司法書士法改正記念誌

司法書士法改正記念誌[1]が届きました。

寺田逸郎「司法書士法改正の意義―平成から令和へ―」

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この第1条改正の大きな意義は、①登記等に限られない「法律事務の専門家」との位置づけがされたこと②最終的なよりどころとなる旗印が「自由かつ公正な社会の形成への寄与」とされたことです。このことは、原価の政策的課題はさておき、それ自体として大変に意義のあることです。―略―またこの変更の意味するところは、③制度が法律を離れても定着していることを示すことでもあります。

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「法律事務」について、少し私たちの側で整理が必要だと感じました。「③制度が法律を離れても定着していることを示すことでもあります。」。先輩方の積み上げがあってこそです。もし司法書士法がなくなっても、司法書士のような制度(人)は必要とされている、と理解しました。

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しかも、これらの法律では、「より自由かつ公正・・」と改革の方向性を示しているのであって、時代的な課題を示すなかで使われているのであるのに対し、司法書士法では「より」がなく、時代を超えた絶対的な理念として示されているのです。行政改革、司法改革のようなレベルを凌駕する旗印をもらったことになるとさえいえるかもしれません。

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「○○改革」などのような目立つ活動だけではなく、俯瞰的な眼で、普遍的なものを目指して、個々人が生活している中で持つ普通の感覚で改革などの網からこぼれるところの補完が求められているのかな、と理解しました。

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第一は、このスピードが求められる情勢にあって、ますます厳しい議論を省略傾向にあるわけですが、法律専門職としてそれには抗したいということです。議論の積み上げによってルールの一般化と例外の分析を繰り返していくことこそが我々法律職の世界の価値を支えていっていることを忘れて欲しくありません。裁判所ですらもこのことを忘れがちになっていないか時に気がかりでした。そのことを懸念し、工夫をして欲しいとよく求めたものです。―略―ただ、努めて内輪の論理に頼らない議論をして欲しいのです。―略―アウェイでも通用する議論、ここが議論を活性化し、レベルを上げていく鍵といえるのではないかと思います。

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私のこの文章に関する答えは、守秘義務に反しない限りでの、議論と会の規則・ガイドラインなどをオープン(公開)することです(本冊子も)。著作権に関しては、[2]クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用します。

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太田勝造「司法書士の社会的使命―問題解決エクスパート―」

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例えば、マルクスの言った労働者階級に対する資本家層による搾取などによる社会危機が起きました。この危機にどういう対策がなされたかといいますと、司法インフラが自己改革をして、労働法等を通して問題の解決にあたりました。

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マルクスが言ったのは労働力の商品化で、問題というよりは資本主義が続く以上、搾取はなくならないのだと思います。程度の問題で、搾取をしない経営者が経営する企業は潰れてしまいます。これを問題と呼べるのか、解決と呼んでいいのかなと感じました。

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ただ、気を付けないといけないことは、このモデル自体は価値中立的だとうことです。

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価値中立的というよりは、価値には関係がない、という方がしっくりときました。

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エヴィデンス・ベース・ロー

―略―平たく言えば、「証拠と事実に基づいた診断」ということになるでしょう。

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診断、という言葉は、司法書士実務の実態に合っているのではないかなと思います。

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そうすると、この「コースの定理」のコアの部分というのは、「取引費用」だということがわかると思います。取引費用がないならば、社会は「パレート最適」な状態に至るのですから、問題は取引費用次第となります、通常どういう形で「パレート最適」な社会状態を人々が達成するかといういいますと、話し合い交渉を通じてです。人々が合理的でかつ正しい情報等を十分に持っているならば、ちょっとでもウィン・ウィンになれるのであれば、そういう取引をするでしょう。ウィン・ウィンとはパレード改善です。交渉を突き詰めれば、それ以上ウィン・ウィンにはできない状態にまで至ります。よって取引費用がないならば人々の交渉を通じて社会状態はパレート最適に至るのです。

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パレート最適、パレート改善という意味が、多様性を一定程度保証するのであれば賛成することが出来るのかなと感じます。例えば通帳を発行しない、発行する場合は有料、ということを金融機関が決定する場合、通帳を発行しないことを選べることは良いと思いますが、発行する場合は有料という決定は今まで利用してきた人の不利益です。本来なら通帳を発行しないと困る人のために浮いた取引費用(時間)を使う方が良いと感じます。

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社会問題を見つけ、その原因を探り、解決策を考案し、それを法制度化する、それが法律専門家の使命であるということです。社会問題に対する、社会的に望ましい解決策を創造し、それを法的ルールとして結実させる能力を有する専門家であるべきだということです。

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まずは、目の前の実務をこなして、経験を伝えて、フィードバックを受けて、変更していく繰り返しになるのかなと感じます。「社会的に望ましい解決策を創造し」、に関しては私には良く分かりませんでした。実務と受信、発信、変更を繰り返していたら、結果として1人の人が理不尽な思いをしないで済んだ、ぐらいが私には合っているのかなと感じました。

参考 法務省HP2020/10/29閲覧 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律の概要

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00381.html


[1] 日本司法書士会連合会司法書士法改正対策部法改正記念事業WT令和2年10月20日

[2] https://creativecommons.jp/licenses/

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