2024/12/20沖縄県司法書士会「民事信託研修会」

2024/12/20沖縄県司法書士会「民事信託研修会」伊庭潔弁護士

・民事信託の契約書作成業務とコーディネーター業務がある。

・遺言信託も増えている。

民事信託を活用する事例中、将来の施設利用料の工面についての相談-不動産の処分(定期預金の解約)については、居住用不動産の売却許可審判を考慮しても、後見制度で対応できる可能性があると考えます。

 「親亡き後」の問題について、信託契約作成時点で残余財産の帰属先として寄付先と定める形になっており、信託当初から寄付先を決めることが出来るのか、分かりませんでした。

 積極財産しか信託できない、と法律には書いていない?

 信託財産の処分を認めないケースの信託の目的として、帰属権利者〇及び帰属権利者〇が信託財産を確実に承継すること。の記載がありますが、この記載で信託財産をその性状のまま承継することであり、処分(換価)を認めない、と解釈することにはならないのかなと思います。

 不動産の「瑕疵」について、委託者と受託者の内部取決めの条項(契約不適合責任(民法 562条以下)、土地工作物責任(民法717条))は、受託者が委託者に請求する権利があることになっています。委託者が亡くなっている場合は誰に請求するのか、分かりませんでした。

 委託者の権利と委託者の地位は異なりますが、基本的な条項例では(委託者の権利)となっており、分かりませんでした。委託者の地位は、民法の相続一般原則により、委託者の相続人に相続される。私人間の合意で「委託者の地位」の相続性は否定できない。とレジュメに記載がありますが、次の基本条項例では、委託者の地位は受益権を取得する者に移転する。という条項が示されています。

 沖縄県の三つの地銀では、信託口口座の開設が出来る、というコメントがありましたが、沖縄海邦銀行については、2024/12/20現在、口座名義に信託口と記載される屋号口座以上の効果はありません。

 レジュメでは受益債権の内容と記載があり、基本条項例では(受益権の内容)となっています。なぜ異なるのか分かりませんでした。受益権は信託法で法定されており、制限が出来ないので、受益債権のみ定めることで足りるという趣旨なのかなと考えました。

 東京高判令和6年2月8日(ウエストロー・ジャパン)は、被控訴人(受益者)による主張、立証が不十分であったことが原因。

 信託契約書の基本条項例を基に作成する場合、アレンジする箇所

 信託目的、信託事務、受益債権の内容、信託の終了事由、帰属権利者又は残余財産受益者。

 受益権は1個しかない、各不動産について1個の受益権を設定しておく、とのコメントについて・・・受益権は信託行為で何個でも設定可能です。金銭のみであれば、1円に付き1個、という受益権の定め方も可能です。

 民事信託と遺産分割協議。信託契約書において、委託者の死亡により受益権が消滅しないことを定める。

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』第13章家族信託の基本・関連知識と日弁連のガイドライン等

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令、第13章 家族信託の基本・関連知識と日弁連のガイドライン等

Q1001、家族信託を用いる際にあり得るリスク、信託設定の後、委託者の気が変わって、信託の終了などが生じてしまうリスク、について・・・信託行為が信託契約の場合、一方当事者の意思表示により契約終了となることは双務契約一般にあり得ることで、リスクといえるのか分かりませんでした。

Q1005、家族信託と信託会社等による信託の違い、例えば、弁護士や司法書士が就任する専門職後見人であっても、毎年、横領事件が報道されるわけであるから、専門職や信託会社といえども完全に信用することは難しい世の中なのかもしれない。について・・・(一社)信託協会発行の会報信託には、ほぼ毎号、信託相談所という項目があり、営業信託業務に関する相談・照会、それに対する回答や対応状況が記載されており、一定の参考になると思います。

Q1007、家族信託の基本的な形、自己信託は、それほどには利用されていないようであるが、それは、多くの家族信託が認知症対策であることからであろう(受託者が認知症となってしまったら、にっちもさっちもいかなくなる現状がある)。について・・・自己信託が利用されていない理由は、残余財産の受益者(信託法182条1項1号)が受益者として認められない法解釈・運用がされているからだと考えます。税務上、贈与税回避のためには、信託設定時には自益信託にする必要があり、受益者も委託者となります。受託者兼受益者は禁止事項(信託法8条)、その状態が一年間経過すると信託の終了事由となります(信託法163条1項2号)。よって、税務の特例を認めるか、信託法の解釈を変更することが必要だと考えます。受託者の認知症は、予備の受託者を定めることで対応可能です。

