非営利組織のガバナンス評価・認証

 特定非営利活動法人(NPO法人)、一般財団法人(非営利型)、一般社団法人(非営利型)、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人についてガバナンス評価・認証制度があるようです。

(一財)非営利組織評価センター(Japan Center for NPO Evaluation)

https://jcne.or.jp/

法人化前の事務局は(公財)日本財団と(一財)社会的認証開発推進機構。(一財)非営利組織評価センターの本店は(公財)日本財団ビル内にあり、設立発起人に両法人が入っていることから、運営体制も変わらないのではないかと想像します。

(公財)日本財団

https://www.nippon-foundation.or.jp/

(一財)社会的認証開発推進機構

https://withtrust.jp/

内部運営と情報公開のサポート、評価、認証を目的としているようです。

ベーシックガバナンスチェック制度とグッドガバナンス認証の違い(HPより)。

ベーシックガバナンスチェック制度では、非営利組織として組織運営が法令や定款通りに適切に行われているかという視点で評価を行います。一般的な非営利組織であればどの団体でも評価を受けていただけるものとなっています。グッドガバナンス認証制度では、JCNEが独自に定めた組織運営の目標水準に達しているかどうかの視点で評価を行います。特に組織運営をしっかり行い、広く寄付や支援を求めている団体が活用されています。

有効期間 3年 料金 現在は普及期間として無料

ベーシックガバナンスチェックリストの項目(23項目)

第三者評価

・ガバナンス

1 法令および定款に則って代表者および役員(理事3人以上、監事1人以上)を選任または解任している。

 理事3名以上は求められているようですが、理事会の設置は要件ではないようです。解任は間違いだと思われます。

2 定款に基づく役員会(理事会、運営委員会等)を年に2回以上開催している。

 年に2回は最低限というところでしょうか。理事が3名以上の法人になると、1か月に1度は会議を行っているという印象があります。

3 社員総会(評議員会)を年に1回以上、実際に開催している。

 法令通りです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律36条、特定非営利活動促進法第14条の2)。

4 役員会および社員総会(評議員会)の議事録を定款および法令に基づいて作成している。

 法令通りです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律57条、特定非営利活動促進法29条。)。

5 1事業年度において、役員会(理事会、運営委員会等)または社員総会(評議員会)で、法令および定款で定める事項の他、以下の内容の審議を行っている。

(1)事業計画・予算計画・事業報告・決算報告(2)役員の報酬に関する規程

 役員報酬規程は、毎年度において審議事項になる。収入のうち、寄付や会員の会費などがあることから、お金の用途に関しては法人外部に説明できるように、ということだと思います。

6 監事は監査を行っている。

7 直近の登記事項を登記している。

 ここまでは、議事録、履歴事項証明書などを提出して比較的第三者評価がしやすい項目になっていると思います。

・情報公開(8は第三者評価、9以降は自己評価)

8 法令で定められた書類を事務所に備え置き、閲覧可能な状態にあるとともに定款、役員名簿、事業計画、事業報告書、会計報告書類、役員報酬をウェブサイト上で公開している。

 会計報告書類と役員報酬のウェブサイト公開がある法人とない法人では、事業計画や事業報告書などと違い、数字は動かせないので信頼度は違ってくると感じます。

9 組織の所在地および問い合わせ方法をウェブサイト上で公開している。

 公開されていない場合は、不安になる項目です。

10 寄付者・支援者等に事業の成果を報告している。

 一度NPO法人に寄付をしたことがあるのですが、事業報告書と会計報告書類が送られてきました。正直なところ、あまり興味がなくこういうのはメールなどで良いのかなと個人的には感じて、以降寄付などはしなくなりました。寄付者、支援者はどのような理由で支援をしているのか、少し考える必要があるのかなと思います。私の場合は、身寄りのない方の成年後見人になって、本人が亡くなった後、報酬の一部を関連するNPO法人に寄付しました。

