加工所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議第10回

日時:令和4年5月27日(金)

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shoyushafumei/dai10/gijisidai.html

議事

各省の検討状況等について

基本方針(案)について

配付資料

資料1-1国土交通省提出資料

資料1-2法務省提出資料

資料1-3総務省提出資料

資料2-1所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針(案)

資料2-2所有者不明土地等問題 対策推進の工程表(案)

決定等

所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針

所有者不明土地等問題 対策推進の工程表

所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針

令和4年5月27日

所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議

 所有者不明土地は、相続が生じても登記がされないことなどを原因として発生し、管理の放置による環境悪化を招くほか、公共事業の用地買収、災害の復旧・復興事業の実施や民間の土地取引の際に、所有者の探索に多大な時間と費用を要するなど、国民経済にも著しい損失を生じさせており、人口減少・超高齢社会、相続多発時代を迎えようとする中、社会全体の生産性を向上させるためにも、所有者不明土地等問題の解決は喫緊の課題となっている。

 このため、これまでに制定された法律及び今国会において成立した法律の円滑な施行を図るとともに、別添工程表のとおり、更なる住民基本台帳ネットワークシステムの活用による所有者不明土地の解消や円滑な利用の促進等の重要課題については、今後、さらに具体的な検討を進め、来年の通常国会に必要となる法案を提出するなど、期限を区切って着実に対策を推進する。

1 新しい法制度の円滑な施行

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下「特措法」という。)について、今国会での改正により拡充、新設された内容を含め、制度の周知、地方公共団体等への財政的支援や人的支援、長期相続登記等未了土地の解消作業を進める。

 農地、林地についても農業経営基盤強化促進法や森林経営管理法等について、制度の普及啓発を図り、農地や森林経営管理の集積・集約化を促進する。

 また、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律に基づき、表題部所有者不明土地の解消作業を着実に進める。

 土地基本法の一部を改正する法律(以下「改正土地基本法」という。)に基づき、土地の基本理念、責務、土地基本方針等について、地方公共団体等に対する普及啓発を図るとともに、所有者不明土地等問題の解消に向けた各種施策の一体的実施のため、組織・定員を含めた体制の強化や予算要求等を検討する。

2 土地所有者等の責務

 土地の公共性を踏まえ、改正土地基本法の土地の利用・管理に関する土地所有者等の責務や基本理念について、広く国民、土地所有者等に周知する。また、土地基本方針のフォローアップや更新を図りながら、関係省庁が連携して、令和3年に見直された民事基本法制や、今国会で改正された特措法の着実な施行をはじめ土地所有者等の責務を具体化する施策を一体的に検討・推進していく。

3 地籍調査の加速化及び法務局地図作成事業の推進

 土地の適切な利用の基礎データとなり、登記にも反映される地籍調査に関し、令和2年の国土調査法等の改正により導入した新たな調査手続・調査手法の普及のための職員の派遣等、地籍調査を円滑かつ迅速に実施するための地方公共団体への支援を推進するとともに、必要な予算の確保に努め、地方公共団体の取組を後押しする。さらには、第7次国土調査事業十箇年計画の中間年(令和6年)で行うこととされている計画の検証・見直しを見据え、調査手法等の改善に係る地方公共団体や民間事業者等のニーズを汲み取り、これを踏まえて、国と地方の役割分担を含め、関係省庁が連携しつつ、より円滑かつ迅速に地籍調査を推進する方策について検討し、当該計画の目標の達成に向けた所要の改善措置を講じる。

 また、土地に関する重要な情報基盤である登記所備付地図の整備に向けて、法務局の地図作成事業について、大都市部での実施や地域の防災・減災対応等のニーズを踏まえた重点化と効率化の検討を進めるとともに、筆界保全標の設置に着実に取り組む。

4 民事基本法制の円滑な施行に向けた準備等

 土地所有権の内容は法令の制限に服し、公共の福祉優先の理念に基づく立法が妨げられないことを前提に、令和3年に民法、不動産登記法等が改正されるとともに、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律が制定された。

 具体的には、相続登記や住所等変更登記の申請義務化、相続登記の申請義務を簡易に履行するための相続人申告登記や所有不動産記録証明制度の新設、職権により住所等変更を登記に反映させる仕組み等により、不動産登記情報の最新化を図る方策や相続等により取得した土地を一定の要件の下で国庫に帰属可能とする制度など所有者不明土地の発生を予防する仕組みと、不明共有者がいる場合に金銭供託等により共有関係を解消する方策、所有者不明土地・建物に特化した財産管理制度や管理不全土地・建物の管理制度、長期間経過後に法定相続分で遺産分割を行う仕組み、ライフライン設置のための隣地使用を可能とする相隣関係規定の整備など、所有者不明土地等を円滑に利用する仕組みが構築された。

 今後、令和5年以降の施行に向けて、新制度の内容や遺産分割の重要性、令和4年度から拡充された相続登記の免税措置等について国民に十分かつ丁寧な周知を図るとともに、政省令等事項や具体的運用を速やかに定める。具体的には、相続人申告登記に係る具体的な内容や、申請義務違反に過料を科すための要件の具体的な類型などに関する政省令等の検討を進める。また、帰属制度が積極的に活用されるよう、土地を国庫に帰属させるための要件や審査手順、負担金の額などに関する政省令等の検討を進めるとともに、土地を地域で有効活用するための地方公共団体等との連携などを、きめ細やかに検討し明確化していく。  

