加工 『社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会におけるとりまとめの方向性(案)』に関するパブリックコメントの結果の概要について

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=155220726&Mode=1

『社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会におけるとりまとめの方向性(案)』

に関するパブリックコメントの結果概要

■ 実施期間:令和4 年12 月27 日(火)から令和5 年1 月11 日(水)(16 日間)

■ 意見数:42の個人・団体から合計115件

「3.空き家対策に係る課題・問題意識(2)発生抑制や活用促進に係る課題」関係パブリックコメントにおける主なご意見 見解・対応等

1 空き家の残置物が活用や除却に対する課題となっているため課題として記載すべき。

・・・ご指摘の点については、3.(2)「空き家問題を生じさせないようにするためには、相続時の迅速な対応が重要だが、相続前の話し合い不足や多数の相続人の存在、所持品の処分などにより、活用に係る意思決定に時間を要している現状がある。」において「所持品の処分」として記述されております。

2 スペースシェアという空き家活用の新しい選択肢が、空き家の所有者やその家族、空き家対策に携わる自治体・NPO 等の関係者において十分に認識されていないことも課題として指摘すべきである。

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

「3.空き家対策に係る課題・問題意識(3)適切な管理や除却の促進に係る課題 ② 地方自治体の抱える課題」関係

3 空き家所有者が生活保護受給者の場合、固定資産税の住宅用地特例の解除をしても減免申請ができてしまうという制度的な課題がある。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

4 空き家の全部または一部を住宅以外の用途に活用する場合、空き家の床面積の過半以上を住宅以外の用途として活用してしまうと住宅用地特例の適用が受けられなくなってしまうことが、活用を阻害している要因の一つとなっているのでないか。

・・・固定資産税の住宅用地特例は、居住の安定確保という観点から住宅の敷地について税負担を軽減するものであるため、その性質を失った敷地について特例を継続適用することは、難しいと考えております。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(1)今後の空き家対策の基本的方向性」関係

5 全体を通じ、民間活力の活用をさらに進めるため、中心市街地の活性化や地域の商工業へ空き家の活用を推し進める施策について、ふれていただきたい。

・・・ご指摘の点については、4.(1)の基本的方向性として、「地域経済や・・・の活性化に繋げる。」とされるとともに、4.(3)②ⅲ)の取組として「・地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。」とされております。加えて、ご指摘を踏まえ、4.(3)②ⅱ)の取組について「・地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が、【中心市街地活性化】、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉対応、地域コミュニティの維持強化といった地域のニーズに即した需要を掘り起こし、マッチングする等の活動を促進する。」(【】は修正箇所)と追記しました。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(2)発生抑制を図る取組」関係

6 空家法の制定以降、自治体の役割が増大し、特定空家等に対する相談・苦情対応や所有者確知、除却補助金の交付等に対する人員・財政負担が年々増加している。人口減が進み空き家の活用ニーズが低い地方部では、特に空き家の発生抑制に関して抜本的対策を施す必要がある.

こうした観点からは、地域の不動産業者や司法書士が中心となって活動できる仕組みを構築することが有効だと思われる。指導という立場ではなく、第三者的に所有者の立場での意見も反映され、進展につながりやすいと考える。

・・・4.(2)に「・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

7 空き家になる前に所有者やその家族への情報提供は重要と考えますが、意識の希薄な所有者等に対する有効なアプローチ・情報提供が難しいため、有効な対応方法を検討すべき。

・・・ご指摘に関しては、4.(2)に「・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。」、「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」等様々なアプローチが記述されています。

8 空き家問題は発生前からの予防が重要であり、その観点から、小学校時から住教育を行う、又は一定年齢以上の住宅所有者を対象に、自宅は適切に管理する必要があることや空き家問題に関する教育する必要がある。

・・・ご指摘を踏まえ、4.(2)に「・【住宅を適切に管理し長く使っていくことや、空き家が周囲の生活環境や地域コミュニティに悪影響を及ぼさないようにすることの重要性、さらには、空き家の発生抑制、早期活用、管理・除却の取組などに関する】住教育を充実する。」(【】は追記箇所)と追記し、住教育の内容を明確化しました。

また、4.(2)に「・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等※が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。」と記述されています。

9 空き家問題は、ハード面からソフト面まで包含するものであり、いわゆる縦割り行政では対応できない。空き家問題は終活の一つとして捉え、そうした視点から横断的な対応ができる体制を構築する必要がある。

・・・4.(2)に「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」と記述されています。さらに、ご指摘を踏まえ4.(3)②に「・所管を越えた空き家の利活用を促進するため、省庁間や地方自治体の部局間の連携体制の強化、市区町村が設置する空き家対策協議会の構成員の拡大を促進する。」の取組を追加しました。

10 福祉部局との連携は重要と考えていますが、福祉部局への協力を依頼しても、住宅政策は住宅部局(国交省)の事業であるとの主張から協力を得ることが難しい状況です。住宅政策は福祉政策でもあるとの相互理解を深める政策が必要です。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

11 身寄りや扶養義務者のいない生活保護受給者や長期施設入所者等については、経済的な問題に加え意思決定等の問題もあり家屋の適切なメンテナンスを実施することが困難な場合が多く管理不全の空き家となる可能性が高い、このため、行政内の生活保護部局と空き家部局の連携を深め、情報の共有を進めるとともに、長期施設入所者のケースワーカー等から空き家担当部局に当該入所者の所有する家屋の情報の提供を可能とするべきではないか。

・・・ご指摘を踏まえ、3.(2)発生抑制や活用促進に係る課題として、「・地方自治体内の空き家担当部局と福祉、産業振興やまちづくり等の他の担当部局との連携が限定的となっており、空き家の発生抑制や活用の取組は、必ずしも総合的なものとなっていない。」を追加しました。

また、4.(2)に「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

12 4.(2)の取組「空き家担当部局と福祉部局等が連携して高齢の住宅所有者への住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進」について、住まいの終活は、高齢の所有者が生前に住まいを今後どうするのか身内と話し合うきっかけになり、空き家になる前の活用を考えることから、空き家の発生抑制に効果があるものと考えています。そこで他都市の取組みを集約し、情報提供していただければ、ありがたい。

・・・4.(1)今後の空き家対策の基本的方向性に「その際、地方自治体やNPO、民間事業者、自治会等の先行・優良事例について、横展開を推進する。」と記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

13 空き家の問題はそもそも当事者意識が低く、空き家の所有者以外は他人事ととらえていることが問題だと考えます。具体的な取組は市町村が取り組むべきと考えますが、その前に、情報発信力のある国が、全国規模で、国民全体が空き家問題に関心を持てるような取組をすべき。

・・4.(1)今後の空き家対策の基本的方向性として、「法制度、予算、税制、ガイドライン等の様々な政策ツールを活用しつつ、官民が連携して総合的に取組を進める。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

14 1 『継続的に検討する』という項目にありますが、高齢化が進む中、意思決定能力への対応に必要な検討が欠けています。相続人にも認知機能に課題があり、相続登記もままならず対応が進まない空き家が増えています。

個人の権利にかかわるところですが、相続人も困っている状況があり、今後の検討ではなく早急な対策が求められます。

・・・ご指摘の点については、憲法に定める財産権に関わる慎重に検討すべき課題であり、継続的に検討する取組として整理されています。

15 高齢、生活保護、健康状態等によって所有者等が対応することが不可能な事例がある。その場合、所有者等に代わって管理責任を全うすべき者を設定するなどの仕組みは検討できないか。

・・・ご指摘の点は、4.(2)継続的に検討する取組とされた「意思決定能力に欠ける所有者への対応はどうあるべきか。」に含まれております。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ① 相続等により空き家を取得した段階での取組」関係

16 4.(3)の「相続人への意識啓発・働きかけや相続時の譲渡等の促進」に関し、相続よりも前の段階からの啓発が必要である。また、国民の関心を捕らえ、危機感を感じてもらうためには、こうした意識の啓発にあたり、都道府県や国が広く広報に務めるべきである。

・・・ご指摘の点については、4.(2)「所有者やその家族の意識の醸成」において「所有者の生前で、かつ、判断能力が十分なうちから、その家族も含め、「住宅を空き家としない」との意識が醸成されるよう、「終活」の一環としての「空き家対策」の重要性や空き家のリスク等について、所有者等への啓発や働きかけを促進する。」と記述されています。また、4.(1)今後の空き家対策の基本的方向性として、「法制度、予算、税制、ガイドライン等の様々な政策ツールを活用しつつ、官民が連携して総合的に取組を進める。」と記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

17 第一回資料5 の「相続が行われず、権利関係が錯綜している物件について、全国的課題とされている」という意見に賛成です。権利者全員が相続放棄して、責任者がいない場合はさらに対応が難しいので、「危険な空き家を誰が管理するのか」「危険でない空き家だったら誰が管理するのか」というところの明文化を求めます。特に、民法940条「相続の放棄をした者による管理」の規定の解釈の指針を示してほしい。

・・・空き家の管理については、空家法第3 条に「空家等の所有者又は管理者は周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空き家等の適切な管理に努めるものとする」と規定されています。また、4(4)①所有者の主体的な対応を後押しする取組として「所有者の責務の強化」が記述されています。

ご指摘の民法第940 条については、「『空家等対策の推進に関する特別措置法』に関する御質問について(平成27 年12月25日付 国土交通省住宅局住宅総合整備課・総務省地域力創造グループ地域振興室から都道府県・政令市あて事務連絡)」において「民法第940条義務を負うこととなる「最後に相続を放棄した者」は、まず空家法第3条の努力義務を負うこととなりますが、民法第940条義務はあくまで「相続人間のものであり、第三者一般に対する義務ではない」ことから、「最後に相続を放棄した者」については、そのような民法第940条第1項により義務付けられた範囲以上の努力義務を空家法上負うことはない。」としています。なお、令和5年4月1日施行の民法ではさらに、「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは」と限定されています。

18 具体的な取組「市町村の死亡や相続等に係る手続きの中で、相続人に対して空き家のリスクや相談先を周知し、早期の決断を促進」について、市区町村での死亡時の手続は多数あるため申請者は余裕がなく、また、死亡時は所有者が確定していないため、登記事務を行う法務局を中心に取り組んでもらいたい。

頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

→未登記は?