・組織の目的と事業の実施

11 組織の目的と事業を文書化している。

 定款に記載、別途文書化するなどの方法を採るのかなと思います。

12 非営利型法人である。

13 組織の目的に沿った単年度事業計画を策定している。

14 事業の対象となる社会的ニーズや課題を多様な関係者からくみ取る仕組みがある。

 年度に一度、アンケートを取る、評議員会を設置などでしょうか。

15 各事業の定期的な振り返りや見直しを行っている。

 議事録や、シートなど残る記録が必要なのだと思います。

・コンプライアンス

16 税金を滞納していない。

17 個人情報保護に関する規程を定め、取得目的を明示している。

・事務局運営 

18 会計に関する専門知識をもった担当者またはアドバイザーがいる。

19 現金の取扱い・資金管理に関して複数人によるチェック体制がある。

20 法定保存文書の保存をしている。

 16から20までは、16、18,19,17、20の順番の方が分かりやすいのではないかと思います。

21 雇用契約書等で雇用条件の提示を行っている。

22 職員の就業状況を把握し、管理している。

23 労働保険に加入している。

 雇用をしている場合です。ざっとですが、項目を読む限り税理士、雇用がある場合は社会保険労務士が必要だと感じました。

信託内容の変更条項

家族信託実務ガイド[1]の宮田浩志「信託内容の変更条項」からです。

信託契約書において、信託内容の変更条項が盛り込まれているケースは多いです。この場合、「受益者は、受託者との合意により、本件信託の内容を変更することができる。」という条項が一般的です。

 

 「「受益者は、受託者との合意により、本件信託の内容を変更することができる。」という条項が一般的です。」。そうなんでしょうか。知りませんでした。信託法149条を根拠としているように記載されていますが、委託者が抜けています。また契約条項の記載方法は、改善の余地がある様に思います。

信託内容の変更ができなくなるリスクと信託法149条2項2号の趣旨も踏まえ、例えば、受益者との受託者の合意による変更を原則としつつも、「受託者が本件信託の目的に反しないことおよび受益者の利益に適合することが明らかであると判断したときは、受託者は単独で本件信託の内容を変更することができる。」という条項を置くことも良策となり得るでしょう。

 私は考え方が逆ではないかなと思いました。信託法149条を原則として(条項としては、「その他信託法の定めによる、など。」。)、例外を信託法149条4項で追加したり削ったりして構成していくものだと考えます。「本件信託の目的に反しないことおよび受益者の利益に適合することが明らかであると判断したとき」には、客観的な基準が必要だと考えます。

受託者単独で変更できる条項のニーズ

信託の目的に反しないことおよび受益者の利益に適合することが明らかである場合の典型的なケースとしては、信託内融資をうける(受託者が信託財産の維持・形成のために、信託財産責任負担債務として金融機関等から借入れをする)場合が考えられます。

 文章の意味が分かりませんでした。どうして信託内融資を受けるケースが、信託の目的に反しないことおよび受益者の利益に適合することが明らかである場合と結びつくのでしょうか。題目の、受託者単独で変更できる条項のニーズも含めて読むということなんでしょうか。また、金融機関の求めに応じて信託の変更を公正証書化する場合に実務的には大きな意味がある、というようなことが記載されていますが、信託内融資を受けるケースは信託の目的に反しないことと、受益者の利益に適合することが明らかであると判断できるのが前提なのでしょうか。よく分かりませんでした。もし不動産の信託目録に記録している場合、登記原因証明情報にどのような記載をするのか気になります。

軽微な変更は受託者単独でできるような規定を置くこと、あるいは信託監督人を置くケースでは、受託者と信託監督人の合意で変更出来るようにしておくことも検討すべきといえます。ただし、受益者代理人を置く場合は、受益者代理人は受益者本人と同等の権利行使が可能なので、大原則である受託者と受益者の合意で変更できる旨があれば、リスクは回避できる、という結論になります。

 「あるいは、」、「ただし、」、「結論になります。」がどのように繋がっているのか、私だけかもしれませんが分かりませんでした。記事全体に関しては、「一般的です。」「実は、」「実務的には大きな意味を持っています。」「後見人等に多数就任中」「全国からの相談が後を絶たない。」「先駆的な存在」「日本屈指」などはどのように読めばいいのか分かりませんでした。


