法制審議会信託法部会第31回会議 議事録

法制審議会信託法部会
第31回会議 議事録
 
 
 
 
 
 
 
第1 日 時  平成28年6月7日(火)   自 午後1時30分
                       至 午後4時58分
 
第2 場 所  法務省第1会議室
 
第3 議 題  1 信託法部会再開の趣旨等について
 
         2 公益信託法の見直しにおける主な検討課題について
 
第4 議 事 (次のとおり)
 
議        事
○能見部会長 それでは,予定した時間になりましたので,法制審議会の信託法部会第31回会議を開会したいと思います。
  本日はお忙しいところお集まりいただきまして大変ありがとうございます。
  この信託法部会は実は前回というのが,第30回ということですけれども,もう約10年前ということになります。それ以来公益信託の問題がまだ片付いていなかったのでいずれ再開する予定だったわけですけれども,今日に至ってしまったわけであります。
  いずれにつきましてもこの部会を再開するに当たりまして,その再開の趣旨につきまして事務当局から説明を申し上げます。
○中辻幹事 私は法務省民事局で参事官をしております中辻と申します。
  今回新たに信託法部会の委員・幹事に任命された方も多うございますので,本日の議事に入ります前に,法制審議会及び部会について若干御説明申し上げます。
  法制審議会は法務大臣の諮問機関でございます。その根拠法令である法制審議会令によれば,法制審議会に部会を置くことができるとなっております。信託法部会は平成16年9月8日に開催されました法制審議会総会第143回会議におきまして法務大臣から信託法の見直しに関する諮問第70号がされ,これを受けましてその調査の審議のために設置することが決定されたものでございます。
  法制審議会に諮問された事項は,「現代社会に広く定着しつつある信託について,社会・経済情勢の変化に的確に対応する観点から,受託者の負う忠実義務等の内容を適切な要件の下で緩和し,受益者が多数に上る信託に対応した意思決定のルール等を定め,受益権の有価証券化を認めるなど,信託法の現代化を図る必要があると思われるのでその要綱を示されたい。」というものであります。
  これを受け,信託法部会は平成16年10月1日の第1回会議から平成18年1月20日の第30回会議まで約1年4か月にわたる御議論を経て「信託法改正要綱案」を取りまとめ,それが平成18年2月8日に開催された法制審議会総会第148回会議において,「諮問第70号については,現在,信託法部会において審議中であるが,私益信託に関する制度の部分につき,信託法改正要綱のとおり答申する。」として,法務大臣に答申されました。これを受け,信託法案が国会に提出され,平成18年12月8日に新信託法が成立しています。
  ところが,その際,旧信託法第66条以下に規定のあった公益信託に関する制度の部分については実質的な見直しが行われず,新信託法の整備法において旧信託法の題名を「公益信託ニ関スル法律」と改正した上で,旧信託法第66条以下の規定の内容を基本的に維持し,新信託法との調整を図る観点から若干の改正が行われるにとどまりました。
  そのため,通常ですと改正要綱決定の時点で法制審の部会は終了ということになるわけですが,将来の公益信託の見直しに備えて信託法部会は休止という取扱いが例外的にされていたものです。
  このような経緯を踏まえますと,旧信託法のうち私益信託の部分に関する部分は10年前に改正要綱ができておりますが,平成16年の諮問事項は旧信託法のうち公益信託の部分に関する改正も念頭に置いていたものであり,諮問事項の文章の前後に「社会・経済情勢の変化に的確に対応する観点から」,「信託法の現代化を図る必要がある」という文言があることからしても,この度公益信託法制の見直しを行うために信託法部会を再開するに当たって当時の諮問事項はそのまま維持されるものと考えております。
  それでは,本日からの審議に先立ちまして,まず委員の小川民事局長から御挨拶申し上げます
○小川委員 民事局長の小川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  信託法部会の第31回会議の開催に当たりまして一言御挨拶を申し上げたいと思います。
  皆様には御多用の中,この度再開されました信託法部会の委員・幹事に御就任いただきまして,誠にありがとうございます。
  御承知のとおり,公益信託は,個人の篤志家や企業などの委託者がその保有する財産を学術,技芸,慈善等の公益目的のため受託者に信託し,受託者が信託財産を管理,運用して公益目的の信託事務を遂行するものであり,大正11年に制定されました旧信託法にも当初から公益信託に関する条文が設けられておりました。
  そして,平成16年,旧信託法の見直しについて法制審議会への諮問がされました当時におきましては,私益信託の部分のみならず公益信託の部分も含めて旧信託法の全ての現代化が予定されておりましたが,その当時公益信託と社会的に同様な機能を営む公益法人制度について全面的な見直しが進められていたことから,公益法人制度改革の趣旨を踏まえつつ,公益法人と公益信託の間で整合性のとれた制度設計をするために,旧信託法のうち公益信託に関する部分については実質的な改正が行われず,結果として「公益信託ニ関スル法律」として片仮名文語体のまま残された状態にございます。
  このように,公益信託法制については,平成18年の新信託法制定のときから将来の見直しが予定されておりました。その後,法務省といたしましても平成20年12月からスタートした新たな公益法人制度の下での公益社団法人,公益財団法人への移行状況を見守ってまいりましたが,新制度への移行期間が平成25年11月に満了したことも受けて,この度信託法部会を再開させていただいたと,こういう経緯でございます。
  公益信託法制の見直しに当たりましては,先ほど申し上げましたとおり,公益法人制度との整合性に留意するほか,他方では,法人と信託の違いを踏まえた上で,公益信託の適正な利用を促進するための新たな認定,監督の仕組みを構築していく必要があると考えられます。また,公益信託が受益者の存在する一般の信託と異なる類型であることから,一般の信託における私法上の法理を公益信託にどこまで適用すべきかという観点も重要になると考えられます。
  そこで,これらの点を中心とし,法制審議会で御検討いただくべく,この度新たなメンバーを含めて皆様に御参集していただくに至った次第でございます。
  私どもといたしましては,新信託法制定の際に宿題として残された課題であります公益信託制度の見直しの審議が充実したものになるよう最大限の努力を致す所存でございますので,委員・幹事の皆様にはより望ましい公益信託法制の構築のために御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
  私からの挨拶は以上でございます。
○中辻幹事 本日は平成16年10月1日の第1回から通算して第31回目の信託法部会となりますが,再開後第1回目となる会議であり,10年前の会議体と比較して一部の委員・幹事に入れ替わりがあり,関係官は全て新任となっております。そのため,委員・幹事及び関係官の方々には簡単な自己紹介をお願いしたいと存じます。
  あわせて,この機会に関係官について補足して説明しておきますと,法制審議会議事規則により,審議会においてはその調査審議に関係があると認めた者につき,これを関係官として参加させることができる旨定められております。
  それでは,皆様,所属と氏名等の自己紹介をお願いいたします。研究者の委員・幹事の方々には専攻の研究分野もごく簡単に御紹介していただければ幸いです。順序は,能見部会長から順次右回りで着席順にお願いいたします。
○能見部会長 能見でございます。学習院の法科大学院で民法を教えています。それから信託は現在法科大学院では授業を開いておりませんけれども,研究の対象にしております。どうかよろしくお願いいたします。
○小川委員 それでは,改めまして,民事局長の小川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○金子委員 民事局担当の審議官をしております金子でございます。よろしくお願いいたします。
○筒井幹事 民事法制管理官の筒井でございます。どうぞよろしくお願いします。
○松元関係官 民事局で調査員をしております松元と申します。よろしくお願いいたします。
○高橋会長 法制審議会の会長をしております高橋宏志でございます。民事訴訟法を専門にしております。
○新井委員 中央大学の新井です。大学では民法と信託法を教えております。よろしくお願いします。
○小野委員 弁護士の小野です。よろしくお願いいたします。
○小幡委員 上智大学の小幡と申します。私専攻は行政法でございまして,今回初めて参加させていただいております。東京都の公益法人等審議会の会長を今はしております。よろしくお願いいたします。
○川島委員 労働組合連合の川島と申します。よろしくお願いします。
○神田委員 学習院大学の神田と申します。商法を専攻しております。よろしくお願いいたします。
○道垣内委員 東京大学の道垣内と申します。民法を専攻しております。よろしくお願いいたします。
○中田委員 東京大学の中田と申します。民法を専攻しております。よろしくお願いいたします。
○岡田幹事 内閣法制局の岡田でございます。よろしくお願いいたします。
○沖野幹事 東京大学の沖野でございます。民法を専攻しております。どうかよろしくお願いいたします。
○河合幹事 総務省で管理室長をしております河合と申します。よろしくお願いします。
○神作幹事 東京大学の神作と申します。商法を専攻しております。よろしくお願いいたします。
○佐藤幹事 金融庁総務企画局信用制度参事官の佐藤と申します。銀行法ですとか信託業法などの法制度を担当しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○棚橋幹事 最高裁判所民事局局付の棚橋と申します。よろしくお願いいたします。
○長谷川幹事 経団連の長谷川と申します。よろしくお願いいたします。
○林幹事 大阪弁護士会の弁護士の林邦彦でございます。よろしくお願いいたします。
○渕幹事 神戸大学の渕圭吾と申します。租税法を専攻しております。よろしくお願いいたします。
○松下幹事 東京大学の松下淳一です。民事手続法を専攻しております。よろしくお願いいたします。
○樋口委員 東京大学の樋口と申します。私は英米法や医事法を教えております。よろしくお願いいたします。
○深山委員 弁護士の深山と申します。今回から参加させていただきます。よろしくお願いします。
○山田委員 神戸大学の山田誠一と申します。民法を専攻しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本委員 京都大学の山本敬三と申します。民法を専攻しております。よろしくお願いいたします。
○吉谷委員 三菱UFJ信託銀行の吉谷と申します。よろしくお願いいたします。
○明渡関係官 内閣府の公益法人行政担当室で参事官をしております明渡と申します。よろしくお願いいたします。
○佐藤関係官 法務省民事局の局付の佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○木村関係官 法務省民事局で局付をしております木村と申します。よろしくお願いいたします。
○立川関係官 同じく局付をしております立川と申します。よろしくお願いします。
○中辻幹事 改めまして,民事局参事官の中辻でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは,皆様,自己紹介をどうもありがとうございました。
  本日は委員・幹事の皆様御出席の予定ですけれども,平川委員が遅参される旨伺っております。また,小幡委員,沖野幹事,神作幹事は所用により途中退出される旨伺っております。
  さて,法制審議会令によりますと,部会長は,当該部会に属する委員の互選に基づき,会長が指名することとされております。本日の部会は,平成16年10月1日の第1回信託法部会で指名され,30回にわたる御審議を経て私益信託の部分につき信託法改正要綱案を取りまとめられた能見部会長の下に開かれておりますが,能見部会長から,冒頭委員・幹事の皆様に御提案したいことがある旨伺っております。
○能見部会長 ただいま中辻参事官からお話ありましたように,今回の信託法部会はいろいろな争点も相当あり,私としては少し自分,こういうことは余り言いすぎてはいけないのですが,少し自由な立場で発言したいということもありまして,今回は会長を辞して一般の委員として皆さんと一緒に議論に参加させていただければと思います。
  前回の信託法の私法的な部分についてはいろいろな論点,それも相当な争点がありましたけれども,今回は公益性というある意味で一層広く難しい領域の中でどういう活動を公益信託が担うべきかという点が中心的な問題を占めることになるのではないかと思いまして,この問題に関しては私としては個人的な意見を述べたいというふうに思っている次第でございます。そこで部会長としてではなく,一委員として議論に参加させていただきたいということでございます。
  そうしますと,次の部会長を選任していただくことになるわけですけれども,私といたしましては,次の部会長として中田委員を御推薦申し上げたいというふうに考えております。中田委員は,前回の信託法部会の際も,実は私の部会長代理を務めていただきました。それから,御承知の方も多いと思いますけれども,東京都の公益認定等審議会の会長をされておられたこともありますし,今回商事法務研究会でいろいろと公益信託の準備的な研究をしたときもその座長を務めていただきました。そういう意味でも,また,民法や信託法の分野におけるこれまでの業績からしても,最適な方であると思います。かつ,今申し上げましたようにいろいろ争点がある中でこの問題を公平に扱っていただける方だと思いますので,是非中田委員に次の部会長をお願いできればというふうに考える次第であります。
  ということで,皆様の御意見いかがでございましょうか。
○神田委員 新しい部会長に中田委員が適任であるとの能見委員の御意見に賛同いたします。
○能見部会長 ほかの御意見よろしいでしょうか。
○中辻幹事 どうもありがとうございました。
  ただいま能見部会長から信託法部会の部会長をこの度辞され一委員として参加されたい旨のお話があり,誠に残念ですが,次の部会長としては中田委員を推薦するとの御発言がございました。また,神田委員から同様の御発言を頂いております。
  それでは,ほかに御意見がないようですので,新たな部会長には中田委員が互選されたものと認めます。
  その上で,本日は法制審議会の高橋会長に御出席いただいておりますが,高橋会長におかれてはいかがでございましょうか。
○高橋会長 民法や信託法の分野におきまして中田教授の業績が顕著であるという皆様の御認識,私も同様でございます。
  さて,そこで法制審議会会長といたしまして,皆様の互選の結果に基づき,中田委員を新たな部会長に指名したいと思っております。
○中辻幹事 ありがとうございます。
  ただいま,高橋会長から中田委員を新たな部会長に御指名いただきましたので,能見委員と中田委員にはお席を交代していただき,以後,中田部会長に進行をお願いしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
○中田部会長 ただいま新たな部会長に指名されました中田でございます。私としましては能見委員に引き続き部会長をお務めいただければと思っておりますが,先ほどのお考えを承り,また皆様から互選いただきましたので,力不足ではございますが,部会長の職責を果たしたいと存じます。議事が公平,かつ円滑に進みますよう,誠心誠意部会を運営してまいりますので,皆様方の御協力のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
  なお,法制審議会令によりますと,部会長に事故があるときにその職務を代行する者をあらかじめ部会長が指名しておくこととされております。そこで,万一の事態に備えましてこの指名を行っておきたいと思います。
  ここには信託法や公益法人法などの分野における優れた御業績,御経歴をお持ちの方が大勢おいでですが,そのお一人でいらっしゃいます道垣内委員を部会長代理に指名したいと思います。
  道垣内委員,よろしいでしょうか。
○道垣内委員 指名ですので,お引き受けします。
○中田部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○中辻幹事 ここで高橋会長は所用のため退席させていただきます。どうもありがとうございました。
○高橋会長 失礼します。
○中田部会長 それでは,まず配布されている資料について事務当局から説明をしていただきます。
○中辻幹事 御説明いたします。
  再開前からの連番で部会資料の番号を付けておりますが,部会資料31を皆様に事前に送付させていただきました。また,参考資料1「公益信託法改正研究会報告書」,参考資料2「公益信託法の見直しの検討状況について」,参考資料3「公益信託に関する従前の部会での議論の経緯」,参考資料4「公益信託の引受け許可審査基準等について」も事前にお届けしております。
  さらに,当日配布資料として,平川委員及び本日参考人としての招致を予定しております一般社団法人信託協会の方々から提供いただいた資料等を配布させていただいております。
  もし本日お手元にないということでございましたら多少の予部は用意しておりますので,お申し付けください。大丈夫でしょうか。
  では,まず部会資料31は「公益信託法の見直しにおける主な検討課題の例」という題名のもので,事務当局において作成したものでございます。今回から信託法部会に参加された方は31という番号を見て少し驚かれたかもしれませんが,10年前の信託法部会では部会資料30として「信託法改正要綱案」が配布された段階で休会となっておりますところ,区切りのよい番号でもありますので,その次の31から今回部会資料の番号を付けさせていただいたということになります。この資料の内容につきましては後ほど説明させていただきます。
  次に,参考資料の説明に移ります。参考資料1は,昨年の平成27年4月から12月まで,公益社団法人商事法務研究会において開催された公益信託法改正研究会の報告書です。
  参考資料2は,研究会報告書が大部にわたるものであることから,その要点を適宜まとめて一般の方々にできるだけ内容を分かりやすく説明しようとしたものです。
  参考資料3は,信託法部会第1回から第30回までの間に公益信託の部分について議論された際の部会資料や議事録を時系列順にまとめて抜粋し資料化したものです。10年前の部会での議論は私益信託に関する部分が中心でしたし,第1回から第30回までの全部の資料を新たな委員・幹事の方々にお渡しするのはかえって御負担になるかと思い,このような取扱いをしております。
  なお,第30回までの議事録を細々見ていきますと,例えば第30回の部会の最後に公益信託の部分については事務当局の側から将来の見直しを予定しているので,その際には御協力をお願いしたい旨の発言があるほか,部会資料2「信託法制研究会報告書」のうちの公益信託に関する部分には,部会資料16のもととなっている文章が記載されていたり,平成17年7月に作成された信託法改正の要綱試案においては,公益信託について主務官庁制を廃止するものとするかどうかについては,公益法人法制の改正の動向を踏まえてなお検討するものとすると記載されていたりするのですが,最終的な要綱に至るまでの議論の経緯をおおむねお分かりいただければ足りると考えたことから,完全に網羅的なものとはしておりません。
  参考資料4は,「公益信託の引受け許可審査基準等について」と題する行政文書であり,現在の各主務官庁における事実上の許可基準となっているものです。
  さらに,委員・幹事・参考人からの提出資料ですが,まず平川委員から「公益法人・一般法人関係法令集」という書籍を御提供いただいております。また,参考人招致を予定しております一般社団法人信託協会の岩田業務部長から,公益信託のパンフレットやアンケート調査結果など,本日の御説明に関連する資料一式を提出していただいております。
  進みまして,これらの資料の公開の関係について御説明いたします。現在法務省ホームページには法制審議会及びその部会の審議の状況等を公開するページがあり,それを見ていただくと分かるのですが,10年前の信託法部会については各回の議事概要が掲載されるとともに議事録が非顕名で掲載されている一方,各回の部会資料は掲載されておりません。だからといって部会資料が非公開だったというわけではなく,当時から部会資料も公文書公開の対象となっていたのですが,信託法部会が休止になった後開催された平成18年11月20日の法制審議会総会第151回会議より以降,会議用資料,すなわち資料番号を付してある審議資料及び審議に直接関係する参考資料は原則として議事録とともに法務省ホームページに記載することとされており,例外として当該資料が配布された会議の会長又は部会長の判断により,その全部又は一部を掲載しないことができるという決定がなされております。