Q1010、家族信託が利用可能な場合とは、委託者の推定相続人全員の同意(協力)が得られる場合である。について・・・私なら、障害を持ち判断能力を喪失している方を除いて、と追加します。浪費者対策としても利用可能ですが、紛争可能性を考えると、司法書士ではなく弁護士が相談を受けるのが適切かもしれません。

P1234、家族内における高齢者虐待や遺棄の発生なども、決して珍しいことではなかろう。について・・・任意後見契約を締結していない場合、締結していても任意後見人選任審判開始の申立てが見込めない場合は、法定後見制度の利用で対応することになると考えます。

P1251、生前の契約信託の設定であれば、受託者と協力して調整しながら信託を設定できるが、死後の遺言信託では、そのようなわけにはいかない。について・・・信託期中のことをいっているのであれば、その通りだと思います。信託設定の場面においては、受託者と調整することが可能なので当てはまらないと考えます。

Q1025、家族信託と銀行借り入れ、□家族信託に対する融資を実行する際に、金融機関は、高齢者である委託者兼受益者の意思確認を行うので、既に認知症を発症し、判断能力が減退した状況では難しい、について・・・裁量信託で記載のようなことが行われているとすると、信託をする意味がなくなるのではないかと思います。金融機関が、融資実行時に高齢者である委託者兼受益者の意思確認を行う根拠が分かりませんでした。根拠があると仮定して、判断能力が減退した状況であれば任意後見制度、法定後見制度、受益者代理人の定めを利用することにより、対応可能ではないかと思います。

Q1070、濫用的撤回不能信託への対処、について。信託法165条1項による申立てを選択肢に入れても良いのではないかと考えます。信託の終了を受託者と受益者の合意とする場合の例外として、受益者が受託者に対して、宣誓供述書により信託の終了を告げた場合を入れる余地もあるように思いました。

Q1076、家族信託と債務、信託法21条1項3号の場合、士業者が間違わないように注意すべきことは、一旦、民法上の債務引受によって、受託者の債務にしなければならないという点であり、委託者の信託前の債務は、信託行為の定めをしただけでは信託財産責任負担債務とはならないという点である、について・・・債務引受は、免責的債務引受が望ましいと思いますが併存的債務引受が現実的なのかなと思いました(道垣内弘人編『条解信託法』2017年弘文堂P101)。

Q1095、「信託口」口座の申込みのタイミング、金融機関の提携する専門家が作った契約でないと受け付けてくれないような場合、について・・・記事の引用に同意です。

Q1127、日公連と日弁連の勉強会による受益者、また、勉強会は、受益者を特定する事項として、氏名、住所、生年月日があれば足りるとしているが、本籍も記載しておくほうが、他の者が、後に関係者を追跡するのに便宜であるとしているが、本籍の記載については、センシティブ情報であり、消極に解すべきとの金森健一弁護士による指摘がある。について・・・本籍を、親族以外の他の者が追跡する必要が場面として、どのようなケースがあるのか分かりませんでした。

Q1152、家族信託の組成時における確定測量の要否について・・・隣地が多数、隣地の所有者が多数で共有の場合もあるので、図面を確認することは必要だと思いました。

Q1161、自家用車の信託

自動車登録令

https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000256#Mp-Ch_3-Se_4

(信託の登録の申請書)

第六十一条信託の登録の申請書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所

二受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め

三信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

四受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所

五信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨

六信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨

七公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条に規定する公益信託であるときは、その旨

八信託の目的

九信託財産の管理方法

十信託の終了の事由

十一その他の信託の条項

2前項の申請書に同項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを記載したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を記載した場合にあつては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名又は名称及び住所を記載することを要しない。

3運輸監理部長又は運輸支局長は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、国土交通省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