[1] 2021年5月第21号日本法令P73~

民事信託・家族信託に関する記事より

(あるメールマガジンより)

・認知症になったら、なにができなくなるの?お答えしていきます。認知症になったらできなくなる主な行為は、・預金口座の解約、引出し、送金・不動産の売買や賃貸契約・遺言書の作成・養子縁組・生前贈与・生命保険の加入や保険金の請求・遺産分割協議・株主の場合は議決権の行使などがあげられます。

 

認知症になったら、というのは医師から認知症の診断を受けた場合のことを指しているのだと思います。認知症の診断を受けたから、上の行為が出来なくなると断言されるのには違和感があります。症状にも色々あり、法律行為を行う場面やそれまでの経緯にも私たちは目を配る必要があると考えるからです。反対に、医師から認知症と診断されていなくても、明らかに理解出来ない行為をしている場合は、他の医師か士業に交代した方が良いと思います。介護職の方なら頷いてくれると思うのですが、依頼者(利用者)との相性というものも、高齢者や障害を持つ方によってはあると考えるからです。

・『認知症になったら口座からお金をおろしたり解約したりできなくなくなるの?』ちょっと様子がおかしいな・・・かかりつけのお医者さまにみてもらったら少し認知症の症状がありますね。と診断されました。「すぐにお金が引き出せなくなるの?」と心配になりますよね。いいえ、すぐにお金が引き出せなくなる状態になる、ということではありません。どの様な段階でお金が引き出せなくなるのでしょうか。こんな『シチュエーション』が多いようです。親御さんが銀行に出向けなくなり、代わって身辺のお手伝いをするご子息や娘様がお金の引き出しに行く事が出てくると想定されます。普段はそれでやっていけるのですが(本来は良いとは言えませんが)カードの磁気不良などで窓口での手続きが必要になることがあります。その時に「口座名義ご本人様が窓口に来てください」となるわけです。ご本人の判断能力が問われ、意思確認ができないと判断された場合、お金がおろせなくなる、「口座凍結」となるのです。

 口座凍結になるのでしょうか。私は初めて聞きました。利用目的などを聞かれ、成年後見制度の利用を勧められ、キャッシュカードが発行出来なくなると思っていました。規模の大きい金融機関だとそのような対応になるのかもしれません。判断能力と意思確認は少し違うのではないかなと思います。

 クレジットカードの場合はどうでしょうか。家族がサポートセンターに連絡すると、本人様でしょうかと訊かれ、生年月日や住所を答えるように言われます。もし、家族が電話して本人の生年月日や住所を答えた場合はどうなるのでしょう。

オンラインでクレジットカードを無効化して、再発行することも可能なようです(法人カードは、窓口での受付が必要と記載がありました)。

https://www.smbc-card.com/mem/goriyo/lost.jsp

 私の利用しているクレジットカードは、サポートセンターに電話連絡しないとクレジットカードの無効化と再発行は出来ませんでした。既にキャッシュカードの再発行も、オンラインでの手続きが可能な金融機関があるのかもしれません。

最近では「オレオレ詐欺」の対策で「70歳以上、又は直近3年間振込をしていない、入出金がない場合はATMでの出金と振込の限度額が20万円となります。利用制限の対象となるお客さまで、ATMでのキャッシュカードによる「お振込」をご希望される場合は、お手数ですがキャッシュカード・ご本人さま確認資料(運転免許証・個人番号カードなど)をお持ちいただき、お近くの当行本支店窓口へご来店ください。」と案内されています。銀行により限度額金額は違ってはいるものの、70歳以上の方の出金、振込には制限が設定されています。お客様の実際のお話しです!!!お母さまの振込手続きを娘様がATMからしたところ、振込限度額制限で振込ができず、窓口で手続きをすることになりました。お母さま名義の口座からの振込でしたので、ご本人様が手続きできない理由などを問われ、次回はお母様(介護施設に入所中)をお連れください。と言われたそうです。