  その時点で,法制審議会総会第151回会議以前の部会資料及び参考資料はホームページでの公開対象外とされていることから,遡及して掲載することにはなりませんが,これから再開する信託法部会については,総会の決定に従い,部会資料及び審議に直接関係するものとして法務省から配布する参考資料はホームページに掲載することを考えております。
  また,部会資料及び参考資料以外の会議用資料の取扱いについては,中田部会長と御相談しつつ決めさせていただきたいと存じますが,各委員・幹事や参考人から御提供いただきました資料については,部会で配布した後,法務省のホームページに部会資料,参考資料及び議事録と併せて公開する可能性があるということになろうかと存じます。
  配布資料の説明は以上でございます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  配布資料について御不明な点などございませんでしょうか。
  それでは,これから審議に入りますが,その前に再開後の当部会における議事録の作成方法のうち,発言者名の取扱いについてお諮りしたいと存じます。
  まず,現在の法制審議会での議事録の作成方法について,事務当局から説明をお願いします。
○中辻幹事 それでは,法制審議会の部会における議事録の作成方法のうち,発言者名の取扱いについて御説明いたします。
  先ほど御説明したとおり,10年前の信託法部会につきましては議事録は非顕名の上で公開されております。その後,平成20年3月26日に開催されました法制審議会の総会におきまして次のような決定がされています。すなわち,「それぞれの諮問に係る審議事項ごとに,部会長において,部会委員の意見を聴いた上で,審議事項の内容,発言者名を明らかにすることにより自由な議論が妨げられるおそれの程度,審議過程の透明化という公益的要請等を考慮し,発言者名を明らかにした議事録を作成することができるという範囲で議事録を顕名とする。」というものです。
  したがいまして,再開後の当部会の議事録につきましても,発言者名を明らかにしたものとすることでよいかどうかを御検討いただく必要があるものと存じます。
  なお,御参考までに,先ほど申し上げた総会の決定後に設置された部会のうち,民事法の分野に関するものは,いずれも発言者名を明らかにする議事録を作成するものとされております。
○中田部会長 ただいまの事務当局からの御説明につきまして御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。
○山本委員 今事務当局から御説明がありましたように,平成20年の法制審議会総会の決定から後,民事法の分野では発言者名を明らかにする議事録が作成されるようになりまして,審議の過程が外からも非常によく分かるようになりましたし,後から議論の流れを検証することも容易になりました。これは,立法に向けてコンセンサスを形成する上でも大変有益であると思います。私自身も,これまでこの発言者名を明らかにする議事録の作成を審議会で経験してきましたが,名前が開示されるからといって発言が妨げられたと感じたことはありませんでした。したがいまして,今回も議事録の作成に当たっては発言者名を明らかにすることが適当だと考えられます。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
  ただいま山本委員から議事録の作成に当たっては発言者名を明らかにすることが望ましいという御意見がありました。部会長の私といたしましても,当部会につきまして審議事項の内容等に鑑みて,発言者名を明らかにした議事録を作成することがよいと思います。
  そのようにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
  それでは,再開後の当部会につきましては発言者名を明らかにした議事録を作成することといたします。
  それでは,本日の審議に入ります。
  まず,事務当局から今回の部会における検討の対象,審議スケジュール等について説明をしていただきます。
○中辻幹事 それでは,御説明させていただきます。
  今回再開後の信託法部会における検討の対象は,平成18年の信託法改正の際に積み残しの課題とされてしまった公益信託に関する部分であり,私益信託に関する部分は基本的には対象から外れます。したがって,今回の部会では公益信託法に規定されている公益信託の認定や監督に関する信託法の特則の規律の見直しを中心に議論していただくことになると思います。もっとも,新信託法で導入された目的信託の部分など,公益信託に関連する部分につきましては議論の対象となると考えております。
  そして,従前の信託法部会における議論の体制として,主務官庁による許可制は廃止する方向性が示されていたことを踏まえますと,仮に主務官庁制を廃止した場合における新たな公益信託の認定機関についての規律についても検討する必要があると考えられます。
  ただし,法人と信託の制度的な相違や公益財団法人に比べて簡易に設定できるという公益信託のメリットを維持する必要性についても配慮しなければならないことから,新たな公益法人において採用された認定基準や監督の仕組みを単純に公益信託に持ち込めばよいというのではなく,公益信託の特性に応じた仕組みを構築する必要がございます。
  また,公益法人法制など他の類似の制度との整合性も重要ですが,主務官庁制の廃止イコール特定の行政庁が認定監督機関となることが導き出せるわけではありません。そのため,まずは新たな公益信託の認定基準,監督の仕組みをしっかりと部会で御議論いただいた上で,公益信託の認定,監督を行う機関に関する規律については考えていく必要がございます。
  公益信託法の見直しに当たっては,以上申し上げたような留意すべき点を踏まえつつ,実質的な見直しを行うことになろうかと思います。また,現在の公益信託法は題名及び条文が片仮名文語体であることから,現代語化も併せて行うことが適切ではないかと考えております。
  次に,日程等の進行について御説明いたします。私どもとしましては余り先の日程までは見通すことができない一方で,お忙しい皆様にはできる限り先の時期の予定までお分かりになった方が便宜ではないかと考え,具体的な日程として,平成28年度いっぱい,すなわち来年3月までの間の具体的な日時を確保させていただいております。
  会議の場所はこの法務省20階第1会議室で原則として行いたいと考えておりますが,他の会議のために予約されているなど差し支えの場合には法務省内の他の会議室を使用いたします。
  今後の審議の見通しですが,この部会では月1回のペースで御審議いただき,平成29年1月ころにはいわゆる一読を終え,その後議論の分かれた論点につき二読,三読という作業に入っていくことになろうかと思います。その先については現時点で確たる見通しを示すことは困難ですが,この部会での御議論を集約した形で公益信託法改正の中間試案的なものを作成し,それをパブリックコメントに付していくことになろうかと存じます。
  次に,信託というと勢い難しい学説や議論が頭をよぎりますが,私どもとしましては公益信託の実務,実態に即した国民にとって分かりやすい議論が必要であると考えております。そこで,本日は現在の公益信託の受託者の大部分を占める信託銀行が加入する信託協会業務部の岩田部長,同協会の今年度の幹事行である三菱UFJ信託銀行リテール受託業務部の藤原次長及び堤調査役から,参考人という立場で公益信託の現状や課題について御説明いただき,委員・幹事の皆様に公益信託の現状や問題点について共通の認識を持っていただくことを考えております。
  また,税制の知見も重要であることから,本年秋頃に公益信託税制等について所管の財務省主税局の方から参考人として説明していただくことも検討しているところでございます。
  私ども事務当局が現時点で考えております審議の対象や部会の進行はおおむね以上のとおりであり,今後も中田部会長の御指示を仰ぎながら円滑な運営に努めてまいりたいと存じます。
  なお,部会における実質審議は,次回以降に行うこととし,本日はフリートーキングの回として自由な意見交換をお願いしたいと考えております。
○中田部会長 ありがとうございました。
  途中ですけれども,平川委員がお見えになりましたので,御所属,お名前等だけで結構でございますので,自己紹介をお願いいたします。
○平川委員 遅くなりまして申し訳ございません。公益法人協会監事を務めております弁護士の平川純子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○中田部会長 よろしくお願いいたします。
  ただいま中辻幹事から部会における検討の対象範囲,参考人の招致,審議スケジュール等の御説明を頂きました。ただいまの説明や提案について御質問や御意見などございますでしょうか,お出しください。
○小野委員 フリートーキングということもあって今のお話の関連で口火を切らせていただきます。
  私益信託と公益信託という分類ですけれども,純粋に私益,純粋に公益であれば分かりやすいかもしれませんが,実際には両者間のボーダーは明確ではなくグラデーションの掛かった分野があると思います。
  また,目的信託についての議論は当然されるわけですけれども,目的信託は民事信託の中に位置付けられるので,そうすると公益信託の議論が中心であるとしても,民事信託の議論にもある程度及ばざるを得ないと思います。また,ちょうど今回の信託法学会でも信託法施行から10年ということで,現在の信託法は機能していますが,それでも少し手直しした方がいいところという観点から恐らく学会で発表があるのかと思います。従いまして,必要な限度において信託法自体の見直しの議論も,せっかくの重要な機会なのでしてもよろしいのではないかと思います。もちろん公益信託が中心であるということは分かっていますが,日弁連としても弁護士がどういう形で活躍できるかということ,もちろんそれは弁護士のための話ではなくて国民のためということですけれども,民事信託全体についての考え方も検討したいと昨日の日弁連でのバックアップ会議でも議論させていただきました。
○中田部会長 ありがとうございます。中身につきましてはまた後ほど御議論いただくことがあろうかと思いますが,今その全体の枠組みについて広い観点から検討すべきであるという御意見を頂戴いたしました。
  ほかにございますでしょうか。
○道垣内委員 小野委員がおっしゃったことに理念的に反対するものではないのですけれども,手続的に可能かどうかということをお教えいただければと思います。と申しますのは,本部会は今回31回目で,公益信託以外の部分について既に要綱案を出したわけですね。それに基づいて制定された法律の改正を,今回のこの部会で要綱案として出すというのは自らの出した要綱案の修正を自らが後発的に行うということになるわけですが,そのようなことが可能なのでしょうか。それとも今回は前回の要綱及び要綱を基にしてなされた法律というものは固定されているものとして考えることになるのか。システムの問題としてどうなのかということを確認できればと思います。
○中田部会長 いかがでしょうか。
○中辻幹事 基本的には私益信託の部分につきましては道垣内委員御指摘のとおり10年前に要綱を頂いておりますので,今回の議論の対象にはならないということでございます。一方で,小野委員が言われましたように,公益信託と私益信託の分類には若干不分明な点もございます。また,目的信託は,新信託法上「受益者の定めのない信託」と定義されておりまして,受益者の定めのない信託の中に公益信託が位置付けられるという構造になっております。
  そうしますと,公益信託と目的信託との関係についてはこの場で議論していただくことになるのだろうと思います。また,飽くまで公益信託が中心ですけれども,私益信託のうち,民事信託の中には例えばいわゆる福祉型信託もあるところ,そのような信託と公益信託との関係性等についても御議論いただけるのではないかと考えております。
○能見委員 既に前の答申で決められたことを言わば覆すような修正するような形の議論をここでしてよいのかどうかは,そのことの是非を議論して,この部会としてのスタンスを決めないとできない感じがします。ただ,前回の信託法の審議の際に議論が不十分であったという点はいろいろあるのだろうと思うのですね。どこが不十分であったか自体も議論しなければなりませんが,例えば,信託管理人などというのは,これから公益信託に関しても議論されると思いますが,私益信託における信託管理人の規定が公益信託のことを考えると,場合によっては修正が必要になるかもしれない。そういう問題は出てくることがあり得るので,最終的にどのような形で対処するかはともかく,そういう意味ではある程度オープンに議論されるというのがよろしいのではないかという感じがいたします。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
  飽くまでも公益信託が中心である。それから,既に答申を出しているという枠組みもある。しかし,だからといって非常に固定的に考えるのではなくて,公益信託という観点から更に柔軟に考えていく,という辺りが皆様の大体のお考えかと承りました。
  今の点,あるいはほかの点でも結構ですが,更にございますでしょうか。
○深山委員 今,部会長がまとめていただいたので,それで理解したつもりではあるのですが,若干確認させていただくと,私益信託を視野に入れて議論をするというのは単に議論するということにとどまるのか,その結論として現行の信託法の規律に何らかの修正なり追加なりが立法として可能なのか。もちろん何らかの規律を作るときにどの法律に置くのかというのは技術的な問題もあるのだろうと思うのですが,既に前回の答申に従った信託法というのはもう成立している法律で現行法になっているわけですので,私の理解としては,そこに対する修正なり規律を加えるような規律であっても,そしてそれが現信託法の修正というか一部改正という形であっても,この部会でそういうことを内容とする答申をすることは許されるのではないかという気がいたします。しつこいようですけれども,単なる議論だけではなくて,結論として現行信託法にも手を加えるような答申も可能なのかどうかという辺りについてもう少しお聞かせいただければと思うのですが。
○中辻幹事 繰り返しになりますが,基本的には私益信託の部分については10年前に要綱が出ていますので,それを尊重することになるのだろうと考えます。ただ,時間軸として10年という時間がたっていることも踏まえますと,公益信託の部分の見直しに当たって必要となる限度においては私益信託の部分についても御審議の対象になるのではないかと思います。
  ただし,公益信託については,私益信託に関する現行信託法の規定に関する特則を設ければ,その規定の公益信託への適用はなくなるわけで,それができずに私益信託に関する現行信託法の規定を変えなければならないような事態というのはなかなか考えられないようにも思います。
○中田部会長 深山委員,よろしいでしょうか。
  ほかによろしいでしょうか。
  それでは,ここでの審議対象については今御意見いただいたようなことになろうかと思います。
  さらに,審議スケジュールでございますけれども,事務当局から提案していただきましたように,いわゆる一読として各論点についての議論を一通り行う目標を平成29年1月頃とするということにしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
  それでは,そのようにさせていただきます。
  次に,事務当局から提案がありました参考人の招致につきましては特段の御異論がなかったように思います。そこで,御提案のとおり,まず本日の部会に参考人として信託協会業務部の岩田部長,三菱UFJ信託銀行リテール受託業務部の藤原次長及び堤調査役をお招きすることを決定してよろしいでしょうか。
  それでは,そのように決定させていただきます。
  では,早速ですけれども,参考人の方々から公益信託の現状等について御説明を頂き,その後若干の質疑応答の時間を設けたいと存じます。3人の参考人から続けてお話を伺った後,質疑応答に移ります。参考人の岩田部長,藤原次長,堤調査役,どうぞよろしくお願いいたします。
○岩田参考人 信託協会業務部長をさせていただいております岩田でございます。よろしくお願いいたします。
  それでは,公益信託制度の概要について御報告申し上げたいと思います。お手元に資料として4種類お配りさせていただいております。一つ目は,パンフレット「公益信託-その制度とあらまし-」という冊子です。二つ目ですが,薄い冊子ですが,「あなたの思いが社会に活きる公益信託」というリーフレットをお配りしております。三つ目ですが,ニュースリリース「公益信託の受託状況」,平成28年3月末現在ということでお配りさせていただいております。四つ目ですが,「公益信託事務に関するアンケート調査結果について」,こちら昨年3月に実施させていただいたものですが,こちらをお配りさせていただいております。今後の信託法部会の議論の御参考に御利用いただければと考えております。
  既に御承知の方も多く心苦しいところではございますが,公益信託制度の特徴等につきまして御説明申し上げたいと思います。
  こちらの「公益信託-その制度とあらまし-」を御覧いただければと思います。2ページを御覧いただければと思います。2ページ目,はじめにというところで,1行目にありますとおり,公益信託につきましては委託者である個人,法人が財産を一定の公益目的のために受託者に信託し,受託者がその財産を管理・運用して公益目的を実現するように任務を遂行するものでございます。
  公益法人同様,学術,技芸,慈善,祭祀,宗教その他公益を目的とする民間の資金を活用して,公益活動を行う制度として昭和52年の第1号受託以降御利用いただいているところでございます。
  公益信託の特徴ということで,2ページ目から3ページにかけて公益信託の特色を書いておりますが,1.の「設定の手続の煩わしさがありません」,2.の「設定後の運営も受託者が行います」,3.の「運営が効率的,弾力的に行えます」というようなことを記載させていただいておりますけれども,これは公益信託が公益財団法人に比べまして設立コストが低廉にとどまるとの軽量・軽装備の特徴を有している旨の記載でございまして,この特徴につきましては今後維持される方向で審議いただけるようにお願いしたく存じておるところでございます。
  次に,1枚めくっていただきまして4ページ,公益信託の仕組み図を御覧いただければと思います。まず,①コンサルテーションという上の所に記載がありますが,委託者,受託者の間で公益目的の選定,目的達成の方法,公益信託契約書の内容につき打合せがまず行われるところでございます。
  左手を見ていただきますと,②で受託者が公益信託の引受けの許可につきまして主務官庁に申請を行います。③ですが,主務官庁はこれを審査し許可をするということになっております。許可を受けた後,④ですが,委託者と受託者の間で公益信託契約の締結がなされるところでございます。
  ⑤ですが,監督等とございますが,主務官庁は公益信託の事務処理につきまして検査をしたり受託者に対して必要な処分を命ずることができるものとされているところでございます。
  ⑥ですが,信託管理人の所ですが,受託者の職務のうち重要な事項について承認を与えるということとしております。
  右下の⑦ですけれども,運営委員会等ですが,公益目的の円滑な遂行のため受託者の諮問により,助成先の推薦及び公益信託の事業の遂行について助言,勧告を行うということでございます。つまり,助言機関として機能していると認識しております。
  ⑧ですが,受託者運営委員会等の助言,勧告に基づきまして,その公益信託の目的に沿った助成先への助成金の交付を行うところでございます。⑨ですが,受託者は年1回一定の時期に信託財産の状況を信託管理人に報告し,⑩ですが,事業年度終了後3か月以内に事業状況報告書等を主務官庁に提出することにしております。つまり受託者は信託管理人や主務官庁のモニターを受けているというこういう仕組みになっております。
  5ページ目,「公益信託の取扱要項」とございますが,4ページの仕組みの説明で触れなかった点につき若干御説明申し上げます。3.受託者の所ですが,財産管理面での知識と経験を有している信託銀行等が受託者となるという記載がございます。信託銀行等以外の者も受託者とすべきかどうか論点として存在するかと思われますが,ここで列挙しております公益信託独自の事務を受託者が行っているという点についても御認識いただければと考えております。
  4.受給者ですが,通常私益信託では委託者,受託者,受益者の三つの当事者がいると説明がなされているわけですが,公益信託の場合,私益信託の受益者と同じ法的地位を有する者はいないという整理から「受給者」という用語が使われているところでございます。
  5ページ目から6ページにかけまして,5.事業内容について記載がございます。こちらでは助成事業以外の事業を行うことも許容するかどうかということはここでの議論になるかと思われますが,現状では基本的に助成事業のみが行われているというところでございます。
  6.の信託財産の種類ですが,公益信託法などではこの制限に係る規定はございませんが,税制上,金銭による引受けが原則ということになっております。
