加工別紙1「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する御意見・御質問に対する警察庁及び共管各省庁の考え方について

                           

                          

1    犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案について                               

▼簡素な顧客管理を行うことが許容される取引について(新規則第4 条第1 項関係)     

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=120170029&Mode=

1 受益者代理人の選任が法令上の要件となっていないものの、契約により受益者代理人が選任され、かつ受益者代理人が必要と判断した場合にのみ受益権が行使されるものについては、本条の対象となるか(第1号ロ関係)。

受益者代理人の選任が法令上の要件となっていなくとも、 他の要件を満たすのであれば新規則 4 条第 1 項第1 号ロの対象となります。

2 事業者が事業の廃止等の場合に返還すべき金銭等の保全・分別管理が法令に規定されている限り、 保全・ 分別管理の具体的な方法として信託による方法が法令自体に明示的に規定されていないとしても、法令の委任を受けた告示に定められ、 あるいは法令の定める方法の解釈として信託による方法が含まれることを示す通達・ ガイドライン等がある場合には、新規則第4条第1項第1 号柱書の「法令の規定により」との要件を満たすという理解でよいか。例えば、以下のものは、今回の改正により新たに簡素な顧客管理を行うことが許容されることとなるのか(第1号ロ関係)。

(1)投資型クラウドファンディング業務を行う金融商品取引業者を委託者とする投資家資金の分別管理信託(金商法第2条第8項柱書・金商法施行令第1 条の8の6第1項第4号・金商法定義府令第16条第1項第14 号の2ロの規定による信託)

(2) 有料老人ホームの設置者を委託者とする入居者前払金の保全信託(老人福祉法( 昭和38年法律第133号)第29 条第7項・同法施行規則(昭和38年厚生省令第28号)第20条の10・「厚生労働大臣が定める有料老人ホームの設置者等が講ずべき措置」(平成18年厚生労働省告示第266号)第2号ハの規定による信託)

(3)国土交通省・ 厚生労働省関係高齢者の住居の安定確保に関する法律施行規則(平成23 年厚生労働省・ 国土交通省令第2号)第14条の国土交通大臣及び厚生労働大臣が定める措置(平成23年10月7日、厚生労働省・国土交通省告示第3号)

(4)ファンド持分等の私募の取扱い等

(投資型クラウドファンディング業務を除く)を行う第二種金融商品取引業者を委託者とする投資家資金の分別管理信託(金商法第2条第8項柱書・金商法施行令第1条の8の6第1 項第4 号・ 金商法定義府令第16条第1項第14 号・ 金商法第42 条の4・金商業府令第132条第1項・第125条第2号ハの規定による信託)

(5)FX取引以外の店頭金融先物取引を行う金融商品取引業を委託者とする投資家保証金の分別管理信託(金商法第1、43条の3第1項・金商業府令第43条第1項第2号ロの規定による信託)             

新規則第4条第1項第1号柱書において「法令の規定により」と規定しているところ、これに該当するかどうかは、告示、通達等によっても判断され得るものです。 御質問にあります信託については、 いずれも簡素な顧客管理を行うことが許容される取引に該当すると考えられます。

3 簡素な顧客管理が許容されるものとして旧規則第4条第1項第1号に限定列挙されている各信託に係る取引は、いずれも改正後の同号の取引に該当し、改正後も引き続き簡素な顧客管理が許容されるという理解でよいか(第1号イ及びロ関係)。 

旧規則第4条第1項第1号において行われていた取引については、 新規則第4号第1項第1号により従来どおり簡素な顧客管理が許容される取引となります。

4 新規則第4条第1項第1号柱書括弧書きにおいては、「ロに掲げる事項を目的として行うものにあっては、 受益権(信託財産の交付を受ける権利に係るものに限る。)が受益者代理人が必要と判断した場合にのみ行使されるものに限る」と定められている。かかる要件に関して、当該「受益権」は、事業者が設定した保全・分別管理信託に基づいて、 当該事業者が金銭等の返還義務を負う「相手方」が取得する、当該金銭等相当額の信託財産の交付を受ける受益権を意味するのであり、当該信託に基づき事業者も一定の信託財産(保全・分別管理の必要額を超過する金額相当額の信託財産)の交付を受ける受益権を保有するとしても、かかる事業者が保有する受益権は、新規則第4条第1項第1号柱書括弧書きに定める「受益権」 には含まれないとの理解でよいか。 簡素な顧客管理が許容されるものとして旧規則第4条第1項第1号に限定列挙されている顧客分別金信託等を含めて、 保全・ 分別管理信託では事業者がそのような受益権を保有することが一般的であるため、 そのような事業者が保有する受益権の行使については受益者代理人の判断による必要がないことを確認させていただきたい。(第1号ロ関係)        

 そのとおりです。  

5 新規則第4条第1項第1号柱書括弧書きにおいては、「ロに掲げる事項を目的として行うものにあっては、受益権(信託財産の交付を受ける権利に係るものに限る。)が受益者代理人が必要と判断した場合にのみ行使されるものに限る」と定められている。

かかる要件に関して、事業者が金銭等の返還義務を負う「相手方」保護の観点から、 受益者代理人による速やかな信託契約の解約がなされない場合(受益者代理人による事業者の状況の把握や信託契約の解約といった対応が遅れる場合) 等において受託者も信託契約を解約し得る仕組みとするため、当該事業者の事業廃止等の場合における信託契約の解約権を(受益者代理人のみならず)受託者にも付与しておき、当該事業者の事業廃止等の場合において、受託者による信託契約の解約後に、受益者代理人が当該「相手方」のための受益権の一括行使(受託者に対する当該「相手方」 に交付すべき信託財産の金額等に関する通知)を行って初めて、「相手方」が信託財産の交付を受けるのであれば、受益権について「受益者代理人が必要と判断した場合にのみ行使される」との上記要件を満たすとの理解でよいか。(第1号ロ関係)     

そのとおりです。

7 「 特定事業者が提供するソフトウェア」に求められる性能等はどのようなもので、 何らかの限定はあるのか。 それらについては法令には規定されていないという理解でよいか(ホ ヘ及びト関係)。      

当該ソフトウェアの性能等は、本人特定事項の確認のために必要な要素を満たしていると合理的に認められるものであることが求められます。例えば、他人へのなりすまし等の防止が特定事業者に求められるのは当然であるところ、画像が加工されないことを確実に担保するため、ソフトウェアは画像の加工機能がないものでなければなりません。

必要な要素を性能等が満たしていないと認められれば、特定事業者が監督上の措置の対象となり得ます。       

8「 特定事業者が提供するソフトウェア」とは、 特定事業者が提供するスマートフォン向けのアプリも含まれるのか。そうであるならば、 許容される端末の範囲は、 各社の個別専用端末、一般人が所有している携帯端末、自宅のノートPCやデスクトップPCまで認められるのか(ホ、ヘ及びト関係)。

特定事業者が提供するソフトウェアには、スマートフォン向けのアプリケーションも含まれます。当該ソフトウェアを使用する端末については、特定事業者が提供する専用端末、一般人が所有している携帯端末又はパーソナルコンピュータのいずれも認められます。

9 「特定事業者が提供するソフトウェア」 には、システムベンダー、アプリ開発業者等の第三者が開発したソフトウェアのほか、他の特定事業者と共用されているソフトウェアや、特定事業者の委託する事業者が提供しているソフトウェアも含まれるのか。

また、第三者が提供する機能やシステム等を用いた場合でも、特定事業者が最終責任を負うということでよいか( ホ、ヘ及びト関係)。              

「特定事業者が提供するソフトウェア」とは、 顧客等の本人特定事項の確認を行おうとする特定事業者の提供するソフトウェアをいいます。また、「特定事業者が提供するソフトウェア」には、第三者が開発し特定事業者に提供したソフトウェアや特定事業者と他の特定事業者とで共用されているソフトウェアも含まれます。

当該ソフトウェアはあくまでも当該特定事業者がその責任において提供しなければならず、ソフトウェアに問題があった場合には、特定事業者が監督上の措置の対象となります。    

10 「特定事業者が提供するソフトウェア」とは、 ウェブアプリケーション、クラウドアプリケーション等であっても含まれるという理解でよいか(ホ、ヘ及びト関係)。  

御質問のアプリケーションの詳細が明らかではありませんが、本人確認用画像情報の撮影及び送信が特定事業者の提供するソフトウェアによって行われているのであれば、問題ないと考えられます。     

11 「特定事業者が提供するソフトウェア」について、特定事業者の委託先や第三者の開発ベンダーが提供するソフトウェアをWEBページやアプリに組み込んで提供する場合でも、 特定事業者が提供するものと認められるか(ホ、ヘ及びト関係)。      

御質問のケースの詳細は明らかではありませんが、本人確認用画像情報の撮影及び送信が行われているのであれば、問題はないと考えられます。

12  「ソフトウェアを使用して、」と「本人確認用画像情報」の間に、「電子情報処理組織を使用する方法により」という文言が入っていないことから、本人

確認用画像情報の送信に際しては、ファクシミリ伝送その他の方法も許容されるという理解でよいか( ホ、 ヘ及びト関係)。

いただいた御質問については、 詳細が明らかではなく、確定的なことは回答いたしかねますが 特定事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影及び送信が行われる必要があるところ、FAXの利用は想定し難いと考えております。

また、現時点で想定されていない技術の利用については、マネー・ローンダリング、テロ資金供与の防止という法の趣旨に従って、許容されるものかどうかを判断することとなると考えております。

13 「 特定事業者が提供するソフトウェア」 について、 政府機関が何らかのアプリケーションを提供又は紹介する予定はあるか(ホ、ヘ及びト関係)。                                

ありません。また、特定事業者の責任において提供されるべきものであるため、 具体的なソフトウェアを示すことは困難です。

14 「写真付き本人確認書類に貼り付けられた写真」とは、写真付き本人確認書類(原本)に貼り付けられた写真を意味するという理解でよいか(ホ関係)。

そのとおりです。                  

15   新規則第6条第1項第1号イにおいて「写真付き本人確認書類」という言葉が定義されたが、第7条第4号の書類(外国人に係る本人確認書類)には写真付きであることが規定されていないが、第1号から、ハからホに掲げるものが除かれているので、第4号においても同等の書類が除かれるという理解でよいか。       

写真付き本人確認書類については、「同条第一号ハからホまでに掲げるものを除く」と規定しているところ、外国人の本人特定事項の確認においても、 写真の付いていない本人確認書類の利用は認められません。

16   画像の撮影者は顧客等又は代表者等本人に限定されるのか(ホ、ヘ及びト関係)。

本人確認用画像情報は、 顧客等又はその代表者等が特定事業者の提供するソフトウェアを使用して撮影したものに限ります。 ただし、 取引に実質的な影響を与えることのない第三者が、 顧客等又はその代表者等の指示の下、 単にスマートフォン等の撮影ボタンを押すだけの場合等は、顧客等又はその代表者等自身が撮影をしたものと評価できると考えられます。

17 「本人確認用画像情報」 のファイル形態として、 想定している特定のファイル形態はあるのか。 例えば、JPEG 、P N G 形式等の典型的な画像形式ファイルだけではなく、画像を含むPD F ファイルや画像をワードファイルやエクセルファイルに貼り付けられたものでも認められるか(ホ、ヘ及びト関係)。       

特定のファイルの形態を想定しているわけではありません。 ただし、本人特定事項の確認のために必要な要素を満たしていると合理的に認められるものであることが求められます。 そのため、 本人特定事項の確認に必要な情報が十分に判別できないものや、本人確認書類の真正性の判別が困難なものは認められません。例えば、容貌や本人確認書類の撮影内容が十分に判別できないような小さなものは認められません。

18 「画像情報」は、条文記載の「特徴」を確認できるのであれば、白黒のものや解像度の荒いものでも許容されるという理解で良いか(ホ、ヘ及びト関係)。

白黒画像はカラー画像に比べて本人特定事項の確認のために得られる情報量が少なく、本人特定事項の確認に支障が生じることから、認められません。

また、解像度についても、本人特定事項の確認に支障が生じる場合は認められません。

19   本人確認用画像情報は、静止画像でもビデオ通話のような動画でもよいのか。 動画でもよいとすれば、 動画の撮影時間、音声等に基準はあるのか( ホ、ヘ及びト関係)。

       本人確認用画像情報は、 静止画に限らず動画も認められます。動画の場合には、撮影時間及び音声の制限はありません。

また、 本人確認用画像情報は静止画であるか動画であるかにかかわらず、本人特定事項の確認時に撮影されたものである必要があることから、あらかじめ撮影された録画ファイルは認められません。

20   本人確認用画像情報として動画の送信を受けた場合、 新規則第19条第1項第2号により確認記録に添付するものは、当該動画の全て、当該動画の一部、当該動画から切り取った静止画のいずれかを保存することでよいのか。また、動画又は静止画のそれぞれの場合について 要件はあるのか(ホ、ヘ及びト関係)。

本人確認用画像情報として動画の送信を受けた場合、新規則第19条第1 号第2号により確認記録に添付するものが当該動画の全てである必要はなく、 当該動画から切り取った一部の動画や静止画で足ります。本人確認用画像情報としての要件を満たすものであることが必要です。

21   新規則第6条第1項第1号ホにおいて、「特定事業者が提供するソフトウェア」を使用して行わせる撮影及び送信は、 特定事業者が顧客等との間で行う特定取引に際して行われるものでなければならないのか。 本人確認のための専用ソフトウェアで撮影し、加工不可能なことが担保された画像であれば、事前に撮影した画像を送信することとしても問題ないのではないか。

「 特定事業者が提供するソフトウェア」 とは、 顧客等の本人特定事項の確認を行おうとする特定事業者の提供するソフトウェアであり、 撮影も送信も本人特定事項の確認時に行われるものに限られます。 あらかじめ撮影された場合には加工されるおそれが高まるほか、 本人特定事項の確認の時点における顧客等の実在性の確認等の観点からも支障があると考えられます。

22   本人確認用画像情報の撮影から送信までの時間について、法文上「直ちに」や「速やかに」といった文言がないが、送信直前に撮影されたものでなくても、送信前の一定期間内に撮影して保存してあっ たデータなら許容される のか(ホ、ヘ及びト関係)。

例えば、本人確認用画像情報の撮影後、その送信前にいったん手続きが中断された場合、手続きの再開後に当該本人確認用画像情報を送信することは許容されるのか それとも新たに撮影させる必要があるのか。なお、 ソフトウェア上で編集が不可能なものであれば、再度の撮影は不要と思われる。

       撮影後に手続を一時中断して送信すると、 画像を加工されるおそれが高まるほか、本人特定事項の確認の時点における顧客等の実在性の確認等の観点からも支障があると考えられます。特定事業者は、送信を受ける画像が当該特定事業者の提供するソフトウェアを使用して撮影をさせたものであることを担保するため、撮影させた画像を加工可能な状態に置くことなく送信させることが求められます。そのため、 撮影後直ちに送信させることが求められます。

23   「当該顧客等の容貌」 を撮影するソフトウェアと、「写真付き本人確認書類の画像」 を撮影するソフトウェアを別のソフトウェアとすることも認められるという理解でよいか(いずれのソフトウェアも特定事業者が提供 )(ホ関係)。

       「 当該顧客等の容貌」 を撮影するソフトウェアと、「写真付き本人確認書類の画像」 を撮影するソフトウェアは同じものを想定しております。なお、 撮影と送信はいずれも特定取引を行うに際して同時期に行われるものであるところ、「当該顧客等の容貌」を撮影するソフトウェアと、「写真付き本人確認書類の画像」を撮影するソフトウェアがそれぞれ別個のソフトウェアとして独立して取り扱うことが可能であったとしても、両ソフトウェアの連携により撮影が連動して行われるのであれば、全体として一つのソフトウェアと位置付けられることもあると考えております。

24   新規則第6条第1項第1号ホにおける「顧客の容貌の画像情報」について、他人を騙して画像情報を撮影するという手口を防ぐことはできるか。

特  定取引を行うに際して、容貌と本人確認書類に係る本人確認用画像情報が同時期に撮影される必要があるところ、 他人を騙してその容貌と本人確認書類の両方を撮影することは容易ではないことから、 不正の抑止が図られると考えております。

25   新規則第6条第1項第1号ホの方法を用いて取引時確認をした顧客について、2回目以降の取引において、既に取引時確認を行っていることを確認するに当たり、ID・パスワードではなくその「 容貌」が取引時確認の確認記録として保存されている「容貌」 と同一であることを確認することとした場合、 規則第 16 条に該当することとなるか。

       御質問にあります容貌によって、顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることが示されるのであれば、規則第16条第1項第2号として利用することは可能です。      

26   顧客等の容貌の画像情報は、写真付き本人確認書類の写真と同等の上半身又は首から上の顔の画像であれば足りるのか。 眼鏡、 マスク等が認められないといった要件はあるか(ホ及びヘ関係)。

       他人や架空の人物へのなりすましによる不正を防止し、的確な本人特定事項の確認を行うため、 容貌に係る本人確認用画像情報を必要としており、 御質問のような画像で足りると考えております。 眼鏡、マスク等を着用していることをもって本人確認用画像情報として認められないわけではありませんが、 的確な本人特定事項の確認が可能なものと合理的に認められるものである必要があります。 

27   本人確認書類の読み取りを行うために使用する専用機器が、厚み、字体、記号番号等の特徴を確認し、又はI Cチップに格納された識別符号を確認することで当該本人確認書類の真贋判定をした上で、本人確認書類の画像を撮影するのであれば、本人確認用画像情報に「厚みその他の特徴」 が含まれなくても問題ないか(ホ、ヘ及びト関係)。 

「 厚みその他の特徴」 は外形、構造、機能等の特徴から本人確認書類の真正性の確認を行うものです。御質問の機器の詳細が明らかではありませんが、 撮影された本人確認書類と「厚み」 を確認した当該本人確認書類とが同一のものであることを保証する機能を有し、それが検証できることを担保する措置が講じられているのであれば、必ずしも「 厚みその他の特徴」 が画像として撮影されていなくとも、 許容されると考えられます。

また、 特徴として厚みを確認することができる部分を撮影させる場合、本人確認書類を斜めに傾けて、当該本人確認書類の記載の全部又は一部が写るようにして撮影させるなど、当該本人確認書類の厚みであることが分かるようにする必要があります。

28   ホ及びヘ柱書で、「厚み」の確認については、 何ミリかなどの正確な計測をすることまでは不要であり、どのような基準で真正な本人確認書類と判断するかは、 特定事業者の合理的な判断によるという理解でよいか( ホ及びト関係)。 

       必ずしも御質問のように「何ミリ」などの計測をしなければならないわけではありませんが、本人確認書類の真正性の確認のために合理的に必要と認められる程度の確認であることが求められ、 特定事業者が責任を持って確認する必要があります。

29   「その他の特徴」として、「厚み」以外に具体的に想定しているものは何か。運転免許証や冊子型のパスポートといった代表的な本人確認書類について、例示していただきたい(ホ及びト関係)。

       例えば、カード型又は冊子型いずれの本人確認書類についても、それが光を当てた場合にのみ表面に模様等が浮かび上がる本人確認書類であれば、 当該模様等が厚み以外の「その他の特徴」 に該当すると考えられます。

各本人確認書類ごとに固有の「その他の特徴」 を想定しているわけではありませんが、少なくとも厚みを確認することができるのであれば、厚みに加えてそれ以外の「その他の特徴」を撮影しなければならないわけではありません。

30   運転免許証など、 変更事項が裏面に記載される書類の場合で、 裏面が空白の場合は、 裏面の画像情報を撮影・ 取得する必要はないという理解でよいか。あるいは、「その他の特徴」としては裏面を想定しているのか(ホ及びト関係)。     

       免許証等については、 裏面に変更後の住居が記載されることから、当該記載の有無及び記載がある場合は変更後の住居を確認するため、裏面の撮影も必要となると考えられます。また、「その他の特徴」については、上記28 をご参照ください。    

31   本人確認書類の厚み「その他の特徴を確認することができるもの」 とあるが、 本人確認書類の類型により、 例えばマイナンバーカードに個人番号が記載されている裏面や、 旅券の空白頁など、 取得することが必ずしも適当ではない画像や、 必ずしも取得する必要がない画像があると考えられるが、本人確認書類の類型ごとに要求する画像を変更することに問題はないか(ホ及びト関係)。

問題ありません。

32   「本人特定事項」 と「厚みその他の特徴」 を同時に撮影させる場合の基準をどのように定めればよいか( ホ及びト関係)。    

       同時に撮影させた結果、 例えば、本人確認書類の本人特定事項の記載内容が十分に判別できないような場合には、たとえ「厚みその他の特徴」を確認することができるものとして認められたとしても、別途、本人特定事項を確認することができるものを撮影させる必要があります。      

33   「厚みその他の特徴」について、クライアント側端末に顔認証機能等を組み入れたアプリケーションを提供し、一連の動作の中で、 顧客が条件を満たした瞬間の画像を切り出し特定事業者側に送信を行うことも認められるという理解でよいか(ホ及びト関係)。

       御質問の機能の詳細が明らかではありませんが、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して顧客等に撮影及び送信をさせている場合は、問題はないと考えられます。      

34   本人確認書類の真正性の確認は、サンプルチェックでも認められるか(ホ、ヘ及びト関係)。      

       認められません

35   「 厚みその他の特徴」 の確認による本人確認書類の真正性の確認は、 機械で行う方が精度高く行える場合でも目視の確認が必要なのか。

また、 顧客等の容貌と写真付き本人確認書類の写真との照合を専ら機械により行う場合、 当該機械が有すべき性能についての基準はいかなるものか(ホ、ヘ及びト関係)。

新規則第6条第1 項第1号ホ、へ及びトについては、本人確認書類が真正なものであることの確認は、目視によるものに限らず、専ら機械( 十分な性能を有しているものに限ります。)を利用して行うことも許容されます。 ただし、 新規則第6条第1項第1号ホ及びトについては、現在の技術ではそのような性能を満たさないことから、 現在の技術を前提とすれば目視による確認が必要と考えられます。

一方、 新規則第6条第1項第1号ホ及びヘについては、本人確認時に撮影された顧客の容貌の画像と、 本人確認書類に貼り付けられた写真の画像又はI C チップ情報の写真の画像が同一人物のものであることの確認は、目視によるものに限らず、専ら機械( 十分な性能を有しているものに限ります。) を利用して行うことも許容されます。

36          顧客の顔写真と写真付き本人確認書類の写真とが同一人物のものであるか否かについて、基準にのっとった第三者による監査等がないという問題を解決すべきである(ホ及びヘ関係)。

       特定事業者が責任を持って確認をするほか、当該確認が的確に行われない場合には監督官庁による指導等が行われるものと考えております。    

37  新たな本人確認の方法では、 本人確認書類を画像情報として受領し、 OCRで読み込むなどの方法により、本人特定事項を機械的に認識することが可能となるが、別途改めて顧客から本人特定事項を申告させることは法的な要件ではないという理解でよいか(ホ、ヘ及びト関係)。

