、「第七十八条の二第三項の規定により当該届書等に係る届書等情報を送信し」と読み替えるものとする。

④ 第二十条第一項、第二十一条第一項、第三十条及び第四十一条第二項の規定は、市町村長が戸籍法第百二十条の五第一項又は第三項の通知を受けた場合に準用する。この場合において、別表第三の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第七十八条の五 戸籍法第百二十条の六第一項の法務省令で定める方法は、日本産業規格A列三番又は四番の用紙に出力する方法とする。

② 娣届書等情報の内容に関する証明書には、市町村長が、付録第三十号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

第四章の二 戸籍電子証明書等

第七十九条の二 戸籍法第百二十条の三第一項の戸籍電子証明書又は除籍電子証明書(以下「戸籍電子証明書等」という。)の電磁的記録の方式については、法務大臣の定めるところによる。

② 戸籍電子証明書等には、市町村長が、付録第三十一号書式による付記をしなければならない。

③ 第七十三条の二第一項の規定は、戸籍法第百二十条の三第一項の規定により同法第十条第一項の規定により同法第十条第一項の請求(本籍地の市町村長以外の市町村長に対してするものに限る。 ) をする場合に、第七十三条の二第二項及び第三項の規定は、戸籍法第百二十条の三第一項の規定により同法第十条の二第二項の請求(本籍地の市町村長以外の市町村長に対してするものに限る。 ) をする場合に準用する。

第七十九条の二の二

戸籍法第百二十条の三第一項の戸籍電子証明書提供用識別符号又は除籍電子証明書提供用識別符号(以下「戸籍電子証明書提供用識別符号等」という。) は、アラビア数字の組合せにより、戸籍電子証明書等ごとに定める。

② 戸籍電子証明書提供用識別符号等を発行するには、付録第三十二号様式によらなければならない。

③ 戸籍電子証明書提供用識別符号等の有効期間は、発行の日から起算して三箇月とする。

④ 第七十三条の四の規定は、戸籍電子証明書提供用識別符号等を発行した場合に準用する。

第七十九条の二の三 戸籍法第百二十条の三第三項の法務省令で定める者は、別表第四の上欄に掲げる者(法令の規定により同表の下欄に掲げる事務の全部又は一部を行うこととされている者がある場合にあつては、その者を含む。以下「戸籍情報照会者」という。)とし、市町村長は、戸籍情報照会者から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し戸籍電子証明書提供用識別符号等を示して戸籍電子証明書等の提供を求められたときは、戸籍電子証明書提供用識別符号等に対応した戸籍電子証明書等を提供するものとする。

② 戸籍法第百二十条の三第三項の規定による戸籍電子証明書等の提供の求め及び戸籍電子証明書等の提供は、同法第百十八条第一項の電子情報処理組織と戸籍情報照会者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してするものとする。

③ 前項の戸籍電子証明書等の提供の求め及び戸籍電子証明書等の提供の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

④ 市町村長は、第一項の規定による戸籍電子証明書等の提供をするときは、法務大臣により電子署名が行われた戸籍電子証明書等と当該電子署名に係る電子証明書を併せて法務大臣の仕様に係る電子計算機に備えられたファイルに記録しなければならない。

第四章の三

第七十九条の二の四 戸籍若しくは除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は別表第五に掲げる書面(以下「戸籍謄本等」という。)) の交付の請求は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と請求をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してすることができる。

② 市町村長に対してする別表第六に掲げる届出又は申請(以下「届出等」という。)は、前項の電子情報処理組織を使用してすることができる。

③ 市町村長に対してする戸籍電子証明書等を戸籍法第百二十条の三第三項に規定する行政機関等に提供することの請求(以下「戸籍電子証明提供用識別符号等の発行等の請求」という。)は、第一項の電子情報処理組織を使用してすることができる。

第七十九条の三 前条第一項の交付の請求、同条第二項の届出等又は同条第三項の戸籍電子証明書提供用識別符号等の発行等の請求をする者は、戸籍法又はこの省令の規定により交付の請求書、届書若しくは申請書又は発行等の請求書に記載すべきこととされている事項に係る情報を戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織に送信しなければならない。この場合において、戸籍法又はこの省令の規定により交付の請求、届出等又は発行等の請求の際に添付し、又は提出出すべきこととされている書面等(以下「添付書面等」という。)があるときは、当該添付書面等に代わるべき情報を併せて送信しなければならない。

【②~④ 略】

第七十九条の四 削除

第七十九条の五 別表第七に掲げる書面の交付は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と交付を受ける者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用してすることができる。

② 戸籍電子証明書提供用識別符号等の発行(以下「符号の発行」という。)は、前項の電子情報処理組織を使用してすることができる。

③ 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号。以下「情 情報処理組織を使用する方法により前二項 報通信技術活用法」という。)第七条第一項ただし書に規定する主務省令で定める方式は、電子情報処理組織を使用する方法により前二項の書面の交付又は符号の発行を受けることを希望する旨の市町村長の定めるところにより行う届出とする。

第七十九条の六 市町村長は、前条第一項の規定による書面の交付をするときは、第六十六条第一項又は第七十三条第一項各号の証明書に記載すべきこととされている事項に係る情報(第七十三条第一項各号の証明書については、付録第三十三号書式に係る情報を含む。)を、これについて電子署名を行い、当該電子署名に係る電子証明書を併せて戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織に備えられたファイルに記録しなければならない。