  次に,ニュースリリースを御覧いただければと思います。こちらのニュースリリースですが,6月6日,昨日公表いたしました本年3月末時点の公益信託のケースに係る資料でございます。3枚目を御覧いただければと思います。こちらにグラフがございますが,横長の所を御覧いただければと思います。平成14年頃ですが,御覧いただきますと約571件,733億円の件数残高であったわけですけれども,その後は徐々に減少し,本年3月末で信託銀行等を受託者とする公益信託の件数は479件,信託財産は624億円となっております。
  続きまして,1枚めくっていただきまして4ページを御覧いただければと思います。昭和52年以降,本年3月末までの累計の助成先数を示させていただいております。約19万件,給付額は799億円というところでございます。
  次に,5ページを御覧いただければと思いますが,信託目的別の件数,残高のリストを掲載しております。件数,残高とも奨学金支給が最も多く,次いで自然科学研究助成が多くなっております。次に件数では教育振興,残高では都市環境の整備・保全が多いということが示されております。
  ニュースリリースにつきましては以上でございます。
  続きまして,四つ目の資料,「公益信託事務に関するアンケート調査結果について」を御覧いただければと思います。当協会では公益信託事務で直面している問題点,つまりどのような要因で事務に手間が掛かっているのか,相談があっても受託に至らないケースとしてどのような要因があるのかということで,信託金融機関各社の公益信託事務担当者を対象に,昨年3月にアンケートを実施いたしました。本資料はその結果をまとめたものでございまして,公益信託研究会報告書にも収録されているものでございますが,改めてポイントを御紹介申し上げます。
  1ページ目,2.ですが,引受申請許可に要する期間でございます。委託者が設定に係る相談をされてから実際に引受許可に至るまでの期間別の件数についてお聞きしております。把握できる件数のうちDの6か月超~1年というところが最も多く,次いでEの1年超~が多いというような現状でございます。
  続きまして,2ページを御覧ください。(2)引受申請許可までの期間が6か月以上掛かる大きな要因についてお聞きしているところでございます。その回答としましては,Aの委託者からの御相談を頂いてから基金の制度骨子を固めるまでの委託者との調整に時間が掛かるというところが最も多く,次いでCの主務官庁とのやり取り関係の回答が多くなっております。
  続きまして,4ページを御覧いただければと思います。基金設定に至らなかったケースとして,相談の段階で公益性の観点から問題ありと判断された具体的なケースを回答いただいております。回答は5類型に分けられると認識しております。①,②ですけれども,受益範囲の問題があったケースが①,②でございます。それから,③ですが,金銭以外の財産拠出を希望されたようなケース。④として,当初財産規模の問題があったケース。⑤がその他のケースとなっております。
  5ページ目の所ですけれども,基金設定に至らなかったケースとして,(3)は主務官庁に事前相談して許可困難とされたケース,(4),(5)につきましては税制上の要件関連で問題になったケースの回答を記載させていただいております。
  6ページを御覧ください。4.公益信託の利用が低調であることの要因について各社担当者はどのように考えているかということを回答いただいております。最も多い回答はAの引受申請手続に時間,費用が掛かっている点。次いで多かった回答としましては,Fの公益信託が一般に知られていないという点が挙げられております。
  最後に,8ページ目を御覧いただければと思います。5.ですが,受託事務に関して制度改善が望まれることについて各社担当者にお聞きしております。回答としましては,税制関連の回答,信託報酬等に関する回答,引受許可申請事務に関する回答の3種類に分類できるかと思われます。引受許可申請事務の関係で指摘があるのは,例えば③の1ポツ目にあるように,主務官庁によって届出事項や様式がまちまちであるというような点。明文の規定はありませんが,主務官庁から10年の事業継続ができるレベルでの基金設定を求められるということがあるようなことが挙げられております。引受許可基準で信託報酬につきましては「人件費その他必要な費用を超えない」という規定がなされていることから,事務コストに見合う水準とすることについて各社担当者苦労されているというようなことも挙げられております。
  以上,公益信託の仕組み,最近の統計,実務者アンケートにつき御紹介申し上げました。今後の議論の参考としていただければ幸いでございます。
○中田部会長 どうもありがとうございました。
  あとのお二方の参考人,今の段階ではよろしいでしょうか。
  それでは,ただいまの御説明につきまして御質問などございましたらお出しくださいますようお願いいたします。
○能見委員 資料に書いてないことを伺って申し訳ないのですけれども,どういうところが主務官庁となるのが多いのか,主務官庁が都道府県である場合と国の諸官庁である場合とがあると思いますけれども,都道府県と国との割合とか,都道府県の中ではどういうところが多いとかいうものの状況が分かると,公益信託と主務官庁の関係についてのイメージが湧きやすいので,わかるようでしたら教えていただきたい。ただ,直ちに議論に何か反映するという問題ではないので,別に今回でなくても結構です。別の機会でも結構です。教えていただければと思います。
  このニュースリリースの5ページ目の所に公益信託受託状況というのがありますが,これの資料からどこが主務官庁であるとか,都道府県は別として,どこが国の場合には主務官庁かというのは大体のことはお分かりになるのだろうと思いますけれども。
○岩田参考人 御指摘のとおり,奨学金支給が全体の件数の3割,4割というところで多くなっておりまして,各地の教育委員会等が主務官庁ではかなり多くなっているということで認識しております。
○能見委員 単なる個人的な関心ですが,ここにある動植物の保護などというのは主務官庁はどこなのですか。あるいは都道府県なのかもしれませんが。
○岩田参考人 ここは少ないので,環境省とかになるのかもしれません,ちょっとそこは分かりません。
○中田部会長 能見委員,よろしいでしょうか。
○能見委員 はい。
○林幹事 能見委員の御質問に関わるところですが,信託協会さんのホームページでは公益信託のデータベースを拝見できますよね。幾らか拝見したら教育委員会とかもありますし,対象について市とか区とかそれなりに限定された地域の方々を対象としたものもあるようです。受託額については,本日の参考資料では1億円とかそういう数字も出ていたと思いますけれども,3,000万円とか4,000万円とか比較的小さなものもデータベースにはあったと思います。その辺りについてもう少し詳しく資料を拝見できたら有り難いです。例えば,どういう地域のどういう規模のどういうものの公益信託が現にあるのか,あとは受託額です。本日の参考資料では総額は書いてあって受託額の大小というのは出ていなかったと思いますので,そういうものも拝見できれば参考になると思いました。
○岩田参考人 御意見としては承りました。ホームページなかなか見づらいという御指摘も受けているところでございまして,ホームページの見直しの中で見やすくする工夫も今後検討させていただきたいと思います。御意見ありがとうございます。
○中田部会長 ほかに。
○小野委員 資料を見て大変関心をもった点として,普通考えると特定,また認定特定公益信託が多いのではと思っていたのですが,一般公益信託の受託もそれなりにあるようで,その場合の税務はどのように扱われているのでしょうか。目的信託としての扱いではないと思うのですけれども,その辺りについて教えていただきたい。
  また,初めから特定を取らないで不動産とか美術品とかそういうものについて一般公益信託としたいとの委託者からの要請があることもあるかと思うのですが,その辺の状況,実態とか,信託銀行としての取組などについてもお知らせいただければと思います。
○堤参考人 三菱UFJ信託の堤です。小野委員の方の御質問にお答えいたします。
  特定認定ではない一般の公益信託,これが件数的には一番多いことになっているかと思います。この一つの要因は,まず過去の古い公益信託につきましては特定認定というものは余り取られていなかったというのが事実かと思っています。最近の公益信託につきましては基本的にほとんど認定特定は取っている,若しくはその要件は全部満たしていますので,ある程度税制上の要件は満たすということでクリアかなりの部分はされているというふうに考えております。
  2点目の不動産とかを信託したいというようなお話があるかという御質問かと思いますけれども,そういった相談ゼロではございませんけれども,基本的にかなり少ないレアなケースですので,御相談が来た時点で難しいと,公益信託では難しいという取扱いになっております。
○小野委員 確認ですが,不動産ですと税務上特定が取れないのではないかと思うのですけれども,それでも一般公益信託を希望するということもあるのではないかと思いますが,そういう場合はいかがでしょうか。
○藤原参考人 三菱UFJ信託の藤原でございます。
  ほかの信託銀行さん,同業他社さんがどういう状況なのかは私も直接存じ上げないのですけれども,少なくとも当社に関しては当初から不動産でというような御要望を承った事例というのは私の知る限りではございません。
○岩田参考人 お聞きする範囲でございますけれども,一般公益信託でも相続税の関係で少なくとも特定の要件は満たすような形でお願いしているというケースはやはり大多数だということでお聞きしております。
○中田部会長 小野委員,よろしいですか。
  ほかに。
○沖野幹事 個別案件で恐縮なのですけれども,こちらのアンケート調査結果の5ページの所です。5ページの一番最初の所に主務官庁に事前相談したところ許可困難との反応があったものに該当した案件についての具体的な内容とあり,東日本大震災の遺児について震災時小中学生を対象としたというものについて相談したところ,未就学児も含むように求められたとあります。これは具体的には認可基準のどれが問題だということなのでしょうか。不特定多数の要件を満たさないということなのでしょうか。助成対象地域が限定されていたというのは地域の限定いかんによってはそうかなというふうにも思うのですけれども,未就学児の方はこれでやはり不特定多数は無理なのかという感じもするものですから,どういうところが問題であったのかということをお聴かせ願えればと思います。
  そして,その後の処理ですが,こういうことがあった場合には求めに応じて拡大してそして信託が設定されてはいるのか,それともそれは委託者の趣旨に沿わないということで断念されるということになったのか,それはお分かりになりますでしょうか。
○岩田参考人 前者の困難という指摘を受けた点なのですけれども,ここは残念ながらヒアリングできてなかったということなのですが,恐らく許可基準の,御指摘のとおり,「積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならない」というところだったのではないかとは想像されます。
  それで,このてん末ですけれども,ちょっとここは分かりません,寄附だけにしたのか断念されたのかというところは,すみません,ちょっとそこは把握できなかったところでございます。
○中田部会長 ほかに。
○小幡委員 私も今の件に関連してでございますが。アンケートのところで受益範囲の問題があると思われたケース,4ページにたくさんございまして。これは感想ですが,公益法人などの方が,例えば特定の大学等についても,大学に入るのは全員に開かれているからというようなことで割と公益性が緩い場合もありますので,それに比べるとかなりきついのかなと。ただ,地域の範囲ぐらいですと普通は大丈夫なのですかね。どこまで求められるのかなという,先ほどのとも関連しますが。
  それからもう1点は,報酬の基準について制度改善が望まれることという8ページの所でかなりいろいろ報酬についての記述がございますが。例えば認定特定の場合には事務量が非常に増えるけれども,それが反映されないというような話,これはただ認定になるから幾らというのはなかなか難しいのかと思うのですが。いずれにしてもこの基準については,一番最初に決めたのが変えられないとかいうのもございますが,この基準について,私分からないので質問ですが,非常に厳しく決められていて,もう契約後は動かせないというような状況になっているのかというのをお伺いできればと思います。
○中田部会長 今の2点についていかがでしょうか。
○堤参考人 それでは,三菱UFJ信託の堤から御回答いたします。
  まず1点目の受益の範囲の件なのですけれども,確かにおっしゃるとおり地域の限定につきましてはある程度認められていると思っております。私どもが回答したアンケートの回答ではない部分ですが,他社さんがそういうふうに思われているということかと思います。
  2点目の報酬につきましては,一般的に公益信託の場合は一応弊社の中では1,000分の15の報酬以内という形でやらせていただいています。ただ,そうは言っても,ここはまたいろいろと内部の規定等ございまして,それ以下のかなり低いレートで実際は引き受けていたというのが事実でございます。そういう状況の中で昨今は弊社だけでなく他社さんにつきましても1,000分の15になるべく近い報酬を頂くということで個別に委託者とあと主務官庁さんと交渉して,できるだけ事務負担のコストに見合う分ということで頂こうと努力はしているのですが,先ほどの引受事務の所にある人件費その他の必要な費用を超えないというここがどうしてもなかなかクリアできなくて,従来の1,000分の15以内というところ,以上はどこの他社さんも頂いていないかと思っています。
  あと,報酬が途中で変えられないかというところにつきましては,これは御存じのとおり昨今の金利の状況が昔と大きく違っておりますので,そこの運用の状況とか,あと助成をしていきますと財産の減り方も変わってきますし,一部の基金につきましては寄附とか委託者からの追加信託があったりして資金の増減がございますので,そういったところの資金の増減と,あと実際の応募件数が急に増えたり急に減ったりというところもございますので,そういったところを反映して運営委員の方々とか信託管理人の意見を聞いて,ちょっと上げることがあったかどうかは知りませんけれども,上がったり下がったりということは絶対できないということではございません。
○中田部会長 ありがとうございました。
  大体よろしいでしょうか。
○山田委員 既に御発言出たところにも重なるのですが,公益信託の件数というのを今日お配りいただいた資料を通して見ながら質問したいのですが。
  一つは,最近増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかということです。この公益信託,その制度のあらましというところの一番後ろの方,43ページを見ますと,資料2の公益信託目的別受託状況というのがありまして,平成26年9月末現在で498件となっています。ニュースリリースが今年の6月6日発行で,そして今年の3月末現在では1ページ目の二つ目の○ですが,479件とありますので,1年半で約20件減少していると。新規に設定されたものもあろうかと思いますが,差引きで少し減っていると,そういう現状かどうかということが一つ目の質問です。
  それから,二つ目の質問は,一番近いところで言うと479ですが,これの内訳なのですが。一般公益信託と特定公益信託と認定特定公益信託と税制上の扱いで3分類されると思うのですが,それがアンケート調査結果についてというのをお配りいただいて,この1ページ目の2の表,AからEまでの合計が出ていないのですが,これ縦に手で足していきますと,一般公益信託が320件程度,特定公益信託が110件程度,認定特定公益信託が40件程度になるのですが。大体そんな数字で,要するに現状の税制上の取扱いの区別で言うと3分類分かれるというのでいいのか。これが二つ目。
  それから,三つ目ですが,ちょっとまたすみません,その制度のあらましに戻りますが,どこかに日本地図が載っているページがあったのではないかと思いますが。別ですかね,日本地図が載っているのは。ニュースリリースですか。失礼しました。ニュースリリースの6ページですね。6ページの上の方に見出しがあって,その下に○全国ベース,○都道府県ベースとありますが,このベースというのが許可をしたのが中央官庁なのか都道府県,知事部局と教育委員会を含むのでしょうか,ということを指していて,そうだとすると中央官庁許可件数が158件で,都道府県が321と。これを足すと479になりますので,ちょうど1ページ目の直近の479にも合うのですが。そういう数字として見てよいのかどうか。
  ちょっと三つ申し上げましたが,お教えいただけると幸いです。
○岩田参考人 まず,日本地図にある全国ベース,都道府県ベース,おっしゃるとおり主務官庁でございまして,9省庁,45都道府県ということで,3分の1が全国ベースで,3分の2が都道府県,地方の主務官庁ということで御理解いただければと思います。
  二つ目の税制上の区分ですが,アンケート調査結果の1ページ目の2.にあるとおり,一般公益信託がやはり多いと。その次に特定,認定に続くということで,税制上の区分の比率は今回3月末の区分をとってはおりませんけれども,大体この比率と同等と見てよろしいかと思います。
  三つ目の減少傾向があるという内容なのですけれども,新規の設定ですが,ここ5年ほどで新規設定については3,4件というのが大体アベレージでございまして,それを上回るペースでの減少というか基金の終了があるということが減少傾向の主因ということで捉えてよろしいかと思います。
○山田委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○中田部会長 大体よろしいでしょうか。
  それでは,3人の参考人の皆様には貴重なお話を頂きまして,大変ありがとうございました。
  続きまして,部会資料31を御参考にしていただいた上での意見交換に移りたいと思います。部会資料31について,事務当局から御説明を頂きまして,その後意見交換に入りますが,その途中で一旦休憩を挟む予定でおります。それでは,御説明をお願いします。
○中辻幹事 それでは,部会資料31の内容について御説明いたします。
  本日は公益信託法の見直しについてフリーディスカッションをしていただくという位置付けの会です。そこで,皆様には個々の細かい論点ではなく,全体的な大きな視点から忌憚のない御意見を頂ければ有り難いと考えておりまして,その材料という趣旨で部会資料31は作成しております。
  資料の標題に「主な検討課題の例」とありますとおり,この部会資料に載っている課題は私どもが主な課題と考えているもので,この資料に載っていない課題は今後取り上げないという趣旨ではございません。また,この資料の最後にその他という項目を挙げておりますが,主な検討課題としてこの部会で重点的に取り上げるべき論点とお考えのものがありましたら適宜御教示いただければと存じます。
  今回の資料の構成ですが,まず第1「総論的な事項」で見直しの基本的な方向性等の課題を記載し,その後第2「公益信託の認定に関する事項」,第3「公益信託の監督・ガバナンスに関する事項」,第4「公益信託の終了事由等に関する事項」の各項目で,公益信託の設定から終了までの段階ごとの課題を記載し,最後に第5「その他の事項」として公益信託の名称等の課題を記載しております。
  それらについて一つずつ簡単に触れておきますと,まず第1の1「見直しの基本的な方向性」は,公益信託の見直しに当たっては,公益財団法人と比較してコストが低廉で小回りが利くという公益信託のメリットや,利用者の関心が大きい税制上の優遇措置を視野に入れつつその適正な利用を促進するために必要十分な仕組みを整えることを基本的な方向性とすることが相当ではないかと私どもは考えておりますが,その是非について御意見を頂きたいということです。
  次に,第1の2「信託事務及び信託財産の範囲」は,現在の実務では参考資料4の許可審査基準及び税法の存在により,公益信託の信託事務は奨学金や研究費の支給等の助成事務に限られ,信託財産も金銭に限定されているところ,例えば委託者が土地建物や美術品を信託財産として拠出し,受託者が美術館の運営等の助成事務以外の信託事務ができるようにすることによって利用者の多様なニーズにこたえられるようにすべきであるとの指摘がございます。
  もっとも,公益信託で公益法人と全く同じことができるようにした場合には,軽量・軽装備という公益信託のメリットが失われる可能性があることから,公益信託の受託者が行う事務は公益目的の信託事務及びそれに付随する信託事務に限定すべきであるという御指摘もございまして,これらの点が課題になるということです。
  第1の3「公益信託の受託者の範囲」は,現在は公益信託の受託者が信託会社である場合を除き税制優遇を受けられないことから,公益信託の受託者のほとんどは信託銀行となっておりますが,将来の公益信託の在り方を見据えた場合に,受託者としてどのような範囲のものを認めるかが課題になるということです。
  これら第1で総論的な事項として挙げさせていただいた課題は,公益信託の設定から終了に至るまでの個別の論点を検討するに当たってのバックボーンとなる事項であり,恐らく継続的に考えていくべきものですが,本日御議論していただくテーマとして特にふさわしいのではないかと思います。