 更に、法務局や帰属土地の管理官庁の体制整備や新たな仕組みの導入に必要となるシステム開発等を行う

 法定相続情報証明制度の円滑な運用や、法務局における遺言書の保管制度の活用などにより、相続登記を促進する。

5 多様な土地所有者の情報を円滑に把握する仕組み

 関係行政機関や民間事業者が土地所有者に関する情報を円滑に把握できるよう、令和3年に、登記所が他の公的機関(住民基本台帳ネットワークシステム、商業登記等)から、土地所有者の死亡や住所等変更情報を入手し、個人情報保護にも配慮しつつ、不動産登記情報の最新化に繋げる仕組みや、海外に居住する土地所有者の日本国内における連絡先を登記事項とするなどの仕組みが導入された。今後、これらの仕組みの円滑な施行に向けて、法務局の体制整備や不動産登記システムと住民基本台帳ネットワークシステム等との円滑な連携を可能とする実効性のあるシステム整備を進める。

 特措法に基づき地域福利増進事業を実施する場合の土地所有者の探索や、法務局による土地の所有者の調査に際して、住民基本台帳ネットワークシステムを活用することにより、迅速かつ効率的に土地所有者等に係る最新の情報を把握することが可能となるよう、次期通常国会での住民基本台帳法の改正案の提出に向け検討する。

 また、行政機関等に対して戸籍情報を電子的に提供する戸籍情報連携システムの整備を着実に進め、令和5年度中に運用を開始する。

 不動産登記簿をはじめ、行政目的ごとに整備されている土地に関する各種台帳間の双方向での情報連携を促進することにより、所有者探索の容易化・事務負担の軽減を図るなど、土地情報連携の高度化を進める。

 固定資産課税台帳の情報を特措法等の規定に基づき情報提供できる仕組みについて、今後とも、関係省庁が連携して、拡充していく取組を推進する。

 こうした仕組みを構築するまでの間も、地方公共団体の協力による登記手続の促進や、関係機関から地方公共団体への照会による所有者情報の把握の取組を進める。

6 所有者不明土地等の円滑な利活用・管理、土地収用手続の円滑な運用

 所有者不明土地を取り巻く社会経済情勢の変化やこれまでの制度改正を受け、国土審議会のとりまとめにおいて、特措法の見直しの方向性として、所有者不明土地の利用の円滑化の促進を図るため地域福利増進事業を使いやすくすることや、管理の適正化を図るため市町村長が活用できる仕組みを創設すること、こうした施策に地域が一体となって取り組むための体制の構築が示されたことを踏まえ、今国会において特措法が改正されたところである。

 具体的には、地域福利増進事業の対象事業の拡充(地域の災害対策に関する施設や再生可能エネルギー発電設備の整備)や使用権の上限期間の延長等、管理不全

 状態の所有者不明土地について、市町村長が勧告、命令、代執行を行うことを可能とする制度や民法の管理不全土地管理命令を市町村長が請求可能とする特例、所有者不明土地や低未利用土地の適正な利用、管理等に取り組む法人を指定する制度の創設等が措置されたところである。

 今後、措置された制度について、市町村をはじめとする地域の関係者が積極的に活用することができるよう、周知徹底を図るとともに、土地政策推進連携協議会の設置など関係機関の体制整備や、必要となる予算の確保に努める。

 併せて、長期相続登記等未了土地解消作業について、令和4年度から、民間事業者からの要望受入れをはじめとする見直しが行われたことを踏まえ、地方公共団体等との連携をさらに強化しつつ、土地の利活用に繋がる取組を更に推進する。また、表題部所有者不明土地解消作業について、解消効果の高い対象土地選定の仕組みや困難度の高い所有者探索等の作業を迅速化する方策を検討・実施する。

 所有者不明土地等と共通の課題がある空き家対策との連携については、これまでも、所有者不明土地・建物に特化した財産管理制度や管理不全土地・建物の管理制度を創設することや、地域福利増進事業等において朽廃空き家のある所有者不明土地を利活用できるよう拡充することなどにより進めてきたところだが、今後、さらに一体的に推進する。また、区分所有建物の取り扱い、民間による開発や空き家・空き地の利活用等にも配慮し、連携して検討を行う。

 とりわけ、今後急増することが見込まれる老朽化マンション等の老朽化区分所有建物対策として、区分所有法制の抜本的な見直しに向けた検討を行う。具体には、所有者不明マンション等に特化した財産管理制度の創設、出席者のみの多数決による決議を可能とする仕組みの創設等のマンション等の管理の円滑化を図る方策や、建替え要件の緩和、多数決による売却等の新たな再生手法の創設等の老朽化マンション等の再生の円滑化を図る方策、今後の災害の発生を見越した被災マンション等の再生の円滑化を図る方策について検討を進め、今年度中できるだけ速やかに論点整理を取りまとめる。

 共有者による私道の円滑な利用や管理が可能となるよう、民法の共有制度の見直しを踏まえた共有私道ガイドラインの改訂を速やかに行い、その周知徹底を図る。

 土地売却に伴う分筆登記や地積更正登記等を円滑化し、土地利用を促進するため、隣地所有者が不明の場合など一定の場合に、隣地所有者の立会いがなくとも法務局の調査に基づき筆界認定を行い、分筆登記等を可能とする仕組みを法務局で導入することとし、本年中のできるだけ早い時期から全国の法務局での運用を開始する。

 公共事業の迅速な実施に向け、収用手続の合理化・迅速化のための新制度の円滑な運用、適用事例等の横展開を図るとともに、地方公共団体の実務を支援する。

7 関連分野の専門家等との連携協力

 所有者不明土地等問題は、関連分野の専門家等と地方公共団体、地域コミュニティ等と関係行政機関が連携しつつ、これらの意見等を十分踏まえながら対応する。

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