第七十九条の八

① 第七十九条の二の四第一項の戸籍謄本等の交付の請求は、当該請求をする戸籍又は除かれた戸籍の本籍地でしなければならない。

② 第七十九条の二の四第二項の届出等は、届出事件の本人の本籍地でしなければならない。ただし、戸籍法第六十一条及び第六十五条に規定する届出は母の本籍地で、同法第百二条の二、第百十条及び第百十一条に規定する届出は新本籍地で、外国人に関する届出は届出人の所在地でしなければならない。

③ 第七十九条の二第二項の届出等は、届出事件の本人の本籍地でしなければならない。ただし、戸籍法第六十一条及び第六十五条に規定する届出は母の本籍地で、同法第百二条の二、第百十条及び第百十一条に規定する届出は新本籍地で、外国人に関する届出は届出人の所在地でしなければならない。

④ 第七十九条の二の四第三項の戸籍電子証明書提供用識別符号等の発行等の請求は、当該請求をする戸籍又は除かれた戸籍の本籍地でしなければならない。

 第七十九条の九  第七十八条の二から第七十八条の五までの規定は、第七十九条の二の四第二項の規定による届出等がされた場合に準用する。

② 前項の場合においては、第七十八条の二第二項の規定にかかわらず、電子情報処理組織により届書等情報を作成することができる。

第七十九条の九の二 法務大臣は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第六条第3項に規定する情報提供等記録閲覧システムを通じて第七十九条の二の四第一項の交付の請求、同条第二項の届出、等又は同条第三項の戸籍等電子証明書提供用識別符号等の発行等の請求(以下本条において「請求等」という。)に対して、当該請求等に必要な範囲内において、戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報のうち本籍及び戸籍の筆頭に記載した者の氏名その他の当該請求に必要な情報(電子情報処理組織により自動的に特定したものに限る。)を提供することができる。

② 前項の規定による情報の提供は、戸籍法第百十八条第一項の電子情報処理組織と請求等をするものとし、当該情報の提供の方法に関する技術的基準については、法務大臣が定める。

第七十九条の十二 戸籍法第百二十六条の規定による戸籍等に記載した事項に係る情報の提供は、戸籍又は除かれた戸籍の副本に若しくは抄本又は戸籍等に記載した事項についての証明書を交付することによって行うものとする。この場合において、戸籍等に記載した事項についての証明書は、付録第三十四号書式によって作らなければならない。

【②・③略】

⑤ 前項の場合において、第二項の書面は、付録第二十二号様式(第三及び第六を除く。)又は付録第三十五号様式によって作らなければならない。

⑥ 第三項の場合において、第二項の書面には、市町村長が、その記載に接続して付録第二十三号書式による付記をし、職氏名を記して職印を押さなければならない。

別表第二(第六十条、第六十八条の二関係)

一 【略】

二【略】

注括弧内の漢字は、戸籍法施行規則第六十条第一号に規定する漢字又は第六十八条の二第一号に規定する字体であり、当該括弧外の漢字又は字体とのつながりを示すため、参考までに掲げたものである。

別表第三(第七十八条の四第四項関係)

第二十条第一項

その送付を受けたときは、その書類

戸籍法第百二十条の五第一項又は、当該通知に係る届書等情報

第二十一条第一項本文及び同項第五号

送付を

戸籍法第百二十条の五第一項又は第三項の通知を受けたとき

第三十条第五号

前項の書類の送付を受けたときは、これ

戸籍法第百二十条の五第三項の通知を受けたときは、その届書等情報

別表第四(第七十九条の二の三第一項関係)

外務省

旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第三条第一項の発給の申請に係る事実についての審査

別表第五(第七十九条の二第一項関係) 略

別表第六 (第七十九条の二の四第二項関係)略

別表第七 (第七十九条の五第一項関係)略

附録目録

附録目録 [第一号〜第二十八号略]

第二十九号第七十三条の三の書面の付記の書式

第一 戸籍の全部事項証明書 第三十二号戸籍電子証明書提供用識別符号等の様式

第二 除かれた戸籍の全部事項証明書

第三十号 届書等情報内容証明書の付記の書式

第三十一号 戸籍電子証明書等の付記の書式

第一 戸籍電子証明書提供用識別符号

第二 除籍電子証明書提供用識別符号

第三十三号 第七十九条の六第一項括弧書きの情報の書式

第一 戸籍の全部事項証明書

第二 戸籍の個人事項証明書

第三 戸籍の一部事項証明書

第四 除かれた戸籍の全部事項証明書

第五 除かれた戸籍の個人事項証明書

第六 除かれた戸籍の一部事項証明書

第三十四号第七十九条の十二第一項の書面の書式

第三十五号第七十九条の十二第四項の書面の書式

第一 戸籍の一部を証明した書面

第二 除かれた戸籍の一部を証明した書面

第三十六号第七十九条の十二第五項の書面の付記の書式

 備考表中の[]の記載及び対象規定の二重傍線を付した標記部分を除く全体に付した傍線は注記である。

附録第七号番号2、8、11、12、14、16、17、21、27、33から37まで、39、41、45、47、51、62、65、68から72まで、76、79から81まで、84、88、9 0から92まで、94、102、104、106、118、119、140、147、150、154、157、165、167、170、183、188、189、191、192、194、195、 198、205及び207中「区長から送付」を「区長から通知」に改める。

附録第七号番号6中「市長から送付」を「市長から通知」に改める。

付録第二十四号中 「【認知日】令和5年1月7日」を 「【認知日】令和7年1月7日」に、 「【送付を受けた日】令和5年1月10日」を 「【通知を受けた日】令和7年1月10日」に、 「【届出日】令和5年1月15日」 を 「【届出日】令和7年1月15日」に、 「【親権者を定めた日】令和5年1月20日」を 「【親権者を定めた日】令和7年1月20日」に、 「【民法817条の2による裁判確定日】令和5年2月12日」を 「【民法817条の2 による裁判確定日】令和7年2月12日」に、 「【届出日】令和5年2月15日」を「【届出日】令和7年2月15日」に改める。