Q1168、日本で最初の家族信託の実態調査、一般社団法人が受託者となる場合は、委託者の親族だけではなく、専門家もその社員とすることで運営の適切性を確保しようとする例があるが、専門家が受託者の社員となる場合、その態様によっては専門家が受託者となっているのと変わらず、信託業に該当すると解されるリスクもあると考え、受託者の社員となるのを避ける専門家もいる。について・・・社員に加えて理事・監事についても同様にいえると思います。

P1459、信託口口座開設手数料の要否。・・・手数料不要が3割未満であるということが驚きでした。県内金融機関は今のところ無料ですが、今後は有料になる可能性もあるかもしれません。

参考 

「FATF 勧告25(法的取極)に関する調査」最終報告書

2024年3月26日 有限責任 あずさ監査法人

民事信託の形態および基本的特徴、基本情報および実質的支配者情報の取得プロセス

市民と法No.150/2024年12月号

市民と法No.150/2024年12月号、民事法研究会

http://www.minjiho.com/shopbrand/ct238/

 永代借地権の取引をめぐって

 九州大学教授 七戸克彦

法務省 最近の主な判決一覧 令和4年4月15日東京地裁所有権確認請求事件平成31年(ワ)第6071号

https://www.moj.go.jp/shoumu/shoumukouhou/shoumu01_00023.html

判示事項

1 不動産登記の表題部及び権利部甲区欄に所有者が明記されていない土地の登記簿上の地上権者が、国が元所有者であることを前提に、当該土地の地上権はいわゆる永代借地権であり、昭和17年に勅令によって所有権に転換した等として、国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えにつき、国が、当該土地について、所有権等の法律上の利益の存在を主張しておらず、また、当該土地のかつての所有者であったとも認められないなどの事情の下では、確認の利益を欠くとされた事例

2 国を被告とする土地の所有権確認訴訟につき、国が、当該土地について、所有権等の法律上の利益の存在を主張しておらず、また、当該土地のかつての所有者であったとも認められない場合における当該訴訟の勝訴判決は、不動産登記法74条1項2号の確定判決には該当しないとされた事例

横浜地裁平成30年(行ウ)第69号 令和1年12月11日判決所有権保存登記申請却下処分取消請求事件

https://shoumudatabasep.moj.go.jp/hanreiSearch/HanreiSearchRusult?storage_valid_flg=true

行政事件 訟務月報第六六巻四号 四四六ページ

1 不動産登記法74条1項2号の「確定判決」の意義

2 不動産登記法74条1項2号の「確定判決」該当性の登記官の審査権限

帝国ノ臣民又ハ法人ニ於テ外国人又ハ外国法人ノ為ニ永久存続ノ意思ヲ以テ設定シタル地上権又ハ賃借権ヲ取得シタル場合ニ関スル件・御署名原本・明治三十二年・勅令第三百三十三号

https://www.digital.archives.go.jp/DAS/meta/Detail_F0000000000000018177

【特集】司法書士の可能性を探る(上)

[1]司法書士の可能性をめぐって

   大阪大学教授 仁木恒夫

 事務所経営。

[2]社会問題と司法書士

   甲南大学教授 早瀬勝明

 法令の趣旨まで考える。手続完了まで可能か。

[3]家族問題と司法書士

   新潟大学教授 田巻帝子

 成年後見制度。相続。

[4]消費者問題と司法書士

   中央大学教授 宮下修一

 簡易裁判所の管轄事件における司法書士関与率の減少。

[5]障害者支援と司法書士

   同朋大学教授 汲田千賀子

 司法書士と地域包括支援センターが関わるケース。

[6]若年者支援と司法書士

   関西学院大学准教授 橋場典子

 成年年齢引下げと消費者教育。

[7]被災者支援と司法書士

   専修大学教授 飯 考行

日本司法書士会連合会 災害対策

https://www.shiho-shoshi.or.jp/activity/rescue_fund

[8]生活困窮者支援と司法書士

   上智大学准教授 鏑木奈津子

 生活困窮者自立支援制度。

[9]外国人支援と司法書士

   埼玉県立大学准教授 保科寧子

 保科寧子「支援に困難を感じる外国人の相談援助事例からみた生活課題調査」2020年4月

https://researchmap.jp/hoshina-yasuko/published_papers/31543384

対談

 生成の司法の世界に対するインパクト

 アンティーユ大学教授 サミール・メラベ

 日本司法書士会連合会会長・司法書士 小澤吉徳

 立教大学教授 幡野弘樹〔訳〕

2024 年 6 月 7 日更新 フランス法務省 Data Just

https://www.justice.fr/donnees-personnelles/datajust

相続・今昔ものがたり(45)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続の欠格(その1)