              そのとおりです。    

38          本人確認書類の真正性の確認は、取引の性質に応じて合理的な期間内に行われればよく、 それができない場合には犯収法第 5 条の免責規定によって取引を中断するのであり、顔写真の照合と同時に行われなかったり、 銀行口座開設後に行われたからといって、 問題はないという理解でよいか( ホ、 ヘ及びト関係)。

本人確認用画像情報の送信を受けると同時にその内容を確認しなければならないわけではありませんが、特定取引を行うに際して確認されたと合理的に認められる期間内に確認を行う必要があります。なお、銀行口座開設後に本人確認書類の真正性の確認ができなかった場合には、特定事業者の責任となる可能性があると考えられます。

39   特定事業者より委託を受けて、ATM等を介して特定事業者と顧客等の容貌の画像情報や本人確認書類情報の授受の仲介を実施することや本人確認用画像情報の確認をすることは可能か。その場合、本人確認用画像情報の保存は特定事業者と仲介事業者のどちらで実施するのか。今回新たな本人確認方法が創設され、また今後、AIを利用した本人確認サービスが登場することも予想されるところ、 委託者と受託者の責任関係を教えていただきたい( ホ、ヘ及びト関係)。

従来から、本人特定事項の確認業務の委託については、あくまで委託した特定事業者の責任において受託者により確実に行われるのであれば可能と考えられており、このことに変更はありません。

また、 本人確認用画像情報の保存を受託者が行うことも認められますが、委託した特定事業者が、自社の営業所で保存している場合と同様に必要に応じて直ちに確認記録を検索できる状態を確保しておく必要があります。 そして、 当該措置が的確に行われない場合には、 当該特定事業者が監督上の措置の対象となります。

40          特定事業者が取得した顧客等の情報の取扱い方等に関する記述が必要ではないか(ホ、ヘ及びト関係)。

              特定事業者においては、個人情報を含む顧客等の情報を取り扱うにあたり、 関係法令を遵守する必要があります。

41   金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律( 平成14 年法律第32 号)の時代の平成14年7月23日のパブリックコメントにおいて、金融庁により、自動契約受付機コーナーにおける取引は「 対面取引」 と扱ってよいとの見解が示されていたが、今回の規則改正後も上記見解は維持されるのか。 それとも、新規則第6 条第1 項第1 号ホとして位置付けられることとなるのか(ホ関係)。

              新規則第6条第1項第1号ホは、自動契約受付機コーナーを前提としない確認方法です。

42          具体的にどのような本人確認書類を想定しているのか、一覧を示していただきたい。 運転免許証やマイナンバーカードのほか、 パスポートも該当するのか(ヘ及びト関係)。

       氏名、 住居、生年月日及び写真の情報が記録された半導体集積回路が組み込まれている写真付き本人確認書類が該当します。 網羅的な一覧をお示しすることは困難ですが、現時点では、例えば運転免許証、在留カード、マイナンバーカードが想定されます。

なお、 住居の情報が記録されていないパスポートについては、 認められません。

43          公的個人認証を利用しない場合でも、I C チップの券面事項部分が、 新規則第6条第1項第1号ヘ等に規定する「半導体集積回路に記録された当該情報」として本人特定事項の確認に利用できるということか( ヘ及びト関係)。

       そのとおりです。 ただし、ICチップ情報は真正なものが送信されなければならないことは勿論であり、特定事業者には真正なものであることの確認が求められます。 具体的には、秘密鍵で暗号化されている当該ICチップ情報に係る事項の送信を受け、これを公開鍵で復号することによって真正なものであることを確かめることが考えられます。

44   I C チップに記録された情報の送信を受ける場合には、 本人確認書類の真正性の確認のための目視確認を行わないとすることは可能か( ヘ及びト関係)。  

秘密鍵・公開鍵を用いることでICチップに記録された情報の内容が真正なものであることを目視によらずに確認することも可能と考えられます。

45          新規則第6条第1項第1号ヘにおいては、半導体集積回路に記録された情報の送信を受けるにあたって、 同号トとは異なり、「特定事業者が提供するソフトウェア」 で読み取ることが求められていないという理解でよいか。また、そうであるとすれば、その理由は何か。

              新規則第6条第1項第1号ヘにおいては、半導体集積回路に記録された情報の改ざんは困難であることから、当該半導体集積回路に記載された情報を特定事業者が提供するソフトウェアを使用して読み取りをさせるものに限定しておらず、読み取り端末についての制限もありません。

46  ICチップから情報を正しく抽出するには、本人確認書類に付与されたデジタル署名の検証、 本人によるPIN入力及び当該本人確認書類の有効性確認が必要になると思うが、 これらに関し特定事業者が実装を行うための要件又は関連情報参照先を記述しておくことが必要ではないか( ヘ及びト関係)。         

必要な情報については、パブリックコメントへの考え方として今回お示しさせていただいたところですが、引き続き新規則の内容についてわかりやすい周知に努めてまいりたいと考えております。

47   本人確認書類ごとにICチップ読み取りのためのパスワード入力の要否が異なることは回避していただきたい。パスワードが必要な場合には、顧客等がパスワードを失念していた場合には問題が生じるので、IC チップの読み取りにパスワードは不要となるよう仕様変更していただきたい( ヘ及びト関係)。       

本人特定事項の確認方法としては、半導体集積回路の読み取りの際にパスワードが必要かどうかを問題としておりません。パスワードに関する個別の本人確認書類の仕様に係る御要望等については、関係行政機関にお問い合わせください。

48         IC免許証の場合、 本人特定事項データと顔写真データは別領域に格納されており、かつ顔写真データと共に本籍地データも格納されていることから、仮に特定事業者が提供するソフトウェアでIC免許証のデータを読み取る場合は、当該特定事業者側にて何らかの措置を施すという理解でよいか。( 例:顔写真と本籍地データの送信を受け、本籍地データのみ直ちに削除するシステムを構築する)

なお、 何らかの措置を施すという体制整備を整えた上であれば、 意図せずに行われた本籍地情報の受信行為自体には特段の問題は発生しないという理解であるが、 認識に相違はないか( ヘ及びト関係)。

              個人情報保護法上、特定事業者は、個人データを取り扱う際に利用目的を本人に通知又は公表し、 その範囲で適切に利用するとともに、 当該個人データを利用する必要がなくなった場合は遅滞なく消去する努力義務があるところ、これに従って適切に対応していただく必要があると考えております。

49   「 特定事業者が提供するソフトウェア」 をいかに開発しても、 事前に撮影した画像を使用するなどの不正を全て防止することは困難である。 この点について、 何らかの不正防止策を行う必要があると考えられるが、かかる不正防止策については特定事業者において合理的な方法を検討の上実施するということで問題ないか( ホ、ヘ及びト関係)。

例えば、 何らかの数字を記載した紙と一緒に撮影させることや、ランダムに指示される事項( 例えば、本人確認書類の右端に人差し指を重ねることや、容貌の撮影の際に一定の姿勢を取らせること) を顧客に行わせ、 これとともに撮影するといったことが考えられるが、 これらを適切に実施すれば法令上問題ないと考えてよいか。

また、 IDセルフィー( 容貌と本人確認書類を同時に撮影する方法) により本人確認を行う場合、当該撮影に際して上述したような不正防止策を講じていれば、1 枚の写真で、容貌と本人確認書類の両者について 本人特定事項の確認時に撮影されたものであることを確認したと認められるか。

特定事業者は、 本人特定事項の確認時に、 容貌や本人確認書類の実物を撮影させてその送信を受ける必要があることから、容貌や本人確認書類の実物を事前に撮影した写真を撮影させてその画像の送信を受けることは認められません。

特定事業者は、この点を確認できるようにする必要があります。 その具体的な方法は特定事業者が判断することとなりますが、 例えば、本人特定事項の確認時にランダムな数字等を顧客等に示し、一定時間内に顧客等に当該数字等を記した紙と一緒に容貌や本人確認書類を撮影させて直ちに送信を受けることなどが考えられます。

IDセルフィーについては、 容貌と本人確認書類を一緒に撮影させることは認められますが、 当該撮影に係る画像が、本人確認書類に記載されている氏名、 住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴が適切に確認できるなど、規則上の要件を満たす必要があります。

1枚の写真により当該要件を満たすのであれば、その撮影の際に上記のランダムなポーズをとらせるなどの対策をとることにより 容貌に係る本人確認用画像情報と本人確認書類に係る本人確認用画像情報の両者について、 本人特定事項の確認時に実物が撮影されたものであることが確認できると考えられます。

50          事前に撮影した画像や写真を撮影した画像でないことの確認について、その確認結果はどのように保存するべきか。 例えば、本人確認時に発行したランダムな数字等とセットで保存する必要はあるか(ホヘ及びト関係)。             

御質問にあります確認については、結果の保存が義務付けられているわけではありません。

51   ホ、ヘ及びトで、「特定事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影させた」 について、 ソフトウェア撮影時の待ち時間について制約はあるか( ホ、ヘ及びト関係)。

例えば、ランダムな数字等を顧客等に示し、当該数字等を記した紙と一緒に撮影させて直ちに送信を受けることとする場合、当該数字等が表示されてから撮影までの間に、なりすましの写真等を準備されるおそれがあるため、一定時間が経過しても撮影がなされないときは、あらためて別のランダムな数字等を示すことが必要と考えられます。

52          新規則第6条第1項第1号トにおける「一を限り発行又は発給されたもの」とは、具体的にはどのような書類を想定しているのか。同号イの「 一を限り発行又は発給されたもの」と意味は同じか。また、半導体集積回路が搭載されている本人確認書類のうち 氏名、住居及び生年月日の情報が記録されていれば、員証・学生証・クレジットカード等の民間が発行する身分証明書でも足りるのか。      

       本人確認用画像情報については、運転免許証、 マイナンバーカード、国民健康保険の被保険者証等が想定されます。

半導体集積回路が搭載されている本人確認書類については、運転免許証 マイナンバーカード、住基カード、在留カード等が想定されます。これらについては、 公的機関により発行され、かつ、被証明者にのみ発行される身分証明書としての性質を有する書類が想定されているところ、御指摘の身分証明書は民間により発行されるものであるため、認められません。

なお、「一を限り発行又は発給されたもの」という言葉の意味は、新規則第6条第1項第1号イと同じです。

53          新規則第6条第1項第1号トは、規則第13条第1項第1 号や第2号とは異なり、確認可能な取引の種類に制限がないという理解でよいか。   

 そのとおりです。

54          新規則第6条第1項第1号トにおいて写真付き本人確認書類が利用されない場合、 顔照合による顧客等の同一性が確認できないために、 通帳又はキャッシュカードを不正に取得した者が複数の口座を不正に開設できるリスクが高まるが、この確認方法が許容される理由は何か。

              新規則第6条第1項第1号トにおいては、利用できる本人確認書類を限定することなどにより、確認の水準を確保することとしております。   

55   「 取引の相手方が次の(1) 又は(2)に規定する氏名、住居及び生年月日の確認に係る顧客になりすましている疑いがある取引又は当該確認が行われた際に氏名、 住居及び生年月日を偽っていた疑いがある顧客等」 について、 他の特定事業者から当該顧客等がそのような顧客等でないことを回答させる必要があるのか(ト関係)。

              特定事業者は、 他の特定事業者の確認記録に関する確認、 振込先口座の名義人の確認等をする中で、 顧客等になりすまし等の疑いがあることを把握することも予想されるところ、そのような場合には、 新規則第 6 条第1 項第1 号トによる確認が認められません。 他方、 他の特定事業者が当該顧客等のなりすまし等の疑いの有無を確認することまでを求めるものではありません。     

56          他の特定事業者が、 特定事業者からなりすましの疑いについて情報提供する場合、疑わしい取引の届出をしたことの漏洩を禁じた法第8 条第3項や、個人データの第三者提供を制限した個人情報保護法第23 条との関係でプライバシー上の問題は生じないのか(ト関係)。   

       他の特定事業者がなりすまし等の疑いがあることを特定事業者に連絡したからといって、 基本的には法違反になるものではありません。また、個人情報保護法との関係については、なりすまし等の疑いがあった場合には、 個人情報保護法上の「個人データ」 に該当する情報を特定事業者に情報提供することがあることをあらかじめ契約約款に盛り込むなどにより、 他の特定事業者は適法に対応することが可能と考えております。      

57          「 なりすましている疑い」 及び「偽っていた疑い」 について、 本人確認は性悪説に基づいて行うため、「疑い」は全てのケースに存在するという理解でよいか。

また、「疑いはあったが解消された」ような場合、 本規則において「 疑いがある場合」に該当するか( ト関係)。

              そのような判断は、 特定事業者が業務の過程で把握した情報等を総合的に考慮して行う必要があると考えられます。

また、 新規則第 6 条第 1 項第 1 号トによる本人特定事項の確認時になりすまし等の疑いがなくなっているのであれば、 この規定による確認は認められます。   

58          特定事業者は、 他の特定事業者との間で本人確認の方法について契約を締結する必要があるのか( ト( 1 )関係)。

              新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 )では、 御質問のような契約を求めておりませんが、 特定事業者と他の特定事業者との間で何らかの契約等がなされることが一般的であるものと想定しております。

59          新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) では、 銀行やクレジットカード会社との間で連携する情報は、 A P I の活用が考えられるが、 それ以外の方法でも情報の連携方法については問わないという理解でよいか。

              条文に規定される要件を満たす方法であれば問題ありません。      

60          銀行法( 昭和56 年法律第59 号) との関連において、「特定事業者」が「他の特定事業者」 に対し、 A P I を利用して「契約締結済み顧客かどうかの照会」を実施する行為は、「他の特定事業者」が銀行の場合、「特定事業者」が「電子決済等代行業に登録済」 であることが必要か。

また、「他の特定事業者」がクレジットカード会社の場合、「特定事業者」が

「 電子決済等代行業に登録済」 であることが必要か( ト( 1 ) 関係)。

              特定事業者が「電子決済等代行業に登録済」 であることまでを求めるものではありません。     

61          他の特定事業者が預金又は貯金の受入れを内容とする契約の締結又はクレジットカード契約の締結を行った際に顧客等の本人特定事項の確認を行い、その記録を保存し、 かつ、 当該顧客等が当該記録に記録されている顧客等と同一であることを確認していることを確認することとあるが、 この「 他の特定事業者」は銀行かクレジットカード会社だけか( ト( 1 ) 関係)。

       法第2 条第2 項第1 号から15 号及び第39 号に規定される特定事業者です。

62   「 他の特定事業者」 による取引を令第7 条第1 項第 1 号イに掲げる取引又は同項第3 号に定める取引に限定すべきではない。 他の特定事業者として、証券会社、 資金移動業者、 保険会社等の特定事業者のほか、 さらに特定事業者以外であっても、 携帯電話会社や貸金業者が利用する指定信用情報機関も認めていただきたい( ト( 1 ) 関係)。

「他の特定事業者」は、規則第13条に規定する方法において、 その行う取引時確認及び継続的な顧客管理に一定の信頼性・ 正確性が認められていることから、 それらに限り新規則第 6 条第 1 項第 1 号トにおける他の特定事業者による取引の対象としております。

63          他の特定事業者が受入契約を締結した預貯金が、 本確認方法を適用しようとしたときに以下の状態となっている場合、 本確認方法による確認は認められるか( ト( 1 ) 関係)。

○   当該受入契約が、 名義人からの申出や預金規定抵触等に基づき解約されているが、 当該他の特定事業者にて本人特定事項の確認記録が保存されている場合

○   当該受入契約に係る債権が、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律( 平成19 年法律第133 号)」第7 条により消滅しているが、 当該他の特定事業者にて本人特定事項の確認記録が保存されている場合

○   当該受入契約に係る債権が、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律( 平成28年法律第101号)」第7 条第1 項により消滅しているが、 当該他の特定事業者にて本人特定事項の確認記録が保存されている場合

       新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 )が「 他の特定事業者」 による確認を根拠とする本人確認方法を認めているのは、 顧客等との間に継続的な取引関係が構築されていることを前提としたものです。 したがって、 他の特定事業者に開設されている預貯金口座が解約されているなど、 他の特定事業者と顧客等との間の継続的な取引関係が認められない場合に、 新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) の方法を利用することは認められません。 

64            新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) では、規則第13条第1 項第2 号と異なり、二重の依拠を不可とする記載は見当たらないが、 クレジットカード会社が依拠の方法を用いていたとしても、 クレジットカード会社が氏名、 住居及び生年月日の確認を行っていれば、 新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) の「 他の特定事業者」 となることができるという理解でよいか。      

       そのとおりです。    

65            「 他の特定事業者」 には、 海外所在の銀行等( 例: 邦銀の海外拠点、 外国銀行在日支店が所属する外国銀行グループの海外拠点) は含まれないのか。 また、「当該顧客等の預金又は貯金口座」 には、 海外所在の銀行等( 例: 邦銀の海外拠点、 外国銀行在日支店が所属する外国銀行グループの海外拠点)に開設された口座は含まれないのか( ト関係)。    

       日本に本店がある金融機関等の海外支店や海外に本店のある金融機関等の在日支店であれば、「他の特定事業者」 に含まれ、当該金融機関等に開設された口座も含まれます。 しかし、 海外に本店のある金融機関等の海外支店は、「他の特定事業者」に含まれないため、当該金融機関等に開設された口座も含まれません。

66            他の特定事業者が、 特定事業者の行う新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) 又は( 2 ) に応じることは、 義務又は努力義務なのか。 また、 応じる場合にその時期がいつになるかは、 他の特定事業者の判断に委ねられているのであって、 合理的な期間内に行われればよいのか。       

他の特定事業者に何ら義務が課せられるものではありません。 他の特定事業者が対応する場合、 それが合理的な期間内に完了しなければ本人特定事項の確認として認められません。

67     規則第1 3 条第1 項第1 号及び同項第2 号では、「この方法を用いようとする特定事業者と当該他の特定事業者が、あらかじめ、 この方法を用いることについて合意をしている場合に限る」 との要件が課されているが、 新規則第6条第1 項第1 号ト( 特に( 1 )) において同要件が課されていないのは、 いかなる理由によるものか。

              第13 条第1 項第1 号及び同項第2号では、 特定事業者自身が本人確認書類を取得して本人特定事項の確認を行わないことから、 他の特定事業者により本人特定事項の確認事務が確実に行われることを担保するために、 本方法を採用することについて他の特定事業者とあらかじめ合意することを要件としています。

一方で、 新規則第6 条第1 項第1号ト( 1 ) においては、 飽くまで特定事業者自身が、 顧客等から送信を受けた本人確認用画像情報等の確認を行い、 追加的な措置として他の特定事業者が行った確認結果を参照するものであることから、 あらかじめの合意については規定しておりません。

また、 同号ト( 2 ) については、追加的措置として、 特定事業者が、顧客等が他の特定事業者で開設している預貯金口座に少額を振り込み、その事実を確認することを追加的な措置とするものであり、 他の特定事業者との間での合意は不要です。      

68            新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) の方法を用いて顧客の確認を行ったが、後日、 特定事業者において、 当該顧客について改めて確認の必要が生じた場合、 銀行やクレジットカード会社に当該顧客の情報を確認するのではなく、特定事業者が当該顧客から再徴収等を行って、 別途の本人確認書類や情報を確認する方法をとることは問題がないか。     

       問題ありません。 なお、 既に本人特定事項の確認をしていた場合でも、顧客等に当該確認に係る事項を偽っていた疑いが生じた場合においては、改めて取引時確認を行う必要があり、顧客等がこれに応じないときは、 特定事業者は当該取引に係る義務の履行を拒むことができます。      

69            「 他の特定事業者」 が「 記録されている顧客等と同一であることを確認していることを確認」 する際に、 依頼元である「特定事業者」又は顧客等から、手数料等の対価を得ることは許容されるか。

また、 当該「 他の特定事業者」 が銀行であった場合でも、銀行法に照らし、手数料等の対価を得ることは「 付随業務」 として許容されるか( ト( 1 ) 関係)。

              他の特定事業者が特定事業者から手数料等の対価を得ることについて、犯罪収益移転防止法上は規制をしておりません。

また、銀行等は、現在も、規則第13条第1 項第1 号に規定する確認方法を採用する特定事業者から、 銀行法等の業規制の範囲内において適法に手数料等を徴収している例があると認識しておりますが、 具体的なケースを想定した御質問については、 関係行政機関にお問い合わせください。

70            新規則第6 条第1 項第1 号トは、同号( 1 ) に定める「 令第七条第一項第一号イに掲げる取引又は同項第三号に定める取引」 や、 同号( 2 ) に定める「 当該預金又は貯金口座に係る令第七条第一項第一号イに掲げる取引」 を行うに際して、 氏名、 住居及び生年月日の確認を行っていることが条件となっているが、 これは、 預貯金口座開設やクレジットカードの契約に際して行った本人特定事項の確認のみならず、 法第4 条第3 項に基づき、 令第7 条に定める他の取引に際して行った本人特定事項の確認を根拠として、 預貯金口座開設やクレジットカードの契約時に、本人特定事項の確認済みの顧客等であることの確認をした場合も含まれるとの理解でよいか。

              そのとおりです。    

71            他の特定事業者が保存している確認記録を用いるに当たり、 確認記録が新規則の施行前に作成されたものであっても有効であるという理解でよいか( ト( 1 ) 関係)。

              そのとおりです。

72            特定事業者は、 条文に記載の① 特定取引に際して本人特定事項を確認していること、 ② 当該確認に係る記録を保存していること、 ③ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等しか知り得ない事項その他の当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す事項の申告を受けることにより当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認していること、3 点について、 どのような方法により確認すればよいか。 例えば、 特定事業者間での電話による確認は認められるか( ト( 1 )関係)。

       ① から③ いずれも、特定事業者において合理的と認められる方法により確認する必要がありますが、 一般的には、具体的な方法について、当該特定事業者と当該他の特定事業者との間の契約等において決定されるものと考えます。 例えば、③ については、当該特定事業者は、 当該他の特定事業者が当該顧客等からID・パスワード等の申告を受けた場合に限って当該特定事業者に当該顧客等の確認記録を提供するシステムを構築している場合、 実際に当該顧客等の確認記録の提供がなされたことをもって確認をしたものと評価されることとなります。

① から③ について、 特定事業者間の連携を電話により行うことも認められます。

73            顧客等から送信を受けた本人確認用画像情報に記載された氏名、 住居及び生年月日と他の特定事業者が保存している確認記録の氏名、 住居及び生年月日については、婚姻等に伴う姓の変更、転居に伴う住居の変更等のほか、 マンション名の登録の有無、 ハイフンの表記方法、 字体の相違などにより、 完全には一致しないことが想定されるが、どの程度までの一致が求められるのか