19 具体的な取組「市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局等と連携して相続人を把握し、空き家バンクへの登録を働きかけ。」について、過去に戸籍担当部局へ情報提供を求めたところ、空家法は税に関する情報提供のみを定めたもの、との理由・解釈により、断られたことがあります。このため、国において情報提供に係る明確な基準を定めてもらいたい。

・・・「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」第1 章3.に「空家法第10 条により、市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空き家の所有者等に関するものについては、法の施行のために必要な限度において内部利用できる」とされており、税に関する情報提供のみを定めたものでありません。引き続き周知して参ります。

20 具体的な取組「相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度の延長・拡充による空き家の早期譲渡を促すインセンティブの拡大。」について、非常に重要かつ効果的な取組である一方で、相続時に認知している者がすくないため、相続人や不動産関連事業者への周知を進めてもらいたい。

・・・ご指摘を踏まえ4.(3)①について「相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度について、その延長・拡充により、空き家の早期譲渡を促すインセンティブを拡大【するとともに、制度をわかりやすく周知する。】」と修正します。

21 取組「市区町村の死亡や相続等に係る手続きの中で、相続人に対して空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)や相談先を周知し、早期の決断を促進。」について、相続人への早期の働きかけは重要と考える一方で、死亡手続きに来られる遺族に対して、空き家のリスク周知や早期の決断を促すような対応は慎重に行うべきであると考えます。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせて頂きます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ② 空き家状態となった後の取組 ⅰ) 所有者へ活用を促す取組」関係

22 空き家対策は地域性が出るものになります。市街地と郊外、山野で周囲への影響や地価、土地の需要に差があります。山野にある周囲への影響がない建物を解体する必要があるのでしょうか?解体費は所有者が負担すべきものであり、補助をしてまで解体を進める必要はありません。また、市街地の空き家も活用すべき、という内容もありますが、直していつまで使えるか、そこにどこまで費用をかけるかという視点がかけています。

・・・ご指摘の趣旨もふまえ4.(3)②の冒頭において「都市部・地方部など地域を取り巻く状況を踏まえた取組の展開を促進する。」と記述されているところです。また、4.(3)に記述されている活用方策だけでなく、4.(4)に「特定空家など利活用が難しい空き家の除却を更に円滑化する。」とされているように、空き家の適切な管理や除却の促進についても取組を整理しております。

23 空き家の残置物が活用や解体の課題となっており、残置物の処分に対する支援を行うべき。

・・・4.(3)②の具体的な取組ⅲ)活用を促進する仕組みや支援の充実として「・空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。」が記述されてり、残置物の処分を含めたモデル的な取組に対して支援を行ってまいります。

24 取組「地域レベルで空き家をそのままにしない意識の醸成・地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけ」や「 NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組」を行う自治体への支援制度を構築して頂きたい。

・・・4.(3)②の具体的な取組ⅲ)活用を促進する仕組みや支援の充実として「・空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。」が記述されており、モデル的な取組に対して支援を行ってまいります。

25 取組「地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけを促進。」について、遠方にすむ所有者に対しては有効に作用しないのではないか。

・・・もともと居住していたが引っ越した場合など、遠方に居住する所有者に対しても一定の効果はあるものと考えます。なお、4.(3)にご指摘の自治会等からの働きかけも含め、各種取組が記述されているところであり、総合的に取り組む必要があると考えられます。

26 取組「地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけを促進。」について、所有者が遠隔地に居住する場合は限界があるため、人口の多い都市部の自治体との連携などをすすめる必要があるのではないか。

・・・ご意見を踏まえ、4.(3)②の具体的取組ⅰ)に「・地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置を促進するとともに、【遠隔地の所有者にも対応可能なオンライン相談等の取組を促進する。】」(【】は追記部分)を追加しております。

27 所有者の修繕費用の負担が空き家の流通に係る課題となっている現状に鑑み、個人でリフォームしなくても売却できる仕組みの推進が有効ではないか。

・・・現状の空き家の流通において、リフォームは売主、買主どちらが実施する場合もあると認識しています。また、4.(3)①の取組として記載している「相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度」においては、空き家所有者ではなく買主が耐震改修を行う場合も対象とするよう拡充したところです。

28 近年、シェアリングエコノミーの普及により、空き家・空き店舗などの使わないスペースを、マッチングサービスを通じて、時間貸し、民泊、多拠点居住などの用途で活用する事例が多く生まれている。こうしたスペースシェアを含めた多様な選択肢の存在を、空き家の所有者やその家族、空き家対策に携わる自治体・NPO 等の関係者が認識し、連携して活用を促していくことが重要ではないか。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

29 「(2)発生抑制を図る取組」「(3)活用促進に向けた取組」「(4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組」において、空き家所有者やその家族、空き家対策に携わる自治体・NPO 等の関係者に対し、スペースシェアを含む多様な選択肢(上記提言資料P9 参照)を啓発し、その活用を促進する旨を追加すべきである。

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ② 空き家状態となった後の取組 ⅱ)活用需要喚起と活用希望者の判断に資する情報提供の充実」関係

30 行政と専門家が連携し合いながら運営する相談窓口の充実は必要。特に不動産価格の安い地域になればなるほど、専門家の収益性が乏しいため、それに対する行政側からの永続的な補助も必要

・・・相談窓口の充実に関するご意見については、4.(3)②ⅰ)の取組として「・地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置を促進するとともに、遠隔地の所有者にも対応可能なオンライン相談等の取組を促進する。」が記述されています。行政支援に関してのご意見については、相談窓口の運営のあり方も含め、とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

31 「具体的な取組」において、以下の追加を検討いただきたい・空き家対策と活用(居住支援、創業支援 etc)の一体的対応(ワンストップ化)とコーディネート(関係機関をつなぐ人)

・空き家対策協議会と居住支援協議会の一体化

・・・空き家対策と活用の一体的対応及びコーディネートについては、4.(3)②ⅱ)の取組として「・地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が、中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉対応、地域コミュニティの維持強化といった地域のニーズに即した需要を掘り起こし、マッチングする等の活動を促進する。」が記述されています。また、空き家等対策協議会と居住支援協議会については、一体的な運用や連携の強化していくことは現状でも可能であり、頂いたご意見については、取組を具体化する段階において参考とさせていただきます。

32 「地域における空き家の利用ニーズを集約し公開する取組を促進。」について重要な取組であり、ニーズの集約にあたり不動産団体等民間事業者の活用や協力が必要と考えます。このため、具体的な取組手法などガイドラインの整備をお願いします

・・・頂いたご意見は、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において参考とさせて頂きます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(3)活用促進に向けた取組 ② 空き家状態となった後の取組 ⅲ) 活用を促進する仕組みや支援の充実」関係

33 相続関係が問題で処分が進まない場合、専門家が権利関係の処理、除却・売却などを行い、その費用を回収するシステムが構築できれば、かなりの需要があると思われる。

・・・4.(3)②の具体的な取組ⅲ)活用を促進する仕組みや支援の充実として「・空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。」が記述されています。頂いたご意見は、モデル的な取組に対する支援など、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において参考とさせて頂きます。

34 「・地域特性を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、規制の合理化など)」は重要と考えます。一定のエリアには、中心市街地や観光地のみならず、例えば第1種低層住居専用地域などこれまでに良好な住環境が形成され、立地適正化計画等で居住誘導を行うエリアなどを含むことにより空き家対策に有効と考えます。また、そのエリア内で空き家を購入した者などへの税制優遇なども空き家解消への効果があると考えます。

・・・ご指摘の記述にある「一定のエリア」には、中心市街地や観光地だけでなく郊外の住宅団地なども含まれると考えております。

35 「・地域特性を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、規制の合理化など)」に関し、空き家が年々増える中、建築当初の用途に縛られない空き家の利活用を模索する動きが目立っているが、空き家を宿泊施設や飲食店へ活用する場合、例えば第一種低層住居専用地域では用途の制限があり現実的に困難であることから、空き家の利活用が進む規制緩和が必要。また、市街化調整区域内の空き家を自己が居住する専用住宅や店舗へ活用する場合は、都市計画法第43 条に基づく用途変更の申請が必要となるが、届け出制とするなど手続きの簡素化が必要。

・・・頂いたご意見は、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において参考とさせて頂きます。

36 「地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み」について、都市部では山間部とは違い土地価格により解体費が負担できるため、建替えを促す仕組みを期待する。(特に昭和55年以前の耐震不足の建物)。一方で、古い街並みも多く残っており、エリアを絞り、こうした街並みを観光資源としたまちづくりが可能な、空き家施策の仕組みを期待する。

・・・ご指摘いただいた点は、「地域特性等を踏まえた」「重点的な活用」に含まれうるものであり、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

37 「地域特性等を踏まえた~重点的な活用を促進する仕組み」について本市では、斜面地など防災面や接道条件に課題を抱えた地域において多数の空き家が存在していることから、これらの空き家の活用・建て替えを促進するための重点支援や規制の合理化を可能とする仕組みを整備していただきたい。

・・・ご指摘いただいた点は、「地域特性等を踏まえた」「重点的な活用」に含まれうるものであり、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

38 空き家が発生する原因の一つに、街区や土地の形状が悪い場合があるが、それらの要因は空き家の所有者が単独で解決することが難しいため、空き家が集積しやすい。そこで、このような原因が考えられる地区については、行政が介入し道路の幅員・形状、土地の形状・接道要件を改善する制度を創設するなど根本的な問題の解決を図る必要がある。

・・・4.(3)②ⅲ)の取組として「・地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。」と記述されています。いただいたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

39 3.(3)①「所有者に解体後の土地の活用イメージがない。」について、宅地に限らず土地の付加価値を高め土地利用を促す仕組みを整備していただきたい。また、都市基盤がぜい弱な斜面地等と平地部では必要な対策が異なるため、それぞれの特性に応じた仕組みを整備していただきたい

・・・4.(3)②ⅲ)の取組として「・地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。」と記述されています。いただいたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階において、参考とさせて頂きます。

40 土地の流通を促進するためには、5 ページ目4(3)①4つ目の・「譲渡所得の特別控除制度の延長・拡充」及び6 ページ目4(3)②ⅲ)4つ目の・「低未利用地の長期譲渡所得の延長・拡充」が有効な取組みと思われるため、継続して拡大等に取組んでいただきたい。

・・・頂いたご意見については、今後の施策立案等の参考にさせていただきます。

41 空き家が増加する≒住宅が余る状況においては、居住目的以外への活用につなげていくことが重要だと考えます。そのためには、地域活性化に資する取組に対する、改修費補助等の適用条件の緩和や、税の軽減措置(固定資産税の住宅用地特例と同等の扱いとする等)の適用対象とすることが有効と考えます。

・・・4.(3)②ⅲ)「・地域活性化に資する空き家活用の取組(空き家活用に必要な耐震改修、省エネルギーやバリアフリー改修等を含む。)に対し、支援を行う。」と記述しているところです。頂いたご意見については今後の施策立案等の参考にさせていただきます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組 (4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組 ① 所有者の主体的な対応を後押しする取組」関係

42 第一回の意見まとめの「所有者にインセンティブを渡すより罰則が有効」という意見に賛成であり、(4)①の取組として「罰則の強化」を明記してほしい。

・・・「罰則の強化」については国民の権利・義務に大きく影響することから慎重な検討が必要であり、本とりまとめに記述すること困難ですが、4.(4)①の取組「所有者の責務を強化し、行政が講ずる施策への協力を促進する。」のほか、「所有者に対し、空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)を周知する。」、同②の取組「そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されているところです。