  第2から各論的な課題に入ります。第2の1「主務官庁による許可制の廃止」は,現行公益信託法が昔の民法の公益法人と同じく主務官庁による許可制を採用していることの是非について以前の部会での議論をまとめました参考資料3の後ろの方に記載されておりますとおり,10年前の信託法部会ではこの主務官庁制を廃止する意見が多数を占めておりましたが,この度信託法部会の委員・幹事等の一部の交代もありましたので,改めて課題として挙げたということです。
  第2の2「公益信託の認定基準」は,現在の行政実務では法律や政令ではない許可審査基準が許可基準とされているわけですが,行政手続の透明化の要請からは認定の基準は法令上明確化した方がよいのではないか,そしてその際に新たな公益法人の公益認定基準も参考としつつ,公益信託についてどのような認定基準を定めるのかが課題になるということです。
  もっとも,公益信託の認定基準として検討する必要があるものは多数あると考えておりまして,その個別の基準の要否について踏み込んだ議論をするためにはある程度まとまった時間を要します。次回以降にその時間は設けることを予定しておりますので,皆様が特に重要であると考えておられる基準についてこの時点で御意見を述べていただくことは一向に差し支えありませんが,それを深める議論は次回以降に行っていただければと思います。
  第2の3「公益信託の認定の主体」は,仮に主務官庁による引受けの許可制を廃止した場合に新たな認定の主体としてどのような機関が考えられるかが課題になるということです。
  第2の4「公益信託と目的信託の関係」は,新信託法において公益信託は受益者の定めのない信託,すなわち目的信託の一類型として概念的に整理されているわけですが,その関係性等について再度確認しておく必要があるのではないかと考え課題としているものです。
  第3の1「監督・ガバナンスの全体像」ですが,現行公益信託法は公益信託を主務官庁の包括的な監督の下に置いており,言わば受託者の箸の上げ下げまで主務官庁が面倒を見るという構造になっております。けれども,民間を主体とする自律的な公益活動として公益信託をとらえるならば,まずは公益信託内部のガバナンスを充実させ,足りない部分を外部の第三者機関が補うという発想があり得るところ,そのような全体像のとらえ方が課題になるということです。
  第3の2「公益信託の信託管理人」ですが,公益信託事務を行うのは受託者であり,信託法上はそれを監督する主体としてまずは受益者が出てくるのですが,公益信託は受益者の定めのない信託として位置付けられています。そうすると,受益者に代わる公益信託の監督の主体としては,信託法上の信託管理人が中心となるのではないかと考えられるところであり,公益信託を設定する場合に信託管理人を必置とすべきか,またその資格要件や権限の内容が課題になるということです。
  第3の3「公益信託の委託者」ですが,公益信託の適正な運営の確保という観点からは,一旦公益信託を設定した後は委託者がそれに関与することはできるだけ少なくなるよう権限を限定すべきという御指摘がございます。もっとも,新信託法では旧法より委託者のデフォルトの権限を縮小した上で,当事者の合意によりそれを拡大又は縮小することを可能としているところ,信託法第260条により,受益者の定めのない目的信託では受益者の代役として委託者の権限が強化されているということもあり,それらの権限のうち公益信託の性質に適合するものを委託者が行使できるようにすべきであるという指摘もございまして,公益信託の委託者の権限の範囲等をどのように考えるべきかが課題になるということです。
  第3の4「運営委員会等」ですが,これは許可審査基準に定められており,現行実務で奨学金の給付先等を決定することを主な機能としている運営委員会等を新たな公益信託法にどのように位置付けるべきかが課題になるということです。
  第3の5「外部の第三者機関」ですが,仮に公益信託内部の自律的な監督・ガバナンスを充実させることを前提とした場合,外部の第三者機関の監督権限は公益信託の認定基準への適合性を確保するために必要な限度とすべきであるという指摘があることを踏まえて,その監督権限をどのような範囲とすべきかが課題になるということです。
  第3の6「情報公開」ですが,現在は年1回官報に公告されている程度の公益信託の情報公開を,信託と法人との制度の相違により導入できないものは除いて,公益財団法人のように公開度を高めていくことが課題になるということです。
  第4の1「公益信託の終了事由」ですが,四宮教授,能見委員の信託法の教科書にもありますが,旧信託法の当時から公益のために財産を拠出する公益信託では,一般の私益信託とは異なり,当事者の合意による信託の終了は認められないと解釈されてきたところ,そのような特則を含めて公益信託の終了事由をどのようなものとするかが課題になるということです。
  第4の2「公益信託の終了時における信託財産の帰趨」ですが,現行公益信託法第9条は,できるだけ公益目的のための信託は継続させた方がよいという発想の英米法上のシプレ原則を採っているわけですが,これを維持するか否か,またその周辺の話として公益信託終了時の信託財産の帰属先が課題になるということです。
  第4の3「公益信託と私益信託の相互転換の可否」ですが,現在はそのような相互転換は認められていないところ,利用者の便宜の観点からは転換を認めるのが相当であるという御指摘もあり,その是非が課題になるということです。
  第5の1「公益信託の名称」ですが,公益信託法に公益信託という名称を付することを義務付けるべきか否か,また公益法人と同様に公益信託の名称を保護するべきかが課題となるということです。
  第5の2「公益信託法の現代語化」ですが,今回の改正により,現在片仮名文語体の公益信託の規定は全て現代語化することを予定しておりますので,その際特に留意すべき点がないかが課題になるということです。
  第5の3「移行措置等」ですが,現在500件弱の公益信託が信託銀行を受託者とするものを中心に現に運営されているところ,それらを新たな制度の下に移行させる際に,どのような移行措置を採るべきかが課題になるということです。
  第5の4「その他」は,今回再開しました信託法部会において主に検討すべき事項として更に取り上げるべき課題がありましたら御教示願いたいというものです。
  私からの御説明は以上です。
○中田部会長 ありがとうございました。
  それでは,ただいまの御説明を踏まえまして意見交換に移りたいと思います。ただいま中辻幹事からお話がありましたとおり,本日は細かい論点について踏み込んだ検討をするというのではなく,それはむしろ次回以降に行っていただくということを前提にいたしまして,大きな視点からの御意見,特に重要と考えられる点についての御指摘等々を頂ければと存じます。
  幾つかに分けて御審議いただきますが,休憩前にまずは第1の総論的な事項について御検討いただければと存じます。
○樋口委員 大きな話からというので,これは,また前置きが長くて能見委員に怒られそうですが。本当はあなたがきちんと調べるべきだと言われそうな話なのですけれども。結局これチャリタブルトラストという公益信託というのは一応英米に,イギリスに源を発していてということで,特に信託を公益のために使うという伝統のある国々があるわけですよね。それから,別に英米に限らなくていいと思うのですけれども,やはり私財を公のために,みんなのために使ってもらいたいという立派な心懸けの人はどこの世界にもいて,それを制度の中に組み入れて何とかしているというのはどこの国でもあるはずなんですね,信託だけではなくて。
  そういう中で,日本で行われている公益財団法人と公益信託というまず規模が問題ですよね。どの程度のものなのだろうかと,ほかの国と比べて。先ほど件数の増加とか減少という話もありましたけれども,特に日本の場合公益信託というのは一番初めの説明にもあったように,実際には制度は法律上はずっとあったのですけれども,昭和52年まで使われないという状況でした。その後も細々ととはいえないかもしれない,600億円あるのだから私なんかにはとても言えませんけれども。やはり信託財産の総額から見ればそれほど大きな割合を占めていないように見える。だから,ほかの国々でどういう形にどの程度の規模になっているのかという話を,何らかの形で比較法的な見地から調べて資料としてきっと出してくださるのではないかなと思って期待しているということが第1点です。
  例えば私の感じで言うと,例えばイギリス法以来公益とは何かというのがずっと昔から向こうの国でも議論していて今日先ほど議論もありましたけれども,やはり日本では非常に狭いような感じがするのですよね。不特定多数の利益という定式の「多数」がものすごく多数でないといけないというような感じがする。だから使いにくくしているのだと思いますけれども。
  そういう中で,例えば公益の第1番目にくるのは,これは順不同だと思いますけれども,やはり貧民救済なのですね。歴史的には。だから,最近の子供食堂みたいな話がありますよね,ああいうのは,本当は信託の形でやれるのですね,やろうと思えば。だから,そういうものとか。これはちょっと裏をとっていないので研究者としてはいかんのですけれども,シドニーのオペラハウスに遊びに行ったときにいろいろ案内してくれる案内人の人がいて雑談をしていたのですけれども,一体これらはどういう人たちが運営しているのだ,と尋ねると,これがチャリタブルトラストだと言うのです。だから,ああ,こういうものも信託という形で運営していてやっているのかというようなことも感じましたので。
  ちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども,日本とオーストラリアだけでなくていいのですけれども,それ以外の国で私的な財産を公益のところへつなげる仕組みというのがどういう,日本人はなかなかそういうことが国民性でできないのだとは私は思いたくなくて,やはり制度的なものがあって広まっていないということがあれば,それはまさにここで考えるべき問題になるだろうというお話が一つ。
  もう1点だけですけれども。もう一つの興味は,日本では公益財団法人あるいは公益法人というのがずっと根付いているわけで,それに加えてこうやって公益信託というのが並行してあるという面白い状況になっているのですね。そうすると,今日も幾つかの場面では出てきましたけれども,公益財団法人という制度ができて動いているわけですから,それとの関係でまず入り口の公益の認定のところで今度の公益信託というのは全く同じにしていいのだろうかという話があります。マネジメントであれ,何らかの違いがあるか否か。さらに,実際には公益信託は助成事業しかやっていないという,やらないと言うのですかね,そういうようなことをどう考えるか。それは役割分担でほかのところは公益財団法人でやるのですよということなのでしょうか,それが日本のやり方ですという話であればまたそれはそれなりに理解もできますけれども。
  それから,受託者の方も,先ほど聞けばよかったのですけれども,やはり信託銀行でなければいけないのだろうかというのが最大の問題になると思うのですね。多分社会貢献だと思ってやっておられるのでしょうけれども,やはりそれ自体は収益事業では多分ない,報酬も1,000分の15よりもずっと下でやっていますというお話もありましたので,そうするとどういう人たちを受託者として想定して考えるかが重要な課題となります。それでないとこれ結局受託者がいなければ信託はできないので。だから,そういうことが重要になる。
  そのときに,それは受託者というのは公益信託で出てくるので,公益財団法人のガバナンスと比べてどういうことがやはり違いとしてあって,しかも違いとしてあっていいのだという話がどのぐらい出てくるのかということを,私も少し勉強するという約束はしますけれども,議論の中で出てくると有り難いかなと思っております。
○中田部会長 ありがとうございました。各論的な点につきましてはまさにこの審議会でこれから御検討いただくことになろうかと存じます。
  公益財団法人と公益信託との関係についての比較法的な調査というのも,できる範囲でこちらでもしていただくことになると思いますし,また樋口委員その他の皆様からも是非いろいろお教えいただければと存じます。
○吉谷委員 今樋口委員から資産規模はどのぐらいだろうというお話もございましたけれども,先ほどの御説明の中では余り出てこなかったかもしれませんが,私がお聞きしている範囲では1億から,20億とかいうのはそれほどまずなくて10億を超えるような分はまず少ないというふうに聞いています。せいぜい1,2億程度のものがあって,個人の方か企業の方かというのでまた規模も少々変わってくるかとは思いますけれども。やはり余り,ちょっと私は公益法人の方の規模は余り存じておりませんけれども,余り大きな金額のものは実績としてはないということであろうと思います。それが10年とかの間で徐々になくなっていくというようなイメージかと思います。
  私の方からは,この総論的な事項の中では見直しの基本的な方向性の点につきまして2点発言したいというふうに思っております。
  一つ目は,税制上の優遇措置というものであります。これはやはり公益信託を行う委託者にとりましては税制上の優遇措置があるということが公益信託を検討するに際しては前提になっているというふうに考えます。この優遇措置がなければ法改正をしても公益信託の利用促進に資するかどうかというのはちょっと疑問であると思います。利用者の利便性の観点から申し上げますと,公益認定されれば優遇措置が適用されると,このようなセットの仕組みになっていることが望ましいというふうに思われます。ですので,この点を意識した議論が必要ではないかというふうに考える次第です。
  2点目でございますが,これは簡素な仕組みということでございます。公益信託は簡素な仕組みであるということが重要であると考えます。公益法人に比べると軽装備であるということでございまして,今までにつきましては受託者である信託銀行の組織と事務所,従業員によって運営することで低コストなオペレーションというのを行ってきたわけでございます。先ほど御説明にもありましたように,現在はどちらかというとコスト以下の報酬しか得ることができないという実情がありまして,それはともかくとしまして,このような専門の法人組織や専任の人員を持たずに運営できるという特徴があると思います。それがゆえに独立した公益目的のための事業を財産規模が1億円程度でも始められているのだということかと思います。このような特徴を維持することが今回の法改正においても常に意識していただきたいと思います。
  信託の実務では,公益信託に限ったことではありませんけれども,信託契約におきまして信託目的の達成に必要な限度で信託事務処理の範囲というのを限定しております。つまり,受託者の裁量を上手に限定するということによりまして,簡素なガバナンス構造というのを成り立たせていると思います。ですので,公益信託においてもこのような信託の特徴をいかした法制度にするということが望ましいというふうに考えております。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○新井委員 公益信託と目的信託ですけれども,ここで発言した方がよろしいですか。
○中田部会長 目的信託と公益信託の関係については各論の第2の4でございますので,そちらでお願いできますでしょうか。
○松下幹事 先ほど資料31の説明で,第1の2で,信託事務及び信託財産の範囲が現在の許可審査基準で限定されているという御説明がありましたが,信託事務がその資金又は物品の給付等を行う助成事務に限定され,信託財産が金銭に限定された趣旨というのが一体何だったのかということを,不勉強で承知していないので教えていただければと思います。
  更に言えば,その下の段落の2行目,美術館の運営のような例ですね,こういうものを積極的に排除する趣旨があったかどうか,もし分かれば教えていただければと思います。
○中辻幹事 恐らく,公益法人との対比で公益信託はその実用化の段階から金銭等の助成型が想定されており,また,公益信託の仕組みを使って悪用がされないようにするためには簡素で安定的な仕組みが望ましいという考え方から,許可審査基準において,公益信託の信託事務は,原則として,金銭の給付等を行う助成事務に限定されてきたのではないかと考えています。「原則として」なので,美術館の運営のような例を積極的に排除するまでには至らないものの,事業型の想定はほとんどされておらず実務では認められてこなかったということになろうかと思います。
  なお,税法につきましては審議の冒頭で触れましたとおり,財務省の方から一度御説明の機会を頂くことを検討していますので,その機会に伺えればと思います。
○中田部会長 最後におっしゃった税法との関係で,金銭に限定されていることの趣旨については,専門家の方から更に詳しく御説明いただくということになろうかと存じます。
○平川委員 議論の範囲なのですけれども,信託事務及び信託財産の範囲というのを検討する中で,受託者の自己執行責任という観点から,信託事務の委託ができる範囲とか委託先についての縛り,利益相反とかいろいろ公益信託を使って悪事を働こうというような観点からは,例えば非常にファミリーの企業に丸投げして信託事務をして報酬でガッポリ抜くとか,いろいろな利益相反。また,専門性,今の普通の信託業法における信託でも委託先について専門性とか経験というのを要件にしていると思うのですけれども,委託先についての縛りということも一緒に議論していただければと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。それは各論のところで受託者の義務あるいは公益信託の監督・ガバナンスという辺りで出てくるかと存じます。
○小野委員 見直しの基本的な方向性というところの議論ですが,普通の発想からしますと公益信託と公益財団法人とを比較し整合性を検討するというのが最初にくるというのはもちろん理解するところではありますけれども,財団法人制度に関しては一般財団法人というのももちろんございまして,このうち税務上の扱いで公益財団と重要な点では変わらない非営利型の一般財団法人と公益信託あるいは営利を目的としない,公益的,共益的活動を目的とする目的信託と比べる視点も必要と思います。公益信託なのだけれども許可が取れない,あるいはそもそも取らないというものを考えたときに,こうした一般財団法人との比較において果たして整合性がとれた制度なのかどうか,財団という形で大規模に美術館を運営するということがあるかもしれませんけれども,もうちょっと小規模なコレクターがいたときに公益信託を利用するという選択肢があってよいところ,公益性の有無の判断で不特定多数という要件を満たしていないとか,また税法上の細かい要件を満たしていないということで公益信託としての許認可がとれない,税務上の特定をとれないものでも,誰が見ても公益的なことは疑いようもない例もあると思います。
  言い方を変えると,財団法人においては,社団法人もそうですが,収益事業と非収益事業とを分けて収益事業に課税されているのは御存じのとおりと思うのですけれども,そのときに非収益が全部純粋に公益かというと中間的なものもあるかと思います。先ほど申し上げた公益と私益の境界の話でもあります。
  ということで,公益財団法人との比較というのは当然ですけれども,制度間の整合性を考えるときには非営利型の一般財団法人とか,組合など他の事業体との比較ということも重要かと思います。税法が非常に重要という吉谷委員がおっしゃるとおりですし誰もが認識するところですけれども,一方この場は税法の議論は特にはする場ではないということも認識しておりますけれども,他制度と整合的な議論をすれば税法もついてくるところもあるのではないかと思います。
  あともう一つは,受託者のところですけれども,何か利害関係のある議論ではなくて,公益信託の担い手としてはどういう方が適切かという議論と思います。それが多額の金銭を預かるとかいうことになればそれなりに危険性とかいうことも加味しなければいけませんし,それが美術品とか私の想像力を超えるような公益目的の財産ということであれば,それにふさわしい適格性,またリーガルという観点ですれば,手前みそですけれども弁護士がふさわしく,それぞれ観点が全く違うかと思います。ですから,公益信託の信託財産の種類や信託の目的というところから受託者の適格性についても考えていくことが必要と思います。
  そうすると,その一つの方向性としては,では今の信託業法の建付けである金融庁が監督するということが適切なのかどうかということにもつながると思うのです。
○中田部会長 ありがとうございます。第1点につきましては先ほど新井委員からも御発言していただきかけたところですけれども,また各論の公益信託と目的信託との関係という辺りで更に御議論いただけるかと存じます。
  第2点につきましては,第1の3の受託者の範囲というところについて基本的な考えを示していただいたと存じます。また具体的に受託者の範囲について詳しく御議論いただくことになると存じます。
  ほかにいかがでしょうか。