 付録第二十五号2、6、8、11、12、14、16、17、21、27、33から37まで、39、41、45、47、51、62、65、68から72まで、76、79から81まで、84、 88、 90から92まで、94、102、104、106、118、119、140、147、150、154、157、165、167、170、183、188、189、191、192、194、 195、 198、205及び207中 「 【送付を受けた日】」を「【通知を受けた日】 」 に改める。

 附則 (施行期日)

 第一条この省令は、戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第十七号)附則第一条第五号に掲げる規定の施行の日(令和六年三月一日)から施行する。

(届書等の保存に関する経過措置)

第二条 この省令による改正前の戸籍法施行規則第四十八条第二項の規定によって送付された書類の保存については、なお従前の例による。

(請求することができる書面等に関する経過措置)

第三条 戸籍法第百二十条の二第一項の規定により第十条第一項又は第十条の二第二項の請求(本籍地の市町村長以外の指定市町村長に対してするものに限る。)をする場合においては、当分の間、戸籍又は除かれた戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面に限り、請求することができるものとする。

2 戸籍法第百二十条の三第一項の規定により第十条第一項又は第十条の二第二項の請求をする場合においては、当分の間、戸籍又は除かれた戸籍に記録された事項の全部を証明した電磁的記録に限り、請求することができるものとする。

沖縄県司法書士会信託登記研修

沖縄県司法書士会信託登記研修

令和6年2月22日

「民事信託に関する登記」

第3期民事信託士 川田光子司法書士

第1 信託目録

第2 信託の終了に伴う登記

第3 信託期間中の登記

第4 おわりに

不動産登記法97条の構造(信託の登記の登記事項)

第九十七条 信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所

 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め

 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

 信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨

 信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨

 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条に規定する公益信託であるときは、その旨

 信託の目的

 信託財産の管理方法

 信託の終了の事由

十一 その他の信託の条項

 前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。

 登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

2項について、平成19年9月28日法務省民二第2048号通達

 1項8号から11号までは抽出、という用語について、どのような方法なのか気になりました。条項の中で必要な部分を抜き出すのか、条項全てを抜きだすのか、どちらかになると思います。要約するのは、要約する人の主観による割合が大きくなり、登記官も判断することが出来ないため、難しいのではないかと思います。

不動産登記法97条1項11号

 信託の設定(年月日信託契約を締結した旨)の条項が必要か・・・任意条項です。後続登記に必要となることがあるのか、公示する必要があるのか・・・信託行為の年月日、委託者、受託者は、他の条項により公示されるので、分かりませんでした。

 信託行為に、全ての信託財産を記載する必要があるのか・・・各不動産につき、信託目録が作成されるので、不要かなと思いました。共同担保目録のような機能を果たすのかもしれませんが、一つの不動産が信託財産に属する財産ではなくなった場合、他の不動産全てについて変更登記の申請が必要なため、あえて記録する必要は、あまりないのではないかと思いました。

 残余財産の帰属権利者(信託法183条)として、〇年〇月〇日○○地方法務局種族公証人○○作成同年○○号、と記載することができるか?

・・・登記はされる。理由は却下事由に該当しないから、という消極的理由。

 当初受託者および後任受託者の指定方法について、記載する必要があるか。・・・不動産登記法97条1項1号で受託者は記載事項とされているので、当初受託者の記載は不要ではないかと思いました。後任受託者の指定方法については、後続登記申請に係わるため、必要だと思いました。

 受託者は、信託不動産に関し、受益者又は委託者を債務者とする抵当権等の担保を設定する登記手続、担保権を変更・抹消する登記手続等を行うことができる、という条項について。・・・登記手続は登記官が行う事務であり(不動産登記法9条)、受託者が可能なのは、登記の申請に限られるものと考えらえられます。

 受託者は、信託契約前に設定された根抵当権(債務者は、現在の受益者又は委託者ではない)の登記を抹消する申請をすることができるか。について・・・事前に入手できる条項であり、根抵当権の登記事項が特定されていれば、可能であると考えられます。その他信託の目的を達成するために必要であると受託者が判断する一切の行為を行うこと、と定めていた場合、信託の目的から総合判断することになると思われ、受益者の不利益にもならないことから抹消登記が可能と判断される可能性もありますが、上記のとおり事前に入手できる情報は、信託行為で特定することが望ましいと思われます。

 契約期間中に受益者に相続が発生した場合における本信託の受益者は、所定の様式による届け出書を受託者に提出することにより、指定することができる、という条項について・・・受益者が亡くなっているので、本信託の受益者はその時点でいないのではないかと思われます。そのように考えると、所定の様式による届け出書を受託者に提出するのは誰か?何を指定するのか分かりませんでした。

登録免許税7条2項の構成

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342AC0000000035

(信託財産の登記等の課税の特例)

第七条 1項略

2 信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であって、

かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、

当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあっては、

当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、

当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあっては、合併)による財産権の移転の登記又は登録と

みなして、この法律の規定を適用する。

参考

・平成29年6月22日付 東京国税局審理課長回答「信託契約の終了に伴い受益者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について」

・平成30年12月18日付名古屋国税局審理課長回答「信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について」

 