43 「所有者の責務の強化、行政の施策への協力促進」について、空き家の適切な管理が所有者の責務であることは当然だと考えます。所有者自身も自分の財産であるとの意識は納税をする点からもあると考えますが、納税さえしていれば、といった考えや遠方にあるため管理が面倒くさいといった考えが生じることになると思います。そのためにも責務の強化は重要であると考えますが、罰則的なものとの対の施策が必要ではないかと考えます。

・・・「罰則の強化」については国民の権利・義務に大きく影響することから慎重な検討が必要であり、本とりまとめに記述すること困難ですが、4.(4)①の取組「所有者の責務を強化し、行政が講ずる施策への協力を促進する。」のほか、「所有者に対し、空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)を周知する。」、同②の取組「そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されているところです。

44 空き家解体や家財を処分する費用が高いという点が、空き家を放置する一つのきっかけになっている。建物解体の補助や家財処分の補助なども必要ではないか。

・・・4.(4)①の取組「・除却までに必要な手続、建物や敷地条件等に応じた効率的な除却手法、除却に要する費用など、所有者が除却の実施等に関する判断を適切に行えるようにするための情報提供を充実する。」及び「・所有者が行う活用困難な空き家の除却への支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。」が記述されているところです。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組 (4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組 ② 市区町村の積極的な対応を可能とする取組」関係

45 行政代執行や固定資産税の住宅用地特例解除など、率先してやって行くべき。そうすることで住民の危機意識が上がり、自ずと空き家問題への対応をして頂ける環境になると考える。

・・・4.(4)②に市区町村の積極的な対応を可能とする取組が記述されているところです。

46 登記簿等から所有者判明せず数年管理されていない空き家の所有者や相続人を司法書士や弁護士などが調査できるようにする、相続放棄された物件は購入したい人からの申し立てで財産管理人を立てられるようにする、又は相場の価格を法務局に供託することで取得できるようにするなど、活用が進む政策をお願いしたいです。

・・・4.(4)②市区町村の積極的な対応を可能とする取組として、「・市区町村が所有者探索に活用できる情報を拡大するとともに、取得の円滑化を図る(市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局に公用請求し、戸籍情報連携システムを利用して戸籍情報を取得することが可能となること等による空き家所有者等の調査の円滑化、電力会社等にある所有者情報の市区町村への提供円滑化など)。」、また、「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」等が記述されているところです。頂いたご意見については今後の施策立案等の参考にさせていただきます。

47 示された方向性(案)はいずれももっともですが、相続人の意識向上に依存する部分が大きく、そのままでは十分な効果が期待できるか疑問も持たざるを得ません。施策が効果を上げるためには、空き家を放置しないインセンティブを高めるよう、相続登記しない場合のペナルティが段階的に強化される制度の導入や不動産に限定した相続放棄制度の創設などを実施する必要があるのではないか。

・・・空き家を放置しないインセンティブが高まるよう4.(4)②市区町村の積極的な対応を可能とする取組として「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されています。いただいたご意見については、今後の施策の参考とさせて頂きます。

48 権利者が多数いる場合は、空き家の解体等は全員の同意が必要となるため、解体が進まない実態がある。このため、特定空家等については、一部の相続人の判断で解体できるようにしていただきたい。

・・・他の権利者の財産権を侵害することになる可能性があると考えます。ご指摘のケースについては財産管理制度の活用が考えられます。また、4.(4)②において「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。

49 放棄された空き家は自治体で対応するほか手がないため、利活用可能な建物も含めて、財産管理人制度を利用しやすいような法整備や補助金が望まれる。

・・・ご指摘の点については、4,(4)②の取組として、「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。また、財産管理制度を活用した場合の回収不能な費用について空家対策総合支援事業で支援対象としています。

50 特定空家となる前に所有者に適切な管理を促すには、国税徴収法で認められている財産調査権などを付与し、市区町村の空き家担当職員の権限を強化する必要がある。(具体的には、現在の内容では空き家所有者の情報が住民票で知れる情報などに限られ、住民票を移していないなどの理由で所有者にたどり着かないケースがある。例えば、これが所有者の勤務先を調査できるようになれば、勤務先に問い合わせ在籍確認や転職先、最新の居所を知ることができるようになる。また、財産管理人選任の申し立てをしなければならない場合に、財産調査権があれば、予納金が必要であるか否か、申し立て前にある程度状況を予測することができ、場合によっては不必要な予算を措置しなくても良くなる。

・・・4.(4)②の取組として「・市区町村が所有者探索に活用できる情報を拡大するとともに、取得の円滑化を図る。」及び「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されており、頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

51 現在の空家特措法では「空家等の所有者等に関するもの」の情報を税務担当かから取得できますが、取得できるのは所有者の情報であり法定相続人全ての情報ではありません。そのため、法定相続人探索が必要になった場合には、独自で一から捜索を行う必要があり、戸籍情報は電子化していないことから捜索に多大な時間を要しております。税務担当課が納税通知者を捜索した情報(法定相続人調査情報)を取得出来るように、法文の中の「所有者等」に含むものとする総務省通知を出来ないでしょうか。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

52 空家法による税部門からの情報提供は有効で、所有者探索に活用できる情報の入手先の拡大及び円滑化は重要であると考えます。空家法に基づく空き家の所有者に基づき、他市へ所有者に関する情報提供の依頼を行った際、個人情報であることから、所有者から情報提供に対する了解を得られた場合のみ情報提供を受けられました。このことから、情報の取得の円滑化は課題であり、取組の強化は有効と考えます。

ご指摘の税務情報のほか、令和4 年に改正された住民基本台帳法に基づき、住基ネットを利用できる事務に空家法等の調査事務を追加しました。また、「令和4年の地方からの提案等に関する対応方針」(令和4年12 月20 日閣議決定)において「市区町村が法令の定める事務を遂行するための情報提供の求め等に係る規定に基づいて行う戸籍謄本等の請求及び交付については、戸籍情報連携システムの運用開始後において、戸籍謄本等に記載されている者の本籍地にかかわらず、当該事務が同一市区町村内で完結できることとする。」とされております。今後、戸籍情報連携システムを利用して戸籍情報取得することが可能となる予定であり、市町村による所有者等の調査を円滑化するための措置が講じられているところです。

53 「・市区町村が所有者探索に活用できる情報の拡大や取得の円滑化。」について、現在の法定相続人が相続放棄をすることで、新たな相続人が100名以上になる場合がある。このような場合、戸籍の郵送による請求には時間がかかり、所有者確知まで、かなりの時間を要することになる。また、このような案件は、相続登記の義務化では対応されることは想定されにくいため、今後も、対象案件の増加が懸念される。

住基ネットが活用可能となったのと同様に、戸籍情報についてもシステムの閲覧が可能となるよう検討をお願いしたい。加えて、住基ネットについても住所のみでの検索や氏名のみでの検索をできるようにする等、所有者調査の初動にも対応できるように、利便性の向上を検討していただきたい。

・・・「戸籍情報」に関しては、「令和4年の地方からの提案等に関する対応方針」(令和4年12 月20 日閣議決定)において「市区町村が法令の定める事務を遂行するための情報提供の求め等に係る規定に基づいて行う戸籍謄本等の請求及び交付については、戸籍情報連携システムの運用開始後において、戸籍謄本等に記載されている者の本籍地にかかわらず、当該事務が同一市区町村内で完結できることとする。」とされております。また、「住基ネット」については、関係省庁にもご意見を共有し、今後の参考にさせていただきます。

54 現在の「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空家等に限って必要な調査をすることができるとされているが、いわゆる「空き家予備軍」に関しては、調査権がないため、情報入手手段がない。「市区町村が所有者探索に活用できる情報の拡大や取得の円滑化」を具体的な取組に挙げているため、調査権の強化についても具体的に盛り込んで欲しい。(特に高齢者単身世帯、高齢者夫婦のみの世帯など、本人等が認知症の発症や急な入院等で不在となり、そのまま空き家になってしまう前に、親族等の調査ができれば、空き家の発生を未然に防ぐことができる。)

・・・ご指摘いただいている点については、4.(2)に「・空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。」が記述されているように、空き家部局と福祉部局の連携の強化による対応が考えられます。

「調査権の強化」についてのご意見については、個人情報保護の観点から慎重に検討すべき課題であり、今後の施策検討の際の参考とさせていただきます。

55 「市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み」について、特定空家等への指定は、最終的に市が公費を投入し、代執行を行うに値する大義名分が必要となるためハードルが高い。特定空家等となる前段階で、所有者に対し適切な管理をするよう勧告が可能な仕組みがあれば、その効果は大きいと思われる。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する際の参考とさせていただきます。

56 空家特措法に特定空家よりも軽度な老朽空き家を指定する制度をつくることができないか。個人の財産権が関わる行政代執行は行政にとってハードルが高く、それを理由にして特定空家の指定が進んでいないと推測される。そこで「準特定空家」のような制度を新設し、固定資産税の減免撤廃もしくは前述の建物への課税額引き上げと行政は助言・指導のみを行うような担当部署の負担をあまり増やさず指定しやすい仕組みにできないか。

・・・4.(4)②に「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する際の参考とさせていただきます。

57 住宅用地特例の解除等、特定空家等になる前の段階から、早期のうちに適切な管理や除却がされるような仕組みが作られることが望ましいと考えます。特に、空家の適切な管理は所有者の責務であるため、所有者の主体的な対応を後押しする取組が重要です。

・・・4.(4)②に「・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組み」が記述されております。

58 具体的な取組として、「特定空家等となる前段階での固定資産税の住宅用地特例の解除の検討」が示されたが、これまでは勧告まで至らなければ不利益が生じないことがあったため、認定に踏み切っているケースもあると思われる。今後、上記の検討を進める際には、既に認定した物件に対する対応についても適用の取扱いを示して頂きたい。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

59 「・市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み。(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」について、固定資産税の住宅用地特例の解除はかなりの成果があると予想される。特別なものだけを判断するとなると形骸化する恐れがあるため、基準は単純なものかつ広く対象とすることが望ましい。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

60 「・市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」において、税の公平性を鑑み、国において一定(空家の期間や、不良度、周辺への危険性(樹木を含む))の基準を設定することをお願いしたい。空家の所有者は、遠方に住むことが多く、空家所在地と、所有者等の居住地域での取り扱いに差が出た場合、所有者に対し説明が難しくなる。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

61 法施行以来、管理不全な空家等への対策が進み、内容が「建築物の老朽化」から「樹木の繁茂」へ移行している。樹木について特定空家等とした場合は剪定の代執行となり、一時的に解決するだけでまた繁茂は繰り返され、自治体が継続して管理を代行してあげる結果となり根本的な解決に至らない。固定資産税が上がってもそのまま払い続ける所有者は一定数いると思われ、現行法の特定空家等という手段とは別の、管理しない所有者への措置が必要と感じている。(例:管理不全通知に対応しない段階での、所有者住所氏名の掲示など。)