事例44-5 家督相続(被相続人A男(沖縄県に本籍、住所を有する者))(沖縄)

論点・争点

 司法書士は民事信託契約書の作成業務ができるのか(1)

 司法書士 渋谷陽一郎

 新たな権利義務を発生させる案件、という記載がある裁判例の紹介。

すぐに使える! 資産税の豆知識51

 家族信託の事務から不動産譲渡の事務まで  税理士 福壽一雄

 税理士による信託契約書作成。信託不動産を売却する場合の譲渡取得税の計算について。

月刊登記情報2024年12月号757号

月刊登記情報2024年12月号757号(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

CONTENTS 法窓一言 

事業価値把握のための担保権の議論動向

島田法律事務所 弁護士 本多知則

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00226.html

法制審議会担保法制部会第41回会議(令和5年11月22日開催)部会資料38 担保法制の見直しに関する要綱案のとりまとめに向けた検討⑼

 ある事業によって発生する債権に集合債権譲渡担保権が設定されていると共にその事業を営むのに必要な財産についても別途担保権が設定されている場合において、その事業を継続して営むことによって得られる利益が見込まれるときには、少なくとも、その利益を勘案した上で、当該事業を営むのに必要な財産の評価を行い、それに基づく別除権協定を締結することは必ずしも再生債務者の義務には反しないように思われる。・・・固定化にかかわらず、継続事業価値による評価を肯定するものと解される。

民法等の一部を改正する法律(家族法制の見直し)の概要

法務省民事局参事官 北村治樹

法務省民事局付 太田健介

法務省民事局付 今村謙介

現行民法

(親権者)

第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。

2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

改正民法

(親権)

第八百十八条 親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。

2 父母の婚姻中はその双方を親権者とする。

3 子が養子であるときは、次に掲げる者を親権者とする。

一 養親(当該子を養子とする縁組が二以上あるときは、直近の縁組により養親となった者に限る。)

二 子の父母であって、前号に掲げる養親の配偶者であるもの

(一般の先取特権)

第三百六条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。

一 共益の費用

二 雇用関係

三 子の監護の費用

四 葬式の費用

五 日用品の供給

・・・合意を証明する情報が必要。

(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)

第七百六十六条の三 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。

一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日

二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日

三 子が成年に達した日

2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。

3 家庭裁判所は、第七百六十六条第二項又は第三項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第一項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

・・・原則として、債務者の収入に関わらず一定額。

「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて」の解説

法務省民事局付 森下宏輝

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

法務省民事局民事第二課補佐官 太田裕介

法務省HP

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00589.html

住所変更登記は、虚無人名義の登記を防止するという制度の趣旨から外れるので、通達の対象外。

 外国の政府等や公証人の作成する書面は、不動産登記令17条1項に該当しない。

不動産登記令(代表者の資格を証する情報を記載した書面の期間制限等)

第十七条第七条第一項第一号ロ又は第二号に掲げる情報を記載した書面であって、市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成したものは、作成後三月以内のものでなければならない。

2前項の規定は、官庁又は公署が登記の嘱託をする場合には、適用しない。

境界紛争調停手続における留意事項

摂南大学法学部特任教授 田中 敦

 公正と公正らしさ。中身の公正と、外面の公正らしさが求められる。調停委員として、名前を言うか言わないかは、当事者をみて考えていきたい。修正写真、望遠写真に気を付ける。専門用語の翻訳。折り合えるように、抽象的にいう。

BOOK REVIEW 金森真吾 著 『供託法・供託規則コンメンタール』

【評者】早稲田大学教授 山野目章夫

供託規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50000010002/#Mp-Ch_4

(供託金利息)第三十三条供託金利息は、一年について〇・〇〇一二パーセントとする。

2供託金利息は、供託金受入れの月及び払渡しの月については付さない。供託金の全額が一万円未満であるとき、又は供託金に一万円未満の端数があるときは、その全額又はその端数金額に対しても同様とする。