( ト( 1 ) 関係)。

              氏名が異なっている場合には基本的には認められないと考えられます。住居についても同様ですが、 マンション名やハイフン等、 単なる表記上の違いにより完全に一致しない場合にあっては、 同一の住居を示していると認められる場合があると考えられます。

74            顧客 A  が特定事業者 X  で預金口座を開設後、 転居したので住所変更の手続を行い、特定事業者 X  は本人特定事項に係る確認記録を更新したとして、 特定事業者 Y  は、特定事業者 X  の更新後の本人特定事項確認に依拠して、 本人確認を完了できるとの考えでよいか。

また、顧客 A  は、官公署において住所変更の手続をした後、金融機関の1 カ所で住所変更の手続をすれば、 他の金融機関において住所変更の手続をするにあたっては( 1 ) の方法で住所変更手続ができるのか( ト( 1 ) 関係)。

御質問のような場合、 特定事業者( Y ) は、他の特定事業者( X) による過去の本人特定事項の確認を利用して、 新規則第6 条第1 項第1 号ト(1 )の確認ができると考えられます。

なお、 各金融機関における住所変更の手続については、 令第 7 条第 1 項第1 号に掲げる取引には該当しません。

75            「 当該顧客等しか知り得ない事項その他の当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す事項」 とは、 預金口座の暗証番号、 インターネットバンキングのI D・ パスワード、 クレジットカードの暗証番号、 生体情報等が該当するのか。また、 他の特定事業者の名称・ 口座番号等はどうか。 こういったI D ・ パスワードは複数必要か( ト( 1 ) 関係)。

              例えばI D ・パスワードのほか、静脈等の生体情報等の利用が想定されます。 他の特定事業者の名称や口座番号は該当しないと考えられます。また、 同一であることの確認ができるのであれば、 複数の申告は必要ありません。     

76     ト( 1 ) に規定する「 当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認していることを確認すること」 について、 企業グループ内で親会社が顧客ごとにI D を発行し、 これをグループ内の事業者間で共有して顧客管理を行っている場合で、グループ内の特定事業者A ( 資金移動業者) が取引を行おうとする顧客について、 グループ内の他の特定事業者B( クレジットカード会社) が行った本人確認の確認記録に記録されている顧客と同一であることを確認していることを確認する方法により本人確認を行うと、 取引に際して申告を受ける「 当該顧客等しか知り得ない事項」 として想定されているI D 及びパスワードについて、 当該顧客等以外についても知り得る情報となる可能性があるが、 問題はないと考えてよいか( ト( 1 ) 関係)。

              I D 及びパスワードについて、 グループ企業内で共有している場合や顧客等が使い回しているなどの場合についても、 そのI D 及びパスワードが顧客等に対して一般的に顧客等しか知り得ないと考えられる事項として伝達されたものであり、 取引に際し、 その事項の申告を受けることとしていれば、 ト( 1 ) に規定する方法を使用することができると考えられます。      

77            今回の改正案施行後も、 規則第13 条第1 項第1 号や令第13 条は従来どおり引き続き認められるとの理解でよいか( ト( 1 ) 関係)。

              そのとおりです。

78            新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) において、 特定事業者と他の特定事業者の間で顧客等に係る個人情報が提供されることについて、 あらかじめ顧客等から同意を得るか、個人情報保護法第23条第1 項第1 号の「法令に基づく場合」に該当すると位置付けるか、 いずれかの整理が必要ではないか。 あるいは、そもそも顧客等に係る個人情報のやり取りは予定されておらず、 個人情報保護法上の何らかの措置は求められないということか。

              特定事業者は、 他の特定事業者が保存している確認記録により特定される個人と、 本人確認書類に記載された個人が一致することの確認が求められるため、 氏名等の個人データの共有が行われますが、 この場合、特定事業者又は他の特定事業者は、顧客等からあらかじめ同意を得ることにより、 適法に対応することができると考えております。   

79     画像の送信から他の特定事業者に確認するまでは、 ある程度のタイムラグは許容されるのか。 許容される場合は、 どの程度の期間か。

また、 確認完了するまでの間、 特定事業者のサービス提供は行ってはいけないか( ト( 1 ) 関係)。

全ての手続を合理的な期間内に完了する必要があります。特定事業者がサービスを提供するよりも前に必ず本人特定事項の確認が完了していなければならないわけではありませんが、 サービスの提供を行ったものの、 その後確認が合理的な期間内にできなかった場合には、取引がマネー・ ローンダリング等に悪用されている疑いが生じた場合の対応に支障が生じることが考えられることから、 サービスの提供に先立って本人確認をしておく必要性は高いと考えています。

80            「 当該顧客等の預金又は貯金口座」については顧客本人名義である必要があるとの理解でよいか( ト( 2 )関係)。

              そのとおりです。    

81    特定事業者が、 新たに開設する顧客の口座を経由して振込を行う必要があるのか( ト( 2 ) 関係)。      

       特定事業者が既存の顧客口座に振込をするものです。

82            新規則第6条第1項第1号ト( 2 )の方法は、 預貯金口座のみと記載されているが、 将来的には資金移動業者の口座の情報でも足りるようにしてほしい。         

銀行等は、 技術やノウハウの蓄積により、 その行う取引時確認及び継続的な顧客管理に一定の信頼性・ 正確性が認められることから、 資金移動業者等の口座と区別しているものであり、 現時点で預貯金口座と同様に扱う予定はありません。

83     「 令第7 条第1 項第1 号イに掲げる取引を行う際に」 とあるが、 他の取引は対象外という認識でよいか( ト( 2 )関係)。     

       対象外です。 

84     「 金銭の振込み」 については特に金額や通貨の種類の新規則上の指定はないとの理解でよいか。 その際、 A T Mからの振込は許容されるのか( ト( 2 )関係)。

              そのとおりです。

85     特定事業者による金銭の振込みに係る金額の負担方法について、 新規則上は制限なく、 特定事業者と顧客の合意により例えば顧客側に当該金銭を負担させることも新規則上は禁止されないとの理解でよいか( ト( 2 ) 関係)。

              そのとおりです。    

86            「 金銭の振込み」 は、 本確認方法を適用しようとしたときと近接した時期に行われる必要があるか。 例えば、 10年前のような相当程度過去の振込も認められるのか( ト( 2 ) 関係)。      

       本人特定事項の確認は、 特定取引に際して行われる必要があります。したがって、 御質問のような場合は認められません。    

87            「 預貯金通帳の写し等の送付を受ける」 とあるが、 送付を受けられなかった場合、 入金した金額については返還等を求める必要はない( 事業者判断)ということでよいか( ト( 2 ) 関係)。

              そのとおりです。    

88            本人確認方法として顧客の口座に振り込んだ金銭は貸付金の一部とみなされるのではないか。 明示的にはそのような位置付けがされていなかったとしても、 本人確認が終わっていないのに融資の一部を振り込むことになってしまっており、 違法ではないのか。 よって、 振り込む金額は一定範囲内に限定すべきではないか( ト( 2 ) 関係)。 

       本人確認のために振込を行うものであり、その目的を逸脱して行われない限り、 違法なものになるとは考えておりません。 振込金額は、当該目的の範囲内で特定事業者において判断されることとなります。

89     振込先の口座が「 当該預金又は貯金口座に係る令第 7 条第1 項第1 号イに掲げる取引を行う際に当該顧客等について氏名、 住居及び生年月日の確認を行い、 かつ、 当該確認に係る確認記録を保存しているもの」 であることは、どのように確認すればよいのか。 例えば電話により個別に振込先金融機関に問い合わせる必要があるのか( ト( 2 )関係)。

              顧客等の預貯金口座は本人確認済みである必要があるところ、例えば、振込先金融機関が、 その全ての顧客について本人確認済みであることを公表している場合には、 特定事業者は、 当該振込先金融機関に開設された当該顧客等の預貯金口座が本人確認済みのものであると判断することができると考えられます。

また、 振込先金融機関が全ての顧客等について本人確認済みでなかったとしても、 インターネットバンキングの利用顧客については全て本人確認済みであって、 その旨を公表している場合には、 特定事業者は、 当該顧客等が当該インターネットバンキングの利用者であることを確認すること(例えば当該インターネットバンキングの利用画面のスクリーンショットの送付を受けて確認することが考えられます。) により、本人確認済みであると判断することができると考えられます。

また、 電話等により個別に振込先金融機関に問い合わせる方法も想定されます。

90            新規則第6 条第1 項第1 号トの方法における本人特定事項の確認の責任は、他の特定事業者ではなく、 本人特定事項の確認を行おうとする特定事業者自身にあるのであって、 例えば、 他の特定事業者が過去に行った確認や特定事業者への情報提供に瑕疵があったとしても、 他の特定事業者が責任を問われることはないという理解でよいか。

              他の特定事業者は自らが行った本人特定事項の確認については当然に責任を持つため、 当該確認が杜撰であった場合には、 当該特定事業者が監督上の措置の対象となります。      

91            「当該顧客等の預金又は貯金口座( 当該預金又は貯金口座に係る令第 7 条第1 項第 1 号イに掲げる取引を行う際に当該顧客等について氏名、 住居及び生年月日の確認を行い、 かつ、 当該確認に係る確認記録を保存しているものに限る。)」について、 当該預金又は貯金口座を開設する特定事業者が、 当該顧客等から、 当該預金又は貯金口座に関する住所や姓、 法人の代表者等の変更等、 確認記録に記載すべき事項の変更に係る申入れを受けた際に、 本人確認書類の徴収を行わなかった場合を含む、という理解でよいか( ト( 2 ) 関係)。

              そのとおりです。    

92            「 当該振込みを特定するために必要な事項」 とは具体的にどのようなものを想定しているのか。 振込日、 振込人及び金額が確認できればよいのか( ト( 2 ) 関係)。

              単に振込日、振込人及び金額が確認できたとしても、 振込額や振込人名が容易に推知できるものである場合には、 特定事業者からの振込みを受けた者へのなりすましのおそれがあると考えられます。

「 当該振込みを特定するために必要な事項」 としては、 例えば、 振込額をランダムにして振り込んだり、又は振込人名をランダムにして振り込んだ際の、 当該振込額や当該振込人名が考えられます。

93            「 預貯金通帳の写し又はこれに準ずるもの」 として、 次のものは認められるか( ト( 2 ) 関係)。

①通帳を写真撮影した画像

② インターネットバンキングの画面をスクリーンショットで撮影した画像( ソフトウェアによる自動的なスクリーンショットであるか顧客の手動によるスクリーンショットであるかを問わない)

③ インターネットバンキングの画面を印字した紙

④ 振込依頼書の写し、 預金口座振替による振込金受付書の写し

⑤ キャッシュカード( クレジットカード一体型も含む。) の写し

              ① から③ までは、 いずれも認められると考えられます。④ については、 振込を行う特定事業者が作成するものであり、 認められません。

⑤ については、 振込みを特定するために必要な事項が記載されないため、認められません。

94            銀行法第2 条第17 項第2 号に規定される行為を行う電子決済等代行業者を通じて得られる情報を「 これに準ずるもの」 として扱ってよいか( ト( 2 )関係)。

              「 これに準ずるもの」 として想定しているものとしては、 例えばインターネットバンキングの取引状況が分かる画面のスクリーンショットが挙げられます。 御質問の詳細は明らかではありませんが、 インターネットバンキングの取引状況の分かるものであれば、 基本的には許容されるものと考えられます。

95            「 預貯金通帳の写し又はこれに準ずるものの送付」 は、 振込みの記録がある画像に限らず、 当該金融機関のデータ形式に沿って、 振込みの記録が認められるデータの送信でも認められるか( ト( 2 ) 関係)。

              御質問のケースの詳細は明らかではありませんが、 当該振込を特定するために必要な事項が記載されているものである必要があります。

96            顧客等がインターネットバンキングの利用者である場合は、 当該インターネットバンキングの利用画面のスクリーンショットの送付を受けて確認することが考えられるが、 その場合、 改ざん防止等の措置は必要となるか。また、当該スクリーンショットについてはあらかじめ取得したものであっても差し支えないか( ト( 2 ) 関係)。

              特定事業者は、 送付を受けたものが真正な「 当該振込を特定するために必要な事項が記載された預貯金通帳の写し又はこれに準ずるもの」 であることを確認する必要があります。その方法は特定事業者の合理的な判断に委ねられますが、 御質問のような措置も含まれると考えられます。

また、 当該振込を特定するために必要な事項が記載される以前のスクリーンショットは認められません。

97            夜間や祝祭日に送金処理を行った場合には、 着金が翌営業日になることが多いが、 着金後のスクリーンショットを送付することでよいか。 その場合、特定事業者による送金から一定期間経過したものにならざるを得ないが、 それは特に問題ないという理解で良いか( ト( 2 ) 関係)。

              問題ありません。    

98            新規則6 条第1 項第1 号ト( 2 ) における「 預貯金通帳の写し等の送付を受ける」 ついて、 当該方法は盗難通帳の場合には有効な本人確認手段となり得ないのではないか。             

特定事業者は、 顧客等から送信を受けた本人確認用画像情報により特定される個人と、 顧客等の預貯金口座の名義人が一致することを確認する必要があることなどから、 確認の水準を確保できるものと考えております。

99            特定事業者は、 振込先の口座開設時に作成された確認記録に記載の事項と、顧客等から申告を受けている本人特定事項との一致を確認する必要があるのか( ト( 2 ) 関係)。      

       特定事業者は、 顧客等から送信を受けた本人確認用画像情報により特定される個人と、 顧客等の預貯金口座の名義人が一致することを確認する必要がありますが、 当該口座が開設されている金融機関に保存されている確認記録との一致を確認する必要まではありません。

100           振込先口座が新たに口座開設をする口座名義人と同一人物であることは名義の一致の確認のみで足りるという理解でよいか( ト( 2 ) 関係)。     

名義の一致の確認のほか、 振込を特定する事項が記載された預貯金通帳の写し等の送付を受ける必要があります。

101           「 当該預金又は貯金口座に係る令第7 条第 1 項第1 号イ( 預金又は貯金の受入れを内容とする契約の締結) に掲げる取引を行う際に当該顧客等について氏名、 住居及び生年月日の確認を行い、 かつ、 当該確認に係る確認記録を保存しているものに限る。」と記載されているが、 確認記録を保存しているかを銀行等に確認する必要はあるか( ト( 2 ) 関係)。

              通常、 取引時確認を行えば、 法において確認記録を保存することとなっており、 特段の事情のない限り、保存の事実についてまで確認することは求められません。  

102          振込に利用される口座が何らかの事情により本人特定事項の確認が未済であっても、 当該確認方法を利用する特定事業者が本人特定事項の確認に係る責 任 を 負 う と い う 理 解 で よ い か ( ト( 2 ) 関係)。

              新規則第6 条第1 項第1 号ト( 2 )の方法は、 特定事業者自身が、 顧客等から送信を受けた本人確認用画像情報等の確認を行い、 追加的な措置として顧客等が他の特定事業者で開設している預貯金口座に少額を振り込み、 その事実を特定事業者自身が確認するものであり、 本方法を採用した確認に関する法上の責任を負うのは、当該他の特定事業者ではなく、本方法を利用する特定事業者自身となります。

▼新規則第6 条第1 項第3 号関係                             

103           この確認方法は、 特定事業者が自ら一般財団法人民事法務協会の登記情報提供サービス又は国税庁の法人番号公表サイトを利用して顧客等である法人の情報を取得( オンライン上に限定されず、窓口又は郵送を含む。) するのであれば、 本人確認書類の送付を受けることを要しない、 というものか( ロ及びハ関係)。      

       そのとおりです。    

104           平成27 年9 月18 日公示のパブリックコメント No.68において、法人の本人特定事項の確認について、「本人確認書類については、 少なくとも顧客等が自らその真正性を確認した上で特定事業者に対して提示又は送付することが必要である」との理由から、「ウェブサイトからダウンロード又は印字した情報の閲覧を本人確認方法として認めることは難しい」 旨示されている。 当該解釈について、 今回の改正により「 ウェブサイトからダウンロード又は印字した情報の閲覧」 が本人特定事項の確認方法として認められるようになったと推察されるが、 既存のパブリックコメントへの回答との整合性について確認したい( ロ及びハ関係)。

              御指摘のパブリックコメントにおける見解は、 外国の政府機関が運営するインターネットサイトの利用に関する御意見に対するものでした。

新規則第 6 条第 1 項第 3 号ロ及びハは、 一般財団法人民事法務協会による登記情報提供サービス及び国税庁の法人番号公表サイトを利用するものであるところ、未来投資戦略2017( 平成29年6 月9 日閣議決定) において「 法人設立に関し、 利用者が全手続をオンライン・ ワンストップで処理できるようにする」 こととされたことを踏まえ検討を行った結果、今回、 本人特定事項の確認方法として新たに認めることとしたものです。

105           顧客等が民事法務協会から入手した登記情報を印字し、 特定事業者に宛てて郵送した場合、 本人確認書類として認められるか。

また、 顧客等から紙で送付された場合、 特定事業者において民事法務協会にアクセスして記載内容の一致を確認すれば、 本人確認書類として認められるのか( ロ関係)。         

顧客等が登記情報を紙に出力したものは本人確認書類とは認められません特定事業者が指定法人から登記情報の送信を受けることが必要です。

なお、 顧客等から登記情報を紙に出力したものの送付を受け、 特定事業者が当該内容を確認することは、本人確認方法として認められます。

106           「 一般財団法人民事法務協会から登記情報の送信を受ける」 場合、 特定事業者において登記情報を印字して保存することは許容されるか( ロ関係)。       

問題ありません。    

107           代表者等が当該法人を代表する権限を有する役員の場合、 当該法人の本店等に宛てた取引関係文書の郵送は不要であるという理解でよいか( ロ関係)。

       そのとおりです。

108    「 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律( 平成11年法律第226号)第3 条第2 項に規定する指定法人から登記情報( 同法第 2 条第 1 項に規定する登記情報をいう。以下同じ。)の送信」について登記情報提供サービスの事を指していると思われるが、 代表権の確認は登記情報提供サービスのホームページ上の、『提供される登記情報』の『商業・法人登記情報』で確認すればよいか確認させて頂きたい。( ロ関係)。

そのとおりです。    

109           「 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律( 平成25 年法律第27 号) 第三十九条第四項の規定により公表されている当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地を確認し」 とは、 国税庁により公表されている法人の名称と所在地を確認することと理解しているが、このハの場合は、 ロの登記情報の送信を受ける場合と異なり、 転送不要郵便等の送付が本人特定事項の確認方法の要件となっている。 しかし、 ハにおいてもロと同様に法人の本人特定事項の確認をオンライン完結することが可能と思われるため、 転送不要郵便の送付要件を外すことは可能ではないか。

また、 取扱いに差異を設けようとする趣旨を説明されたい( ハ関係)。

              法人番号公表サイトは、 法人の役員を確認できないことから、 転送不要郵便物の送付が要件として課されている一方で、 登記情報提供サービスは、 法人の役員も確認できることから、 代表権を保有する役員については転送不要郵便を不要としたものです。    

110           登記事項提供サービスや国税庁法人番号公表サイトを利用した本人確認を法人顧客と対面で行うのであれば、 法人の所在地への郵便は不要ではないか。また、 登記情報提供サービスや国税庁のサイトを確認する方法が認められたが、 こうしたサイトを利用した法人の本人確認方法として、 英国の企業登記局やシンガポールの会計企業規制庁のサイトの利用も認めるべきではないか( ロ及びハ関係)。

              御質問における条文については、法人の代表者等における対面時の取引について転送不要郵便が不要であることが明確になるよう、 修正させていただきます。

また、 外国における登記情報サービス等の利用に関する御意見については、 特定事業者の業務の実態、 当該サービスの信頼性等を踏まえつつ、今後検討してまいります。

111           「 当該法人の代表者等から当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の申告を受け、 かつ、 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律第三条第二項に規定する指定法人から登記情報( 同法第二条第一項に規定する登記情報をいう。以下同じ。) の送信を受ける方法」 の「 指定法人から登記情報の送信を受ける」 は、 特定事業者自身が指定法人から直接登記情報の送信を受けず、 司法書士等が送信を受けた登記情報の提供を受けて、 その内容を特定事業者が確認する場合も含まれるという理解でよいか( ロ関係)。

              新規則第6 条第1 項第3 号ロは、特定事業者が一般財団法人民事法務協会から登記情報の送信を受ける方法です。 なお、 御質問の司法書士等が特定事業者から本人確認業務について委託を受けている場合は、 御質問の方法も可能と考えられます。

なお、 本人確認業務を委託する場合であっても、 法上の責任は委託元の特定事業者に所在します。

112           特定事業者が登記情報提供サービスを利用する際の利用料は、 事業者負担なのか。 利用料を顧客に請求しても問題ないか( ロ関係)。         

利用料の負担については、 犯罪収益移転防止法上は問題としておりません。

113           一般財団法人民事法務協会から登記情報の送信を受け本人特定事項の確認とする場合、 当該情報に記載のある事業内容の確認をもって規則第10 条1 項2 号ハに定める事業内容の確認とみなす理解でよいか( ロ関係)。

              そのとおりです。

114           法人の代表者等から法人の本人特定事項の申告を受け、 一般財団法人民事法務協会から登記情報の送信を受ける方法について、 代表者等が法人を代表する権限を有する役員として登記されている場合には、 法人に対する本人特定事項の確認は完了( 本人確認書類の提示及び取引関係文書の送付) したと考えて相違ないか。 また、 上記の場合であっても、 代表者等に対する本人特定事項の確認は上記とは別に必要という理解でよいか( ロ関係)。

              そのとおりです。    

▼確認記録の作成方法について( 新規則第19条第1 項第2 号関係)                                 

115           旧規則第6 条において、「本人確認書類等の写しを受け、 確認記録に添付するとともに、」とある部分が、新規則第19 条第 1 項第2 号柱書では「 写しを受け」 に改正されているが、 確認記録に添付する必要はなくなったのか。

              規則第19 条に基づき、 従来どおり添付を行っていただく必要があります。

116           新規則第19 条第1 項第2 号柱書は、同号ヘに掲げる場合を除き、 送付を受けた本人確認書類の写し、 本人確認書類の画像ファイル、 本人確認用画像情報等を、 送付された状態のまま添付しなくても、 形態の異なる電子ファイルに変換したり、 紙に印字したものをスキャナで読み込んでイメージデータ化したりしたものを添付することが認められるということか。       

そのとおりです。    

117           現行法第6 条第2 項では、 取引時確認の確認記録は当該取引が終了した日から 7 年間保存しなければならないこととされているが、 新規則第19 条第1項第 2 号柱書では、 本人確認用画像情報についても、 確認記録に添付し、 取引終了から 7 年間保存しなければならないという理解でよいか。