 初めて知りましたが、実際にありました。70歳以上の場合で、過去3年間ATMでのキャッシュカードによる振込みがない、または過去1年間、ATMで一度に20万円超のお引出しがないとき、に適用されるようです。

https://www.chibabank.co.jp/safety/attention/attention17.html

また、こんなお客様もいらっしゃいました。入院費用を払える様にと、限度額を毎日続けてキャッシュカードで出金したところ、数日で、「お手続きができません、窓口へお越しください」とATMでのキャッシュカードが使えなくなりました。窓口で本人確認を求められ、ご本人の判断能力がない、と判断された時には、お金がおろせない状態となるのです。もし、口座が凍結してしまった場合どうしたら良いのでしょう。ご本人様が認知症などで判断能力がない場合は、「成年後見人」をつけ、後見人に財産管理をしてもらうほかありません。(この制度については、ブログでお話しします)けれども予防策はあります!!『家族信託』を利用する。または、銀行で取り扱っている認知症に備える『代理出金機能付信託の商品』をつかう。などです。しかしながら、これらはお元気なうちにしかできない対策です。親のお金を親のために使えるようにするために。そのための方法として、「家族信託・実家信託」「任意後見契約」などを提案しています!!

 限度額を毎日引き落としていると、金融機関から連絡が来るだろうなというのは、想像が出来ます。口座引き落としか振込み、最近はクレジットカード決済対応の病院もあるので、そのようにした方が良かったのかなと思います。

(他のあるメールマガジンより)・■■ ローンが残る信託不動産 2つの質問

アパートの大家さんの認知症対策。それで、信託を活用することは良くありますよね。ところが、アパートの融資が残っていることも多いですよね。そこで、質問1つめこのアパートローン。信託を設定すると、受託者が当然に債務の返済義務を負うか?答え:No 信託された不動産のアパートローンって信託法21条の2号に該当するか3号に該当するかという問題です。ちょっと条文

信託法第21条次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。

(1号 略)2号 信託財産に属する財産について信託前の原因によって生じた権利3号 信託前に生じた委託者に対する債権であって、当該債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする旨の信託行為の定めがあるもの

あ、「信託財産責任負担債務」って、簡単にいうと受託者が信託された財産から履行する責任がある債務ってことです。もっともメインなものは、受益者に渡すお金とか。それって、受託者が自分の財布から渡すのではなく、信託されたお金から渡しますよね。話を元に戻します。このアパートローンって、21条2号に該当するなら、信託すれば当然に受託者は返済義務が生じます。3号なら、信託契約書にその旨記載しなければ、受託者に返済義務が生じません。それで答え。アパートローンは3号に該当です。理由は、アパートとこの融資は、直接は結びついていないから。

確かに、融資を受けたお金でアパートを建築したかもしれませんが、でも、融資をしたお金を別に使って、別なところからお金を持ってきて、アパートを建築することもできますよね。たまたま、結びついているように見えるだけ。抵当権もついていますが、それを持って、直接結びついているわけではありません。

2号に該当するものは、・敷金返還債務・マンションの滞納した管理料など

ちなみに、未払いの固定資産税は2号に該当せず3号のようです。理由は・・・すいません。よくわかりません。(苦笑)『条解 信託法』でそのような解説がありますが理由は書いてありません。(わかる人、教えて)と言うことで、アパートローンを受託者が返済できるようにするためには、信託契約書に、その旨記載しなければならないです。「そのローンは、信託財産責任財産とする」という感じで。

 「「信託財産責任負担債務」って、簡単にいうと受託者が信託された財産から履行する責任がある債務ってことです。」は誤りで、信託財産と受託者の財産から履行する責任がある債務です(信託法21条)。

 「ちなみに、未払いの固定資産税は2号に該当せず3号のようです。理由は・・・すいません。よくわかりません。(苦笑)」。未払いの固定資産税の債務者は、通常委託者(地方税法 第343条)です。信託の設定のために、不動産が委託者から受託者に移転されても滞納している固定資産税に関する徴収権が存続するのは、市区町村が滞納されている固定資産税の存在を受託者に対抗することができるからであり(地方税法 第373条)、また、徴収権が存在していたからといって受託者がその債務を負うわけではないからです。委託者が支払うか、信託法21条1項3号の要件を満たし、信託財産責任負担債務として支払うことになると考えます。

■■ 質問2つめ そのローンは、受託者の口座から返済する?委託者(受益者)の口座から返済する?

