都市計画マスタープランNOTE

 

順序
1、都市計画区域マスタープランを作る。
都市計画区域マスタープランは、人口、人や物の動き、土地の利用のしかた、公共施設の整備などについて将来の見通しや目標を明らかにし、将来のまちをどのようにしていきたいかを具体的に定めるものです。西原町は、那覇広域都市計画の中に入っています。北は北中城村、南は糸満市までです。

具体的には、以下のような内容を定めます。

(1)都市計画の目標→どんなまちにしたいか。

(2)区域区分(市街化区域と市街化調整区域との区分)の決定の有無及び当該区分を決めるときはその方針→家の隣に大きな工場、その隣に学校、その隣はパチンコ屋さん、その隣は畑、みたいになるとごちゃごちゃして生活も不便になるので、この区域は住宅を集めましょう、この区域には工場などを、とある程度決めてみる。

(3)2の他、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

2、市町村マスタープラン
 住民に最も近い立場にある市町村が、その創意工夫のもとに住民の意見を反映し、まちづくりの具体性ある将来ビジョンを確立し、地区別のあるべき「まち」の姿を定めるものです。市町村マスタープランは、当該市町村を含む都市計画区域マスタープラン、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即したものとなっています。


3、都市計画基礎調査
 都市計画を適切に策定し、実現していくためには、都市の現状や変化の様子などについて幅広くデータを集めて、これに基づいて計画を定める必要があります。そのために、おおむね5年ごとに、都市計画区域について、人口、産業、市街地面積、土地利用、交通量などの現況と将来の見通しについての調査を行っています。

都市計画区域
 都市計画を決めるにあたっては、まず「都市」の範囲を明らかにしなければなりません。そこで、都心の市街地から郊外の農地や山林のある田園地域に至るまで、人や物の動き、都市の発展を見通し、地形などからみて、一体の都市として捉える必要がある区域を、「都市計画区域」として指定します。
 都市計画区域は都市の実際の広がりに合わせて定めるので、その大きさは一つの市町村の行政区域の中に含まれるものからいくつかの市町村にわたる広いものまであります。


●準都市計画区域
 近年、モータリゼーションの進展等により、高速道路のインター周辺や幹線道路の沿道等を中心に大規模な開発、建設が拡大しており、無秩序な土地の利用や良好な景観の喪失が進んでいます。
 そこで、用途地域・風致地区など土地の使われ方を決めるために必要な都市計画を定めるため、「準都市計画区域」を指定できることになりました。

・線引き(区域区分)
 都市計画では、無秩序にまちが広がらないように、一定のルールに基づいて建物の建築などを制限しています。具体的には都市計画区域を2つに区分して、すでに市街地になっている区域や計画的に市街地にしていく区域(市街化区域)と、市街化をおさえる区域(市街化調整区域)を定めます。(区分を定めることを「線引き」と言います。)

●用途地域
 都市における住居、商業、工業といった土地利用は、似たようなものが集まっていると、それぞれにあった環境が守られ、効率的な活動を行うことができます。しかし、種類の異なる土地利用が混じっていると、互いの生活環境や業務の利便が悪くなります。
 そこで、都市計画では都市を住宅地、商業地、工業地などいくつかの種類に区分し、これを「用途地域」として定めています。

第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域です。
小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられます。

第二種低層住居専用地域
主に低層住宅のための地域です。
小中学校などのほか、150m2までの一定のお店などが建てられます。


第一種中高層住居専用地域
中高層住宅のための地域です。
病院、大学、500m2までの一定のお店などが建てられます。

第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅のための地域です。
病院、大学などのほか、1,500m2までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。


第一種住居地域
住居の環境を守るための地域です。
3,000m2までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。

第二種住居地域
主に住居の環境を守るための地域です。
店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。

準住居地域
道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。


近隣商業地域
まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。
住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。

商業地域
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。
住宅や小規模の工場も建てられます。

準工業地域
主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域です。
危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。

工業地域
どんな工場でも建てられる地域です。
住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

工業専用地域
工場のための地域です。
どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

地域地区
 都市計画区域内の土地をその利用目的によって区分し、建築物などに対するルールを決め、土地の合理的な利用を図るために、用途地域などの地域地区を指定します。また、準都市計画区域については、用途地域などの地域地区のうち一部の地域地区について指定します。