              そのとおりです。

118           新規則第6 条第1 項第1 号ホに規定される方法によって通常の本人確認を実施した場合、特定事業者において「当該本人確認用画像情報」 の保管が必要となるが、 この保管は自社内のサーバーへの保管ではなく、 特定事業者の委託先のサーバーに保管することとしても問題ないか。 また、 保管場所や保管方法として不適切とされる類型はあるか。

              委託先のサーバに保存することも可能ですが、 その場合、 特定事業者が、 自らの責任の下、 自らの事務所で保存している場合と同様に、 直ちにその情報が検索できる状態になっている必要があります。     

119           確認記録として保存すべきものの範囲について、本人確認用画像情報には、「 厚みその他の特徴」 の確認を行った際の情報が含まれるという認識でよいか( ロ、ハ及びニ関係)。

              新規則第19 条第1 項第2 号により確認記録に添付することとなる本人確認用画像情報は、「厚みその他の特徴」 が確認できるものでなければなりません。 

120           新規則第6 条第1 号ト( 2 ) により本人確認を行った場合、「預金通帳の写し又はこれに準ずるもの」 自体の保存義務はないという理解でよいか( ニ関係)。

              そのとおりです。    

▼確認記録の記録事項について( 新規則第20条関係)                                 

121           新たに認められる本人特定事項の確認方法をとった場合、 本人確認記録の項目に変更点はあるか。      

       新規則第20 条の規定によることとなります。

122           新規則第6 条第1 項第1 号ト( 1 ) 又は( 2 ) について、 特定事業者間で書面により顧客等の本人特定事項の確認をした場合、 新規則第20 条第1 項第8 号において確認記録に記載を求める「 確認を行った日付」 は「 確認をした特定事業者が回答を受領した日付」 を指すのか。          

そのとおりです。    

123           本人特定事項の確認を行う方法が複数許容される場合、 いずれの方法により確認したかは確認記録の記録事項とはならないという理解でよいか。      

       新規則第20条第1 項第15号により、本人特定事項の確認を行った方法は確認記録に記載する必要があります。新規則第6 条第1 項第1 号トによる確認をした場合には、 同号( 1 ) 又は( 2 ) のいずれの行為によって確認をしたかについて、 他の特定事業者の名称も含めて記録しておく必要があります。

     

▼その他                                 

124           新たな本人確認方法については、特定事業者が提供するソフトウェアの使用や、 本人確認書類の厚みその他の特徴など、 条文だけでは具体例がイメージしづらい。 特定事業者が確認の仕組みを実装する際のよりどころとすべく、具体例を示したガイドライン等を整備することが、 特定事業者の対応が斉一になるほか、 顧客のオンライン利用にも資することとなる。 ただし、 ガイドライン等を定めた場合、 飽くまで法の趣旨に沿った例を提示するものとして扱い、 今後技術の進歩等によって可能となる新たな本人確認方法についても認められるよう、 柔軟に運用していただきたい。   

       御指摘のガイドライン等については、 意見公募手続において頂いた御意見に対する考え方として今回お示しさせていただいたところですが、引き続き新規則の内容についてわかりやすく周知していくことにより、犯罪収益移転防止法の趣旨を踏まえた適切な解釈及び運用がなされるよう努めてまいりたいと考えております。

125           特定事業者が、 施行日前に取引時確認を行っている顧客等との間で施行日以後に初めて特定取引を行う際は、 新規則第 6 条に則った新たな確認は不要と考えてよいか。    

       今回の改正は、 既に本人特定事項の確認を済ませている顧客等に対する新たな確認を義務付けるものではありません。 

2    犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案について                               

( 平成32 年4 月1 日施行)                                

▼顧客等の本人特定事項の確認方法について( 新規則第6 条第1 項第1 号関係)                            

126           新規則第6 条第1 項第1 号及び第3号で、 新たに規定されることとなる本人確認方法について、 採用するかどうかは各特定事業者の判断に委ねられており、 採用が義務付けられるというわけではないという理解でよいか。             

そのとおりです。

127           新規則第6 条第1 項第1 号チの場合、送付又は送信を受けるのは、 本人確認書類の原本、 本人確認書類に組み込まれたI C チップ上の情報又は本人確認用画像情報のいずれかでよいのか。

              そのとおりです。    

128           本人確認書類の原本について、 どのような本人確認書類が想定されているのか。 保険証や市役所から交付される住民票の写し等は該当するのか( チ関係)。   

       住民票の写しのように複数枚発行又は発給される本人確認書類の原本の利用が一般的であると想定しております。

129           現行法において認められている本人確認方法の一部を認めず厳格化することは、 利用者の利便性に反することとな る が 、 厳 格 化 の 経 緯 や 背 景 は 何 か( チ、リ及びル関係)。

              現在の本人確認方法に関して、 不正を防止する観点からより実効性のあるものとするため、 十分な準備期間を設けた上で見直しを行うこととしたものです。  

130           転送不要郵便物としての送付による確認方法の改正の条文について、 以下の解釈でよいか確認したい( リ関係)。

・ 現住所記載の本人確認書類( 写) は2 点の徴収

又は・ 現住所記載の本人確認書類( 写) 1点と現住所記載の補完書類1 点( 家族名義含む公共料金領収書等) の徴収又は

・ 住所相違の本人確認書類( 写) 1 点と現住所記載の補完書類 2 点( 現住所記載で本人名義のもの。 但しその内の1 点は同居家族名義の公共料金の領収書でも可) の徴収

御質問にあります書類の送付を受けることにより、 新規則第6 条第1項第 1 号リの方法による確認が行えます。 ただし、 家族名義の公共料金領収証書については、 同居する者のものに限られます。

131           新規則第6 条第2 項柱書には補完書類の定義が規定されているが、 当該顧客等の現在の住居の記載があることが補完書類の定義の一部であるか否かが不明確である。

定義の一部でないとすれば、 新規則第6 条第1 項1 号リの「 当該本人確認書類に当該顧客等の現在の住居の記載がないときは、 当該補完書類及び他の補完書類( 当該顧客等のものに限る。)」における「 他の補完書類」 には、 現在の住居の記載がないものも含まれるということか。

              顧客等の現在の住居の記載があることは、 補完書類の要件ではありません。 ただし、 新規則第 6 条第 1 項第1 号リにおける「 他の補完書類」は、「当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類」 の括弧書内のものであることから、 顧客等の現在の住居の記載があるものに限られます。

132          現行法では、引越し・結婚直後等で、本人確認資料の住所変更が完了していない場合に、「本人確認資料( 写し) の住所が現住所と相違する為に、 補完の本人確認書類の送付を受けるケース」がある。

改正案の本人確認資料を2 種類確認するケースにおいて、「変更後の住所の記載がある 2 種類の本人確認書類」 を確認する必要があるか。 うち1 種類の住所が変更前の本人確認資料の場合、要件を満たさないことになるか( リ関係)。

              新規則第6 条第1 項第1 号リでは、2 種類の本人確認書類の写しを用いて本人確認を行う場合、 そのいずれにも現在の住居の記載のあることが必要となります。

133           外国の重要な公人との取引において、厳格な顧客管理として、「取引時確認において用いた本人確認書類に加え、 もう一枚の本人確認書類を用いる」 こととなると認識しているが、 当該公人について新規則第 6 条1 項 1 号リに定める方法で本人特定事項の確認を行う場合、「本人確認書類の写し及び現在の住居の記載がある補完書類又はその写し」は更にもう 1 枚( 合計3 枚) 用いることとなるのか。 あるいは現状どおり2枚用いることとなるという理解でよいか確認したい( リ関係)。     

新規則第6 条第1 項第1 号リでは、

・ 現在の住居の記載がある本人確認書類の写し2 点

・ 現在の住居の記載がある本人確認書類の写し 1 点及び現在の住居の記載がある補完書類又はその写し1 点

・ 現在の住居の記載の無い本人確認書類の写し 1 点及び現在の住居の記載がある補完書類又はその写し 2 点( うち1 点は当該顧客のものに限る)のいずれかが必要となります。

法第4 条第2 項の「 厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引」 にあっては、 更に関連取引時確認において用いた本人確認書類及び補完書類以外の本人確認書類若しくは補完書類又はその写しが必要となります。

134           顧客の端末にあらかじめ保存してあった運転免許証等 1 枚に限り発行される本人確認書類の画像を受信した場合には、 運転免許証の画像受信に加え、現在の居住地を示す補完書類( 原本・写し) 又は他の本人確認資料( 写し)の送付(「補完書類又は他の本人確認書類の画像の送信」を含む。) を受け、顧客への転送不要郵便の送付が必要との理解でよいか( リ関係)。      

       そのとおりです。    

135           紙媒体の写しのほか、 特定事業者が提供するソフトウェアを使用しないで撮影・ 送信された本人確認書類の画像情報、 P D F データ及びF A X も、 引き続き「 本人確認書類の写し」 として位置付けられることとなり、 これまでと同じように取り扱われるという理解でよいか( リ及びヌ関係)。            

引き続き「 本人確認書類の写し」に該当します。 これを使用した確認方法である旧規則第6 条第1 項第1号ホについては見直しが行われ、 平成32 年4 月1 日より新規則第6 条第1 項第1 号チ、 リ、 ヌ等の方法によることとなります。

136           今回の改正案により、 現在の住居地を示す補完書類の提出を顧客に要請するケースが増加すると見込まれるが、顧客が容易に補完書類を用意することができず、 本人確認が完了しない申込者が多数出ることを懸念している。

「 本人確認書類の写し+ 取引関係文書送付」 の確認方法における補完書類について、 固定電話保有率の低下および携帯電話保有が一般的になっている社会情勢を踏まえ、 現在認められていない携帯電話の領収証書や請求書を対象として認めていただきたい。 また、公共料金の請求書や口座振替のお知らせについても対象として認めていただきたい( リ関係)。

              補完書類については、 従前より居住実態が確実に裏付けられる領収証等を認めており、 携帯電話領収証、公共料金の請求書及び口座振替のお知らせを認めることは予定しておりません。 クレジットカード払いによる領収証に代えて発行されるものであって、 公共料金の支払い事実が確認できることにより居住実態が確実に裏付けられる書類については、 事実上の領収証として、 補完書類として取り扱っても差し支えありません。  

137           現在の住居地を示す補完書類について、 同居する者宛ての公共料金領収証書も可となっているが、 同居する者とは親族に限らないという理解でよいか。そうだとすれば、 例えば「 公共料金領収証書の名宛人の姓と顧客等の姓が一致すること」 で確認を行う場合、 姓が異なる同居する者の場合はどのようにして確認すればよいか。

また、 姓が一致することで確認する場合、 領収証書が「 カナ」 等の漢字以外の形式で発行されているときは、 申込者が申告したカナ氏名等との一致を確認することでも問題ないか( リ関係)

              「 同居する者」 は親族に限られません。 公共料金の領収証書が「 同居する者のもの」 であることを確認する方法としては、 例えば、 領収証書の名宛人の姓と顧客等の姓の一致により確認することが考えられます。

姓が一致しない場合等には、 顧客等との関係を確認するほか、例えば、領収証書の名宛人の本人確認書類を利用したり、 顧客等に対して当該領収証書の内容( 例: 電気の使用状況)について詳細な説明を求めることなどが考えられます。

また、 領収証書がカナ文字で記載されていることにより姓の一致の確認に影響がある場合には、 より慎重な確認をすることが適当と考えられます。    

138           今回の改正により、 本人確認書類の写しの郵送を受ける場合、 補完書類又は他の本人確認書類の郵送を追加的に受けることが必要となったが、 外国の民間企業が発行する公共料金の領収証書が補完書類として認められていないため、 外国顧客の本人確認が困難になると見込まれる。 そこで、 次のとおり対応していただきたい( リ関係)。

1   外国の国営事業者以外の公共料金の領収証書( 同居の家族名義のものを含む。) を補完書類として認めて頂きたい。 なお、 銀行側において外国の民間企業が発行する公共料金の領収証書についての情報を収集しているなら真正性の判断は可能であり、 また、 国内の公共料金領収証書は民間発行のものでも認められている。

2   海外では、 我が国と異なり、 年1回しか発行されない書類が多い。 このため、 有効期限を「 1 年以内」 として頂きたい。

3

3   海外では「 領収証書」 は発行されず、「請求書」しか発行されない国もある。 書面ではなく電磁媒体でしか表示されないケースもある。このため、「領収証書等」として頂きたい。

              今回の改正は、 既存の郵便による本人特定事項の確認方法を悪用する事例が見られたことから、 これに対処するため、 確認方法の一部を厳格化したものです。御意見については、特定事業者の業務の実態等を踏まえつつ、今後検討してまいります。

139           補完書類は第3 号以外にもあるところ、 第 3 号についてのみ顧客等と同居する者のものを含むこととしている理由は何か( リ関係)。            

顧客等の利便への配慮として、 入手が一般的に容易と考えられることや、 同居する者でも公共料金の利用状況については説明が可能と考えられること等を踏まえて、 特別に認めることとしたものです。

140           我が国に在留する外国人の顧客について、 従来は、 在留カードあるいはパスポートの写しの送付を受けており、パスポートの場合、 現住所の記載が無ければ補完書類で住居を確認していた。新規則第 6 条第 1 項第 1 号リの前段において「 現在の住居の記載がある本人確認書類のいずれか二の書類の写しの送付を受け」と定められているため、在留カードに加えてパスポートの写しの送付を受けるだけでは足りないとの理解でよいか。

すなわち、 後段に定める「 本人確認書類の写し及び当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類… 又はその写しの送付を受け」 を満たすべく、 在留カードに加えて補完書類( = 公共料金の領収証書など) を求めざるを得ないとの理解でよいか。

外国政府発行のパスポートには、 所持人の本邦住居記載欄が設けられていないことも多いことを考慮すると、 パスポートを本人確認書類から排除することは不適当ではないか( リ関係)。

              在留カードとパスポートのどちらにも顧客等の現在の住居の記載があるならば、 それら 2 点の本人確認書類を利用することで確認ができます。どちらか一方にしか顧客等の現在の住居の記載がない場合には、 当該記載がある本人確認書類と当該記載がある補完書類の合計2 点を利用することで確認ができます。  

141          本規定に基づく確認により口座開設を行った後、 当該口座が適切に使われていない、 すなわち「 給与その他の当該法人が当該被用者に支払う金銭の振込」がないことが明らかになった場合、特定事業者の判断により再度本人特定事項の確認を求める、 あるいは本人特定事項の確認未済として取り扱うことも認められるという理解でよいか( ヌ( 1 ) 関係)。

              既に本人特定事項の確認をしていたとしても、 当該確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等との間で行う取引等については、 改めて取引時確認を行う必要があり、 顧客等がこれに応じないときは、 特定事業者は当該取引に係る義務の履行を拒むことができます。

142           「 その行う取引が犯罪による収益の移転の危険性の程度が低いと認められる法人」 とは、 どのような法人を指すのか。 各銀行がリスク・ ベース・ アプローチに基づき、 任意に設定できるものなのか( ヌ( 1 ) 関係)。         

相手方の法人との間で行われた取引の態様のほか、 当該法人に関して把握した各種情報等を踏まえて、 各特定事業者における合理的な判断により認められることとなるものです。  

143           新規則第6 条第1 項第1 号ヌ( 1 ) に規定する「 給与その他の当該法人が当該被用者に支払う金銭」 とは給与以外に何を含むのか。 また、 その「 振込みを受ける預金又は貯金口座」 とは、 既に給与等の振込みがあった口座に限定されるのか、 それとも給与等の振込みを受けることを目的として開設された口座であればいいのか( ヌ( 1 )関係)。

              給与のほかに、 例えば俸給や旅費等の経費が該当します。また、「振込みを受ける預金又は貯金口座」 については、 給与等の振込みを受けることを目的として開設されたもので足ります。

144           証券会社が銀行代理業者として所属銀行から預金口座の開設を行うことの委託( 預金口座の開設のための本人確認事務の委託を含む。) を受けている場合において、 顧客等から個人番号の提供を受けたうえで証券口座の開設を行うとともに、 銀行代理業としての預金口座の開設も同時に行う場合( ただし、令第13 条第1 項第1 号に定める顧客等には当たらない場合であることを前提とする。)、 改正案によれば、少なくとも証券口座の開設に関しては新規則第6 条第1 項第 1 号ヌ( 2 ) による本人特定事項の確認方法が許容されることになる。

このような場合、 証券会社が所属銀行のために銀行代理業として行う預金口座の開設に関しても、これと同時に、顧客等から個人番号の提供を受けた上で証券口座を開設するに際して、 顧客等から本人確認書類の写しの送付を受けていることに鑑みれば、 新規則第6

条第1 項第1 号ヌ( 2 ) による本人特定事項の確認方法が許容されると解してよいか。 仮に係る解釈が想定されていないとしても、 このような場合において、 預金口座の開設に関してのみ、 顧客等に本人確認書類の原本の送付等を求める必要性はないと考えられるため、預金口座の開設に関しても新規則6 条

1 項1 号ヌ( 2 ) による本人特定事項の確認方法が認められるようにしていただきたい( ヌ( 2 ) 関係)。

              御質問のケースにおいて、 証券会社としての特定取引と、 銀行代理業としての特定取引は、 異なる特定事業者としての取引である以上、 銀行代理業としての特定取引については、新規則第6 条第1 項第1 号ヌの方法による本人特定事項の確認は認められません。      

145           「 令第7 条第1 項第1 号リに掲げる取引」について確認させて頂きたい。

施行令第 7 条第 1 項第 1 号リのほかに、 令第7 条第 1 項第1 号ム及びヰにおいて「 社債、 株式等の振替に関する法律( 平成13 年法律第75 号) 第12 条第1 項又は第4 4 条第1 項の規定による社債等の振替を行うための口座の開設を行うことを内容とする契約の締結」 及び「 保護預りを行うことを内容とする契約の締結」 が、 取引時確認の必要な取引として規定されており、 証券取引を行う際には令第7 条第1 項第1 号リ、ム、 ヰの規定に基づき、 口座開設の際に犯収法上の本人確認を行っている。本来、 個人番号が必要となる取引は、有価証券の売買等の令第 7 条第 1 項第1 号リに掲げる取引である。 しかし、番号法の解釈により、 有価証券の売買等を行う前の口座開設時点で、 顧客に対して個人番号の提供を求めることが認められている(『特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン( 事業者編)』 及び『( 別冊) 金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン』に関するQ & A 」( 個人情報保護委員会) のQ& A 17-2 )。

したがって、 かかる解釈に沿って、令第 7 条第 1 項第 1 号リ、 ム、 ヰを内容とする証券総合口座開設時に個人番号を受け入れる場合も、 新規則第6 条第1 項第1 号ヌ( 2 ) が適用されるという理解でよいか( ヌ( 2 ) 関係)。

              同一の顧客等との間で、 施行令第7 条第1 項第1 号リに掲げる取引と同時に又は連続して行われる同号ム若しくはヰに掲げる取引については、新規則第6 条第1 項第1 号ヌの方法による本人特定事項の確認が可能になるよう、修正させていただきます。      

146           「 当該顧客等から同法第2 条第5 項に規定する個人番号の提供を受けている場合に限る」 について確認させて頂きたい。 ここでいう「 提供」 とは、 事前に提供を受けている必要があるのか。特定取引と同時に提出する場合も許容されるのか( ヌ( 2 ) 関係)。

              特定取引を行うに際し、 提供を受けている必要があります。

147           令第 7 条第1 項第 1 号リに掲げる取引はリスクの高いものも含まれるところ、 新規則第 6 条1 項1 号ヌ( 2 ) の趣旨は、 特定事業者が顧客等から個人番号の提供を受けている場合であれば本人確認書類の原本の送付等まで受ける必要がないといえることにあると思われる。 そうであれば、 令第7 条第1 項第1 号リに掲げる取引に限らず、 国外送金を行う資金移動業者が顧客から個人番号の提供を受けて行う為替取引など、 個人番号の提供を受けている他の取引についても、 新規則第6 条第1 項第1 号ヌ( 2 ) と同様にしていただきたい( ヌ( 2 ) 関係)。      

       令第7 条第1 項第1 号リに掲げる取引の場合、 特定事業者が提供を受けているマイナンバーについて関係機関への照会等により正確性が検証されることが十分に期待できることを踏まえ、 新規則第6 条第1 項第1号ヌ( 2 ) に規定しております。 単に特定事業者がマイナンバーの提供を受けていることだけを理由として、同号ヌ( 2 ) と同様の規定を設けることは適当ではないと考えております。    

148           名宛人本人等が本人限定受取郵便にて郵便等を受け取る場合に、 写真付き本人確認書類の提示が必要という理解でよいか。

また、相違ないということであれば、現行の本人限定受取郵便では受け取る際に提示する本人確認書類は写真付き本人確認書類に限定されていないが、どのように対応すればいいのか( ル関係)。

              そのとおりです。例えば、 特定事業者において、 写真付き本人確認書類の提示を必要としているサービスを利用することなどが考えられます。

149           「 差出人の指定した名宛人に代わって受け取ることができる者」 とは、 具体的にどのような者を想定しているのか。 また、 この者が受け取りの際に提示する本人確認書類が自分自身のものではなく名宛人のものであるとすれば、今回の改正で写真付きのものに限定する意義はないのではないか( ル関係)。

              新規則第6 条第1 項第1 号ルは、本人限定受取郵便を規定したものであり、 御質問については、 具体的に特定の者を想定しているわけではありません。 特定事業者は顧客等に対して取引関係文書を送付しなければならないところ、当該顧客等には「差出人の指定した名宛人に代わって受け取ることができる者」 も含まれ、配達業者は当該顧客等からその写真付き本人確認書類の提示を受けることが想定されております。

150           新規則第6 条第1 項第1 号リと同様に、 同号ルにおいても、 写真付き本人確認書類の提示を受ける方法に加えて、二の本人確認書類又は本人確認書類と補完書類の提示を受ける方法を認めていただきたい。 

       新規則第6 条第1 項第1 号ルは特定事業者自身が本人確認書類の提示又は送付を受けるものではない例外的な確認方法であるところ、 御質問の方法については、 2 点の書類相互間の整合性の確認等が必要となり、犯罪収益移転防止法の各種義務が課せられない配達業者による的確な履行が担保できないと考えられることから、認められません。      

151           新規則第6 条第1 項第1 号チ及びリの改正は非対面による本人特定事項の確認の方法が厳格化されるものと認識しているが、 かかる方法を施行日である平成32 年4 月1 日より前から開始することも認められるという理解でよいか。   

       特定事業者の自主的な取組として施行日以前より開始することに問題はありません。 また、 厳格化されるまでの間、 現在の方法と、 今回新たに認められたオンラインによる本人確認を同時並行で実施することも可能です。

▼確認記録の作成方法について( 新規則第19条第1 項第2 号関係)                                 

152           新規則第6 条第1 項第1 号チについて、 原本1 通の送付を受けて本人特定事項の確認をしても、 当該原本は別途利用する必要があるので、 新規則第19条第 1 項第 2 号により確認記録に添付するものはコピーとしたいが、 問題ないか( ホ関係)。  