「返済は受託者がするのが当然!」と思うかもしれませんが、実は、単純じゃないんです。答え:債権者、つまり銀行と協議ですね。(笑)理由は、委託者と受託者の間では、信託財産責任負担債務となり、受託者が弁済の義務を負いますが、銀行とは、話しが違うからです。3号の場合は、銀行と協議して債務引受が必要です。つまり、受託者が債務引受をすれば、受託者が払い、債務引受をしなければ、これまでどおり、委託者(受益者)が払うことになります。債務引受をして、受託者が払うようにしたこともありますし、銀行と協議をした結果、委託者(受益者)が引き続き払うようにしたこともあります。ホント、銀行次第。

■■ アパートローンがあるときの注意点

委託者は任意後見を設定しておきましょう!これ超大事。なぜか?理由は2つ

理由1つめ

アパートローンって、10年固定金利とか、金利の切り替えがある契約のことが多いです。その時、委託者が認知症だとこの切り替えができなくなってしまいます。そうすると、金利がすごーく上がってしまうことも。これまずいですよね。『免責的』債務引受をしていればいいのですが、受託者だけで、切り替えができますが、それは少数派。通常は債務引受をしたとしても、『重畳的』になることが多いでしょう。そうすると切り替えのときに委託者のハンコが必要です。その時、委託者が認知症だと・・・・ほら、任意後見しておきたいでしょ?(笑)

理由2つめ

そもそも債務引受は不要、と銀行から言われたら、委託者がこれまでどおり返済します。それで委託者が認知症になったら・・・返済ができなくなる。ほら、やっぱり任意後見いるでしょう?(笑)

■■ 利益相反に注意

問題は、親と子で信託する場合で、子が一人のケース。子が受託者であり、任意後見の受任者になってしまいます。つまり利益相反。法的にはかなり問題がありますが、実務上はやらざるを得ないケースも多いです。子供が一人しかいなかったらしょうがない。その場合は、利益相反の規定(信託法31条や民法108条)に注意しながら、信託契約を作成してくださいね。今回は、信託の実務のお話しをしました。最近、試験に合格されて、このメルマガを読み始められた方もいると思います。このように、実務では条文は超重要!ですので、何かあったら条文に戻る癖をつけてくださいね。

 債権者からみた場合、受託者と債務者は違うということを考えると、理解しやすいのかなと感じます。

「そもそも債務引受は不要、と銀行から言われたら、委託者がこれまでどおり返済します。それで委託者が認知症になったら・・・返済ができなくなる。ほら、やっぱり任意後見いるでしょう?(笑)」。ここは私には良く分かりませんでした。

民事信託・家族信託への問い

・ある信託が、もっぱら受託者の利益を図る目的でなされているかどうかは、形式的に、受託者の行動を決定する基準としての「目的」が、自分自身の利益を図るべしとされているか否かではなく、その信託によって当事者が達成しようとした実質的な経済的効果に照らして判断されるべきことになるか?

 信託の成立要件(信託法2条1項)に関わる問いです。文献にも問いのような記載があります[1]。私も「その信託によって当事者が達成しようとした実質的な経済的効果に照らして判断される」のが適切だと考えています。信託、民事信託、そして福祉型信託と呼ばれる信託に対しても同じです。福祉型信託においても、直接の身上監護は出来ないので、あくまでも経済的な効果を通して受益者の生活の質の向上、維持を目指すのが信託の受託者の仕事であり、信託期中・信託終了後における信託の成立要件の評価基準であると考えています。

・福祉型信託において、受託者が、もっぱら信託財産で大型開発行為をする意図で、受託した場合はどうか。信託条項は簡単で、かかる開発行為には触れていない。信託は成立するか?