 みなし受益者(信託法183条6項)は、登録免許税法7条2項の受益者といえるのか。について・・・原則として受益者(信託法2条1項6号)ではありません。信託法183条6項により、信託の清算中に限り、受益者とみなされ、信託の清算中に限り、登録免許税法7条2項の適用を受けると考えられます。登録免許税法7条2項の、信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合は、清算は終了していると思われるので、受益者に当たらなくなると考えらえます。

(帰属権利者)

第百八十三条 1項から5項略

6 帰属権利者は、信託の清算中は、受益者とみなす。

信託終了後の登記の目的、申請人、登録免許税法7条2項の適用について。

・令和6年1月10日民二第16号民事局民事第二課長回答信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記の可否について(通知)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その他の検討事項

・民事信託を利用して、委託者兼受益者の兄弟に軍用地料などを暦年贈与することができるのか、について・・・定期金給付契約に該当しない条項を定める必要があると考えられます。

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm

・民事信託を活用して受託者以外の者が金融機関で住宅ローンを組む際に、委託者兼受益者所有の土地に担保設定することができるのか?・・・信託行為に明確に記載され、信託目録に記録されている場合、可能だと考えます。なお、私なら担保設定の際に、受益者の承諾情報の提供があることを要件とします。

・ 民事信託を活用して受託者または受託以外の者が住宅を購入、建築する際に、現金の贈与を適法に行うことができるか?について・・・信託の目的が何なのか分かりませんが、必要な条項は次のようなものが考えられます。

 受益者として、受託者、受託者以外の者を入れること。

 贈与時の信託財産の残額に対して、いくらまで贈与できるのか、具体的な計算式があること。

・節税のためにアパート建築のための信託内借入のために、民事信託を活用することについて・・・分かりませんでした。

 受託者が信託財産である土地に受託者所有の賃貸不動産を建築したいと考え、信託内容を変更して利益相反行為を予め許容する定めを信託契約書に追加して変更登記を行い、その後、信託した土地を担保にして賃貸不動産の建築資金借入を行えるか、について・・・信託内容は誰が変更したかによる面もあると考えます。私なら担保設定時に受益者の承諾書があることを要件とします。

BAMBOO INCUBATOR 投資契約書雛形『ANGELs』

https://bambooincubator.jp/template/angels

BAMBOO INCUBATOR 投資契約書雛形『ANGELs』

誤りなどありましたら、指摘願います。

構成

普通株式を発行して、エンジェル投資家に割り当てる場合の書式

・登記申請書

・臨時株主総会議事録

・株主リスト

・払込みがあったことを証する書面

・資本金計上証明書

・株主名簿

・投資契約書(普通株式)

みなし優先株式を発行して、エンジェル投資家に割り当てる場合の書式

投資契約及び株主間契約

・投資契約書(みなし優先株式)

・みなし優先株式に関する株主間合意書

発行時書式

・臨時株主総会議事録

・株主リスト

・払込みがあったことを証する書面

・資本金計上証明書

・株主名簿

優先株式への転換時書式

・合意書・同意書(転換)

・臨時株主総会議事録(転換)

経済産業省 第8回 スタートアップ・イノベーションワーキング・グループ  議事次第

令和5年3月2日(木)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2210_01startup/230302/startup08_agenda.html

普通株式を発行して、エンジェル投資家に割り当てる場合の書式

 ・登記申請書(会社法915条)

法務省 1-20 株式会社変更登記申請書(募集株式発行)

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#1-20

に準じた形になっています。

 添付書類に、株主総数引受契約書兼投資契約書(商号登記法56条)がありませんが、臨時株主総会議事録の別紙として提供する方法を採っています。臨時株主総会で私なら、登記すべき事項に原因年月日の欄を追加すると思いました。

・臨時株主総会議事録

 総数引き受け契約(会社法205条)、払込期日の方法です。総数契約書兼投資契約書で合意した株式の数を、募集株式の数の下限としています。

・株主リスト

 株主総会の年月日を記載してください、の等は、株主総会の決議の省略(会社法319条)を指しているのかなと思いました。

・株主名簿

 会社法121条の通り。

・投資契約書

 総数引受契約書(会社法205条)を兼ねています。

 定義の条項について

 反社会的勢力の分量が多いです。企業が今後、証券取引所に上場する可能性を考えた場合の細かい定義だと思います。

 官公庁、証券取引所などから出ている反社会的勢力の定義で、同じような定義を探すことが出来ませんでした。

 経営株主の定義があります。説明がある別紙には、所在地、名称、連絡先の記載欄があります。経営株主という名前から、取締役などの業務を執行する役員で、一定の割合の株式を持っている人のことを指すと想定されます。一定の割合、が過半数を指すのか、それとも発行会社によって、投資家に説明が出来れば何パーセントでも良いのか、分かりませんでした。

 資金使途条項について

 原則として発行会社は、投資家に説明した事業を遂行する目的にのみ使用、例外として事業内容を大幅に変更する場合で、投資家との協議を経たときは、可能としています。ここで協議を行う投資家は、全ての投資家を指していると思われます。投資家との協議を得て、同意を得られた場合は可能だと思いますが、同意を得られなかった場合は、発行会社が株式を買い取るのか、分かりませんでした。

 発行会社及び経営株主による事実の表明及び保証条項において

 信用状況に悪影響を及ぼすべき、の、べき、が分かりませんでした。裁判その他の法的手続又は行政・税務その他の手続、について、その他の手続として、どのような手続が考えられるのか、分かりませんでした。

 反社会的勢力に関与していないことを表明保証する特別利害関係者等、どのような立場の人なのか、分かりませんでした。

 事業の全部又は重要な一部の休廃止又は第三者への譲渡もしくは経営の委任がないことを表明保証しています。事業の重要な一部の休廃止について、休止・廃止しても経営に不都合がなければ良いのではないか、と思いましたが、私に根拠があるわけではないので、分かりませんでした。