狭あい道路の解消に向けた取組み

国土交通省住宅局市街地建築課課長補佐 中世古英昭

 国土交通省 狭あい道路対策に関するガイドラインについて(令和6年3月)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000082.html

更新日:2019年3月18日 那覇市狭あい道路整備事業の改正について「事前協議制度の導入」

https://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/life/kentiku/todokede/kyouai.html

士業法人に関する出資持分の承継問題と運営における注意点

税理士 柿沼慶一

2023年6月14日東京都税理士会調査研究部「税理士法人出資の評価について」

https://www.tokyozeirishikai.or.jp/news/tax_accountant/detail/1885.html

 税理士法人は税理士法に基づき、社員を税理士に限定した特別法人であり、会社法上の合名会社に準ずる。社員を税理士に限定しているので、社員死亡時に出資持分の相続は認められていない。払戻請求権に転化し、配当所得課税、源泉所得税課税。相続人が税理士でも同じ。税理士法48条の21は、会社法608条を準用していない。

 死亡以外の退社、社員の入社時の課税関係。

国税庁 「持分会社の退社時の出資の評価」

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/13/03.htm

 各士業法人の制度比較。

NEWS 戸籍に氏名の振り仮名を記載する取組が始まります!~皆様のお手元に通知が届いたら~

法務省民事局民事第一課

 施行日は2025(令和7)年5月26日。振り仮名通知は、戸籍単位で送付される予定。通知の振り仮名と実際の振り仮名が違う場合、2026(令和8)年5月25日までに市町村に届け出ることが重要。

商業登記規則逐条解説 第24回

土手敏行

(登記申請の方法)

第百二条前条第一項第一号の規定により登記の申請をするには、申請人又はその代表者若しくは代理人(以下この章において「申請人等」という。)は、法務大臣の定めるところに従い、法令の規定により申請書に記載すべき事項に係る情報に第三十三条の四に定める措置を講じたもの(以下「申請書情報」という。)を送信しなければならない。

2申請人等は、法令の規定により登記の申請書に添付すべき書面(法第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。)があるときは、法務大臣の定めるところに従い、当該書面に代わるべき情報にその作成者(認証を要するものについては、作成者及び認証者。第五項において同じ。)が前項に規定する措置を講じたもの(以下「添付書面情報」という。)を送信しなければならない。ただし、添付書面情報の送信に代えて、登記所に当該書面を提出し、又は送付することを妨げない。

3申請人等(委任による代理人を除く。)が登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該申請人等が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一第三十三条の八第二項(他の省令において準用する場合を含む。)に規定する電子証明書

二電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律第三条第一項の規定により作成された署名用電子証明書

三電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第八条に規定する認定認証事業者が作成した電子証明書(電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第四条第一号に規定する電子証明書をいう。)その他の電子証明書であつて、氏名、住所、出生の年月日その他の事項により当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

四官庁が嘱託する場合にあつては、官庁が作成した電子証明書であつて、登記官が当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

4委任による代理人によつて登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該代理人が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一前項各号に掲げる電子証明書

二当該措置を講じた者を確認することができる電子証明書であつて、前号に掲げるものに準ずるものとして法務大臣の定めるもの

5申請人等が添付書面情報を送信するときは、次の各号に掲げる情報の区分に応じ、それぞれ当該情報の作成者が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて当該各号に定めるものを併せて送信しなければならない。

一委任による代理人の権限を証する情報 第三項各号に掲げる電子証明書

二前号に規定する情報以外の情報 前項各号に掲げる電子証明書又は指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令第三条第一項に規定する指定公証人電子証明書

 3項1号は、商業登記電子証明書。3項2号はマイナンバーカードによる電子証明書。3項3号はセコムパスポートfor G-IDなど。3条4項は政府認証基盤発行の官職証明書、地方公共団体組織認証基盤発行の職責証明書。

 令和3年3月1日施行、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)以後は、オンラインによる登記の申請と同時に印鑑届書が提出されることは、原則ではなく例外という位置づけになるから、登記官は印鑑届書の到達を待つことなく登記を処理する。

