同じ会社の名前

 以前、株式会社の設立登記の依頼を受けた時のこと。依頼者は私よりも若い30代の方です。設立登記の前に、定款を作成して、公証人役場に送り、公証人の認証を得る必要があります。そこで、公証人役場へ定款を送信しました。

 数十分後、公証人役場から電話がきて、「2ヶ月前にも認証しましたか?」と聞かれました。

宮城「いいえ、していないです。」

公証人役場の職員「2ヶ月前に同じ商号(会社の名前)で定款の認証がありましたよ。今は本店所在地が違っていれば大丈夫なんですよね。」

会社法、不正競争防止法の検討は必要ですが、原則として本店所在地が違っていたら定款認証、設立登記とも無事に終わります。定款の認証後、必要な書類に印鑑を押してもらうため、依頼者と会いました。その際、「同じ会社の名前がもう既にあるみたいですよ。」と公証人役場での経緯を話してみました。

依頼者「ほんとですか。誰にも言わないでおこう。みんなテンション下がるから」とおっしゃいました。

(会社法8条、30条、978条。不正競争防止法4条)

指定道路とは

もともと道路でない土地を建築基準法上の道路とすることによって、その接する土地を建築物の敷地として利用することができることになり、一般に、小規模な分譲地など、住宅地としての有効活用に資することができることになる。

この、建築基準法上の道路として位置の指定を受けることは道路位置指定といわれ、指定道路は一般に私道であることになる。

土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたものをいう(建築基準法42条1項5項)

(出典「Q&A 道路・通路に関する法律と実務」末光祐一 日本加除出版(株))

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子どもがお母さんの土地を借りて、賃借権を設定し、お金を借りてアパートを建てました。

他の人名義の私道を通らないと普通の道路に出ることができないため、地役権も設定しました。

その後、お母さんは亡くなり、子供が土地を相続しましたが、賃借権と地役権は残ります。子供は自分の土地を借りていることになります。

指定道路になると、自らが賃借人となって賃借権と地役権を外すことができ、複雑な権利関係をすっきりさせることができます。

相続は始まっている。

「土地の贈与の登記って出来る?」

知り合いから電話がかかってきました。

宮城「出来ますよ。固定資産評価額が分かれば見積もり出せます。」

「じゃぁ、友達の土地なんだけど固定資産評価証明書メールで送るから見積もりお願いしていい?」

宮城「分かりました。」

送ってもらった固定資産評価証明書と、土地の登記情報、その上に建っている建物の登記情報も取り、見積書をメールで送信しました。名義は全て同じ人です。

「明日、○○時に打ち合わせ出来る?」

宮城「分かりました。土地と建物の登記、固定資産評価証明書の名義にある、お父さんから息子さんに贈与するっていうことですか?」

「いや、お父さんはもう2年前に亡くなっている。」

宮城「それじゃあ、贈与じゃなくて相続ですよ。お父さん」

「あ、そうか。じゃあそれで見積もり出せる?」

宮城「分かりました。」

見積書をメールで送信。打ち合わせ当日に電話がかかってきました。

「昨日の件だけどさ、夜、相続に関して○○家の家族・親戚会議が行われたらしい。相続すると、相続税がかかって大変。とか何とかで一旦この話は保留にすることになったからまたね。」

宮城「相続は、登記するしないに関係なくて、お父さんから亡くなった時点でもう始まっていますよ。」

ということで、ストップとなりました。

融資を受けて事業をするってことだったけど上手くいっているといいな。

(民法896条)

投資信託の受益権等の共同相続

  • 投資信託の受益権(お金を払い戻す権利)を持っている人が亡くなった場合
  • お金を払い戻す権利は、相続人が2人いたとして、当然に半分にはならない。

理由

投資信託の受益権は、預金と違って分けられない。色々な権利がくっついているから。

影響を受ける人

・投資信託を保有している人

・投資信託商品を扱っている人

対処方法の例

・投資信託を保有している人は、預金とは別物であることを認識して、遺言などを作成すること。

・投資信託商品を扱っている人は、取引約款などに各共同相続人が単独で解約や払い戻しができるように定めること。

(最高裁判所第3小法廷判決平成26年2月25日、最高裁判所第2小法廷判決平成26年12月12日)

会社の本店を直す

 

株式会社の設立登記が無事に完了して、依頼してくれた方に書類を返却し、費用も精算しました。これで仕事が一つ終わり。

と思っていたら、1週間後に依頼者からの電話がありました。
「登記直すのでまたお願いしていいですか?」
宮城
「どこか間違っていたところがありましたか?」この時、一瞬びっくりします。登記が間違っていたとすると、私の責任です。設立登記の後は、銀行や官公庁での手続きがあり、それも遅れてしまいます。

「いえ、本店の住所を不動産会社が間違っていたんです。」
宮城
「そうなんですか。分かりました。」
そこで会社の本店住所を直す(更正する)登記を初めてすることになりました。
内容は本店の305の部分を、Ⅰ-301に直すというようなものです。
設立登記の前の時点で間違っていたので、書類も登記の前の日付で作成し、直すことができました。

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