・・・ご指摘のケースについては財産管理制度の活用が考えられ、4.(4)②において「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

62 「・市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする仕組み(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」について、特定空家等になる前段階での住宅用地特例の解除については、管理意識の希薄な所有者の対応を後押しする取組として有効であると考えるものの、国による統一的な基準等を示していただきたいと考えます。また、特定空家等に関わらず、空き家が住宅用地特例を受けるためには申告制 にするなどの、抜本的な見直しが重要と考えます。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

63 「市区町村が特定空家等となる前の段階で所有者に適切管理を促すことを可能とする仕組み。(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む)。」について、空き家を除却する前に固定資産税の住宅用地特例の解除を行った場合に、除却後も住宅用地特例が適用外となるため所有者のメリットがなく空き家を放置することが考えられる。「地域の実情に応じ、市区町村の条例等により一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減が可能であることの周知、横展開。」の記載もあるが、固定資産税等の軽減措置は国として制度設計がなされるべき。

・・・住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、都市部、地方部等、地域の実情のほか権利関係や所有者の状況等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、4.(4)に様々な取組が記述されているところです。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

64 ・「管理不全となると住宅用地特例を不適用にする」という取り組みがいくつか見受けられるが、住宅用地の特例はあくまでも土地所有者に対するもので、土地と住宅の所有者が異なる場合には何の効果もない。住宅用地特例が解除されることをちらつかせることに効果があるのか検証が必要ではないか。また当該小委員会に制度所管の総務省がいないなかで、「特定空家等となる前段階で所有者に適切な管理を促すことを可能とする取り組み」として住宅用地特例の解除を挙げていることに違和感を感じるし、具体的にどのように実施するつもりなのか、わからないので不安。

・・・住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、権利関係のほか、所有者の状況、地域の実情等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、4.(4)に様々な取組が記述されているところです。なお、本小委員会には、オブザーバーとして総務省自治税務局固定資産税課も参加しているところです。

65 固定資産税評価額の安価な地域については、住宅用地特例を解除しても、金銭的な影響は少ないと考えられ、効果は限定的である。また、固定資産税の住宅用地特例の解除は、所有者が一旦それを容認すれば、次の打つ手がない。空家が活用され、放置空家にならないためには、さらなる対応が必要ではないか。例として、固定資産税の住宅用地特例の解除は、早い段階で適応し、特定空家等の勧告時は、固定資産税の税率の上乗せなどが考えられる。なお、税の取り扱いについては、住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼす

かについては、都市部、地方部等、地域の実情のほか権利関係や所有者の状況等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、所管省より市区町村の税務担当に、確実な周知をお願いしたい。

・・・4.(4)に様々な取組が記述されているところです。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

66 財産管理人専任の申立を市区町村が行うことにより、管理が行われていない空き家の解消につながると思いますが、相続人がいなくなって年月がそれほど経過していない空き家は特定空家等とはみなせず、申立を認められないケースがあると思われます。相続人不存在の空き家は空き家の状態の良し悪しに関わらず申立てが認められるようにしていただきたいと思います。

・・・4.(4)②に「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

67 市区町村の取組のうち、緊急時の代執行等の制度を創設する場合は、所有者責務とのバランスや、緊急と判断される状態、費用徴収等の課題について、先行して条例等に基づき実施している自治体へのヒアリングなどにより、本制度が各自治体において適切に運用されるよう制度設計がされることを期待しています。

・・・第2 回小委員会(2022 年11 月22 日)において、緊急時の代執行制度を運用する2 つの自治体から、その効果・課題等についてヒアリングがなされています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

68 緊急時にも代執行ができる仕組みは有効であると考えます。通常の手続きと緊急時の手続きの違い、相違点や流れ等をガイドライン等により判断基準を明確に示していただきたいと考えます。

・・・4.(4)②の取組として「・緊急時の代執行など、市区町村が特定空家を対象に行う措置をより円滑化する仕組みについて検討する。」が記述されています。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

69 「・緊急時の代執行など市区町村による特定空家の所有への円滑な措置を促進する仕組み」について、代執行を行うにあたっては、特措法第14 条の規定に基づき順を追って手続きを進める必要があり、時間と手間を要する。降雪による建物倒壊のおそれや台風などの突風による瓦の落下など、具体的な危険が間近に迫った場合、自治体が緊急的に対応できる規定を特措法に明文化することが必要。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

70 「緊急時の代執行など~円滑な措置を促進する仕組み」について通行の障害となるなど、緊急に除却等の対応を行う必要がある空き家に対する対応に苦慮しており、簡便な手続きによる緊急時の代執行が行えるような仕組みを整備していいただきたい。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

71 「活用困難な空き家の除却への支援強化」について、活用困難とは、特定空家等や不良住宅などの老朽危険空き家を指すものと推察されるが、空き家の状態にかかわらずその跡地は活用困難な状態にある。現在の支援において、不良住宅、特定空家等以外に課されている跡地要件を全面的に撤廃していただきたい。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

72 「・活用困難な空き家の除却への支援強化。」について重要であると考えます。活用困難な空き家であっても、線引き以前に建てられた市街化調整区域内の既存住宅は、当該地に新たな住宅を建築するための許可要件に伴う影響から除却に至らないケースが見受けられます。住宅を除却しても新たな住宅の建築が可能な土地であることを証明するための制度等が必要と考えます。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

73 所有者等に対応能力がないと判断できる場合はその親族(1 親等や配偶者などの近い親族)へ代執行費用を請求できるよう検討していただきたい。行政が行政代執行を行う際、最も懸念する点は費用の回収である。特定空家等の所有者等は支払い能力がない場合が多く、差押等でも費用の回収は困難である。

・・・所有者以外の者に費用請求を行うことは困難と考えます。また、4.(4)②に「・活用困難な空き家の除却に対する支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

74 危険空家を行政代執行で解体した後の債権回収の際、所有者が当該物件(土地、家屋)以外の資産を保有していない場合は行政代執行法に基づき当該物件を公売することとなるが、物件に抵当権が設定されている場合は、それに比べ代執行費用が劣後するため債権の回収が困難となり、代執行費用の予算化の障害となる。また、抵当権者の立場からすると、債務者が多額の費用を負担し当該物件を補修するより、行政代執行によって家屋が解体されたほうが物件の価値が上昇するため、空き家等を活用せず放置することが有利となる場合も考えられる。

よって、危険空家の解体に係る行政代執行に関しては、抵当権等の民間債権に優先して代執行費用の回収を可能とする制度が必要である。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

75 「地域の実情に応じ、市区町村の条例等により一定の空き家を除却した場合の固定資産税の負担軽減が可能であることの周知、横展開」について、可能とする根拠や事例をぜひ紹介してください。また、更地となった土地が買い手もなく住宅が建つ見込みもない場合、山林や農地に地目変更する方法など相談できる機関があると解体が進むと思います。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

76 除却の意思はあるものの、費用が高く資金の工面ができない所有者や、除却後の土地が活用できないために除却することをためらっている所有者も一定数いることから、除却後も住宅用地特例が一定期間適用される激変緩和措置など所有者等の状況への配慮も必要。

・・・4.(4)①に「・除却までに必要な手続、建物や敷地条件等に応じた効率的な除却手法、除却に要する費用など、所有者が除却の実施等に関する判断を適切に行えるようにするための情報提供を充実する。」「・所有者が行う活用困難な空き家の除却への支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。」、同②に「・地域の実情に応じ、一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減が市区町村の条例等により可能であることを周知するとともに、事例の横展開を図る。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

77 固定資産税については、市町村において減免等が可能であるが、市町村としても歳入の減少となるとなかなか踏み出せない状況にあるため、一定の条件のもと、交付税措置等により市町村の負担を軽減する等、支援の検討をお願いしたい。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

78 地域の実情に応じて空き家を除却した場合の固定資産税等の負担軽減が可能とのことだが、課税の公平性としてモラルハザードを起こしかねない記述だと感じる。一部自治体で確かに実施していることだと思うが、これをスタンダードとしてよいのかは疑問。住宅用地特例は適用されることが「当たり前」になっており、更地にしたら「税金が上がる」という印象になっている。難しいとは思うが、むしろ総務省には、住宅供給過多の今の時代にあわない宅用地特例・新築住宅に対する減額などを取りやめ・縮小させ、むしろ中古住宅(空き家含む)の流通・改修して長期的に利用することを誘導するような税優遇を検討してほしい。

・・・住住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、都市部、地方部等、地域の実情等によって異なるため、「地域の実情に応じ、」と記述されているところです。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

79 市町村がマンパワーや専門的知識の不足により十分な対応ができていない状況は課題等として記載されておりますが、これらを支援する方針を記述していただきたい。

・・・4.(4)②に「・ノウハウ・専門的知識が不足する小規模な地方自治体に対し、先行地方自治体の対策計画・事例・ノウハウを共有するとともに、職員への指導が可能な人材を紹介するなどにより人材育成の機会を提供する。」が記述されております。

80 空き家対策では小規模な自治体が少ない人員でノウハウも蓄積もなく対応し(疲弊し)ているのが現状であり、担当職員への負担が大きい。国が直轄で複数の小規模自治体の空き家対策、特に所有者(相続人)の確定と除却促進する体制づくりが必要と考える。現場では、税、相続、建築など多岐に亘る事務能力が必要となり負担が過大となっている。

・・・地方自治体の人材確保の取組として4.(4)②「・ノウハウ・専門的知識が不足する小規模な地方自治体に対し、先行地方自治体の対策計画・事例・ノウハウを共有するとともに、職員への指導が可能な人材を紹介するなどにより人材育成の機会を提供する。」が記述されております。また、地方自治体を補完する取組として4.(5)①「・NPO 等が地方自治体と連携し、空き家の所有者に対して空き家の早期活用や適切な管理、活用が難しい場合の除却を働きかける取組を促進する。」が記述されております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

81 空家特措法に基づく、空家等の定義と住宅・土地統計調査(総務省)での定義に相違があることは示して頂きたい。特措法では、一棟全体を一つの建築物として判断するため、共同住宅の一部で居住や使用がされている場合(空き室)は対象外となり、空家等として取り扱えないものと考えます。

・・・空き家特措法に基づく空家等の定義と住宅土地統計調査の空き家の定義の違いについては、本とりまとめの趣旨に影響がないため記載しておりません。本とりまとめは、空家法に基づく空家を主に対象となっていますが、長屋等の一部が空き家となった場合の対応については、4.(4)②の継続的に検討する取組として「・長屋等の空き住戸の適切な管理等を促進する方策はどうあるべきか。」が記述されています。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組 ① NPO 等の民間主体の活動を促進する取組」関係