用途地域における建て方のルール
 用途地域が指定されている地域においては、建築物の用途の制限とあわせて、建築物の建て方のルールが定められています。これによって、土地利用に応じた環境の確保が図られるようになっています。
 例えば、土地の面積と建物の床の面積の比率(容積率と言います。)、道路の幅に見あった建物の高さなどのルールがあります。


●都市施設
 私たちが都市で生活し、学び、仕事などをするためには、みんなが共同で利用する道路、公園、下水道が無くてはなりません。
 都市計画では、将来のまちづくりを考えて、このような都市の骨組みを形づくっている都市施設の位置、規模、構造などを定め、計画的に整備しています。また、将来の事業が円滑に実施できるよう、都市計画に定められた施設の区域内では、建築について規制が課せられます。
 都市施設には、
•道路、都市高速鉄道、駐車場など(交通施設)
•公園、緑地など(公共空地)
•上下水道、電気、ガスなど(供給・処理施設)
•河川、運河その他の水路
•学校、図書館など(教育文化施設)
•病院、保育所など
•市場
•一団地の住宅施設
•一団地の官公庁施設
•流通業務団地
等があります。

都市計画事業
 道路、公園、下水道などを整備する場合は、通常、都市計画事業として行われ、地方公共団体等が必要な用地を買収し、計画に従って工事を実施します。

土地区画整理事業
 土地区画整理事業は、土地の所有者や住民が話し合い、みんなでまちをよくする事業です。みんなが少しずつ土地を提供して、この土地をみんなが使う公園などの公共用地に充てます。それぞれの土地の所有者にとっては、事業後の宅地の面積は少し小さくなりますが、道路や公園などが整備されたり、宅地が整形化されることにより、住みやすく利用価値の高い土地が得られることになります。
 まずは、その地域の所有者の合意が必要となります。


市街地再開発事業

 市街地再開発事業は、中心市街地などの土地を有効高度利用すべき地区において、バラバラに建っていた従来の古い建物を取り壊した上で、みんなで協力して新しい中高層のビルや住宅に建て替えるとともに、区域内の道路や広場をあわせて整備するものです。市街地再開発事業では、事業が行われる前から土地や建物について権利を持っている人は、それぞれの権利に応じて新しくできたビルとその敷地に権利が移し換えられることになります。

特別緑地保全地区
 「特別緑地保全地区」とは、樹木地、草地、水辺地などの緑地のうち、伝統的・文化的価値を有していたり、風致又は景観が優れていて生活環境を確保するために必要な地区を定め緑地として保全するための地域地区です。
 特別緑地保全地区に指定された場合は、建築物の建築や樹木の伐採等緑地の保全に支障がある行為は規制されることになります。

伝統的建造物群保存地区
 「伝統的建造物群保存地区」とは、伝統的建造物群及びこれと一体をなして歴史的風致を形成している環境を保存するため、市町村が定める地域地区です。
 保存地区内においては、主に建築物等の建築又は除却、建築物等の外観の変更、宅地の造成、木竹の伐採、土石の採取等について規制されることになります。


生産緑地地区
 「生産緑地地区」とは、市街化区域内にある一定の要件を満たす農地を農業生産活動を通して緑地として計画的に保全し、良好な都市環境の形成を図るための地域地区です。
 生産緑地地区に指定された場合は、農地として管理しなければならず建築物の建築等農業生産に関係のない行為は規制されることとなります。

景観地区
「景観地区」とは、市街地において、積極的に良好な景観の形成を図るために定められる地域地区です。
景観地区では、建築物や工作物について、デザイン・色彩・高さなど様々な事項が、地域の特性に応じて、総合的に規制されることになります。


環境アセスメント
「環境アセスメント(環境影響評価)」とは、大規模な事業の実施にあたって、それが環境にどのような影響を及ぼすかについて、調査・予測・評価を行い、その結果を公表して住民のみなさん、地方公共団体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点から、よりよい事業計画を作り上げていく制度です。
 大規模な道路や土地区画整理事業等を都市計画として定める際には、都市計画を定める手続きとあわせて、実施することになっています。