○小幡委員 今日はフリートーキングということでございますので。先ほどからも御意見も出ておりますが,やはり今回の見直し作業というのは公益財団法人という制度,公益法人制度がいまのように法律が変わりまして,その中で位置付けられている。実は私は中田部会長の後,東京都の方の公益法人等審議会の会長をさせていただいておりますが,奨学金であるとか各種助成金であるとか似たようなものというのは公益財団法人でもたくさん出てまいっております。そういう制度が一方である。そこは法律で決まっておりますので,立入り検査などをしながら今は必死に監督をしている状況でございまして,逆に信託銀行さんのような金銭的な経理管理が完全にできるところとはいえないところでもやっているところも若干ありますので,そういうことも含めて監督しています。ただ,それだけではなくて,いろいろなほかの仕事,業務もやりながら収益事業も含めて活動して,そこで収益を出してそれをまた公益事業に還元すると,そういう少し大きな枠でできているのが公益法人ではないかと思っております。
  その上で,今回もう既に公益信託もそれなりに根付いていて,今先ほど御説明ありましたようにかなりの件数があると。多分今回それを更にできるだけ発展させた方がよいということでの議論なのだろうなと思うのですが,他方で公益法人制度はあり,その上で公益信託を位置付けるときに,もっと活動の範囲を広くしてアクティブに働かせようというために,例えばより監督がきつくなったりとか,そういうことで今までのやり方が逆にやりにくくなるとか,簡素な制度であるということがメリットだったとしたら,それが逆になってしまうというのはこれはまずいのかなと思います。ですから,公益信託なりのよさということをできるだけいかしながら,今先ほどもございましたように,ただ引受け手の信託銀行さんがほぼ全くコスト割れみたいなことでやってくださっているということをそのまま続けていてよいのかということはあろうかと思いますし。そういう手直しをしつつ,金銭だけ,財産もということなのか,ということです。ただ,恐らく収益事業までさせるということになるとこれは大変かと思いますので,これは各論に関わることかと思いますが。そういった観点から簡素さというメリットをいかしながら,多少今までの不具合を直しながら現代の要請に合わせていくという改正の方向ではないかと思っております。
  その中でやはり税法は後でついてくるという話もありましたが,そこら辺は非常に難しいのですが,税法のメリットがないとやはり制度が成り立たないということもございますので,税法の優遇が得られるということを見据えた中での制度設計をしていく必要があるのではないかと思っております。
  ただ,公益の範囲については,先ほどから公益とは何かという話がございましたが,公益法人の方がある程度,「公益」が広がっているという現状がありますので,公益信託の方が今は狭いということがありまして,これを税法上の優遇を取る上でもう少し逆に広げても公益法人がありますので可能かもしれないと思いますので,少しそこは広げる可能性はあると思っております。
○山本委員 2点申し上げたいことがあります。
  1点目は,先ほどから公益信託についての現状について様々な御紹介があり,それはよく分かったのですけれども,例えば公益信託の対象が現状では金銭に限定されているのをそれ以外のものに広げるというようなお話もありましたが,そういったことについての実際のニーズがどれほどあるのかという点については,はっきりとしたデータがあるわけではなく,難しいのですけれども,何らかの調査ができないものかと思いました。ただ,これは非常に難しいことでして,このような制度があれば使いますかといった調査は簡単ではありません。むしろ現状では公益財団法人があるわけですので,あるいは公益財団法人で公益認定を受ける際に様々な障害,支障あるいは問題点等があった,そこからすると,例えば公益信託制度がこういう形であれば魅力があると感じるというようなつながりになるのかもしれません。そういったニーズに当たるような調査がもしできれば,立法を考えるに当たって参考になるのではないかと思います。しかし,これは,問題提起ということにとどめさせていただきます。
  もう1点は,第1の2にある「信託事務及び信託財産の範囲」についてです。ただ,細かい点は次回以降に検討するということですので,その際に御検討いただければということを一つだけ申し上げておきます。第2段落で,考えられる指摘としては,公益信託の受託者が行う信託事務を公益目的の信託事務及びそれに付随する信託事務に限定して,それら以外の信託事務,収益事務等は除外すべきであるという提案があるわけなのですが,これは,それぞれの概念の意味をもう少し明確にしていただけないかと思いました。例えば,参考資料を見ますと,美術館の例を挙げて,公益目的の信託事務とそれに付随する信託事務の中で,例えば美術品のグッズを売ったり,喫茶店を経営したりというものが挙げられていましたけれども,これらと収益事務等との関係がもう少し明確にされる必要があるだろうと思いました。また,例えば留学生向けの学生寮を運営する場合には,公益目的の信託事務と収益事務等が切り分けられるのかというような問題もありそうです。
  その辺りの整理がされないと検討が難しいように思いますので,次回以降に詰めをお願いできればと思います。
○中田部会長 第2点につきましては今の御指摘のとおり,具体的に検討する際に御指摘を踏まえてその概念の明確化を事務当局というよりもここで詰めていくことになろうかと思いますけれども,事務当局の方でも御検討いただくことになろうかと思います。
  第1点につきましては調査といってもなかなか難しいかもしれませんけれども,今日の参考人のお話もその一環かと存じますが,できるだけ資料が集まりやすいようにしていただければと存じます。
○平川委員 またちょっと周辺のことで申し訳ないのですけれども,これ受託者の範囲と関係すると思うのですけれども,受託者の範囲が信託銀行とか信託会社などそういう監督されているところだけではなくてもっと一般に広がるとした場合には必ずしも信託契約に精通した人が受託者になるわけではないので,信託契約締結代理媒介業みたいなことを業にする人が出てくると思うのです。今民事信託の代理媒介については割とガバナンスとかがどこにも属さないのでちょっと野放図な感じになってしまっていると思うのですけれども,この公益信託契約代理媒介業みたいなものについて何かガバナンスを効かせるような規定を入れる必要があるのかないのかとか,そういうことも併せて検討していただければと思います。
○中田部会長 それでは,今の点,今後各論を検討する際に留意して必要に応じて資料なども集めて,あるいは平川委員がもし御存知でしたらいろいろお教えいただければと存じます。
  ほかにございますでしょうか。
○渕幹事 第1の見直しの基本的な方向性についてですが,委員,幹事の方々からの御発言でも度々ございますとおり,税法上の優遇措置が重要であって,かつそのことについてしっかり検討することが必要ということは確かだと思います。
  それに加えて,税法上の優遇措置を利用していない公益信託も実際にあるようですが,第2のところで信託財産の範囲がこの提案どおりいきますと広がるということになりますが,もし信託財産の範囲が広がるということになると,現在あるような意味での税法上の優遇措置以外の税法上のメリットが当然に出てくる可能性があると考えます。
  例えばですが,税法上の優遇措置ということで,基本的には所得課税の世界でいろいろなことをこれまで考えてきて去年の研究会報告書もそういうことについて非常に多く言及されているわけでございますが,税法には所得課税以外にも資産課税ということで相続税もございます。その相続税法上のメリットというか,例えば公益信託に家族が経営している会社の株を持たせて,何代も相続を繰り返すというようなことがうまくできますと,本来何回も掛かるべき相続税が余り掛からないで済むということがもしかしたらあるかもしれません。
  ということで,税法上の優遇措置のみならず,税法全般の公益信託についてどこを変えるとどういう税法上のメリットというか節税に使える可能性が出てきて,ともすれば財務省の方でどういう措置というか規定を適用するということになるのかと。それが翻って我々がここで考えている公益信託について幅広く利用してほしいという方向性について阻害要因にならないかというようなことまで含めてこの部会で検討していただければと思っております。
○中田部会長 ありがとうございました。是非,渕幹事におかれましては広い観点から税についてお教えいただければと思います。
○吉谷委員 私からは先ほど山本委員がおっしゃった2点目と同じような趣旨でございますけれども,公益事業と収益事業で分けるというふうに考えた場合に,その定義あるいは境界を明確にすることがやはり実務上は非常に必要であるというふうに考えております。
  今おっしゃられたところとの関係で言うと,例えば今は金銭を当初信託財産としておるのですけれども,その運用としては預金であるとか国債等の安定的な資産だけに信託銀行は運用しているというのが現状でございます。これは先ほどおっしゃられたような株式であるとか債権であるとか,あるいは組合出資であるとか信託受益権であるとかそういったものにどんどん広げてできるというふうにしてしまいますと収益事業との区分が非常に曖昧になってくるというふうに思われますので,そういうことも検討の視点としては必要なのではないかなと思っております。
  また,先ほどの不動産につきましても,直接公益事業に使わないような不動産を仮に信託できるのだとした場合には,それを売却して金銭化するか,あるいは賃貸借で収益を得て金銭化するかということが考えられるわけではありますけれども,それは一体どこまでなら認められるのか,あるいは認められないのかといったことがはっきりしていないとなかなか受託をする際に考えることができないということでして,後からその認定基準に違反するとか受託者の義務違反になるとかいうことになるのでは困ってしまうというふうに考えているわけであります。例えば不動産は売却はできるけれども,賃貸はできないよとしたときに,賃貸物件を最初信託したというような場合には当面は賃貸収入があってそのうち売却に至るというようなことにもなりますので,そういった具体的なイメージを持って基準というものが作られることが必要なのではないかなというふうに考える次第です。
○中田部会長 ほかに。
○道垣内委員 私も,私有財産がもっと公益のために用いられて,よりよい社会が実現するということになるととてもよいことだろうというふうに思いますが,意見のバランス上一言だけ申し上げておきたいと思います。
  仮に例えば公益法人に関する現在の法制度のもとでここが使いにくいということがあったとしても,そのことに合理性があるのならば,変える必要はないのだろうと思うのですね。使いやすくするというのがそれ自体でアプリオリに価値があるわけではなく,当然によいことであるということにはならないわけであって,適正な規律というものが必要なのだろうと思うのです。
  したがって,公益信託がより使われるようにしようというふうに部会の目的を措定するということには私は必ずしも賛成できません。また,部会の議論において,これは公益信託ではなくて公益法人に係る法制度をこのように変えるということによってこそ対応すべきであって,公益信託にその部分を任せるべきではないという判断が下されるならば,それは一つの判断だろうと思うのですね。
  民法債権法改正に関する法制審の部会において,2,3回出た発言で私が非常に気になっていることがあります。それは何かというと,仮登記担保法は失敗だった,なぜならば,仮登記担保法を作ったことによって仮登記担保は使われなくなったからだ,というものです。私は,その理解は根本的におかしいと思うのです。あの法律は仮登記担保を適正に規律しようとするものであり,そうなるとうまみがなくなったため,仮登記担保が使われなくなったというのは,大変望ましい結果が出たものだろうと思います。
  仮登記担保法を作るとしても,そのことが仮登記担保がよりたくさん利用されるようにしようということとは当然には結び付かないわけであって,公益信託についても私はしかりだろうと思います。公益信託を使いやすくするということ自体に反対しているわけではないのですけれども,アプリオリに,公益信託がより使いやすくなるように,より使われるようにすべきだと考える必要はないのだろうと思います。
○新井委員 事業執行型の公益信託を認めるかどうかというのは一つ論点だと思います。それで,今まで事業執行型公益信託というと,不動産と絵画などを信託して美術館を経営するという例を出すことが非常に多かったのです。これは山本委員,小野委員の発言に触発されたのですけれども,大々的な調査というのは難しいとしても,既存で行われている類似のものを調査してみることぐらいはやってもいいのではないか。例えば京都の京町屋の信託的保存です。あるいは和歌山県の天神岬のナショナル・トラスト,あるいは斜里町であるとか,柿田川湧水もそうです。これは多分信託ではなくて一般財団法人形式だと思いますけれども,それがどうして信託にいけないのかという辺りぐらいの調査であれば割に簡易にできるので,それぐらいのことは調査した方がいいのではないでしょうか。
○中田部会長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
○能見委員 今後議論していく中では,この部会では税法の問題などは少なくとも直接にはそれを念頭に置かないで,信託としては,あるいは公益信託としては,どういうものが望ましいかということをまず議論した上で,公益信託としての姿が固まったら,必要な要望などを税務当局等に出していくという形になるのだと思います。
  信託業法との関係についても似たような問題があります。公益信託の受託者を議論するところで,信託業法との関係が問題となってきます。公益信託と信託業法の問題はまだ決着はついていないのだと思いますが,商事法務研究会で行われた公益信託の研究会の中では信託業法は受益者保護を主たる目的とするものなので,受益者のいない公益信託については信託業法は関わらないという考え方もあり得るという議論がありましたが,恐らくそう簡単ではないでしょうね。かなり議論しなければいけないのだろうと思います。
  しかし,いずれにせよ公益信託の受託者の範囲をどうするかというところで,公益信託の受託者も信託業法の適用を受ける可能性があるのだとすると,信託業法に対する要望というのをまとめると言いますか,考えなければいけないので,それはそれで一つ大きなテーマだと思います。
○小幡委員 先ほどの道垣内委員の御発言に関連して,実は私も公益法人の制度が既にあるので,今回公益信託を考えるに当たって同じようなものを作るという意味はないのではないかと思っております。ただ,今回この公益信託法見直しの検討課題というところで,恐らく目的はより発展させるというところにあるのかなと思って推測して先ほど発言したまででございまして,必ずしもその必要はないということであればできるだけ現状公益信託という形でやるのによりふさわしいものという形にフィックスした上で,それに今の現行制度のまずいところを直していくという作業でもよいのかなと思っております。
○林幹事 先ほどの道垣内委員と小幡委員の御発言にも関わるのですが,確かに適正な法律を検討すべきだというのはもちろんその通りなのですが,お話を伺っていて,適正な法律にすることと事業の範囲を拡大する等ということは,必ずしも矛盾していませんので,ここで出ている論点においてそういう方向に向かって議論できればいいと思いました。
  それから,そういう意味において公益信託の有用性というか公益法人なりとの違いについては,この「公益信託のあらまし」というパンフレットの3ページを見ますと,独自の事務所とか専任の職員を置く必要がないというようなことも書かれていまして,そういう意味のコストも掛からないものとのことです。正にそういうことにおいて軽装備で小規模でできるものであるというところと思います。もちろん,制度として小規模なものに十分耐えられる制度にしながら,結果として大規模な公益信託が利用されることも全く問題ないしウェルカムなわけであって,そういうことを考えながら議論すべきと思います。
  そういう視点をもってすれば,恐らく,受託者がどういうもので在るべきかというのは,規模が小さいもの,法人とかでなくても個人でいいのではないかという発想も出てくると思います。先ほど吉谷さんの御指摘もありましたが,デフォルトとして小規模としてイメージすべき資産の規模はどれぐらいかという問題はあるのかもしれません。1億円とおっしゃったのですけれども,現には数千万円のものもあるので,むしろ小規模と考えるのであれば数千万円のものをデフォルトとして考えた方がよいと思います。信託銀行さんが商品として行うものと,それとは違う担い手が行うものとでは,規模もコストも違うから,そういう観点をもって担い手を広げていくことも十分考えられると思いました。
  ただ,担い手に関しては,担い手に関する監督等,担い手がきちんとしてくれるようにする制度をどう作るかという点もあって,それも議論の対象ですし,だからこそ業法に対してどういう手当をするのか,あるいは何らか立法を考えるのか,そういうことがここで議論されることと思っています。
○深山委員 皆さん方の意見を聞きながら感じているところなのですが,やはり公益信託をどのように制度として作っていくかというときに,当然のことながら適正な制度として設計をするわけで,常に濫用のおそれというのは意識はしつつも,まずは健全な使われ方としてどういうものが望ましいか,あるいは在るべきかというところからスタートするというのは,言わずもがなかもしれませんが,そういうことだと思います。
  日常的に弁護士業務の中でも,一定の資産,ものすごく大きな資産でなくてもお持ちの方で,あまり身近な相続人もいらっしゃらない方が,あまり縁のない方が相続するよりは何か一定の公益的なものに供したいというようなお考えをお持ちの方などがおられます。公益財団を設立するような遺言を作成した経験もありますが,やはり実際やってみると公益財団を作るというのはそれなりに手間ひま掛かります。いろいろな意味で一定の体制を作らなければならない。
  そういう意味で言うと,公益信託の典型的な姿としては,公益財団よりはもっとコストの掛からない簡便な形で財産をそのまま公益に活かせるようなもの,あるいは全くそのままでないにしてもそれほど大きく手を加えなくて活かせるような制度として,それなりにニーズはあるのではないかというふうに感覚的には感じているところです。
  道垣内委員おっしゃるように,ただ数を増やせばいいとは私ももちろん思いませんが,適正な使われ方を増やしていくことは,恐らくここにいらっしゃる方の余り異存もないところだと思いますので,そういう意味で先ほど来いろいろなニーズの調査の話も出ておりますが,そういうこともしていきながら,社会のニーズとしてどういうところにそのニーズがあるのかということを把握し,低コストで小回りが利くということが資料にも書かれていますが,そういう特徴をうまく活かす,適切に活かす部分というのをまずイメージして,ではそのためにはどういう規律を作ったらいいのかとか,信託事務の中身をどこまで認めたらいいのかとか,更にはガバナンスをどうつけたらいいのかということを考えていくということで,まずは在るべき姿,理想的な典型的な姿をイメージしてそこから制度を作っていくことだろうと思います。
  税法の問題も話に出ていますが,これももちろん大事なのですけれども,私に言わせると,税務上のメリットは決してこの制度を使う目的ではなくて,あえて言えば手段。それも積極的な手段というよりは公益に供しようというその活動を阻害しないと言いますか,税金を課すことによってそれを邪魔しないという意味で,税務上のメリットというのは大事だと思うのです。そういう意味では本来の目的を実現するためのそれを邪魔しないものとして位置付けると理解すべきで,税務上のメリットがあるからこういう信託を出すという,もちろんそう考える人も世の中にはいるのかもしれませんが,本来はそうではないのだろうと思います。せっかく公に使おうとしている財産なので,そこから一般の財産と同じような課税をして,それを阻害するようなことはやめましょうと,こういう発想で考えられるべきものだろうと思いますので,税法との関係もそのような理解をして一番望ましい使われ方をイメージして制度設計したらよろしいのではないかと思います。
  今日は総論的なことなのでこの程度の発言にしたいと思いますが,また各論でいろいろ議論したいと思います。
○中田部会長 総論についてまだ御議論おありかと思いますが,そろそろ休憩を一旦挟んで。
○小野委員 ほぼ繰り返しの議論なのですが,一言申し上げたいと思います。
  所有権を公益的目的から制約する制度というものが必要だということについてはそれほど大きな異論はないのではないかと思います。それをまた公益財団制度と比較するというのはもちろん重要ですが,場合によっては公益財団法人が収益事業を活発にやっている場合,その収益事業によって重要な財産が棄損しないように,そこで公益信託を設定するということも選択肢としてはあり得る話ではないかと思います。言い換えると,公益財団制度が先行したから公益信託制度というのは控える必要があるかもしれないというのはちょっと議論としては違うのではないかと思います。
○中田部会長 それでは,総論についての御議論がまだ続くかもしれませんが,一旦ここで休憩を挟ませていただきます。あの時計で4時4分まで休憩といたします。
 