82 スペースシェアという空き家活用の選択肢の認知を広げるためには、自治体・NPO 等の空き家対策に携わる関係者の理解促進及びスペースシェア事業者との連携促進が欠かせないことから、「(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組」において、空き家等対策に携わる地域の関係者とスペースシェア事業者との連携促進を図る旨を追加すべきである。

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

83 「NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組」に全国で活動する民間企業との連携の促進について記載してはいかがでしょうか。NPO 等を含む民間事業者の中でも特に、全国の空き家対策にノウハウを持つ不動産業者などと協力することも重要と考えます。

・・・4.(5)①「NPO 等の民間主体の活動を促進する取組」にNPO 等の民間主体との連携について記述されています。また、NPO 等の民間主体に全国で活動する民間事業者も含まれています。

84 地方自治体が民間事業者と連携する際には「営利」という壁があるため、中間組織・団体を活用した民間事業者との連携や中間組織の位置づけの明確化などが必要ではないか。また、空き家対策においては県の位置づけが不明瞭となっているのではないか。

・・・NPO 等の中間組織が活動しやすい環境の整備を進める観点から、4.(5)①「・NPO 等が、所有者に寄り添って空き家の活用・管理に係る相談対応や所有者と活用希望者とのマッチング等の活動をしやすくなるよう、環境整備を推進する(公的位置づけの付与、市区町村からNPO・社団法人等への所有者情報の円滑な提供、活動への支援等)。」が記述されています。

都道府県については、空家法第8 条において「都道府県知事は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施その他空家等に関しこの法律に基づき市町村が講ずる措置について、当該市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければならない。」と規定されております。

85 「・空き家の管理を専門的に行う事業者の育成」は重要な取組と考えます。空き家所有者の負担が生じることから、所有者または管理を行う事業者に対する支援が必要と考えます。また、現在、多くの市町でシルバー人材センターによる管理も行われています。民間事業者より低額で、所有者の負担軽減にも有効であると考えており、シルバー人材センターの活用に対する支援も重要であると考えています。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

「4.今後の空き家対策の方向性・取組(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組 ② 地域コミュニティにおける取組」関係

86 「・地域レベルで空き家をそのままにしないとの意識の醸成。」の取組は重要と考えます。行政に対策を求める主旨とならないようガイドライン等による地域による空き家活用方法などを示す必要があると考えます。

・・・頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段

階の参考とさせていただきます。

○ とりまとめの方向性(案)に直接関係しないが空き家対策に関連するご意見とそれらに対する考え方

パブリックコメントにおける主なご意見 見解・対応等

87 新築を抑制する制度設計を考慮してほしいです。人口が減っていますが、新築は減少の一途ではありません。新しい家が増え、さらに空き家も増えていけば、対処療法では解決が難しいのではないでしょうか?増えている空き家の利活用はもちろんですが、新築を抑制しなければ、いつまでも空き家は減らないはずです。新築への抑制策なくして、空き家の解消はできないと考えています。ぜひ、空き家の価値がつくような新築抑制策をご検討いただければと思います。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

88 空き家が解体されず放置されるリスクを低減するために、個人が住宅を建築する際には、自動車のリサイクル料金のように構造や面積等に応じて、一定の負担金を徴収し、公益財団法人等が積み立てて、いざ個人所有者が建物を解体するときに空き家かどうかは関わらず、積立金の中から解体費用の一部助成が受けられるような制度作りが必要と考えます。御省には、そういった制度設計が可能かどうかの検討を実施して頂きたいと考えます。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

89 空き家発生の原因の一つに新築住宅(一戸建て、アパート、マンション)が、未だに需要より多く販売されていることが挙げられる。仮称新築購入税や建物リサイクル税等を創設し、新築建物購入者にも一定の空き家対策負担を求められないか。ハウスメーカー等事業者負担も並行して検討してはどうか。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

90 空き家を放置する理由として、所有者が高齢で身内もなく、管理する費用もなく、借地であり売却したいが売れないなど、費用の面で放置される事例が多い。この場合は、最終的には行政代執行まで行く可能性が高い。そこで、住宅の所有者に管理費や解体費用を強制的に徴収できるような、家電や自動車のリサイクル費用のように、事前に徴収する制度等を検討いただけないか。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

91 東京都の23区内の物件について、建物所有者が分からない、相続人が数代にわたり数十人と多くなり区役所ではすぐに相続人を把握できないケースでも都税事務所は相続人代表者に通知を送り課税ができている場合がある。しかし都税事務所は空き家特措法の特定空き家案件以外では個人情報を盾に区役所にもほとんど情報を出さない。所有者代表を把握する間に老朽化が進んでしまうことが多く、都税事務所と区役所の情報共有を強化し管理不全状態を早期に解決できないか。

・・・空家法第10 条第2 項に「2 都知事は、固定資産税の課税その他の事務で市町村が処理するものとされているもののうち特別区の存する区域においては都が処理するものとされているもののために利用する目的で都が保有する情報であって、特別区の区域内にある空家等の所有者等に関するものについて、当該特別区の区長から提供を求められたときは、この法律の施行のために必要な限度において、速やかに当該情報の提供を行うものとする。」と規定されているところであり、本規定の趣旨を周知して参ります。

92 市税部門との連携の強化も必要と考える。管理不全であり、市税の滞納もあるような空家であれば、公売へすすめるといった対応が可能となる。

・・・空家法第10 条の趣旨を踏まえ、空き家担当部局と税担当部局の連携を促進して参ります。

93 相続人が不存在となる理由の一つとして相続放棄が挙げられますが、空き家が相続放棄されていることが空き家所有者調査において判明するころには、当該空き家は長期間放置され、もはや活用が見込まれない状態になっている事例が散見されます。一方で課税担当部局は、空き家の発生情報を早期に把握することが可能な立場にあるため、課税担当部局と空き家担当部局の間で相続財産法人に関する情報のやりとりが可能となるような法制度の改正が望ましいと考えます。

・・・空家法第10 条の趣旨を踏まえ、空き家担当部局と税担当部局の連携を促進して参ります。

94 第一回の意見まとめの中の、財産権の配慮について、「空家法について(中略)見直しが必要」という意見に賛成です。法改正等により、代執行手続きの改善をしたり、責任の所在を明確にしたりといった対応をしてほしいので、とりまとめ案の〈継続的に検討する取組〉として、「空家法の見直し案の検討」などを盛り込んでほしいと思います。

・・・本とりまとめ、5.おわりにとして「国においては、本とりまとめに基づき、法制度、予算・税制等を含め、必要な措置を講じるとともに、今後も空き家及び対策の状況を継続的に把握・検証し、今回継続的に検討する取組とした事項も含め、必要な検討及び政策立案等に取り組むことを強く期待したい。」が記述されており、国において継続的に空き家及びその対策の状況を把握・検証していくこととしています。

95 空家等対策の推進に関する特別措置法は、施行後5 年で見直すということであったはずであったが、早7 年が経過し、行政の空き家対策についても民間の空き家対策についても、そろそろ臨機応変に実施できるよう法改正に踏み込んでいくべきではないか。同法は議員立法で制定されたものであるため、有識者の方からも取りまとめの方向性に法改正に向けた検討が必要であることを記載すべき。

・・・本とりまとめ、5.おわりにとして「国においては、本とりまとめに基づき、法制度、予算・税制等を含め、必要な措置を講じるとともに、今後も空き家及び対策の状況を継続的に把握・検証し、今回継続的に検討する取組とした事項も含め、必要な検討及び政策立案等に取り組むことを強く期待したい。」が記述されており、国において継続的に空き家及びその対策の状況を把握・検証していくこととしています。

96 第一回資料6 の「借地上の特定空家等除却により発生する便益の調整」について、土地所有者という利害関係人が存在しながら、その土地上の特定空家を代執行などで税金を投入して壊すのは不公平だと思います。方向性をとりまとめて追記してほしいです。

・・・借地上であっても、特定空家等は周囲に悪影響を及ぼすものであり、早急に対処する観点から、代執行等の手段で除却等を行うことはやむを得ないケースがありますが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

97 旧借地借家法による借地(旧法借地)の老朽空き家の場合、建物と土地の所有者が違うため、空き家を特定空家に指定し空家特措法による固定資産税の減免の撤廃をしても土地の所有者が負うことになり建物所有者への直接的な効果がない。土地の固定資産税の減免の撤廃ではなく特定空家の建物自体への固定資産税を懲罰的に高額に上げることに変更できないか。

・・・住宅用地特例の解除が空き家所有者の対応にどのような影響を及ぼすかについては、権利関係のほか、所有者の状況、地域の実情等によっても異なるため、様々な取組の選択肢が必要であることから、住宅用地特例に関する取組だけでなく、4.(4)に様々な取組が記述されているところです。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

98 借地上の建築物については、土地所有者の理解や承諾が得られないために、修繕すらも行えないケースがあり、こうした要因で改善が進まないものもあり課題として示すべき。

・・・一般的には、借地上の建築物についても、通常の修繕であれば土地所有者の承諾なく行うことができるとされております。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

99 建築基準法のセットバックした場合でも、セットバック用地が私用で占有された結果、道路として利用されず、狭隘道路の先が空き家となっているのではないか。セットバック用地を確実に道路として利用できる様な法整備が必要。

・・・セットバックした用地については、建築基準法上の道路として使用することが必要です。

○ その他のご意見

パブリックコメントにおける主なご意見 見解・対応等

100 相続人不存在である建物が年々増加しており、現在誰でも安易に相続放棄ができてしまう状況であり、これを抑制する方法・相続放棄のあり方を検討すべきである。

・・・相続放棄は民法に基づき認められた権利であり、空き家問題だけの仕組みではないため、本小委員会の検討対象とすべきではないと考えます。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

101 相続放棄に伴い相続人が不存在となる際の相続財産管理人選任申立ての義務化。自治体が代行しているのが現状だが、所有者の責務として申立てるべきと考える。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

102 空き家対策関係者におけるスペースシェアの認知向上、空き家相談の人材育成の観点から、次のような具体的方策を例示として挙げることも検討頂きたい。

– スペースシェア化を選択肢に入れた「空き家利活用ハンドブック」を作成し、自治体・NPO 等の空き家対策関係者への周知、空き家相談窓口での配布等に活用すること

– 民間の専門家を中心に「国交省 空き家利活用アドバイザー」を認定し、スペースシェアを含めた空き家の多様な利活用方法を全国の自治体・NPO 等と連携して啓発すること

・・・今後の空き家対策のあり方全体を議論する本小委員会のとりまとめにおいて、すべての活用手法について取り上げることは困難ですが、頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

103 本とりまとめにおいて上記のような記載を盛り込むにとどまらず、「空き家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」を改正し、空き家等対策に携わる地域の関係者とスペースシェア事業者との連携促進を図って頂きたい。

・基本指針の性質上、すべての活用手法について取り上げることは困難と考えます。頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

104 売却困難な相続人不存在の空き家は売却ができず放置される可能性が高いのではないかと考えますが、空き家が解体されて空き地となれば、民法で規定されている国庫に帰属して適正に管理されていくのでしょうか。