・信託の目的にある「受益者の幸福な生活と福祉を確保する目的」を実現する意思がない場合はどうか。

 この問いも信託の成立要件に関わるものです。福祉型信託であることと、受託者が大型開発行為を行う目的を持つことは、両立し得ると思います。委託者の信託行為時の意思がどのように担保されているのかが、評価の一つの基準になると思います。信託条項は簡単という記載は、あいまいで有効か否か分かりませんでした。信託行為で開発行為について触れていないからといって、信託が不成立になるわけではありません。開発行為における対価や利益が信託目的(民事信託の場合、多くは受益者のため。)のために使われていれば、信託は成立します。

 受託者に、「受益者の幸福な生活と福祉を確保する目的」を実現する意思がない場合には、最初の問いで記載のあった、「その信託によって当事者が達成しようとした実質的な経済的効果に照らして判断される」のが適切ではないかと思います。

・他の専門家が作成した信託行為の内容をほとんど全て変更する場合、新たな信託行為ではなく、「信託の変更」で対応可能なことがらは何か。受託者の解任。残余財産の帰属権利者の変更。信託事務等の変更。信託監督人の設置。受益者代理人の定めがない場合における同意権者の選任。

 受託者の解任は、信託法58条によって行います。信託監督人の設置は、信託法131条によって選任されます。残余財産の帰属権利者の変更、信託事務の変更、同意権者の選任は信託の変更(信託法149条、150条)に含まれると考えます。信託法に定めがある場合と、委託者、信託財産、信託の目的に反する、以外の事柄に関しては、変更の当事者、適切な利害関係人がいる限り、信託の変更で対応が可能だと考えます。

・公正証書による信託契約変更契約について、 同じ公証人であれば、受益者(受益権)は同じであり、変更公正証書の手数料は、算定不能(11、000円)となるか。

 信託行為時の手数料の4分の1の価格になるのではないかと思います。

参考 公証人手数料令

(算定不能の場合の給付の価額)第十四条、(法律行為の補充又は更正の特例)第二十四条、別表(第九条、第十七条、第十九条関係)

・新規の「信託口」口座開設に、 事前の信託契約変更契約書のリーガルチェックを受ける必要があるか。

 事前に口座開設している金融機関に、提出していた方が信託終了後などスムーズな事務手続きに繋がると思います。

・契約能力を計る基準として、年齢があるか。7歳というのはあるのか。

 成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」は,2022年4月1日から施行されます。

法務省HPに記載の考え方が適切だと感じます。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00238.html#:~:text=%EF%BC%A1%20%E6%B0%91%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%88%90%E5%B9%B4%E5%B9%B4%E9%BD%A2,%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

Q3 成年年齢の引き下げによって,18歳で何ができるようになるのですか?

A 民法の成年年齢には,一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と,父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。

 成年年齢の引下げによって,18歳,19歳の方は,親の同意を得ずに,様々な契約をすることができるようになります。例えば,携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる,クレジットカードを作成する(支払能力の審査の結果,クレジットカードの作成ができないことがあります。),ローンを組んで自動車を購入する(返済能力を超えるローン契約と認められる場合,契約できないこともあります。),といったことができるようになります。

  なお,2022年4月1日より前に18歳,19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は,施行後も引き続き,取り消すことができます。

  また,親権に服することがなくなる結果,自分の住む場所(居所)を自分の意思で決めたり,進学や就職などの進路決定についても,自分の意思で決めることができるようになります。もっとも,進路決定について,親や学校の先生の理解を得ることが大切なことに変わりはありません。  そのほか,10年有効パスポートの取得や,公認会計士や司法書士などの国家資格に基づく職業に就くこと(資格試験への合格等が必要です。),性別の取扱いの変更審判を受けることなどについても,18歳でできるようになります。

・聴力、画像診断など医師の判断で契約に関する判断能力を計ることが100%可能か。長谷川式テストとの関係ではどうか。

 100%可能というものはないのではないかと思いますが、専門外でもあるので、医師の判断を尊重しながら、司法書士としての疑問が湧けば質問をしたり、他の方法を探したりするのが良いのかなと感じています。

・残余財産の帰属権利者の変更は、信託の変更か?受益者変更権を利用するのがベストな選択肢か?