          (休     憩)
 
○中田部会長 それでは,再開いたします。
  総論についての御意見まだまだおありかと存じますが,この先各論に移りまして,その各論の中でまた総論的なことについても適宜お出しいただければと存じます。
  各論は,部会資料31の第2,公益信託の認定に関する事項から,第5その他の事項まで,一括して検討したいと思います。どの点からでも結構でございますので,御意見をお出しください。
○長谷川幹事 総論的なところですが,先ほど言いそびれたので発言させていただきたいと思います。
  既に多くの方が御指摘されたことと同様で,3点が重要だということでございます。
  一つは,税制上の優遇措置というのは必ず必要だろうということでございまして,それを視野に入れた検討をしていただければということでございます。
  2点目として,簡素と言いますか軽装備の仕組みが重要であるということもそのとおりだと思っております。これに関連して,公益性を担保しながらどのようにこのメリットを制度設計の中で検討していくかということが極めて重要だと思っておりまして,是非皆さんで知恵を出していただければというふうに思っているということでございます。
  3点目ですが,道垣内委員から御指摘のあった適正な規律というのは当然必要でありまして,全くそのとおりだろうというふうに思っております。ただ,これに関して2点申しあげたいと思います。
  おそらく適正な規律を考えるにあたっては幾つか留意点があるのだろうと思っています。なかでも,公益信託は長い積み重ねがそれなりにあるわけでございますが,それを踏まえて濫用の事実というのがそれほどないのではないかというふうに思っておりまして,その事実は重いだろうというふうに思っております。
  あと,濫用がないことが適正な制度設計なのかというのは検討の余地があると思っております。つまり,要件がきつすぎて濫用が起こっていないだけかもしれないので,それについても慎重な検討が必要であろうというふうに思っているということでございます。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○新井委員 では,ここで公益信託と目的信託について私の考えていることを少し発言させていただきたいと思います。ちょっとまとまった話をさせていただくのは,以後もう述べないようにしますので,少し時間を頂ければと思います。
  一つの前提から出発していると思うのです。それは公益信託と目的信託というものを同一のレベルに位置付ける,つまり公益信託を目的信託の中に位置づけているという前提があると思います。その理由は,公益信託にも目的信託にも受益者は存在しない,ですから両者は共通するということでそういう位置付けになっているかと思いますが,私はこれに疑問を持っております。
  まず,目的信託の位置づけですけれども,日本の目的信託というのは私益,共益,公益,全てカバーするのですね。それで比較法的に見てこれだけ広範囲の領域をカバーする目的信託というのは日本だけにしかありません。例えばオフショアのケイマンですら目的信託は私益のみ,つまりプライベート・パーパス・トラストのみです。目的信託には自益的な側面があって,委託者が引き続き監督権を行使するということになるので,いわゆる財産のたまりを作ることになるということで,脱税の懸念から信託財産課税にされている。そんなこともあって,信託法施行以来1件の受託例もないというのが実際かと思います。そして,オフショアと競合関係にある香港とシンガポールにおいてすら目的信託というのは導入されませんでした。昨今「パナマ文書」が問題視されておりますが,そういう中で不透明な資産運用が懸念される状況の下で目的信託というのは果たして維持すべきなのかどうかという考えを私としては持っているわけです。
  前回の信託法部会では全会一致で目的信託の導入が決定されているわけですけれども,その根拠を今一度私としては明らかにしていただきたいと思うわけです。前回の信託法部会の委員も多数ここに参加しているということから是非お願いしたいと思っています。
  私の見るところ,やはり証券化,流動化を促進したいという背景の下に資産流動化法の特定目的信託の要件が厳格すぎるので,もっと簡易に目的信託を設定したいという意図があったのではないかと思われるわけですけれども,それはただ信託法の枠を超えた過剰な対応ではなかったかなと考えております。
  公益信託におけるいわゆる受益者ですけれども,前提として,目的信託にも公益信託にも受益者は存在しないので公益信託は目的信託の一類型である,これが通説であるわけですけれども,これは四宮教授のテキストに端的に出ているわけです。紹介します。「信託の利益の享受主体は公益信託の反射的効果として利益を享有するにすぎず,権利として利益を享有するのではない。公益信託で私益信託の受益者に当たるのは正確にはむしろ一般社会と言うべきである。だが,一般社会は権利の主体たり得ないから,結局私益信託の受益者と同じ法律的地位を有する者,すなわち受益権者は公益信託には原則として存在しないことになる。」。以上が日本の通説,定説でして,異論を述べているのは私だけで,誰にも支持されていない一つの説があるだけで,圧倒的にこれが支持されているわけです。
  ところで,この研究会の前に行われた公益信託法改正研究会報告書というのがありまして,その67ページにこういう記述があります。「助成先として指定された受給権者が公益信託の受託者に対して信託財産に係る給付を請求する債権を有することは当然であり,公益信託の受託者がその債務を履行しない場合には受益権者は受託者に債務不履行責任を追及すれば足りる」という記述がありまして,これは私は非常にリーズナブルな考え方だと思います。しかし,これは四宮説とは大いに異なっているわけですね。例えば信託財産に係る給付を請求する権利というのは,これは正に今度の信託法で言っている受益債権そのものではないかと思うわけです。受益者だから受益者として受益債権を享受する,受給者とすると別の説明が必要です。例えば現に実務家の中には贈与契約として説明する見解もあるわけです。
  それから,もう一つ注目すべきは,受託者に債務不履行責任を追及する,つまり履行強制可能性を認めているということです。エンフォーサブルというわけです。英米における公益信託の受益者には履行可能性がない。つまり,エンフォーサブル・ベネフィシャリーは存在しない。エンフォーサブルではないから受益者ではないというわけです。ところが,これに対して日本における受給権者には受益債権も履行強制可能性も承認されていると解する余地があると私は考えておりまして,それは正に受益者そのものではないかと思うわけです。
  デイビッド・ヘイトンというイギリスの信託法学者は次のように言っています。「受益者の地位は受益権の内容によって極めて強いものからごく弱いものまで様々である。」。共益権の内容・強弱がいろいろなバラエティとして存在するというわけです。
  それから,日本の事例で言いますと御存じのように,投資信託受益権の性質が最近の裁判の争点の一つになっています。受益者にとって投資信託受益権は金銭債権に非常に近く,共益権としての性質は相対的に弱い。しかし,最高裁などはそれでもなお信託受益権の性質を強調しているわけです。
  それから,樋口委員のテキストによりますと,アメリカでは実際に利益を得る集団の中の受益者があらかじめ明確に特定されている場合であっても公益信託としては有効である,と指摘されています。問題は受給者の特定性ではなく,公益性の判断が重要であると述べられています。公益性が強調された信託の一つとしての類型として把握すればよいのであって,目的信託として位置付ける必要はないように私には思われるわけです。
  私は目的信託の規定を全て削除するということを主張するものではなくて,それはそのままで結構なのですけれども,公益信託をあえて目的信託の中に位置づける必要はないのではないかと考える主張です。
  信託法部会では全会一致が原則だということですので私も多数の意見には従いたいとは思っておりますけれども,私のような意見も包摂された新しい判断を示されることを私としては期待しております。
○中田部会長 ありがとうございました。ただいまの点につきましてでも結構ですし,その他の点でも結構ですが,いかがでしょうか。
○小野委員 私は前の部会からの委員ですし,流動化という観点からも今の新井委員のご批判の対象なのかもしれませんので,まずこの観点からのコメントをさせていただきます。
  日本の信託法の公益信託そのものが許可が必要というところで,海外とは違う立て付けと思います。前回の信託法改正の際に目的信託を導入した理由が新井委員によれば流動化のための利用とのご指摘ですが,もちろんそういう利用ができればいろいろな利用方法のメニューの1つとしてふさわしいとは思うのですけれども,本来は許可を取らない,あるいは認可を取ろうとしても取れない公益性の外縁のような信託のため,先ほど地域を限定すると公益ではないとか,未就学児童も含めないと公益ではないという事例の紹介がありましたけれども,そういうものも包摂するような制度として目的信託が導入されたという理解でございます。
  委託者による監督という点で,流動化での利用が難しいのはいろいろ議論されているとおり明らかです。また,実際の例がないではないかというご指摘に対しては課税上法人課税信託になり,なおかつ受託者が法人で確か資産規模5,000万と非常に使いにくい制度として誕生したことによるものです。この点は,批判も多い中,当時の議論としてはまず生むことが大事だということであったと思います。その後に使い勝手を考えて制度の見直しをしていこうみたいな議論もあったかと記憶します。
  ですから,目的信託の導入自体はある意味では公益信託の外縁をとらえるような大きい制度として考えていきましょうということではなかったかと私は理解しています。だからといって,新井委員がおっしゃるように公益信託のデフォルトルールが必ず目的信託になるというように考えるかどうかというのは,まだ十分考えが固まっていませんけれども,別の議論と考えることも可能と思います。一方,だからと言って,目的信託そのものが不適切な欠陥のある制度だということはちょっと違うのではないかと思います。
  不特定多数又は公益という観点からはいろいろ考え方が分かれる事例であっても,先ほども申し上げましたけれども,所有権に一定の縛りを入れるような制度があってもよいのではないか,新井委員もおっしゃったように京都の町屋とかナショナルトラストとかいろいろ考えれば美術館以外にもあるかと思います。そういうものの中で公益信託の外縁として目的信託をとらえていくということは必要だと思います。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○能見委員 今の小野委員の言われたことと基本的には同じなのですけれども。目的信託自体を見直すということになると,これまたそれ自体相当なエネルギーのいる別な作業になりますので,新井委員の御趣旨は,結局公益信託をどう位置付けて議論するのか,あるいは受益者というものを公益信託にも認めるべきだという観点から議論したいということだと思いますので,そういう意味では目的信託そのものとは一応切り離して公益信託の問題として議論するのがよいのではないかと思います。最終的に公益信託と目的信託との関係,その整理は必要になるとは思いますけれども,目的信託そのものは当面議論の中心にはしないで進めていくということがいいのではないかと思います。
○中田部会長 今御指摘のありましたように,具体的な制度の中で,例えば受給権者の位置付けですとか,あるいは公益法人のように1階建て2階建てとするような仕組みをこちらに持ってくるかというようなときに,多分,具体論として出てくると思います。抽象的に最初にどう考えるのか,今発言されたように二度と発言しないとそうおっしゃらずに,更に具体的な制度の中で御検討いただくのが生産的ではないかなと思います。
  今の点も含めましていかがでしょうか。
○林幹事 感覚的にではあるのですが,公益信託を議論するときに,公益信託というのは目的信託の一類型であるということがデフォルトとしてあるかのように議論してしまうのは,この法制審での議論としてはよくないと思います。そこも含めて今回改めて議論して決めていただいたらというふうに思います。そこにおいて公益性というのが何かについてや,公益性というものから限定していくというのは,考えられる議論であると思っています。
  目的信託に関しましては,結局2階建てかどうかとか,あるいは公益性が認定されなかったりあるいは公益認定を取り消されたときどうなるかという問題があるので,そこにおいて目的信託というものをどういうふうに位置付けるのか,現行法のままであれば現行の目的信託の要件に合わなかったら,それこそ信託たりえないということであって,それでいいのかという観点は必ず必要なのだろうと思います。
  御承知かと思いますけれども,信託法の附則の3項で経過措置として,まず別に法律で定める日まで目的信託の受託者は法人に限定するということがあって,それをうけて更に施行令で法人は5,000万円の資産規模がないといけないということが書かれているのですけれども,附則の4項では別に法律で定める日は公益信託に関する見直しの状況等を踏まえて検討することとなっていますので,こうした要件も公益信託法の議論のときに検討しましょうという趣旨になっていると思います。まさにそれがこの法制審だと思いますから,目的信託を法人に限定していいのかとか,5,000万円の資産の規模というのを限定に加えていることがいいのかというのを改めて検討しなければならないのではないかと思っております。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○能見委員 一応そういうことで,先ほど部会長がまとめられたように,公益信託のところの具体的な問題として新井委員の御主張なども議論の対象になるということでいいのだと思います。もっとも,最初から,公益信託であれば必要な許可を求めないで,目的信託を使って公益目的を掲げて活動することができるかという論点は,これは公益信託のところだけ議論していても恐らく出てこない問題かもしれませんので,目的信託そのものの問題としてどこかで整理した上で議論した方がいいかもしれないと思いました。
○中田部会長 それは先ほどの附則との関係ということですか。
○能見委員 そうです。
○中田部会長 ありがとうございます。
○小野委員 今の点ですけれども,もちろん目的信託を公益的目的で利用しようと思えば利用できるようにすると議論する際に問題となるのが税の点です。税法の議論ゆえに不正確なところがあるかもしれませんが,法人課税信託として,資産を譲り受ける側においてその資産を贈与されたということで課税の問題が生じてしまうと思います。これがもし非営利型の一般財団法人であれば違う扱いになるわけでして,その辺も先ほども申しましたけれども,非営利型の一般財団法人とのイコールフッティングというところで,目的信託が,税の議論をする場ではないと思いますけれども,非常に利用しにくいところです。
  他方において,目的信託の法人課税信託自体が税制上大きく変わるということを動かすこと自体がこの場のテーマでもないし,またそれを動かすのは難しいという別の観点からすると,公益信託の幅を広げていくという視点も,ちょっとテクニカルな議論になってしまって恐縮ですけれども,あるのではないかと思います。
○吉谷委員 公益信託と目的信託の関係の所のその他の議論あるいは続きの議論ですけれども,部会資料に書いてあることとの関連でお話をしますと,公益信託の認定の前に目的信託を設定することは不要であるという指摘があると,これについては我々はそうであろうというふうに考えるところであります。一方で,公益信託として認定を受けることができなかったと,でも公益っぽいものについて目的信託として設定したいということはあり得るのかなというふうには思います。
  ただ,私どもで気になるところとしては,では公益信託と目的信託というのは,公益信託だったものが目的信託になったり,目的信託だったものが公益信託になったりということが出てくるのだろうかというのが少し気になるところです。制度としてはかなり複雑になってしまうのでそういうニーズが本当にあるのだろうかというのは疑問なところでありまして,余りそういう複雑な制度というのを設ける必要については余り感じていないというところでございます。
  そこに関連したところですけれども,先ほど公益認定を満たさなくなったような場合にどうなるのかというお話がございまして,目的信託になるのだろうかということのお話がございました。ただ,考え方が三つぐらいあるのですね。公益認定の基準を満たさない事象が起きましたと,取消しになりましたというときに目的信託になるという考え方と,信託が終了するという考え方があるというふうに思うわけです。一方で,公益認定基準を満たさなくなったのだけれども,仮にそれが受託者に原因があるようなものなのだとしたら,受託者を交替させれば済むというようなことも出てくると思います。ここが法人であるところと信託であるというところの仕組みの違いかなというふうには思います。
  今まで公益認定の取消しというようなことが実際に問題になってこなかったので,実務上これはどういうふうに扱われるのだろうかということについてそもそも余り検討したこともないのですけれども,そういったことを念頭に置いて制度設計というのを考えるのがいいのではないかなというふうに思う次第です。
○中田部会長 ありがとうございました。公益信託と目的信託との関係について様々な御意見を頂いておりますが,この点も含めてですけれども,ほかの論点はいかがでしょうか。
○渕幹事 この部会では公益信託をどう見直すかということが課題ですが,私は租税法を専攻しており,一応公法学者のはしくれでありまして,その観点からすると,次のような見方もこの問題に対するアプローチとして可能なのではないかと思うのです。それは,一定の公益的な政策目的,すなわち学術振興あるいは自然保護などのいろいろな政策目的を達成するためにどういう仕組みが適正なのかという視点です。
  例えば,同じ学術振興でも科研費みたいな感じで中央集権的に進めるという方向性もありますし,知的財産権のようなものを信託財産に設定して政策目的を達成するという方向性もあり,今回の公益信託というのは,ある程度プライベートな主体にこういう活動を担わせるということだと思います。そのようなアプローチを採ったから何か結論が出てくるということはもちろんないのですけれども,あくまで公益を達成するための手段として信託という器を使っているのだという発想も今回の議論の中で役に立つことがあるかなと考えております。
○中田部会長 広い意味での公私共働の在り方の中で,公益信託がどのような役割を担うべきか,担い得るかと,こういう御指摘かと存じます。ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
○林幹事 別の論点で,終了時における信託財産の帰趨の関係でございます。日弁連のバックアップ会議での議論では,委託者が支出した限度で委託者に戻るということが場合によってはあってもいいのではないのか,それも議論の対象とすべきではないか,そういうものがあれば利用も進むのではないかという意見がありました。
  今回の部会資料31の方には書かれていないのですけれども,参考資料2の46ページの右の端には,残余財産を公益信託の認定の前後に取得・形成した財産に分けて,認定前の財産については帰属先を限定しないが,認定後の財産には帰属先を限定する,ということも書かれています。これも論点の範囲かとは思いますが,そういう意見があったことを申し上げたいと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。ただいまのお話,部会資料31の第4の終了の中の2がそれに関連することでございましょうか。その際に今のような御指摘も踏まえて更に検討するということでよろしいでしょうか。
○林幹事 よろしくお願いします。
○山田委員 部会資料31の第2を中心に少し意見を申し上げたいと思います。
  1についてですが,公益信託について主務官庁制による弊害というのは,申し訳ありません,私の勉強不足が大きな原因だろうと思いますが,余りはっきり私は認識しておりません。ただ,それは恐らく絶対的な件数が少ないがゆえに,あるいはハードルが高くてある意味ではそれが顕在化しなかったという推論も成り立つかなと思います。ただ,一般的,抽象的に考えますと,公益法人改革のときに議論されていたことになるのですが,この部会資料31の2ページにも書かれているのですけれども,複数の主務官庁の所管にまたがる場合の面倒さ,それから消極的な抵触が一見生じて,最終的にはどこかに引っ掛かるのかもしれませんが,どこが主務官庁かが容易には分からないがために公益法人であるところの財団法人,社団法人の設立が困難であったということは,公益法人改革のときにはそうだろうという認識を私は持っておりました。
  そうするとそのことは信託であるがゆえに今申し上げた問題,複数主務官庁の所管にまたがる,あるいは消極的な抵触でどこの所管が分からないというのが信託であるがゆえに起きないということはないだろうと思いますので。主務官庁による許可制の廃止というのは望ましい方向だろうと思います。
  実際上重要なのはその次の2に公益信託の認定基準かもしれませんが,ここについては申し訳ありません,必ずしもはっきりした意見を持っていませんので飛ばしまして。
  3です,公益信託の認定の主体。これはまさにこの部会で議論していくところかと思いますが,単一の主体で行うのがいいだろうと。今申し上げたところから導かれるのだろうと思います。所管というものが複数あって,それのどれに当てはまるかという作業をせずに,公益信託というものを設定と言ったらいいのでしょうかね,設立しようというふうに考えたときには地方と中央というものはあり得るとしても,その含みは持った上での単一の主体ということが望ましいだろうと思います。
  その上で,今中央と各都道府県にある公益認定等委員会に認定作業をお願いするのがいいのか,それとも別のものがいいのか,ちょっとそこは余りはっきりとした意見は持っておりません。
  その上で,今の1と3については,これを議論してくださいというよりももう私の意見をざっくりとですが申し上げたところなのですが。それを前提にしますと,4の問題ということについて次のような見方が成り立つのではないかなと思います。単一の主体である認定庁,庁とは限らないか,認定機関が認定しなかった場合,あるいは一旦認定したけれども,具体的な認定基準が前提になりますが,その認定基準を事後的に充足しなくなった場合,多分将来に向けて認定の取消しということが生じ得るのだろうと思います。そのときに,信託を終了させるのか,先ほどちょっとお話がありまして二つぐらい考え方がある,あるいは三つとかいう話がありましたが,そこをなぞることになりますが。信託を終了させるのか,それとも公益でない信託,信託としては民事法上と言うのでしょうか,同一性を維持したまま,そうすると信託財産とか信託財産責任負担債務とか等々の信託法上の様々な法律関係が維持されて,あるいは受託者とかについてもその認定基準が受託者の資格問題でなければ維持されたまま公益信託でない信託になるということが考え得るのだと思うのですね。
  認定を受けようと思ったけれども認定が受けられなかった,あるいは一旦認定を受けたけれども,将来に向けて認定が取り消された場合,その信託を信託として維持するのが望ましいか,ここでは望ましいかどうかを議論していただきたい。そして,そのためにどういう方策が可能かということを議論していただくことが望ましいのではないかなと思います。
  そのときに,それが公益信託でない目的信託になるのか,それとも目的信託と公益信託を切り離して考えるとすると,信託として同一性を維持して残すとしても,それはちょっと今我々が知らないものになるのかというような話が出てくるのかなと思います。
  そのことは5ページの第4の3に公益信託と私益信託の相互転換の可否というところで上がっている問題と一部重なるのですが,必ずしも重ならないのかな。私益信託は受益者の定めのある信託と,目的信託,そして公益信託,その関係をおっしゃっていますが,必ずしも受益者の定めのある信託を念頭に置かずに,受益者の定めのない信託のまましかし公益信託でなくなると。そうすると目的信託ではないかということになるのかもしれませんが,目的信託だという今の公益信託法の作りを必ずしも前提にしないならば,そこも議論の中でベストなものを考えていこうとするならばその問題が今のところに関わってくるのではないかなと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。主務官庁制をどうするかという問題で,その延長線上で公益信託と目的信託の関係,更に私益信託との相互転換にまで及ぶという御指摘を頂きました。
  前半の部分,主務官庁制については再開前の信託法部会で一定の方向性が出ていたわけですが,その後10年たち,公益法人制度改革が行われたわけですけれども,そういう現在に至ってもやはりこの廃止という方向が望ましいという御意見だったかと存じます。
  この点についていかがでしょうか。
○小野委員 当然ではありますが同意見でございます。ところで,公益の認定の議論の他,その後の監督という議論もあるかと思います。認定する機関が引き続きそれなりの監督をするという立て付けもあるかもしれませんけれども,公益信託を広い意味での民事信託の一環としてとらえたとき,どこかが監督をする必要があるという観点では民事法に絡むという意味においては法務省による監督というのもさらにどうロジカルに結び付けるのか検討する必要がありますが,信託会社や信託銀行が公益信託の受託でない場合には金融庁による監督ともロジカルには結び付かないと思うので,そういう考え方もあるかと思います。認定と監督を同じ機関が担うのか,認定だけを担当し,監督はガバナンスに委ねるのか,また別の機関が担うのかなどの議論とも関係する論点であります。
  平川委員が先ほどおっしゃったように,濫用とかそういう議論が必ず出てくるときに,誰か第三者の目が,信託管理人なのか運営委員なのかそれは仲間ではないかとかそういう議論に対して,何らかの形で,裁判所の関与というのも考え方としてはあると思うのですけれども,裁判所に対してそこまでの後見的機能は期待しない制度にしたいという前提に立つと,法務省という観点もあるのではないかと思います。
  先ほどの山田委員の意見に関連してでありますが,公益信託が目的信託に変わるということは課税関係は全く違うものになってしまい,一体どう考えるのか大混乱になるのではないか,また多額な課税関係が生じるのではないか。そういう観点からすると,やはり公益信託が公益信託ではなくなる,要するに認可が取れない,認可はいらないというときには普通の信託に戻るという観点もあると思います。私益信託への転換というタイトルで述べられていますけれども,非認可,認可を得ない公益目的の普通の信託への切替えという考えです。
  そこで受益者を観念しないと信託に対して贈与したことになるではないかという議論に関しては,先ほど林幹事が述べたように,信託終了時の信託財産は委託者に帰属するような考え方をすることが考えられます。恐らく税の考え方というのは,最終的に委託者に帰属するような考え方をすることによって信託法上の受益者という考えとはまた別に受益者的な地位にある人がいるというような考え方をするのではないかと思われるからです。それを更に制度的に受益者とみなすとしてもよいと思います。
  税に引きずられた議論は好ましくはないとは思うのですけれども,今の目的信託は課税関係が明確になっていますから,目的信託に切り替えるというデフォルトルールを作ってしまうと,吉谷委員が述べられたように大変な混乱になるということ,また,あるべき公益信託制度の議論をしている場でもありますから,認可を取らない公益信託というのも観念できないことはないと思うので,そのときに混乱を来す制度としなくてもよいのではないかと考えます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。
○吉谷委員 主務官庁の認可については新しい制度としてはここに書いてあるとおりだと思います。私どもが実務上気になるところは,仮にそうなったところ,これはこれ以外の論点全てに共通でございますけれども,第5の3の移行措置の所がどうなるのかということでございます。ここでは移行措置として設ける規律の留意点ということで,移行するということが前提であるかのように書かれているわけですけれども,移行しなければならないのかというところも含めて考えるということもあるかなと思います。
  そして,なぜこんなことを申し上げているのかというふうに申し上げますと,先ほど件数の話が出ましたけれども,結局信託銀行数行で四百何件やっていると,当社だけでも130件以上の公益信託を受託しているわけでありまして,金額も様々ですね,古いものについては少額になったりしているということでございます。何らかの移行措置による手続というのが存在するとすれば,それが私ども既存の受託者にとっては百何十倍の負担になるんだということについては御理解いただけないかと思います。それを念頭に置いた上で,移行についてお考えいただけないかと思います。
  今回の法改正につきましては現在運営されている公益信託に問題があるのだということではないというふうにまず理解しておりますので,それが新制度への移行の手間とかコストとかそういう負担によって終了してしまったりとか国庫に帰属するとかそういうことになってしまうと本末転倒ではないかなと思います。
  信託の報酬についてはちょっと今は低すぎるので上げていただけないかという話もあるのですけれども,仮に移行の報酬が頂けるとしても,移行自体に人手が掛かるということになってしまうと,私ども旧来の担い手が新規の公益信託をやるということに対して力を注ぐ余力というのもなくなってしまいますので,そのようなことも御配慮いただきたいというふうに考えている次第です。
○長谷川幹事 2点申し上げたいと思います。
  移行措置については,私どもの会員企業でもまさに公益の目的のために公益信託を利用しているところもございまして,そういった既存の公益信託に過度な負担にならないように是非御配慮をお願いしたいというのが1点でございます。
  2点目は,許認可うんぬんの話なのですけれども,どういった形にしていただいてもいいとは思うのですけれども,検討にあたって一点申しあげたいことがございます。私は公益法人改革のときに,今の部署とは違う業務で公益法人絡みの公益目的支出計画の認定を受けていたことがございまして,そのとき申請数の規模がすごく大量だったということもあり,よく御存じの方もたくさんおられると思いますけれども,内閣府でたくさん司法書士さんなどを雇われて認定するという実務が行われたというふうに理解しております。一元的な判断がなされるという意味ではいいのですけれども,そういう外の人材をたくさん活用されてということなので,比較的一律な判断,柔軟性に欠くような判断がなされたような記憶があります。例えば私が携わっていたケースですと,定款が標準定款に一字一句同じであることを求められ,少しでも違っていたら全部直されるというような,そうしないと認可しないというような運用がなされたことがございました。このことから,制度論とは別にリソースがきちんとあるかどうかとか,そういったソフトの面の観点も重要なのではないかというふうに思った次第でございます。
○中田部会長 移行に関しましてお二方から具体的にあり得る問題の御指摘を頂きました。また移行措置について検討する際に,御意見を踏まえて更に深めていただきたいと思います。
  ほかの点,いかがでしょうか。あるいは今までに出た点でも結構でございますが。
○能見委員 これは言わずもがなですけれども,ここにまとめられている主務官庁制による許可制の廃止とそれから基準等ですけれども。主として1の所は,どちらに重点があるのかな,主務官庁が多くの役所に分かれているところに問題があるというようなニュアンスで書かれていますけれども,恐らく公益法人等で議論されていたのはその問題もありますが,そのほかにも許可制であるということがあったと思います。その許可制というのが主務官庁の裁量を前提としての許可制であるというところが問題として議論されたのだと思います。この部会では,主務官庁制を廃止する方向で議論することになるので,別に私はこの点に異論を唱えているわけではないのですけれども,主務官庁制を見直すのは,裁量性のある許可制ではなくて,きちんと基準を作ってそれを満たせば公益信託として許可するという考え方であるということは,一応強調しておいた方がいいだろうと思います。
○道垣内委員 細かな議論になるので後に譲るべきなのかもしれませんが,山田委員からも小野委員からも,例えば,公益認定受けられなかったときについて,「認可されない公益信託」という概念というものを認める可能性と,目的信託,つまり現在の信託法第258条以下にある「受益者の定めのない信託」とは少し別個のものの概念の存立可能性というものが語られたと思うのです。しかし,そのような概念を入れると,実は公益信託について認可を判断するときに,三つのどれに当たるのかというのを判断しなければならないことになりそうです。すなわち,公益目的ではないから駄目というのと,公益目的なのだけれどもこの要件は充足していないから駄目というのと,公益信託として認可するというのとですね。しかし,審査の仕方として,公益信託としては認定できないけれども,目的は公益であることを認める,という審査手続を観念するというのは,かなり難しいのではないかという気がします。
  そういうことも問題になり得るということだけを述べておきたいと思います。
○中田部会長 ありがとうございます。
○能見委員 別に道垣内委員に反対しているわけではないのですけれども,恐らく公益性を認定して公益信託を認可するという制度を作ると,公益性を認定をする場合にだけ積極的な意味で公益であるということを認めるのであって,認可しない場合には,どこが欠けているというのを説明してくれれば制度として丁寧なのかもしれませんけれども,それ以上に積極的に公益性については判断しないという制度になるのだろうと思います。
  それから,それと裏腹と言いますか,先ほどからちょっと出ていた議論との関係ですけれども,認可されないとどうなるか,公益申請をしたけれども,認可されないとその信託はどうなるかという問題の言わばもう一つ前提には,そもそも認可を受けないけれども,公益活動をするという信託があっていいと考えるかどうかという問題があります。この方がむしろある意味で大きな問題です。この点については,賛成,反対いろいろな意見があるのだと思いますけれども,私は,公益活動をするのは別に個人であってもいいし,それから認可を受けないような団体,あるいは私益信託であってもかまわないと考えています。ただ,法の定める基準を満たして認可がされれば,その公益信託に税の優遇措置が付くというだけの話である。公益活動をしたいという者からすれば,どのような団体,仕組みであっても,本来自由に作れて,公益活動の器とすることができる。それによって詐欺だとかが行われる場合にはまた別な対応をすべきだと思いますけれども,そのような心配から公益信託についての規制を考える必要はないのだろうと思います。
○道垣内委員 能見委員がおっしゃるのは,現在の信託法の附則における「受益者の定めない信託に関する経過措置」のところで,「受益者の定めのない信託(学術,技芸,慈善,祭祀,宗教その他公益を目的とするものを除く。)」となっているときに,例えば学術を目的とする信託であるのだけれども,認可を受けないというふうな場合を考えると,それは信託法上の目的信託の方にも該当しないし,公益信託としての認可がされないので公益信託でもなく,存立のしようがないという立て付けになってしまっているというわけですよね。その読み方は,学術,技芸,慈善,祭祀,宗教その他の公益を目的とするが,認可はされていないというものを観念するということにほかならないと思うのですけれども,それは仕組みの作りとしてそうではないのではないでしょうか。
  さらに言えば,今日の参考資料として配られている研究会報告書にも,公益信託の定義というのがあるのですが,この定義が本当にこれでいいのかという問題にもつながってくるところがあります。つまり,定義を置くと,この定義には合致するのだけれども認可されていない状態というのを観念するということが可能になるわけですけれども,個人的には,認可されることによって初めて定義に合致することであるとし,定義に合致するかどうかが認可にあたって判断されるのだとは考えない方が,作りとしてはうまくいくのではないかなと思っております。しかし,これはおいおい後に議論をしていくべき点だと思いますので,私は別の考え方もあり得るというつもりのために申し上げただけです。
○中田部会長 公益信託の制度設計をする際に公益信託だけを考えるのではなく,その周辺にある部分をどのように位置付けるのかという問題があるのだということが,いろいろな形で浮かび上がっているのだろうと思います。
  今日は大きな視点でというように申し上げましたので,各論的なことについてはむしろ次回以降にと考えられた方が多いのかもしれません。まだ時間が少し前ではございますけれども,おおむね論点について御検討いただけたかと存じますので,この辺りでこのテーマについては終わりにしたいと思います。よろしいでしょうか。
  それでは,次回以降の部会の進行について,事務当局から説明をお願いします。
○中辻幹事 次回からは早速具体的な審議に入ってまいりたいと思いますが,本日の意見交換の結果を踏まえますと,先ほどまでの議論と若干重複する面はありますけれども,まずは総論という形で新たな公益信託の全体像を検討するに当たりキーポイントとなる公益信託の信託事務及び信託財産の範囲や,公益信託の担い手となる受託者の範囲について御審議いただくのがよろしいかと存じます。
  その準備として,できるだけ皆様に部会資料について検討の時間を取っていただけるよう今回と同様に部会の1週間前に文章を郵送する少し前,具体的には部会が開催される週の2週間前の金曜日にはメールで部会資料と参考資料を皆様の下に送付できるように努めてまいりたいと思います。
  なお,本日もありましたけれども,各委員・幹事から資料を提供していただいた場合,公表の有無を含め,その取扱いについては中田部会長と相談の上,対応させていただきますが,ここでの席上配布の可能性があることを考えますと,いかに遅くとも会議前日の17時,午後5時までには事務当局に御提出いただきたいと存じます。
  それから,万が一会議を御欠席される場合にはメールなどの方法で事務当局まで御意見を頂くことも可能です。部会資料等について御意見がある場合,部会当日に御発言いただけるのは当然ですが,事務当局まで事前にお寄せいただくことも可能です。
○中田部会長 ただいまの説明につきまして御質問などございますでしょうか。
  それでは,最後に事務当局から次回の日程等について説明をしていただきます。
○中辻幹事 次回は,平成28年7月5日火曜日の午後1時半から午後5時半まで,場所は法務省15階,検察ゾーンの第1531会議室という所になります。次回はこの部屋でなく検察ゾーンにある会議室となりますので,お間違えのないよう御注意ください。
○中田部会長 よろしいでしょうか。
  それでは,本日の審議はこれで終了させていただきます。
  本日は熱心な御審議を賜りまして,誠にありがとうございました。
-了-


