民事信託手続準則案2

民事信託手続準則案[1]

(7)信託登記代理委任契約

民事信託に関する信託登記代理委任を受けた場合、司法書士は、信託登記の真実性を確保するため、登記当事者の本人確認および意思確認並びに信託財産の確認を行うとともに、信託登記の原因関係である民事信託契約の成立要件および有効要件の充足を確認し、無効事由や取消原因などの存否を確認しなければならない。

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他の専門家と司法書士の違いが現れる場面です。

信託法上の成立・有効要件を考えるより先に、登記申請について考える。

考える順番が逆になります。

考えが逆になる結果、行動は制約的になります。

何故かというと、手続法に沿って行動する場合、厳密さが求められるからです。公開される情報と公開されない情報を依頼者から預かり、官公庁へ提出します。

提出して、「駄目でした。」というのが難しい場面が出てきます。

例として、大きな金額が既に動いているとき、依頼者が亡くなってしまって再提出が出来ない場合などを挙げることが出来ます。手続きが通ったとしてもそれが実態を反映していない場合も含まれます。

このように、まず制約的に考えてそこから安全圏を広げていくような仕事になるのが自然な形だと考えます。

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[1] 渋谷陽一郎「民事信託支援業務の手続準則試論1~3」『市民と法』№113~№115(株)民事法研究会

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