 100万円を超える債務の不履行がないことの表明保証は、金額が分かりやすくて良いなと思いました。 

 投資家の事前の承諾を得ていない、合併、事業譲渡、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付、発行会社の主要株主(発行会社の発行済株式総数の10%以上にあたる株式を所有する株主をいう。以下同じ。)の異動、その他の企業再編又は企業譲渡行為についての交渉又はその準備の事実がないことについて、表明保証する条項となっています。主要株主の定義が出てきます。定義条項の2条に置いても良いのかなと思いました。交渉や準備に関しても、投資家の事前の承諾が必要なのだなと思いました。

 払込みの条件条項について

 書面により、というところが気になりましたが、13条で電磁的記録(Eメール等)でもよいと手当てされています。

 発行行会社及び経営株主が交付した書面及び提供した資料もしくは情報が、払込期日現在においても、重要な点において真実かつ正確であることを表明保証しています。重要な点と重要でない点は、どのように分けるのか、分かりませんでした。次号の、重大な悪影響を及ぼす事態が発生していないこと、の重大な悪影響を及ぼす事態、についても同じくです。

 事前通知条項について

 投資家に事前通知するのは、取締役会または株主総会の何日前でも良いのか、気になりました。投資家に事前通知を要する事項に株式分割が入っていないのは、株主が損をすることはないからかな、と思いました。株式併合が入っていないのは、株主総会で決議するから良い、という考えなのかなと思いました。

 経営株主の兼業、競業避止義務条項について

 経営株主は、投資家の事前の承諾がある場合は兼業可能とされています。経営株主が、兼業の承諾を求めたときの全ての投資家、という意味だと思います。競業避止義務条項についても同じ基準だと思われます。

 経営株主が自己の責に帰すべき事由により発行会社の取締役を辞任又は退任する場合には、発行会社は、(いつの時点の?全ての?)投資家と事前協議が必要とされています。辞任届を会社に提出する前に、投資家と協議をすれば、辞任の承諾を得られなくても辞任することが出来るものと思われます。投資家にとって、不意打ちにならないように、この役員が辞めるのではあれば、株式を誰かに譲渡しよう、など考える時間と機会を与えるものための条項だと想定します。

 株式の譲渡及び買取り条項について

 買取対象株式の定義が出てきます。第2条の定義条項においても良いのかなと思いました。この条項でしか使わないため、あえて第2条に置いていないかもしれません。

 買取り対象株式の価額調整に関する条項があります。

 5つある計算方法のうち、一番高い価額とされており、投資家にとって不利にならないような条項になっていると思います。

 株式の譲渡条項について

 この条項にある第三者とは、経営株主による事実の表明及び保証条項で定められている、発行会社、経営株主を含む発行会社の取締役、監査役、従業員、株主、取引先、顧問その他のアドバイザー及び特別利害関係者等、以外の人を指しているのかなと思いました。それとも、発行会社以外を第三者、としているのかもしれません。

 通知条項について

 この条項で、契約書の中で書面と定められていたものが、全て電子メールとの併用が可能となります。

 契約の終了条項について

 投資家が発行会社の株主とならなかった場合と、投資家が発行会社の株主でなくなった場合が規定されています。投資家が発行会社の株主とならなかった場合は、臨時株主総会で募集株式の発行を決議して、投資契約を締結した後、払込み期日の前後に、何かしらの事実があった場合などが考えられます。表明保証違反、払込みがされなかった(会社法209条)、など。投資家が発行会社の株主でなくなった場合は、株式を譲渡した場合などが考えられます。

 発行会社が証券取引所に株式の上場申請を行った場合には、一度契約は失効し、上場できなかった場合は、上場申請日に遡って契約は有効になることが定められています。この契約書は株式総数引き受け契約を含んでいるので、発行会社の発行済み株式の総数も減り、登記等も申請する必要があるのかなと思いましたが、上場できなかった場合の対応や投資家・発行会社の意思も想像すると違和感があります。事前通知条項などが失効する意味なのかなと思いました。

 エンジェル税制等条項について

 第一基準日・・・租税特別措置法施行規則第18条の15第8項第1号イ

 1項は、投資家による表明保証に関する規定です。

租税特別措置法施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332M50000040015

(特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等)

第十八条の十五

8 法第三十七条の十三第二項に規定する財務省令で定める書類は、次に掲げる書類(第三号に掲げる書類にあっては、同条第一項に規定する控除対象特定株式を取得した日の属する年中の同号イからハまでに掲げる事項の記載があるものに限る。)とする。

一 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める書類

イ 法第三十七条の十三第一項第一号に掲げる株式会社に該当する特定中小会社(中小企業等経営強化法施行規則第八条第五号イ又はロに該当する会社に限る。)が発行した特定株式である場合 当該特定中小会社から交付を受けた都道府県知事の当該特定株式に係る基準日(第一項各号に掲げる特定株式の区分に応じ当該各号に定める日をいう。ハ、ニ、次号及び第十項において同じ。)において(1)から(3)までに掲げる事実の確認をした旨を証する書類((4)に掲げる事項の記載があるものに限る。)

(1) 当該特定中小会社が中小企業等経営強化法施行規則第八条各号に掲げる要件に該当するものであること。

(2) 当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者による当該特定株式の取得が、当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者と当該特定中小会社との間で締結された第四項第一号に定める契約に基づき払込みによりされたものであること。