・・・相続人不在の場合は、相続財産管理制度等の活用が想定され、その場合、利害関係者等の請求により裁判所が選任した管理人が管理、処分を行っていくことになります。財産管理制度についは、4.(4)②において「・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。」と記載しております。頂いたご意見については、本とりまとめに基づく取組を具体化する段階の参考とさせていただきます。

105 空き家でも健全な状態で不動産市場にのるものは対策する必要はありません。反対に老朽化し近隣へ悪影響があれば人が住んでいても対策は必要になります。突きつめると、空き家対策として指導が必要な状況は存在せず、老朽家屋対策を混在させているから指導勧告代執行が必要となる状況です。方針を見直す中では十分に検討し定義の再設定を求めます。

・・・空き家問題は、家屋が適切に管理されないまま放置される結果、周辺へ悪影響を及ぼすこととなる問題と考えます。本小委員会では、こうした問題に対して、空き家の発生抑制、活用、適切な管理・除却の促進方策を検討してまいりました。

106 とりまとめの方向性(案)に記載のとおり、空き家問題は様々な分野の問題を含んでおり、各分野の制度・法律等に基づいた対応が必要となるため煩雑となっている。このため、「空き家」を主軸において、統一的な仕組みを作ることはできないか

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

107 住居系の用途でも、空き家が多い地域については、産業誘致や企業立地が可能な用途に見直すなど、用途地域の見直しを柔軟に行うことができる法整備・環境作りを行うべき。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

108 令和3 年の民法、不動産登記法の改正については、空き家対策の観点

からも非常に有意義な改正であったと考えるが、一方で、改正から1年半あまりが経過した現在も改正の内容について物件所有者の認知が進んでいるとは言い難い。国はマスメディアなどを使って周知徹底に努める必要がある。

・・・頂いたご意見については、今後の施策の検討・立案において参考とさせて頂きます。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=155220726&Mode=1

社会資本整備審議会 住宅宅地分科会

空き家対策小委員会とりまとめ~今後の空き家対策のあり方について~

2023年2月

目 次

1.はじめに ………………………………………………………………………………………… 2

2.空き家の現状 ………………………………………………………………. 3

(1)空き家の現状 …………………………………………………………………………………….. 3

(2)空き家の所有者の現状 …………………………………………………………….. 3

(3)空き家対策を行う地方自治体の現状や制度的な対応を求める声 ……….. 4

① 取組の現状 …………………………………………………………………………………………………. 4

② 制度的対応を求める地方自治体の声 ………………………………………………………………….. 4

3.空き家対策に係る課題・問題意識 …………………………………………………………………. 5

(1)基本的問題意識 …………………………………………………………………………………………………. 5

(2)発生抑制や活用促進に係る課題 ……………………………………………………………………….. 5

(3)適切な管理や除却の促進に係る課題 ………………………………………………………….. 6

① 所有者の抱える課題 ……………………………………………………………………………………………. 6

② 地方自治体の抱える課題 …………………………………………………………………………………….. 6

4.今後の空き家対策の方向性・取組 ……………………………………………………………………….. 7

(1)今後の空き家対策の基本的方向性 ……………………………………………………………………. 7

(2)発生抑制を図る取組 …………………………………………………………………………………… 7

(3)活用促進に向けた取組 ………………………………………………………………………….. 8

① 相続等により空き家を取得した段階での取組 …………………………………………….. 8

② 空き家状態となった後の取組 ……………………………………………………………………………… 9

(4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組 …………………………………………………

① 所有者の主体的な対応を後押しする取組 ……………………………………………………… 11

② 市区町村の積極的な対応を可能とする取組(対応力の強化) ……………………… 12

(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組 ………….13

① NPO 等の民間主体の活動を促進する取組 …………………………………………………13

② 地域コミュニティにおける取組 ……………………………………………………………….. 13

5.おわりに ……………………………………………………………………………………………. 14

1.はじめに

我が国の空き家の総数は平成30 年時点で849 万戸あり、そのうち、二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた空き家で、居住目的がないため管理不全となるおそれが比較的高いと考えられる「その他空き家」(以下「居住目的のない空き家」という。)は349 万戸となっており、いずれも増加傾向にある。直近のトレンドによれば居住目的のない空き家は令和12 年に470 万戸程度まで増加すると見込まれている。

こうした状況を受け、令和3 年に策定された住生活基本計画(全国計画)においては、空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進が位置付けられるとともに、成果指標として、居住目的のない空き家数を令和12 年時点で400 万戸程度に抑えること等が定められた。

空き家対策を巡っては、平成27 年に「空家等対策の推進に関する特別措置法

(平成26 年法律第127 号)」(以下「空家法」という。)が施行され、市区町村による空家等対策計画の策定や著しく保安上危険、衛生上有害等の状態にある等のいわゆる特定空家等1の除却等の取組は、より優先度の高い取組として進展しているが、今後、居住目的のない空き家が増加する見通しであることを踏まえれば、対策の充実・強化が不可欠である。

不適切な管理による周辺への悪影響(負の外部性)をもたらすこととなってからの対応は限界に近づいており、より早い段階での対応についても強化が必要である。さらに、地域の遊休空き家を地域のニーズに応じて活用することで、社会的な付加価値を創出し、地域経済やコミュニティの活性化に繋げていく観点も必要である。

こうした観点から、令和4 年10 月に社会資本整備審議会住宅宅地分科会の下に空き家対策小委員会が設置され、主に空き家の発生抑制、利活用、適切な管理・除却に向けた取組の強化等、空き家対策のあり方を中心に議論を行った。

本「とりまとめ」は、空き家対策小委員会における議論の結果として、空き家対策のあり方についてとりまとめたものである。

1 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家等をいう(空家等対策の推進に関する特別措置法第2 条第2 項)。

2.空き家の現状

(1)空き家の現状

・ 居住目的のない空き家の数がこの20 年間で約1.9 倍に増加しており、うち一戸建てが7 割以上、腐朽・破損のあるものは101 万戸となっている。また、新耐震基準導入前の昭和55 年以前に建築されたものが約4分の3を占めている。

・ また、居住目的のない空き家が空き家総数に占める割合は、全国平均で5.6%と上昇傾向にあり、地域差も大きい。

(2)空き家の所有者の現状

・ 空き家の取得原因は、相続が55%となっている。また、所有者の約3 割は車、電車等で1 時間を超える遠隔地に居住しており、3 時間を超える遠隔地に居住している所有者も約13%にのぼっている。

・ 空き家所有者の28%は、空き家のままにしておくとの意向であり、さらに、将来、当該空き家を賃貸・売却する意向を持っている23%の所有者も、その約4割近くが賃貸・売却等に向けて何ら活動をしておらず、除却意向を持つ13%の所有者も、その約3 割が除却費用の用意について未定であるとしている。将来的な利用意向を回答した所有者も、具体的な活動に入っているかどうかは不明であり、全体としてみれば、「そのままにされている空き家」が相当数に上ると推察される。

・ 空き家にしておく理由として、「解体費用や労力・手間をかけたくない」「更地にしても使い道がない」との消極的な理由のほか、「特に困っていない(問題と認識していない)」とする所有者も少なくない。また、賃貸・売買する上での課題として「買い手・借り手の少なさ」「住宅の傷み」などがあげられている。

・ 空き家の日頃の管理は、専門家である不動産会社等が行っているものは4%弱にとどまっており、全く行われていないものが3%程度、所有者自身、親族・親戚又は友人・知人・隣人が行っているものが90%程度となっているが、管理の内容にはばらつきがあり、必ずしも十分な管理内容とはなっていない。また、所有者の居住地が遠隔地になるほど、管理頻度は低くなっている。

(3)空き家対策を行う地方自治体の現状や制度的な対応を求める声

① 取組の現状

・ 空家等対策計画の策定済み市区町村は8割、策定予定も含めると9割超となっている。

・ 市区町村がこれまで把握した管理不全の空き家は、累計約50 万件である。このうち約14 万件は、空家法に基づく措置や市区町村独自の対策により除却や修繕等がされたものの、約2万件の特定空家等や、約24 万件にのぼるその他の管理不全の空き家は、今なお現存している(約10 万件は状況不明。)。また、市区町村が所有者特定事務を行った管理不全の空き家など52.8 万件のうち、約9%にあたる4.7 万件は、所有者が判明するに至っていない。

・ 空き家の所有者が不明の場合、民間事業者等がその空き家を有効活用しようとしても、交渉等を行うことが難しく、また、市区町村が管理や除却等を所有者に行わせることも難しい等の課題がある。

・ 市区町村による空き家の所有者に対する支援は、国の空き家対策総合支援事業の活用実績によれば、除却が9割超、活用が1 割未満となっており、活用の取組を拡大していく余地は大きい。

・ 中心市街地や観光地など一定の地域に空き家が集中していることも多く、そのような地域は、市区町村が空き家の利活用を促進したいと考える地域と概ね一致している。また、何らかの形で空き家の利活用に資する取組を行っている市区町村は約8割で、移住・定住や二地域居住の促進、地方創生、中心市街地活性化、観光の振興等を目的として取り組む自治体が多い。

・ 市区町村が民法に基づく財産管理制度を利用する案件は増加傾向にあり、うち9 割近くが相続財産管理制度を利用している。一方で、どのような場合に市区町村が利害関係人として財産管理人の選任申し立てができるかが不明確との意見がある。

・ 市区町村の6 割前後が、空き家担当部局のマンパワー不足・専門的知識の不足を課題としており、3分の1を超える市区町村で空き家対策の業務をアウトソーシングしている。また、空き家対策の業務において、民間の団体等を活用したいとするニーズは高い。

② 制度的対応を求める地方自治体の声

地方自治体からは、以下のような制度的な対応を求める声がある。

・ 空き家活用のための区域を絞った重点的な対策(規制緩和を含む。)や民間主体の活用。

・ 所有者等による管理責任の強化、特定空家等の発生予防、財産管理人の選任申立て権の市区町村への付与、緊急時の代執行や所有者探索のさらなる円滑化。

3.空き家対策に係る課題・問題意識

空き家の現状を踏まえると、空き家問題に対し、次のような問題意識を持つべきである。

(1)基本的問題意識

・ 空き家は個人財産である一方、管理不全状態となると防災・防犯、衛生、景観などの面で悪影響を与える外部性を有するに至るため、空き家問題は個人の問題にとどまらず地域・コミュニティの問題でもある。

・ 居住目的のない空き家は今後も増加する見込みであり、既に危険な特定空家等となっている空き家だけでなく、将来的に特定空家等となる空き家も増加していくおそれが大きい。