       問題ありません。    

153           新規則第12 条第2 項を設けた趣旨を教示されたい。

              法人の取引担当者( 代表者等) と顧客等に当たる法人の両方の本人特定事項の確認が行われることとなり、また、 法人に係る情報は一般的に自然人よりも把握しやすいと考えられるなど、 顧客等が自然人の場合に比べて不正が行われにくいと考えらるためです。        

3   その他                              

命令案の内容に対する御意見ではありませんが、本人確認書類への本人の顔写真の貼付けを義務付けるべきなどの御意見がありました。頂いた御意見については、今後の参考とさせていただきます。                                  

eKYC

本人確認手段としての eKYC と今後の発展

日本電気株式会社 シニアエキスパート デジタルアイデンティティWG リーダー宮川 晃一

https://www.jnsa.org/jnsapress/vol48/JNSA_Press_No48.pdf

顧客の受け入れに対して明確な方針と手続きを持ち、それらの方針と手続きに沿って新規に顧客が口座開設を行う際はその顧客がどんな人物なのか、十分な身元確認を行う業務を一般的にKYC(Know Your Customer)と呼ぶ。eKYCは、オンラインによる非対面本人確認

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027

(定義)第二条8 この法律において「特定個人情報」とは、個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。第七条第一項及び第二項、第八条並びに第四十八条並びに附則第三条第一項から第三項まで及び第五項を除き、以下同じ。)をその内容に含む個人情報をいう。

別表第一(第九条関係)

UDID・・・UniversallyUnique Identifierの略で、アプリごとに使用40文字の英数字コード。識別子。

IMEI・・・携帯電話機の製造番号

ソルト・・・パスワードを暗号化する際に付与されるデータ。

 例えばメールアドレスとパスワードでアカウント登録を要求されるようなサービスにおいて、メールアドレスをSaltに含め、パスワードをハッシュ化して保存するといった使い方をします。パスワードを捨ててパスワードハッシュを保存し、さらに保存されたハッシュは非可逆でパスワードを復元できないことが重要となります。もしサーバーのrootに第三者が侵入したとしてもパスワードの漏洩を防げるからです。

 また、この方法は総当り攻撃を阻止することを意図していて、攻撃が意図的に遅くなるように設計されているのが特徴で、ストレッチング(1000回ハッシュ計算を繰り返して計算に時間がかかるようにする)という方法と併せてよく使用されます。そのため、Saltは秘密であることを重要視していないですが、いくつかの条件があります。

・ユーザーごとに異なるSaltであること (漏洩時のリスクを最小限にする為)

・ある程度の長さを確保すること (推測されにくくする為)

事業者が匿名加工情報の具体的な作成方法を検討するにあたっての参考資料

(「匿名加工情報作成マニュアル」)Ver1.0平成28年8月経済産業省

ハッシュ化・・・暗号化とは異なり、入力値から誰でも計算できる種類の処理である。不可逆的な(一方向の)変換ではあるが、識別可能な値を生成する。

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/tokumeikakou.pdf

HMAC・・・メッセージ認証符号の一つであり、鍵(メッセージ認証符号のことです)とデータとハッシュ関数を元に計算されたハッシュ値を持つ。

認証と改竄検出のために使われるアルゴリズムで、HMACにより算出された値をMAC (Message Authentication Code) 値。

HMACは基本的に暗号チェックサムであり、攻撃者がメッセージを改竄したことを検出するために使用。鍵は秘密である必要があり、可能な限り高速となるように設計されている。

電子証明書を使う際に必要となる暗証番号・・・署名用電子証明書については6桁~16桁の英数字、利用者証明用電子証明書は4桁の数字を設定

https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/kojinninshou-01.html

署名用暗証番号・・・?

署名用パスワード・・・6~16桁の英数字のパスワード。インターネット等で電子文書を作成・送信する際に利用

(例)特別定額給付金(10万円)の申請、e-Tax等の電子申請、銀行口座開設、不動産取引(住宅ローン)

https://www.kojinbango-card.go.jp/jpki/

第5回インフラ海外展開懇談会

https://www.meti.go.jp/shingikai/external_economy/infura_kaigaitenkai/005.html

日本で唯一の次世代デジタルIDアプリ「xID」

xID株式会社2020年10月2日

5. マイナンバーカード読み取り、署名用電子証明書を読み取り

「何に対して」(どんな内容の文書(電磁的記録)に対して)署名しようとしているのか。

8. 公的個人認証

社会保障・税番号大綱―主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築―政府・与党社会保障改革検討本部2011/06/30

https://www.soumu.go.jp/main_content/000141660.pdf

P34(注2)「番号」を一定の関数、手順等を用いて変換することで(複数回にわたって変換することを含む。)、新たに符号を生成した場合であって、生成した符号が「番号」と一対一に対応する関係にあるときは、生成した符号についても、「番号」に該当することとする。

xID株式会社

2021.9.24 ソーシャルメディア等で頂いているxIDアプリに関するご意見について

https://xid.inc/home

現在開発中で年内リリース予定の次期バージョンでは個人番号入力を伴う手順を廃止するよう進めております。

高木浩光@自宅の日記 ID番号は秘密ではない。秘密でないが隠すのが望ましい。なぜか。2012年03月03日

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20120303.html

ID番号は秘密にすべき情報ではない。他人に知られるとなりすましの被害に遭う番号ではない。そのように社会の側が構成されているべきである。しかし、ID番号が目的外で使用されたり、事業者をまたがって広範に共通して用いられる場合には、プライバシーの問題が生じてくる。そのため、消費者は、安易にID番号を提供することは避けるよう注意した方がいい。

我々が、ネットに自分のID番号を含む写真やログデータなどを掲載するときは、ID番号部分を隠す処置を施すことが多い。例えば、MACアドレスやUDID、IMEIを含むデータを掲載する場合などだ。実際のところこの処置は必須ではないのだが、たいていそうしている。そうする理由は、(1)万が一どこかにそのID番号でなりすましを許してしまう欠陥サービスがあった場合に備えた、念のための警戒として、(2)万が一どこかでそのID番号でトラッキングされている場合に、それが自分だとバレないようにするため、この2点である。

特に、他人のID番号を掲載する場合は、隠す処置を施すのは必須であろう。どこかで、そのID番号が誰のものであるか知っている者(本人以外の)がいる可能性があるからだ。

符号・・・?

電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000153

(署名用電子証明書又は利用者証明用電子証明書の発行の番号の利用制限等)

第六十三条 機構、署名検証者等、署名確認者又は利用者証明検証者以外の者は、何人も、業として、署名用電子証明書の発行の番号又は利用者証明用電子証明書の発行の番号の記録されたデータベース(自己以外の者に係る署名用電子証明書の発行の番号又は利用者証明用電子証明書の発行の番号を含む当該自己以外の者に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。以下この項において同じ。)であって、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成してはならない。

2 総務大臣は、前項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復して同項の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができる。

3 総務大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。

署名用電子証明書の発行の番号・・・?

利用者証明用電子証明書の発行の番号・・・?

利用者証明用電子証明書のシリアル番号・・・利用者証明用電子証明書には、基本4情報(氏名、住所、性別及び生年月日)は登録されていませんが、 シリアル番号、有効期限等が記録。一般的にシリアル番号とは、製品などを一つ一つの個体として識別するために割り当てられる固有の番号。

https://www.e-tax.nta.go.jp/kojin/mycd_login.htm

暗号論的ハッシュ関数・・・?

ITをめぐる法律問題について考える 弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

eKYCの犯収法上の確認要件を振り返る

犯罪による収益の移転防止に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000022

第二章 特定事業者による措置

(取引時確認等)第四条

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000f5a001

(顧客等の本人特定事項の確認方法)

第六条 法第四条第一項に規定する主務省令で定める方法のうち同項第一号に掲げる事項に係るものは、次の各号に掲げる顧客等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。

一 自然人である顧客等(次号に掲げる者を除く。) 次に掲げる方法のいずれか

イ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類(次条に規定する書類をいう。以下同じ。)のうち同条第一号又は第四号に定めるもの(同条第一号ハからホまでに掲げるものを除く。以下「写真付き本人確認書類」という。)の提示(同条第一号ロに掲げる書類(一を限り発行又は発給されたものを除く。ロ及びハにおいて同じ。)の代表者等からの提示を除く。)を受ける方法

6条1号イは、写真付き本人確認書類の提示を受ける方法(対面)

ロ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類(次条第一号イに掲げるものを除く。)の提示(同号ロに掲げる書類の提示にあっては、当該書類の代表者等からの提示に限る。)を受けるとともに、当該本人確認書類に記載されている当該顧客等の住居に宛てて、預金通帳その他の当該顧客等との取引に係る文書(以下「取引関係文書」という。)を書留郵便若しくはその取扱いにおいて引受け及び配達の記録をする郵便又はこれらに準ずるもの(以下「書留郵便等」という。)により、その取扱いにおいて転送をしない郵便物又はこれに準ずるもの(以下「転送不要郵便物等」という。)として送付する方法

6条1号ロは、本人確認書類の提示&書留郵便等で転送不要郵便物等として送付する方法(対面後郵送)

ハ 当該顧客等若しくはその代表者等から当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号ハに掲げるもののいずれか二の書類の提示を受ける方法又は同号ハに掲げる書類及び同号ロ、ニ若しくはホに掲げる書類若しくは当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類(次項に規定する補完書類をいう。ニ及びリにおいて同じ。)の提示(同号ロに掲げる書類の提示にあっては、当該書類の代表者等からの提示に限る。)を受ける方法

6条1号ハは、保険証等2種類の本人確認書類等の提示を受けるの方法(対面)

ニ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号ハに掲げるものの提示を受け、かつ、当該本人確認書類以外の本人確認書類若しくは当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類又はその写しの送付を受ける方法

6条1号二は、保険証等の本人確認書類の提示&他の本人確認書類等の写しの送付(対面・郵送)

通常の対面確認の方法も、犯収法施行規則6条で定められています。6条1号ホへトチヲワカが、オンラインと関係ありますね。

以下は、金融庁のPDF図です。6条1号ホへトしか図には出ていませんが、チはオンライン+郵送なので、図から割愛されたのでしょう、ヲワカは電子署名だから割愛されたんですかね。。。

https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20181130/01.pdf

ホ 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌及び写真付き本人確認書類の画像情報であって、当該写真付き本人確認書類に係る画像情報が、当該写真付き本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日、当該写真付き本人確認書類に貼り付けられた写真並びに当該写真付き本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受ける方法

6条1号ホ「本人確認書類の画像送信+本人の容貌の画像送信」

金融機関等(特定事業者)が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報の送信を受ける方法です。

そのソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌及び写真付き本人確認書類の画像情報であって、当該写真付き本人確認書類に係る画像情報が、当該写真付き本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日、当該写真付き本人確認書類に貼り付けられた写真並びに当該写真付き本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものでなければなりません。

ヘ 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌の画像情報をいう。)の送信を受けるとともに、当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の写真付き本人確認書類(氏名、住居、生年月日及び写真の情報が記録されている半導体集積回路(半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和六十年法律第四十三号)第二条第一項に規定する半導体集積回路をいう。以下同じ。)が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた半導体集積回路に記録された当該情報の送信を受ける方法

6条1号ヘ「ICチップ情報+本人の容貌の画像送信」

金融機関等(特定事業者)が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報と、ICチップの情報の送信を受ける方法です。

ICチップ情報は、写真付き本人確認書類(氏名、住居、生年月日及び写真の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれたもので、具体的にはマイナンバーカードやIC免許証、IC在留カード等とのことです。

ト 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号又は第四号に定めるもの(同条第一号ニ及びホに掲げるものを除き、一を限り発行又は発給されたものに限る。以下トにおいて単に「本人確認書類」という。)の画像情報であって、当該本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受け、又は当該顧客等若しくはその代表者等に当該ソフトウェアを使用して読み取りをさせた当該顧客等の本人確認書類(氏名、住居及び生年月日の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた半導体集積回路に記録された当該情報の送信を受けるとともに、次に掲げる行為のいずれかを行う方法(取引の相手方が次の⑴又は⑵に規定する氏名、住居及び生年月日の確認に係る顧客等になりすましている疑いがある取引又は当該確認が行われた際に氏名、住居及び生年月日を偽っていた疑いがある顧客等(その代表者等が氏名、住居及び生年月日を偽っていた疑いがある顧客等を含む。)との間における取引を行う場合を除く。)

(1) 他の特定事業者が令第七条第一項第一号イに掲げる取引又は同項第三号に定める取引を行う際に当該顧客等について氏名、住居及び生年月日の確認を行い、当該確認に係る確認記録を保存し、かつ、当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等しか知り得ない事項その他の当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す事項の申告を受けることにより当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認していることを確認すること。

(2) 当該顧客等の預金又は貯金口座(当該預金又は貯金口座に係る令第七条第一項第一号イに掲げる取引を行う際に当該顧客等について氏名、住居及び生年月日の確認を行い、かつ、当該確認に係る確認記録を保存しているものに限る。)に金銭の振込みを行うとともに、当該顧客等又はその代表者等から当該振込みを特定するために必要な事項が記載された預貯金通帳の写し又はこれに準ずるものの送付を受けること。

6条1号ト(1)「銀行等への照会」

これを使える事業者が限られそうなので、説明割愛

6条1号ト(2)「少額振込」

これを使える事業者が限られそうなので、説明割愛

チ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類のうち次条第一号若しくは第四号に定めるもの(以下チ並びにリ及びヌにおいて単に「本人確認書類」という。)の送付を受け、又は当該顧客等の本人確認書類(氏名、住居及び生年月日の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた半導体集積回路に記録された当該情報若しくは本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に特定事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の本人確認書類(次条第一号イからハまでに掲げるもののうち一を限り発行又は発給されたものに限る。)の画像情報であって、当該本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信(当該本人確認用画像情報にあっては、当該ソフトウェアを使用した送信に限る。)を受けるとともに、当該本人確認書類に記載され、又は当該情報に記録されている当該顧客等の住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

6条1号チ「本人確認書類又はICチップ情報若しくは画像情報の送信+書留郵便等により転送不要郵便物等として送付」

①ー1本人確認書類の送付を受ける

①ー2又は当該顧客等の本人確認書類(氏名、住居及び生年月日の情報が記録されている半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれたICチップ情報

①ー3若しくは本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に特定事業者が提供するソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の本人確認書類の画像情報であって、当該本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日並びに当該本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受けるとともに、

②住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

リ 当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の現在の住居の記載がある本人確認書類のいずれか二の書類の写しの送付を受け、又は当該顧客等の本人確認書類の写し及び当該顧客等の現在の住居の記載がある補完書類(次項第三号に掲げる書類にあっては、当該顧客等と同居する者のものを含み、当該本人確認書類に当該顧客等の現在の住居の記載がないときは、当該補完書類及び他の補完書類(当該顧客等のものに限る。)とする。)若しくはその写しの送付を受けるとともに、当該本人確認書類の写し又は当該補完書類若しくはその写しに記載されている当該顧客等の住居(当該本人確認書類の写しに当該顧客等の現在の住居の記載がない場合にあっては、当該補完書類又はその写しに記載されている当該顧客等の住居)に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

ヌ 次の(1)若しくは(2)に掲げる取引又は当該顧客等との間で(2)に掲げる取引と同時に若しくは連続して行われる令第七条第一項ム若しくはヰに掲げる取引を行う際に当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の本人確認書類の写しの送付を受けるとともに、当該本人確認書類の写しに記載されている当該顧客等の住居に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

(1) 令第七条第一項第一号イに掲げる取引のうち、法人(特定事業者との間で行われた取引の態様その他の事情を勘案してその行う取引が犯罪による収益の移転の危険性の程度が低いと認められる法人に限る。)の被用者との間で行うもの(当該法人の本店等又は営業所に電話をかけることその他これに類する方法により給与その他の当該法人が当該被用者に支払う金銭の振込みを受ける預金又は貯金口座に係るものであることが確認できるものに限る。)

(2) 令第七条第一項第一号リに掲げる取引(特定事業者が行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第十四条第一項の規定により当該顧客等から同法第二条第五項に規定する個人番号の提供を受けている場合に限る。)

ル その取扱いにおいて名宛人本人若しくは差出人の指定した名宛人に代わって受け取ることができる者に限り交付する郵便又はこれに準ずるもの(特定事業者に代わって住居を確認し、写真付き本人確認書類の提示を受け、並びに第二十条第一項第一号、第三号(括弧書を除く。)及び第十七号に掲げる事項を当該特定事業者に伝達する措置がとられているものに限る。)により、当該顧客等に対して、取引関係文書を送付する方法

ヲ 当該顧客等から、電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号。以下この項において「電子署名法」という。)第四条第一項に規定する認定を受けた者が発行し、かつ、その認定に係る業務の用に供する電子証明書(当該顧客等の氏名、住居及び生年月日の記録のあるものに限る。)及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

6条1号ヲ「電子署名」

電子署名法第四条第一項に規定する認定を受けた者が発行し、かつ、その認定に係る業務の用に供する電子証明書及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

ワ 当該顧客等から、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号。以下この号において「公的個人認証法」という。)第三条第六項の規定に基づき地方公共団体情報システム機構が発行した署名用電子証明書及び当該署名用電子証明書により確認される公的個人認証法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法(特定事業者が公的個人認証法第十七条第四項に規定する署名検証者である場合に限る。)

6条1号ワ「電子署名」

公的個人認証法第三条第六項の規定に基づき地方公共団体情報システム機構が発行した署名用電子証明書及び当該署名用電子証明書により確認される公的個人認証法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法(特定事業者が公的個人認証法第十七条第四項に規定する署名検証者である場合に限る。)

カ 当該顧客等から、公的個人認証法第十七条第一項第五号に掲げる内閣総理大臣及び総務大臣の認定を受けた者であって、同条第四項に規定する署名検証者である者が発行し、かつ、当該認定を受けた者が行う特定認証業務(電子署名法第二条第三項に規定する特定認証業務をいう。)の用に供する電子証明書(当該顧客等の氏名、住居及び生年月日の記録のあるものに限り、当該顧客等に係る利用者(電子署名法第二条第二項に規定する利用者をいう。)の真偽の確認が、電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第五条第一項各号に掲げる方法により行われて発行されるものに限る。)及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

二 法第四条第一項第一号に規定する外国人である顧客等(第八条第一項第一号に掲げる特定取引等に係る者に限る。) 当該顧客等から旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に掲げる旅券又は同条第六号に掲げる乗員手帳をいい、当該顧客等の氏名及び生年月日の記載があるものに限る。)であって、第八条第一項第一号に定める事項の記載があるもの又は同法第十四条の二第四項に規定する船舶観光上陸許可書(その交付に際して当該交付を受ける者の同法第二条第五号に掲げる旅券の写しが貼り付けられたものに限る。次条第一号イ及び第三号において単に「船舶観光上陸許可書」という。)の提示を受ける方法

三 法人である顧客等 次に掲げる方法のいずれか

イ 当該法人の代表者等から本人確認書類のうち次条第二号又は第四号に定めるものの提示を受ける方法

ロ 当該法人の代表者等から当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の申告を受け、かつ、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律(平成十一年法律第二百二十六号)第三条第二項に規定する指定法人から登記情報(同法第二条第一項に規定する登記情報をいう。以下同じ。)の送信を受ける方法(当該法人の代表者等(当該顧客等を代表する権限を有する役員として登記されていない法人の代表者等に限る。)と対面しないで当該申告を受けるときは、当該方法に加え、当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法)

ハ 当該法人の代表者等から当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の申告を受けるとともに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第三十九条第四項の規定により公表されている当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地(以下「公表事項」という。)を確認する方法(当該法人の代表者等と対面しないで当該申告を受けるときは、当該方法に加え、当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法)

ニ 当該法人の代表者等から本人確認書類のうち次条第二号若しくは第四号に定めるもの又はその写しの送付を受けるとともに、当該本人確認書類又はその写しに記載されている当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法

ホ 当該法人の代表者等から、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第十二条の二第一項及び第三項の規定に基づき登記官が作成した電子証明書並びに当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方法

6条1号カ「電子署名」

公的個人認証法第十七条第一項第五号に掲げる総務大臣の認定を受けた者であって、同条第四項に規定する署名検証者である者が発行し、かつ、当該認定を受けた者が行う特定認証業務の用に供する電子証明書及び当該電子証明書により確認される電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた特定取引等に関する情報の送信を受ける方

 

難しいです。

 犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項、同法施行規則6条の要件を満たす場合、同法令の範囲内の本人確認の方法として有効となる。

 司法書士法関連法令と司法書士会の会則・規定による本人確認は、本人確認が必要な場面と、犯罪による収益移転防止法関連法令より少し細かな記載(日本司法書士会連合会、司法書士執務調査室執務部会「司法書士にとっての犯罪収益移転防止法Q&A」令和2年8月など。)。

 個人情報保護法とその関連法令、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律とその関連法令は、本人確認を行う相手の権利を不必要に奪わないように定められている、という理解で良いのか。

 

デジタル化と司法書士

令和3年9月4日九州ブロック司法書士会協議会令和3年度会員研修会

政府の進めるIT戦略と司法書士業務に与える影響~ポストコロナの時代で加速するDXへの対応

「使命」「オンライン利用促進」「書面・対面・押印の見直し」「裁判IT」「ODR」「相談センターのIT化」など

日本司法書士会連合会 会長 小澤吉徳

はじめに

•令和は、司法書士法に「使命規定」が明記された記念すべき時代•すべての業務は国民の権利擁護と自由かつ公正な社会の実現のために法改正の理由近時の司法書士制度及び土地家屋調査士制度を取り巻く状況の変化を踏まえ、司法書士及び土地家屋調査士について、それぞれ、その専門職者としての使命を明らかにする規定を設けるとともに、懲戒権者を法務局又は地方法務局の長から法務大臣に改める等の懲戒手続に関する規定の見直しを行うほか、社員が一人の司法書士法人及び土地家屋調査士法人の設立を可能とする等の措置を講ずる必要がある。

取り巻く状況の大きな変化とは?

 近年の司法書士・土地家屋調査士を取り巻く状況の大きな変化として指摘されているのは、例えば、(1)簡易裁判所における訴訟代理や成年後見・財産管理業務への司法書士の関与が大幅に増加であり、(2)ADR手続における代理や登記所備付地図の作成等の分野において,土地家屋調査士の活躍の場が拡大していることであり、(3)空家問題・所有者不明土地問題への対応,自然災害における復興支援等に,それぞれ専門家として参画していること。

3つの課題

 上記の状況の変化、すなわち、業務範囲の拡大や活動範囲の広域化に伴い,司法書士・土地家屋調査士の制度について,

  • 専門家としての使命を明確にする必要(使命の明確化)、現状に即して,懲戒手続をより合理化する必要(懲戒手続の適正・合理化)、一人法人を認めることによる多様なニーズへの対応が必要(一人法人の可能化)、という3つの課題に対応する必要がある。

使命の明確化

 司法書士は、司法書士法の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とすることを明らかにすること(第1条関係)とされ、この規律を司法書士法人に準用すること(第46条第1項関係)とされた。

使命規定の意義

不動産登記、商業登記、裁判所提出書類作成、簡裁訴訟代理、債務整理、成年後見、遺産承継、民事信託など、多様な業務の根底にあるもの?