地区計画で定められるまちづくりのルール
1.地区施設(生活道路、公園、広場、遊歩道など)の配置
2.建物の建て方や街並みのルール
(用途、容積率、建ぺい率、高さ、敷地規模、セットバック、デザイン、生垣化、など)

3.保全すべき樹林地

【策定プロセス】
•地区計画の案は、市町村が条例に基づき、土地所有者等の意見を求めて作成します。
•地区計画の方針が策定された地区内では、土地所有者等が協定を締結して、市町村に対して地区整備計画の策定を要請することができます。
•市町村の条例で定めるところにより、地域住民から市町村に対し、地区計画の案の申し出ができます。

【実現担保】
•通常は、届出・勧告によります。ただし、地区計画で定めたルールを市町村が条例化すれば、強制力が付与されます。
•特定の事項を定めた場合に、特定行政庁の認定・許可により、用途地域の用途、容積率、高さの制限を緩和できる場合があります。


●地区計画
 地区計画は、それぞれの地区の特性に応じて、良好な都市環境の形成を図るために必要なことがらを市町村が定める、「地区計画レベルの都市計画」です。地区計画は、地区の目標、将来像を示す「地区計画の方針」と、生活道路の配置、建築物の建て方のルールなどを具体的に定める「地区整備計画」とからなり、住民などの意見を反映して、街並みなどその地区独自のまちづくりのルールを、きめ細かく定めるものです。


●いろいろな地区計画があります。
地区計画(昭和55年)
防災街区整備地区計画(平成9年)
歴史的風致維持向上地区計画(平成20年)
沿道地区計画(昭和55年)
集落地区計画(昭和62年)
市街化調整区域での地区計画(平成4年)
再開発地区計画(昭和63年→平成14年再開発等促進区に統合)
住宅地高度利用地区計画(平成2年→平成14年再開発等促進区に統合)
再開発等促進区(平成14年)
開発整備促進区(平成18年)
誘導容積型地区計画(平成4年)
容積適正配分型地区計画(平成4年)
高度利用型地区計画(平成14年)
用途別容積型地区計画(平成2年)
街並み誘導型地区計画(平成7年)
立体道路制度(平成元年)

優良なプロジェクトに対する特例制度
 都市計画で定められた容積率は、基盤施設とのバランスや、良好な市街地環境を確保するための基礎的な社会的ルールです。したがって、これらを一律に緩和することは、交通混雑、環境悪化等を招くことから適当ではありません。そこで、過密の弊害を招くことなく、土地の有効利用を効果的に進めるため、公共施設や、オープンスペースの整備等を伴う「優良なプロジェクト」に対しては、「都市再生特別地区」、「特定街区」、「再開発等促進区」、「高度利用地区」といった、容積率の特例制度が適用されます。

都市計画手続き
 都市計画の案を作る段階では、公聴会などにより住民の皆さんの意見を反映させるための措置を講じることとされています。案は公告・縦覧され、住民の皆さんは案に対し意見を提出することができます。案は、提出された意見書を添えて、都市計画審議会に提出され、審議を経た後必要な手続きを経て決定されます。
 なお、都市計画は、広域的・根幹的な見地から決定すべき都市計画については都道府県が定め、その他については、基本的に市町村が定めます。


<公聴会>


今回の西原町都市計画マスタープラン検討委員会は、ここに入っています。一部は公聴会と同時並行で進められました。

<公告・縦覧>
<都市計画審議会>
<都市計画決定>


農地法からの観点(主に転用条件)

第1種農地
10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地
原則不許可(土地収用法対象事業等のために転用する場合、例外許可)
・西原町の場合、下線の方針で進める予定です。

第2種農地
鉄道の駅が500m以内にある等、市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地
農地以外の土地や第3種農地に立地困難な場合等に許可

第3種農地
鉄道の駅が300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
原則許可

河川法からの観点


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参考

国土交通省HP

都市計画法
(市町村の都市計画に関する基本的な方針)

第18条の2  市町村は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想並びに都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即し、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 市町村は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

3 市町村は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に通知しなければならない。

4 市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない

かeせるオプション

 