 
 
 
 

相続に関する法律改正(主に遺言と遺言執行者について)

相続に関する法律改正のお話(主に遺言と遺言執行者について)

民法(相続関係)改正の概要

(1)施行日

2019年1月13日、2019年7月1日、2020年4月1日[1]。この日付の共通点は、何でしょうか?

答えは、民法のうち、相続に関係する部分の法律改正の効力発生日です。

2019年1月13日は、自筆証書遺言の方式緩和に関する法律の改正日です。ひとつ飛ばして、2020年4月1日は配偶者(夫または妻)の居住の権利に関する法律の改正日です。そして3つ目の2020年7月1日が、遺留分など、その他の相続に関する法律の改正日です。

今回は、少し施行日にこだわります。理由を説明します。

例えば、同じ内容、方法で自筆証書遺言を書いたとします。2019年1月12日に書いた遺言は無効で、2019年1月13日に書いた遺言は有効になる、という可能性もあるのです。

図 1相続に関する法律改正の効力発生日

(1)自筆証書遺言の方式緩和
2019年 1月13日
2019年 7月1日
(1)、(2)以外の相続に関する 法律の改正
2020年 4月1日
(2)配偶者(夫または妻)の居住の権利に関する法律の改正

(2)民法(相続関係)の改正項目

次にどのような項目が改正されたのか、全体を少し見てみます。主に6つの項目に分けられます。改正理由としては、社会情勢や家族の在り方の変化が挙げられています。

図 2民法(相続関係)の改正項目[2]

配偶者の住む権利を保護するための制度の新設
遺産分割などに関する見直し
遺言制度に関する見直し 今回
相続の効力等に関する見直し
相続人以外の者の貢献を考慮するための制度の新設
  • 自筆証書遺言作成の現状

今回は、遺言をゆいごん、と読みます。法律上の呼び名は「いごん」ですが、ゆいごんでも間違いではありません[3]

平成29年度、自筆証書遺言の検認数は、1万7,394件[4]となっています。検認とは、自筆証書遺言を書いた方が亡くなった後、子どもなどが家庭裁判所に遺言を持っていって有効な遺言であることを確かめることをいいます[5]。作成された件数とは一致するとは限りませんが、大まかな数を掴むには適している資料だと考えます。

図 3自筆証書遺言の検認申立件数の推移[6]

  • 遺言と遺言執行者に関する改正点

ア 遺言編

Q.自筆証書遺言の方式は、どのように緩和されましたか。

A 自筆証書に財産の目録を添付する場合には,その目録については自分で書く必要はないことされました。

財産の目録として,登記事項証明書や預金通帳のコピーを一緒に綴ったり、パソコン等で作成したりする等の方法を採ることができるようになりました。

※注意

自分で書かない財産目録を作成する場合には、その目録の各ページに署名と契印が必要です(新法968条2項)

Q 遺言書の本文が記載された同じページに、財産目録を印刷することはできますか。

A 自書による本文とは、別の用紙で財産目録を作成する必要があります。

Q 財産目録にする署名と押印は,印刷面ではなく白紙の裏面にすることもできますか。

A 財産目録の用紙の印刷面・裏面のどちらかに署名と押印すれば有効です。

イ 遺言執行者編

 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために働く人です。

Q 遺言執行者の職務上の重要な変更点は何ですか。

A 相続人に遺言内容を通知する義務が課された点と、相続人に「相続させる」と記載された遺言がされた場合に,遺言執行者が相続登記など必要な行為をする権利が与えられた点です(新法1014条2項)。