 4項は登記申請の代理人が利用可能な電子証明書の定め。4項2号の電子証明書には、生年月日の情報がなくてもよい。旧氏が併記されている電子証明書の取扱い。

 5項2号はリモート署名。クラウドサインなど。登記所は、電子署名の有効性と、電子署名の情報に書面に代えて作成した情報の名義人がその作成に関与している情報が記録されていることを確認する。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑹―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 会社設立登記を司法書士が代理申請した事例。 

 判例解説 

1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合における保全の必要性の有無(最三小決令5・10・6)

 保全の必要が認められる場合・・・分筆の登記を申請することができない場合や、それが著しく困難な場合。

登記研究59号P26、昭和27年9月19日民事甲第308号民事局長回答 「登記及び台帳事務の取扱について」・・・一筆の土地の一部分について処分禁止の仮処分命令を得た債権者は、その仮処分命令正本を代位原因を証明する書面として、債務者に代位して分筆の登記を申請することができる。

 昭和27年回答の後、分筆の登記の申請に必要な情報として地積測量図が定められた。不動産登記規則78条など。地積測量図を作成することが可能であれば、土地の全部について処分禁止の仮処分命令は認められない。地積測量図を作成することが難しいときは、そのことを陳述、疎明して申立てをしてみる。

実務の現場から

司法書士業務とエンジェル投資家コミュニティの運営

司法書士法人丸山洋一郎事務所 丸山洋一郎

 沖縄県で1年半動いてみましたが、無理でした。

THINK司法書士論叢会報第122号

THINK司法書士論叢会報第122号2024年、日本司法書士会連合会

https://www.shiho-shoshi.or.jp/gallery/think/index

社会的マイノリティの人たちの財産をめぐる諸問題-相続と財産承継を中心として

早稲田大学法学学術院教授 棚村政行

 令和6年3月22日出入国在留管理庁「令和5年末現在における在留外国人数について」・・・令和5年末の在留外国人数は、341万992人(前年末比33万5,779人、10.9%増)で、過去最高を更新

https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00040.html

 2023.10.19電通グループ「LGBTQ+調査2023」・・・パートナーシップ制度のある自治体に住む回答者のうち68.5%(当事者層58.4%、非当事者層69.4%)が制度の存在を知らないという結果

https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001046.html

2024/09/05国立国会図書館更新 法務省「新種契約についての裁判例の動向に関する調査研究報告書」

https://dl.ndl.go.jp/pid/13737863

法の適用に関する通則法

https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000078

(相続)

第三十六条相続は、被相続人の本国法による。

(物権及びその他の登記をすべき権利)

第十三条動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。

2前項の規定にかかわらず、同項に規定する権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法による。

(不法行為)

第十七条不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。

名古屋地方裁判所平成15年12月26日判決 民事第7部平成7(ワ)4179号

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=7587

P69・・・本件では,本件事故により死亡した台湾居住被害者に係る損害賠償請求権の成立,その効力は日本法により,当該賠償請求権の請求権者は被害者の相続人とされるから,被相続人たる被害者が台湾人である場合には,その本国法である台湾法によって決せられる相続人がその相続分に応じて賠償請求権を取得するものである。

最高裁判所第三小法廷平成6年3月8日判決平成2(オ)1455号土地持分移転登記抹消登記、土地建物持分移転登記抹消登記等、民集 第48巻3号835頁

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52460

 中華民国(台湾)籍の被相続人が日本に残した土地・建物について、日本人の母が子らの相続持分を親権者として第三者に譲渡する契約を締結し、所有権移転登記完了。

 子らから、中華民国法上、分割前の遺産の共有は「合同共有(合有)」(中華民国民法1151条)であり、その処分には共有者全員の合意が必要であり処分は無効と主張。

結論・・・共同相続人が遺産分割前の遺産の持分を処分しうるか否かは相続の効果の問題として相続準拠法に依るが、その処分が権利移転の効果を生ずるかどうかは、物権の問題として目的物の所在地法(法の適用に関する通則法13条2項)により、処分権制限について公示方法もないことから、日本法により処分は有効。

法の適用に関する通則法(遺言)