大垣尚司教授がフェイスブックで紹介してくれたのですが、事情により削除されたようです。

読み返そうとしたら消えていました。残念。

 私が理解できる範囲でいうと、住宅を購入する場合に、○○○万円までなら、残りの債務が残っていても、移住・住み替え支援機構が代わりに返済してくれる。
 


 要するに、住宅ローンを組む場合に、自分が損しない金額を予め知ることが出来るということ、だと思います(間違っていたらすみません)。
これはとても良いなと思って注目しています。
子供3名でアパートに住んでいる人もいれば、大きな屋敷に夫婦で住んでいる人もいれば、セカンドハウスにマンションを買う、という方もいる沖縄県。
 特にアパートや団地に住んでいる、子育て世代の方が利用出来たらいいな。

 どんな仕組みなのかも興味があります。早く論文読んでみたいな。


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参考:ミサワホーム(株)HPニュースリリース

地方自治法260条の38 公告例

一  認可地縁団体の名称、区域及び主たる事務所

二  申請不動産に関する事項

三  申請不動産の所有権の保存又は移転の登記をすることについて異議を述べることができる者の範囲は、申請不動産の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人若しくはこれらの相続人又は申請不動産の所有権を有することを疎明する者(以下「登記関係者等」という。)である旨

四  異議を述べることができる期間及び方法に関する事項

様々な影響を及ぼしつつある所有者不明の土地

土地の所有者がわからないために土地の売買や利活用が進められないなど、「所有者不明の土地」が引き起こす問題が全国で増えている。
“所有者がわからない”という表現には、所有者は判明しているものの居所や生存が確認できず、ただちに連絡がとれない場合も含まれる。
顕著に表面化したのは、東日本大震災の復興事業だ。被災者の集団移転に伴う高台の用地を取得する際に、移転先に所有者不明の土地が含まれていたことで、計画の変更や遅延を余儀なくされるケースが現れたのだ。

土地の所有者がわからないことで起こる問題は被災地だけではない。北海道では、石炭産業施設など日本の近代化に貢献した「明治北海道の産業革命遺産」の保全をする上で、全27ある遺産のうち4つが所有者不明のために維持修繕できない状態だという。また、ある地域では、土砂崩れが起こる可能性の高い土地の補強や堤防を設置しようとする際に、その土地の相続登記がされていないために工事が進められないケースが出てくるなど、人命にも関わる様々な場面で影響が出ている。
国土交通省が平成27年3月に公表した報告書によると、全国4市町村から100地点をサンプリングして登記簿を調査した結果、最後に所有者に関する登記がされた年が「50年以上前」のものが全国の19.8%を占めていた。同省によると、「所有者の所在の把握が難しい土地は、私有地の約2割(※筆単位)が該当すると考えられ、相続登記等が行われないと今後も増加する見込み」としている。(※筆:登記簿上の土地の個数を表す単位のこと)

これらの問題が、震災復興や空き家対策など緊急性の高い課題解決の妨げになっていることを受け、国土交通省は、現行の法制度の範囲内でできる対策を示した「所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン」を策定。政府と司法書士会、関係団体が協力した検討会を立ち上げた。
2017年3月8日に開催された「地域に広がる所有者不明土地問題を考える」シンポジウムから、所有者不明の土地問題の現状や解決に向けた様々な取組みなど、新たな土地制度のあり方について考えてみたい。

国土交通省のサンプル調査によると、50年以上所有権の登記がされていない土地は、全国の20%近くに上っている</BR> 参照:国土交通省「最後に所有権に関する登記がされた原因年別の登記簿の割合」を元に編集部で作成
国土交通省のサンプル調査によると、50年以上所有権の登記がされていない土地は、全国の20%近くに上っている
参照:国土交通省「最後に所有権に関する登記がされた原因年別の登記簿の割合」を元に編集部で作成
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所有者がわからなくなる背景とは?