(3) 当該特定株式が特例控除対象特定株式(施行令第二十五条の十二第八項に規定する特例控除対象特定株式をいう。以下この条において同じ。)に該当する場合には、当該特定中小会社が第十項第一号に定める要件に該当するものであること。

(4) 当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者の氏名及び住所(国内に住所を有しない者にあっては、所得税法施行規則第八十一条第一号又は第二号に定める場所。以下この号において同じ。)、払込みにより取得がされた当該特定株式の数及び当該特定株式と引換えに払い込むべき額並びにその払い込んだ金額

(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)

第四十一条の十九 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、次の各号に掲げる株式会社(以下この項において「特定新規中小会社」という。)の区分に応じ当該各号に定める株式(以下この項において「特定新規株式」という。)を払込み(当該株式の発行に際してするものに限る。以下この項及び次項において同じ。)により取得(第二十九条の二第一項本文の規定の適用を受けるものを除く。以下この項及び次項において同じ。)をした場合において、当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者(当該取得をした日においてその者を判定の基礎となる株主として選定した場合に当該特定新規中小会社が法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当することとなるときにおける当該株主その他の政令で定める者であつたものを除く。)がその年中に当該払込みにより取得をした特定新規株式(その年十二月三十一日において有するものとして政令で定めるものに限る。以下この条において「控除対象特定新規株式」という。)の取得に要した金額として政令で定める金額(当該金額の合計額が八百万円を超える場合には、八百万円)については、所得税法第七十八条(同法第百六十五条第一項の規定により準じて計算する場合を含む。)の規定を適用することができる。この場合において、同法第七十八条第一項中「支出した場合」とあるのは「支出した場合又は租税特別措置法第四十一条の十九第一項(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)に規定する特定新規株式を同項に規定する払込みにより取得(同項に規定する取得をいう。以下この項において同じ。)をした場合」と、同項第一号中「の額」とあるのは「の額及びその年中に取得をした租税特別措置法第四十一条の十九第一項に規定する控除対象特定新規株式の取得に要した金額として同項に規定する政令で定める金額」と、同条第四項中「控除は」とあるのは「控除(租税特別措置法第四十一条の十九第一項の規定による控除を含む。)は」とする。

一 中小企業等経営強化法第六条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社(その設立の日以後の期間が一年未満のものその他の財務省令で定めるものに限る。) 当該株式会社により発行される株式

二 内国法人のうちその設立の日以後五年を経過していない株式会社(第三十七条の十三第一項第二号に規定する中小企業者に該当する会社であることその他の財務省令で定める要件を満たすものに限る。) 当該株式会社により発行される株式で同号イ又はロに掲げるもの

三 第三十七条の十三第一項第三号に掲げる指定会社 当該指定会社により発行される株式

四 国家戦略特別区域法第二十七条の五に規定する株式会社 当該株式会社により発行される株式で国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成二十七年法律第五十六号)附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から令和六年三月三十一日までの間に発行されるもの

五 内国法人のうち地域再生法第十六条に規定する事業を行う同条に規定する株式会社 当該株式会社により発行される株式で地域再生法の一部を改正する法律(平成三十年法律第三十八号)の施行の日から令和六年三月三十一日までの間に発行されるもの

2 前項の規定の適用を受けた控除対象特定新規株式及び当該控除対象特定新規株式と同一銘柄の株式で、その適用を受けた年中に払込みにより取得をしたものについては、第三十七条の十三第一項及び第三十七条の十三の二第一項の規定は、適用しない。

3 第一項の規定の適用を受けた場合における控除対象特定新規株式と同一銘柄の株式の取得価額の計算の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

租税特別措置法施行令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332CO0000000043

(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)

第二十六条の二十八の三 法第四十一条の十九第一項に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。

一 法第四十一条の十九第一項に規定する特定新規株式(以下この条において「特定新規株式」という。)を払込み(同項に規定する払込みをいう。以下この条において同じ。)により取得(同項に規定する取得をいう。以下この条において同じ。)をした日として財務省令で定める日において、財務省令で定める方法により判定した場合に当該特定新規株式を発行した特定新規中小会社(同項に規定する特定新規中小会社をいう。以下この条において同じ。)が法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当することとなるときにおける当該判定の基礎となる株主として財務省令で定める者

二 当該特定新規株式を発行した特定新規中小会社の設立に際し、当該特定新規中小会社に自らが営んでいた事業の全部を承継させた個人(以下この項において「特定事業主であつた者」という。)

三 特定事業主であつた者の親族

四 特定事業主であつた者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者

五 特定事業主であつた者の使用人

六 前三号に掲げる者以外の者で、特定事業主であつた者から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの

七 前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族

八 前各号に掲げる者以外の者で、特定新規中小会社との間で当該特定新規株式に係る投資に関する条件を定めた契約として財務省令で定める契約を締結していないもの

 1項1号では、投資家が寄付金控除の適用を受けようとする場合、その前提条件(発行会社と資本上の関係があること、親族ではないこと。)を表明保証しています。

租税特別措置法

特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等)