第三十七条遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。

2遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。

ドイツ連邦共和国大使館・総領事館

https://japan.diplo.de/ja-ja/service/2097590-2097590

相続人証書の申請

ドイツ国内に相続財産がある場合、ドイツ大使館(東京)では、申請人様が相続人証書申請手続きをドイツに行って行うようお願いしております。特に日本での相続税申告期限のある場合には、現状ではドイツ大使館での期限内での対応ができません。ドイツ国内に残された相続財産に関して英語またはドイツ語で直接ドイツ人担当者と連絡をご希望の方は当館ドイツ語HPのお問合せフォームにてご連絡ください。内容の専門性が高く、スタッフの人員に限りがあるため、日本語でのお問い合わせには対応しておりません。

日本私法学会 遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約(昭和39年6月10日-条約第9号)

http://www.pilaj.jp/text/yuigon_j.html

(相続に関する審判事件の管轄権)

家事事件手続法(相続に関する審判事件の管轄権)第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始のに日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。

渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例

令和6年4月1日施行

https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/shisaku/jorei-toshin/lgbt.html

(区が行うパートナーシップ証明)

第17条 区長は、前条に規定する理念に基づき、公序良俗に反しない限りにおいて、パートナーシップに関する証明(以下「パートナーシップ証明」という。)をすることができる。

2 区長は、前項のパートナーシップ証明を行う場合は、次の各号に掲げる事項を確認するものとする。ただし、区長が特に理由があると認めるときは、この限りでない。

⑴ 当事者双方が、相互に相手方当事者を任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号)第2条第3号に規定する任意後見受任者の1人とする任意後見契約に係る公正証書を作成し、かつ、登記を行っていること。

⑵ 共同生活を営むに当たり、当事者間において、区規則で定める事項についての合意契約が公正証書により交わされていること。

3 前項に定めるもののほか、パートナーシップ証明の申請手続その他必要な事項は、区規則で定める。

「無宗教」社会の日本において「宗教」の多様性を達成するために何が求められているか

関東学院大学教授 髙井啓介

宗教法人令(抄)(昭和二十年十二月二十八日勅令第七百十九号)

https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318169.htm

文化庁文化部宗務課「宗務時報No.119」平成27年3月

https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/shuppanbutsu/shumujiho/index.html

法人化の現状

滞日ムスリムの日常生活にとって不可欠なモスク存続のためには,経済的課題への対処が求められる。モスクの恒常的な維持管理と運営の費用として,備品の購入・修繕費,建物の維持管理費,イマームへの謝礼,水道光熱費や固定資産税など様々な費用が発生する。ムスリムの喜捨などがその費用に充当されるが,不足しがちである。対策として, 法人名義での不動産登記が可能で,固定資産税や喜捨が非課税となり,事業収入の税制優遇などの利点がある宗教法人化がある。―中略―もう一つの対策は,一般社団法人格の取得である。一般社団法人格を有するのは,三重モスク,春日井モスクなど12法人であるが,三重モスクでは宗教法人化を目指して活動している。宗教法人の認証手続きが煩瑣なことや認証までに数年かかることを考えれば,法務局への登記だけで完了し,法人名義での不動産登記が可能となる一般社団法人格を取得することは有用である。しかし,事業収入の税制優遇や不動産への非課税という経済的な利点に加え,内外の政府や諸組織に対する社会的信用という点では,宗教法人格の取得がより有用であろう。現状でも,モスクによる法人制度の積極的な利用はかなり浸透してきているようだが,日本社会における法人制度や団体運営のノウハウがモスクの運営者たちに共有されているとは言い難く,モスク等の不動産の個人名義での登記も依然として各地で見られる。経済的課題の解決のために,法人制度の積極的活用を検討しても良いと考えられる。

硬直的な住宅政策が生み出す新たな住宅問題 居住支援のダイバーシティを展望する

追手門学院大学地域創造学部准教授 葛西リサ

 年齢と問わず、低所得単身者の住宅。

投稿論文

成年被後見人の遺言をめぐる諸問題-イギリスにおける制定法上の遺言制度を参考に-

 東京司法書士会 鹿島久実子

Introducing the MCA

Mental Capacity Act principle 5: Less restrictive option

Code of practice giving guidance for decisions made under the Mental Capacity Act 2005.

https://www.gov.uk/government/publications/mental-capacity-act-code-of-practice

THE COURT OF PROTECTION RULES 1994

https://www.legislation.gov.uk/uksi/1994/3046/contents/made

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