そもそも土地の所有者情報は、不動産登記制度によって管理されているにも関わらず、なぜ所有者不明の土地ができてしまうのか?その主な要因の一つが「相続未登記」だ。
土地の所有者が死亡した場合、一般的には新たに所有者となった相続人が相続登記を行ない登記簿の名義を変更する。しかし、この相続登記は義務ではなく相続人本人の判断に委ねられているのだ。倒壊の危険や防犯上のリスクなど、公益上の損害が表面化しやすい空き家問題とは異なり、その土地を利用しようとする段階で初めて不都合が表面化するため、死亡者の名義のまま登記簿の情報が長期間放置されることも多い。その間にも法定相続人は、子、孫と広がっていくごとにねずみ算式に増加し、登記簿情報との乖離が進んでいくことになる。こうした背景から、そもそも自分が相続人だと自覚していないケースも少なくないという。

相続登記が進まない理由の一つには、土地の資産価値の変化がある。
国土交通省が2017年3月21日に発表した公示地価では、東京圏、大阪圏、名古屋圏の3大都市圏において、住宅地平均が前年比+0.5%、商業地平均が+3.3%と4年連続で上昇しているものの、駅から離れた郊外に地価が落ち込む地点が存在するなど、二極化が進んでいることが示された。今後も続く人口減少によって、その差は更に大きくなっていくと考えられる。土地を所有することは、固定資産税などの継続的なコストが発生するということだ。過疎地などの市場価値の低い土地を相続した場合、土地の所有が「資産」ではなく、負担になってしまう状況も考えられるのだ。

空き家特別対策法の施行からわかるように、空き家は景観や防犯、倒壊などの観点から問題視されやすいが、<BR />空き地の場合は相続登記を行わなくても直ちに問題になることが空き家と比べて少ない
空き家特別対策法の施行からわかるように、空き家は景観や防犯、倒壊などの観点から問題視されやすいが、
空き地の場合は相続登記を行わなくても直ちに問題になることが空き家と比べて少ない
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被災地である岩手県大槌町では、地権者が800人超の事例も


現在、大槌町司法書士相談センターで復興事業に携わっている岩手県司法書士会所属 司法書士 石川陽一氏
現在、大槌町司法書士相談センターで復興事業に携わっている岩手県司法書士会所属 司法書士 石川陽一氏

パネルディスカッションでは、法務省や国土交通省をはじめとする各省庁に加えて、地方自治体職員など関係部局の担当者が登壇した。
そのうち、東日本大震災の被災地の一つでもある岩手県大槌町で、相続登記手続きの支援をしている司法書士 石川陽一氏から、被災地における所有者不明の土地問題の現状が語られた。

「津波によって町の約7割の建物が被災した大槌町では、復興事業の一環として公共用地の買取りが進められています。買取り状況は90%近くに達しているものの、残りのうち数%は所有者不明の土地で手の施しようがない状態です。明治から昭和初期にかけて登記したまま登記簿を変更していない土地もあり、相続人が20~30人、行方不明者も複数という案件も少なくありません。中でも、一筆の土地が46人の共有名義になっていたことがありました。調査の結果、大正時代から登記変更されていなく、書類をたどると800人もの地権者が存在していたんです。」

こうした土地所有者の調査は、自治体の担当職員にとって気の遠くなるような作業である。まずは、所有者の親族を中心に相続人を洗い出し、文書などを通じて連絡。さらに相続人が複数いる場合には、合意形成も必要になる。当然、複数の相続人が同じ行政区内に住んでいるとは限らず、例え海外にいる場合も例外なく同様の手続きをとらなくてはならないのだ。

今後の進め方について石川氏は、
「自治体の職員はこうした作業が毎日続きます。どうすれば相続人と接触できるのか、どうしたら印鑑がもらえるのか…。あまりに複雑であるため、一人で抱え込まずチームで解決する体制づくりが大切なのだと思います」と語る。
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解決が進みにくい背景には、当事者、関係者の認識不足も?