全ての業務に通底するもの、自由かつ公正な社会とは?

 「自由で公正な社会とは,様々な考え方を持ち,多様な生き方を求め る人々が,お互いの存在を承認し,多様な考え方や生き方を尊重しながら共に協力して生きていくことのできる社会である。 法は 本来このような共生のための相互尊重のルールとして 国民の権利を守り また,国民の責務を明確にすることによって,各人の自律的な活動を 促進し,その生活をより豊かにするものであって,ただ単に国民を規制するだけのものではない。また,司法とは,すべての当事者を平等・対等の地位に置く公正な手続を通じて,法に基づく権利の救済を図り,ルール違反に対処することにより,法秩序の維持・形成を図るものである。」

法教育委員会の見解

司法書士という用語 行政改革・司法改革のようなレベルを凌駕する旗印

・中央省庁等改革基本法

・司法制度改革推進法

・法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律

・総合法律支援法

の4つの法律にしか使われていない。

(司法書士法改正記念誌 日本司法書士会連合会顧問 寺田逸郎氏の講演録から)

平成31年4月11日参議院法務委員会における大臣の答弁①

○国務大臣(山下貴司君) 全国青年司法書士協議会における人権擁護活動として、全国一斉生活保護一一〇番、あるいは全国一斉養育費相談会、全国一斉労働トラブル一一〇番、法律教室事業、あるいはその他の人権擁護活動、これはもう本当に関係者の皆様に対して深い敬意と謝意を表する次第でございますし、また、日本司法書士会連合会においても、もちろん市民の権利擁護推進室を設置して、経済的困窮者や高齢者の権利擁護などに関する様々な事業を行っておられるということでございます。

 こうした様々な人権擁護活動を行っているその背景には、司法書士の皆様が国民にとって身近な法律家であり、そうした方々がその専門性を生かしておられるということで、そうした人権擁護活動の一翼を担っていただくこと、これは非常に重要なことであると考えております。

平成31年4月11日参議院法務委員会における大臣の答弁②

○国務大臣(山下貴司君)改正法案の第一条は司法書士の使命を規律するものでありますが、主語が司法書士を主体としたということでございます。そして、国民の権利を擁護することをその使命として明確にしたものでございます。そして、司法書士が国民に身近な法律家として幅広く国民の権利を擁護することが期待されていることに照らせば、ここで言う権利の内容として当然憲法上の基本的人権も含まれると考えております。

平成31年4月11日参議院法務委員会における大臣の答弁③

○国務大臣(山下貴司君)もうまさにおっしゃるとおり、この法律の定めるところにより、主体性を持って「国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。」ということで、その活動について期待しているところでございます。

令和元年5月31日衆議院法務委員会における大臣の答弁

○山下国務大臣 お答えします。

 改正法案では、司法書士の使命として、司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とすると定めることとしております。

 このような改正を行った趣旨は、司法書士を専門家として位置づけた上で、司法書士が主体的に国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与するということをその使命として規定するものでありまして、司法書士の皆様の能動的な規範を定めるものでございます。

 新たにこのような使命規定を設けることによりまして、それぞれの司法書士の皆様が、より高い使命感のもとに、登記や裁判に関する司法書士の業務に加え、それ以外の例えば被災者支援や人権擁護活動も含めた各種活動等を通じて、国民の権利の擁護のためにその職責を果たしていくことが期待されているものでございます。

司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

1 司法書士及び土地家屋調査士の実務能力の向上のために実施される各種の研修制度について、その一層の充実に向けて協力すること。

2 司法書士法人及び土地家屋調査士法人につき、その設立の諸手続が円滑に進められ、司法書士会及び土地家屋調査士会による指導が適切にされるよう努めること。

3 空き家や所有者不明土地問題等の諸課題の解決に当たっては、司法書士及び土地家屋調査士の有する専門的知見や財産管理、筆界確定等についてのこれまでの実績に鑑み、その積極的な活用を図ること。

司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

4 司法書士及び土地家屋調査士の有する専門的知見を活用したADR手続により国民の権利擁護及び利便性の向上を図るため、引き続き、それらの手続の周知に努めること。

5 総合法律支援法に基づく特定援助対象者法律相談援助事業に関して、司法書士の更なる活用を進めるなど、関係団体と連携しつつ、国民の権利擁護及び利便性の向上に資するよう努めること。

6 IT環境の急速な進展の下で、各種登記制度やこれを支える司法書士制度及び土地家屋調査士制度に対する国民の信頼を損なうことのないよう、非司法書士行為及び非土地家屋調査士行為に対して引き続き厳正に対応すること。

7 土地家屋調査士の有する専門的知見やその保有する知識、情報等を広く活用することにより、法務局における登記所備付地図の整備を一層促進すること。

8 国民の権利擁護の観点から、司法書士でない者が司法書士の業務について周旋することを禁止する規定の整備について、本法施行後の状況も踏まえつつ、必要に応じ対応を検討すること。

9 司法書士の登録前の研修を義務化することなど、簡裁訴訟代理等関係業務を行うことができる司法書士の資質の向上のための施策について、本法施行後の状況も踏まえつつ、必要に応じ対応を検討すること。

今後の具体的な課題

権利擁護事業のさらなる推進

倫理の涵養

執務レベルの向上のための研修

改正司法書士法の施行にあたって~社会の期待に応え,その使命を果たす(会長声明)

• 使命規定は,司法書士が行う不動産登記,商業登記,裁判所提出書類作成,簡裁訴訟代理,債務整理,成年後見,遺産承継,民事信託など,多様な業務のすべてに通底するものであり,すなわち司法書士の行う業務のすべては国民の権利擁護に資するものでなければならない。

• 今,新型コロナウイルスの影響によって,国民の生活様式や社会経済のあり方が大きく変容を迫られ,失業者や経済的困窮者の増加,自死や倒産の増加も懸念されている。

• 連合会は,これまで以上に社会の期待に応えることのできる法律家団体を目指すため,全国の司法書士が使命を自覚しつつ職責を十全に果たし,倫理の涵養を図り,執務レベルを向上させるための研鑽を積むことができるような体制を強化することをここに宣言する。

今日のお話「ポストコロナの時代で加速するDXへの対応」

• 1 戸籍情報連携システム

• 2 法人設立関連手続について等

• 3 オンライン利用の促進

• 4 書面・押印・対面の見直し

• 5 裁判手続きのIT化により高まる本人支援のニーズに応える

• 6 ODR時代到来に備える専門家として

• 7 司法書士総合相談センターのIT化

政府の進めるIT戦略

経済財政運営と改革の基本方針2021

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2021/decision0618.html

• 日本の未来を拓く4つの原動力

• ~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~

• 令和3年6月18日閣議決定

• 第1章 新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン

• 1.経済の現状と課題

• 2.未来に向けた変化と構造改革

• 3.ポストコロナの経済社会のビジョン

• 4.感染症の克服と経済の好循環に向けた取組

• (1)感染症に対し強靱で安心できる経済社会の構築

• (2)経済好循環の加速・拡大

• 5.防災・減災、国土強靱化、東日本大震災等からの復興

• (1)防災・減災、国土強靱化

• (2)東日本大震災等からの復興

• 第2章 次なる時代をリードする新たな成長の源泉

• ~4つの原動力と基盤づくり~

• 1.グリーン社会の実現

• (1)グリーン成長戦略による民間投資・イノベーションの喚起

• (2)脱炭素化に向けたエネルギー・資源政策

• (3)成長に資するカーボンプライシングの活用

• 2.官民挙げたデジタル化の加速

• (1)デジタル・ガバメントの確立

• (2)民間部門におけるDXの加速

• (3)デジタル人材の育成、デジタルデバイドの解消、サイバーセキュリ

ティ対策

• 3.日本全体を元気にする活力ある地方つくり~新たな地方創生の展開と分散型国づくり~

• (1)地方への新たな人の流れの促進

• (2)活力ある中堅・中小企業・小規模事業者の創出

• (3)賃上げを通じた経済の底上げ

• (4)観光・インバウンドの再生

• (5)輸出を始めとした農林水産業の成長産業化

• (6)スポーツ・文化芸術の振興

• (7)スマートシティを軸にした多核連携の加速

• (8)分散型国づくりと個性を活かした地域づくり

•• 4.少子化の克服、子供を産み育てやすい社会の実現

• (1)結婚・出産の希望を叶え子育てしやすい社会の実現

• (2)未来を担う子供の安心の確保のための環境づくり・児童虐待対策

• 5.4つの原動力を支える基盤づくり

• (1)デジタル時代の質の高い教育の実現、イノベーションの促進

• (2)女性の活躍

• (3)若者の活躍

• (4)セーフティネット強化、孤独・孤立対策等

• (5)多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実

• (6)経済安全保障の確保等

• (7)戦略的な経済連携の強化

• (8)成長力強化に向けた対日直接投資の推進、外国人材の受入れ・共生

• (9)外交・安全保障の強化

• (10)安全で安心な暮らしの実現

• 第3章 感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革

• 1.経済・財政一体改革の進捗・成果と感染症で顕在化した課題

• 2.社会保障改革

• (1)感染症を機に進める新たな仕組みの構築

• (2)団塊の世代の後期高齢者入りを見据えた基盤強化・全世代型社会保障改革

• 3.国と地方の新たな役割分担等

• 4.デジタル化等に対応する文教・科学技術の改革

• 5.生産性を高める社会資本整備の改革

• 6.経済社会の構造変化に対応した税制改革等

• 7.経済・財政一体改革の更なる推進のための枠組構築・EBPM推進

• 8.将来のあるべき経済社会に向けた構造改革・対外経済関係の在り方

• 第4章 当面の経済財政運営と令和4年度予算編成に向けた考え方

•• 1.当面の経済財政運営について

•• 2.令和4年度予算編成に向けた考え方

2.官民挙げたデジタル化の加速

• デジタル時代の官民インフラを今後5年で一気呵成に作り上げる。

• デジタル庁を核としたデジタル・ガバメントの確立、民間のDXを促す基盤整備を加速し、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を構築する。

(1)デジタル・ガバメントの確立

• 「デジタル・ガバメント実行計画」に従い行政のデジタル化を強力に推進する。

• デジタル庁は各府省庁への勧告権等を活用し総合調整機能を果たす。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20191220/siryou.pdf

• 2022 年度末にほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指すとの方針の下普及に取り組む。

• マイナンバーカードの健康保険証、運転免許証との一体化などの利活用拡大、スマホへの搭載等について、国民の利便性を高める取組を推進する。

• 給付事務等への活用を念頭に行政機関間の情報連携を推進する。

• 住民情報の連携について、マイナンバー制度の活用を図る。

• 法整備も視野に入れ、本年中に給付事務用やGビズID発行事務用等を含めた国の行政機関間の全ての商業登記情報連携を無償化するとともに、独立行政法人及び地方自治体との間の全ての連携についても本年度中の無償化を目標に作業を進める。

• これによりデジタルで手続を完結させ、紙の登記事項証明書の添付省略を促進する。会社法上の決算公告義務の履行を確保しつつ、経済産業省及び国立印刷局は、契約情報・会社決算情報等の官報掲載情報のGビズインフォとの情報連携を本年中に開始する。

• 記帳等の経理事務のデジタル化及び記帳水準の向上を図るなど民間部門の経理・行政事務のDXを推進する。

• デジタル庁は、ベース・レジストリの構築・管理・運営において知見のある国立印刷局等の公的機関の協力を求め、その早期構築に取り組む。

https://cio.go.jp/node/2764

• オンライン化されていない行政手続の大部分を、5年以内にできるものから速やかにオンライン化し、オンライン化済のものは利用率を大胆に引き上げる。

【2020年改定版】デジタル・ガバメント実行計画の概要

➢ デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会 ~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~

➢ デジタル庁設置を見据えた「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を踏まえ、国・地方デジタル化指針を盛り込む等デジタル・ガバメントの取組を加速サービスデザイン・業務改革(BPR)の徹底

https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/alphabet/bpr#:~:text=BPR%E3%81%AF%E3%80%81%E6%A5%AD%E5%8B%99%E3%81%AE%E6%9C%AC%E6%9D%A5,%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

行政手続のデジタル化、ワンストップサービス推進等

✓ 書面・押印・対面の見直しに伴い、行政手続のオンライン化を推進

✓ 登記事項証明書(情報連携開始済)、戸籍(令和5年度以降)等について、

行政機関間の情報連携により、順次、各手続における添付書類の省略を実現

✓ 子育て、介護、引越し、死亡・相続、企業が行う従業員の社会保険・税及び法人設立に関する手続についてワンストップサービスを推進

✓ 法人デジタルプラットフォームの機能拡充による法人等の手続の利便性向上デジタル・ガバメント実現のための基盤の整備(上記指針以外)

✓ 政府全体で共通利用するシステム、基盤、機能等(デジタルインフラ)の整備

✓ クラウドサービスの利用の検討の徹底、セキュリティ評価制度(ISMAP)の推進

✓ 情報セキュリティ対策の徹底・個人情報の保護、業務継続性の確保

✓ 新たなデータ戦略に基づき、ベースレジストリ(法人、土地等に関する基本データ)の整備、プラットフォームとしての行政の構築、行政保有データのオープン化の強化等を推進

✓ デジタル庁の設置も見据え、全ての政府情報システムについて、予算要求前から執行までの各段階における一元的なプロジェクト管理を強化

https://cio.go.jp/guides

政府情報システムの効率化、高度化等のため、情報システム関係予算の一括計上の対象範囲を拡大(全システム関係予算のデジタル庁一括計上を検討)

https://cio.go.jp/node/1426

✓ 機動的・効率的・効果的なシステム整備のため、契約締結前に複数事業者と提案内容について技術的対話を可能とする新たな調達・契約方法の試行

✓ 政府情報システムの運用等経費、整備経費のうちシステム改修に係る経費を令和7年度までに3割削減を目指す(令和2年度比)

外部の高度専門人材活用の仕組み、公務員試験によるIT人材採用の仕組みを早期に導入一元的なプロジェクト管理の強化等

地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進

デジタルデバイド対策・広報等の実施

✓ 身近なところで相談を受けるデジタル活用支援員の仕組みを本格的に実施

✓ SNS・動画等による分かりやすい広報・国民参加型イベントの実施

※本計画は、デジタル手続法に基づく情報システム整備計画として位置付けることとする。

✓ 自治体の業務システムの標準化・共通化を加速(国が財源面を含め支援)

✓ マイナポータルの活用等により地方公共団体の行政手続(条例・規則に基づく行政手続を含む)のオンライン化を推進

✓ 「自治体DX推進計画」に基づき自治体の取組を支援

https://www.soumu.go.jp/main_content/000726912.pdf

✓ クラウドサービスの利用、AI・RPA等による業務効率化を推進

✓ 「地域情報化アドバイザー」の活用等によるデジタル人材の確保・育成

国・地方デジタル化指針

✓ 利用者のニーズから出発する、エンドツーエンドで考える等のサービス設計12箇条に基づく、「すぐ使えて」、「簡単」で、「便利」な行政サービス

https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/servicedesign_betten1.pdf

✓ 利用者にとって、行政のあらゆるサービスが最初から最後までデジタルで完結される行政サービスの100%デジタル化の実現

✓ 業務改革(BPR)を徹底し、利用者の違いや現場業務の詳細まで把握・分析

「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ報告(工程表含む)」に基づき推進

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/kaizen_wg/dai4/gijisidai.html

✓ 国・地方の情報システムの共通基盤となる「(仮称)Gov-Cloud」の仕組みの整備

https://www.soumu.go.jp/main_content/000731217.pdf

✓ ワンス・オンリー実現のための社会保障・税・災害の3分野以外における情報連携やプッシュ通知の検討、情報連携に係るアーキテクチャの抜本的見直し

✓ 国・地方のネットワーク構造の抜本的見直し(高速・安価・大容量に)

✓ 自治体の業務システムの標準化・共通化・「(仮称)Gov-Cloud」活用

✓ 強力な司令塔となるデジタル庁設置、J-LISを国・地方が共同で管理する法人へ転換

✓ 公金受取口座を登録する仕組み、預貯金付番を円滑に進める仕組みの創設

✓ マイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載、電子証明書の暗証番号の再設定等を郵便局においても可能に、未取得者への二次元コード付きカード交付申請書の送付、各種カードとの一体化(運転免許証、在留カード、各種の国家資格等)

✓ マイナポータルのUX・UI改善(全自治体接続等)、情報ハブ機能の強化

✓ 個人情報保護法制の見直し(法律等の一元化、民間事業者等の負担軽減)

✓ 戸籍における読み仮名の法制化(カードへのローマ字表記、システム処理の迅速化)

1 戸籍情報連携システム

戸籍謄抄本の添付省略

• 令和元年5月に改正された戸籍法により、新たに「戸籍情報連携システム」が構築された。

→マイナンバー制度に基づく情報連携、戸籍事務内連携が図られることとなった、

• 令和5年度中に施行予定

マイナンバー制度に基づく情報連携

• マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が改正され、戸籍情報が、マイナンバー制度に基づく情報連携の対象

• 各種の社会保険手続の申請等を行う際、行政機関側は、申請者が記入したマイナンバーを利用して必要な情報(親子関係や婚姻関係等)を確認できることとなった。

• →戸籍謄抄本の添付不要

地方公共団体システム機構

利用者クライアントソフトに係る技術仕様について

https://www.j-lis.go.jp/jpki/procedure/procedure1_2_3.html

総務省 マイナンバーカードには、住基アプリケーション(住基AP)が入っている、既に住民基本台帳ネットワークは整備させれているので、戸籍連携においてマイナンバーカードを利用する必要がない。個人情報取得に関しては最低限に留めるという趣旨。

https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html#hikaku

情報連携の対象となる具体的な行政事務

• マイナンバー法の別表で定められる。

• 1児童扶養手当の支給事務における続柄、死亡の事実、婚姻歴の確認

• 2国民年金の第3号被保険者(被保険者が扶養する主婦など)の資格取得事務における婚姻歴の確認

• 3奨学金の返還免除事務における死亡事実の確認

• 4健康保険の被扶養者認定事務における続柄の確認などに活用される予定

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

別表第一(第九条関係)、別表第二(第十九条、第二十一条関係)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000027

戸籍事務内連携

戸籍情報システム標準仕様書  日本加除出版株式会社

https://www.moj.go.jp/content/001321623.pdf

戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書(R2.1 版)

令和2年3月法務省

https://www.moj.go.jp/content/001321624.pdf

• 各市区町村長が必要な範囲内で法務大臣の保存する戸籍又は除かれた戸籍の副本を利用して戸籍事務を行えるようになった。

• 各市区町村では、婚姻の届出や養子縁組など戸籍に関する各種届出の際、市区町村長による確認が必要な戸籍情報について「戸籍情報連携システム」で参照可能となった。

• →戸籍の届出に必要とされていた戸籍謄抄本の提出不要に

所有者の登記名義人の死亡情報等を不動産登記記録に反映させる仕組み

• 令和3年4月に不動産登記法改正

• 登記官が、他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報や住所等の異動情報等を取得し、これらを職権的に不動産登記記録に反映させられる仕組みの創設

• 所有権の登記名義人が自然人の場合には住民基本台帳ネットワークシステムから、法人の場合は法人登記のシステムから、それぞれ必要な情報を取得することが想定

• 施行期日は、公布日(令和3年4月28日)から起算して5年を超えない範囲

2 法人設立関連手続について等

• 法人設立関連システム等について、費用対効果を考慮した上で、次回システム刷新時に合わせて英語でも対応を行うことを原則とすべきである。法人設立関連手続に関しては、以下の取組を行う

• ①2021年度中に、英語申請ガイドの作成、書式見本の作成等を行う。

• →更なる取組を推進

• ②オンライン申請手続については、2021年度中に設立登記申請時の手続で利用される登記情報システムなどに自動翻訳システムを付すことを検討し結論を得る。

• →左記結論を踏まえ必要な措置を講ずる

•なお、手続代行を担う士業等と連携し、登記申請後の労働基準監督署、ハローワーク及び年金事務所への設立届出の円滑な提出を可能とする。

•→更なる取組を推進

• 商業登記電子証明書について、法人の本人確認をデジタル完結させる手段として一般的に利用されるよう広報活動を行う。

ブリッジ認証局CP/CPS (PDF) 令和3年3月1日改定 行政情報システム関係課長連絡会議了承

https://www.gpki.go.jp/bca/cpcps/index.html

2021年度中に、利便性の向上策や無償化の可否を検討する。

• →更なる取組の検討・実施

• あわせて、クラウド化に向けた検討を行う。また、費用対効果も踏まえつつ、2025年度までの可能な限り早期に新規システムの運用開始を目指す。

• →費用対効果も踏まえつつ、2025年度までの可能な限り早期に新規システムの運用開始を目指す

• 2021年度中に設立後の法人の実質的支配者の把握に寄与する制度を導入する

引っ越し関係手続、死亡・相続関係手続

•内閣官房において、「引っ越し」や「死亡・相続」の際に必要となる届出等について、手続きのワンストップ化を検討

•法務省では、不動産登記の所有者の住所変更や、死亡の届出、相続に伴う不動産登記の所有者変更等の制度を所管する立場から、関係省庁と連携し検討

3 オンライン利用の促進

オンライン利用率を大胆に引き上げる取組

• 各府省は、令和2年度に旗艦的なものとして開始した以下の28事業について、規制改革推進会議が示す考え方も踏まえ、短い期間でPDCAを回してオンライン利用率を大胆に引き上げる取組を着実に推進する。

• ・ 商業・法人登記関連手続(法務省)

• ・ 不動産登記関連手続(法務省)

• ほか26事業

• c 法務省は、登記・供託オンライン申請システムについて、開発者等が使いやすい形でのAPI仕様の公開方法に係る改善に取り組むとともに、利用時間の24 時間対応に向け、ニーズや費用対効果を踏まえた検討を行う。

API概要

登記・供託オンライン申請システム

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/developer.html

• また、申請ページ(法人設立ワンストップサービスを含む)への導線や手続案内等が、手続に精通していない申請者に分かりやすいものとなるよう、法務省・法務局のウェブサイトを見直す等周知方法を改善する。

•d 法務省は、これまでデジタル化の推進に多くの課題があったことを踏まえ、登記その他のデジタル社会の基盤となる制度を所管する省として、デジタル化を強力に推進する観点から、民間人材の登用を含め、デジタル化を推進する体制を構築する。