・ しかしながら、地方自治体のマンパワー不足等により、除却を中心とした対応や危険な特定空家等になってからの対応では限界がある。

・ 一方で、特定空家等となる前の段階での発生抑制、活用促進及び適切な管理等を促進するこれまでの取組は不十分である。

(2)発生抑制や活用促進に係る課題

・ 空き家の半数以上が相続に伴って発生しており、高齢化の進展に伴い住宅の相続が増加している。住宅の所有者には、将来的に活用する相続人がいない場合であっても、「自分が生きているうちに処分方法も含めて準備する」との意識が乏しく、また、所有者が高齢であるなど、管理や活用の情報を取得するのが困難な場合もある。

・ 空き家問題を生じさせないようにするためには、相続時の迅速な対応が重要だが、相続前の話し合い不足や多数の相続人の存在、所持品の処分などにより、活用に係る意思決定に時間を要している現状がある。また、遠隔地に居住する相続人が住宅を取得した場合、活用されず管理不全となる可能性が大きい。さらに、

活用意向がない相続人が管理せずに空き家を放置したり、活用意向はあっても利用可能な相談先が少なく、買い手・借り手がみつからないまま放置するおそれもある。

・ 中心市街地や観光地等、地域の拠点となるエリアでの空き家の集中は、当該地域の本来的機能を低下させるおそれがある。こうした地域の空き家には、接道規制などにより活用に至らない例も存在している。

・ 地方自治体内の空き家担当部局と福祉、産業振興やまちづくり等の他の担当部局との連携が限定的となっており、空き家の発生抑制や活用の取組は、必ずしも総合的なものとなっていない。

(3)適切な管理や除却の促進に係る課題

① 所有者の抱える課題

・ 所有者の管理意識が必ずしも十分とは言えない状況にある。また、所有者が適切な管理の方法や除却に係る情報を容易に入手し、相談できる環境が少なく、仮に所有者が、市区町村から管理せよと言われた場合であっても、方法がわからない状況となっている。遠方に居住する所有者にとっては、管理すること自体が困難である。この結果、空き家が管理不全状態となり、その状態で放置されると、腐朽・破損が発生し利活用が困難となる上、管理不全状態が一層進行し、特定空家等となるおそれがある。

・ 管理状態を問わず空き家が建っていれば固定資産税の住宅用地特例が適用されるとすると、空き家がそのまま温存されるおそれがあり、居住の安定を確保するため居住の用に供する敷地の課税負担を軽減するという本来の趣旨にもそぐわないものと思われる。一方で、解体費用や解体後に土地の固定資産税が上がる負担を懸念して解体を躊躇する場合がある。また、所有者に解体後の土地の活用イメージがないため、活用が進まない。

② 地方自治体の抱える課題

・ 所有者探索の手間が大きく、また、所有者探索にあたり活用できる情報が限定的となっている。さらに、マンパワーや専門的な知識が不足しており、所有者への働きかけが十分にできない状況にある。

・ 管理不全の状態にある空き家を市区町村が特定空家等として扱う際は、将来的な代執行まで視野に入れる必要があるため、市区町村が特定空家等と判断することを躊躇する場合があるなど、現行の空家法では、特定空家等のハードルが高くなっている。一方で、空家法には特定空家等と評価されるレベルまで状態が悪化する前の段階で、管理不全の空き家の所有者に対して適切な管理を働きかける仕組みが規定されていないため、市区町村が条例に基づき指導等をしても、反応がある空き家所有者は限定的である。また、特定空家等に該当しなければ、固定資産税の住宅用地特例の解除は事実上困難である。このように、特定空家等の要件に当てはまるほど状態が悪化する前の段階での措置は不十分である。

・ 財産管理制度や代執行制度などについては、手続き負担、費用回収への懸念、ノウハウ不足等により、市区町村が制度の活用を躊躇する場合がある。

4.今後の空き家対策の方向性・取組

(1)今後の空き家対策の基本的方向性

3.で整理した基本的問題意識及び課題を踏まえ、今後の空き家対策については、

従来から進めてきた活用困難な空き家の除却等の取組をより加速化・円滑化するとともに、「空き家はなるべく早い段階で活用する」との考え方を基本に、所有者や活用希望者の判断を迅速化する取組を進め、特定空家等の状態になる前の段階から、空き家の発生抑制、適切な管理や活用を促進し、地域経済やコミュニティの活性化に繋げることを基本的方向性として取り組むべきである。

こうした考え方の下、法制度、予算、税制、ガイドライン等の様々な政策ツールを活用しつつ、官民が連携して総合的に取組を進める。その際、地方自治体やNPO、民間事業者、自治会等の先行・優良事例について、横展開を推進する。

(2)発生抑制を図る取組

所有者の死後もなるべく空き家にしないため、自宅の取扱いを検討し、それを家族に共有することの重要性について、高齢の所有者に対して意識啓発を図ることを基本的方針として、空き家の発生抑制を図るための取組を進める。

○ 所有者やその家族の意識の醸成

所有者の生前で、かつ、判断能力が十分なうちから、その家族も含め、「住宅を空き家としない」との意識が醸成されるよう、「終活」の一環としての「空き家対策」の重要性や空き家のリスク等について、所有者等への啓発や働きかけを促進する。

<具体的な取組>

・ 「終活」としての「我が家の空き家対策」を一般化し、親が元気なうちに対処方針を話し合うことの重要性を啓発する。

・ 所有者が生前に対処方針を決めておく方法(遺言、民事信託、生前贈与)やリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)についての情報提供を充実する。

・ 住宅を適切に管理し長く使っていくことや、空き家が周囲の生活環境や地域コミュニティに悪影響を及ぼさないようにすることの重要性、さらには、空き家の発生抑制、早期活用、管理・除却の取組などに関する住教育を充実する。

・ 地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等※が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催や相談員の派遣等を行い、高齢の所有者に不足している情報を補完する。

・ 空き家担当部局と福祉部局等とが連携して、高齢の所有者に対し、住まいの終活を呼びかけるなどの対応を促進する。

・ 上記の活動に活用可能な汎用ツールを作成・普及する。

<継続的に検討する取組>

・意思決定能力に欠ける所有者への対応はどうあるべきか。

※NPO 等:NPO 法人及び地域に根ざした活動を行う不動産、建築、法務等の分野の事業者団体又は資格者団体等。以下、同じとする。

〇 所有者のニーズに応じ死後に空き家としない仕組みの普及所有者によっては、自宅を生前に担保化・現金化し自らの生活資金として活用するニーズもあり、この場合、所有者の死後も住宅が空き家となる可能性は低い。こうしたニーズに応じた仕組みの活用を円滑化する。

<具体的な取組>

リバースモーゲージやハウスリースバックなど、住宅を資産として活用しつつ居住を継続する仕組みについて、契約を巡るトラブルの発生を避け、住宅所有者が十分な制度的理解の下で適切に利用を拡大できるよう、分かりやすい周知を促進する。

(3)活用促進に向けた取組

空き家は早期に活用されれば、空き家である期間の短縮により空き家の抑制に

繋がり、管理不全のまま放置されて周辺や地域へ悪影響を与えることも防げることになる。このため、所有者に寄り添って「空き家は早期に活用する」との意識を醸成するとともに、周囲に悪影響が及ぶ段階に至っていない空き家についても施策対象に位置づけ、所有者・活用希望者双方の早期の決断を促し、活用を促進する取組を進める。

① 相続等により空き家を取得した段階での取組

〇 相続人への意識啓発・働きかけや相続時の譲渡等の促進

相続が空き家発生の最大の要因であることから、相続後なるべく早期に空き家の活用等がなされるようにすることが重要である。このため、相続人に寄り添って、その意思決定を促すため、地方自治体・NPO 等の民間主体から相続人に対する働きかけや相談対応、相続した空き家の早期譲渡を促すインセンティブの拡大等の取組を促進する。

<具体的な取組>

・死亡や相続等に際して市区町村で必要となる届出等の行政手続の際に、空き家の管理負担(固定資産税、往復交通費、草木の手入れ等)やリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)、相談先などの情報を相続人に周知し、自らによる活用や第三者への譲渡に係る早期の決断を促進する。

・市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局等と連携して相続人を把握し、空き家バンクへの登録等を働きかける。

・地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催、相談員の派遣等を行い、空き家の発生抑制について相続人に不足している情報を補完する。

・相続した空き家を耐震改修又は除却して譲渡した場合の譲渡所得の特別控除制度について、その延長・拡充により、空き家の早期譲渡を促すインセンティブを拡大するとともに、制度をわかりやすく周知する。

② 空き家状態となった後の取組

〇 空き家の流通・活用を促進する取組

空き家となった住宅が早期に活用されるよう、所有者への働きかけ、活用需要の掘り起こし、所有者と活用希望者とのマッチング等を促進するとともに、空き家の活用を促進する仕組みや支援を充実する。

活用需要については、手頃な価格の住宅としての活用のほか、中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉の増進、地域コミュニティの維持強化といった地域の状況に応じた空き家活用ニーズを積極的に掘り起こす。

さらに都市部・地方部など地域を取り巻く状況を踏まえた取組の展開を促進する。人口動態や地域特性などを踏まえ、重点的に活用を促進する地域を設定する仕組みも検討する。

<具体的な取組>

ⅰ) 所有者へ活用を促す取組

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が参画・連携した会議やまちづくり協議会の場などを活用し、関係者間でまちの将来像を共有すること等によって、空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成する。

・ 地域コミュニティの担い手である自治会等から、所有者への働きかけを促進する。

・ 地方自治体やNPO 等から所有者に対し、空き家の活用(部分的な活用を含む。)等を積極的に働きかける。

・ 賃貸による空き家の活用を促すため、定期借家制度、DIY 賃貸、サブリースや終身賃貸借といった様々な活用手法、想定される賃料、必要となる改修費など、貸し手として行う判断に資する情報提供を充実する。

・ 市区町村が保有する空き家所有者情報が、より多く、空き家の活用を希望するNPO を含む民間事業者等に提供されるよう、民間事業者等への情報提供に先立って市区町村が行うこととなっている所有者本人からの同意取得手続について、マンパワーが不足する市区町村から外部委託して進めることや、より早期の活用が求められる管理不全の空き家を重点的に対象とすることなどの工夫に取り組み(外部提供ガイドラインの充実、周知)、民間事業者等から所有者に対し、空き家バンクへの登録など空き家の活用を働きかける。また、空き家バンクの登録手続のオンライン化等を促進する。

・ 地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置を促進するとともに、遠隔地の所有者にも対応可能なオンライン相談等の取組を促進する。

・ 空き家の管理負担(固定資産税、往復交通費、草木の手入れ等)やリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)、相談先などの情報を所有者に周知し、自らによる活用や第三者への譲渡に係る早期の決断を促進する。

・ 地方自治体や空き家対策に取り組むNPO 等が、不動産、建築、法務等の専門家と連携してセミナー・相談会の開催、相談員の派遣等を行い、空き家の早期活用について所有者に不足している情報を補完する。