第二十九条の二 会社法(平成十七年法律第八十六号)第二百三十八条第二項の決議(同法第二百三十九条第一項の決議による委任に基づく同項に規定する募集事項の決定及び同法第二百四十条第一項の規定による取締役会の決議を含む。)により新株予約権(政令で定めるものに限る。以下この項において「新株予約権」という。)を与えられる者とされた当該決議(以下この条において「付与決議」という。)のあつた株式会社若しくは当該株式会社がその発行済株式(議決権のあるものに限る。)若しくは出資の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式(議決権のあるものに限る。)若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係その他の政令で定める関係にある法人の取締役、執行役若しくは使用人である個人(当該付与決議のあつた日において当該株式会社の政令で定める数の株式を有していた個人(以下この項及び次項において「大口株主」という。)及び同日において当該株式会社の大口株主に該当する者の配偶者その他の当該大口株主に該当する者と政令で定める特別の関係があつた個人(以下この項及び次項において「大口株主の特別関係者」という。)を除く。以下この項、次項及び第六項において「取締役等」という。)若しくは当該取締役等の相続人(政令で定めるものに限る。以下この項、次項及び第六項において「権利承継相続人」という。)又は当該株式会社若しくは当該法人の取締役、執行役及び使用人である個人以外の個人(大口株主及び大口株主の特別関係者を除き、中小企業等経営強化法第十三条に規定する認定新規中小企業者等に該当する当該株式会社が同法第九条第二項に規定する認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画(当該新株予約権の行使の日以前に同項の規定による認定の取消しがあつたものを除く。)に従つて行う同法第二条第八項に規定する社外高度人材活用新事業分野開拓に従事する同項に規定する社外高度人材(当該認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画に従つて当該新株予約権を与えられる者に限る。以下この項において同じ。)で、当該認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画の同法第八条第二項第二号に掲げる実施時期の開始の日(当該認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画の変更により新たに当該社外高度人材活用新事業分野開拓に従事することとなつた社外高度人材にあつては、当該変更について受けた同法第九条第一項の規定による認定の日。次項第二号において「実施時期の開始等の日」という。)から当該新株予約権の行使の日まで引き続き居住者である者に限る。以下この条において「特定従事者」という。)が当該付与決議に基づき当該株式会社と当該取締役等又は当該特定従事者との間に締結された契約により与えられた当該新株予約権(当該新株予約権に係る契約において、次に掲げる要件(当該新株予約権が当該取締役等に対して与えられたものである場合には、第一号から第六号までに掲げる要件)が定められているものに限る。以下この条において「特定新株予約権」という。)を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権に係る株式の取得をした場合には、当該株式の取得に係る経済的利益については、所得税を課さない。ただし、当該取締役等若しくは権利承継相続人又は当該特定従事者(以下この項及び次項において「権利者」という。)が、当該特定新株予約権の行使をすることにより、その年における当該行使に際し払い込むべき額(以下この項及び次項において「権利行使価額」という。)と当該権利者がその年において既にした当該特定新株予約権及び他の特定新株予約権の行使に係る権利行使価額との合計額が、千二百万円を超えることとなる場合には、当該千二百万円を超えることとなる特定新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益については、この限りでない。

1項各号、2項以下略―

 1項2号は、投資家が、大口株主、大口株主の特別関係者、取締役等、権利承継相続人に該当しないことを表明保証する規定です。

租税特別措置法施工令

(特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等)

第二十五条の十二

8 法第三十七条の十三第一項の居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、その年中に取得をした同項に規定する控除対象特定株式(同項第一号又は第二号に掲げる株式会社でその設立の日以後の期間が五年未満の株式会社であることその他の財務省令で定める要件を満たすもの(次項及び第十項第一号ロにおいて「特例株式会社」という。)の特定株式に係るものに限る。以下この項において「特例控除対象特定株式」という。)の取得に要した金額の合計額につき同条第一項の規定の適用を受けた場合において、当該適用を受けた金額として財務省令で定める金額(以下この項において「適用額」という。)が二十億円を超えたときは、その適用を受けた年(以下この項及び次項において「適用年」という。)の翌年以後の各年分における所得税法第四十八条の規定並びに所得税法施行令第二編第一章第四節第三款及び第百六十七条の七第四項から第七項までの規定並びに第二十五条の十二の四第四項の規定の適用については、これらの規定により当該各年分の必要経費又は取得費に算入すべき金額の計算の基礎となる当該適用年に法第三十七条の十三第一項の規定の適用を受けた特例控除対象特定株式(以下この条において「特例適用控除対象特定株式」という。)に係る同一銘柄株式一株当たりの同令第百五条第一項の規定により算出した取得価額は、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額とし、当該同一銘柄株式一株当たりの同令第百十八条第一項の規定により算出した必要経費に算入する金額及び取得費に算入する金額は、当該控除に準じて計算した金額とする。

一 当該特例適用控除対象特定株式に係る同一銘柄株式一株当たりの当該適用年の十二月三十一日における所得税法施行令第百五条第一項の規定により算出した取得価額

二 当該特例適用控除対象特定株式に係る適用年の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を当該適用年の十二月三十一日において有する当該特例適用控除対象特定株式に係る同一銘柄株式の数で除して計算した金額

イ 当該適用年において当該特例適用控除対象特定株式以外の特例適用控除対象特定株式(ロにおいて「他の特例適用控除対象特定株式」という。)がない場合 適用額から二十億円を控除した残額

ロ 当該適用年において他の特例適用控除対象特定株式がある場合 適用額から二十億円を控除した残額に、当該特例適用控除対象特定株式の取得に要した金額(第三項の規定により計算される同項に規定する取得に要した金額をいう。ロにおいて同じ。)と当該他の特例適用控除対象特定株式の取得に要した金額との合計額のうちに占める当該特例適用控除対象特定株式の取得に要した金額の割合を乗じて計算した金額

 1項3号は、投資家が株式取得後に株式の数の変更があった場合、発行会社へ報告することを表明保証する規定です。ただし書きとして、寄付金控除を受けようとする適用年に、特定株式の取得に要した金額が20億円以下の場合は、報告しなくても良い、としています。