• g 各府省は、手続件数、手続の性質、手続の受け手となる機関等に応じた優先順位を踏まえつつ、オンライン利用が100%のものなどを除き、原則として年間10 万件以上の手続を含む事業の全てについて、28 事業(上記a)に準じてオンライン利用率を引き上げる目標を設定した取組を行う。

• h 各府省は、オンライン利用率の大胆な引上げを含むデジタル化の推進のため、デジタル技術又は民間におけるデジタル改革について知見のある者の登用を含め、規制改革推進に関する答申(令和3年6月1日)Ⅱ6.(2)アの「基本的考え方」に示した取組を確実に実施できる体制を整備する。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html

•各府省は、オンライン利用を促進する上で、API連携により民間企業等の参入を図ることは極めて重要であることを踏まえ、オンライン利用率を引き上げる目標を設定した取組に当たっては、手続の性質に応じて、開発者・利用者にとって利便性の高い形でAPIが構築・公開されているか点検し、必要な措置を講ずる。デジタル庁(IT室)は、民間が利用しやすい形でAPIが提供されるよう、APIの仕様の標準化など、各府省に対して必要な助言・支援等を行う。

行政手続の100%オンライン利用→司法書士・弁護士については義務化。

• d 法務省は、商業登記・不動産登記に係る手続について、オンライン利用率が中程度となっていることを踏まえ、まずは、上記No.5 の取組を通じてオンライン利用の向上を図る。

•併せて、司法書士等による手続代行が多いことを踏まえ、デジタル化を抜本的に進める上で司法書士等の果たすべき役割について検討を行う。

デジタル化に向けた基盤の整備等

• b 法務省は、デジタル庁(IT室)と連携し、法令において登記事項証明書の添付が求められる手続については、能動的に働きかけを行い、情報連携の促進に係る工程表を作成し、可及的速やかに添付書類の省略を実現する。

• また、法務省は、法整備も視野に入れ、給付事務用やGビズID発行事務用等を含めた国の行政機関間の全ての商業登記情報連携を無償化するとともに、独立行政法人及び地方公共団体との間の全ての連携についても無償化を進める。これによりデジタルで手続を完結させ、紙の登記事項証明書の添付省略を促進

する。

• b:法令において登記事項証明書の添付が求められる手続における情報連携の拡大について、令和3年中に工程表を策定し取組を開始。国の行政機関間の全ての商業登記情報連携の無償化について、令和3年中に措置。独立行政法人及び地方公共団体との間の全ての連携の無償化について、令和3年度中を目途に措置

4 書面・押印・対面の見直し

書面・押印・対面見直しの確実な推進

• a 令和3年3月末までに押印義務の見直しについて法令改正等が行われていない305種類の手続について、速やかに行政手続における押印の見直しを確実に実施する。

• b 各府省は、オンライン化する方針の手続について、可能な限り前倒しを図りつつ措置。なお、オンライン化の手法等については、今後の情報通信技術の発展、政府の方針等を踏まえ柔軟に改善する。

• c 各府省において性質上オンライン化が適当でないと考える432 種類の手続のうち、少なくとも年間の手続件数が1万件以上の手続については、最新のデジタル技術や補完的手段の活用等によるオンライン化を含む利用者負担の軽減策について、引き続き検討する。

デジタル整備法による戸籍法改正

• デジタル整備法により、押印の見直しのために改正された法務省所管の法律は、戸籍法など5つ

• 施行は、9月1日

• 現在、署名と押印を求めている婚姻届・離婚届等について、押印廃止。真正性確保のため署名のみ求める。

• 明治時代から戸籍の届出には押印するとされていいる。人生の節目である婚姻届等については、押印の存続を求める国民の声あり。

• →民事局長通達により、届出人の任意の押印を認め、標準様式にも押印できることを明記予定金融分野の行政手続における書面・押印・対面手続の見直し

• 金融庁は、金融機関等から受け付ける申請・届出等について、令和3年3月末までに整備したシステム及び制度面での対応を踏まえ、令和3年度の可能な限り早期に運用を開始する。また、押印については、府令・監督指針等の改正を行い、令和2年中に全て廃止する。

• (前段)令和3年度措置

• (後段)措置済み

民間における書面・押印・対面規制等の見直し

• a 内閣府及び法務省は、民法(明治29 年法律第89号)第486 条の改正により、令和3年9月から弁済に係る受取証書について電磁的記録の提供の請求が可能となることを踏まえ、施行後に小売店等の店頭において混乱を来さないよう、あらかじめQ&A等で法令解釈を明らかにし、広く周知を図る。

• b 法務省は、令和3年10月以降に開催される株主総会について、新型コロナウイルス感染症の影響により株主総会資料のウェブ開示によるみなし提供制度の対象を拡大する措置が引き続き必要となった場合には、当該措置を講ずる。

• c 経済産業省は、株主総会プロセスにおける企業と株主による対話の充実に向けて、ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施の推進のため、実施ガイドなどの更なる充実を図る。

• d 国土交通省は、不動産の売買取引におけるオンラインによる重要事項の説明について、社会実験の結果を踏まえ、ガイドラインを改定し、テレビ会議等による非対面の説明が可能である旨を明らかにする。

• e 国土交通省は、設計受託契約・工事監理受託契約に係るITを活用した重要事項の説明について、暫定的に運用しているテレビ会議等による非対面の説明を本格的に運用するためのガイドラインを整備する。

書面の見直し(民法・受取証書の電子化)

電子的な受取証書(新設された民法第486条第2項関係)についてのQ&A

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00269.html

• インターネットを用いた電子商取引が増加。

弁済者側には受取証書(領収書)に代えて電磁的記録の提供を受けたいというニーズあり。弁済受領者側にも受取証書の交付が過度な負担となっている場面あり。

• 民法486条2項を新設。弁済者は受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電データの提供を請求できることとした。

• ただし、電子データの提供に直ちに対応することが困難な小規模事業者などに配慮し、弁済受領者にとって電子データの提供が不相当な負担となる場合には、弁済者は請求できないこととした。

書面の見直し(借地借家法等)

• 電子契約システム等を利用した遠隔地での契約を容易にするため、借地借家法を改正

• 一般定期借地権の設定(法定更新等を排除する特約)や定期建物賃貸借契約について、書面に代えて電磁的記録によって行うことを可能とした。定期建物賃貸借の事前説明事項について、電磁的記録による提供も可能。

定期建物賃貸借契約自体の電子化を検討

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/hotline/h_index.html

• 被災地短期借地権設定契約(大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法の改正)、書面よってしなければならないとされている催告等の手続(建物の区分所有等に関する律の改正)について、相手方の承諾を得た場合には、電磁的記録によることを可能。

5 裁判手続きのIT化により高まる本人支援のニーズに応える

• 裁判のIT化は誰のため?

• 現状と今後のスケジュールについて

• 司法書士会の急務は裁判事務の実績づくり!!

• 平成30年3月30日 裁判手続等のIT化検討会による取りまとめ

• 令和元年12月 民事裁判手続等IT化研究会による報告書世界銀行の“DoingBusiness”の低評価

• 世界銀行の“Doing Business”(注:世界銀行が毎年発表する、世界190か国を対象とし、事業活動規制に係る10分野を選定し、順位付けしたもの)2017年版では、「裁判手続の自動化(IT化)」に関する項目について、我が国に厳しい評価が示されている。

• 我が国のビジネス環境や国際競争力の観点から見た場合、利用者目線に立った裁判手続のIT化を更に進める必要があるのではないかとの声が高まった。

当会のスタンス

• 「裁判記録のペーパレス化・データベース化」「多数当事者を想定する事件における省力化」「遠隔地の当事者間の裁判におけるコスト軽減」「裁判官や裁判所職員、法律家やその事務員の働き方改革にもつながる」「利用者の利便性の向上と民事訴訟の効率的な進行」「真に望ましい迅速かつ効率的な民事訴訟を実現すること」などといったメリットにはすべて基本的に賛成するものである。

• その上で、「利用者目線での推進」「国民に利用しやすく、わかりやすい民事訴訟手続という、現行の民事訴訟法の基本に合った理念の実現」という趣旨こそが、すべてのメリットに最優先されるべき重要な視点である。

実現までの工程表

• 令和元年度 • 民事裁判手続等IT化研究会の報告書取りまとめ

• フェーズ1(ウェブ会議等を用いた争点整理)の特定庁での実施

• 法制審議会への諮問 • 令和2年度 • 専門部会における調査審議 • フェーズ1の拡大(令和2年度以降、順次全国へ)

• 令和3年

• 専門部会における調査審議において中間試案

• パブリックコメント

• 要綱案の取りまとめに向けた議論

• フェーズ3の先行実施(準備書面等のオンライン提出)

• 令和4年

• 専門部会における要綱案決定

• 法制審議会答申、改正法案の国会提出

• フェーズ2の一部実施(ウェブ会議等を用いた双方不出頭の争点整理)

令和5年以降

• フェーズ2の完全実施(口頭弁論のウェブ化)

• フェーズ3の完全実施(訴状を含めたオンライン申立て、記録の電 子化の実現)

日本司法書士会連合会の取り組み

• 平成30年1月3日から5日 韓国視察

• 平成30年2月22日 検討会への意見書提出(HP参照)

• 山本和彦座長、杉本純子先生、湯淺墾道先生らとの意見交換

• 平成30年4月9日 検討会取りまとめに対する会長談話(HP参照)

• 平成30年7月24日から開催された「民事裁判手続等IT化研究会」にオブザーバー参加

・令和元年8月19日より8月14日までアメリカ視察(報告書は会報THINK118号に掲載)

・令和元年9月17日 民事裁判手続のIT化における本人訴訟の支援に関する声明(HP参照)

・令和2年2月8日 法務士を招いて韓国の新しい電子訴訟についてレクチャーを受ける

諸外国の状況は?

• 欧米を中心に裁判手続等のIT化が既に進められてきており、アメリカ、シンガポール、韓国等では、IT化した裁判手続等の運用が広く普及・定着している。

• ドイツ等でも、近年、IT化の本格的取組が着実に進展している。

韓国の特徴

(法務士の権限について)民事訴訟等における電子文書利用等に関する規則

• 第4条(使用者登録)

• 1電子訴訟システムを利用しようとする者は電子訴訟システムに接続して、次の各号の会員類型別に電子訴訟ホームページで要求する情報を該当欄に入力した後、電子署名のための証明書を使って使用者登録を申請しなければならない。登録した使用者情報は証明書の内容と一致しなければならない。

• 1.個人会員 2.法人会員 3.弁護士会員

• 4.法務士会員 5.回生・破産事件の手続関係人会員 6.執行官等

• 2 第1項第2号から第6号までの使用者登録をした者(以下「登録使用者」という)は、利用権限の範囲を定めて所属使用者を指定でき、それにより指定された者は電子訴訟システムに所属使用者として登録することができる。

• 第11条(電子文書の作成・提出)

• 1 登録使用者は電子訴訟ホームページで要求する事項を空欄補充方式で入力した後、残りの事項を該当欄に直接入力し、または電子文書を登載する方式で訴訟書類を作成・提出することができる。

• 2 省略

• 3 第4条第1項第4号の法務士会員は次の各号の中でいずれか一つの方法により電子文書を作成・提出することができる。ただし、 民事訴訟等の当事者、訴訟代理人または第3条第1号から第4号ま でに規定された者に該当する委任者が電子訴訟同意をしなかった場合には第24条第1項第3号により登録使用者を送達領収人として 申告する趣旨の書面および今後委任者が直接訴訟書類を提出し、ま たは送達を受ける時に電子訴訟同意をするものとの確約する趣旨の書面を添付しなければならない。

• 以下省略

シンガポールの特徴

(CJCによるサポート)

• The Community Justice Centre

という、公益団体が本人訴訟等の支援も行っている。

• Automated Court Documents

Assembly(ACDA)というシステムにより、本人が入力すると申請書が作成されるシステム

アメリカの特徴

•セルフサポートセンターによる本人訴訟支援(サンフランシスコ)

• LIMITED SCOPE

REPRESENTATION (LSR)という弁護士代理のばら売り制度など(サンフランシスコ)裁判手続等のIT化検討会による取りまとめ(平成30年3月30日)

• IT化に向けた課題として

• (1)本人訴訟について

• (2)情報セキュリティ対策

「本人訴訟について」

• 裁判手続等の全面IT化の実現に当たっては、代理人として弁護士等が選任されていない本人訴訟について、当事者の裁判を受ける権利にも十分配慮しつつ、当事者の置かれた立場や訴訟の各進行段階等に応じ、裁判所による適切なウェブ上の利用システム・環境の構築や、適切な担い手による充実したIT面のサポート(ITリテラシー支援策)が必要である。

• 資力がない当事者への法的側面でのサポートは法テラス等で行われているが、それとは区別されるIT面のサポート策として、その実施主体や内容等について、様々な方策やアプローチが考えられるところであり、今後、総合的な対策を、非弁活動の抑止等の観点にも留意しつつ、検討していく必要がある。

「本人訴訟について」(2)

• この点は、当事者間で利害の対立することが多い裁判事件の一方当事者に対する支援であることからすると、まずは、裁判上の代理人として関与する弁護士、司法書士等の法律専門士業者が、代理権の範囲の中で、所属団体の対応枠組みを使うなどして、法的側面とともにIT面の支援をも行っていくことが考えられる。

• もっとも、充実したサポート体制の実現のためには、これに限る必要はなく、特に、経済的事情で司法アクセスが容易でない当事者への支援の在り方は、既存の各種相談機関や法テラス等の支援窓口の関与・活用も含め、しっかりと検討を進める必要がある。この支援スキームの一案として、裁判所外で、紙媒体の書面の電子化を含めたサポートを行うための支援センターを設けてはどうかという意見も述べられたところであり、引き続き、望ましいサポート策の在り方の検討と対応が求められよう

民事裁判手続等IT化研究会による報告書

• 民事訴訟手続を全面的にIT化した場合における課題の整理や規律の在り方の検討等を行うことを目的として設置され,平成30年7月から令和元年12月までの間,合計15回にわたり,山本和彦一橋大学大学院法学研究科教授を座長として,研究者や,弁護士,司法書士,関係省庁等の関係者をメンバーとして,開催されたものである。

• IT機器を有していない又はITに習熟していない者に対するサポートの在り方については,現在,内閣官房に設置された「民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議」において,書面の電子化については,裁判所や法テラス等の公的機関はもとより,弁護士会や弁護士,司法書士会や司法書士をはじめとする士業者団体・士業者等,受皿 になり得る者において幅広く担当される必要があるとの有識者の意見を踏まえた検討が進められている 。そして,このようなサポート体制について,日本弁護士連合会からは「民事裁判手続のIT化における本人サポートに関する基本方針」が,日本司法書士会連合会からは「民事裁判手続のIT化における本人訴訟の支援に関する声明」が,それぞれ示されているところである。

民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議

• 「民事司法制度改革の推進について」(令和2年3月10日)

• 個々の弁護士や司法書士によるサポートとしては、書面の電子化等のITリテラシー支援サービスを提供するとともに、本人の依頼に応じて、民事訴訟の追行に必要な法的助言の提供を行う(司法書士の場合には、代理業務が可能な範囲で法的助言の提供を行う)こと等が考えられる。また、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会及び各地の弁護士会や司法書士会におけるサポートとしては、窓口に書面の電子化のための機器を設置すること等が考えられる。こうした方策を前提に、さらに具体的なサポートの内容については、個々の弁護士や司法書士、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会及び各地の弁護士会や司法書士会において検討することが期待される。

令和2年度革新的事業活動に関する実行計画

• その過程において、弁護士・司法書士等の士業者に限りオンライン提出の義務化を検討する

• 代理人が選任されていない本人訴訟に関して、日本司法支援センターによる書面の電子化等のIT支援や法的助言も含めた支援の内容を2020年度から検討する。日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会等が行う取組の検討も期待する

• 法制審議会における民事訴訟手続のIT化の検討も踏まえつつ、2020年度中に家事事件手続及び民事保全、執行、倒産等の民事非訟事件手続のIT化のスケジュールを検討する

法制審議会の基本的な視点

• 我が国においては,平成16年の民事訴訟法の改正によってオンラインでの裁判所への申立て等を可能とする規定が整備され,平成18年には支払督促手続 について オンラインでの申立てが可能となった 。しかし ,民事訴訟手続一般については,最高裁規則等が整備されていないため,いまだオンラインでの訴え提起等は認められていない。また,ITを利用した本格的な取組が急速に進展している諸外国の状況を踏まえると,我が国においても民事訴訟手続のIT化を更に進めることが,重要な課題であるといえる。

• そのため,政府において,近年における情報通信技術の進展等の社会経済情勢の変化への対応を図るとともに時代に即して民事訴訟制度をより一層 適正かつ迅速なものとし国民に利用しやすくするという観点から訴状等のオンライン提出訴訟記録の電子化情報通信技術を活用した口頭弁論期日の実現など民事訴訟制度の見直しについて検討し,令和4年中の民事訴訟法改正を視野に入れて取り組むこととしている。

「成長戦略フォローアップ工程表」• 令和3年6月18日に閣議決定

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/portal/follow_up/index.html

• 民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議の取りまとめに基づき、ITに関する状況を踏まえ、国民の司法アクセスの確保に配慮しつつ、訴状等の書面をオンライン提出に一本化する全面オンライン化を司法府の取組を含め段階的に実現

• その過程において、弁護士・司法書士等の士業者に限りオンライン提出の義務化を検討

• 本人訴訟に関して、日本司法支援センターによる書面の電子化等のIT支援や法的助言も含めた支援の内容を引き続き検討する。日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会等が行う取組の検討も期待 →IT化の範囲や導入されるシステム等の具体的内容等を踏まえて検討

司法書士の役割

簡易裁判所における訴訟代理人としての対応

地方裁判所における本人訴訟のサポート

簡易裁判所における本人訴訟のサポート

ITサポートと手続きのサポート

司法書士・司法書士会のすべきこと裁判業務についての実績づくりが急務→実績のない資格者には権限も与えられることはない

• 今後の法制審議会における議論にも注目していただき、前向きで建設的な意見を述べていくこと(パブコメ対応)

• これまでの本人訴訟支援の実績で得た知見を、ITサポートも含めて、国民に提供していくことが求められている

• 司法書士総合相談センターにおけるサポート体制づくりも急務

6 ODR時代到来に備える専門家として

ODR(OnlineDispute Resolution)とは?

ODR は多義的な概念ではあるが、一般的には、IT・AI 等の先端技術を用いたオンラインでの紛争解決手続を指すものと理解されている。

ODR 活性化に向けた取りまとめ

• 令和2年3月16日 ODR 活性化検討会

内閣府 政策会議

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/odrkasseika/index.html

• 政府の「成長戦略フォローアップ」(令和元年6月21日閣議決定)において、「裁判手続等の IT 化の推進」に係る施策の一つとして、「紛争の多様化に対応した我が国のビジネス環境整備として、オンラインでの紛争解決(ODR)など、IT・AI を活用した裁判外紛争解決手続などの民事紛争解決の利用拡充・機能強化に関する検討を行い、基本方針について 2019 年度中に結論を得る。」とされた。

• これを受けて、令和元年9月、「ODR活性化検討会」(本検討会)が設置された

日本の司法アクセス環境の現状等

• 第一審民事訴訟通常事件の新受件数

• 地方裁判所 平成30年には約13万8000件

• 簡易裁判所 平成30年には約34万1000件

• 民事調停事件の新受件数 平成30年には約3万4000件

• 認証 ADR 制度の利用 平成30年度約1650件

• 弁護士会等における法律相談件数 平成30年度約62万件超え

• 国民生活センター及び消費生活センター等に寄せられる消費生活相談の件数 平成30年には約102万件

ODRに適する分野について

• ニーズや諸外国の取組を踏まえると、

• ①一般的には、低額で定型的な紛争が大量に生じることが想定される分野などについては、ODR による解決、早期の実用化が求められている。

• ②紛争の前提となる取引等がオンラインで行われる場合についても、オンラインでの紛争解決に馴染みやすい。

• これらの分野については、早急な試用・実装。

その他の法的紛争におけるODR活用

• 検討会でのヒアリング結果等を踏まえると、離婚・相続等の家庭問題に関する法的紛争、交通事故に関する紛争、家賃増減・敷金返還などの賃貸関連紛争、スポーツ関連紛争などについても、定型的なものも相当数見込まれることから、ODRによる解決のニーズがあるように思われる。

• また、金融取引紛争についても取引そのものがオンラインで行われるフィンテック分野を始めとして、ODR の活用が期待される分野といえよう。

• その他、検討会では、いわゆる災害 ADR や倒産紛争に関する ADR についても、ODR 活用が期待されるのではないかとの意見もあったところであり、更なる ODR の活用に向けて、ニーズやあい路の検討が進められることが期待されるところである。

ODR の実装に向けた課題とその支援策のあり方について

•1 ODRの実施に関し、これまでに必ずしも念頭に置かれていなかったコミュニケーションのオンライン化などについて弁護士法やADR法等といった関連する法令との関係を整理していく必要があろう。

•2 ODRの活用には初期投資 やランニングコストを含め一定のコストが生じることが不可避であり、この観点からの検討も必要と考えられる。諸外国の実情等やニーズを踏まえ、特定の分野で先行してODR のスキームやシステムを試行・実装し、利用者を拡大していくアプローチが相当と考えられることから、民間の取組を促す環境整備も含めて、政府による積極的な支援・サポートも検討されるべきものと考えられる。

•3 また、多様な分野の紛争を取り扱う150以上の認証ADR機関を含め、様々なADR機関が全国各地で活動していることからすると、これらのADR機関は ODR の早期の実装に向けた担い手となることが期待されるが、現状では、本検討会で紹介されたアンケート調査の結果にもあるとおり、様々なコスト負担感等により、十分にODRを活用することができていない。今後、そのあい路をも踏まえた検討が必要であろう。

• ODR推進検討会を設置(令和2年10月から1年程度)

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04200001_00002.html

• 検討事項は、

• ⑴ ODRの推進に向けた裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律関連の規律(法,法務省令,ガイドライン等)の見直しについて

• ⑵ 民間紛争解決手続における和解合意への執行力の付与について

• ⑶ ODRにおける認証紛争解決事業者の守秘義務の在り方について

日本司法書士会連合会の取り組み

• チャットベース(完全非対面)のODRについての実証実験

• 認証ADR機関におけるウェブ調停の促進

司法書士ODRチャット相談・チャット調停(無料)― チャット相談toチャット調停の試み

【phase1】 相談 【phase2】 調停(ODR)

司法書士

相談者/申立人(賃借人)

相手方(賃貸人)

【留意点】

賃貸借契約における敷金返還請求等の原状回復事件

● LINE上で、チャットベースで相談対応(受付は24時間対応可能とする)