借地上の空き家について、借地権と共に売買が可能であること等の対応方策を分かりやすく情報提供する。

・ 地方自治体の施策への協力を促進する。

ⅱ)活用需要喚起と活用希望者の判断に資する情報提供の充実

・ 空き家の活用希望者が探索しやすく、空き家への魅力も感じられるよう空き家バンク掲載情報を充実し、活用を促進する。

・ 移住施策に取り組む地方部だけでなく都市部も含め、空き家の活用希望者が全国の空き家情報を検索可能な「全国版空き家・空き地バンク」に多くの地方自治体が参加するよう促す。

・ 買い手の判断に資する物件価格・改修費に係る情報の提供を充実させる。

・ 地方自治体やNPO 等による相談窓口の設置やセミナー等の開催を促進する。

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が、中心市街地活性化、観光振興、移住・定住促進などの地域活性化や福祉対応、地域コミュニティの維持強化といった地域のニーズに即した需要を掘り起こし、マッチングする等の活動を促進する。

・ 地域における空き家の利用ニーズを集約し、公開する取組を促進する。

・ 所管を越えた空き家の利活用を促進するため、省庁間や地方自治体の部局間の連携体制の強化、市区町村が設置する空き家対策協議会の構成員の拡大を促進する。

ⅲ) 活用を促進する仕組みや支援の充実

・ 地域特性等を踏まえた一定のエリアにおける重点的な活用を促進する仕組み(所有者への働きかけや重点支援、接道・用途規制の合理化など)を設ける。

・ 地域活性化に資する空き家活用の取組(空き家活用に必要な耐震改修、省エネルギーやバリアフリー改修等を含む。)に対し、支援を行う。

・ 空き家活用に係るモデル的な取組への支援を強化するとともに、当該取組の横展開を図る。

・ 手頃な価格の住宅としての活用を促す買取再販税制等のインセンティブを確保する。

・ 低未利用地(土地上の空き家を含む。)の長期譲渡所得の特別控除制度を延長・拡充し、低未利用地の活用を促すインセンティブを拡大する。

・ 地域の共感・資金を得て空き家を活用する小規模不動産特定共同事業等の活用を促進する。

<継続的に検討する取組>

・新耐震基準を満たしていない空き家をセーフティネット登録住宅としての活用や、その方策はどうあるべきか。

(4)適切な管理の確保・除却の促進に向けた取組

空き家の増加が見込まれる中、活用に適した状態を維持する観点及び周辺に悪影響を与えないようにする観点から、所有者に管理の意識を醸成し、適切な管理を促進するとともに、空き家の具体的な活用や処分に至るまでの間、さらには、周辺に悪影響を与える特定空家等になる前の段階で、所有者に適切な管理の実施や特定空家等とならないための具体の措置を促す。

また、特定空家など利活用が難しい空き家の除却を更に円滑化する。

① 所有者の主体的な対応を後押しする取組

空き家の適切な管理が所有者の責務であるとの意識を醸成するとともに、所有者が適切に管理を行い、又は除却を行えるような環境を整備する。

<具体的な取組>

・所有者が空き家を適切に管理する際の拠り所となる指針等を作成する。

・所有者に対し、空き家のリスク(使わないと早く傷み資産価値も低減する、管理不全になると住宅用地特例が不適用となる可能性等)を周知する。

・空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成する。

・所有者が空き家の管理や除却を適切に行うよう、地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が連携した会議や協議会、地域コミュニティの担い手である自治会等から所有者に対して行う働きかけを促進する。

・除却までに必要な手続、建物や敷地条件等に応じた効率的な除却手法、除却に要する費用など、所有者が除却の実施等に関する判断を適切に行えるようにするための情報提供を充実する。

・所有者が行う活用困難な空き家の除却への支援を強化する(予算、税制

運用改善等)。

・所有者の責務を強化し、行政が講ずる施策への協力を促進する。

② 市区町村の積極的な対応を可能とする取組(対応力の強化)

市区町村が特定空家等の所有者への措置を更に円滑に行えるようにして除却等を促進するとともに、特定空家等の状態になる前に所有者に適切な管理を促す。

<具体的な取組>

・市区町村が所有者探索に活用できる情報を拡大するとともに、取得の円滑化を図る(市区町村の空き家担当部局が戸籍担当部局に公用請求し、戸籍情報連携システムを利用して戸籍情報を取得することが可能となること等による空き家所有者等の調査の円滑化、電力会社等にある所有者情報の市区町村への提供円滑化など)。

・そのまま放置すれば特定空家等の状態となるおそれのある空き家について、所有者に対し、市区町村が適切な管理を促すことを可能とする仕組みを検討する(固定資産税の住宅用地特例の解除の検討を含む。)。

・活用困難な空き家の除却に対する支援を強化する(予算、税制の運用改善等)。

・地域の実情に応じ、一定の空き家を除却した場合の固定資産税等に係る負担軽減が市区町村の条例等により可能であることを周知するとともに、事例の横展開を図る。

・相続人が不存在の場合等、空き家の適切な管理が見込まれない場合に、市区町村による財産管理制度の利用を円滑化する仕組みを設ける。

・緊急時の代執行など、市区町村が特定空家を対象に行う措置をより円滑化する仕組みについて検討する。

・ノウハウ・専門的知識が不足する小規模な地方自治体に対し、先行地方自治体の対策計画・事例・ノウハウを共有するとともに、職員への指導が可能な人材を紹介するなどにより人材育成の機会を提供する。

<継続的に検討する取組>

・長屋等の空き住戸の適切な管理等を促進する方策はどうあるべきか。

(5)NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動を促進する取組空き家の発生抑制、早期の活用促進及び適切な管理・除却の促進に向けては、NPO 等の民間主体や地域コミュニティを活用することで、より効果的な取組が期待できる。このため、NPO 等の民間主体が行う所有者へのきめ細かな対応や市区町村の取組を補完する取組を促進する。また、地域コミュニティを巻き込んだ空き家対策を促進する。

① NPO 等の民間主体の活動を促進する取組

所有者に寄り添ったきめ細かな対応を通じ、所有者に早期の判断を促し、活用や適切な管理・除却に繋げるとともに、マンパワーや専門的知識が不足する市区町村の取組を補完するため、NPO 等の民間主体の取組やその育成を促進する。

地方自治体と空き家対策に取り組むNPO 等の民間主体との連携を起点として、福祉の増進や地域活性化など、より多様な分野における民間主体の参画と連携を実現することで、空き家の発生抑制、活用や適切な管理等を促進する。

<具体的な取組>

・ NPO 等が、所有者に寄り添って空き家の活用・管理に係る相談対応や所有者と活用希望者とのマッチング等の活動をしやすくなるよう、環境整備を推進する(公的位置づけの付与、市区町村からNPO・社団法人等への所有者情報※の円滑な提供、活動への支援等)。※ 事前に所有者同意・ NPO 等が地方自治体と連携し、空き家の所有者に対して空き家の早期活用や適切な管理、活用が難しい場合の除却を働きかける取組を促進する。

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が連携した会議やまちづくり協議会の場などを活用し、関係者間でまちの将来像を共有すること等によって、空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成しつつ、空き家への需要の掘り起こしや活用方策について検討する。

・ 空き家の管理を専門的に行う事業者を育成する。

② 地域コミュニティにおける取組

空き家を放置することのないよう地域レベルで意識を醸成するとともに、所有者がコミュニティにおける評判も気にすることを踏まえ、地域から所有者への働きかけを推進する。

<具体的な取組>

・ 地方自治体やNPO 等を含む民間事業者が連携した会議やまちづくり協議会の場などを活用し、関係者間でまちの将来像を共有すること等によって、空き家をそのままにしないとの意識を地域レベルで醸成する。

・ 地域コミュニティの担い手である自治会等による所有者への働きかけ、コミュニティ活動等の機会を通じた空き家の把握・見守りや地域のニーズに応じた空き家利用などの先進的な取組について横展開する。

・ 地方自治体やNPO 等が、空き家所有者と地域コミュニティにおける空き家活用ニーズとをマッチングする等の活動を促進する。

5.おわりに

今後の空き家の増加に伴い、空き家対策は、ますます重要になるとともに、所有者の高齢化が進むことを踏まえれば、可能な限り早急な対応が求められる。

本とりまとめにおいては、空き家の現状及び課題を踏まえ、空き家の発生抑制、活用促進、適切な管理・除却の促進、NPO 等の民間主体や地域コミュニティの活動の促進のそれぞれの観点から、今後取り組むべき空き家対策について提言した。

ここで示した対策は、様々な政策分野に関連することから、空家法を所管する国土交通省及び総務省をはじめ、各種政策を所管する省庁間の緊密な連携の下で進められるべきものである。また、国、地方公共団体、関係業界・団体、NPO 等の民間主体といった多くの関係者との連携が不可欠である。

国においては、本とりまとめに基づき、法制度、予算・税制等を含め、必要な措置を講じるとともに、今後も空き家及び対策の状況を継続的に把握・検証し、今回継続的に検討する取組とした事項も含め、必要な検討及び政策立案等に取り

組むことを強く期待したい。その際は、空き家の所有者や活用希望者、地方自治

体や関連する活動を行うNPO 等の民間主体が空き家対策に円滑に取り組むことができるよう、多くの地方自治体や関連団体で構成される全国空き家対策推進協議会の場をはじめとして様々な場をフル活用し、施策の徹底した周知に特に留意して欲しい。

本とりまとめが、関係者による空き家対策の実践につながり、空き家の発生抑制、活用促進等が進み、生活環境の保全、コミュニティの活性化、地域の経済活性化が現実のものとなることを確信している。

社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会

委員名簿

(委員は 50 音順・敬称略)

委員長 中川 雅之 日本大学経済学部教授

委員長代理 齊藤 広子 横浜市立大学国際教養学部教授

上田 真一 NPO 法人空家・空地管理センター代表理事

大久保 恭子 (株)風 代表取締役

大月 敏雄 東京大学大学院工学系研究科教授

北村 喜宣 上智大学法学部教授

小出 譲治 千葉県市原市長

汐見 明男 京都府井手町長

沼尾 波子 東洋大学国際学部教授

増山 昌章 栃木県栃木市副市長

~ 16 ~

社会資本整備審議会 住宅宅地分科会 空き家対策小委員会

(オブザーバー、関係省庁・部局)

オブザーバー

公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会

公益社団法人 全日本不動産協会

一般社団法人 不動産協会

一般社団法人 不動産流通経営協会

一般社団法人 全国住宅産業協会

関係省庁・部局等

国土交通省 不動産・建設経済局 土地政策課

不動産業課

国土交通省 都市局 都市計画課

まちづくり推進課

国土交通省 住宅局 住宅企画官付

住宅経済・法制課

住宅総合整備課・住環境整備室 【事務局】

住宅生産課

市街地建築課

総務省 地域力創造グループ 地域振興室

自治税務局 固定資産税課

法務省 民事局

内閣府 地方創生推進事務局

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