 20億円を超えることはあまりないと思われるので、報告義務が生じることはないのかなと思いました。

 2項は発行会社による誓約事項です。

 1号は、投資家が寄付金控除を受ける場合には、必要な書類を作成し、投資家に交付することを誓約しています。

中小企業等経営強化法施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411M50000400074_20230401_505M60000400021

(特定新規中小企業者に係る株式の払込みの確認)

第十一条 法第七条の規定による確認を受けようとする法第六条に規定する特定新規中小企業者は、その発行する株式を払込みにより取得した個人ごと(第九条第一項の確認を受けた特定新規中小企業者が、その発行する株式の払込みの期日又はその期間を複数回定めた場合にあっては、個人及び当該期日又は当該期間ごと)に、様式第六による申請書一通を都道府県知事に提出するものとする。

2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付するものとする。

一 当該特定新規中小企業者(第九条第一項の確認を受けていないもの及び同項の確認を受けた後にその主たる事務所を他の都道府県に移転したものに限る。以下この号において同じ。)が法第六条に規定する要件に該当することを証する書類として次に掲げる書類

イ 登記事項証明書

ロ 基準日(第一項に規定する株式の払込みの期日(払込みの期間を定めた場合にあっては、出資の履行をした日)又は当該株式が当該特定新規中小企業者の設立に際して発行された場合は、当該設立の日(当該特定新規中小企業者が第八条第五号ハに該当する会社である場合は、当該設立の日の属する年十二月三十一日)をいう。ニ及び第二号イからハまでにおいて同じ。)におけるその株主名簿

以下略―

 2号は、投資家が払込みを行う際において、発行会社が寄付金控除を受けることが出来る会社であることを誓約しています。

中小企業等経営強化法施行規則

第十条 前条第一項の規定による確認を受けようとする新規中小企業者は、同項の確認に加え、次に掲げる要件のいずれかに該当することについて、都道府県知事の確認を受けることができる。この場合においては、前条第二項の様式第一による申請書に代えて、様式第二による申請書を都道府県知事に提出するものとする。

一 設立の日以後の期間が一年未満の会社(設立事業年度を経過していないものに限る。)であって、事業の将来における成長発展に向けた事業計画を有するもの

二 次のイ及びロのいずれにも該当するものであること。

イ 設立の日以後の期間が五年未満の会社であって、設立後の各事業年度における営業活動によるキャッシュ・フロー(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和三十八年大蔵省令第五十九号)第百十二条第一号に掲げる営業活動によるキャッシュ・フローをいう。)が零未満であるもの

ロ 次の(1)から(4)までのいずれかに該当するもの

(1) 設立の日以後の期間が一年未満の会社(設立事業年度を経過しているものに限る。)であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの又は第八条第五号イ(2)若しくは(3)に該当するもの

(2) 設立の日以後の期間が一年以上二年未満の会社であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの、売上高成長率が百分の百二十五を超えるもの又は第八条第五号イ(3)に該当するもの

(3) 設立の日以後の期間が二年以上三年未満の会社であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの又は売上高成長率が百分の百二十五を超えるもの

(4) 設立の日以後の期間が三年以上五年未満の会社であって、前事業年度において試験研究費等合計額の収入金額に対する割合が百分の五を超えるもの

以下略―

 3号は、発行会社が設立の日から一定の期間を経過していないことなどを誓約しています。

中小企業等経営強化法施行規則

第十二条 第八条第五号イ又はロ及び第六号イ又はロに掲げる要件に該当する特定新規中小企業者(第十条第一項の確認を受けていないものに限る。)は、前条第一項の確認に加え、第十条第一項第一号又は第二号に該当することについて、都道府県知事の確認を受けることができる。この場合においては、前条第一項の様式第六による申請書に代えて、様式第七による申請書を都道府県知事に提出するものとする。

2 第十条第二項及び第三項の規定は、前項の確認の申請について準用する。この場合において、第十条第二項中「同条第二項」とあるのは「同条第一項」と、同条第三項中「新規中小企業者」とあるのは「特定新規中小企業者」と、「様式第五」とあるのは「様式第十二」と読み替えるものとする。

4号は、投資家が寄付金控除を受けようとする場合、都道府県知事による確認書を交付することを誓約しています。

租税特別措置法施行規則第18条の15

8項

三 当該特定株式を発行した特定中小会社(当該特定中小会社であつた株式会社を含む。)から交付を受けた当該特定株式を払込みにより取得をした当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者が有する当該特定中小会社の株式の当該取得の時(当該取得の時が二以上ある場合には、最初の取得の時)以後の当該株式の異動につき次に掲げる事項がその異動ごとに記載された明細書

イ 異動事由

ロ 異動年月日

ハ 異動した株式の数及び当該異動直後において有する株式の数

ニ その他参考となるべき事項

以下略―

 5号は、株式の異動についての明細書を、投資家に交付することを誓約しています(投資家が税制上の減免を求めるときには、それに応じた様式。)

6号は、発行会社に、投資契約が終了するような事実が生じた場合は、その事実を証する書面を作成し、投資家に交付することを誓約しています。

 7号は、発行会社が、投資家が寄付金控除を受けることが出来る状態であることを確認できる情報、書類を投資家に交付することを誓約しています。

参考

中小企業庁 投資契約書のひな形について

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/shikinguri/equityfinance/index.html

経済産業省 エンジェル投資に対する措置

https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angeltax/investment.html

弁護士法人アインザッツ エンジェル税制の体系について

https://einsatz.law/blog/angel-tax-system/

一般社団法人Fintech協会

20231208_スタートアップに対する株式投資にかかる契約書雛形の公表について_FAJ-1

https://fintechjapan.org/news/14365/

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