● 担当する司法書士は、ODRの手続実施者とは別の司法書士

● システム(teuchi(テウチ)*ミドルマン社)を利用し、チャットベースで調停遂行(日程調整不要・出頭不要・非対面)

https://www.teuchi.online/

● 一定期間(例:14営業日~30営業日)で調停人から調停案提示

● 資料は画像添付により提供

● 合意に至った場合、合意書にクラウドサインを行う

https://www.cloudsign.jp/

● 手続き実施者は相談対応司法書士とは別司法書士

【phase3】 訴訟等

●日司連のLINE公式IDを使用して相談対応

https://www.linebiz.com/jp/service/line-official-account/

●日司連のLINE公式IDを、「友だち」追加したうえで、相談

●調停申し込みがあった旨連絡(メールなど)

●テンプレートに必要事項を入力し、調停の申立て*「相談」からのシームレス化の工夫

●調停実施

●調停申し込みがあった旨連絡

●事案に応じて、【phase2】・【phase3】を案内

●必要に応じて、訴訟、ADR等の手続きにつなぐためのフォローアップ

(主催)日本司法書士会連合会

≪手続きのながれ≫※

※ フロー図は、賃借人から相談を受けた場合。なお、賃貸人から相談を受ける場合も本制度の対象。

執行力付与について

(1) 執行力付与に関するさまざまな意見及び事例

a 執行力の付与となれば手続きは重厚になり、「それなら裁判所の手続きを選択する」ということにならないか。

b 当事者間の対話を促進し、信頼関係を醸成することで、自発的な履行を促すのがADRとして好ましいのでは。

c 執行力の付与を恐れて、ADRに応諾しない相手方が想起され、この場合貴重な話し合いをする機会を失うことにならないか。

f 調停の利用希望申込、あるいは、法14条に基づく説明段階で、手続きには、執行力がない旨を説明したところ、当事者が手続きの利用を選択しなかったケースがあった。

e 合意成立後に、即決和解、公正証書(執行受諾文言付)の作成を行うことになったケースがあった。

d 執行力を付与することにより、裁判手続における事務的・時間的・経済的負担も軽減できる可能性が拡大する(例えば、不動産の相続における遺産分割調停事案において、民間ADR機関で合意した場合、当該合意書だけでは相続登記ができない)

● 認証紛争解決機関である各地の単位会、当連合会の関連WT内において出された主な意見や報告をまとめると、以下のとおり、肯定的・否定的いずれもみられる。

(2) 執行力に関する考え方(上記(1)をふまえて)

【考え方1】 特定の事件を対象として、執行力の付与をすべきではないか。

● 一定の事件類型(登記関連等)については、執行力付与の必要性が存在(d)。

● 執行力付与の有無を、手続き選択の判断要素にするケースの存在(f)

● 但し、すべての事件を対象とするのでは、応諾率の低下(c)、ADR独自の良さを活かせない(b)等の懸念も存在。

● 対象事件は、現状をふまえ※①当事者の意思(当事者の選択の機会付与)、②事件類型などにより、絞込みを行うことが考えられるのではないか。

● なお、上記絞込みに際しては、既存の様々な履行確保手段が、「執行力付与」の代替手段として消去法的に選択されている手段であるか否かについても留意する必要があるのではないか。

【考え方2】 現在各ADR機関において履行確保に向けて行われている対応や今後導入を検討している「執行力付与」以外の方法につき、これらを実行するための課題(法律上等)を抽出し、課題解決に必要な対応をすべきではないか。

● 例えば、ADR(ODR)手続き内で、合意内容に基づく履行が終了するのであれば、「執行力の付与」まで要しないと考えられる(例えば、金銭請求事件につき手続き内で支払いを完了させる)。この際、金銭支払いにつき、ODRにおいて、その手続き内で履行を行う場合の、法律上(例えば資金決済法)等の課題についても抽出すべきではないか。

※ 例えば、①合意成立時に支払うべき金銭を持参した事案、②建物明渡請求につき、合意成立後、明渡期日に調停人が現場に立ち会い、その後合意書への署名押印を行った事案、③遺産分割調停事案につき、合意内容に沿った具体的な遺産承継手続きが当事者には困難であったため、その後専門職に引き継いだ事案(手続上のアシスト)などがある。

• 我が国の離婚した父母のうち8割近くにも及ぶ養育費の不払い状態を解消することが,待ったなしの喫緊の課題であるという共通認識の下,まずは,養育費不払い問題の改善に資する取組として,できるこから一刻も早く着手すべきである• 法務省において,厚生労働省(厚労省),最高裁判所(最高裁),地方自治体等の公的機関や,法テラス,養育費相談支援センター等の関係機関,日本弁護士連合会(日弁連),弁護士会,ひとり親支援団体等の関係団体等と十分に連携を図って,各機関・団体等の自律性を尊重しつつ必要な協力を得て,スピード感ある取組を進めていくべきである。

2020年養育費相談会 代表相談事例

• 40代女性(同居親)

• 今年6月に調停離婚をした。面会交流なし、養育費なしの合意をしたが、将来の子どものことを考えるとやっぱり養育費を受け取りたい。今後、養育費をもらうためには、どのような手続きをすればよいか。

• 50代女性(同居親)

• 12年前に調停離婚が成立し、数年間は調停での定めに従い養育費をもらっていたが、数年前から全く支払われない状況になった。過去に裁判所へ履行命令申立をしたが、裁判所からの書面を受け取ってもらえず、手続きが進まない。強制執行をしなければならないか。

• 年齢不詳女性(同居親)

• 離婚時に養育費の取り決めをし、文書も作成したように思うが手元にない。養育費を1回支払ってもらったが、その後の支払いはない。自分で養育費の支払いについての調停ができるだろうか。

養育費の不払い解消に向けた当面の改善方策

(中間取りまとめ~運用上の対応を中心として~)

• 相談体制の充実のため,利便性の高いSNSサービスを入口とした非接触型の相談対応の実現や利用可能なサービス時間帯の延長が望まれるし,相談者のニーズによっては,司法書士による書類作成援助業務の在り方について今後検討する。

• 養育費を請求する裁判所の手続について司法書士による申立書等の書類作成援助の活用の在り方を検討してはどうかとの意見があった。

養育費不払い解消に向けた検討会議・取りまとめ

(~子ども達の成長と未来を守る新たな養育費制度に向けて~)令和2年12月24日 法務省養育費不払い解消に向けた検討会議

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00101.html

• 全国的に見ると法律家が地域的に偏在していることを踏まえつつ,養育費案件について事案に応じた選択肢を増やすという観点から,法テラスの地方事務所において,利用者のニーズに応え,適切な案件の振り分けの下で,弁護士の代理援助のみではなく,家事調停手続や民事執行手続の申立書作成などの書類作成援助や,書類作成事務についての相談業務について,司法書士の活用を検討すべきではないか,との意見があった。

• これに対し,案件の振り分けは法的判断を伴い,法テラス職員が行うのは困難である,請求額の妥当性や執行方法,離婚に伴う各種法律問題などにつき,法的助言や相手方との交渉・手続の代理等が必要となり書類作成援助で足りなくなることが多いが,法的助言等を司法書士が行えない以上,改めて弁護士に依頼することになって時間と費用の負担が更に発生するおそれがあるなどとの意見があった。

法務省委託調査「養育費の不払い解消に向けた自治体における法的支援及び紛争解決支援の在り方に関する調査研究」にご協力いただける自治体を募集いたします。(商事法務)

• この度、当会では法務省の委託調査「養育費の不払い解消に向けた自治体における法的支援及び紛争解決支援の在り方に関する調査研究」を受託しましした。本事業は、養育費の不払い解消に向け、モデル事業を実施することで、自治体のニーズを把握し、今後の法的支援及び紛争解決支援のあり方や問題点について調査・研究することを目的としております。

• そこで、モデルとして、本事業にご協力くださる自治体を募集します。

• ご検討いただける自治体は、詳細につき下記宛にお問い合わせください。• モデル事業担当TEL:03-5614-5633 *平日10時~17時におかけください。

7 司法書士総合相談センターのIT化

相談センターIT化の必要性

• 業務拡充を含む次なる司法書士法改正の立法事実の準備として

• 全国の司法書士無料相談のDB化

• 利用者の利便性向上に資するため

• スマホ時代のへの対応

• ウェブ相談への対応

• 司法書士会事務局の事務効率化のため

• 記録化、配転等

司法書士界を覆う閉塞感

不動産登記、商業登記事件の減少は本当か?

民間事業者による登記参入はどの程度進んでいるのか?

他士業による登記参入はどの程度進んでいるのか?

AIによって登記業務は代替されてしまうのか?

変革の時代は好機(チャンス)ではないのか?

不動産登記・商業登記の件数の推移

• 不動産登記(権利)について

• 平成9年から令和元年までの推移(白書参照)

• 平成9年が1297万3298件(最大値)

• 平成30年が800万4543件(最小値)令和元年は803万6297件

• 相続登記の増加傾向

• 商業登記について

• 平成4年から令和元年までの推移(白書参照)

会社登記は平成7年が213万3339件(最大値)平成25年が115万4979件(最小値)そこからは微増。令和元年は124万6751件

東洋経済新報社「誰が日本の労働力を支えるのか」より『職業別代替可能性』

• 行政書士 93.1% • 税理士 92.5% • 弁理士 92.1% • 土地家屋調査士 89.0% • 公認会計士 85.9% • 社会保険労務士 79.7% • 司法書士 78.0% • 裁判官 11.7% • 弁護士 1.4% • 中小企業診断士 0.2%

AIに負けないためには!

(3つのポイント)

「創造性」抽象的な概念を整理・創出するための知識

「ソーシャルインテリジェンス」社会的な情報(を収集する能力)、本当のことを話してくれない相手のことを理解したり、説得する力

「非定型」臨機応変な対応や状況判断が求められること

司法書士制度は発展していないのか?

• 成年後見制度がスタート(平成12年)

• 民事法律扶助に書類作成援助が認められる(平成12年)

• 簡裁代理権の付与(平成14年)とその後の改正

規則31条による附帯業務、民事信託支援業務

• 空き家、所有者不明土地問題における法的需要

• 民事裁判のIT化に伴う本人支援への期待

• などなど

デジタル時代の規制・制度について

(令和2年6月22日規制改革推進会議決定)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html

• 5.規制・制度の類型化と具体的な見直しの基準

• (3)業規制の見直し

• ④ 特定の資格保有者による業務独占の見直し

• デジタル技術の発展により、ネットやリモート技術を活用した事業展開が容易になってきている。特定の資格保有者しか業務ができない規制・制度についても、業務の一部をデジタル技術によって支援・補完・代替することによって、柔軟かつ消費者利便に合致した新たなサービスの提供が可能となる。業務の一部をデジタル技術によって行うことを業務独占の範囲から除外するなど、業務独占を定める規制のあり方を見直すべきである。

おわりに

変革の時代は好機ととらえるべし!イノベーションを!

問われるのは、われわれの姿勢と実績

これからの司法書士制度を創るのは、私たち。

平成30年11月30日金融庁

「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」の公表について

https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20181130/20181130.html

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000f5a001

(顧客等の本人特定事項の確認方法)

第六条一

ホ 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌及び写真付き本人確認書類の画像情報であって、当該写真付き本人確認書類に係る画像情報が、当該写真付き本人確認書類に記載されている氏名、住居及び生年月日、当該写真付き本人確認書類に貼り付けられた写真並びに当該写真付き本人確認書類の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受ける方法

ヘ 当該顧客等又はその代表者等から、特定事業者が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該顧客等又はその代表者等に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該顧客等の容貌の画像情報をいう。)の送信を受けるとともに、当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等の写真付き本人確認書類氏名、住居、生年月日及び写真の情報が記録されている半導体集積回路(半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和六十年法律第四十三号)第二条第一項に規定する半導体集積回路をいう。以下同じ。)が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた導体集積回路に記録された当該情報の送信を受ける方法

半導体集積回路・・・SDカードやUSBメモリなど。

ト(1) 他の特定事業者が令第七条第一項第一号イに掲げる取引又は同項第三号に定める取引を行う際に当該顧客等について氏名、住居及び生年月日の確認を行い、当該確認に係る確認記録を保存し、かつ、当該顧客等又はその代表者等から当該顧客等しか知り得ない事項その他の当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す事項の申告を受けることにより当該顧客等が当該確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認していることを確認すること。

ト(2) 当該顧客等の預金又は貯金口座(当該預金又は貯金口座に係る令第七条第一項第一号イに掲げる取引を行う際に当該顧客等について氏名、住居及び生年月日の確認を行い、かつ、当該確認に係る確認記録を保存しているものに限る。)に金銭の振込みを行うとともに、当該顧客等又はその代表者等から当該振込みを特定するために必要な事項が記載された預貯金通帳の写し又はこれに準ずるものの送付を受けること。

デジタル化と司法書士

九州ブロック司法書士会協議会令和3年度会員研修会

〔講演第1部〕デジタル化で司法書士は生き残れるか

九州大学大学院法学研究院教授   七戸克彦 令和3年9月4日

1. 平成期の「司法書士の危機」 ワープロの登場。東芝。

1-1. 平成14年:簡裁代理権

1-2. 平成16年:現行不動産登記法制定

1-3. 平成19年:長瀬訓令(業務停止2年 有期懲戒の最長)

1-4. 平成28年:債務整理最高裁判決

1-5. 令和 2 年:調査説明義務最高裁判決

1-5. 従来の判例理論

(1)調査確認義務(原則と3つの例外)

・【原則】委任者から交付された関係書類の適式性の限りで確認すれば足りる。

・【例外】①登記申請の委任者から関係書類の真否等についてとくに調査を依頼された場合、②司法書士が却下事由の存在を知っていた場合や書類の記載の不合理が一見して明白な場合、③登記義務者の本人性や書類の偽造につき疑念性があるにもかかわらず追加的な調査・確認を行わなかった場合

(2)説明(助言・警告・注意喚起)義務

・委任者以外の第三者との関係では説明義務は負わない。

1-5.令和2年最高裁判決

最(2小)判令和2・3・6民集74巻3号149頁

・A→B→X→Cの物権変動のうち、A→B登記の前件申請を弁護士D、B→C登記(中間省略登記)の後件申請を司法書士Yが受任したが、前件取引がAの成りすましによる不動産詐欺であったことから、無効となったB→(X)→Cの後件取引の中間者XがYに対して不法行為責任(説明(警告)義務違反)を追求した事案。

1-5. 令和2年最高裁判決【判旨①】

・ 登記申請等の委任を受けた司法書士は、その委任者との関係において、当該委任に基づき、当該登記申請に用いるべき書面相互の整合性を形式的に確認するなどの義務を負うのみならず、当該登記申請に係る登記が不動産に関する実体的権利に合致したものとなるよう、上記の確認等の過程において、当該登記申請がその申請人となるべき者以外の者による申請であること等を疑うべき相当な事由が存在する場合には、上記事由についての注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務を負うことがあるものと解される。

1-5. 令和2年最高裁判決【判旨②】

・ 登記申請の委任を受けた司法書士は、委任者以外の第三者が当該登記に係る権利の得喪又は移転について重要かつ客観的な利害を有し、このことが当該司法書士に認識可能な場合において、当該第三者が当該司法書士から一定の注意喚起等を受けられるという正当な期待を有しているときは、当該第三者に対しても、上記のような注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務を負い、これを果たさなければ不法行為法上の責任を問われることがあるというべきである。

2. 電子契約と司法書士

・ 不動産取引が〈電子契約〉化した場合、司法書士の①書類確認と、②契約締結および決済への立会業務(いわゆる前段業務)は、どのように変化するのか?

・最(2小)判令和2・3・6民集74巻3号149頁が電子契約だった場合、どのようになるのか。

2-2. 電子署名及び認証業務に関する法律

(定義)第2条〔第1項〕この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。〔「本人性」要件〕

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。〔「非改ざん性」要件〕

2-2.電子署名及び認証業務に関する法律

第2章 電磁的記録の真正な成立の推定

第3条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

民事訴訟法と対応

民事訴訟法228条4項 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正なものと推定する。

2-3. 印判の由来

・日本の印判の歴史には3つの系統がある。

1 封印・封字の系譜

福岡市博物館 金印

http://museum.city.fukuoka.jp/gold/

外務省 わかる国際情勢

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol12/index.html

(2)公印・職印の系譜

宮内庁 御璽・国璽

https://www.kunaicho.go.jp/about/seido/seido09.html

一家に一本、ネジザウルス!をめざす社長ブログ 

http://blog.livedoor.jp/engineerjpmaster/

(3)印鑑の系譜

踏む(押す)という所作

長崎 踏み絵 聖パウロ女子修道会(女子パウロ会)

https://www.pauline.or.jp/historyofchurches/history05.php

平戸松浦家の名宝と禁教政策―投影された大航海時代―

http://www.seinan-gu.ac.jp/museum/wp-content/uploads/2014/12/pr-2013hirado.pdf

新潟県 三行半

新潟日報 貞心尼に新説 実像に迫る

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20210830638771.html

国税庁 地券

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/sozei/tokubetsu/h15shiryoukan/a.htm

(電子署名)

第12条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請するときは、申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請情報に電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)を行わなければならない。

2 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合における添付情報は、作成者による電子署名が行われているものでなければならない。

3. 電子署名・電子証明書と登記業務

3-1. 不動産登記令(平成16年政令第379号)

第14条 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合において、電子署名が行われている情報を送信するときは、電子証明書(電子署名を行った者を確認するために用いられる事項が当該者に係るものであることを証明するために作成された電磁的記録をいう。)であって法務省令で定めるものを併せて送信しなければならない。

3-2. 署名→電子署名、押印→電子証明書

4. 不登法の真実性担保手段の欠陥

4-1. 他部局・他府省の保有する情報(戸籍・住民票・不動産課税台帳等)との連携が取れていないこと

4-2. 添付情報(とくに登記原因証明情報)に関する実質的審査が行われていないこと

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

(情報の提供の求め)第151条 登記官は、職権による登記をし、又は第14条第1項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、その対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)をいう。)に関する情報の提供を求めることができる。

令和3年改正不動産登記法151条(新設)

(所有権の登記名義人についての符号の表示)

第七十六条の四 登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

自然人を想定(法人はGビズID)。権利能力を有しないこととなった、は遺族感情を踏まえての表現。職権。条文上は、書面でも電子情報でも。要綱では、電子情報が予定されている。「検索」の記載有。

https://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf

マイナンバーカードではなくて、住民基本台帳ネットワークを利用する理由。

戸籍法部会資料 戸籍事務へのマイナンバー制度導入のための主な検討事項

https://www.moj.go.jp/content/001340751.pdf

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

第3 登記所が他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するための仕組み

相続の発生や氏名又は名称及び住所の変更を不動産登記に反映させるための方策を採る前提として、登記所が住民基本台帳ネットワークシステムから所有権の登記名義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するため、次のような仕組みを設けるものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

① 自然人である所有権の登記名義人は、登記官に対し、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について、氏名及び住所の情報に加えて、生年月日等の情報(検索用情報)(注)を提供するものとする。この場合において、検索用情報は登記記録上に公示せず、登記所内部において保有するデータとして扱うものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部第3(続)

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

② 登記官は、氏名、住所及び検索用情報を検索キーとして、住民基本台帳ネットワークシステムに定期的に照会を行うなどして自然人である登記名義人の死亡の事実や氏名又は名称及び住所の変更の事実を把握するものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部第3(続)

4-1. 他部局・他府省の電子情報との連携

(注) 上記の新たな仕組みに係る規定の施行後においては、新たに所有権の登記名義人となる者は、その登記申請の際に、検索用情報の提供を必ず行うものとする。当該規定の施行前に既に所有権の登記名義人となっている者について

は、その不動産の特定に必要な情報、自己が当該不動産の登記名義人であることを証する情報及び検索用情報の内容を証する情報とともに、検索用情報の提供を任意に行うことができるものとする。

(2)法制審議会答申(要綱)第2部第3(続)

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

* 判例の【原則】と【3つの例外】は、電子契約の場合には、どのようになるか?

・【原則】委任者から交付された関係書類の適式性の限りで確認すれば足りる。

・【例外】①関係書類の真否等についてとくに調査を依頼された場合、②司法書士が却下事由の存在を知っていた場合や書類の記載の不合理が一見して明白な場合、③登記義務者の本人性や書類の偽造につき疑念性がある場合

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【原則】委任者から交付された関係書類の適式性の限りで確認すれば足りる。

・ 電子契約では、関係書類はすべて電子情報になっている。

・ 電子契約の関係書類(情報)の「適式性」審査の具体的内容は、どのようなものになるのか?

デジタルによる本人確認方法や電子署名の方法について、対面でアドバイスを行い仕事にする方法の可能性。

参考

2020年12月電子契約・電子署名の活用に関する諸問題(契約実践編)

法人間で締結される電子契約の証拠力を中心に

弁護士 宮川 賢司 / 弁護士 西 愛礼 / 弁護士 辻 勝吾/弁護士 望月 亮佑 / 弁護士 一圓 健太

https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins14_pdf/201130.pdf

・ 電子契約の場合の〈本人確認〉は、どのような方法になるのか?

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【例外①】関係書類の真否等についてとくに調査を依頼された場合には、調査確認義務・説明義務(助言忠告義務)が加重される。

・ 電子契約の締結ならびに決済への〈立会業務〉の具体的な内容は、どのようなものになるのか?

e-KYCについて

平成30年11月30日金融庁「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」の公表について

https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20181130/20181130.html

・ 電子契約・決済への立会を依頼された司法書士が負う加重的な調査確認義務・説明義務(助言忠告義務)の具体的内容は、どのようなものか?

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【例外②】司法書士が却下事由の存在を知っていた場合や書類の記載の不合理が一見して明白な場合、司法書士は債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償責任を負う。

電子契約の場合に、却下事由の存在に関する〈悪意〉あるいは〈過失〉とは、具体的にはどのようなものになるのか?

4-2. 電子契約と添付情報の真実性担保

【例外③】登記義務者の本人性や書類の偽造につき疑念性がある場合には、調査確認義務・説明義務(助言忠告義務)が加重される。

・ 電子契約の場合に、ⓐ本人性あるいはⓑ情報の偽造につき〈疑念性がある場合〉とは、具体的にはどのようなものになるのか?

5. 電子契約と司法書士

「第3部 パネルディスカッション」に向けて――

・ 不動産取引が〈電子契約〉化した場合、司法書士には、①電子契約の有効性確認のスキルが必要となる一方、②対面での本人確認・意思確認ができなくなる時代が来る。

DX不動産推進協会

https://www.dxppa.or.jp/

(所有不動産記録証明書の交付等)

改正不動産登記法第百十九条の二 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。

2 相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

3 前二項の交付の請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。

4 前条第三項及び第四項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

→相続人申告登記と、一部遺産分割(例えば、10筆あるうちの宅地のみ行えば、相続登記の義務化は免れれる。)を行って相続登記義務化を免れることが可能?

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