新潟県長岡市の「市役所なんでも窓口」。葬儀後の手続き一覧の用意やワンフロアに手続きが必要な課を多く設置することで、森林法に基づく届出件数が、一覧表掲載前の平均件数の1.37倍に増加したという
新潟県長岡市の「市役所なんでも窓口」。葬儀後の手続き一覧の用意やワンフロアに手続きが必要な課を多く設置することで、森林法に基づく届出件数が、一覧表掲載前の平均件数の1.37倍に増加したという

相続人の調査、接触するために係る”時間とコスト”も見逃せない問題だ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員 阿部 剛志氏は、過去の20案件のリサーチから、土地の所有者がわからない場合の調査コストを算出したという。
「登記簿で所有者が判明せず、戸籍などを遡って調査する場合、見えないコストとして1人調査あたり約1万4,000円から2万6,000円がかかっていることがわかりました。この内訳の約9割は人件費で占められており、こうしたコストを、行政や森林組合が負担していることを共通認識としてもっていただきたい。」と語る。
所有者不明の土地が増えることは、固定資産税の徴収額の減収にも直結する。ある自治体では、相続人が特定できずに死亡している人に対して、形式上課税をする”死亡者課税”も起こっているという。
すでに死亡している所有者の調査には、さらに根深い問題がある。過去に遡って所有者を調査する際、故人を辿っていく場合に必要な”住民票の除票の写し”や”戸籍の附票の除票”等の保存期間が、法令上、消除した日から「5年間」となっている。そのため、当該期間を経過している場合、これらの除票の写しの交付ができず、先代に遡ることができない事態が発生するのだ。

こうした状況に対して阿部氏は、問題の解決が進みにくい理由には、自治体をはじめとする関係者の”問題の認識不足”もあると語る。
「空家問題の所有者の調査の際に何が一番困ったか?というアンケートの回答として、『所有者の特定が困難』という回答が最も多いのは予想がつきましたが、次いで多かったのが『関係者の問題に対する認識不足』という回答でした。つまり、問題を解決しようとも、関係者同士であっても話がなかなか伝わらず、協力が得られにくい…というのが担当者の苦労として明確に現れた結果でした。担当者にとっては深刻な問題にも関わらず、周りの人はよくわからないので対応しないという状況が見えてきます。連携するための一体感をどのように構築するかということが、問題解決に向けての大きな論点の一つになると思います。」
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問題解決に必要な法整備の見直しと国民の意識


相続人にとってすぐに不都合が表面化しにくく、気づいたときには対応が困難になっているケースが多い特徴をもつ「所有者不明の土地問題」。今回策定されたガイドラインには、こうした土地を今以上に増加させないための取組みとして、主に以下のポイントをあげている。

 □相続登記と所有者届出の促進
 □情報の共有

相続登記を促す対策としては、死亡届提出の手続きと併せて、土地の相続に係る手続きを案内する方法が取られはじめている。死亡に伴う保険や年金などの関連手続で担当窓口を訪れたタイミングで、土地の相続に係る手続きの一覧などを案内することで、漏れなく実施につなげたいとしている。
具体的な事例として、新潟県長岡市では、平成24年4月の新庁舎開設時に「市役所なんでも窓口」を新設。死亡届出後に行う年金受給停止の手続きや介護保険の喪失届けといった諸手続きを行うほか、ワンフロアに一連の手続きに必要な課を集めることで、住民の手続きの負担の軽減や手続き漏れの減少につなげているという。
また、調査の負担軽減につながるものとして、関係各所の所有者情報の共有も挙げられている。
前述した住民票の除票等の保存期間を超える保存と、その写し等の交付をすることで所有者情報の探索の負担軽減が期待されている。
即効性のある解決は難しいとはいえ、今後いかに新たな「所有者不明の土地」を生み出さないか、という未然の防止策には、行政や関係部署の所有者情報の共有など、これまでの縦の分担ではなく、組織横断的な協力が必要不可欠であるといえる。

検討会の委員長を務める早稲田大学大学院法務研究科教授 山野目章夫氏は、
「不動産登記制度は、所有者不明の土地問題の原因の一つと批判があるが、アジア諸国においてここまで精緻な不動産登記制度をもった国はない。諸先輩方が明治初年に作り上げ、今日まで保たれている制度は、人々の信頼が受け継がれてきたという国の宝でもあると思います。これを我々の代で損なうことなく、次の世代まで引き継がねばならないのです。」と語る。

不利益が見えにくく、身近に感じる機会が少ない所有者不明の土地問題も、国民一人ひとりの意識と密接に係る問題である。土地の所有者を全て明らかすることが難しい状況の中、今以上に放置される土地を生み出さないためには、これまでの制度を踏襲しつつも、人口が減少していく時代に即した土地制度の見直しが必要なのではないだろうか。