Q 預貯金について遺言がされた場合、遺言執行者は預貯金の払戻しや解約ができますか。

A 改正により、預貯金(特定された口座の全額)を相続させる遺言がされた場合には、遺言執行者は預貯金の払戻しや解約をする権限があることが明確にされました(新法1014条3項)。

Q 遺言執行者になった場合、相続人に行う通知の内容はどのようなものですか。

A(1)遺言執行者になったこと

(2)遺言の内容

の2点を通知する必要があります(新法1007条2項)

・今後について

おさらいをしてみます。

  • 今年から来年4月にかけて、民法の相続関係について改正の効力が発生するので、施行日について注意
  • 自筆証書遺言については、今まで全文を自署する必要があったのが、財産(どの不動産、どの預貯金)などは、ワープロで作成したりする方法が可能になった。
  • 遺言執行者になった方は、他の相続人に通知をする義務がある。預貯金は原則として一人で解約して遺言の内容通りに配分することが出来る。

3つの点を押さえておきたいと思います。

なお、2020年7月10日から、法務局が自筆証書遺言をチェック・保管してくれる法務局における遺言書の保管等に関する法律が導入されます[7]。こちらも自筆証書遺言を検討する場合は要チェックの法律です。

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・法務省HP法制審議会-民法(相続関係)部会http://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_00294.html

・関根稔「相続法改正対応!! 税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解」2018年ぎょうせい

・堂薗幹一郎, 野口宣大「一問一答 新しい相続法――平成30年民法等(相続法)改正、遺言書保管法の解説」2019年商事法務

・東京司法書士会民法改正対策委員会「Q&Aでマスターする相続法改正と司法書士実務―重要条文ポイント解説162問―」2018年日本加除出版

・最高裁判所司法統計HP

平成29年度家事審判・調停事件の事件別新受件数(家庭裁判所別)

http://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/list?filter%5Btype%5D=1&filter%5ByYear%5D=&filter%5ByCategory%5D=3&filter%5BmYear%5D=&filter%5BmMonth%5D=&filter%5BmCategory%5D=


[1] 「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成30年政令第316号)」

[2] 東京司法書士会民法改正対策委員会「Q&Aでマスターする相続法改正と司法書士実務―重要条文ポイント解説162問―」2018年日本加除出版を基に筆者作成

[3] 『法律用語辞典』P1120、2012年 有斐閣

[4] 最高裁判所司法統計 平成29年度家事審判・調停事件の事件別新受件数(家庭裁判所別)http://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/list?filter%5Btype%5D=1&filter%5ByYear%5D=&filter%5ByCategory%5D=3&filter%5BmYear%5D=&filter%5BmMonth%5D=&filter%5BmCategory%5D=

[5] 『法律用語辞典』P315、2012年 有斐閣

[6] 最高裁判所司法統計を基に筆者作成。

[7] 「法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行期日を定める政令」(平成30年政令第317号)

谷口毅司法書士主宰 民事信託実務研究会メールマガジン201年8月9日号

いつも勉強になっています。

信託登記と信託目録についての記事でした。

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本日の担当は、東京の司法書士の池田弘子です。

今日は、前回の私の記事続きで、信託の登記に関するお話です。

本題のテーマは、「信託目録を信用してはいけない?」です。

その前に、不動産を信託するとどのように登記されるのか、簡単に整理しましょう。

●前回の復習

信託契約が開始したら、受託者は、信託の登記をしなければなりません。これは、受益者や第三者を守るためでしたね。

前回の私の記事は、下記のリンクにあります。

http://www.tsubasa-trust.net/2019/07/blog-post_26.html

●信託設定時の登記

たとえば、お父さん(A)が、賃貸アパートを長男(B)に信託したときには、AとBは、

「BがAから賃貸アパートの所有権を取得したこと=所有権移転登記」、

「Bが取得した所有権が信託財産であること=信託の登記」を登記することになります。

そして、この2個の登記は、別々の登記としてではなく、併せて1個の登記として登記記録の所有権を登記する場所(権利部の甲区)に登記されます。

これによって、所有権が移転したことと、信託の内容が公示されることになります。

●信託の登記の登記事項

信託の登記の登記事項は、不動産登記法97条1項と2項に規定されていています。

第三者は、信託の登記をみて、信託契約等の概要を知ることができます。

登記事項の主なものとしては、

・委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所

・受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め

・信託の目的

・信託財産の管理方法

・信託の終了の事由

・その他の信託の条項

などがあります。

そして、信託の登記の登記事項は、権利部(先程の事例であれば甲区)とは別に作成された信託目録に登記されます。

この信託目録ですが、不動産ごとに作成されます。

したがって、例えば、

同一の信託契約で土地5筆が信託されると、内容が全く同じ信託目録が土地ごとに1つずつ作成されて、土地ごとにそれぞれ異なる目録番号が記録されることになります。

ちなみに、信託の登記には、共同担保目録のような共同信託目録なるものは存在しません。

ですので、信託契約書を見なければ、どの不動産が同一の信託契約の信託財産に属しているかはわからないということになります。

●信託目録の作成

では、この信託目録、だれが作成しているのでしょう?

登記官? 司法書士?長くなってしまったので、今日はこの辺にして、続きは次回。

次回の私の担当まで、皆さんも、答えを考えておいてくださいね。

関連する条文は、

・不動産登記法97条3項、

・不動産登記規則176条1項、

・不動産登記令7条1項6号、別表65項添付情報欄ハ、です。次回は、「信託目録を信用してはいけない?」の本題に入ります。

一歩間違えば、司法書士としてアウト!になるかもしれない、私がゾッとした、信託目録のお話をしたいと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

という記事でした。

少し引っかかって、次のメールをしましたが、返信は来なかったので私が間違っていたか、考えが違うのもしれません。

いつも勉強させていただいています。

誤っていたらすみません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「同一の信託契約で土地5筆が信託されると、内容が全く同じ信託目録が土地ごとに1つずつ作成されて、土地ごとにそれぞれ異なる目録番号が記録されることになります。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この文章ですが、「1度の申請で」をどこかに追記する必要があるのではないでしょうか。

管轄違いなどで申請を別々に行う場合や当事者の意向など、内容が全く同じ信託目録を作成しないことも出来ます。

(株)琉球銀行の家族信託セミナーに行こう

2019年6月25日火曜日、(株)琉球銀行が主催する「家族信託一般向けセミナー」が那覇市で開催されます。協賛か後援は(一社)家族信託普及協会です。この協会から誰かが派遣されて何かを喋ります。

私は行きませんが、詳しい時間や開催場所は近くの琉球銀行に電話すると教えてくれます。

金融機関の家族信託セミナーに行った方が良い人・理由

・金融庁の監督下にあるため、過度な表現は出来ない。

・行員が10名前後参加しているので、セミナー前後に質問することが出来る。

・家族の中に、家族信託・民事信託はややこしいと思っている人がいる場合に説得する手段として

・家族の中に、必要性があるのに本人が認識していない場合、説得する手段として

・どのくらい費用がかかるのか、見積書が無料で頂けるなら、見積書まで取ってみましょう。見積書の項目で良く分からないところがあれば、聞いてみましょう。

何でこの値段なのか、誰がやるのか、どのような役に立つのか、聞いてみたいことがあれば、気軽に聞いてみてください。

また行員が実際に家族信託を利用しているかもしれません。利用していたら、体験談を聞いてみてください。

・金融機関は、1000名以上の行員や巨大なシステムを抱える重い組織です。その重い組織が、民事信託・家族信託は沖縄県だけでも需要があって、投資しても収益になると判断してセミナーを開いています。

そのビジネスライクな姿勢を差し引いて、何でこの銀行がこのようなセミナーを開くのか、何でこんな言い方をするのか、を考えてみると、ご自身が利用する必要があるのか、ないのかの判断材料になるかもしれません。

受託者の任務終了事由と信託管理人の資格

(衆議院HPより引用)

第一九六回閣第五六号

   成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案

(信託法の一部改正)

第五十九条 信託法(平成十八年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  第七条中「又は成年被後見人若しくは被保佐人」を削る。

第五十六条第一項ただし書中「ただし、」の下に「第二号又は」を加える。

第百二十四条第一号中「又は成年被後見人若しくは被保佐人」を削る。

閣法 第196回国会56成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案

 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案

 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案の一部を次のように修正する。

 第百十一条を次のように改める。

第百十一条 削除

 附則第一条第三号中「平成三十年十二月一日」を「令和元年十二月一日」に改める。

信託契約1個につき、受益権は1個?

宮田浩志司法書士と河合保弘司法書士が、2018年の講座で言っていました。紙では残っていません。

「受益権は、お皿の上にお菓子がいくつか載っているようなもので、信託契約1個につき、受益権は1個。」

何が言いたいのかというと、書籍などに受益権の割合は、配偶者が2分の1とか長男が3分の1に指定するような書式例があるので、その否定だと思います。

その後、こう言っていました。

「あえて書くとしたら、扶養の範囲内(民法877条など。)。」

聞いていて、なぜ信託契約1つにつき、受益権が1個なのか聞きたかったのですが、良く分からない答えが返ってきそうで止めました。

私は、受益権を割合で分けることについては、少し疑問で機能しないのではないかと思っていて、実際に利用したことはありません。

信託財産がお金だけなら、ある程度割合で決めることが出来るかもしれません。

また共有の不動産1筆について、信託契約前と同じ割合の受益権を定めることも可能だと考えます。

ただし、収益不動産が複数入ってくると、会社の株式が入ってくると、信託財産責任負担債務が入ってくると、と考えるとややこしくて2分の1ずつの均等なら何とかなるのかもしれませんが、3分の1ずつなどは計算が出来ないんじゃないか、と思います(実際に計算方法が分かる方がいらっしゃったら、教えてください)。

信託契約1個について、受益権を複数にする必要がある場合は信託契約で100個とか1000個とか、複数にするときの単位を決めておけば良いと思うのです。

他に考えられる方法は、A不動産の受益権、B不動産の受益権など信託財産ごとに受益権を特定しておく方法。

他には、どんな方法があるでしょう。

受益権が共有になると、受益者代理人が就任していない限り、信託する意味が少し薄れていくのではないかと思います。

出資金領収書

出資金領収書

收到資金

Investment receipt

社員 ○○市○○区○○巷○○弄○○號 ○○有限公司 御中

The Employee ○ ○ City ○ ○ Ward ○○ Street○○Togi 3 No. ○ ○ Co., Ltd.

下記金額の全額を領収しました。

我收到了以下金額的全部金額。

I received the full amount of the following amount.

金10,000,000円

10,000,000日圓

10,000,000 yen

○○年○○月○○日

○○ year ○○ month ○○ day

○○合同会社

○○有限公司

代表社員 ○○市○○区○○巷○○弄○○號 ○○有限公司 

【代表者 氏名】(      )印 

The representative name. (The signature.)

代表人姓名 (       )印

公証センターへのアンケート調査と回答

那覇公証センター・沖縄公証人役場 担当者様

一般財団法人司法協会 平成30年度研究助成事業

アンケート調査へのご協力依頼

2019年2月8日

〒903-0114沖縄県中頭郡西原町字桃原85番地

       (責任者)司法書士 宮城直(みやぎ すなお)

TEL(098)945-9268

FAX(098)963-9775

shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

この度、一般財団法人司法協会の助成を受けて研究事業を行うことになりました。つきましては、アンケート調査にご協力願いたいと思います。ご多忙のところ恐れ入りますが、3月8日までに、返送をお願い致します。

1 研究課題
・沖縄県内における民事信託・家族信託活用の実態把握及び普及推進のための仮説検証  
2、研究目的
・沖縄県における民事信託・家族信託の利用件数を、一定の限度はあるが把握すること。
・実態を把握したうえで今後の普及推進の方法及び課題の考察。  

1、民事信託・家族信託の公正証書作成件数

平成28年(  )件 平成29年(  )件 平成30年(  )件

2-1、1の内訳

  信託契約 遺言信託 自己信託
平成28年 
平成29年
平成30年

2-2、委託者(設定者)の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和34年~昭和43年
昭和14年~昭和23年 昭和44年以降
昭和24年~昭和33年    

2-3、受託者(設定者)の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和44年~昭和53年
昭和14年~昭和23年 昭和54年~平成2年
昭和24年~昭和33年 平成2年以降
昭和34年~昭和43年    

2-4、信託財産の種類(平成28、29、30年の合計。)

(一つの信託に複数ある場合、全ての財産をカウント。)

金銭 その他(         )   件  
不動産
株式
持分

3、民事信託・家族信託に関する公正証書を作成するにあたり、課題がある。

□はい(複数回答可)

 □書式の不統一 

□依頼を受けている専門家の力量不足 

□委託者(設定者)の判断能力

 □総合的に紛争性、違法性のある信託案件が持ち込まれる。

 □その他(                   )

□いいえ

4、民事信託・家族信託公正証書の作成依頼を受けてから作成までに要する期間

(現在のおおよその平均期間)

(    )か月

5、民事信託・家族信託の公正証書作成依頼を受けたが、作成に至らなかった件数

平成28年(  )件 平成29年( )件 平成30年(    )件

6-1、任意後見契約の公正証書作成件数

平成28年(  )件 平成29年(  )件 平成30年(  )件

6-2、委任者の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和34年~昭和43年
昭和14年~昭和23年 昭和44年以降
昭和24年~昭和33年    

6-3、受任者の出生年(平成28、29、30年の合計)

昭和14年以前 昭和44年~昭和53年
昭和14年~昭和23年 昭和54年~平成2年
昭和24年~昭和33年 平成2年以降
昭和34年~昭和43年    

7、公正証書遺言の作成件数

平成28年(  )件 平成29年(  )件 平成30年(  )件

7-1、遺言者の出生年

昭和14年以前 昭和34年~昭和43年
昭和14年~昭和23年 昭和44年以降
昭和24年~昭和33年    

以上、ご協力ありがとうございました。

回答

子会社としての合同会社の定款(試訳)

定款

Articles of association

第1章  総  則

Chapter 1 General rules 

(商 号)Trade Name

第1条 当会社は、【商号】と称する。

1st article   The company calls a [trade name].

(目 的)(Business Purpose )

第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

1.・・・に関する事業

2.・・・に関する事業

3.・・・に関する事業

4.その他適法な一切の事業

2nd article   The company aims at performing the following enterprise.

 1. Enterprise about …

 2. Enterprise about …

 3. Enterprise about …

 4. In addition, all lawful enterprises.

(本店の所在地)(Location of a head office)

第3条 当会社は、本店を【本店所在場所】に置く。

3rd article   The company establishes a head office in a [head office whereabouts place].

(公告方法)(The public notice method)

第4条 当会社の公告は、官報に掲載してする。

4th article  The publish and use a public notice of this company as an official gazette.

   第2章  社員及び出資

Chapter 2 Employee and Investment

(社員の名称及び住所、出資の価額並びに責任)

(The price and responsibility for an employee’s name, an address, and investment)

第5条 社員の名称及び住所並びに出資の価額は、次のとおりである。

5th article  An employee’s name, an address, and the price of investment are as follows.

【社員A・住所】[Employee A ‘san address]

社 員  【社員A・名称】   金【出資金額】円

Shrine Member [Employee name ]

 [The amount of investment] yen.

② 当会社の社員は、全て有限責任社員とする。

(2) All the employees of this company are taken as a limited partner.

(社員の加入)(An employee’s subscription)

第6条 新たに社員を加入させるには、総社員の同意を得なければならない。

6th article  In order to make an employee newly join, you have to obtain all the employees’ consent.

(合併による持分の承継)(Succession of the share by merger)

第7条 当会社の社員が合併により消滅した場合には、当該社員の吸収合併存続会社は、持分を承継して社員となることができる。

7th article  When the employee of this company disappears by merger, the merger surviving company of the employee concerned can inherit the share, and can become an employee.

   第3章  業務の執行及び会社の代表

Chapter 3 Execution of Business, and Representative of Company

(業務執行社員及び代表社員)(A managing partner and a representative partner)

第8条 当会社の業務執行社員及び代表社員は、【社員A・名称】とする。

8th article   The managing partner and representative partner of this company are taken as [employee A’s name].

(職務執行者)(Execution-of-the-duties person)

第9条 業務執行社員が法人である場合は、当該社員の職務を行うべき者を1名以上選任しなければならない。

9th article   When a managing partner is a corporation, the corporation have to assign those one or more who should perform the job of the employee concerned.

   第4章  計  算

 Chapter 4 Total Calculation

(事業年度)(Accounting period)

第10条 当会社の事業年度は、毎年【事業年度】とする。

10th article  The accounting period of this company is taken as a [accounting period] every year.

   第5章  附  則

Chapter 5 附    Schedule

(設立時の資本金の額)(Frame of the capital at the time of establishment)

第11条 当会社の設立時の資本金の額は、金【資本金の額】円とする。

11th article   Let the frame of the capital at the time of establishment of this company be  [frame of capital] yen.

(最初の事業年度)(The first accounting period)

第12条 当会社の最初の事業年度は、当会社設立の日から【事業年度終了日】でとする。

12th article  The accounting period of the beginning of this company is taken as from the day of these incorporation procedures to a [date of closing accounting period].

(定款に定めのない事項)(Matter which does not have a law in articles of association)

第13条 本定款に定めのない事項については、すべて会社法その他の法令の規定するところによる。

13th article   Call at the place which company law and other statutes specify altogether about the matter which does not have a law in these articles of association.

 以上、【商号】を設立するため、この定款を作成し、社員が次に記名押印する。

As mentioned above, in order to establish a [trade name], I create these articles of association and an employee attaches his name and seal to the next.

【定款作成日付】[With an articles-of-association creation date]

社 員 
 【社員A・名称】Shrine   Member    [Employee A’s name ]

代表取締役 【社員A・代表者氏名】 (印)

Representative director [Employee A and representative name] (mark) 

 以上、【商号】設立のため、上記社員の定款作成代理人である【代理人・氏名】は、電磁的記録である本定款を作成し、電子署名する。

As mentioned above, [the attorney-in-fact and the name] which is the above-mentioned employee’s articles-of-association creation attorney-in-fact create and carry out the e-signature of these articles of association which are electromagnetic records for [trade name] establishment.

 【定款作成日付】[With an articles-of-association creation date]

上記社員の定款作成代理人

The above-mentioned employee’s articles-of-association creation attorney-in-fact.

【代理人・住所】[An attorneyan ‘s ana ddress]

【代理人・氏名】[An attorney ‘s name]