 残余財産の帰属権利者(信託法第182条2項)は、信託が終了するまで権利義務を持つことはないので、信託の変更で対応することになると考えます。受益者変更権(信託法第八十九条)は、残余財産の受益者(信託法第182条1項)の変更には利用できると考えますが、残余財産の帰属権利者には利用することが出来ないと考えられます。

・1年前に、不適切な信託契約書を作成した士業に損害賠償請求が出来るか?

 請求自体は可能だと思います。勝訴、回収まで出来るかは、士業の業法や民法上の定めなどにより、士業の資力も併せて考える必要があると考えます。


[1] 道垣内弘人「信託法 現代民法別巻」2017有斐閣P47~

新保さゆり「株主名簿を整備しましょう!定款を見直しましょう!第2回」

株式の譲渡等による株主名簿の名義書換手続

月報司法書士[1]の記事からです。なお、譲渡制限株式の譲渡を前提としている記事です。

株券を発行していない株式会社の譲渡制限株式の譲渡の順番

1 株主から、会社に対する譲渡承認請求(会社法136条、137条)

2 譲渡承認機関における株式譲渡の承認(会社法139条1項)

3 会社から株主に対する譲渡承認の有無の通知(会社法139条2項)

4 株式譲渡の当事者から、会社に対して株主名簿の書換請求

 株式の信託(会社法154条の2)や、合同会社の持分譲渡(会社法585条)でも、同じような順序をたどります。株式、持分の譲渡当事者がお互いに会社の取締役、業務執行社員である場合には、準備をした後に1日で全て行うこともあります。信託の場合は、信託契約書を公証センター(公証人役場)で作成する際に、譲渡承認請求書、譲渡承認を証する書面(株主総会議事録など)、譲渡承認通知書に確定日付を付与してもらいます。

 まだ電子情報を用いて行ったことはありませんが、会社法に情報の形式について制約はないので、今後は電子上の情報(+電子署名)で株式の譲渡手続と株主名簿の書換手続が完結するようになってくるのかもしれません。ただし、定款で書面に限る、などと定めた場合は、定款に縛られます。電子情報を用いる場合は、請求、承認、通知などの日時が上の順序になっていることが望まれます。

参考

国税庁 No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7105.htm

中小 M&A ガイドライン―第三者への円滑な事業引継ぎに向けて―https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2020/200331MA01.pdf

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei20/download/shoukei.pdf

中小企業庁 財務サポート 「事業承継」

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/index.html

株式譲渡の承認機関

 取締役設置会社は原則として取締役会、取締役会を設置していない会社は株主総会が承認機関となり、定款で他の機関を定めることも出来ます(会社法139条)。

 株主構成が代表取締役70%、取締役A10%、取締役B10%、取締役C10%の場合、代表取締役の所有する株式全てを取締役Aに譲渡する際に、承認機関を代表取締役と変更しました。取締役Aは、代表取締役の子であり後継者候補でした。現在の経営者が代表取締役であるうちは、会社の株式を管理することが出来るようにという仕組みです。

 なお、私は利益相反を回避するため(会社法369条)、取締役会を設置している会社であっても承認機関を株主総会とすることが多いです。株式譲渡の効力発生日は、原則として株式譲渡の合意があった日です。会社に株主が変わったことを認定してもらうためには(議決権・基準日と関わってきます。)、株主名簿に記載・記録される必要があります。

 株券発行会社については、株券を発行していない会社と異なる手続きが定められています(会社法128条、130条2項、131条2項、133条2項、137条2項、215条。会社法施行規則22条2項、24条2項)。一度だけ、会社を設立した後、株券を発行する、という方がいましたが、今に至るまで発行していません。当時少し調べたのですが、株券用の型紙などがインターネットで販売されていました。新人研修で、一度見たことがあるような、ないような記憶があります。

 不動産の登記識別情報と性質は少し違いますが、個人的に株券は紙で作成する価値があると思います。


[1] 2021.3№589日本司法書士会連合会P55~

https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=788387&id=38399381